(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。ここでは、画像形成装置としてプリンタが使用される。なお、
図1の左側を「前」、右側を「後」と呼ぶことにする。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置10は、給紙カセット20、給紙ローラ31、給紙サブローラ32、レジスト部40、画像形成ユニット100、LED(Light Emitting Diode)ヘッド50、転写ユニット60、定着ユニット70、排出ローラ部80、及び媒体堆積部90を有している。
【0016】
給紙カセット20は、用紙等の印刷媒体(以下、単に「媒体」という)Pを収容するものである。給紙ローラ31及び給紙サブローラ32は、給紙カセット20に収容されている媒体Pを1枚毎に分離して、レジスト部40へ搬送するものである。レジスト部40は、例えばレジストローラであり、搬送されてきた媒体の先端を整列し、転写ユニット60へ搬送するものである。
【0017】
画像形成ユニット100は、現像剤としてのトナーを用いて現像剤像(以下、「トナー像」という)を媒体P上に形成するものであり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナー像を媒体P上に形成するための画像形成ユニット100C,100M,100Y,100Kの総称である。画像形成ユニット100は、像担持体としての感光ドラム101を備えており、感光ドラム101上に形成された静電潜像を可視化(現像)して得られたトナー像を媒体P上に転写する。
【0018】
LEDヘッド50は、印刷情報に応じた記録光を照射して感光ドラム101に静電潜像を与えるものである。
【0019】
転写ユニット60は、感光ドラム101と対向する位置で転写電圧を与えて感光ドラム101上に形成されたトナー像を媒体Pに転写する転写ローラ61と、媒体Pを定着ユニット106に向けて搬送する搬送ベルト62とを備えている。
【0020】
定着ユニット70は、定着ローラ71と、加圧ローラ72と、ヒータ73とを備えている。ヒータ73は、例えばハロゲンランプであり、定着ローラ71の加熱を行うものである。定着ローラ71は、ヒータ73で加熱された定着ローラ71の表面で媒体P上の未定着のトナーを溶融するものである。加圧ローラ72は、バネ(図示せず)によって得られた加圧力で定着ローラ71を加圧し、媒体P上に転写したトナー像を定着して、排出ローラ部80に向けて搬送するものである。
【0021】
排出ローラ部80は、定着ユニット70から搬送されてきた媒体Pを媒体堆積部90に向けて排出するものである。媒体堆積部90は、排出ローラ部80により排出された媒体Pを例えば複数枚堆積させるものである。
【0022】
このように構成された画像形成装置10において、図示しない操作部や通信部を通じて印刷指示を受けると、給紙ローラ31及び給紙サブローラ32によって給紙カセット20からピックアップされた媒体Pは、レジスト部40へ搬送される。媒体Pは、このレジスト部40によって先端が整列させられ、感光ドラム101と転写ローラ61とが対向・接触しているニップ位置へ搬送される。一方、LEDヘッド50によって静電潜像が与えられた感光ドラム101上にトナーが供給され、感光ドラム101上で可視のトナー像が形成される。そして、前記ニップ位置に到達した媒体Pは、転写ローラ61によって転写電圧が印加され、感光ドラム101上のトナー像は媒体P上に転写される。
【0023】
各色用の転写ローラ61を通過して各色のトナー像が転写された媒体Pは、定着ユニット70へ搬送され、定着ローラ71内に配設されたヒータ73からの熱と加圧ローラ72からの加圧力とにより、媒体P上のトナーは溶融定着する。こうしてトナー像が定着された媒体Pは、定着ローラ71とこれに連れ回る加圧ローラ72とによって、下流方向に配置された排出ローラ部80に搬送され、排出ローラ部80によって媒体堆積部90に向けて排出される。
【0024】
図2は、第1実施形態に係る画像形成ユニットの外観斜視図であり、(a)は前方斜め上方から見た斜視図であり、(b)は後方斜め上方から見た斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る画像形成ユニットの概略断面図である。
図4は、第1実施形態に係るトナーカートリッジの上下を逆にした外観斜視図であり、(a)は開口部が閉じた状態を示し、(b)は開口部が開いた状態を示す。
【0025】
図2及び
図3に示すように、画像形成ユニット100は、トナーを用いて静電潜像を可視化する現像部110と、現像部110に供給されるトナーを収容するための現像剤収容器としてのトナーカートリッジ120とを有している。このトナーカートリッジ120は、画像形成ユニット100に対して着脱自在に備えられる。
【0026】
図3に示すように、現像部110は、感光ドラム101、帯電ローラ102、供給ローラ103、現像ローラ104等を備えている。感光ドラム101は、前記したように、静電潜像が形成されて像担持体となるものである。帯電ローラ102は、感光ドラム101に一定電荷を与えて、感光ドラム101を帯電させるものである。供給ローラ103は、現像ローラ104側へ必要量のトナーを供給するものである。現像ローラ104は、トナーを帯電させ、感光ドラム101上に形成された静電潜像上に静電的に付着させて、一定層厚のトナー像を形成するものである。なお、
図3中の黒点はトナーを模式的に示している(以降の図面においても同様)。
【0027】
図3及び
図4に示すように、トナーカートリッジ120は、トナーカートリッジ120の外装部材を構成するアウターカートリッジ121を有している。このアウターカートリッジ121は、例えばポリスチンン等の流動性の良い樹脂で、水平方向に延びる筒状に成形されており、現像に用いるトナーを収容するものである。
【0028】
トナーカートリッジ120のアウターカートリッジ121は、現像部110にトナーを供給するための開口部122を有している。また、トナーカートリッジ120は、アウターカートリッジ121の開口部122を開閉するためのシャッタ123を備えている。シャッタ123は、円筒面の一部(円弧面)をなす形状を呈しており、開口部124を有している。
【0029】
シャッタ123にはレバー125が連結されている。レバー125を
図4(a)中の矢印A方向に回転させることにより、シャッタ123は、その円弧面の中心軸のまわりで回動され、シャッタ123の開口部124の位置とアウターカートリッジ121の開口部122の位置とが合致して、開口部122が開くように構成されている(
図4(b)参照)。これにより、トナーは、自重落下によって、開口部124,122を介して現像部110に供給され得る。また、レバー125を矢印A方向に回転させると同時に、係合機構(図示せず)によって、トナーカートリッジ120が現像部110に係合・固定されるように構成されている。
【0030】
トナーカートリッジ120は、当該トナーカートリッジ120を把持(掴持)する際の把持位置に、弾性を有する弾性部126a,126bを備えている。弾性部126a,126bは、ユーザが例えばトナーカートリッジ120の交換のための着脱時に把持する部分である。ここでは、弾性部126a,126bは、トナーカートリッジ120のアウターカートリッジ121の前面及び後面に形成された凹部127a,127bにそれぞれ嵌着され、接着剤等により固定されている。
【0031】
弾性部126a,126bは、ユーザがトナーカートリッジ120を把持した際に、把持方向に弾性部126a,126bが所定量以上変形する程度の弾性を有している。弾性部126a,126bの材料は、好ましくは多孔質の弾性部材(スポンジ材)であり、より好ましくはウレタンのスポンジ材である。あるいは発泡ポリエチレンが使用されてもよい。
【0032】
次に、前記のように構成された第1実施形態におけるトナーカートリッジの交換作業について説明する。
図5は、画像形成ユニットからトナーカートリッジを取り外す様子を示す概略図であり、(a)はトナーカートリッジを把持した状態を示し、(b)はレバーを回転させて開口部を閉じた状態を示し、(c)はトナーカートリッジを把持して上方に引き上げて取り外した状態を示す。
【0033】
画像形成装置10(
図1参照)は、媒体Pへの印刷を繰り返し行うことが可能であるが、印刷を繰り返すことで、トナーカートリッジ120に収容されているトナーが減少していく。そして、トナーカートリッジ120内のトナーが所定量以下になったことをセンサ(図示せず)が検出すると、画像形成装置10(
図1参照)は、表示部(図示せず)にその旨を表示してユーザに伝え、トナーカートリッジ120の交換を促す。ユーザは、交換を促す情報を受けると、トナーカートリッジ120の交換作業を行う。
【0034】
図5(a)に示すように、トナーカートリッジ120の交換時には、ユーザは、まずトナーカートリッジ120を画像形成ユニット100から取り外すために、弾性部126a,126bを把持する。ここで、弾性部126a,126bが把持方向に所定量以上変形する程度の弾性を有しているため、ユーザは、指が弾性部126a,126bの内方に食い込むようにして、トナーカートリッジ120を確実に把持することができる。
【0035】
続いて、
図5(b)に示すように、ユーザは、レバー125を矢印B方向に回転させる。トナーカートリッジ120の現像部110との係合を解除しながら、シャッタ123の開口部124が移動して、シャッタ123の開口部124でない部分がアウターカートリッジの開口部122を塞ぐ。
【0036】
最後に、
図5(c)に示すように、トナーカートリッジ120を矢印C方向に移動させて、トナーカートリッジ120を現像部110から取り外し、別のトナーカートリッジ120との交換を行う。なお、トナーカートリッジ120を画像形成ユニット100に取り付ける場合には、ユーザは前記と逆の操作を行う。
【0037】
図5(a)〜
図5(c)の状態の間、ユーザの指からトナーカートリッジ120の内側に向かって力F1,F2が発生しているが、これら力F1,F2は弾性を有する弾性部126a,126bに吸収される。これにより、トナーカートリッジ120の内部に急激かつ大きな圧力の変化を発生させることは無く、トナーカートリッジ120内に保持されたトナーに影響を与えることは無い。
【0038】
本実施形態では、弾性部126a,126bの材料としてウレタンのスポンジ材を用いたが、発泡ポリエチレンを用いても同様の効果が得られた。なお、前記材料よりも力F1,F2の吸収性が弱い発泡ポリプロピレンや発泡ポリスチレンを用いた場合には、復元力の反作用でトナーカートリッジ120の内部に圧力が掛かってしまい、前記材料を用いた場合よりも効果は小さかった。
【0039】
前記したように、第1実施形態に係る画像形成装置10において、現像部110に供給されるトナーを収容するためのトナーカートリッジ120が、画像形成ユニット100に対して着脱自在に備えられ、トナーカートリッジ120は、当該トナーカートリッジ120を把持する際の把持位置に、弾性を有する弾性部126a,126bを備えている。
【0040】
このような第1実施形態によれば、ユーザがトナーカートリッジ120を把持すると、弾性部126a,126bが把持方向に変形し、トナーカートリッジ120の持ち易さの向上及び確実な把持を図ることができると共に、トナーカートリッジ120を把持する際に発生する力F1,F2を、弾性部126a,126bに吸収させて緩和することができる。
【0041】
これにより、トナーカートリッジ120のアウターカートリッジ121を大きく変形させたり、アウターカートリッジ121の内部に大きな圧力を加えたりすることが無くなる。したがって、トナーカートリッジ120を把持した際にトナーが飛散等して漏出することを防止することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態に示した構成及び説明を援用するものとする。第1実施形態と相違する部分について主に説明する。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る画像形成ユニットを梱包した状態を示す外観斜視図である。
図7は、第2実施形態に係る画像形成ユニットの梱包状態における概略断面図である。
【0044】
図6及び
図7に示すように、梱包箱201は、輸送時に画像形成ユニット100aを梱包して収納するものである。緩衝材202a〜202dは、画像形成ユニット100aの底面と梱包箱201の底壁内面201bとの間に配置されて、輸送時の振動や衝撃を吸収するものである。
【0045】
第2実施形態に係るトナーカートリッジ120aは、当該トナーカートリッジ120aを把持する際の把持位置に、弾性を有する弾性部126cを備えている。弾性部126cは、第1の実施形態と同様に、例えばウレタンのスポンジ材から形成されている。
【0046】
弾性部126cは、トナーカートリッジ120aのアウターカートリッジの前面及び後面(把持位置)及び上面を覆うように延在しており、好ましくは一体的に成形されたものである。ここで、弾性部126cは、梱包箱201の上壁内面201aと接触し、画像形成ユニット100aを保護するための緩衝材の一部となっている。すなわち、弾性部126cは、ユーザがトナーカートリッジ120aの着脱時に把持するものであると共に、梱包箱201の上壁内面201aと接触して画像形成ユニット100aの上側を保護するための上側緩衝材を兼ねている。
【0047】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏することができることに加えて、次のような効果を奏する。
すなわち、ユーザの使用時(トナーカートリッジ120aの交換時)のみならず、例えば未使用状態である新品の画像形成ユニット100aを輸送する際に衝撃や振動が発生した場合であっても、トナーカートリッジ120aに取り付けられた弾性部126cによって衝撃や振動が吸収されるため、トナーカートリッジ120aの内部の圧力が上昇して、トナーカートリッジ120aと現像部110との間の隙間からトナーが漏出する事態を防止することができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態に示した構成及び説明を援用するものとする。第1実施形態と相違する部分について主に説明する。
【0049】
図8は、第3実施形態に係るトナーカートリッジを模式的に示す図であり、(a)は前方から見た概略図であり、(b)は(a)に示すD−D線に沿う概略断面図である。
【0050】
図8に示すように、第3実施形態に係るトナーカートリッジ120bは、トナーを内部に保持する現像剤保持部材131を備えている。また、トナーカートリッジ120bは、現像剤保持部材131の外部に位置する把持部材132と、現像剤保持部材131と把持部材132との間に形成される空隙H,Iと、空隙H,I内のエアを把持部材132の外部に排出するための経路133とを備える。ここで、把持部材132、空隙H,I、及び経路133は、トナーカートリッジ120bを把持する際の把持位置に設けられた弾性を有する弾性部134を構成する。
【0051】
把持部材132は、現像剤保持部材131に連結される支持部140と、当該支持部140に連設される把持部141,142とを有している。経路133は、把持部141,142の支持部140とは反対側の端部143の内方に形成される。現像剤保持部材131と把持部材132とは、一体成形されてもよいし、別体で成形されて相互に固着されてもよい。
【0052】
現像剤保持部材131は、現像部110(
図3等参照)にトナーを供給するための開口部135と、開口部135を開閉するためのシャッタ136と、開口部135とシャッタ136との間に設置されトナーの漏れを防止するためのシール部材137とを有する。
【0053】
シャッタ136は、軸部138のまわりで
図8(b)中の矢印E方向に開閉可能であり、トナーカートリッジ120bが画像形成ユニット100(
図3等参照)に装着された際に開放されて、トナーカートリッジ120b内のトナーが現像部110(
図3等参照)に供給されるようになっている。
【0054】
シール部材137は、多孔質の弾性部材であり、例えばウレタンのスポンジ材等から形成される。ここでは、経路133内に、シール部材137の一部が配置されている。但し、シール部材137とは別体の多孔質の弾性部材が経路133内に配置されてもよい。
【0055】
把持部材132の把持部141,142は支持部140によって支持され、シール部材137はスポンジ材等の多孔質の弾性部材から形成されているため、把持部141,142は、把持領域J,Kにおいてユーザにより把持されたとき、
図8(b)中の矢印F方向に弾性変形するように構成されている。
【0056】
次に、前記のように構成された第3実施形態におけるトナーカートリッジ120bの交換作業について説明する。
図9は、第3実施形態に係るトナーカートリッジを把持した状態を示す概略断面図である。
【0057】
ユーザは、トナーカートリッジ120bを画像形成ユニット100(
図3等参照)から取り外すために、把持部141,142の把持領域J,Kを把持する。このとき、把持部141,142が
図9に示すように凹状に湾曲して弾性変形すると共に、シール部材137の作用によって内方(
図8(b)中の矢印F方向)に弾性変形するため、ユーザはトナーカートリッジ120bを確実に把持することができると共に、把持部材132の変形力が現像剤保持部材131に伝わることが抑制される。
【0058】
また、ユーザが把持部141,142の把持領域J,Kを把持する際には、空隙H,I(
図8(b)参照)は、
図9に示すように潰されるため、把持前の空隙H,Iに充満していたエアの圧力が高まる。しかし、空隙H,Iはスポンジ状のシール部材137と接しているため、高圧のエアは、経路133内に配置されるシール部材137中を通過して、
図9中の矢印G方向に把持部材132の外部へ排出される。これにより、現像剤保持部材131の内部に急激かつ大きな圧力の変化を発生させることは無く、現像剤保持部材131内に保持されたトナーに影響を与えることは無い。
【0059】
前記したように、第3実施形態に係るトナーカートリッジ120bは、トナーを内部に保持する現像剤保持部材131と、トナーカートリッジ120bを把持する際の把持位置に設けられた弾性を有する弾性部134とを備えており、弾性部134は、現像剤保持部材131の外部に位置する把持部材132と、現像剤保持部材131と把持部材132との間に形成される空隙H,Iと、空隙H,I内のエアを把持部材132の外部に排出するための経路133とを備えている。
【0060】
このような第3実施形態によれば、ユーザがトナーカートリッジ120bを把持すると、弾性部134が把持方向に変形し、トナーカートリッジ120bの持ち易さの向上及び確実な把持を図ることができると共に、トナーカートリッジ120bを把持する際に発生するエア圧を経路133から逃がして緩和することができる。
【0061】
これにより、トナーカートリッジ120bの現像剤保持部材131を大きく変形させたり、現像剤保持部材131の内部に大きな圧力を加えたりすることが無くなる。したがって、トナーカートリッジ120bを把持した際にトナーが飛散等して漏出することを防止することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第3実施形態と共通する部分については、第3実施形態に示した構成及び説明を援用するものとする。第3実施形態と相違する部分について主に説明する。
【0062】
図10は、第4実施形態に係るトナーカートリッジを模式的に示す図であり、(a)は前方から見た概略図であり、(b)は(a)に示すL−L線に沿う概略断面図である。
【0063】
図10に示すように、第4実施形態に係るトナーカートリッジ120cは、トナーを内部に保持する現像剤保持部材131aを備えている。また、トナーカートリッジ120cは、現像剤保持部材131aの外部に位置する把持部材132aと、現像剤保持部材131aと把持部材132aとの間に形成される空隙Ha,Iaと、把持部材132aの側面(前面及び後面)に開設され空隙Ha,Iaと把持部材132aの外部とを連通する貫通孔133aとを備える。ここで、把持部材132a、空隙Ha,Ia、及び貫通孔133aは、トナーカートリッジ120cを把持する際の把持位置に設けられた弾性を有する弾性部134aを構成する。
【0064】
第4実施形態では、把持部材132aに形成された貫通孔133aは、空隙Ha,Ia内のエアを把持部材132aの外部に排出するための経路として機能する。現像剤保持部材131aと把持部材132aとは、一体成形されてもよいし、別体で成形されて相互に固着されてもよい。
【0065】
現像剤保持部材131aは、現像部110(
図3等参照)にトナーを供給するための開口部135と、開口部135を開閉するためのシャッタ136と、開口部135とシャッタ136との間に設置されトナーの漏れを防止するためのシール部材137aとを有する。シール部材137aは、多孔質の弾性部材であり、例えばウレタンのスポンジ材等から形成される。
【0066】
ここでは、現像剤保持部材131aの肉厚Tiと把持部材132aの肉厚Toとの関係は、Ti>Toに設定されている。このように構成すれば、把持部材132aが把持された際の把持部材132aの変形が現像剤保持部材131aに伝わり難くなる。また、把持部材132aと現像剤保持部材131aとは、接触領域Mにおいて接触しているだけで接着等の固着はされていない。
【0067】
次に、前記のように構成された第4実施形態におけるトナーカートリッジ120cの交換作業について説明する。
図11は、第4実施形態に係るトナーカートリッジを把持した状態を示す概略断面図である。
【0068】
ユーザは、トナーカートリッジ120cを画像形成ユニット100(
図3等参照)から取り外すために、把持部材132aの把持領域Ja,Kaを把持する。このとき、把持部材132aと現像剤保持部材131aとは接触領域Mにおいて接触しているだけであり、かつ、現像剤保持部材131aの肉厚Tiと把持部材132aの肉厚Toとの関係はTi>Toであることから、把持部材132aが
図11に示すように凹状に湾曲して弾性変形するため、ユーザはトナーカートリッジ120cを確実に把持することができると共に、把持部材132aの変形力が現像剤保持部材131aに伝わることが抑制される。
【0069】
また、ユーザが把持部材132aの把持領域Ja,Kaを把持する際には、空隙Ha,Ia(
図10(b)参照)は、
図11に示すように潰されるため、把持前の空隙Ha,Iaに充満していたエアの圧力が高まる。しかし、高圧のエアは、貫通孔133aを通過して、
図11中の矢印N方向に把持部材132aの外部へ排出される。これにより、現像剤保持部材131aの内部に急激かつ大きな圧力の変化を発生させることは無く、現像剤保持部材131a内に保持されたトナーに影響を与えることは無い。
【0070】
このような第4実施形態によれば、前記第3実施形態と同様の効果を奏することができることに加えて、次のような効果を奏する。
すなわち、第3実施形態のように把持部材132の端部143をシール部材137に接触させるような構造を採る必要が無いため、シール部材137a及び把持部材132aの小型化が可能となる。
【0071】
以上、本発明について、第1〜第4実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0072】
例えば、前記実施形態では、プリンタを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンタ部とスキャナ部を備える複合機等の画像形成装置にも適用可能である。
【0073】
また、前記実施形態では、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば感光体上に形成されたトナー画像を一旦中間転写ベルト上に転写し、中間転写ベルト上に形成された各色のトナー画像を一括して媒体上に転写する中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0074】
また、前記実施形態では、はカラー画像を形成する画像形成装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばモノクロ画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
【0075】
また、前記実施形態では、LEDを用いて感光ドラムに静電潜像を与えるLED方式の画像形成装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレーザを用いて感光ドラムに静電潜像を与えるレーザ方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0076】
また、前記第4実施形態では、貫通孔133aが把持部材132aの側面(前面及び後面)に開設されているが、把持部材132aの底面や上面に開設することも可能である。