(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被覆材をクッション成形体に係止するための係止連結部材であって、該係止連結部材は、第1の主表面及び該第1の主表面に対向する第2の主表面を有する帯状基布であって、該第2の主表面の少なくとも一部に該帯状基布の長さ方向に沿って立設されたループ係合素子部、及び、該ループ係合素子部の両側に長さ方向に延在する連結部となる領域を有する主体部と該主体部の少なくとも一方の長さ方向端末部に配設された位置決め部材とからなり、該ループ係合素子部の両側の該連結部となる領域を該第1の主表面を内側にして筒状部が形成されるようにして対向させて被覆材連結部を形成しており、該位置決め部材の先端には、該クッション成形体に穿設された開孔に挿入可能な膨頭状の突起部を有しており、該位置決め部材は該ループ係合素子部の始点部が該クッション成形体の溝部に配設されたフック係合素子部の始点部に係合するよう配設されていることを特徴とする被覆材の係止連結部材。
前記第1の主表面上にさらに樹脂層A及び/又は樹脂層Bを有し、該樹脂層Aは該帯状基布の長さ方向に沿って中央部に不連続に形成され、該樹脂層Bは該帯状基布の長さ方向に沿って該帯状基布の両端部に連続または不連続に形成され、かつ、該樹脂層A及び該樹脂層Bの両方を有している場合には該樹脂層Aと該両端部の樹脂層Bとの間には樹脂層が形成されていない領域を有し、該両端部の樹脂層Bが第1の主表面が内側になるように対向されて被覆材連結部を形成している請求項1に記載の被覆材の係止連結部材。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の係止連結部材の主要構成である基布及びループ係合素子部について、
図1を参照して説明する。
図1(A)に示す本発明の係止連結部材の主体部1において、基布2は全幅がWで第1の主表面3及び第2の主表面4を有し、第2の主表面4側にループ係合素子部5が幅wで立設され、ループ係合素子部5の両側は、
図3(A)に示すようにループ係合素子部5と縫製等により被覆材とを連結するための連結部7として機能するような幅寸法としている。一方、
図1(B)に示す係止連結部材の主体部1'においては、第2の主表面4'側に両側端の耳部を除いて、基布2'のほぼ全幅に亘ってループ係合素子部5'が立設されている。また、係止連結部材の主体部の他の態様としては、図示を省略するが、基布の両側端部に耳部を形成することなく全幅に亘ってループ係合素子部が立設されたものであってもよい。かかる係止連結部材の主体部は、ループ係合素子が立設された広幅のものを、所定幅にカットして得ることができる。
帯状の係止連結部材の主体部1は、
図3(A)に示すように第1の主表面側が内側となるように2つ折りにし、所定部位で縫製、熱融着、又は接着等により第1の主表面同士の固着部8が形成される。筒状部9の内周には空洞部10を有している。なお、固着部8は、被覆材への縫着部により形成されてもよい。
また、
図3(B)に示すように、ループ係合素子部5のみにより円筒を形成し、その内周に可撓性棒状芯材10Rを挿入し、さらに必要に応じて可撓性棒状芯材の外周と第1の主表面とを接着剤等により固着した構成とすることができる。可撓性棒状芯材10Rは、
図3(B)においては、円筒の内周を満たす外径の場合を例示しているが、芯材の機能、すなわち、係止連結部材の主体部のループ係合素子部をクッション成形体側へ確実に引き込むという機能を有していれば、細い外径のものであってもよい。
【0014】
本発明で使用するループ係合素子の基布は、編布製又は織布製のいずれであってもよい。しかしながら、編布製基布の係止連結部材が、伸縮性が優れる点から好ましく、基布にループ係合素子がラッセル編みにより形成されたループ係合素子部が特に好ましい。経糸、緯糸及びループ糸を織成して得られる織布製の係止連結部材は、基布の地組織が強固であるので柔軟性が低く、複雑な曲線状及び曲面状の溝に適合するのに限界がある。ラッセル編みしたループ係合素子を有する係止連結部材は、変形しやすい糸及び編構成であり、かつ地組織が疎な構造で編糸間の隙間が大きいので変形が容易である。
以下、編布製の基布にループ係合素子を編成する場合を中心に説明する。
【0015】
ループ係合素子部に用いる繊維は、通常の布帛に使用される繊維であればよく、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維などが使用される。また、マルチフィラメントが好ましく、マルチフィラメントにモノフィラメントを混合してもよい。ループを構成するマルチフィラメントは、好ましくは5〜50本、より好ましくは10〜40本、さらに好ましくは15〜35本のフィラメントが無撚のストレートの状態で引き揃えられてマルチフィラメントを形成している、いわゆる生糸が好ましい。マルチフィラメントの太さとしては100〜250dtexが好ましい。一方、ループ係合素子部の生地を構成するマルチフィラメント糸としては、200〜400dtexでフィラメント数が50〜150本の仮撚加工糸またはその合撚糸が好ましい。
【0016】
ループ係合素子部は、公知の編布製造装置を用いて、公知の方法により製造される。ループ係合素子部は基布と一方の表面に形成されたループ係合素子部からなる。ループ係合素子部の幅(基布の幅)は、クッション部材の大きさ、溝の幅と深さに応じて適宜選択されるが、通常10〜80mmである。ループ係合素子部の高さ及び立設密度は、必要とされるフック係合素子部との係合力に応じて決められるが、高さは1〜5mm、立設密度は(マルチフィラメントの場合には、マルチフィラメントからなるループを1個とカウント)20〜80個/cm
2であるのが好ましい。ループ係合素子部は基布の一方の表面全体に形成されていてもよい。しかし、後述するように、一方の表面全体に存在するループ係合素子部の全てがクッション部材の溝部底面に設けられたフック係合素子部との係合に関与するわけではないので、基布の長さ方向に沿う中央部のみに、クッション部材の溝部底面に設けられたフック係合素子部に効果的に係合するように形成するのがより好ましい。
【0017】
ループ係合素子部(一方の表面にループ係合素子が形成された基布)の伸縮性は伸縮率及び伸縮弾性率で評価した。伸縮率は縦方向(長さ方向)で3%以上が好ましく、より好ましくは4〜15%、伸縮弾性率は45%以上が好ましい。
【0018】
ループ係合素子部(面ファスナー)の伸縮率及び伸縮弾性率は次のようにして求めた。垂直に保持したTcm幅ループ係合素子部の自由端に、T×2.5gの初期荷重(2.5g/cm)を掛け、30秒後の長さ(元長さ(a))を測定した。次に、T×250g(250g/cm)の荷重をかけ、30秒後の長さ(荷重時長さ(b))を測定した。荷重除去し、2分間放置した後に、再び初期荷重を掛け、30秒後の長さ(荷重履歴後長さ(c))を測定した。伸縮率は荷重時変形量を元長さで除した値、すなわち[100×(b−a)/a]であり、伸縮弾性率は回復量を荷重時変形量で除した値、すなわち[100×(b−c)/(b−a)]である。
【0019】
本発明では、基布とループ係合素子がラッセル編みにより形成されたループ係合素子部を用いることが好ましい。ラッセル編みループ係合素子部は公知のラッセル編み装置を用いて公知の方法により製造される。
【0020】
ループ係合素子部を有する面(第2の主表面)に対向する面(第1の主表面)には、樹脂層を設けることができる。樹脂層は、ループ係合素子部の長さ方向に沿って、中央部及び/又は両端部に形成される。中央部に形成する樹脂層(樹脂層A)は長さ方向に不連続である。両端部に形成する樹脂層(樹脂層B)は長さ方向に連続でも不連続でもよいが連続であるのが好ましい。
【0021】
樹脂層Aはループ係合素子部を裏面から補強する効果を有する。樹脂層Aにより補強されていると、ループ係合素子部を、クッション部材の溝部底面に設けられたフック係合素子部に押圧し易く、より強固な係合を得ることができるので好ましい。クッション部材の溝部が二次元的、三次元的に複雑な形状を形成している場合、係止連結部材、特に係止連結部材のループ係合素子部形成部分は、溝部開口部の形状に応じて自由に変形することが必要である。そのために、樹脂層Aは長さ方向に不連続に形成する。不連続にすると、樹脂層Aを形成した部分(裏面にループ係合素子部を有する)の変形が容易になり、複雑な形状の溝部に係止連結部材を押入する操作が容易になる。
【0022】
2つの樹脂層Bは係止連結部材の使用に際して被覆材に取り付けるための被覆材連結部を形成する。また、係止連結部材をクッション部材の溝部に押入する際に、溝部の形状に応じて係止連結部材を直線状または湾曲状に保持する効果を有する。これにより、被覆材の固定作業が簡便になり、また、溝部に沿って被覆材を正確に固定することができる。
【0023】
樹脂層AとBを形成するための樹脂は柔軟であり、ループ係合素子部を形成する繊維と親和性があることが好ましい。ポリエステル繊維やポリアミド繊維に対しては合成ゴム、ポリウレタン、軟質ポリエステル、軟質ポリアミド、軟質ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂などが使用できる。
【0024】
樹脂層AとBは、例えば、塗布法(ホットメルト法、スキージング法など)、接着法、融着法などの公知の方法により、前記樹脂をループ係合素子部の基布に一部進入する状態で50〜300g/m
2塗布することにより形成される。樹脂層AとBの幅は、係止連結部材の幅によって適宜決められるが、それぞれ3〜30mmが好ましい。厚さは、好ましくは0.1〜4mmである。樹脂層Aの幅と厚さは樹脂層Bのそれらと同一でも異なっていてもよく、2つの樹脂層Bの幅と厚さも同一でも異なっていてもよい。また、樹脂層AとBは係止連結部材の幅方向に不連続であっても連続であってもよい。
【0025】
長尺のループ係合素子部は、被覆材の固定作業を容易かつ精確に行うのに十分である程度の変形性を有することが好ましい。そのためには、ループ係合素子部の基布の柔軟性と共に樹脂層AとBの柔軟性も適度であることが好ましい。樹脂層が形成されていない部分の基布の撓み抵抗力は、20g以下であるのが好ましく、10〜20gであるのがより好ましく、15〜18gであるのがさらに好ましい。また、樹脂層AまたはBを形成した部分の撓み抵抗力は25g以上であるのが好ましく、25〜80gであるのがより好ましく、30〜60gであるのがさらに好ましい。上記数値はいずれも帯状基布の幅方向の値である。上記範囲内であると、係止連結部材が柔らかすぎることがなく取り扱いが容易であり、また、変形性が適度であり、被覆材に装着した係止連結部材を溝に沿って変形させることが容易である。
【0026】
撓み抵抗力は、(株)大栄科学精器製作所製の撓み抵抗試験機“HOM−200”を用いて以下のようにして測定した。幅40mm、長さ200mmの樹脂層を形成した試料または形成していない試料(基布)を、撓み抵抗試験機のスリット(幅20mm)に長さ方向が直角になるように試料を戴置した。次いで、幅2mmの押圧板で下方向に試料に荷重をかけた。試料が、スリット面から下方向に10mm変形したときの荷重を測定し、撓み抵抗力とした。測定は第1の表面側から押圧した。
【0027】
以下図面を参照して本発明に用いる樹脂層を有する係止連結部材を説明する。
図4は本発明の係止連結部材の主体部11の一例を示す斜視概略図である。
図5は
図4の線V−Vに関する断面図である。
【0028】
図4及び5において、基布12の第2の主表面中央部には係止連結部材11の長さ方向に沿ってループ係合素子部13が立設されている。基布12の第1の主表面中央部には樹脂層14(樹脂層A)が係止連結部材11の長さ方向に不連続に形成されている。樹脂層14の連続部及び不連続部の長さ、形状は必要とする変形容易性に応じて適宜決められる。樹脂層14はループ係合素子部13をその反対面から補強するように形成するが、樹脂層Aとループ係合素子部13の幅は同一でも異なっていてもよい。
【0029】
係止連結部材11の長さ方向に沿う両端部には樹脂層15,16(樹脂層B)が形成されている。必要に応じて、樹脂層15,16の幅方向外側に樹脂層が形成されていない耳部を設けてもよい。樹脂層14と樹脂層15,16の間には樹脂層が形成されていない領域が存在する。該領域の幅は2〜10mmであるのが好ましい。該領域が存在することにより、使用に際して、係止連結部材の両端部を上方に立ち上げ被覆材連結部を形成する操作が容易になる。また、係止連結部材に適度な柔軟性及び変形性を付与する。
【0030】
本発明の樹脂層を有する係止連結部材においては、樹脂層14のみを形成してもよいし(
図6)、樹脂層15,16のみを形成してもよい(
図7)。
【0031】
図8及び9は、本発明の係止連結部材の使用態様例を示す図である。例えば、
図4に示した係止連結部材を使用する場合、両端の樹脂層15と16を第1の主表面が内側になるように上方に立ち上げ、樹脂層15と樹脂層16を対向させて被覆材連結部17を形成する。
図8に示すように、樹脂層15と樹脂層16の間隙に2枚の被覆材(図示せず)の端部を挿入し縫製、接着剤などにより被覆材と樹脂層15,16を固着させ、係止連結部材を被覆材に取り付ける。また、
図9に示すように、樹脂層15と樹脂層16を対向、密着させ、2つの樹脂層の外側に2枚の被覆材をそれぞれ固着させ、係止連結部材を被覆材に取り付けることもできる。
図9の被覆材連結部17に樹脂を付与して樹脂層15と樹脂層16を一体化してもよい。
図8,9において、樹脂層14はほぼ平坦であるが、クッション部材の溝部底部に形成されるフック係合素子部(フック面ファスナー)の形状に応じて、わずかに凹または凸状に湾曲してもよい。また、
図8,9に示すように、樹脂層14から立ち上がる側部12は、平滑でループ係合素子部が存在しないことが好ましい。ループ係合素子部が存在すると、狭い溝部へ係止連結部材を押入する際に、抵抗となり作業効率が低下し、また、ループ係合素子部13とクッション部材の溝部底部のフック係合素子部との係合位置が不正確になることもある。
【0032】
次に本発明を構成する位置決め部材について説明する。本発明において、位置決め部材は、係止連結部材の少なくとも一方の長さ方向の端部に、ループ係合素子部の始点部より先端側に固着される。
位置決め部材は、クッション成形体側のフック係合素子部の始点部と正確な位置合せができるような位置関係を満足するように設けられる。
【0033】
クッション成形体側の位置決めの目標点としては、溝端部から所定の距離の位置や、クッション成形体にフック係合素子部をモールドイン成形する際にフック係合素子部の末端部に延長して付設した何らかの目印等であってもよい。
しかしながら、本願の係止連結部材は、自動車用座席などに使用されるので、クッション成形体側に位置決め用凹部を設け、係止連結部材側の位置決め部材は、当該位置決め用凹部に挿入可能な突起状を呈しているものが、被覆材取付け時の押込み方向と一致するので好ましい。
【0034】
以下、本発明の係止連結部材の位置決め部材の第1の態様について図面により説明する。
図10は本発明の係止連結部材1bを取り付けた被覆材Cをクッション成形体21の溝部22に固定する方法の一例を示す概略図である。クッション成形体21の溝部底部には、
図11に断面図として示すように、フック係合素子部23が立設されており、その始点Sfから所定の位置に開孔24が設けられている。本実施態様において、係止連結部材1bは、
図3(B)に示すように、ループ係合素子部5内周の筒状部に可撓性棒状芯材10Rを取付けたものであり、末端にはフック係合素子部の始点部Slから所定の位置にキャップ状位置決め部材20が取付けられている。
キャップ状位置決め部材20の先端には膨頭状の突起部201を有し、クッション成形体21に穿設された開孔24に挿入されるようになっている。
膨頭状の突起部201とすることによって、開孔24との摩擦力を増して浮き上がりや、振れを少なくして、位置決めの正確化を図ることができる。
また、クッション成形体の開孔24に、位置決め部材20を挿入させた時に、突起部が入った装着感が得られる。
【0035】
キャップ状位置決め部材の一例について、
図12を用いて説明する。
図12(A)の斜視図に示すキャップ状位置決め部材20は、熱可塑性樹脂の射出成形品からなり、前端側に膨頭状の突起部201を有し、後端側には、可撓性棒状芯材10Rとその外周の基布及び/又はループ係合素子部(「係止連結部材の主体部」)を把持するための挟着部202を有している。
図12(B)に展開図として示すように、挟着部202は、ヒンジ203を介して半円筒状の2つの挟着片204a、204bからなる。さらに挟着片204aには、2つの小突起205と鉤状突起207が付設され、対向する挟着片204bには、前記小突起205と係合する2つの孔206と鉤状突起207と係着可能な角孔状係合部208を有している。挟着片204a、204bよって係止連結部材の主体部の外周を包囲し、上部の鉤状突起207と角孔状係合部208を係着すると、小突起205と孔206も係合し、係止連結部材の主体部を挟着することができる。鉤状突起207と角孔状係合部208とは、鉤状突起207の先端部が角孔状係合部208に挿入時には、挟着部の中心軸側に変曲することによって挿入可能となり、挿入完了後には、鉤状突起207が外側に復元し、鉤状突起207の鉤部と角孔状係合部208の角孔部とが係着する構成としているので、2つの挟着片が開いて、位置決め部材20が係止連結部材の主体部から脱落したりする危惧がない。なお、挟着片内周と係止連結部材の主体部との固着をより完全にするため、必要に応じて、さらに接着剤や、熱融着等によって固着してもよい。
【0036】
また、キャップ状位置決め部材は、係止連結部材の主体部との接合を嵌着可能な構成にしてもよい。具体的には、
図13に斜視図として示す嵌着型の位置決め部材20bは、前端側に膨頭状の突起部211を有し、後端側には、係止連結部材主体部を嵌入可能な嵌着部212を有している。嵌着部212は、係止連結部材の主体部の外径に適合した内径を有している。係止連結部材の主体部との接合を考慮して、嵌着部212は、完全な円管状とすることなく、一部にスリット部を設けて係止連結部材主体部を挿入する場合に内径が拡径するようにしてもよい。また鉛筆等のキャップのように、入口部は内径を大きめにして、挿入し易くし、奥側で嵌着する構造としてもよい。
【0037】
係止連結部材1bに用いられる可撓性棒状芯材10Rとしては、柔軟性樹脂または発泡樹脂からなる樹脂体とするか、又は柔軟性樹脂からなる中空のパイプ状とすることができる。柔軟性樹脂としては、軟質の各種ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂やエラストマーなどを用いることができる。発泡樹脂としては、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタンなどを用いることができる。
【0038】
また、必要に応じて金属製の中空パイプ、或いは鋼線等の針金等を用いることもできる。
芯材として鋼線等の針金等や塑性変形が可能な合成樹脂性線状材を用いる場合には、当該芯材を延長して、クッション成形体21の溝部22の開孔24に向けて折り曲げ、さらにその先端部を折り曲げてループを形成する等して、当該ループを位置決め部材と兼ねるようにしてもよい。
【0039】
この態様の一例について
図16及び
図17に示す。
図16に示す係止連結部材は、その主体部1として、2つ折りした第1の主表面同士の上部側を連結部兼固着部として重ね合わせ、2枚の被覆材Cと直接縫着した状態を示している。そして、この態様では、芯材10Wとして、例えば鋼線を使用することができ、当該芯材10Wは空洞部10の内周長(見かけの内径)と比較して、細径ではあるが、芯材としての機能は有している。さらに、芯材10Wは両端側で、クッション成形体側にそれぞれ略L状に折り曲げ、さらに先端部を湾曲させたループを位置決め部材80とすることが可能な、芯材兼位置決め部材を準備しておく。そして、この芯材10Wを空洞部10に挿通して、
図16に示すような被覆材が固着された係止連結部材としている。
この係止連結部材は、
図17に示すように、クッション成形体21の溝部において、クッション成形体の位置決め用開孔24に芯材10Wに延在するループ状位置決め部材80を係合させて、ループ係合素子部の始点部Slとフック係合素子部の始点部Slとを一致させ、しかる後ループ係合素子部とフック係合素子部とを係合させる。
なお、この場合において、少なくとも被覆材Cの取り付け作業を始めに行う側のループ係合素子部の始点部の近傍では、芯材10Wと、空洞部10の内周との接触部で接着剤等により固着しておけば、位置決め部材80とループ係合素子部の始点部との距離が一定となるので、フック係合素子部の始点部との位置合せがより正確となり、望ましい。
【0040】
被覆材Cをクッション成形体21の溝部22に固定するには、先ず位置決め部材の突起部201をクッション成形体側の開孔24と係合させて、係止連結部材側のループ係合素子部の始点部Slとクッション成形体側のフック係合素子部の始点部Sfとが一致するようにして、ループ係合素子部の始点部Sl側から係止連結部材を長手方向に順じ溝底部のフック係合素子部側に押付けることによって、係止連結部材に固着された被覆材Cに皺やたるみを生ずることなく美麗に被覆ができる。
被覆材としては、編織物、天然繊維または合成繊維の不織布、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタンなどの発泡合成樹脂シート、天然または人工皮革シート、それらの積層体などが用いられる。クッション成形体としては、発泡ウレタン、合成繊維積層体、天然繊維フェルトなどが用いられる。
【0041】
次に、本発明の係止連結部材の位置決め部材の第2の態様について図面により説明する。
図14は、樹脂層を有する係止連結部材11の帯状基布による樹脂層15、16付きの連結部17との間に位置決め部材30の平板部を挟み込んで固着した位置決め部材付き係止連結部材11を、クッション成形体21に取り付ける前の状態を示している。位置決め部材30は
図15にZ−Z線断面図として示すように、クッション成形体21の溝22の底部に穿設された開孔24と係合する突起部301とその後端側に平板部302を有している。位置決め部材30の材質は、平板部302を、
図8に示す連結部17と縫製により固着するのが実用的なので、ミシンにより縫製が可能な厚みと物性になるよう合成樹脂を選択して、所定の厚みとされている。突起部301とその後端側に平板部302とは、射出成形等により一体の構成にするのがコスト的に望ましいが、別個のものを相互に固着したものであってもよい。
【0042】
被覆材Cをクッション成形体21の溝部22に固定するには、先ず位置決め部材の突起部301をクッション成形体側の開孔24と係合させて、係止連結部材側のループ係合素子部13の始点部Slとクッション成形体側のフック係合素子部23の始点部Sfとが一致するようにして、ループ係合素子部13の始点部Sl側から係止連結部材を長手方向に順じ溝底部のフック係合素子部23側に押付けることによって、係止連結部材11に固着された被覆材Cに皺やたるみを生ずることなく美麗に被覆ができる。
【0043】
位置決め部材を平板部により係止連結部材の連結部と取着する他の例について説明する。
図18は、平板部302に円筒状突起305が固着された位置決め部材40を用い、平板部302を、ループ係合素子部13(5)を有しない基布12又は2で挟んで縫製により固着し、溝底の開孔24と対峙させた状態を示す斜視図である。
図19(A)は、円筒状突起306の上部に、同幅の平板部302を有する位置決め部材50を基布12又は2に取り付ける前の状態、同図(B)は取り付け後の状態を示す斜視図である。
なお、ループ係合素子部13(5)を有しない基布12又は2は、ループ係合素子部13(5)を長さ方向に間欠的に立設するか、一旦立設したループ係合素子部のループを除去するか、樹脂等を固着するなどして、フック係合素子部と係合しないようにしたものが好適である。
また、平板部302の基布12又は2への固着(固定)は、必ずしも2枚の基布間に平板部302を挟みこむ必要はなく、2枚重ね状の基布に平板部302を重ねて固着してもよい。固着は、ミシンによる縫着が実用的である。
【0044】
クッション成形体に設けられた位置決め用凹部として、溝底部の所定の位置に開孔を設けた場合については既に説明した。
一方、本発明においては、クッション成形体に設けられた位置決め用凹部に雌部材を装着し、位置決め部材の突起部(雄部)と嵌合又は係着可能に構成することができる。嵌合又は係着の方式としては、例えば、突起部と孔の組み合わせでは、孔部に挿入する際には、突起部側が縮径し、挿入完了後に所定の径に復元させる構造や、雌部材の孔に後端からばね材によりピン状物を付勢して、雄部材挿入後に雄部材の凹部と係着させる方式などが例示される。
図20は、位置決め部材として円筒状のクリップ303と溝底部に固着された半割り状受け部材241の組み合わせからなる位置決め部材60を斜視図で示している。
図21は、矢尻状の突起304と、溝底部に固着された前記矢尻状の突起304の外径を受容できる内径を有する円環材242との組み合わせからなる位置決め部材70を斜視図で示している。
このように嵌合又は係着可能な組み合わせとすれば、感触や、音によって、ループ係合素子部側とフック係合素子部側との位置決めが正確に行われたことが確認しやすいので、双方の始点部のより正確な一致と、被覆材の取付け作業の効率化を図ることができる。
【0045】
本発明の被覆クッション成形体の製造方法は、前記の被覆材の係止連結部材の連結部に被覆材を縫着し、クッション成形体のフック係合素子部が埋設された部位を含む溝部において、フック係合素子部の始点部から所定位置に設けた開孔、係着又は嵌着部材と、該係止連結部材の位置決め部材とを当接又は係着させた後に、該係止連結部材のループ係合素子部の始点部とクッション成形体のフック係合素子部の始点部とを一致させ、該ループ係合素子部の始点部から係止連結部材を長手方向に順じ溝底部のフック係合素子部に押付けることによって、フック係合素子部とループ係合素子部とを係合させて、被覆材をクッション成形体に固定させて被覆する工程を含む製造方法である。
位置決めがされる前にフック係合素子部とループ係合素子部が係合するのをより確実に防ぐためには、ループ係合素子部側に剥離紙等を介在させて、位置決め後に、逐次当該剥離紙を除去しながら係止連結部材を溝底部側へ押込んで被覆材をクッション成形体に固定させることもできる。
【0046】
本発明は、前記の製造方法により得られた被覆クッション成形体をも提供する。
【0047】
本発明の被覆材の係止連結部材によれば、クッション部材の溝への正確な位置合せが容易であり、複雑な曲線形状の溝に容易に対応できる、柔軟で長尺な被覆材の係止連結部材を提供できる。また、本発明の被覆クッション成形体の製造方法は、クッション成形体側のフック係合素子部と係止連結部材側のループ係合素子部との位置ずれによる作業のやり直し等の発生が少ない、作業能率が改善された工法を提供することができる。また、本発明の被覆クッション成形体によれば、被覆材に弛み、皺等のない美麗な被覆クッション成形体を提供できる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例に従ってより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0049】
実施例1
<係止連結部材の主体部の製造>
下記の原糸を用い、ラッセル編みにより基布とループ係合素子部を形成した係止連結部材の主体部を使用した。
(1)原糸
クサリ糸:PET加工糸 330T/96F
緯挿入糸:PET加工糸 330T/96F//2
ループ糸:PET生糸 167T/30F
(2)編み構造
ラッセル編み 16inゲージ
縦密度:32コース/in
ループ密度:160個/in
2 ループ高さ:2mm
テープ幅(W):40mm 中央ループ幅(w):10mm
目付:9g/m
(3)伸縮性
伸縮率:4%、伸縮弾性率:48%
【0050】
<係止連結部材の製造>
上記の係止連結部材の主体部は、
図1に斜視図及び
図2に断面図に示す形状であり、40mm幅の基布2の第2の主体面の中央部に幅10mmでループ高さ2mmのループ係合素子部が形成されている。この係止連結部材主体部としての帯状基布の第1の主表面が対向するように幅方向両端部を重ね合わせて、第2主表面のループ係合素子部の幅10mmで筒状部外周が形成されるように、第1の主表面側に低密度ポリエチレン製の外径3.5mmの線材を可撓性棒状芯材として、
図3(B)に示す断面構造で位置決め部材未着の係止連結部材を作製した。可撓性棒状芯材の外周と第1の主表面とをホットメルト接着剤等により固着した。
図3(B)において主体面同士の固着部8の上方に、約11mmの被覆材との連結部6兼固着部7(以下、「被覆材連結部」という。)を立ち上げた。
該被覆材連結部に2枚の被覆材C(ポリエステル繊維製の丸編地(株)クラレ製)を縫製して固着した係止連結部材主体部に、位置決め部材20を取り付けた。該位置決め部材20は、
図12に示すもので、その構成は既に説明済である。挟着部の内径5.5mm、長さ24mmであり、前記可撓性棒状芯材とループ係合素子部を含む見かけの外径を約5.5mmとして、挟着部202に収納し、挟着片204a、204bを係合させて係止連結部材の先端に位置決め部材20を固着した。
位置決め部材20は
図11において、ループ係合素子部5の始点部Slから突起部201の中心までの距離が35mmになるように固着した。次いで、曲線状の溝部22を有し、該溝部の底部に開孔24とフック係合素子部23が立設されている発泡ウレタン製クッション成形体の開孔24に位置決め部材20の先端部を挿入して、フック係合素子部23の始点部Sfとループ係合素子部5の始点部Slとを一致させ、しかる後係止連結部材を順じ、溝部に押込んで前記被覆材を固定し自動車用シートを作製した。位置決め部材によりフック係合素子部23の始点部Sfとループ係合素子部13の始点部Slとを一致させたので、相互の始点部のずれによる被覆材の不具合は発生せず、円滑に被覆材の固定作業ができた。
【0051】
実施例2
<樹脂層付き係止連結部材の主体部の製造>
実施例1に用いたものと同一の係止連結部材主体部の帯状ループ係合素子部のループ係合素子部形成面(第2の主表面)に対向する面(第1の主表面)の中央部に長手方向に沿ってポリアミド系樹脂(“マイクロメルト6211”(株)ヘンケル社製)を用いて不連続樹脂層Aを形成した(幅10mm、厚さ120μm、10mm/5mmピッチ(塗工部/非塗工部))。さらに、前記ポリアミド系樹脂を用いて該帯状ループ係合素子部の両端部に連続樹脂層Bを形成し(幅10mm、厚さ150μm)、
図4と同様の構成の係止連結部材主体部を製造した。得られた係止連結部材の主体部の樹脂層形成部分の撓み抵抗力は60g、非形成部分の撓み抵抗力は18gであった。
【0052】
該係止連結部材の主体部の両端部の樹脂層Bを第1の主表面が内側になるように上に立ち上げ、
図8に示すように対向させて被覆材連結部17を形成した。該被覆材連結部に2枚の被覆材(ポリエステル繊維製の丸編地(株)クラレ製)の端部、及び長さ方向端部には、
図14、
図15に示す位置決め部材30を挿入し、縫製して係止連結部材の主体部に位置決め部材30及び被覆材Cを取り付けた。なお、位置決め部材30は、低密度ポリエチレンにより、平板部の厚みが1.0mm、突起部301の外径が5mmで、先端に直径6.5mmの膨頭部を有している。
図15において、ループ係合素子部13の始点部Slから突起部301の中心までの距離を7.5mmとした。次いで、曲線状の溝部22を有し、該溝部の底部に開孔24とフック係合素子部23が立設されている発泡ウレタン製クッション成形体の開孔24に位置決め部材30の先端部を挿入して、フック係合素子部23の始点部Sfとループ係合素子部13の始点部Slとを一致させ、しかる後係止連結部材を順じ、溝部に押込んで前記被覆材を固定し自動車用シートを作製した。位置決め部材によりフック係合素子部23の始点部Sfとループ係合素子部13の始点部Slとを一致させたので、相互の始点部のずれによる被覆材の不具合は発生せず、円滑に被覆材の固定作業ができた。また、係止連結部材は曲線形状に従って容易に変形し、また、溝部内部への押入も抵抗なく行うことができ、係止連結部材のループ係合素子部と溝部底部のフック係合素子部を強固に係合させることができた。得られた自動車用シートに着座したところ座り心地がよく、また、長時間着座しても被覆材は弛んだりずれたりすることはなかった。
【0053】
比較例1
実施例1において、係止連結部材に位置決め部材20を取付けない他は、実施例1と同様にしてクッション成形体への被覆材の固定を行ったが、フック係合素子部23の始点部Sfとループ係合素子部13の始点部Slとが一致しないため、被覆材の捩れが生じ、固定作業のやり直しが必要となった。