(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690502
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】跳ね上げ式メガネ
(51)【国際特許分類】
G02C 5/02 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
G02C5/02
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-95697(P2010-95697)
(22)【出願日】2010年4月19日
(65)【公開番号】特開2011-227222(P2011-227222A)
(43)【公開日】2011年11月10日
【審査請求日】2013年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507055291
【氏名又は名称】有限会社 ボンバーデザインワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 優志
【審査官】
貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−292592(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0081168(US,A1)
【文献】
特開昭64−070048(JP,A)
【文献】
特開2009−163046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフレームの正面中央に設けた継手を介して跳ね上げフロント部を取付けた跳ね上げ式メガネにおいて、跳ね上げフロント部は右継手片に取着した右フロント部と左継手片に取着した左フロント部を有して上記継手から正面側へ延びたアームに取付けられ、そして左右継手片はネジ軸を介して互いに揺動可能に連結すると共に、跳ね上げフロント部がほぼ水平位置まで跳ね上げられた場合に、上記跳ね上げフロント部の上記右フロント部と左フロント部の側端部が上昇して上記フロントフレームより上方に位置するように、上記右継手片及び左継手片が上記フロントフレームの上面に当接することを特徴とする跳ね上げ式メガネ。
【請求項2】
左右継手片を揺動可能に連結するネジ軸にバネを取付けて、上記左右継手片は上記バネによって付勢されたバネ力にて跳ね上げフロント部が下りた状態ではフロントフレームの正面に当接し、跳ね上げた状態ではフロントフレームの上面に当接し、そして、該上面の形状をほぼ水平位置に跳ね上げられた跳ね上げフロント部がフロントフレームより上方に位置する形状をした請求項1記載の跳ね上げ式メガネ。
【請求項3】
上記左右継手片に付勢されるバネ力としてネジ軸にはコイルバネを取付け、該コイルバネの一方先端を右継手片に係合し、他方先端を左継手片に係合した請求項2記載の跳ね上げ式メガネ。
【請求項4】
上記左右継手片の摺動面を細かい凹凸面とした請求項1記載の跳ね上げ式メガネ。
【請求項5】
上記フロントフレームとして、湾曲した一本のワタリとして構成した請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の跳ね上げ式メガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロント部がブリッジ(連結部材)を中心として回転することで跳ね上げることが出来、しかも跳ね上げたフレームで視界が遮られないようにした跳ね上げ式メガネに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、前掛け式メガネや跳ね上げ式メガネが多用されているが、前掛け式メガネとはフロント部の正面に別の前掛けフレームを着脱可能に取付けるように構成している。これに対して、跳ね上げ式メガネとは、跳ね上げフレームを着脱することなく、必要に応じて該跳ね上げフレームを上方へ跳ね上げることが出来る構造としている。
【0003】
前掛け式メガネと跳ね上げ式メガネとは、その利便性に関して一長一短があり、各自が好みに応じて選択することが出来る。本発明では跳ね上げ式メガネを対象としているが、跳ね上げフロント部を跳ね上げる為の機構は色々存在している。しかし、基本構造は同じであり、フロントフレームに設けた軸を介して上方へ回転出来ると共に、所定の角度に保持されるように落下しない構造と成っている。
【0004】
特開平9−292592号に係る「跳ね上げ式メガネフレーム」は、メガネのフロント正面に跳ね上げることのできる表フロントフレームを装着した跳ね上げ式メガネフレームであり、遠くを見る場合にも視界を妨げられることなく、また疲れも少ない跳ね上げ式メガネフレームである。
そこで、表フロントフレームは裏フロントフレームに継手を介して2段階の開き度をもって開閉可能に取付けし、継手は軸を介して両継手片を連結したもので、片方は裏フロントフレーム側に、他方は表フロントフレーム側にそれぞれ止着され、片方の継手片にバネ力を付勢したボールを設けて他方の継手片に形成した凹部に該ボールを押圧するようにしている。
【0005】
特開2003−121803号に係る「はね上げ式眼鏡フレーム」は、フロントフレームを円滑に回動することができ、しかも任意の回動角度に容易に維持することができ、さらに耐久性に優れ、かつ前記従来のはね上げ式のように一対のフロントフレームが前後に重ならないようにすることができるようにした跳ね上げ式眼鏡フレームである。
そこで、装着者がメイン・フロントフレームを回動して眼前から上方移動させる際には、メイン・フロントフレームに連結する回転軸を、樹脂製パイプとブリッジ筐体間の摩擦抵抗、板ばねの弾性力に抗しながら回動させる。そして、装着者が望む角度になったとき、メイン・フロントフレームの回動を止めると、樹脂製パイプとブリッジ筐体との摩擦抵抗と、板ばねからの弾性付勢力を受けて樹脂製パイプ、すなわち回転軸はその位置で保持される。
【0006】
特開2007−328307号に係る「撥ね上げ式眼鏡フレーム」は、可動フレームに緩みやガタつきが生じても、普及品のネジ回しで、良好な作動状態に回復できるよう、回転動作する機構にコイルバネを内蔵し、コイルバネの応力を外部に取り付けたネジによって調整できるようにした。また、回転動作軸の磨耗を防止し、且つ可動フレームを所定の位置に安定させる目的で、回転動作軸が摩擦抵抗ではなく、コイルバネの応力によって支持されるよう回転動作軸上に滑り止め用の凹部を設けている。
【0007】
これらの他にも、実用新案登録第3124380号に係る「眼鏡」、特開2009−163046号に係る「バネによる跳ね上げフレーム」など色々知られている。このように、従来の跳ね上げ式メガネはその跳ね上げ機構が色々知られているが、跳ね上げフロント部が跳ね上げられた場合に視界が遮られることがある。特に、ゴルフや野球をする場合に着用するメガネの場合、フロント部は顔との間に大きな隙間が生じないように、すなわち顔になじむように大きく湾曲した形態としている。従って、該フロントフレームの正面に取付けられる跳ね上げフロント部も大きく湾曲した形状と成っている。
【0008】
跳ね上げフレームは上端中央に設けた軸を中心として旋回して跳ね上げられる為に、跳ね上げられた状態ではその両側端部が下方に垂れた状態となり、視界が一部遮られる。勿論、視界が遮られないように跳ね上げフロント部を高く跳ね上げれば問題はないが、ゴルフや野球をする場合には帽子を着用することが常であり、高く跳ね上げると帽子の日差しに当ってしまう。その為に高く跳ね上げることなく、ほぼ水平位置まで跳ね上げた状態で視界を遮らないことが好ましい。
【特許文献1】特開平9−292592号に係る「跳ね上げ式メガネフレーム」
【特許文献2】特開2003−121803号に係る「はね上げ式眼鏡フレーム」
【特許文献3】特開2007−328307号に係る「撥ね上げ式眼鏡フレーム」
【特許文献4】実用新案登録第3124380号に係る「眼鏡」
【特許文献5】特開2009−163046号に係る「バネによる跳ね上げフレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来の跳ね上げ式メガネには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ほぼ水平位置まで跳ね上げた跳ね上げフロント部によって視界が遮られることのない跳ね上げ式メガネを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る跳ね上げ式メガネは、そのフロントフレームの正面に跳ね上げフロント部が取付けられ、該跳ね上げフロント部はフロントフレーム中央に設けた軸を中心として旋回して上方へ跳ね上げられる。そして、本発明では跳ね上げフロント部が左フロント部と右フロント部の2ピースで構成し、軸を介して連結している。従って、左右フロント部は軸を介して揺動することが出来、左右フロント部の交差角を変更できる。
【0011】
ここで、跳ね上げフロント部が取付けられるフロントフレームは跳ね上げフロント部と同じように両リムを有してレンズを嵌めた形態とする場合、又はリムを備えることなく1本のワタリとして構成する場合などがある。そして、跳ね上げフロント部は一般にリムを有してレンズ、又はサングラスを嵌めた構造とするが、該リムはリング状のフルリム、ハーフリム、又はリムを備えないで両レンズを中央の連結部材にネジ止めして構成することも出来る。
【0012】
ところで、左右フロント部は軸を中心として揺動する両継手片に取付けられ、そして該軸部にはバネを備え、バネの力を左右フロント部に付勢して所定の交差角に保っている。すなわち、左右フロント部がフロントフレームに当接して安定するようにバネ力が付勢される。そして、跳ね上げフロント部を上方へ跳ね上げるならば、継手片がフロントフレームの上面に当って、左右フロント部は揺動して持ち上げられるようにしている。フロントフレームの上面は継手片が当って左右フロント部が上方へ揺動するような形状としている。ここで、左右継手片の摺動面に細かい凹凸面を形成することで上記バネを備えることなくバタ付かないように安定させることも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る跳ね上げ式メガネは、その跳ね上げフロント部を必要に応じて跳ね上げることが出来る。この場合、跳ね上げフロント部を構成している左右のフロント部は軸を中心として揺動することが出来、左右フロント部を取付けている継手片がフロントフレームに当って押上げられ、その為にほぼ水平位置に跳ね上げた状態でも視界が遮られることはない。
【0014】
すなわち、顔になじんで大きく湾曲した跳ね上げフロント部であっても、跳ね上げると同時に上方に揺動することが出来る。そして、跳ね上げられた左右フロント部を下に降ろすならば、軸に備えたバネによってフロントフレームの正面に当って所定の位置に収まることが出来る。又、上方へ跳ね上がられた左右フロント部は、軸に備えたバネによって継手片がフロントフレームの上面に載って安定し、独りでに落下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】跳ね上げフロント部が跳ね上げられた状態の平面図。
【
図4】跳ね上げフロント部が跳ね上げられた状態の正面図。
【
図6】ワタリに設けた継手に左右継手片が取付けられた状態。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図4は本発明に係る跳ね上げ式メガネを示す実施例である。
図1は平面図、
図2は跳ね上げフロント部の背面図、
図3は跳ね上げフロント部を跳ね上げた状態の平面図、
図4は跳ね上げフロント部を跳ね上げた状態の正面図をそれぞれ表している。そして、同図の1はワタリ、2はツル、3は跳ね上げフロント部を表し、
図1の平面図でのワタリ1は弓形に湾曲し、その両端には蝶番4,4を介してツル2,2が折畳み出来るように取付けられている。
【0017】
ツル2は蝶番4にてワタリ1と連結しているが、ツル2が開いた際にワタリ1の先端部表面に重なり合うストッパー5が延びていて、ツルの開き度を規制している。同図のワタリ1は跳ね上げ式メガネのフロントフレームの1形態であって、レンズが嵌るリムを備えることなく、1本の弓形に湾曲した部材として構成している。又、必要に応じて跳ね上げ式フロント部と同じようにリムを有すフロントフレームとすることも出来る。
【0018】
例えば、フロントフレームには近眼用のレンズを嵌め、跳ね上げ式フロント部にはサングラスを嵌めるといった場合もある。そして、同図に示すワタリ1の中央には2つの鼻当てパット20,20が対を成して取付けられ、跳ね上げ式メガネを顔に掛けた場合に該鼻当てパット20,20が鼻両脇に当ってワタリ1は支持される。又両ツル2,2は顔側面に当り、そして耳まで延びている。
【0019】
ところで、このワタリ1には跳ね上げフロント部3が取付けられていて、継手6を介して旋回して上方へ跳ね上げることが出来る。跳ね上げフロント部3は一般的なメガネのフロント部と同じであり、このフロント部が不要な時に上方へ跳ね上げることが出来るように上記継手6を介してワタリ1に取付けられている。継手6はワタリ1の中央に設けられ、跳ね上げフロント部3の中央と連結している。
【0020】
一方、跳ね上げフロント部3は中央に設けたネジ軸7を中心として両側に右フロント部8と左フロント部9を有し、右フロント部8と左フロント部9は該ネジ軸7を中心として揺動することが出来る。すなわち、右フロント部8は右継手片10に取着され、左フロント部9は左継手片11に取着されており、左右継手片11,10はネジ軸7を中心に揺動することで、左右継手片11,10に取着された左フロント部9及び右フロント部8は揺動して交差角を変更することが出来るように成っている。
【0021】
ところで、右フロント部8及び左フロント部9は、
図3に背面図を示しているように、ハーフリム12の両端に水糸13が止着して連結され、レンズ14はハーフリム12に嵌って水糸13にて保持されている。勿論、左右フロント部9,8の形態は
図2、
図3に示すようなハーフリム12と水糸13にてレンズ14を保持する構造に限定するものではなく、リング状のフルリムを用いる場合もあり、さらにはリムを用いることなく各継手片10,11にレンズ14,14を直接ネジ止めして構成することも可能である。
【0022】
本発明の跳ね上げ式メガネを構成しているワタリ1は大きく湾曲しており、顔に掛けた場合になじむ形状としている。そして、両ツル2,2は顔の側面から後頭部を挟み込むことが出来、その際、湾曲したワタリ1は多少戻り変形し、顔側面及び後頭部に押圧力を付勢することが出来る。従って、ゴルフや野球などのスポーツをする時に位置ズレすることなく安定して着用出来る。
【0023】
そして、ワタリ1の正面側に取付けられて跳ね上げられる跳ね上げフロント部3は、右フロント部8と左フロント部9から成って、ネジ軸7を中心として揺動可能と成っている。そこで、右フロント部8及び左フロント部9がバタ付かないように、該ネジ軸7にはコイルバネ15が取付けられていて、右フロント部8が取着されている右継手片10、及び左フロント部9が取着されている左継手片11はワタリ1の正面18にバネ力が付勢された状態で当接している。
【0024】
同じく、
図4に示しているように、跳ね上げフロント部3が跳ね上げられた時も右継手片10及び左継手片11はワタリ1の上面19にバネ力が付勢された状態で当接している。そして、ワタリ1は中央に設けた継手6を中心として両側に滑らかな山形(凸形状)を形成している。その為に、
図4のように跳ね上げフロント部3を跳ね上げた場合に、右継手片10の先端がワタリ1の上面19に当り、同じく左継手片11の先端がワタリ1の上面19に当ることで、右フロント部8及び左フロント部9は揺動して側端部は上方へ上昇することが出来る。
【0025】
すなわち、跳ね上げフロント部3を跳ね上げた時に、右フロント部8及び左フロント部9の側端部がワタリ1より下方に位置しないようにしている。従って、跳ね上げフロント部3によって視界を遮られることはない。
図1の平面図に示している右フロント部8と左フロント部9の位置関係を保って上方へ跳ね上げた場合には、右フロント部8及び左フロント部9の側端部はワタリ1の下方に位置して視界が遮られる。そこで、本発明は中央のネジ軸7を中心として左右フロント部11,10を揺動可能に取付けることで、上方へ跳ね上げた場合にワタリ1より上方に位置させることが出来る。
【0026】
図5は前記
図2の中央部拡大図を示したもので、右継手片10と左継手片11は段差を形成して互いに噛み合い、ネジ軸7にて連結されていて、このネジ軸7にコイルバネ15が取付けられている。そして、コイルバネ15の一方先端16は左継手片11に係合し、他方先端17は右継手片10に係合している。従って、このコイルバネ15のバネ力が右継手片10と左継手片11に作用して、右フロント部8及び左フロント部9はガタ付かないようにワタリ1に安定して装着することが出来る。
【0027】
図6はワタリ1に設けた継手6に跳ね上げフロント部3が取付けられている状態を示している。継手6から正面側へ延びたアーム21の先端に右継手片10が固定され、固定された右継手片10に左継手片11がネジ軸7によって連結している。そして、アーム21と左継手片11の背面側に形成した凹部にコイルバネ15が収容されている。
【0028】
図7は前記
図4の中央部拡大図を示している。跳ね上げフロント3が跳ね上げられるならば、右継手片10及び左継手片11の先端はワタリ1の上面19に当接して、右フロント部8及び左フロント部9はネジ軸7を中心として揺動する。すなわち、ワタリ1より上方に位置するようになり、そしてネジ軸7に取付けているコイルバネ15のバネ力によって左右継手片11,10は上面19に当接している。一方、右継手片10と左継手片11の摺動面に細かい凹凸面とすることで、左右継手片11,10は摩擦によって安定し、バタ付くことはない。
【符号の説明】
【0029】
1 ワタリ
2 ツル
3 跳ね上げフロント部
4 蝶番
5 ストッパー
6 継手
7 ネジ軸
8 右フロント部
9 左フロント部
10 右継手片
11 左継手片
12 ハーフリム
13 水糸
14 レンズ
15 コイルバネ
16 先端
17 先端
18 正面
19 上面
20 鼻当てパット
21 アーム