(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、ナノスケールのベンズイミダゾロン顔料粒子組成物およびそのような組成物を製造するための方法を提供する。ナノスケール顔料粒子組成物は、立体的に嵩高い安定剤化合物からの官能基と非共有的に会合している少なくとも1つの官能性部分を有する有機ベンズイミダゾロン顔料を一般に含み、立体的に嵩高い安定剤化合物は、置換ピリジン誘導体を含む。その会合している立体的に嵩高い安定剤の存在が、粒子の成長および凝集を制限してナノスケール粒子を供給する。置換ピリジン誘導体は、分子間および分子内水素結合の能力があって粒子の成長および凝集を制限する。
【0008】
ベンズイミダゾロン顔料は、ジアゾニウム塩前駆物質(またはジアゾ成分)としての置換芳香族アミンとベンズイミダゾロン官能性部分を含有するカップリング成分とから一般に誘導されたアゾ−ベンズイミダゾロンの種類のものである。アゾ−ベンズイミダゾロン顔料は、主にカップリング成分の化学組成によって黄色から赤そして茶褐色まで変動する色相の色を提供する。
【0009】
アゾ−ベンズイミダゾロン顔料の構造は、アゾ基のN原子と近くのカップリング成分の基のヘテロ原子置換基のH原子との間の強力な分子内水素結合の存在によって複数の互変異性形をとることができる。
【0010】
アゾ−ベンズイミダゾロン顔料は、強い分子間水素結合のため、一次元の延長ネットワーク構造を形成することができる。証拠は、そのような顔料のX線回折パターンで見出されており、大きな分子間の間隔取りが、顔料分子のペアが分子間水素結合により強固に会合し、一次元の帯またはリボンの組立てを形成していることを示唆している。
【0011】
これらの補強性の分子内または分子間の水素結合の存在は、アゾ−ベンズイミダゾロン顔料の高められた性能特性、例えば、高い熱安定性、高い耐光性、高い色移り耐性および高い耐溶剤性等に対するさらなる証拠を提供する。これらの顔料中のベンズイミダゾロン官能性部分は、分子間水素結合の形成を可能とし、高められた構造安定性を提供する重要な構造要素である。この部分は、一点および二重点の水素結合に容易に参入し、同じ官能性部分または異なる官能性部分を有するもう1つの化合物は、アゾ−ベンズイミダゾロン顔料と、例えば分子間水素結合による等、非共有的に会合することが可能であり得、かかる顔料に対して高い結合親和性を有することができる。顔料粒子の表面張力を低下し、2つ以上の顔料粒子または構造体の間の引力を中和させ、それによって顔料の化学的および物理的構造を安定化する「安定剤」として知られている化合物の群が存在する。これらの化合物は、「顔料に親和性のある」官能性部分を有しており、それらはまた1つ以上の疎水性基、例えば、アルキル基が構造中で直鎖状、環状または分枝状であることができ、合計で少なくとも6個以上の炭素を有する長いアルキル炭化水素基、またはアルキル−アリール炭化水素基、またはアルキレンオキシ基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー鎖を保有する。かかる安定剤におけるさらなる疎水性基の存在は、いくつかの機能:(1)目標のビヒクルまたはマトリックス中のよりよい分散性のために顔料を親和性にすること、および(2)顔料粒子を取り巻く立体的に嵩高い層を提供し、それによって、制御されない結晶の凝集と最終的に粒子の成長をもたらす他の顔料粒子または分子の接近を防止または制限することができる。顔料と非共有的に会合する顔料に親和性のある官能性部分、ならびに他の顔料粒子に表面バリヤーを提供する1つ以上の立体的に嵩高い炭化水素基の両方を有する化合物は、「立体安定剤」と呼ばれ、通常の顔料および安定化が必要な他の粒子(例えば、塗料中のラテックス粒子、堅固なコーティング中の金属酸化物のナノ粒子)の表面特性を改めるさまざまな方法において使用されてきている。
【0012】
そのベンズイミダゾロン顔料/前駆物質は、選択された安定剤化合物と、ベンズイミダゾロン単位または分子ごとに、1つ以上の水素結合を形成することができる。そのベンズイミダゾロン顔料/前駆物質は、選択された安定剤化合物と、ベンズイミダゾロン単位ごとに、1つから4つ以上の水素結合を形成することができる。
【0013】
安定剤は、主にナノスケール顔料粒子を生成するために、顔料合成中の着色剤分子の自己集合を制限し、かつ/または顔料一次粒子の凝集の度合いを制限する機能を有する。安定剤は、その安定剤が顔料の粒径を制御する機能を可能にする十分な立体的な嵩を提供する炭化水素部分を有する。その炭化水素部分は、大部分が脂肪族であるが、他の実施形態においては芳香族基を組み込むこともでき、少なくとも6個または少なくとも12個あるいは少なくとも16個の炭素で、約100個を超えない炭素を含む。その炭化水素部分は、直鎖状、環状または分枝状であるかのいずれかであり得、シクロアルキル環または芳香環等の環状部分を含んでいてもよいし、いなくてもよい。その脂肪族の分枝鎖は、各枝に少なくとも2個または少なくとも6個の炭素を有しており、約100個の炭素を超えない長いものである。
【0014】
用語の「立体的な嵩高」は、顔料または顔料の前駆物質が非共有的に会合するようになるその大きさとの比較に基づく相対的用語であることが理解される。用語の「立体的な嵩」とは、顔料/前駆物質表面と水素結合している安定剤化合物の炭化水素部分が、他の化学物質(例えば、着色剤分子、顔料一次粒子または小さな顔料凝集体)の顔料/前駆物質表面に対する接近または会合を効果的に防止する三次元の空間体積を占めるときの状況を指す。安定剤は、いくつかの安定剤分子が、顔料/顔料前駆物質と非共有的に会合状態になるとき(例えば、水素結合、ファンデルワールス力、芳香族π−π相互作用またはその他)、その安定剤分子が効果的に顔料の一次粒子を遮断するための表面剤として作用し、それによって顔料粒子の成長を制限し、大部分がナノ粒子の顔料を提供するように十分に大きいその炭化水素部分を有さなければならない。
【0015】
適切な安定剤化合物は、両親媒性であり、顔料/顔料前駆物質との水素結合のために利用できるヘテロ原子を有する親水性または極性官能基、ならびに6から100個の炭素を有し、大部分が脂肪族(または完全に飽和している)であるがいくらかのエチレン性不飽和基および/またはアリール基を含むことができる無極性または疎水性の立体的に嵩高い基を有する。
【0016】
置換ピリジン誘導体、特に1基置換および2基置換ピリジン誘導体を使用することができる。置換ピリジン誘導体としては、一般式5のものが挙げられる:
式5:
【化1】
一般式5のピリジン誘導体は、同じものか異なるものであり得る置換基R
1〜R
5を有し、H、アミド基(−NH−(C=O)−R’)および(−(C=O)−NH−R’);アミン基(−NH−R’);尿素基(−NH−(C=O)−NH−R’);カルバメートまたはウレタン基(−NH−(C=O)−O−R’)および(O−(C=O)−NH−R’);エステル基(−(C=O)−O−R’)または(−O−(C=O)−R’);オリゴ−もしくはポリ−[エチレングリコール]等の分枝状もしくは直鎖状アルキレンオキシ鎖;およびアルコキシ基(−OR’)を挙げることができ、但し、さまざまな官能基のすべてにおいて基R’は、アルキル基中にO、S、またはN等のヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは脂環式の基である。
【0017】
例示的置換ピリジン誘導体としては、一般式6:
式6:
【化2】
であり、式中、各Xは、独立して、−N(H)−または−O−を表し、R
1およびR
2は、独立して、アルキル基内にO、S、またはN等のヘテロ原子を含有してもよい直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは脂環式基を表す。R
1およびR
2基の具体例としては、
【化3】
及び
【化4】
が挙げられ、ここで、mおよびnは、独立して、0〜約30の整数を表す。
【0018】
これらの2基置換ピリジン誘導体は、顔料に親和性のある基、例えば、顔料のベンズイミダゾロン官能性部分と水素結合が可能である2,6−ピリジンジカルボキシレートエステルまたはジカルボキサミド部分を有する両親媒性の化合物である。この水素結合は、顔料の分子間水素結合ネットワークを妨げ、それによって粒子の成長および凝集を防止または制限することができる可能性がある。化合物は、また、立体的バリヤー層を顔料表面に提供する嵩高い脂肪族基も含み、それは、その他の着色剤分子が接近してより大きな結晶を形成することを制限または追い払うのにも役立つ。
【0019】
上記の式5における基R
1〜R
6のいずれもが、一般式、
【化5】
におけるような2つ以上のピリジル基を架橋する2官能性構造物であり得、R
yおよびR
zとしては、−(CH
2)
n;−X−(CH
2)
nX;−[(XCH
2CH
2)
n]X−;−[(C=O)−(CH
2)
n−(C=O)]−;−X−[(C=O)−(CH
2)
n−(C=O)]−X−;−X−[(C=O)−X−(CH
2)
n−X−(C=O)]−X−;−[(C=O)−X−(CH
2)
n−X−(C=O)]−(但し、Xは、O、S、またはNHとして定義され、整数nは、1〜50である);および、基R
zについては大きな分枝状のアルキル化された基、例えば:
【化6】
,
【化7】
,
及び
【化8】
,
(但し、X、X
1およびX
2は、O、S、またはNHのいずれかであると定義され、X
1およびX
2は同じ物であってもなくてもよい)が挙げられる。
【0020】
置換ピリジン誘導体としては、表1から表8中の化合物が挙げられる。
【0029】
2−モノアミドまたはジアミドピリジン逆誘導体を、市販の材料から既知の化学変換を用いて調製することもできる。アルカン酸塩化物が市販されていない場合、それは、適切な有機溶媒(すなわち、テトラヒドロフラン、THF、またはジクロロメタン、CH
2Cl
2)中、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で対応するアルカンカルボン酸を適切なハロゲン化剤、例えば、塩化オキサリルまたは塩化チオニル等により変換して容易に調製される。
【0030】
上記の安定剤、およびそれらの組合せは、いずれも、ナノスケール顔料粒子の調製において、約0.5重量%から約50重量%、または約1重量%から約25重量%まで変動する量で使用することができる。
【0031】
「ナノスケール」、「ナノスコープ」、または「ナノサイズ」に対してd
50によって表される「平均の」顔料粒径は、150nm未満、または約1nm〜約120nm、または約10nm〜約100nmである。
【0032】
アゾ−ベンズイミダゾロン顔料のナノ粒子は、一般に1つ以上のプロセスステップで合成される。その顔料ナノ粒子は、合成中の反応媒体中で直接生成されるが、そのような顔料ナノ粒子の意図した用途のための表面の化学的性質を調整するために、任意の合成後の改良が可能である。そのバルクのアゾ−ベンズイミダゾロン顔料は、最初のプロセスにおいてジアゾ化およびカップリング反応を用いることによって合成し、次いで、その顔料の固形分は、第2のプロセスステップを用いて、その粗製のバルク顔料を、溶媒を用いて分子状に溶解し、続いて非溶剤の制御された添加により顔料の沈殿を引き起こす顔料再沈殿法により、ナノ粒子の形態に変換することができる。また、ジアゾ化およびカップリングプロセスによるアゾ−ベンズイミダゾロン顔料ナノ粒子の直接合成も使用することができ、望ましい。これらのプロセスを、下のスキーム1および2において概略的に示す。
【0035】
上記のスキーム1および2における概略的反応で示されているもののようなアゾ−ベンズイミダゾロン顔料(本明細書では単にベンズイミダゾロン顔料と称する)のナノスケールの粒子を作製する方法は、少なくとも1つ以上の反応を含む直接合成プロセスである。ジアゾ化は、適切に置換されている芳香族アミンまたはアニリン前駆物質が、直接または間接的に、その対応するジアゾニウム塩に転化される重要反応ステップである。その通常の反応手順は、その前駆物質の水溶液を、亜硝酸HNO
2(亜硝酸ナトリウムの塩酸等の希薄な酸溶液との反応により、現場で発生する)等の効果的なジアゾ化剤によるか、または市販されているかまたは濃硫酸中で亜硝酸ナトリウムを混合することによって調製することができるニトロシル硫酸(NSA)を用いて処理することを含む。そのジアゾ化反応は、酸性の水溶液中で、ジアゾニウム塩を熱的に安定に保つために冷たい温度で行われるが、室温以上で行うこともできる。その反応は、媒体中に溶解しているか、またはその媒体中に固体粒子として微細に懸濁しているジアゾニウム塩の形成をもたらす。
【0037】
第2の溶液または固体懸濁液は、ベンズイミダゾロンカップリング成分(最も普通には、上に示した構造CC1またはCC2)を、一般的には溶解を助けるためのアルカリ性溶液の水性媒体中に溶解または懸濁させることによって調製し、次いでその後、酸および/または塩基により処理して、そのベンズイミダゾロンカップリング成分をジアゾニウム塩溶液との反応に必要な緩衝化した酸性水溶液または緩衝化した微細な懸濁液にする。適切な酸、塩基および緩衝剤としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、酢酸、および酢酸ナトリウムが挙げられる。カップリング剤の溶液または微細な懸濁液は、マイナーな共溶媒として、有機溶媒(例えば、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、メタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)等のその他の液体を含有することができる。その第2の溶液は、任意の界面活性剤、および前述の立体的に嵩高い安定剤化合物をさらに含有する。この第2の溶液は、ジアゾニウム塩溶液の周囲温度または約10℃から約75℃までのその他の適切な温度での制御された添加を必要とするカップリング反応である最後の反応ステップを行い、それによって水性スラリー状の懸濁した沈殿物としての顔料固形物を生成するためのより大きな容器に入れる。顔料粒子の品質および特性−例えば、平均の微結晶サイズ、粒子の形および粒子分布等−に影響を及ぼすいくつかの化学的および物理的プロセスパラメータが存在し、これらのプロセスパラメータとしては、反応物としての出発のジアゾ成分およびカップリング成分の相対的化学量論組成、反応物添加の順序と速度、合成において使用される任意の界面活性剤および/または立体安定剤化合物のタイプと相対量(負荷)、液体媒体中の化学種の相対濃度、液体媒体のpH、カップリング反応中の温度、撹拌速度、着色力を増すための加熱等任意の合成後のプロセスステップの能力、そしてまた、最後の粒子の回収および乾燥のための方法も挙げられる。
【0038】
単一のアゾ基を含むアゾ−ベンズイミダゾロン顔料の調製に対しては、出発のジアゾおよびカップリング成分は、ほぼ化学量論的な比(または1:1のモル比)で提供する。カップリング成分は、カップリング媒体中で限定された溶解性を有し得るのに対し、ジアゾ成分は一般に溶解し、カップリング成分のモル数に対して非常に小過剰のジアゾ成分、約0.01から約0.25モル当量まで、または約0.01から約0.10モル当量までの過剰のジアゾ成分を使用することが有利である。ほんのわずかなモル過剰のジアゾ成分を有することによって、不溶性のカップリング成分のすべてが顔料生成物に完全に転化される。その過剰のジアゾ成分は、次に最終生成物を洗浄することによって除去される。過剰の不溶性カップリング成分が使用される場合は、未反応のカップリング成分が最終の製品混合物中に残留し、洗浄によって除去することが困難で、ナノスケール顔料の特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0039】
反応条件は、顔料粒子の品質および特性に影響を及ぼし得る。ジアゾ化反応に対して、液体媒体は、ジアゾ成分、すなわちジアゾニウム塩反応物の濃度が、約0.1M〜約1.0M、または約0.2Mから約0.80Mまで、または約0.30Mから約0.60Mまでを超えないように維持しなければならない。望ましくは水溶性で酸混和性試薬、例えば亜硝酸ナトリウムまたはニトロシル硫酸等であるジアゾ化剤の量は、使用されるジアゾ成分のモル量とほぼ化学量論的(または、1:1のモル比)であるべきであるが、非常に小過剰のジアゾ化剤を、ジアゾ成分前駆物質のモル数に対して、約0.005〜約0.20モル当量の過剰なジアゾ化剤の範囲内で使用してもよい。使用することができる酸のタイプとしては、塩酸および硫酸等の適切な鉱酸、ならびに酢酸およびプロピオン酸等の有機酸、またはさまざまな組合せを挙げることができる。着色剤の合成で使用されるジアゾ化反応に対して、その酸反応物は、反応性のニトロシル化種およびその反応において形成される結果としてのジアゾニウム塩を可溶化するための水溶液として供給される。酸反応物の濃度は、ジアゾ前駆物質(限定試薬)のモル数に対して過剰量で使用され、この量は、ジアゾ前駆物質のモル数に対して約1.5から約5.0まで、または約2.0〜約4.0過剰のモル当量の酸の範囲であり得る。
【0040】
ジアゾ化反応は、得られるジアゾニウム塩生成物が熱力学的に安定であることを確保するために低温で行う。そのジアゾ化反応は、−10℃から約5℃まで、または−5℃から約3℃まで、または−1℃から約2℃までの温度で行われる。ニトロシル化剤が、上述において開示した合計のジアゾニウム塩濃度を提供するために水溶液中に加えられ、このニトロシル化剤の水溶液がゆっくり加えられる速度は、その反応の規模によって変動し得る。その添加速度は、ジアゾ化反応の過程を通して−10℃と約5℃の間または−1℃〜約2℃に内部温度を維持することによって制御する。そのニトロシル化剤の完全な添加に続いて、ジアゾ化反応混合物は、0.25時間から約2時間、撹拌することができる。
【0041】
スキーム1および2に示されているベンズイミダゾロン顔料の合成は、上述で開示した仕様に従って調製したジアゾニウム塩溶液と微細に懸濁した混合物として反応させるカップリング成分(例えばCC1またはCC2)との間の不均一反応を含む。CC1等のカップリング成分は、ジアゾニウム塩とのカップリング反応(スキーム1および2に示されているステップ2)のために必要な弱酸の媒体中に不溶性である。そのカップリング成分は、アルカリ性pHの溶液では溶解できることが見出されるが、これらの条件は、ジアゾニウム塩とのカップリング反応に対しては、後者が、アルカリ性媒体中ではカップリング成分とは反応しないトランス−(または「アンチ」)ジアゾアセテートイオンを形成し得るために、有利ではない。
【0042】
カップリング反応ステップの不均一性のせいで、ベンズイミダゾロン顔料のそれが合成されている間の粒子の成長を制御することは難題である。微細に懸濁したカップリング成分CC1の走査電子顕微鏡(SEM)および透過電子顕微鏡(TEM)の両方を用いる画像化は、10〜150nmの間の幅および約100から約2000nmまでの範囲の相当に長い粒子の長さを有し、約5:1〜約50:1の大きなアスペクト比(長さ:幅)をもたらすことを明らかにしている。これは、適切なジアゾニウム塩との不均一なカップリング反応によるPigment Yellow 151のようなベンズイミダゾロン顔料のナノ粒子の形成が、2つの完全に溶解する顔料前駆物質の反応よりもより複雑なプロセスであることを示唆している。
【0043】
同様に、開示されている立体的に嵩高い安定剤化合物の多くも、カップリング成分および/または顔料の不十分な溶解特性を有する。立体的に嵩高い安定剤化合物は極性の水素結合基および水性媒体中の可溶化に抵抗する長鎖のアルキルを有する両親媒性の構造である。カップリング反応のステップが成功するためには、ジアゾニウム塩溶液の添加の前に、少なくとも2つの溶解性が乏しいか溶解しない成分−それらはカップリング成分および立体的に嵩高い安定剤である−の効果的な濡れおよび混合が起こらなくてはならない。ジアゾニウム塩と反応する前のカップリング成分混合物中で良好な混和性および濡れを有することによって、立体安定剤とカップリング剤との間の水素結合の相互作用の事前の形成が促進され、微細に懸濁されるカップリング成分の粒径および形態に有利に影響を及ぼすことができ、それは形成されるベンズイミダゾロン顔料ナノ粒子の粒径および特性の制御に役立ち得る。
【0044】
実施形態のカップリング反応混合物は、ベンズイミダゾロン顔料を合成するための適切なカップリング成分、立体的に嵩高い安定剤化合物、アルカリ性塩基の成分、少なくとも1つの酸緩衝成分、および任意の水混和性有機溶媒を含んでいる。使用されるカップリング成分の量は、前に説明したように、ジアゾ成分と化学量論的(または1:1のモル比)である。しかしながら、カップリング成分自身は、カップリング反応媒体中で限定された溶解性を有し得るのに対し、ジアゾ成分は溶解し、カップリング成分のモル数に対して非常に小過剰の約0.01から約0.25モル当量まで、または約0.01から約0.10モル当量までの過剰のジアゾ成分を使用することができる。ほんのわずかなモル過剰を有することによって、不溶性のカップリング成分のすべてが顔料生成物に完全に転化される。アルカリ性塩基の成分は、カップリング成分の水溶液中への溶解を促進し、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の無機塩基から、あるいは、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、Dytekシリーズのアミン、DABCO(1,8−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン)等を含む第三級アルキルアミン等の有機非求核性塩基から選択される。カップリング成分のモル数に対して、塩基の過剰が、約2.0から約10.0まで、または約3.0から8.0までのモル当量で変動するアルカリ性塩基の成分の過剰量を使用することができる。酸成分は、塩基成分およびカップリング成分を中和し、緩衝処理した水性媒体中のカップリング成分の微細な再沈殿を引き起こす。普通の無機酸および有機酸、例えば、塩酸または酢酸等を使用することができ、および、または、カップリング反応混合物を準備するために使用したアルカリ性塩基の成分の合計量に対して1:1のモル比が使用され、それによって、弱酸性の緩衝媒体を提供する。
【0045】
立体安定剤化合物は、固体または液体の形で、あるいは有機溶媒中の溶液としてカップリング混合物中に直接導入することができる。加えられる立体安定剤化合物の量は、その立体安定剤が有機溶媒中に分散、乳化または溶解できる形にされる限りは変化させることができ、ベンズイミダゾロン顔料の最終収量(質量)を基準として、約0.01重量%から約50重量%まで、または約0.5重量%から約25重量%まで、約5重量%から約10重量%までであり得る。適切な水混和性有機溶媒を、それがジアゾニウム塩反応物または残留ニトロシル化種と反応しないならば、使用することができ、例としては、脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ジメチルスルホキシド、エチルメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、Dowanol(登録商標)等およびそれらのモノ−またはジ−アルキルエーテル、等が挙げられる。特に適切な溶媒としては、脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−ブタノール、ジメチルスルホキシド、およびテトラヒドロフラン、またはそれらの組合せが挙げられる。任意の有機溶媒の量は、カップリング成分混合物の合計液体体積を基準として約0から約50体積%まで、好ましくは約2から約20体積%までの範囲であり得る。
【0046】
立体的に嵩高い安定剤化合物は、ジアゾニウム塩前駆物質を添加する前に、カップリング媒体中に予め分散または乳化することができる。そのカップリング成分混合物は、いくつかの方法で調製することができるが、そのプロセスの一定の態様は基本的に同じである。例えば、カップリング成分は、アルカリ性塩基の水溶液中に先ず溶解することができ、立体安定剤は、カップリング成分の同じアルカリ性溶液中に直接溶解または分散させることができ、あるいは有機溶媒中、または別の溶液中に溶解または分散させて、それを次にカップリング成分混合物中に移すことができる。安定剤化合物の分散、乳化または可溶化を促進するために、任意の有機溶媒の存在下であっても、加熱または高せん断混合を使用することができる。良好な分散のためには、安定剤を水性カップリング媒体中に、10〜100℃の範囲の温度で組み込むことが有利である。その安定剤は、また、約3から12までの範囲のpHの水性カップリング媒体に導入することができる。立体安定剤を添加するカップリング媒体のpHは、その特定の安定剤の酸または塩基に対する安定性次第であり得、そのpHは、約1から14までの範囲であり得る。その安定剤は、pHが2〜9、または4〜7の間で変化するカップリング混合物に加えることができる。その安定剤は、適切な混合および分散が起こり得る限りは、カップリング混合物に任意の適切な速さで加えることができる。
【0047】
ジアゾニウム塩溶液との効果的なカップリング反応を確保するもの(換言すれば、ベンズイミダゾロン顔料のナノスケールの粒子を提供するもの)としては、1)カップリング成分混合物を調製するための反応物の添加順序、および2)カップリング反応における主要な反応物(すなわち、ジアゾニウム塩、カップリング成分、および立体安定剤)の添加順序が挙げられる。その他のプロセスパラメータ、例えば、撹拌速度、pHおよびカップリング反応ステップ中の温度等が、効果的な顔料のナノ粒子の形成を確かなものにする。
【0048】
反応物の添加の順序は、1)立体安定剤(そのまままたは有機溶媒中のいずれか)をカップリング成分のアルカリ溶液中に直接加え、その後酸成分を加えて緩衝処理した酸性媒体中でカップリング成分の微細な再沈殿を引き起こすか、または2)カップリング成分のアルカリ溶液および立体安定剤(そのまままたは有機溶媒中のいずれか)を用意した酸の水溶液に別々に連続して加え、酸性条件下で立体安定剤化合物を存在させてカップリング成分の微細な再沈殿を引き起こすものであり得る。これらのプロセスにおいては、両方とも、カップリング成分は、非共有的に会合した立体安定剤化合物を含む微粒子懸濁液の状態となっている。
【0049】
最終のカップリング反応に対して、立体安定剤が存在する中でのこれらの主要な反応物の添加の順序および速さは、最終のベンズイミダゾロン顔料粒子の物理的および性能特性に対して影響を有し得る。複数の実施形態において、本明細書では、「連続的添加」(
図2における方法A)および「同時添加」(
図4における方法B)と称されるベンズイミダゾロン顔料ナノ粒子を形成するための2つの異なる一般的方法が開発された。方法Aは、工業的顔料製造においてより普通に実施されるステップを含み、そこでは、2つの顔料前駆物質(ジアゾおよびカップリング成分)が、分散または乳化した立体安定剤化合物を含有する反応混合物に時を異にして連続して加えられる。
【0050】
方法Aにおいて、微細に懸濁したカップリング成分とジアゾ成分の間のカップリング反応は、不均一であり、言い換えると、顔料前駆物質の1つ(多くの場合そのカップリング成分)は固相として存在し、一方別の顔料前駆物質(そのジアゾニウム塩)は、溶解性である。立体的に嵩高い安定剤化合物は、ジアゾニウム塩溶液の添加の前に、カップリング混合物中に導入する。その立体安定剤の物理的形態は、この不均一カップリング反応の反応動力学における役割を果たすことができ、立体安定剤はその反応中の水素結合性の界面活性剤としての役割を果たし、顔料ナノ粒子の形成をもたらす。例えば、方法Aに従い、表3の立体安定剤化合物#20を用いるPigment Yellow 151の合成において、形成された粒子は、
図3に示されているような塊および矩形状のナノ粒子の小さな凝集体であり、約2から約5までの範囲の長さ:幅のアスペクト比を有することがSEM/STEM画像形成により観察され、動的光散乱により測定すると、約50nmから約200nmまで、より典型的には約75nmから約150nmまでの範囲である平均粒径を有した。
【0051】
方法Bは、予め分散または乳化した立体安定剤化合物を含有する最終反応混合物中にジアゾ成分(酸性)およびカップリング成分(アルカリ性である)の両方の均一な溶液の同時な添加を含む。
【0052】
方法(B)の利点は、カップリング媒体中の大量の緩衝溶液を必要とすることなく、2つの顔料前駆物質の均一な溶液が、より制御できる希薄条件下で混合されることであるが、カップリング反応の速度が2つの成分の混合の速度より速いことが条件である。その顔料生成物は、反応媒体中で沈殿するナノ粒子として形成される。その顔料ナノ粒子は、真空濾過もしくは交差流濾過または遠心分離等の標準的な操作によって回収することができ、凍結乾燥等の非加熱方法によって乾燥する。
【0053】
反応物流の添加の速度は、カップリング反応ステップを通して一定に保たれ、反応の規模、良好な反応を確保する内部温度、pHおよび低粘度を調整する能力に応じて、約1.0mL/分から約5mL/分までの範囲であり得る。
【0054】
カップリング反応混合物の内部温度は、ベンズイミダゾロン顔料ナノ粒子の水性スラリーを生成させるためには、約10℃から約60℃まで、または約15℃〜約30℃の範囲であり得る。30℃より高い内部温度は、最終顔料の粒径が望ましくないように増加する原因となり得る。化学反応を加熱する利点として、速い反応時間およびベンズイミダゾロン顔料の色の発現のような最終生成物の成長が挙げられるものの、加熱は、望ましくない粒子の凝集および結晶粒粗大化を促進することが知られている。pHは、約2〜約7、または約3.5〜約6.6の範囲に維持することができる。pHがこの範囲の外である場合、副反応が起こって、除去することが困難であり、最終生成物の特性を変化させる可能性のある望ましくない副生成物の形成がもたらされ得る。
【0055】
カップリング反応を速めるために、内部温度を高めることに代わるものは、撹拌速度を高めることである。顔料が形成される際、その混合物はかなり増粘し、十分な混合を達成するためには強力な機械的撹拌を必要とする。スラリーの粘度を非常に少量の適切な界面活性剤、例えば、数滴の2−エチルヘキサノールを加えることによって低下させることが可能であり得、それはまた、特により大きな合成の規模において有益な脱泡効果を提供することもできる。粘度および発泡を制御するための界面活性剤の利点と組み合わされた反応混合物を激しく撹拌している間に出されるせん断力は、また、顔料ナノ粒子の粒度および粒度分布を低下させる相乗的な利点も提供することができる。
【0056】
方法AおよびBは、両方とも、適切な立体的に嵩高い安定剤化合物および任意の共溶媒の使用と組み合わせて、粒径および粒度分布の制御を可能とし、そして望ましい顔料ナノ粒子を形成するさまざまなさらに有利なプロセス上の特性を提供する。立体的に嵩高い安定剤および任意の共溶媒がない状態では、これら2つの方法のいずれもナノ粒子が優勢のベンズイミダゾロン顔料は生成せず、その代わり、平均粒度(動的光散乱によって測定されるZ平均)でサブミクロンサイズの約150nmから1000nm前後のマイクロスケールの粒径まで変動する広い分布の細長い棒状の顔料粒子および凝集体を生成する。
【0057】
顔料ナノ粒子のスラリーは、これ以上処理も加工もせず、代わりに真空濾過または遠心分離法によって直ちに分離する。色発現を助けるために濃酢酸中で製品を煮沸することを必要とした既知のプロセスに反して、立体的に嵩高い安定剤化合物が使用される場合はそのような後からの処理は必要ない。その顔料固形分は、顔料の粒子表面としっかりと会合または結合していない過剰な塩または添加剤を除去するために、脱イオン水で存分に洗浄することができる。その顔料固形分は、熱によるバルク乾燥の間の一次ナノ粒子の融合を防ぐために、高真空下の凍結乾燥によるか、または約25〜50℃の温度での真空オーブン乾燥によって乾燥させる。得られる顔料は、TEM(透過電子顕微鏡)によって画像化すると、約50nmから約150nmまで、または約75nm〜約125nmの長さを有する棒状のナノ粒子を示す主にナノスケールの一次粒子およびゆるく塊になった高品質のナノスケールの粒子凝集体からなる。これらの粒子を、n−ブタノール中のコロイド分散体として、動的光散乱技術によって、平均粒径について測定したとき、その値は、約80nmから約200nmまで、または約100nmから約150nmまで変動した。ここで、動的光散乱によって測定される平均粒径d
50またはZ平均は、液体分散の中でブラウン運動により回転して形を変えている非球形顔料粒子の流体力学半径を、動いている粒子から散乱される入射光線の強度を測定することによって測定する光学技術であることを述べておかなければならない。
【0058】
上記の方法を用いるナノスケールのベンズイミダゾロン顔料粒子の形状は、棒状であるが、いくつかのその他の形態の1つ以上であることができ、ナノスケール顔料粒子のアスペクト比は、1:1から約10:1まで、または1:1から約7:1または約5:1までの範囲であり得る。
【0059】
より小さい粒径を有するPigment Yellow 151およびPigment Red 175等のベンズイミダゾロン顔料の顔料粒子を、立体的に嵩高い安定剤を使用しない界面活性剤単独の使用(例えば、ロジンタイプの表面剤のみを使用)により、採用される濃度およびプロセス条件によっては、上記の方法によって同様に調製することもできるが、その顔料生成物は、ナノスケールの粒子を主に示すことはなく、またその粒子は均一な形態を示さないであろう。立体的に嵩高い安定剤化合物を使用しない場合、上記の方法は、平均粒子直径が150nmから1000nmを超え、約5:1を超える大きな(長さ:幅の)アスペクト比を有する幅広い分布の細長い棒状の粒子の凝集体を一般に生成する。そのような粒子は、コーティング応用のためのマトリックス中に湿潤および/または分散させるのがどちらも非常に困難であり、一般に不十分な色特性を与える。適切な立体的に嵩高い安定剤化合物の、場合によって少量のロジンタイプの界面活性剤またはアルコールエトキシレート等の適切な界面活性剤と組み合わせた使用は、前述の合成方法を用いることにより、ナノスケールの寸法、より狭い粒径分布、および約5:1未満の低いアスペクト比を有する最小の顔料粒子を提供するであろう。
【0060】
形成されたナノスケール顔料粒子組成物は、さまざまなインクおよびコーティング組成物中、例えば、通常のペン、マーカー等で使用されるインクを含めた液状(水性または非水性)印刷インクビヒクル中など、液体インクジェットインク組成物、固形または相変化インク組成物、塗料および自動車用コーティング等における着色剤として使用することができる。その有色のナノ粒子は、約60℃〜約130℃の融解温度を有する固形および相変化インク、溶剤系液体インクまたはUV硬化性等の放射線硬化性液体インク、および水性インクさえも含めたさまざまなインクビヒクル中に配合することができる。
【0061】
そのナノスケールのベンズイミダゾロン顔料粒子組成物は、その組成物に特定の色を提供することが求められるさまざまなその他の用途で使用することができる。例えば、組成物は、塗料、樹脂およびプラスチック、レンズ、光学フィルタ等のための着色剤として使用することができる。組成物はトナー組成物用に使用することができる。そのトナー粒子は、キャリア粒子と順次混合して現像剤組成物を形成することができる。そのトナーおよび現像剤組成物は、さまざまな電子写真印刷システムにおいて使用することができる。
【0062】
ベンズイミダゾロン顔料のナノスケール粒子組成物は、光または電子導電性材料およびデバイスを利用するさまざまなその他の用途で使用することができる。有機光導電性材料は、光受容体層デバイスにおける画像形成部材として使用される。かかるデバイスは、フィルム形成性ポリマーバインダー中に分散された有機顔料および染料からなり、溶媒コーティング技術によって一般に加工することができる電荷発生層を一般に含む。多くの場合、これらの顔料、特に有機顔料の結晶形は、光で誘起される電荷発生に対して強い影響力を有する。
【0063】
ベンズイミダゾロン顔料のナノスケール粒子組成物は、(染料で感光性にする)太陽電池における有機光導電性材料として使用することができよう。ナノ顔料は、光を受けると電子正孔対を発生する光受容層として機能する層中に単独でまたは他の材料との組合せで組み込むことができる。これらの用途に対して顔料は染料の代わりに使用することができ、その場合、ナノスケールの粒子径を有する顔料は、光導電層内のより容易な処理可能性および分散のおかげで好ましい。その上、そのようなナノスケールの材料は、粒径がナノスケールの寸法であるときは、場合によっては、サイズを調節できる光学および電子特性を示す。
【0064】
ベンズイミダゾロンナノ粒子のその他の応用としては、生物学的/化学的検出のためのセンサーにおけるそれらの使用が挙げられる。有機ナノ粒子は、大きさを調節できる光学的および電子的特性を有することが実証されている。ベンズイミダゾロンナノ粒子の薄膜は、ナノ粒子の光学的および/または電子的特性における変化に基づく変換スキームを用いる単純で有用なセンサープラットフォームとして役立つことができる。例えば、ベンズイミダゾロン顔料は高度に着色されている。そのナノ粒子の色特性は、揮発性の有機化合物等の一定の化学検体の存在によって影響され得る。同様に、ベンズイミダゾロン分子の水素結合基も、補足的な水素結合基を有するナノスケールの生物学的存在に対する分子認識が可能な部位を提供することができる。ナノ粒子とナノスケールの生物学的存在、例えば、DNA、RNA、タンパク質、酵素等との間の結合事象は、UV−Vis、FT−IR、ラマン、および/または蛍光分光法等の光学分光技術を用いて検出することができる。
【実施例】
【0065】
[比較例1]
Pigment Yellow 151の合成(立体安定剤または界面活性剤なし):
250mLの丸底フラスコに、アントラニル酸(6.0g、Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI(ウィスコンシン州)から入手できる)、脱イオン水(80mL)および5MのHCl水溶液(20mL)を加える。その混合物を室温ですべての固体が溶解するまで撹拌し、次いで0℃に冷却する。亜硝酸ナトリウム(3.2g)の溶液を脱イオン水(8mL)に溶解し、次に、アントラニル酸の溶液に、0〜5℃の混合物内の内部温度範囲を維持する速さで滴下して加える。ジアゾ化が完了したら、その溶液をさらに0.5時間撹拌する。カップリング成分のための2番目の混合物を、500mLの容器に脱イオン水(100mL)および水酸化ナトリウム(5.5g)を加え、撹拌して溶解させ、次に5−(アセトアセトアミド)−2−ベンズイミダゾロン(10.5g、TCI America、Portland、OR(オレゴン州)から入手できる)を加え、その間、すべての固体が溶解するまで勢いよく撹拌する。氷酢酸(15mL)、5MのNaOH溶液(30mL)および脱イオン水(200mL)を含有する別の溶液を、次に、カップリング成分のアルカリ溶液中に、勢いよく撹拌しながら滴下して加えると、その後そのカップリング成分は粒子の白色懸濁液として沈殿し、その混合物は弱酸性となる。カップリング反応のため、冷却したジアゾ化混合物を、勢いよく撹拌しながらカップリング成分の懸濁液中に滴下してゆっくり加え、顔料の赤味のある黄色のスラリーを生成させる。そのスラリーを室温でさらに2時間撹拌し、その時間の後、その顔料を真空濾過によって単離し、数容積の脱イオン水(250mLの3分割)により洗浄し、次に凍結乾燥させる。顔料の赤味のある黄色の顆粒が得られ、TEM画像は、約200nmから約500nmまでの範囲の長さで高いアスペクト比を有する棒の形をした粒子の大きな凝集体を示す。
【0066】
[比較例2]
Pigment Yellow 151の合成(2−エチルヘキサノール界面活性剤の存在下):
250mLの丸底フラスコに、アントラニル酸(3.0g、Sigma−Aldrich、Milwaukee、WIから入手できる)、脱イオン水(40mL)および5MのHCl水溶液(10mL)を加える。その混合物を室温ですべての固体が溶解するまで撹拌し、次いで0℃に冷却する。亜硝酸(1.6g)の溶液を脱イオン水(5mL)に溶解し、次に、アントラニル酸の溶液に、0〜5℃の混合物内の内部温度範囲を維持する速さで滴下して加える。ジアゾ化が完了したら、その溶液をさらに0.5時間撹拌する。2番目の混合物を、250mLの容器に脱イオン水(40mL)および水酸化ナトリウム(2.8g)を加え、撹拌して溶解させ、次にこの溶液に勢いよく撹拌しながら5−(アセトアセトアミド)−2−ベンズイミダゾロン(5.25g、TCI America、Portland、ORから入手できる)を加え、続いてその後、界面活性剤としての2−エチルヘキサノール(4mL、Sigma−Aldrich、Milwaukee、WIから入手できる)を加え、すべての固体が溶解するまで撹拌することによって調製する。氷酢酸(7.5mL)、5MのNaOH溶液(15mL)および脱イオン水(80mL)を含有する別の溶液を、次に、カップリング成分のアルカリ溶液中に、勢いよく撹拌しながら滴下して加えると、その後そのカップリング成分は粒子の白色懸濁液として沈殿し、その混合物は弱酸性となる。冷たいジアゾ化した混合物を、勢いよく撹拌しながらカップリング成分の懸濁液中に滴下して加え、顔料固形物の暗黄色のスラリーを生成させ、それを室温でさらに2時間撹拌すると、その時間の後は、その顔料は明るい黄色である。その顔料固形分を真空濾過によって集め、3容積の脱イオン水(それぞれ200mL)により、次にメタノール(50mL)ですすぎ、最終のすすぎは脱イオン水(50mL)を用い、その後に凍結乾燥させる。顔料の鮮やかな黄色の顆粒が得られ、TEM画像は、約75nmから約250nmまでの範囲の粒子直径を有する小さめの棒の形をした粒子の凝集体を示す。
【0067】
[比較例3]
Pigment Yellow 151の従来型の合成:
この比較例は、ドイツ国特許DE3140141に記載されている従来法に従う。
【0068】
2.0g(0.0146mol)のアントラニル酸、35mLの脱イオン水、および8.5mLの5Mの塩酸を、温度計を備えた3つ口丸底フラスコ中で磁気撹拌により撹拌しながら混合する。その透明な溶液を、0℃より下まで冷却した後、6mLの脱イオン水に溶解した1.058gのNaNO
2(0.0153mol)の溶液(約2.5MのNaNO
2)を、内温を0℃より下に維持する速さで滴下して加える。そのジアゾ溶液を少なくとも30分間低温で撹拌したまま保つ。2番目の溶液を、3.47g(0.0149mol)の5−アセトアセチルアミノ−ベンズイミダゾロン(TCI America)を1.715g(0.0429mol)のNaOHを含有する10mLの脱イオン水に溶解した塩基性溶液と混合することによって用意する。この2番目の溶液を、次に、195mLの脱イオン水、6mLの氷酢酸(0.105mol)および水酸化ナトリウム(2.29g、0.0573mol)を含有する3番目の混合物に加えて、白色のカップリング成分の微細に懸濁したコロイド状の溶液を生じさせる。
【0069】
冷たいジアゾ溶液を、次に、勢いよく撹拌されているそのカップリング成分の懸濁液に室温で滴下して加え、黄色の顔料スラリーを生成させる。その黄色の混合物を少なくとも6時間にわたって撹拌して色の発現を完了させ、その時間の後、そのスラリーを真空下でVersapor0.8μmフィルタ膜(PALL Corp.)により濾過する。その顔料のウェットケーキを200mLの脱イオン水に再びスラリー化して次に真空濾過することをあと2回繰り返し、その時間の後、その顔料のウェットケーキを48時間凍結乾燥させる。その最終生成物は、暗黄色の粉末(4.96g、収率89.2%)であり、TEM画像形成により分析すると、約200nmから約500nmまでの範囲の平均長さを有する細長い棒状の粒子の大きな凝集体および塊からなる。
【0070】
[比較例4]
連続的添加法によるPigment Yellow 151の合成(立体安定剤の補助なし):
0.71g(5.18mmol)のアントラニル酸、10mLの脱イオン水、および2.6mLの5Mの塩酸を、温度計を備えた3つ口丸底フラスコ中で磁気撹拌により撹拌しながら混合する。その透明な溶液を、0℃より下まで冷却した後、1mLの氷のように冷たい5.8MのNaNO
2(5.79mmol)の水溶液を、内温を0℃より下に維持する速さで加える。30分後、その冷たいジアゾ溶液を、次の方法で調製されたカップリング成分の懸濁液に室温で、ゆっくり滴下しながら加える。
【0071】
1.22g(5.23mmol)の5−アセトアセチルアミノ−ベンズイミダゾロン(TCI America)、7.2mLの5MのNaOH、および80mLの脱イオン水を混合して透明な溶液を生じさせる。濃酢酸(2.1mL)を次にその液面下にゆっくり加えて微細な白色固体の懸濁液を生じさせる。
【0072】
3時間の混合後、3滴の2−エチルヘキサノールをその黄色の顔料スラリーに加える。その固体をその後真空濾過によって分離する。その顔料のウェットケーキをさらに2回以上脱イオン水中に再スラリー化して真空濾過によって分離し、その後、凍結乾燥し、それによって微細な黄色粉末(1.92g)を生じさせる。その試料の電子顕微鏡分析(SEM/STEM)は、40nmと200nmの間で変動し、大部分が約100nm未満である長さを有する細長い棒状粒子の凝集体を示した。その試料のコロイド状溶液(n−BuOH、0.01mg/mL)の動的光散乱(DLS)分析は、170nmの平均有効流体力学的径(D
eff)(PDI=0.204)を示した。
【0073】
[実施例1]
表3の置換ピリジン立体安定剤#20の合成:
【化13】
100mLの丸底フラスコ中に、1.02g(6.09mmol)の2,6−ピリジンジカルボキリレート(Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI)および20mLの無水のテトラヒドロフラン(THF)を加える。その懸濁液を不活性雰囲気下で撹拌する。この懸濁液に、2.2mL(0.0252mol)の塩化オキサリル(Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI)を滴下して加え、続いて、触媒として、3滴のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加える。10分後、その固体のすべてが完全に溶解し、室温での撹拌をさらに1時間にわたって継続する。その溶媒を次に回転蒸発によって除去し、二酸塩化物生成物のその油状残留物を真空中で乾燥させる。
【0074】
250mLの丸底フラスコ中に4.10g(0.0115mol)のPA−24第一級アミン(Air Products Ltd.の1事業部のTomah productsから入手)および40mLの無水のTHFを加える。その溶液を不活性ガスによりパージして酸素なしの状態とし、次に0℃まで冷却する。20mLの無水のTHF中の2,6−ピリジンジカルボン酸ジクロリド(ステップI)の冷却した溶液を、次に、そのアミンを含有する上記の溶液にゆっくり滴下して加える。トリエチルアミン(2.5mL、0.0179mol)を加え、その反応物を室温までゆっくり温めながら撹拌する。反応が完了した後、10mLの脱イオン水および40mLの酢酸エチルをその混合物に加え、底部の水層を除去する。有機層を脱イオン水により洗浄して分離する。その溶媒を回転蒸発により除去し、後に残った残留生成物を真空中で乾燥して、粘稠な琥珀色の油を生じさせる(4.85g、95%の収率)。それは、NMR分光分析により高純度のものである。
【0075】
[実施例2]
表4の置換ピリジン立体安定剤#23の合成:
【化14】
【0076】
100mLの丸底フラスコ中に、1.04g(0.00623mol)の2,6−ピリジンジカルボキリレート(Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI)および20mLの無水のテトラヒドロフラン(THF)を加える。その懸濁液を不活性雰囲気下で撹拌する。この懸濁液に、2.2mL(0.0252mol)の塩化オキサリル(Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI)を滴下して加え、続いて、触媒として、3滴のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加える。15分後、その固体のすべてが溶解し、室温での撹拌をさらに2時間にわたって継続する。その溶媒を次に回転蒸発によって除去し、二酸塩化物生成物のその油状残留物を真空中で乾燥させる。
【0077】
3つ口の100mLの丸底フラスコ中に、2,6−ピリジンジカルボン酸ジクロリド(ステップI由来の生成物)および5mLの無水のTHFを加え、その混合物を不活性雰囲気下で撹拌する。ISOFOL 20(Sasol America、TX(テキサス州)から入手した分枝状アルコール)を、無水のTHF中の2.5Mの溶液として用意し、その6mLを、次に上記の酸塩化物溶液にゆっくり加える。その反応混合物を次に1.5時間加熱して還流させる。その混合物を次に室温まで冷却し、少量の脱イオン水で失活させる。有機溶媒を回転蒸留によって除去し、NMR分光分析により高純度のものである粘稠な黄色油状物(4.54g、100%)としての生成物を提供する。
【0078】
[実施例3]
置換ピリジン立体安定剤を用いる連続的添加方法によるPigment Yellow 151ナノ粒子の合成:
アントラニル酸のジアゾ化を、0.72g(5.25mmol)のアントラニル酸、10mLの脱イオン水、2.6mLの5Mの塩酸、1mLの5.9MのNaNO
2(5.93mmol)を使用することを除いて比較例4と同じ手順で行う。30分の撹拌後、その冷たいジアゾニウム塩溶液を、次の方法で調製されたカップリング成分の懸濁液に室温で、ゆっくり加える。
【0079】
実施例1に従って調製した立体安定剤化合物(0.210g、0.249mmol、または理論顔料収量の10重量%)を、1.21g(5.19mmol)の5−アセトアセチルアミノ−ベンズイミダゾロン(TCI Americaから入手)、7.2mLの5Mの水酸化ナトリウム水溶液、および76mLの脱イオン水を含有する溶液と共に乳化する。10分間の急速な機械撹拌の後、2.2mLの濃氷酢酸をそのエマルジョンに加えると、それはカップリング成分の微細な白色懸濁液を提供する(ジアゾニウム塩溶液との反応用)。
【0080】
6時間撹拌後、その黄色の顔料固形分は、Supor 0.8μmフィルタ膜織物(PALL Corp.)を通す真空濾過によって分離する。その顔料のウェットケーキをさらに2回以上脱イオン水中に再スラリー化して真空濾過により単離した後、凍結乾燥し、その後顔料生成物を明るい黄色の粉末(2.02g)として得る。その顔料固形分の電子顕微鏡分析(SEM/STEM)は、長さが20nmと300nmの間の範囲であり、大部分が約100nm未満である主に小さくて細長い一次のナノ粒子を示す。その試料のコロイド状溶液(n−BuOH、0.01mg/mL)の動的光散乱(DLS)分析は、101nmの平均有効流体力学径(D
eff)を示した(PDI=0.235)。
【0081】
[実施例4]
置換ピリジン立体安定剤を用いる連続的添加方法によるPigment Yellow 151ナノ粒子の合成:
1.79g(13.1mmol)のアントラニル酸、30mLの脱イオン水、および6.5mLの5Mの塩酸を、温度計を備えた3つ口丸底フラスコ中に撹拌しながら混合する。その透明な溶液を、0℃より下まで冷却した後、2.5mLの冷たい5.7MのNaNO
2(15.7mmol)の水溶液を、内温を0℃より下に維持する速さで加える。その冷たいジアゾ溶液を、さらに30分撹拌し、その後、それを、次の方法で調製されたカップリング成分の懸濁液に室温で、ゆっくり加える。
【0082】
実施例2に従って調製した立体安定剤化合物(0.5g、0.686mmol、理論顔料収量の10重量%)を、3.05g(13.1mmol)の5−アセトアセチルアミノ−ベンズイミダゾロン(TCI America)、18mLの5Mの水酸化ナトリウム水溶液、および200mLの脱イオン水を含有する溶液中に熱いまま加え、その混合物を急速な機械撹拌により乳化する。10分後、5.5mLの濃氷酢酸をそのエマルジョンに加えると、それはカップリング成分の微細な白色懸濁液を提供する(ジアゾニウム塩溶液との反応用)。
【0083】
一晩の撹拌後、その黄色の顔料固形分は、Supor 0.45μmフィルタ膜織物(PALL Corp.)を通す真空濾過によって分離する。その顔料のウェットケーキをさらに2回以上脱イオン水中に再スラリー化して真空濾過により単離した後、凍結乾燥すると、明るい黄色の粉末(4.80g)をもたらす。その顔料固形分の電子顕微鏡分析(SEM/STEM)は、長さが20nmと200nmの間の範囲であり、大部分が約100nm未満である主に小さくて細長い一次のナノ粒子を示す。その試料のコロイド状溶液(n−BuOH、0.01mg/mL)の動的光散乱(DLS)分析は、143nmの平均有効流体力学径(D
eff)を示した(PDI=0.186)。
【0084】
[実施例5]
置換ピリジン立体安定剤を用いる連続的添加方法によるPigment Yellow 151ナノ粒子の合成:
2.0g(14.6mmol)のアントラニル酸、35mLの脱イオン水、および8.5mLの5Mの塩酸を、温度計を備えた3つ口丸底フラスコ中に撹拌しながら混合する。その透明な溶液を、0℃より下まで冷却した後、6mLの冷たい2.55MのNaNO
2(15.3mmol)の水溶液を、内温を0℃より下に維持する速さで加える。その冷たいジアゾ溶液を、さらに30分撹拌し、その後、それを、次の方法で調製されたカップリング成分の懸濁液に室温で、ゆっくり加える。
【0085】
2番目の溶液は、小さいフラスコ中で、3.473g(14.9mmol)の5−アセトアセチルアミノ−ベンズイミダゾロン(TCI Americaから入手)、1.715g(42.8mmol)の水酸化ナトリウム、および10mLの脱イオン水を一緒に混合して用意する。3番目の溶液は、機械撹拌および温度計を備えた1Lの反応釜中で195mLの脱イオン水および6.0mLの氷酢酸を混合し、続いて最後に2.29gの水酸化ナトリウムと共に混合することによって用意する。次にこの釜に、実施例1に従って調製した嵩高い安定剤化合物(0.275g、0.326mmol)を、勢いよく撹拌しながら加え、その混合物を15分間撹拌した後、カップリング成分の2番目の溶液を急速な機械撹拌下でゆっくり加える。その得られた白色の懸濁液を15分間急速に撹拌し、その後、冷たいジアゾ溶液をその反応混合物中に30分の時間をかけてゆっくり加える。
【0086】
6時間撹拌後、その黄色の顔料固形分は、Versapor 0.8μmフィルタ膜織物(PALL Corp.)を通す真空濾過によって分離する。その顔料のウェットケーキをさらに2回以上脱イオン水中に再スラリー化して真空濾過により単離した後、凍結乾燥し、その後顔料生成物を明るい黄色の粉末(5.20g、93%の収率)として得る。その顔料固形分の電子顕微鏡分析(TEM)は、長さが25nmと200nmの間の範囲であり、大部分が約100nm未満である主に小さくて小板状の一次ナノ粒子を示す。
【0087】
[好ましい態様]
(1)請求項1に記載の組成物であって、ジアゾ成分の基が、DC
1〜DC
7:
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
および
【化21】
,
からなる群から選択され、
但し、
*は、ジアゾ成分前駆物質中のアミノ基(−NH
2)に対する結合の点および顔料構造中のアゾ基(−N=N−)に対する結合の点を示し、
R
1〜R
8は、独立して、H;ハロゲン;n=0〜6である(CH
2)
nCH
3;OH;R’がH、(CH
2)
nCH
3、またはC
6H
5を表し、nが1から約6までの数を表すアルコキシル基−OR’;CO
2H;CO
2CH
3;n=0〜5であるCO
2(CH
2)
nCH
3;CONH
2;R’が、独立して、H、C
6H
5、n=0〜12である(CH
2)
nCH
3、またはn=1〜6である(CH
2)
nN(CH
3)
2である(CO)R’;OCH
3;OCH
2CH
2OH;NO
2;SO
3H;または次の構造の基:
【化22】
【化23】
【化24】
および
【化25】
,
のいずれかを表し、
DC
2およびDC
3において、R’は、H、(CH
2)
nCH
3、またはC
6H
5を表し、nが1から約6までの数を表し、
基Aは、n=0〜6である−(CH
2)
n−;n=0〜6である−[O−(CH
2)
n−O]−;n=0〜6およびR=HまたはCH
3である−[O−(CH
2CHR)
n]−;−(C=O)−;O;S;n=1〜6である−(CH
2)
n−(C=O)−;およびn=1〜6である−(C=O)−(CH
2)
n−(C=O)−を表す
ことを特徴とする組成物。
【0088】
(2)請求項1に記載の組成物であって、求核性カップリング成分の基が、CC
1およびCC
2:
【化26】
【化27】
,
からなる群から選択され、但し、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13は、すべて独立して、H、Br、Cl、I、F、CH
3、またはOCH
3を表し、
*は顔料中のアゾ基に対する結合の点を示すことを特徴とする組成物。