(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行輪に支持された走行機体と、駆動源から前記走行輪への動力伝達を断接するクラッチと、前記走行機体の変速操作を行う走行操作レバーと、前記走行機体の外側から前記クラッチの入切を操作する降車操作具と、を備えた作業車両において、
前記降車操作具により作動させられる降車操作系と前記クラッチを入切させるクラッチ操作系とを連繋させる連繋状態と、前記降車操作系と前記クラッチ操作系との連繋を切断する切断状態と、に切換え可能な連繋機構と、
前記降車操作具により前記走行機体を走行させる際に、該走行機体の走行速度を所定の速度範囲に規制する規制手段と、を備え、
前記規制手段は、前記連繋機構が前記連繋状態になることに連動して、前記走行操作レバーの操作範囲を所定の範囲に規制し、前記連繋機構が前記切断状態になることによって、前記走行操作レバーの操作範囲の規制を解除する、
ことを特徴とする作業車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のように、機体前部に降車操作具を設け、機外から走行機体を走行させることができるようにすると、走行機体の前部を抑えながら、安定して畔などを超えることができる。
【0006】
ところで、上記降車操作具は、走行機体のクラッチ及びブレーキを操作するものであるため、走行機体の速度自体は、主変速操作レバーで操作されていた。
【0007】
そのため、降車操作具によって機体を走行させる際には、その都度、主変速レバーを前進微速位置に設定しなければならず、面倒であった。
【0008】
そこで本発明は、降車操作具により走行機体を走行させる際に、走行機体の速度を所定の速度範囲に規制することによって、上記課題を解決した作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、走行輪(2,3)に支持された走行機体(5)と、駆動源(13)から前記走行輪(2,3)への動力伝達を断接するクラッチ(17)と、前記走行機体(5)の変速操作を行う走行操作レバー(71)と、前記走行機体(5)の外側から前記クラッチ(17)の入切を操作する降車操作具(51)と、を備えた作業車両(1)において、
前記降車操作具(51)により作動させられる降車操作系(A)と前記クラッチ(17)を入切させるクラッチ操作系(B)とを連繋させる連繋状態と、前記降車操作系(A)と前記クラッチ操作系(B)との連繋を切断する切断状態と、に切換え可能な連繋機構(44)と、
前記降車操作具(51)により前記走行機体(5)を走行させる際に、該走行機体(5)の走行速度を所定の速度範囲に規制する規制手段(75b,9
1,10
0)と、を備え、
前記規制手段(75b,91,100)は、前記連繋機構(44)が前記連繋状態になることに連動して、前記走行操作レバー(71)の操作範囲を所定の範囲に規制し、前記連繋機構(44)が前記切断状態になることによって、前記走行操作レバー(71)の操作範囲の規制を解除する、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記走行機体内から前記クラッチ(17)の入切を操作するクラッチ操作ペダル(21)と、
前記走行操作レバー(71)のレバー軸(74)を中心として回動する回動プレート(75)と、該回動プレート(75)と前記走行操作レバー(71)とが一体に回動するように連結するロック部材(76)と、を有し、前記回動プレート(75)が前記クラッチ操作ペダル(21)の前記クラッチ(17)を切断する切動作に連動して回動することによって、前記走行操作レバー(71)の操作位置を、所定のレバー位置に戻すレバー戻し機構(70)と、を備え、
前記規制手段(75b,9
1)は、前記ロック部材(76)による前記回動プレート(75)と前記走行操作レバー(71)との連結を解除する解除機構(9
1)と、前記回動プレート(75)に設けられ、該回動プレート(75)に対する走行操作レバー(71)の回動範囲を規制する規制部(75b)と、を有して構成される、と好適である。
【0012】
また、前記走行操作レバー(71)が嵌挿される案内部(14a)を有するレバーガイド(14)を備え、
前記規制手段(100)は、前記連繋機構(44)が連繋状態になった際に、前記案内部(14a)に現出し、該案内部内の前記走行操作レバー(71)の移動範囲を制限する規制プレート(100)を有する、と好適である。
【0014】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、規制手段によって、降車操作具によって走行機体を走行させる際には、走行速度を所定の速度範囲に自動的に規制することができ、作業性を向上させることができる。
さらに、連繋機構が連繋状態になることに連動して、規制手段によって走行操作レバーの操作範囲を所定の範囲に規制したことによって、降車操作具によって走行機体を走行させる際に、走行操作レバーによる速度設定を忘れることを防止することができる。
【0017】
請求項
2に係る発明によると、レバー戻し機構を設けたことによって、クラッチ操作ペダルの操作と連動して走行操作レバーを所定の位置まで戻すことができ、これにより、連繋機構を連繋状態にする際に、走行操作レバーを移動させる力が少なくて済む。また、規制部によって回動プレートに対する走行操作レバーの回動範囲を規制することにより、連繋機構に連動させて、ロック部材による回動プレートと走行操作レバーとの連結を解除することによって、走行変速レバーの移動範囲を所定範囲内に規制することができる。
【0018】
請求項
3に係る発明によると、レバーガイドの案内部に現出し、案内部内の走行操作レバーの移動範囲を制限する規制プレートによって規制手段を構成したことにより、簡単な構成によって走行操作レバーの移動範囲を規制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
[作業車両の全体構成]
以下、本発明の実施形態に係る作業車両について、図面に沿って説明をする。
図1に示すように、作業車両としての乗用田植機1は、左右一対の前輪2及び後輪3からなる走行輪2,3に支持された走行機体5を有していると共に、この走行機体5の後方には、昇降リンク11を介して圃場に苗を植付ける植付装置12が昇降自在に支持されている。
【0022】
また、上記走行機体5の前方には、ボンネット6に覆われたエンジン(駆動源)13が搭載されており、このエンジン13の後方には作業者が走行機体5を運転する運転操作部7が設けられている。この運転操作部7には、前輪2を操向操作するステアリングハンドル9、作業者が着座する運転座席10が設けられている他に、主変速レバー(走行操作レバー)71や、クラッチブレーキペダル(クラッチ操作ペダル)21などが設けられている。
【0023】
上記ステアリングハンドル9の側方に設けられた主変速レバー71は、レバーガイド14内の案内溝(案内部、
図10参照)14aに嵌挿されていると共に、この案内溝14aに沿って前後に移動させることによって、走行機体5を前後に走行させることができるようになっている。
【0024】
より詳しくは、上記主変速レバー71は、そのレバー位置に応じて、エンジン13の出力を調整していると共に、エンジン13からの動力を変速して走行輪2,3に伝達するトランスミッション15に設けられた油圧式無段変速装置(HST)15aを変速しており、この主変速レバー71によって、走行機体5は変速操作されている。
【0025】
また、クラッチブレーキペダル21は、走行輪2,3を制動するブレーキ16を作動させると共に、エンジン13から走行輪2,3への動力伝達を断接する主クラッチ17を作動させるように構成されている。即ち、クラッチブレーキペダル21を踏み込むことによって、クラッチ17が切断されると共に、ブレーキ16が入状態となって走行輪2,3を制動し、ペダルを離すとクラッチ17が入状態となると共に、ブレーキ16が解除される。更に、車両が停車中に上記クラッチブレーキペダル21を踏み込むことによって、駐車ブレーキとしてブレーキ16を利かせることができるようになっている。
【0026】
言い換えると、クラッチブレーキペダル21は、走行機体内からクラッチ17の入切を操作するクラッチ操作ペダルであると共に、走行機体内からブレーキ16の入切を操作するブレーキ操作ペダルでもある。
【0027】
[クラッチ及びブレーキ機構]
ついで、上述したクラッチ17及びブレーキ16の構成について詳しく説明をする。
図3及び
図4に示すように、クラッチブレーキペダル21は、機体に回動自在に支持されたペダル支点軸22に取付けられていると共に、このペダル支点軸22は、スプリング33によって、上方に向かって回動する(クラッチ切、ブレーキ入側に回動する)ように付勢されている。
【0028】
また、ペダル支点軸22には、アーム28を介して連結ロッド23が取付けられており、この連結ロッド23の他端部には、アーム24を介して軸25に連結されている。軸25には、クラッチ操作アーム26及びブレーキ操作アーム27が取付けられている。ブレーキ操作アーム27には、ブレーキ16の操作用のロッド16aが連結されており、このロッド16aを介して、クラッチブレーキペダル21によって、ブレーキ16を操作可能となっている。なお、上記ブレーキ操作アーム27は、スプリング16bによってブレーキ16が切状態になる方向に付勢されている。
【0029】
一方、クラッチ操作アーム26は、軸25が回動することによって、ローラ17iと当接して情報に向けて回動し得るように構成されている。このローラ17iは、アーム17hを介してクラッチシャフト17gの一端部に連結されている。クラッチシャフト17gの他端部には、テンションアーム17fが取付けられており、このテンションアーム17fの先端部には、ベルトテンションクラッチからなる主クラッチ17のテンションローラ17dが取付けられている。
【0030】
そして、クラッチシャフト17gがスプリング17eによって、クラッチ操作アーム26がスプリング17jによって、主クラッチ17が入状態になる方向に付勢されていることによって、上記テンションローラ17dは、エンジン13の出力軸に取付けられた出力プーリ
17aと、油圧式無段変速装置15aの入力軸に取付けられた入力プーリ
17bとの間に巻回されたベルト17cと当接して、このベルト17cにテンションを付与するように構成されている。
【0031】
即ち、主クラッチ17は、スプリング17eの付勢力によって、テンションローラ17dがベルト17cにテンションを付与することによりクラッチ入状態となる。また、クラッチブレーキペダル21が踏み込まれると、クラッチ操作アーム26により、ローラ17iを介してクラッチシャフト17gが回動させられ、スプリング17eの付勢力に抗してテンションアーム17fが回動することにより、テンションローラ17dがベルト17cから離間し、ベルト17cのテンションが緩むことによって、クラッチ切状態となる。
【0032】
[降車操作機構]
ついで、作業者が走行機体5の外側からクラッチ17及びブレーキ16を操作する降車操作機構50(降車操作具51)について説明をする。
図1、
図3及び
図4に示すように、降車操作機構50は、走行機体5の前部に設けた降車操作具51を有しており、この降車操作具51は、U字状のフレーム部51aがホルダ51bにスライド自在に嵌挿されていると共に、これらフレーム部51a及びホルダ51bが一体となって回動支点51cを中心に上下に回動自在に構成されている。
【0033】
また、ホルダ51bの下方側には、スナップ受け54が設けられており、このフレーム部51aに設けられたスナップピン51dを嵌め得るように構成されている。即ち、降車操作具51が、上記スナップピン51dがスナップ受け54に嵌るように後方側に向けてスライドされると収納位置(
図1の実線位置)となり、この収納位置から前方側に引き出されると上記スナップピン51dとスナップ受け54との嵌め合いが解除されて、上下回動可能な引き出し位置(
図1の点線位置)となる。
【0034】
更に、上記回動支点51cは、リンク52,55,56を介して、回動軸57と連結しており、この回動軸57には、詳しくは後述する連繋機構44のピン41aと当接して、その回動範囲を規制する規制アーム59が設けられている。
【0035】
そして、上記連繋機構44を介して、降車操作具51により作動させられる降車操作系Aと、クラッチ17及びブレーキ16を入切させるクラッチブレーキ操作系(クラッチ操作系)Bとが連繋され、上記規制アーム59の回動角に応じて、クラッチ17及びブレーキ16の入切を制御することができるようになっている。
【0036】
なお、上記降車操作具51は、スプリング53によって、上方側(クラッチ切、ブレーキ入方向)に付勢されており、このスプリング53の付勢力は、降車操作系A及びクラッチブレーキ操作系Bに配置されたいずれのスプリングの付勢力よりも強く設定されている。
【0037】
[連繋機構]
ついで、上記降車操作系Aとクラッチブレーキ操作系Bとを連繋させる連繋機構44について説明をする。連繋機構44は、クラッチブレーキ操作系側連繋機構30と、降車操作系側連繋機構40と、を有しており、まず、クラッチブレーキ操作系側連繋機構30について説明をする。
【0038】
クラッチブレーキ操作系側連繋機構30は、
図3及び
図4に示すように、ペダル支点軸22にアーム31を介して連結されたリンクロッド32を有しており、このリンクロッド32の他端部が軸35に回動自在に支持されたアーム36に取付けられて構成されている。
【0039】
一方、降車操作系側連繋機構40は、支点軸42に回動自在に支持され、上述したピン41aが取付けられた第1三角プレート41と、支点軸42に回動自在に支持された第2三角プレート47と、第1三角プレート41に回動自在に取付けられたロック部材(ロックプレート)43とを有している。
【0040】
また、上記ロック部材43は、スプリングによって上方側に付勢されていると共に、当接ピン43bを有しており、降車操作系側連繋機構40は、ガイド46に沿って移動駆動され、上記当接ピン43bに当接して、スプリングの付勢力に抗してロック部材43を回動させるロックレバー45を有している。なお、このロックレバー45は、第2三角プレート47と一体に取付けられていると共に、第1三角プレート41は、この第2三角プレート47とは別に回動する。
【0041】
そして、連繋機構44は、上記ロックレバー45が操作されて、ロック部材43がスプリングの付勢力に抗して回動し、
図5に示すように、その凹部43aが軸部に嵌ることによって、ロック部材43とクラッチブレーキ操作系側連繋機構30のリンクロッド32と係合することによって、クラッチブレーキ操作系側連繋機構30と、降車操作系側連繋機構40とが連繋する連繋状態となる。
【0042】
言い換えると、連繋機構44は、ロックレバー45によって、降車操作具51による降車操作系Aとクラッチ17及びブレーキ16を操作するクラッチブレーキ操作系Bとを連繋させる連繋状態(
図5の状態)と、降車操作系Aとクラッチブレーキ操作系Bとの連繋を切断する切断状態(
図4の状態)と、に切換え可能に構成されている。
【0043】
これにより、連繋機構44が連繋状態の場合には、第1三角プレート41のスプリングの付勢力によって、クラッチ17が入、ブレーキ16が切になるようにペダル支点軸22が回動させられると共に、降車操作系Aの規制アーム59によって、上記第1三角プレート41の回動角度を調整して、上記クラッチ17及びブレーキ16の入切を制御することができるようになる。
【0044】
[レバー戻し機構]
ついで、クラッチブレーキペダル21の踏込動作に連動して、主変速レバー71を例えば、ニュートラル位置や微速前進位置などの所定位置に自動的に戻すレバー戻し機構70について説明をする。
【0045】
図6に示すように、主変速レバー71は、その基端部がレバーホルダ72に取付けられており、このレバーホルダ72によって、レバー軸74を中心として前後に操作可能に設けられている。
【0046】
また、上記レバーホルダ72の一端部に設けられた取付部72cには、油圧式無段変速装置15aを操作する変速操作ロッド77が取付けられており、主変速レバー71を前後に操作することによって、油圧式無段変速装置15aの斜板(トライニオン軸)の角度を調節して、変速するようになっている。
【0047】
また、より詳しくは、
図7に示すように、上記レバーホルダ72は、レバー軸74が嵌挿されるボス部72aが、主変速レバー71の位置決めを行うレバープレート75の孔75a及びロックプレート76のボス部76aに嵌挿されて、これらレバープレート(回動プレート)75及びロックプレート(ロック部材)76と一体に取付けられている。
【0048】
更に、上記レバーホルダ72からは、ピン72bがレバー軸74の軸方向に延設されており、このピン72bがレバープレート75の上端部に形成された凹部(規制部)75bに嵌挿されると共に、ロックプレート76の角部の規制面76bがピン72bと当接して、ピン72bが凹部75bの幅d内で移動できないようにすることによって、上記レバーホルダ72、レバープレート75及びロックプレート76が一体に回動するようになっている。
【0049】
なお、上記主変速レバー71のレバーホルダ72は、スプリング73によって、ロックプレート76の規制面76bに向かって回動するように付勢されていると共に、ロックプレート76は、スプリング79によって、レバーホルダ72のピン72bと当接するように付勢されている。
【0050】
また、レバープレート75の側辺のカム部75eには、主変速レバー71の操作に連動してエンジン13の開度を調整する開度調整アーム78aがピンを介して当接しており、この開度調整アーム78aはワイヤ78bを介してエンジン13のスロットルと連結している。
【0051】
一方、レバー戻し機構70は、
図6に特に示すように、上記レバープレート75と、該レバープレート75に穿設された左右の長穴75dに取付けられるロッド
88と、このロッド
88をクラッチブレーキペダル21に連動させるリンク機構Lと、を有して構成されている。
【0052】
上記リンク機構Lは、ペダル支点軸22に連結された連結ロッド81を有しており、この連結ロッド81の他端部には、軸
89に取付けられたアーム80が取付けられている。
【0053】
また、軸
89には、アーム84も取付けられており、このアーム84には、上記ロッド
88の基端部が取付けられている。
【0054】
これにより、レバー戻し機構70は、クラッチブレーキペダル21が踏み込まれると、アーム84が回動し、ロッド
88を介して、レバープレート75を回動させることができ、主変速レバー71をニュートラル位置に規制することができる。なお、クラッチブレーキペダル21の踏込強さに応じて、主変速レバー71の位置を微速前進位置とすることもできる。また、微速前進位置とは、歩行速度程度で機体が前進する低速位置のことをいう。
【0055】
即ち、レバー戻し機構70は、主変速レバー71のレバー軸74を中心として回動するレバープレート75と、該レバープレート75と主変速レバー71とが一体に回動するように連結するロックプレート76と、を有し、レバープレート75がクラッチブレーキペダル21のクラッチ17を切断する切動作(踏込動作)に連動して回動することによって、主変速レバー71の操作位置を、所定のレバー位置(例えばニュートラル位置や前進微速位置)に戻すように構成されている。
【0056】
[規制機構]
ついで、降車操作具51が操作可能になることに連動して、主変速レバー71の操作範囲を、所定の速度範囲に規制する規制機構(規制手段)について説明をする。
【0057】
図8及び
図9に示すように、規制機構90は、ロックプレート76によるレバープレート75と主変速レバー71との連結を解除する解除機
構と、レバープレート75に設けられ、レバープレート75に対する主変速レバー71の回動範囲を規制する凹部(規制部)75bと、を有して構成されている。
【0058】
より具体的には、上記解除機
構は、一端部91aがロックプレート76に、他端部がロックレバー45に連結されたボーデンワイヤ91からなり、ロックレバー45が連繋機構44を切断状態にする非連繋位置の際は、ワイヤがたるみ(
図8の状態)、連繋機構44を連繋状態にする連繋位置の際には、ロックプレート76をスプリング79の付勢力に抗して回動させ、レバープレート75と主変速レバー71との連結を解除するようになっている(
図9の状態)。
【0059】
そして、上記ロックプレートによる連結が解除されると、主変速レバー71は、ピン72bがレバープレート75の凹部75b内で移動可能となり、この凹部75bの幅dの範囲内で回動できるようになる。
【0060】
上記凹部75bの幅dは、主変速レバー71がレバー戻し機構70によって戻された所定位置を基準として所定の範囲内で動けるように設定されており、より詳しくは、ニュートラル位置から微速前進位置までの範囲内で主変速レバー71が回動できるように設定されている。
【0061】
上述したように、作業者がロックレバー45を連繋位置することに基づいて、主変速レバー71の操作範囲を、規制機構によって、所定範囲に規制することによって、降車操作具51により走行機体5を走行させる際に、走行機体5の走行速度は所定の速度範囲に規制することができる。
【0062】
これにより、作業者は、降車操作具51を使用して走行機体5の外側から機体を走行させる際に、ロックレバー45を連繋位置にすることによって、自然と主変速レバー71の操作範囲が規制されて走行機体5の走行速度が所定の速度範囲に設定され、主変速レバー71の設定忘れを防止できると共に、作業効率を向上させることができる。
【0063】
また、降車操作具51によって、機体を走行させる際には、作業者は、クラッチブレーキペダル21を踏み込んでから機体を降車するため、主変速レバー71は、レバー戻し機構70によって、所定位置(ニュートラル位置もしくは微速前進位置)まで主変速レバー71が戻される。従って、ロックレバー45を連繋位置にする際に、主変速レバー71を移動駆動させる力がほとんど必要ない為、ロックレバー45の操作力を少なくすることができる。
【0064】
[第2の実施の形態]
ついで、本発明に係る第2の実施の形態について説明をする。なお、この第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、規制機構の構成についてのみ相違しており、共通する構成については、その説明を省略すると共に、同一作用の部品については、同一の参照符号を使用する。
【0065】
図10に示すように、レバーガイド14は、主変速レバー71が嵌挿される案内部14aを有している。この主変速レバー71の操作範囲を規制する規制機構は、連繋機構44が連繋状態になった際に、案内部14aに現出し、該案内部内の主変速レバー71の移動範囲を制限する規制プレート100と、規制プレート100を一方側に付勢するスプリング101と、一端がロックレバー45に連結され、他端が規制プレート100に連結されたボーデンワイヤ91と、を有して構成されている。
【0066】
上記規制プレート100は、ロックレバー45が連繋位置になった際に、案内部14a内に現出する規制位置(
図10(b)の位置)と、ロックレバー45が非連繋位置になった際に、ボーデンワイヤ91によって引っ張られてスプリング101の付勢力に抗して移動した非規制位置(
図10(a)の位置)に切換え自在に構成されている。
【0067】
また、上記規制プレート100には、レバーガイド14の案内部14aに対応した切欠きが形成されており、この切欠きは、上記規制位置になった際に主変速レバー71が移動範囲を規制される規制溝100aと、非規制位置から規制位置に移動する際に、規制溝100aに主変速レバー71を移動させる斜辺部100bと、を有している。
【0068】
主変速レバー71が規制位置の際に移動可能な規制溝100aの幅Wは、主変速レバー71がニュートラル位置から前進微速位置になる範囲に設定されているため、降車操作具51によって走行機体5を走行させる場合、必ず機体の速度を所定の速度範囲に設定することができる。
【0069】
[第3の実施の形態]
ついで、本発明に係る第3の実施の形態について説明をする。なお、この第3の実施の形態は、第1及び第2の実施の形態に対して、規制機構の構成についてのみ相違しており、共通する構成については、その説明を省略すると共に、同一作用の部品については、同一の参照符号を使用する。
【0070】
図11に示すように、乗用田植機1は、降車操作具51の下方回動を検出して、降車操作具51の操作を検出する降車操作具ポテンショ(検出手段)111と、油圧式無段変速装置15aのトラニオン軸の回動角を検出するHSTポテンショと、該トラニオン軸を回動させるトラニオン軸操作モータ(アクチュエータ)113と、を有している。
【0071】
また、乗用田植機1は、降車操作具ポテンショ111が降車操作具51の操作を検出したことに基づいて、走行機体5の走行速度を、所定の速度範囲内に規制する制御部(制御装置)110を規制手段として有している。
【0072】
これにより、主変速レバー71を操作しなくとも、制御部110が油圧無段変速装置15aのトラニオン軸をトラニオン操作モータ113によって制御し、降車操作具51によって、所定の速度範囲(例えばニュートラル〜前進微速)で走行機体5を走行させることができ、作業効率が向上する。
【0073】
なお、上述の第1及び2の実施の形態では、規制機構をロックレバー45の連繋位置への入り操作に連動させたが、降車操作具51の収納位置から引出位置への移動に連動させても良い。
【0074】
また、本発明は、トラクタ、コンバイン、建設機械など、どのような作業車両に用いられても良いことは言うまでもない。