特許第5690639号(P5690639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5690639-スクロール式圧縮機 図000002
  • 特許5690639-スクロール式圧縮機 図000003
  • 特許5690639-スクロール式圧縮機 図000004
  • 特許5690639-スクロール式圧縮機 図000005
  • 特許5690639-スクロール式圧縮機 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690639
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】スクロール式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   F04C18/02 311B
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-89701(P2011-89701)
(22)【出願日】2011年4月14日
(65)【公開番号】特開2012-219790(P2012-219790A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2013年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】萩田 直巳
(72)【発明者】
【氏名】植田 英之
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−141782(JP,A)
【文献】 特開2005−163665(JP,A)
【文献】 実開昭61−186779(JP,U)
【文献】 特開2011−085042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器内に、台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、台板に渦巻状のラップを立設して前記固定スクロールと噛み合わされて圧縮室を形成し、前記固定スクロールに対向して旋回運動する旋回スクロールと、前記旋回スクロールを駆動する回転軸と、この回転軸を駆動する電動機とを備え、前記固定スクロールのラップ外周部に吸入孔および吸入管を駆動軸方向に設け、該吸入孔内には逆止弁とばねが配置され、前記吸入孔底部には前記ばねを設置するための凹部が設けられたスクロール式圧縮機において、
前記凹部の吸入孔底部のばね座面に立設した円柱を設けたことを特徴とするスクロール式圧縮機。
【請求項2】
請求項1において、
前記凹部の吸入孔底部のばね座面に立設した円柱を設け、該円柱の外径をばねの内径未満の寸法としたことを特徴とするスクロール式圧縮機。
【請求項3】
請求項2において、
前記円柱の高さを逆止弁が吸入孔底部の逆止弁座面に接触するまで移動した時のばねの高さ以下としたことを特徴とするスクロール式圧縮機。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記円柱の下部側面に突起を設けたことを特徴とするスクロール式圧縮機。
【請求項5】
請求項2または3において、
前記凹部の側面に突起を設けたことを特徴とするスクロール式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入孔にばねと逆止弁を備えたスクロール式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピストンの上下運動を円滑にすると同時に吸入圧力損失を減らすことを目的として、固定スクロール巻き終わり部の歯底面を吸入管端面より深くザグリ加工する技術が開示されている。
【0003】
より詳細には、図5に示すように、固定スクロール2のラップ2B外周部に吸入孔21および吸入管5を回転軸4方向に設け、該吸入孔21内には逆止弁8とばね9を配置しており、吸入孔21底部には、ばね9を設置するための凹部2Cが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−141782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1によるスクロール式圧縮機は、圧縮機として組立てる場合、作業時に反転させたり横倒させたりすると、ばねが吸入孔底部に設けた凹部から外れ易く組立順序の制約があり作業性が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、組立作業性の向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、
密閉容器内に、台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、台板に渦巻状のラップを立設して前記固定スクロールと噛み合わされて圧縮室を形成し、前記固定スクロールに対向して旋回運動する旋回スクロールと、前記旋回スクロールを駆動する回転軸と、この回転軸を駆動する電動機とを備え、前記固定スクロールのラップ外周部に吸入孔および吸入管を駆動軸方向に設け、該吸入孔内には逆止弁とばねが配置され、前記吸入孔底部には前記ばねを設置するための凹部が設けられたスクロール式圧縮機において、
前記凹部の吸入孔底部のばね座面に立設した円柱を設けたことを特徴とするスクロール式圧縮機
によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組立作業性の向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スクロール式圧縮機の構成図。
図2】固定スクロール吸入孔部の拡大断面図。
図3】固定スクロール吸入孔底部の拡大断面図(1)。
図4】固定スクロール吸入孔底部の拡大断面図(2)。
図5】従来の固定スクロール吸入孔部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係るスクロール式圧縮機について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例のスクロール式圧縮機の構成図である。
【0012】
図1において、1は圧縮機の外形を形成するケーシングで該ケーシング1内に、台板2Aに渦巻状のラップ2Bを立設した固定スクロール2と、台板3Aに渦巻状のラップ3Bを立設し固定スクロール2と噛み合わされて圧縮室を形成し、固定スクロール2に対向して旋回運動する旋回スクロール3と、旋回スクロール3を駆動する回転軸4と、この回転軸4を駆動する電動機10で構成される。
【0013】
更に、固定スクロール2に吸入孔21が穿設されている。吸入孔21にはキャップ6を貫通し溶接され吸入管5が連接されている。なお、吸入管5と固定スクロール2の接触部分に、高圧部と低圧部をシールするOリング7が取り付けられている。また、吸入孔21には、停止時に逆圧が掛かり冷媒ガスが逆流しないよう逆止弁8と、逆止弁8を支えるばね9が設けられている。
【0014】
本実施例の詳細を図2を用いて説明する。
【0015】
固定スクロール2の吸入孔底部21Aには、ばね9を設置するための凹部2Cが設けられている。該凹部2Cのばね座面S1に立設した円柱2Dを設け、その外径をばね9の内径未満の寸法にして吸入孔21底部にばね9を納める。ばね9が伸縮しても、ばね9と円柱2Dとの間に摩擦を生じること無く、動作の妨げとなることを防止できる。
【0016】
このように、ばね9を設置するための凹部2Cの吸入孔21底部のばね座面に立設した円柱2Dを設けることにより、スクロール式圧縮機の組立て時において、圧縮機本体を反転させたり横倒させたりした時でも、該円柱2Dがガイドになり、吸入孔21底部に設けた凹部2Cからばね9が外れにくくしている。
【0017】
円柱2Dの高さH1は、逆止弁8が吸入孔底部21Aの逆止弁座面S2に接触するまで移動した時のばね9の高さ以下とする。つまり、逆止弁8はその円筒部8bの端面と逆止弁座面S2との接触により、それ以上の変位を制限され、逆止弁8の円盤部8aと円柱2Dとが接触しないようになっている。冷媒流路の実質の断面積を最大限確保し、体積効率を低下させないようにしている。
【0018】
更に、図3に示す通り円柱2Dの下部側面に突起2Eを設けてもよい。これによりばね9を外れにくくして組立作業性を向上することができる。逆に、図4に示す通り凹部2Cの側面に突起2Fを設けてもよい。これも同様に、ばね9を外れにくくして組立作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 ケーシング
2 固定スクロール
2A,3A 台板
2B,3B ラップ
2C 凹部
2D 円柱
2E,2F 突起
3 旋回スクロール
4 回転軸
5 吸入管
6 キャップ
7 Oリング
8 逆止弁
8a 円盤部
8b 円筒部
9 ばね
10 電動機
21 吸入孔
21A 吸入孔底部
S1 ばね座面
S2 逆止弁座面
図1
図2
図3
図4
図5