【0021】
装置1を用いて茶蒸葉2の含水量を低下させるには、まず、茶蒸葉2は、絡み合っていることが多いため、これらを解きほぐす。解きほぐすには、
図3又は
図4に示す、振動コンベア5を用いるのが好ましい。
振動コンベア5は、架台上51に複数の板バネ52を斜めにして並行に配し、その上に長さ1m〜10mの搬送板53が固定してあり、その搬送板53の上面に茶蒸葉2を載せることができるようにしてある。搬送板53の下面側には、
図4に示すように、クランク54の一端が固定されており、その他端に固定したプーリ55が、モータ56及びベルト57により回転させられることにより、クランク54が往復運動し、このクランクの運動と板バネ52とにより搬送板53に振動を与え、これに載せた茶蒸葉2が解きほぐされながら搬送することができるようにしてある。この際、振動コンベア5の振動は、上下方向の振幅を5mm〜20mm、好ましくは7mm〜15mmとし、この振動を450〜700回/分与えるのが好ましい。
また、搬送板53の上面は、茶蒸葉2が、自身の水分によって貼り付かないように、複数のディンプルを形成するのが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0027】
<試験1>
荒茶1〜5を作製し、含水率を測定するとともに、色沢及び香味の官能評価を行なった。
【0028】
(茶蒸葉)
茶生葉を送帯式蒸機にて無圧の蒸気で30秒間蒸した後、この茶生葉に送風して室温まで冷却させ茶蒸葉を作製した。なお、この茶蒸葉の含水率は常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値は79.6%であった。
【0029】
(荒茶1)
上記茶蒸葉を、
図3又は
図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、
図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与え、また、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mm、周面温度を120℃としてあり、2.2rpmの回転数で回転させた。加熱時間を測定したところ約20秒であった。
【0030】
(荒茶2)
上記茶蒸葉を、
図3又は
図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、120℃に加熱した金属板上に20秒載せ、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与えた。
【0031】
(荒茶3)
上記茶蒸葉を、解きほぐさず、
図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mm、周面温度を120℃としてあり、2.2rpmの回転数で回転させた。加熱時間を測定したところ約20秒であった。
【0032】
(荒茶4)
上記茶蒸葉を、解きほぐさず、120℃に加熱した金属板上に20秒間載せ、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉を用い、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
【0033】
(荒茶5)
上記茶蒸葉に、葉打ち、粗揉を施し、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
【0034】
(含水率)
荒茶1〜5において、ロールから排出された茶蒸葉の含水率を常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値と標準偏差(STD)を算出した。その結果を表1に示す。
【0035】
(色沢評価)
荒茶1〜5の色沢を外観評価し、鮮やかな緑色のものを非常に良好「5」、赤みがかったものや黒ずんだもの、ムラのあるものを不良「1」として以下の5段階評価を行なった。その結果を表1に示す。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや不良
1:不良
【0036】
(香味評価)
荒茶1〜5を用い、これら3gに対して100℃のお湯を200ml加えて60秒間抽出し、抽出液を試飲して香味の評価を行なった。旨味や苦渋味がバランスよく適度に抽出されたものを非常に良好「10」。ムレ臭などの異臭があるものや抽出が不十分で薄いものなどを不良「1」として10段階で評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
(総合評価)
色沢及び香味の合計点を算出し、12点以上を「◎」、9点〜11点を「○」、6点〜8点を「△」、5点以下を「×」として総合評価した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(結果)
荒茶1は、色沢及び香味ともに良好であった。
荒茶2は、茶蒸葉を押し潰してないため、乾燥しにくい部分が残り、含水率が高めであり、荒茶の色沢及び香味が劣る結果となった。
荒茶3は、茶蒸葉を解きほぐしてないため、含水率のバラツキが大きくなり、普通の結果となった。
荒茶4は、含水率も高く、含水率のバラツキも大きくなり、色沢及び香味は不良な結果になった。
荒茶5は、色沢及び香味は比較的良好であるが、時間がかかるものであった。
【0040】
<試験2>
加熱温度、加熱時間を変化させ、色沢、香味の官能評価及び含水率がどのように変化するかを測定した。
【0041】
(荒茶の作製)
茶生葉を送帯式蒸機にて無圧の蒸気で30秒間蒸した後、この茶生葉に送風して室温まで冷却させ茶蒸葉を作製した。なお、この茶蒸葉の含水率は常圧乾燥法にて測定し、5回測定した平均値は79.6%であった。この茶蒸葉を、
図3又は
図4に示した振動コンベアと同様の構成の振動コンベアに載せて解きほぐし、解きほぐした茶蒸葉を、
図1に示した装置と同様の構成の装置のロールの間隙に投入し、茶蒸葉の含水率を低下させた。この茶蒸葉に、さらに、揉捻、中揉、精揉を施した後、茶蒸葉中の心水(葉中心の水分)が抜ける程度まで80℃で乾燥を施して、荒茶を作製した。
なお、用いた振動コンベアは、搬送板の長さを2mとし、振幅10mmの振動を600回/分与え、また、用いた装置のロールは、直径を1000mm、間隙幅を0.3mmとし、周面温度は下記表2又は表3に示すように設定し、回転数を調整して加熱時間を下記表2又は3に示すように調整した。
【0042】
(評価)
作製した荒茶に対して、試験1と同様に色沢及び香味の官能評価及び総合評価を行なった。また、ロールから排出された茶蒸葉の含水率を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
(結果)
茶蒸葉を100℃〜160℃の範囲で5秒〜30秒間加熱した荒茶が、色沢及び香味に優れたものになることが確認された。