特許第5690719号(P5690719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690719葉菜類の含水率低下方法及び含水率低下装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690719
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】葉菜類の含水率低下方法及び含水率低下装置
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/06 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   A23F3/06 301F
   A23F3/06 S
   A23F3/06 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-509272(P2011-509272)
(86)(22)【出願日】2010年4月9日
(86)【国際出願番号】JP2010056410
(87)【国際公開番号】WO2010119812
(87)【国際公開日】20101021
【審査請求日】2012年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2009-99742(P2009-99742)
(32)【優先日】2009年4月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹目 正巳
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 章雄
(72)【発明者】
【氏名】萩野 朋美
【審査官】 一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−000047(JP,A)
【文献】 特開平08−173038(JP,A)
【文献】 特開平11−169076(JP,A)
【文献】 特開平02−042933(JP,A)
【文献】 讃井眞一,“ドラムドライヤーによる食品乾燥”,粉体と工業,2003年12月 1日,Vol.35, No.12,p.29-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/06
A23B 7/02
A23B 7/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解きほぐした茶葉の少なくとも難乾燥部分を、0.1mm〜0.4mmの間隙幅を有する並列したローラの押圧体で押し潰し、押し潰した茶葉を加熱体で100℃〜160℃の範囲で5秒〜30秒間伝導加熱する茶葉の含水率低下方法。
【請求項2】
振動コンベアで茶葉を解きほぐす請求項1に記載の茶葉の含水率低下方法。
【請求項3】
前記ローラの周面を加熱体とした請求項1又は2に記載の茶葉の含水率低下方法。
【請求項4】
0.1mm〜0.4mmの間隙幅を有する並列したロールを備え、その間隙で茶葉の少なくとも難乾燥部分を押し潰し、その周面で押し潰した茶葉を伝導加熱する構成を備えた茶葉の含水率低下装置。
【請求項5】
前記ロールの周面が平滑である請求項4に記載の茶葉の含水率低下装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶生葉などの葉菜類を必要な含水率に瞬時に低下させることのできる葉菜類の含水率低下方法及びその方法を行うための含水率低下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶は、例えば、摘採した茶葉を蒸らし、蒸らした茶葉を乾燥させながら揉み込み、揉み込みした茶葉を乾燥させて荒茶を製造し、この荒茶に火入れなどの仕上げ加工等を施して製造することができる。また、揉み込みにも、葉打ち、粗揉、揉捻、中揉、精揉など様々な揉み込みを施す必要がある。
このように、緑茶を製造するには、上記した様々な工程を経るため、摘採した茶葉から荒茶にするためには約3〜4時間かかるものであった。
【0003】
そこで、緑茶製造の時間短縮を図るため、加熱されたベルトとドラムとの間に茶葉を挟み込みながら移動させることにより、茶葉を瞬時に乾燥させることができ、製造時間を短縮できる装置が開発されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
また、茶葉を、2つのローラ間で加熱し、瞬時に乾燥させて粉末茶にする装置なども開発されている(下記特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−169076号公報
【特許文献2】特公平5−70410号公報
【特許文献3】特開平8−173038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、緑茶の製造において、揉み込みは、茶葉の水分を蒸発させて乾燥させるだけでなく、香味を発揚させるために重要な工程であり、様々な揉み込みを行うことにより、香味の調整を行うものである。
上記特許文献1に記載の装置は、瞬時に茶葉を乾燥させて緑茶を製造することができるものの、揉み込みをしないで緑茶を製造するため、香味的に優れた緑茶が製造できないものであった。
さらには、茶の茎の部分などの硬くて厚みのある部分は乾燥がしにくいため、上記装置では、茶葉の乾燥にムラができてしまい、香味や色沢に悪影響を及ぼしてしまうものであった。
また、上記特許文献2,3に記載の装置などは、粉末茶を製造するためのものであり、瞬時に含水率が0%に近い状態まで乾燥させてしまうものであるため、緑茶を製造するために用いることはなかった。
【0007】
茶生葉を、瞬時にムラなく揉み込むのに適した含水率に下げることができれば、緑茶の製造時間を短縮できるとともに香味的にも優れた緑茶を製造することができる。
そこで、本発明の目的は、瞬時に必要な含水率にすることができる茶生葉などの葉菜類の含水率低下方法及びその方法を行うための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の茶葉の含水率低下方法は、解きほぐした茶葉の少なくとも難乾燥部分を、0.1mm〜0.4mmの間隙幅を有する並列したローラの押圧体で押し潰し、押し潰した茶葉を加熱体で100℃〜160℃の範囲で5秒〜30秒間伝導加熱することを特徴とする。
【0009】
本発明の葉菜類の含水率低下方法は、葉菜類の難乾燥部分を押し潰して水分を蒸発させやすくし、その葉菜類を伝導加熱するため、葉菜類を必要な含水率まで瞬時にムラなく乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の含水率低下方法を実施するための装置の一例を示した斜視図である。
図2図1の装置の動作状態を模式的に示した側面図である。
図3】本発明の含水率低下方法に用いることのできる振動コンベアの一例を示した斜視図である。
図4図3の振動コンベアの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の葉菜類の含水率低下方法の一実施形態を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本含水率低下方法は、解きほぐした葉菜類の少なくとも難乾燥部分を押圧体で押し潰し、押し潰した葉菜類を加熱体で伝導加熱することを特徴とするものである。
【0013】
葉菜類は、茶生葉などの他、しそ、ほうれん草、ベビーリーフ、モロヘイヤ、ケールなどの野菜類等を用いることができる。葉菜類は、予め蒸しておいてもよい。
葉菜類の難乾燥部分とは、茎部分や芯部分など硬くて厚みがあり乾燥しにくい部分を示す。
【0014】
本含水率低下方法は、まず、絡まっている葉菜類を解きほぐす。葉菜類を解きほぐすには、手作業でもよいが振動コンベアを用いるのが好ましい。振動コンベアを用いることにより、葉菜類を自動的に解きほぐしながら搬送することができる。この際、振動コンベアの振動は、上下方向の振幅を5mm〜20mm、好ましくは7mm〜15mmとし、この振動を450〜700回/分与えるのが好ましい。
【0015】
次に、葉菜類が粉々にならない程度に、葉菜類の少なくとも難乾燥部分を押圧体で押し潰す。これにより、水分が蒸発しにくい部分をなくし、含水率を低下させやすくすることができる。押圧体としては、例えば、0.1mm〜0.4mm、好ましくは0.2mm〜0.3mmの間隙幅を有する並行したロールや二枚の金属板などを用いることができる。
【0016】
そして、葉菜類を加熱体に接触させて伝導加熱する。これにより、瞬時に含水率を低下させることができる。この加熱は、葉菜類の種類にもよるが、葉菜類を、100℃〜160℃、好ましくは110℃〜150℃、特に好ましくは120℃〜140℃の範囲で5秒〜30秒間、好ましくは10秒〜20秒間加熱する。葉菜類を茶生葉とした場合は、含水率が30〜70%、特に40〜60%になるようにするのが好ましい。加熱体としては、例えば、加熱したロールや加熱した金属板などを用いることができる。
なお、葉菜類の含水率は、常圧乾燥法にて測定することができる。
【0017】
本含水率低下方法を行うには、例えば、図1に示した含水率低下装置1を用いて行うことができ、以下、含水率低下装置1を用いて茶蒸葉(蒸した茶生葉)2の含水率を低下させる方法を説明する。
【0018】
含水率低下装置1は、図1又は図2に示すように、解きほぐした茶蒸葉2を、2つのロール3で押し潰し、その周面31で伝導加熱して含水率を低下させることができるものである。
【0019】
この装置1は、2つのロール3を並行して配してあり、このロール3は、直径300mm〜1500mm、好ましくは1000mm〜1500mmに形成してあり、間隙幅0.1mm〜0.4mm、好ましくは0.2mm〜0.3mmになるように並行に配してあり、また、1rpm〜10rpmの回転数で内回りに回転するようにしてある。
ロール3の周面31は、ロール3の内部に蒸気などを供給することで100℃〜160℃、好ましくは110℃〜150℃、特に好ましくは120℃〜140℃の範囲に加熱してある。
ロール3の周面31は、平滑面であることが好ましく、表面粗さ(Ra)が0.01μm〜4μm程度にすることにより、茶蒸葉2が貼り付きやすくなり、乾燥度合いも均一になる。
【0020】
ロール3の周面31には、図2に示すように、先端を鋭利に形成したスクレーパー4の先端が当接してあり、周面31に貼り付いた茶蒸葉2を剥ぎ落とせるようにしてある。
【0021】
装置1を用いて茶蒸葉2の含水量を低下させるには、まず、茶蒸葉2は、絡み合っていることが多いため、これらを解きほぐす。解きほぐすには、図3又は図4に示す、振動コンベア5を用いるのが好ましい。
振動コンベア5は、架台上51に複数の板バネ52を斜めにして並行に配し、その上に長さ1m〜10mの搬送板53が固定してあり、その搬送板53の上面に茶蒸葉2を載せることができるようにしてある。搬送板53の下面側には、図4に示すように、クランク54の一端が固定されており、その他端に固定したプーリ55が、モータ56及びベルト57により回転させられることにより、クランク54が往復運動し、このクランクの運動と板バネ52とにより搬送板53に振動を与え、これに載せた茶蒸葉2が解きほぐされながら搬送することができるようにしてある。この際、振動コンベア5の振動は、上下方向の振幅を5mm〜20mm、好ましくは7mm〜15mmとし、この振動を450〜700回/分与えるのが好ましい。
また、搬送板53の上面は、茶蒸葉2が、自身の水分によって貼り付かないように、複数のディンプルを形成するのが好ましい。
【0022】
このように解きほぐした茶蒸葉2をロール3の間隙に上方から投入し、図2に示すように、茶蒸葉2の茎などの難乾燥部分をロール3の間隙で押圧して押し潰す。押し潰しの程度は、ロール3の直径、間隙幅、回転速度などで調整することができる。
押し潰された茶蒸葉2は、間隙の下方から排出され、周面31に貼り付いて移動する。この際、茶蒸葉2は、周面31に直接接触しているため伝導加熱され水分が蒸発していく。周面31に貼り付いた茶蒸葉2は、スクレーパー4により剥ぎ落とされて下方に落下する。
【0023】
この際、茶蒸葉2は、周面31に5秒〜30秒間、特に10秒〜20秒間接触して伝導加熱されるのが好ましい。この加熱時間は、スクレーパー4の位置やローラ3の回転速度などにより調整することができる。これにより、茶蒸葉2の含水率を、30〜70%、好ましくは40〜60%にすることができる。
【0024】
周面31から落下した茶蒸葉2を収集し、この茶蒸葉2に、さらに、揉捻、中捻、精揉などの揉み込みや乾燥などを適宜施して、緑茶製品にすることができる。この場合、葉打ちや粗揉を省略でき、また、揉捻、中捻、精揉などの揉み込みも少ない時間で行うことができるので、従来に比べて短い時間で緑茶を製造することができ、それでいて、香味の優れた緑茶を製造することができる。
また、葉打ちや粗揉を行うと、茶蒸葉の小片が飛散し、これらを行う機械の周囲に降り積もるものであったが、上記装置1ではそのようなことがほとんどないものである。
【0025】
周面31から落下した茶蒸葉2を収集する際は、図1又は図2に示すように、コンベア6により搬出して収集するようにしてもよい。このコンベア6は、3分割されており、中央には加熱時間の短い茶蒸葉2が集まり、その両脇には、適切に加熱された茶蒸葉2が集まるようにしてあり、加熱時間の短い茶蒸葉2は、再度ローラ3の間隙に投入し、再度加熱するのが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0027】
<試験1>
荒茶1〜5を作製し、含水率を測定するとともに、色沢及び香味の官能評価を行なった。
【0028】
(茶蒸葉)
茶生葉を送帯式蒸機にて無圧の蒸気で30秒間蒸した後、この茶生葉に送風して室温まで冷却させ茶蒸葉を作製した。なお、この茶蒸葉の含水率は常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値は79.6%であった。
【0029】
(荒茶1)
上記茶蒸葉を、図3又は図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与え、また、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mm、周面温度を120℃としてあり、2.2rpmの回転数で回転させた。加熱時間を測定したところ約20秒であった。
【0030】
(荒茶2)
上記茶蒸葉を、図3又は図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、120℃に加熱した金属板上に20秒載せ、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与えた。
【0031】
(荒茶3)
上記茶蒸葉を、解きほぐさず、図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mm、周面温度を120℃としてあり、2.2rpmの回転数で回転させた。加熱時間を測定したところ約20秒であった。
【0032】
(荒茶4)
上記茶蒸葉を、解きほぐさず、120℃に加熱した金属板上に20秒間載せ、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉を用い、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
【0033】
(荒茶5)
上記茶蒸葉に、葉打ち、粗揉を施し、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
【0034】
(含水率)
荒茶1〜5において、ロールから排出された茶蒸葉の含水率を常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値と標準偏差(STD)を算出した。その結果を表1に示す。
【0035】
(色沢評価)
荒茶1〜5の色沢を外観評価し、鮮やかな緑色のものを非常に良好「5」、赤みがかったものや黒ずんだもの、ムラのあるものを不良「1」として以下の5段階評価を行なった。その結果を表1に示す。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや不良
1:不良
【0036】
(香味評価)
荒茶1〜5を用い、これら3gに対して100℃のお湯を200ml加えて60秒間抽出し、抽出液を試飲して香味の評価を行なった。旨味や苦渋味がバランスよく適度に抽出されたものを非常に良好「10」。ムレ臭などの異臭があるものや抽出が不十分で薄いものなどを不良「1」として10段階で評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
(総合評価)
色沢及び香味の合計点を算出し、12点以上を「◎」、9点〜11点を「○」、6点〜8点を「△」、5点以下を「×」として総合評価した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(結果)
荒茶1は、色沢及び香味ともに良好であった。
荒茶2は、茶蒸葉を押し潰してないため、乾燥しにくい部分が残り、含水率が高めであり、荒茶の色沢及び香味が劣る結果となった。
荒茶3は、茶蒸葉を解きほぐしてないため、含水率のバラツキが大きくなり、普通の結果となった。
荒茶4は、含水率も高く、含水率のバラツキも大きくなり、色沢及び香味は不良な結果になった。
荒茶5は、色沢及び香味は比較的良好であるが、時間がかかるものであった。
【0040】
<試験2>
加熱温度、加熱時間を変化させ、色沢、香味の官能評価及び含水率がどのように変化するかを測定した。
【0041】
(荒茶の作製)
茶生葉を送帯式蒸機にて無圧の蒸気で30秒間蒸した後、この茶生葉に送風して室温まで冷却させ茶蒸葉を作製した。なお、この茶蒸葉の含水率は常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値は79.6%であった。この茶蒸葉を、図3又は図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与え、また、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mmとし、周面温度は下記表2又は表3に示すように設定し、回転数を調整して加熱時間を下記表2又は3に示すように調整した。
【0042】
(評価)
作製した荒茶に対して、試験1と同様に色沢及び香味の官能評価及び総合評価を行なった。また、ロールから排出された茶蒸葉の含水率を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
(結果)
茶蒸葉を100℃〜160℃の範囲で5秒〜30秒間加熱した荒茶が、色沢及び香味に優れたものになることが確認された。
【符号の説明】
【0046】
1乾燥装置 2茶蒸葉 3ロール 31周面 4スクレーパー 5振動コンベア 6コンベア
図1
図2
図3
図4