特許第5690722号(P5690722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690722
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】バランスソレノイドバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F16K31/06 305E
   F16K31/06 305J
   F16K31/06 305V
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-514715(P2011-514715)
(86)(22)【出願日】2009年6月12日
(65)【公表番号】特表2011-524965(P2011-524965A)
(43)【公表日】2011年9月8日
(86)【国際出願番号】US2009047171
(87)【国際公開番号】WO2009155212
(87)【国際公開日】20091223
【審査請求日】2012年5月30日
(31)【優先権主張番号】12/141,419
(32)【優先日】2008年6月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505296441
【氏名又は名称】エムエイシー・バルブス,インク
【氏名又は名称原語表記】MAC VALVES,INC
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネフ ロバート エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン エリック ピー
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−115585(JP,U)
【文献】 特開昭60−057080(JP,A)
【文献】 実開平06−006852(JP,U)
【文献】 特開2006−097900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイド動作バルブ機構であって、
ソレノイドケースと、
前記ソレノイドケースに接続されるバルブ本体と、
前記ソレノイドケースに接続されて磁束を伝達するポールピースと、
前記バルブ本体中に摺動自在に配され、前記磁束の存在下でバルブ閉位置からバルブ開位置に移動可能である一体とされたバルブ部材兼電機子と、
前記バルブ本体の一部であって、前記ソレノイドケースに螺合により係合可能で、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間に非ゼロの空隙を形成する所定の長さを有し、前記バルブ部材兼電機子と前記ポールピースの表面とが接触しないように前記空隙が常にゼロより大きいブッシュ部と、
前記ソレノイドケース内に前記ブッシュ部により保持されて、前記バルブ部材兼電機子を接触状態で摺動自在に受けるブッシュスリーブを有するソレノイドブッシュと、を備え
前記ポールピースは、前記ソレノイドケース内にねじ締めにより受けられ、前記ポールピースを軸方向に調整可能にする複数のねじを有し、軸方向への前記ポールピースの調整により、前記空隙は、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間で少なくとも最小値より大きくなることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項2】
請求項1に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記ソレノイドケース内に受けられ、通電されると前記ポールピースに前記磁束を付与し、前記バルブ部材兼電機子を前記非通電位置から前記ポールピースに向かって前記通電位置に移動させるコイルをさらに備えることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項3】
請求項2に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記バルブ部材兼電機子の通電位置において、前記ブッシュ部と接触する第一側を有する弁体をさらに備えることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項4】
請求項3に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記弁体は、前記弁体が前記ブッシュ部に接触すると、前記弁体を圧縮させ、前記バルブ部材兼電機子を行き過ぎさせる弾性部材であり、前記空隙は、前記バルブ部材兼電機子と前記ポールピースとを接触させることなしにこの行き過ぎを許容することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項5】
請求項1に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記ブッシュ部は、自由端の近傍に設けられるシート面を有することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項6】
請求項1に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、前記バルブ部材兼電機子に対する前記ポールピースの位置は、当該バルブ機構の全ての動作条件で非ゼロ値となる空隙を規定することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項7】
ソレノイド動作バルブ機構であって、
ソレノイドケースと、
バルブシートを有し、前記ソレノイドケースに接続されるバルブ本体と、
前記ソレノイドケースに螺合により接続されて磁束を伝達するポールピースと、
前記バルブ本体中に摺動自在に配され、かつ、前記磁束の存在下でバルブ閉位置からバルブ開位置に移動可能であり、弾性材製の弁体を有するバルブ部材兼電機子と、
前記ソレノイドケース内に接触し、かつ、前記バルブ部材兼電機子を摺動自在に受けるソレノイドブッシュと、
前記ソレノイドブッシュに接触し、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間に非ゼロ幅の空隙を形成する所定の長さを有し、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても前記バルブ部材兼電機子と前記ポールピースが接触しないように前記空隙が常にゼロより大きいブッシュ部と、
前記バルブ本体内に位置し、前記ソレノイドブッシュと前記バルブ部材兼電機子との間に配置され、前記ソレノイドブッシュおよび前記バルブ部材兼電機子と接触するとともに、前記バルブ部材兼電機子を、前記ポールピースから遠ざけ、前記弁体が前記バルブシートに当接するバルブ閉位置に向かって継続的に付勢する付勢部材と、を備え
前記ポールピースは、前記ソレノイドケース内にねじ締めにより受けられ、前記ポールピースを前記バルブ部材兼電機子に対して軸方向に調整可能にする複数のねじを有し、軸方向への前記ポールピースの調整により、前記空隙は、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間で少なくとも最小値より大きくなることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項8】
請求項に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記バルブ部材兼電機子は、前記バルブ部材兼電機子の全長にわたって延びる第一均圧流路を有することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項9】
請求項に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記ポールピースにわたって延び、前記第一均圧流路と軸方向に揃えて配列される第二均圧流路をさらに備えることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項10】
請求項に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記バルブ部材兼電機子の弁体は外側被覆されたエラストマーを有することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項11】
請求項に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
軸方向への前記ポールピースの調整により前記ポールピースを前記バルブ部材兼電機子に近づけて、初めに前記空隙を前記ポールピースと通電位置にある前記バルブ部材兼電機子との間で最小値に設定することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項12】
ソレノイド動作バルブ機構であって、
コイルを有するソレノイドケースと、
前記ソレノイドケースに接続されるバルブ本体と、
前記ソレノイドケースに接続されて磁束を伝達するポールピースと、
電機子とこの電機子に結合されたバルブ部材との一体化された結合体として製造され、前記バルブ本体中に摺動自在に配され、前記磁束の存在下でバルブ閉位置からバルブ開位置に移動可能である一体とされたバルブ部材兼電機子と、
前記ソレノイドケースに受けられ、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間に非ゼロの空隙を形成する所定の長さを有し、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても前記空隙が常にゼロより大きいソレノイドブッシュと、
前記ソレノイドブッシュと前記バルブ部材兼電機子とに接触し、前記コイルが非通電状態のとき、前記バルブ部材兼電機子を前記非通電位置に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記バルブ部材兼電機子の第1端部は前記ソレノイドブッシュのブッシュスリーブ中に摺動自在に配され
前記ポールピースは、前記ソレノイドケース内にねじ締めにより受けられ、前記ポールピースを前記バルブ部材兼電機子に対して軸方向に調整可能にする複数のねじを有し、軸方向への前記ポールピースの調整により、前記空隙は、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間で少なくとも最小値より大きくなることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項13】
請求項12に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記バルブ部材兼電機子は、磁性材により形成されていることを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【請求項14】
請求項13に記載のソレノイド動作バルブ機構であって、
前記バルブ部材兼電機子の弁体は外側被覆されたエラストマーを有することを特徴とするソレノイド動作バルブ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2007年4月5日に出願されたアメリカ特許出願番号11/784,106の一部継続出願である。上記出願の開示事項は参照として本願内容に含められる。
本開示は加圧流体のフローを隔離し、かつ制御するのに用いられるソレノイド動作バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
この項目の記載は、本開示に関連する背景情報を提供するのみであり、先行技術を構成するものではない。
ソレノイド動作バルブは、ソータ、包装機、フードプロセッサなどの付加装置を操作する際に用いられる圧搾空気等の流体を制御するのに用いられるものとして知られている。ソレノイド動作バルブを閉位置に保持するためのものとして、ばね等の付勢部材が知られる。
【0003】
また、例えばチョーキーに付与された米国特許4958736号(特許文献1)で知られるように、加圧流体の流入圧力をバルブ内部で均衡させることにより、バルブ部材を閉位置と開位置との間で動かすのに必要なソレノイド機構による力を低減可能であることも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許4958736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、公知の構成はいくつかの問題点を有する。
バルブ部材は、しばしば幾つかの部品から組み立てられるが、これによりバルブコストが増大する。また、公知の構成では、互いに広く離隔可能とされてバルブ開およびバルブ閉シールを提供する独立した弾性弁体が用いられる。これらの全体の変位ないしストロークは一般に調整可能ではない。バルブ部材を均衡させて自由な摺動動作を可能とするには、しばしば多数の流路が必要となり、このためバルブのコストおよび複雑さがさらに増大することとなる。加えて、一般のバルブ構造では着座面の間の空間を軸方向に調整できず、したがって弾性シール材に摩耗が生じた時には着座の完全性を制御できない。一般のバルブは、システム流体がソレノイド機構のコイルに接触しないようにすることもできない。したがって、流体中の異物としての水分および塵芥が、ソレノイド機構に入り込み、これによりバルブが膠着したり、バルブ力が低減したり、動作時間が遅れたりする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の圧力均衡ソレノイド動作バルブの実施形態によれば、圧力均衡ソレノイド動作バルブはソレノイドケースを有する。バルブ本体がソレノイドケースに接続される。ソレノイドケースに接続されたポールピースが磁束を伝達する。一体とされたバルブ部材兼電機子がバルブ本体中に摺動自在に配され、磁束の存在下でバルブ閉位置からバルブ開位置に移動可能とされる。
【0007】
別の実施形態によれば、ソレノイド動作バルブ機構は内部に配されたコイルを有するソレノイドケースを備える。バルブ本体がソレノイドケースに接続される。バルブ本体は第一バルブシートを有する。ソレノイドケースに接続されたポールピースがコイルにより生じる磁束を伝達する。軸方向に調整可能な保持具がバルブ本体に螺合される。この保持具の一端部は第二バルブシートを形成する。保持具を軸方向に変位させることで第二バルブシートが第一バルブシートに対して軸方向に位置決めされる。一体とされたバルブ部材兼電機子がバルブ本体内に摺動自在に配され、磁束の存在下で弾性弁体を第一バルブシートに当接させるバルブ閉位置から弾性弁体を第二バルブシートに当接させるバルブ開位置に移動可能とされる。
【0008】
別の実施形態によれば、圧力均衡ソレノイド動作バルブ機構は内部に配されたコイルを有するソレノイドケースを備える。バルブ本体がソレノイドケースに着脱自在に接続される。バルブ本体は流入ポートと第一バルブシートとを有する。軸方向に調整可能な保持具がバルブ本体に螺合され、第二バルブシートを形成する一端部を有する。一体とされたバルブ部材兼電機子がバルブ本体内に摺動自在に配され、バルブ閉位置とバルブ開位置との間でコイルにより生じる磁束の存在下で移動可能とされる。バルブ部材兼電機子の第一表面領域は、加圧流体と流入ポートを介して連通する。バルブ部材兼電機子の第二表面領域は、バルブ閉位置で加圧流体と連通する。第一表面領域は第二表面領域とほぼ等しくされ、第一表面領域は第一および第二表面領域の双方に加圧流体が作用することによりバルブ閉位置において圧力均衡状態を形成する。
【0009】
さらに別の実施形態によれば、ソレノイド動作バルブ機構はソレノイドケースを有する。バルブ本体がソレノイドケースに接続される。このソレノイドケースに接続されたポールピースが磁束を伝達する。一体とされたバルブ部材兼電機子がバルブ本体内に摺動自在に配され、バルブ部材兼電機子をポールピースに向けて牽引するよう動作可能な磁束の牽引力によりバルブ閉位置からバルブ開位置へ軸方向に移動可能とされる。
【0010】
別の実施形態によれば、ソレノイド動作バルブ機構は内部に配されたコイルを有するソレノイドケースを備える。バルブ本体がソレノイドケースに接続される。軸方向に調整可能な保持具がバルブ本体に螺合される。前記ソレノイドケースに接続されたポールピースがコイルにより生じる磁束を伝達するよう動作可能とされる。一体とされたバルブ部材兼電機子が軸方向に調整可能な保持具内に摺動自在に配され、コイルにより生じる磁束によりバルブ閉位置とバルブ開位置との間でポールピースに向けて牽引される。バルブ部材兼電機子と軸方向調整可能な保持具との間に配されたシール部材は、バルブ部材兼電機子と軸方向調整可能な保持具との間で流体シールを形成し、バルブ本体内の加圧流体がバルブ開位置および閉位置のいずれにおいてもコイルに接触しないようにする。
【0011】
別の実施形態によれば、ブッシュ部は前記ソレノイドケースに螺合により係合可能であり、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、このバルブ部材兼電機子と前記ポールピースとの間に非ゼロの空隙を形成することができる所定の長さを有し、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても前記バルブ部材兼電機子と前記ポールピースが接触しないように前記空隙が常にゼロより大きい。
前記ポールピースは、前記ソレノイドケース内にねじ締めにより受けられ、前記ポールピースを前記バルブ部材兼電機子に対して軸方向に調整可能にする複数のねじを有し、軸方向への前記ポールピースの調整により、前記空隙は、前記バルブ部材兼電機子がその通電位置ないし非通電位置のいずれにあっても、前記ポールピースと前記バルブ部材兼電機子との間で少なくとも最小値より大きくなる。
【0012】
さらなる利用分野は、以下に示される記載から明らかになるであろう。この説明および具体例は説明目的のみを意図したものであり、本開示の範囲を限定することが意図されたものではないことが理解されるべきである。
以下に記載される図面は、図示目的にすぎず、本開示の範囲をいずれの意味においても限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、非通電位置にある本開示の3ウェイバランスソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図2図2は、通電位置にある図1のバルブの断面・側面図である。
図3図3図1の領域3を示す断面・側面図である。
図4図4は、図1を変形してソレノイド機構に流体シール防止流体流入口を追加した別の圧力均衡ソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図5図5は、バルブ開位置にある図4のバルブの断面・側面図であり、バルブ本体ブロックに接続されたバルブを示す。
図6図6は、本開示にかかる、圧力が流入側で均衡された2ウェイソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図7図7は、本開示にかかる、圧力が流入側で均衡された別の2ウェイソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図8図8は、多数のフロー分配装置と連通する複数の図7の2ウェイ圧力均衡バルブを有するマニホルド機構の斜視図である。
図9図9は、図6のバルブから変形された、本開示にかかる、圧力が流入側で均衡された2ウェイソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図10図10図9の領域10を示す断面・側面図である。
図11図11は、変形された、非通電位置にある本開示の2ウェイバランスソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図12図12は通電位置にある図11のバルブの断面・側面図である。
図13図13は、変形された、非通電位置にある本開示の2ウェイバランスソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
図14図14は、変形された、非通電位置にある本開示の2ウェイバランスソレノイド動作バルブの断面・側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は本質的に例示的なものにすぎず、本開示内容、本願、用途ないし用法を限定することを意図したものではない。図面全体にわたって、対応する参照番号は同様ないし対応する部分ないし特徴を示す。
【0015】
主に図1において、本開示のバルブ機構10は螺合接続部16を用いてソレノイドケース14に着脱自在に接続されたバルブ本体12を有する。結合されたバルブ部材兼電機子18はバルブ閉方向"A"ないしバルブ開方向"B"に摺動可能である。バルブ部材兼電機子18はバルブ部材と電機子とが単一の素子中に同一のないし一体化された結合体として製造される。実施形態においては、バルブ部材兼電機子18は鋼、ステンレス鋼などの磁性材からなる。
【0016】
複数の巻線中に線材を有するコイル22がソレノイドケース14中に配される。調整可能なポールピース24がコイル22中に配され、螺合接続部26を用いてソレノイドケース14に接続される。調整可能なポールピース24は通電されたコイル22から磁束を伝達し、バルブ部材兼電機子18をバルブ閉位置からバルブ開位置に「牽引」する。バルブ本体12内のコイルばねなどの付勢部材28は、バルブ部材兼電機子18をバルブ閉位置"A"に向けて連続的に付勢する付勢力を加える。図示されたバルブ閉位置では、空隙30がバルブ部材兼電機子18と調整可能なポールピース24との間に設けられる。
【0017】
空隙30は付勢部材28がバルブ部材兼電機子18をバルブ閉位置"A"に付勢するときに形成される。空隙30は螺合接続部26を用いて調整可能なポールピース24を回転して調整可能なポールピース24をバルブ開位置"A"またはバルブ閉位置"B"に軸方向に変位させることにより調整可能である。空隙30はバルブ閉(非通電)位置およびバルブ開(通電)位置との間のバルブ部材兼電機子18の軸方向の総変位量に所定の行き過ぎ量を加えたものを規定する。空隙30はバルブ部材および/又はバルブシートの摩耗を補償するための調整可能な軸方向変位をも示す。空隙30はバルブ機構の使用可能期間を通じてバルブの応答時間を一定に保つために調整可能である。空隙30を小さくすることでバルブが開くのに要する時間、すなわちバルブ開放時間が減り、逆に空隙30を大きくすることでバルブ開放時間が長くなる。空隙30は、まず特定用途において最適な性能を達成するように設定される。
【0018】
付勢部材28の第一端部はバルブ部材兼電機子18の端部34に形成される部材キャビティ32内に配される。付勢部材28の第二端部は調整可能なポールピース24のポールピース端部38に形成されるポールピースキャビティ36内に保持される。ソレノイドブッシュ40がコイル22とバルブ部材兼電機子18との間に配される。バルブ部材兼電機子18はソレノイドブッシュ40のブッシュボア42中に摺動自在に配される。
ソレノイドブッシュ40の材料は鋼ないしステンレス鋼等の磁性体によることができ、バルブ部材兼電機子18を摺動保持する。一つ以上の電線を有してもよい電気接続部材44がコイル22に接続され外部に向けて延びる。電気接続部材44は図示しない電源から電力を受けコイル22を通電する。
ソレノイドケース14、バルブ部材兼電機子18、コイル22、調整可能なポールピース24、ソレノイドブッシュ40、および電気接続部材44はともにソレノイド機構を形成する。
【0019】
バルブ部材兼電機子18の全長にわたって延びる均圧流路46は長手方向かつ調整可能なポールピース24に形成される対応した流路48と略同軸に延びる。均圧流路46と流路48とは合わせてバルブ部材兼電機子18がバルブ本体12内部を摺動するときに移動する空気などの流体用の流路を形成する。均圧流路46によりシール漏れのために発生する流体(例えば、空気)も排出可能である。
【0020】
バルブ本体12は流入流路52と連通される流入ポート50を有する。流入流路52は加圧室54と接続される。流入流路52の径は流入ポート50の径と同じか大きくても良く、あるいは図示されるように小さくてもよい。流入流路52はスロット形状でもよく、あるいは、これらに限られないが、矩形、楕円形などの別の幾何学形状で設けられてもよい。
加圧室54内の流体は、空気などの加圧流体源(図示せず)から供給される。バルブ機構10がバルブ閉位置にあるとき、加圧流体はバルブ部材兼電機子18の端部を規定するピストン58内に配されるシール56により加圧室54内に保持される。ピストン58はバルブ本体12のシリンダボア60内に摺動自在に受けられる。加圧室54のシール56と反対側の端部は、弁体62がバルブ本体12の第一バルブシート64と係合する時にシールされる。
【0021】
第一バルブシート64は鋭角面、面取り面、ないし曲面として規定可能である。弁体62はバルブ部材兼電機子18と同一素材から形成ないし加工可能であり、あるいは、接合、オーバーモールド、ルースシールないしその他の公知の方法でバルブ部材兼電機子18に接続されるゴムないし合成ゴム材等の弾性材料からなってもよい。バルブ部材兼電機子18は、コイル22の通電時に調整可能なポールピース24によって生成される磁束によって磁性を帯びる任意の材料から製造可能である。
【0022】
バルブ本体12はシリンダポート流路68と連通されるシリンダポート66をも有する。排出ポート70もバルブ本体12に設けられ、この排出ポート70は排出ポート流路72に連通される。シリンダポート流路68はシリンダポート室74と連通される。
本実施形態では、シリンダポート室74はバルブ本体12内で円周キャビティとして形成される。排出ポート流路72は排出ポート室76と連通される。実施形態では、排出ポート室76はバルブ部材兼電機子18の円周凹部ないしキャビティとして形成され、バルブ部材兼電機子18の任意の操作位置において排出ポート70の近傍に配される。
【0023】
バルブ機構10がバルブ閉位置にあるとき、排出ポート室76内の流体は、排出ポート流路72を介して排出ポート70と連通される排出ポートキャビティ78を通じて排出される。本実施形態では、排出ポートキャビティ78は排出ポート流路72の近傍に配される調整可能保持具80内に設けられる円周スロットとして形成される。
【0024】
調整可能保持具80は、バルブ部材兼電機子18の挿入後、螺合接続部82を用いて調整可能保持具80を回転することによりバルブ長手軸20に平行に軸方向調整可能な形でバルブ本体12に接続される。調整可能保持具80を軸方向に移動することにより、バルブ閉位置での調整可能保持具80と弁体62との間の距離を増減可能で、最適ないし所望の位置に設定可能である。この調整により、バルブの流量も決定される。第一および第二Oリング84、86を用いて調整可能保持具80とバルブ本体12との間に流体シールが形成される。
第一および第二Oリング84、86は排出ポートキャビティ78、排出ポート流路72および排出ポート70の両側に設けられ、バルブ部材兼電機子がバルブ開位置にあるとき排出ポート70ないしコイル22の部分を通じた流体移動を防止する流体シールを形成する。
【0025】
バルブ本体12は、複数の本体シールをも有する。この本体シールは、本例ではゴムまたは弾性材製のOリングであるが、バルブ本体の外周部付近で作用可能な別のタイプのシールであってもよい。これらのシールは第一本体シール88,第二本体シール90、第三本体シール92および第四本体シール94を含む。第一、第二、第三および第四の本体シール88、90、92、94はバルブ本体12に形成されるシールキャビティないし円周スロット内に部分的に受けられ、図5における図示および説明される本体ブロックなどのバルブ本体ブロックと密着するよう意図される。
本実施形態では、第一、第二、第三および第四の本体シール88〜94を有するバルブ本体12により、対応する本体ブロックに摺動自在に受けられ着脱可能なカートリッジアセンブリが規定される。
【0026】
図1に示されるように、バルブ閉位置は弁体62の第一側95が第一バルブシート64と係合することにより規定される。流入ポート50を通じて供給される加圧流体は、これにより加圧室54中に保持される。
バルブ閉位置では、シリンダポート66中の流体圧力は排出ポート70を通じてシリンダポート室74、排出ポート室76、排出ポートキャビティ78、および排出ポート流路72を含む流路により圧抜きされる。バルブ閉位置では、コイル22は通電されず、これにより付勢部材28により加えられる付勢力によりバルブ部材兼電機子18は、弁体62が第一バルブシート64に対して当接するバルブ閉方向"A"に向けて付勢される。
【0027】
上述のように、バルブ部材兼電機子18の第一端部34と調整可能なポールピース24のポールピース端部38との間に設けられた空隙30は調整可能であり、螺合接続部26を用いて調整可能なポールピース24を回転させて空隙30を増減することによってより小さくしたりより大きくしたりすることができる。
空隙30を増減することにより、バルブ機構10が開いている時間、閉じている時間をそれぞれ増減することができる。空隙30は、例えば弁体62の圧縮永久歪みないし摩耗を許容することで、バルブ機構10の使用期間にわたって維持することもできる。
【0028】
調整可能なポールピース24を軸方向に調整することで、バルブ部材兼電機子18がバルブ閉位置にある状態で調整可能なポールピース24とバルブ部材兼電機子18との間に形成される空隙30の寸法"X"が操作制御される。
空隙30は、バルブ機構10の操作時間に影響する対向バルブシートの間の距離により定められるバルブ部材兼電機子18の全ストローク距離とも等しくされる。本実施形態では、空隙30は略0.005インチ(0.13ミリ)とすることができる。
調整可能なポールピース24へのアクセスはバルブ機構10の開放端部を通じてなされ、これにより調整可能なポールピース24は回転されその位置を軸方向に調整可能であり、バルブのコイル22の通電時にもソレノイド機構のストロークないしオーバーストロークを制御できる。したがってバルブ機構10の磁場調整が可能である。磁場調整によりバルブ移動力を最適化でき、摩耗を補償でき、またバルブの使用可能期間を通じて応答時間を一定に保つことに用いることもできる。
【0029】
図2において、コイル22が通電されると、調整可能なポールピース24を介して牽引力を規定する磁場ないし磁束が形成され、付勢部材28の付勢力に打ち克ってバルブ開方向"B"にバルブ部材兼電機子18を牽引する。第二バルブシート96が調整可能保持具80の端部に規定される。弁体62の第一側95が第一バルブシート64から離れ、対向する弁体62の第二側97が第二バルブシート96に当接する時にバルブ開位置となる。
このとき空隙30’が縮小されるもののゼロ値にはならず、これによりバルブ部材兼電機子18が調整可能なポールピース24に当接可能となる時にもバルブ開位置となる。
バルブ部材兼電機子18と調整可能なポールピース24の間の接触は好ましくない。というのは、バルブ部材兼電機子18と調整可能なポールピース24との間が完全に密着しないかもしれず、かつ繰り返し当接させることで金属部分のピーニングが生じノイズが増大する可能性があるからである。したがって、接触を減らすことで、金属摩耗が減少しバルブ機構10の操作寿命が長くなる。
【0030】
第二バルブシート96は、弁体62近傍に配された調整可能保持具80の鋭角面、面取り面、ないし曲面として規定可能である。第一バルブシート64も鋭角面、面取り面、ないし曲面として規定可能である。
前述したように、調整可能保持具80および結果として第二バルブシート96の位置は、螺合接続部82を用いて調整可能保持具80を回転することにより長手方向に調整可能である。調整可能保持具80および第二バルブシート96の軸方向位置を調整することにより、第一バルブシート64と第二バルブシート96の間の全距離"Y"を調整可能である。この調整により弁体62の圧縮永久歪みおよび摩耗、およびバルブ開閉時間の調整が可能となる。
【0031】
コイル22が通電状態にあるとき、バルブ機構10は図2に示されるバルブ開位置にとどまる。
バルブ開位置では、流入ポート50を通じて加圧室54に供給される圧搾空気などの流体はシリンダポート室74、シリンダポート流路68およびシリンダポート66を介して流体動作部材ないし装置(図示せず)に排出される。したがって、バルブ機構10を通るフローは、流入ポート50を介した流入フロー方向"C"であり、かつシリンダポート66からの流出フロー方向"D"である。
【0032】
弁体62が第二バルブシート96と当接するとき、排出ポート70は遮断される。
排出ポート70により設けられる出口流路に加え、バルブ開位置では、バルブ機構10中の流体はバルブ部材兼電機子18とソレノイドブッシュ40のブッシュスリーブ100との間に規定される流路98を通じても排出可能である。
流路98を通じて逃げる流体はバルブ本体12とバルブ機構10から螺合接続部26を通じて出ていき、結果としてコイル22に接触する可能性がある。これらの経路はバルブ閉位置では遮断される。排出ポート室76内の流体と排出ポート70との間の圧力差は流路98を通じた排出ポート室76と螺合接続部26の間の圧力差よりも相当程度小さいことから、バルブ閉位置で流体は一般に排出ポート70を介して排出される。
コイル22が通電されなくなると、付勢部材28はバルブ部材兼電機子18を図1に示されるバルブ閉位置に戻す。
【0033】
図2および図3の双方において、バルブ部材兼電機子18がバルブ閉位置(図3)又はバルブ開位置(図2)にあるとき、加圧室54の対向する端部に設けられた構造により「圧力均衡」状態となる。
図3に具体的に示されるように、弁体62が第一バルブシート64と当接すると、ピストン端部壁102の第一表面領域“E”は、対応する弁体62の流体露出部の第二表面領域“F”とほぼ等しくなる。したがって、第一表面領域“E”に作用する流体圧力“P”は第二表面領域“F”に作用する流体圧力“P”とほぼ等しい。圧力“P”が圧力“P”とほぼ等しいことから、流入ポート50でのソース圧力はバルブ部材兼電機子18をバルブ閉位置から変位させるようには作用しない。
この圧力均衡状態により、付勢部材28(この図では図示せず)によりもたらされる付勢力がバルブ閉位置でバルブ部材兼電機子18に作用して保持する唯一の力となる。
【0034】
コイル22がその後通電されると、バルブ部材兼電機子18に作用する静的力を無視すれば、バルブ部材兼電機子18をバルブ閉位置からバルブ開位置に移動するのに要する入力は付勢部材28の付勢力より単に大きければよい。これにより、バルブ部材兼電機子18を変位させるのに必要なエネルギーが低減され、したがってバルブ機構10の開放時間が低減される。弁体62が使用に伴い摩耗した場合であっても、第二表面領域“F”はほぼ不変であり、したがってバルブ部材兼電機子18の圧力均衡状態が維持される。
調整可能保持具80の第二バルブシート96として定義される角部と弁体62の第二面103との間の距離“Z”が示される。距離“Z”は調整可能保持具80の軸方向変位により調整可能である。シリンダポート66を介しての流体フローが止まる時にも、対向するバルブシート面の面積がほぼ等しいことから圧力均衡状態はバルブ開位置(図2)でのバルブにも生じる。これらの圧力が均衡された領域はバルブ応答時間を流体圧力の変化と一致するよう維持する。
【0035】
図2において、バルブ機構10がバルブ開位置にあるとき、流体が流入ポート50から後段の装置を動作させるのに用いられるシリンダポート66を介して通過した後、流入ポート50での流体圧力はシリンダポート66での流体圧力とほぼ等しい。弁体62の対向側面の角度形状によりバルブ開位置で「圧力均衡」状態が存在する。弁体62と第二バルブシート96との当接点での弁体62の対向側面に作用する流体圧力はほぼ等しい。コイル22がその後通電されなくなると、バルブ部材兼電機子18をバルブ閉方向“A”のバルブ閉位置から図1に示されるバルブ閉位置への移動を開始するためには、付勢部材28の付勢力は最小限の流体圧力のみを克服すればよい。
【0036】
図4において、バルブ機構104はバルブ機構10からの変形であって流体シールが追加される。バルブ部材兼電機子106はバルブ部材兼電機子18からの変形でありバルブ部材兼電機子106中に形成されるシール溝110内に配されるOリングなどのシール部材108が追加される。シール部材108はバルブ部材兼電機子106と調整可能保持具80のボア面112との間に流体のシールとなる。バルブ機構104の残りの部材はバルブ機構10とほぼ同じである。
【0037】
バルブ機構104にシール部材108を追加することにより、流路98はバルブ機構104の任意の動作条件下で封止される。シール部材108を利用するか否かは、例えば、塵芥ないし水分などの異物を除去するため流体を容易にフィルタできない場合、ないし流体がコイル22を含むバルブ機構10の素材に対して腐食性である場合等、バルブ機構104によって制御されるべき流体の種類に応じて選択可能である。
シール部材108を用いることで、フィルタされない又は腐食性の流体による有害な影響がバルブ機構104のコイル22の領域に到達しなくなる。バルブ部材兼電機子106の弁体114がバルブ閉位置ないしバルブ開位置、およびこの間の任意の位置でバルブシートに当接する場合、シール部材108は流路98と螺合接続部26とを隔離する。シール部材108を追加することで、バルブ機構104を通常閉じたバルブ、通常開いたバルブ、セレクタないしダイバータ機構として用いることも可能となる。流入ポートは任意に定められる特定のポートに再配置可能であり、バルブ機構104はバキュームシステムが接続された状態で利用することも可能である。
【0038】
図5において、バルブ機構104が本体ブロック116に実装された例が示される。この例では前述したバルブ機構10(図示せず)も同様に実装される。
本体ブロック116はバルブ機構104の受け部材としての任意の種類の構造としてよい。本体ブロック116は流入ポート50、シリンダポート66および排出ポート70のそれぞれの流体連通路を規定する複数の流体ポートを有してもよい。
これら流体ポートは各流入ポート50と連通する第一流体ポート118,各シリンダポート66と連通する第二流体ポート120、および各排出ポート70と連通する第三流体ポート122を含む。第一、第二および第三の流体ポート118、120、122は、ねじ、溶接、スウェージング加工等の、ないしその他類似のコネクタであるコネクタ124を受けることができるよう構成される。各コネクタ124は、例えば加圧流体源を流入ポート50に提供可能な流体ライン126、又はバルブ機構104から圧力動作可能な装置に排出される流体の流路に接続され、又は排出ポート70から流体を大気に脱気するように接続される。
【0039】
図5に示される例では、バルブ部材兼電機子106は流入ポート50とシリンダポート66との間を連通させるバルブ開位置に配される。この状態では、流入ポート50の流体はバルブ機構104を通過し、シリンダポート66を介して排出される。第一、第二、第三および第四本体シール88〜94等の本体シールにより、バルブ機構104をカートリッジとして本体ブロック116に着脱自在に挿入可能となる。これにより、バルブ機構104を各種シールの修理ないし調整可能保持具80の調整などのメンテナンス目的で取り外し可能となる。
【0040】
図6において、本開示の2ウェイバルブ機構128は螺合接続部134を用いてソレノイドケース132に着脱自在に、されたバルブ本体130を有する。
バルブ部材兼電機子136はバルブ長手軸138上で摺動動作するようバルブ本体130内に摺動自在に配される。バルブ部材兼電機子18と同様、バルブ部材兼電機子136はバルブ閉方向“A”およびバルブ開方向“B”にそれぞれ変位可能である。
【0041】
コイル140がソレノイドケース132内に配される。調整可能なポールピース24と同様の軸方向に調整可能なポールピース142が螺合接続部144を用いてソレノイドケース132に接続される。
付勢部材28に類似のコイルばね等の付勢部材146がバルブ部材兼電機子136のフランジ部148とソレノイドブッシュ150との間に配される。付勢部材146はバルブ部材兼電機子136をバルブ閉方向“A”に付勢し、これによりバルブ部材兼電機子136がバルブ閉位置にあるときバルブ部材兼電機子136と調整可能なポールピース142との間に空隙151を規定する。空隙151はバルブ機構10に設けられる空隙30と機能および調整可能である点において類似する。
バルブ部材兼電機子136がソレノイドブッシュ150のブッシュスリーブ152中に摺動自在に配される。ブッシュスリーブ152とバルブ部材兼電機子136との間に流路98と類似の流路154が形成される。均圧流路46と類似の機能を有する均圧流路156もバルブ部材兼電機子136に設けられる。
【0042】
バルブ本体130は、バルブ長手軸138に対して角度αを持って配される流入ポート158を有する。本実施形態では、角度αは略45度であるが、製造業者の裁量により変更可能である。流入ポート158は加圧室160と連通する。加圧室160内の流体はバルブ部材兼電機子136のピストン164の周りに周方向に保持されるOリングなどのシール162により保持される。シール162はバルブ本体130のシリンダボア166と当接して加圧室160の一端で圧力流体境界を形成する。加圧室160の対向端は、弁体62と同様の弁体168がバルブ本体130のバルブシート170と当接するときに形成される。2ウェイバルブ機構128の構造によりバルブ機構10の圧力均衡状態が同様に与えられる。
【0043】
バルブ本体130は、さらにシリンダポート流路174を用いてシリンダポート室176と連通するシリンダポート172を有する。流入ポート158内の流体圧力は、バルブ閉位置では弁体168がバルブシート170と当接することにより、通常シリンダポート室176とシリンダポート172とは隔離とされる。図4に示され関連する説明がなされたシール部材108等のシール部材(図示せず)をバルブ部材兼電機子136に追加して、加圧流体が流路154と螺合接続部144とを介して伝わるのを防止してもよい。このシール部材はフランジ部148に、又はバルブ部材兼電機子136とブッシュスリーブ152との間に配置可能である。
【0044】
バルブ本体130はバルブ本体12とそのピストン164の位置近傍の形状において異なる。エラストマー素材のOリングなどの第一本体シール178がバルブ本体130の端面180内に形成されるスロットないし溝内に配される。端面180はバルブ長手軸138と略直交する。第二本体シール182と第三本体シール184は、ともにバルブ本体130の側面186内に形成される対応スロット中に配される。端面180と側面186との間に角度付き面188が形成される。角度付き面188は流入ポート158の中心軸189と略直交する。
【0045】
2ウェイバルブ機構128の動作は、各バルブ機構10、104のそれぞれと同様である。コイル140が通電されなくなると、付勢部材146の付勢力によりバルブ部材兼電機子136がバルブ閉位置に向けて付勢される。コイル140が通電されると、調整可能なポールピース142を介して誘導された磁束により、空隙151がほぼゼロとなるまでバルブ部材兼電機子136が押されあるいは牽引される。
2ウェイバルブ機構128の設計においては、バルブ部材兼電機子136と調整可能なポールピース142とが当接することが予定される。必要に応じて、当接力および当接に伴うノイズを低減するため、弾性部材ブッシュないしパッド(図示せず)などの追加部材をバルブ部材兼電機子136と調整可能なポールピース142との間に配してもよい。
バルブ部材兼電機子136がバルブ開方向“B”に移動すると、弁体168がバルブシート170から後退して加圧室160中の流体がシリンダポート室176、シリンダポート流路174およびシリンダポート172を介して排出可能となる。バルブ部材兼電機子136のフランジ部148を用いることで、付勢部材146をバルブ部材兼電機子136の外側に配置可能であり、これによりバルブ機構10の部材キャビティ32と磁極キャビティとが不要となる。
【0046】
図7において、2ウェイバルブ機構190は、2ウェイバルブ機構128を変形してソレノイドケース193から径方向外側に伸びる複数の外部本体ねじ192を追加したものである。ねじ192により、バルブ機構190が図8を参照してより詳細に説明されるマニホルドブロック196等のマニホルドの内部ねじと積極的に螺合可能となる。螺合中にバルブ機構190を回転しやすくするため、一対の対向するレンチフラット194(一方のレンチフラットのみが図示)がソレノイドケース193に設けられる。レンチなどの留め具をレンチフラット194に係合して組み立て中に追加トルクを加えることが可能である。加えて、スロット付端部を調整可能なポールピース195に設けて、ねじ回し等の別の実装工具と係合可能としてもよい。
【0047】
図8において、本開示にかかる複数のバルブ機構は省スペースおよび費用低減対策として共同してマニホルドに接続され、これらバルブ機構により複数の部品を操作する。実施形態では、複数のバルブ機構190がマニホルドブロック196の各ねじ付き受け開口中に螺合される。バルブ機構190は第一および第二列198、200として示される略平行な列に配置可能である。例示的なグループ202として図示されるバルブ機構190のグループは、一つ以上のフロー分配装置204に共同して接続可能である。
本構造では、グループ202は、マニホルドブロック196の内部フロー流路(図示せず)に共同して接続される8つのバルブ機構190と、フロー分配装置204への装置取付ブロック206とを有する。別のバルブ機構190のグループを各フロー分配装置204'、204''、204'''に接続可能である。バルブ機構とフロー分配装置の数は、図示される例示的構造に限定されず、製造業者の裁量により変更可能である。複数のバルブ機構をグループ化することにより、複数のバルブ機構に通電するのに配線ハーネス(図示せず)を利用可能となることから、バルブ機構への電気的接続を行うのが容易となる。
【0048】
図9において、別の実施形態である圧力均衡2ウェイバルブ機構208は前述した2ウェイバルブ機構128からの変形である。以下、変形箇所のみを述べる。2ウェイバルブ機構208は内部に摺動自在に配された同種のバルブ部材兼電機子212を含むバルブ本体210を有する。バルブ本体210はソレノイドケース214にねじで接続される。ソレノイドケース214は調整可能なポールピース142と同様のねじで螺合される調整可能なポールピース216を有する。バルブ部材兼電機子212および調整可能なポールピース216は、部材キャビティ220とポールピースキャビティ222内にそれぞれ配されるコイルばね等の弾性部材218を有するよう変形される。弾性部材218はバルブ部材兼電機子212をバルブ機構208を閉じる方向“H”に付勢する。
【0049】
バルブ部材兼電機子212は、隆起本体部230の受けキャビティ228内に摺動自在に受けられる外面226を有するラジアルフランジ部224を含むようバルブ部材兼電機子136から変形されたものである。ラジアルフランジ部224のシール溝234内に配されたOリングなどのシール232により、流体がラジアルフランジ部224を超えてコイル236に接触することを防止する流体境界シールが設けられる。
図10で詳細に説明されるように、バルブ部材兼電機子212は、さらにバルブ部材兼電機子212とバルブ部材兼電機子212のラジアルポケット240内で一体的に接続される弁体238であって、弁体62および168から変形されたものを有する。弁体238はバルブシート170と同様のバルブシート242と当接する。バルブ部材兼電機子212をバルブ本体210内に方向“H”に沿って組み込むため、弁体238は方向“G”に屈折可能であり、隆起本体部230の受けキャビティ228を介して配置されるとき弁体238が屈曲される。
【0050】
図10において、バルブシート242と受けキャビティ228によって規定される内面243はともに略同一の半径“J”を有する。ラジアルフランジ部224の端面244は、ピストンキャビティ246に受けられるピストン245(ピストン164と同様)の表面領域“L”とほぼ等しい表面領域“K”を規定する。表面領域“K”は、図示されるバルブ閉状態で流体圧力にさらされる弁体238の部分の表面領域“M”ともほぼ等しい。表面領域“L”と“M”とは図3に示される第一および第二表面領域“E”と“F”と同様の機能を有する。コイル236(図9参照)が通電されると、バルブ部材兼電機子212はバルブ開位置(図示せず)に移動され表面領域“L”および“K”に作用する流体圧力が均衡する。
【0051】
弁体238は、弁体62および168内に部分的に受けられたバルブ部材兼電機子212の径方向外側に延びる部分をなくす形で弁体62および168を変形したものである。これに対し、弁体238はラジアルポケット240内に受けられ、バルブ部材兼電機子212から離れる方向に自由に伸びる弁体238の部分を屈折ないし屈曲可能とする。バルブ部材兼電機子212が組み込まれる時に、弁体238を屈曲しやすくするため、弁体238の表面247はバルブ機構208の長手軸250に略直交して伸びる軸248に対して角度βで延びる。実施形態では、角度βはおよそ20度からおよそ60度まで変更可能である。この角度範囲は限定的なものではなく、角度βは製造業者の裁量に応じてより大きくもより小さくもすることができる。
【0052】
本開示のバルブ機構用のコイル22、140はここでは円形ないし筒状の形状のものとして示される。
この形状は、本開示を限定するものではない。矩形、ないし楕円などの非円形、ないし多くの別の幾何学的形状等、他のコイル形状を用いてもよい。コイルの幾何学的形状を変更することにより、設計およびコイルの有効領域を規定する巻数を代えることでコイルの消費電力ないし動作速度を変更可能である。本開示のバルブ機構の残りの動作特性は記載される各種コイル形状とともに維持可能である。ソレノイドケース(14、132、193、214)と調整可能なポールピース(24、142、195、216)の形状もコイルの幾何学的形状に応じて変形可能である。例えば、全体的に矩形状のソレノイドケース193により、図7に示されるバルブ機構190のレンチフラット194を設ける必要がなくなる。
【0053】
カートリッジ型バルブ本体(12、130、10、210)が図示されるが、バルブ本体は、限定されるものではないが例えばインラインないしマニホルド型などの別の構造を有してもよい。バルブ開ないし閉位置からのバルブ部材兼電機子(18、106)の軸方向変位として規定されるバルブストロークは調整可能保持具(80)の軸方向位置により予め定められる。ソレノイド機構によって生じるソレノイドストロークは調整可能なポールピース(24、142、195、216)の軸方向位置により予め定められる。本開示のバルブ機構も2ウェイおよび3ウェイ設計に限られず、4ウェイないしより数の多いバルブであってもよい。
【0054】
図11図13および図14において、本開示の別の実施形態によれば、2ウェイバルブ機構252は、摺動自在に配されたバルブ部材兼電機子254を内部に有するバルブ本体276を備える。バルブ部材電機子254は、図11に示されるように、単一の素子として同一化されたもの、または、図13あるいは図14に示されるような、バルブ部材255a,255cが電機子255b,255dに結合されて一体化された結合体として製造される。
本実施形態においては、バルブ部材兼電機子254は鋼、ステンレス鋼などの磁性材からなる。バルブ部材兼電機子254の第一端部256は、ソレノイドブッシュ258のブッシュスリーブ257内に摺動自在に配される均圧流路259もバルブ部材兼電機子254に設けられる。軸方向に調整可能なポールピース260はソレノイドケース262に螺合されており、ソレノイドケース262およびバルブ部材兼電機子254に対し軸方向に調整可能となる。
【0055】
ソレノイドケース262に配されたコイル263は通電されると、バルブ部材兼電機子254の第一端部256を介して作用する磁界により動作可能となり、図11に示すようにバルブ部材兼電機子254を図示された非通電位置から右に摺動する。また、均圧流路264は、均圧流路259と軸方向に揃えて配列されたポールピース260に設けられる。ソレノイドブッシュ258とバルブ部材兼電機子254の両方に接触する付勢部材266は、コイル263が通電されなくなると、通常バルブ部材兼電機子254を図示された非通電位置に付勢する。
【0056】
バルブ本体276のブッシュ部268は、例えば真鍮などの金属から形成されており、ねじ270によりソレノイドケース262に螺合され、バルブ部材兼電機子254のための摺動シールを提供する。また、ブッシュ部268はソレノイドブッシュ258を保持することもできる。ブッシュ部268は、バルブ部材兼電機子254に設けられる外側被覆されたエラストマー素材の弁体272が接触すると、第一バルブシールを規定する。第二バルブシールは、弁体272とバルブ本体276に設けられるバルブシール274との間の接触により形成される。図示されるバルブ部材兼電機子254の非通電位置において、バルブ部材兼電機子254の端面280とポールピース260の面282との間に第一幅Wの空隙278ができる。
【0057】
図12および図11において、コイル263の通電によりバルブ部材兼電機子254が通電位置に移動した状態のバルブ機構252が図示されるコイル263により生成された磁界は付勢部材266の付勢力に打ち克ち、バルブ部材兼電機子254を摺動方向"U"に動かす。通電位置において、空隙278'は空隙278から縮小するものの、バルブ部材兼電機子254の端面280がポールピース260の面282に接触することはない。空隙278'は、幅Wより小さく、かつ、バルブ部材兼電機子254の端面280とポールピース260の面282との物理的接触を妨げるように常にゼロより大きい幅Wを有する最小値を規定する。バルブ部材兼電機子254の端面280とポールピース260の面282との物理的接触が妨げられ、これら二つの面の間の物理的摩耗およびこの接触に伴いうるノイズが起こる可能性を排除する。
【0058】
空隙278'の幅Wは、まずブッシュ部268の長さ"V"を予め決定し、ソレノイドケース262の対応のねじ292にねじ締めにより受けられるポールピース260のねじ290を用いて必要に応じてポールピース260をねじ締めにより調整することによって維持される。ブッシュ部268の自由端286に形成されるシート面284は、バルブ機構252が通電されると、弁体272の面288を受けるように構成される。弁体272が弾性材料であることから、シート面284が先に面288に接触した後、バルブ部材兼電機子254が摺動方向"U"へ行き過ぎることが起こりうる。したがって、ブッシュ部268の長さ"V"は、弁体の272の使用による通常の摩耗を許容するとともに、このような行き過ぎも許容するように、最初に予め決定される。
【0059】
必要に応じて、ポールピース260の位置をバルブ部材兼電機子254に対して近づけるあるいは遠ざけるように調整することによっても、幅Wを微調整することができる。"X"方向への軸方向の調整により後から幅Wを制御すると、幅Wが空隙278'の最小値よりも大きくなり、例えば、弁体272の摩耗を許容したり、および/もしくは、ポールピース260を介した磁界の強さを調整したりすることができる。
前述の実施形態に関し述べたように、図11および12のバルブ機構252も2ウェイおよび3ウェイ設計に限られず、カートリッジ型バルブ本体およびインラインないしマニホルド本体型を有する4ウェイないしより数の多いバルブであってもよい。
【0060】
本開示の圧力均衡ソレノイド動作バルブによれば、いくつかの利点が得られる。
加圧室の対向端の形状を制御することにより、バルブ部材兼電機子のピストンとバルブシートに対して当接する弾性弁体との間に圧力均衡状態が形成される。この圧力均衡状態によりバルブ部材兼電機子を付勢部材のみの力によってバルブ閉位置に保持可能となる。バルブ部材兼電機子をバルブ開位置に移動するため、コイルにより生じる磁束は付勢部材の付勢力を克服するだけでよい。
部分的には本開示のバルブ機構の圧力均衡構造により、0.0004秒未満のバルブ動作時間を達成可能であり、毎秒2200サイクルよりも大きなバルブ動作周期をも達成可能である。
【0061】
本実施形態では、軸方向調整可能保持具により略0.002インチ(0.05ミリ)から0.025インチ(0.635ミリ)の範囲内での軸方向調整が可能である。
保持具によって設けられる軸方向調整可能な第二バルブシートと独立の軸方向調整可能なポールピースを設けることにより、バルブのソレノイドストローク全体をその使用可能期間中に維持し、あるいは調整可能である。
バルブ機構の開放端を介して調整可能なポールピースへのアクセスが得られ、これによりポールピースはバルブの全使用可能期間にわたり軸方向に調整可能であって、バルブが通電されるときにもソレノイド機構のストロークないしオーバーストロークを制御可能となる。
バルブ本体に設けられる外部シールにより、バルブ本体がバルブ本体ブロックないし類似の構造中の設置位置にカートリッジとして挿入ないし取り外し可能となる。
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