特許第5690747号(P5690747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690747インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690747
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/328 20140101AFI20150305BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20150305BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20150305BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20150305BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20150305BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20150305BHJP
   C09B 31/28 20060101ALI20150305BHJP
   C09B 43/16 20060101ALN20150305BHJP
【FI】
   C09D11/328
   C09B67/46 A
   B41M5/00 E
   B41M5/00 B
   B41J2/01 501
   C09B31/28
   !C09B43/16
【請求項の数】17
【全頁数】96
(21)【出願番号】特願2011-549962(P2011-549962)
(86)(22)【出願日】2011年1月7日
(86)【国際出願番号】JP2011050146
(87)【国際公開番号】WO2011086974
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-3867(P2010-3867)
(32)【優先日】2010年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】川口 彬
(72)【発明者】
【氏名】松井 貴彦
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/077931(WO,A1)
【文献】 特開2009−040861(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069279(WO,A1)
【文献】 特開2009−084346(JP,A)
【文献】 特開2009−185133(JP,A)
【文献】 特表2009−512737(JP,A)
【文献】 特開2009−030023(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/136577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00− 11/54
B41J 2/00− 2/525
B41M 5/00− 5/52
C09B 1/00− 69/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(I)として、少なくとも1種類の下記式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩と、色素(II)として、λmaxを380〜460nmの範囲に有する少なくとも1種類の下記式(4)で表される化合物又はその塩とを含有し、さらに色素(III)として、下記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;及び、下記式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;から選択される少なくとも1種類を含有するインク組成物。
【化1】
[式(2)中、
101及びR102は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N,N−ジアルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表し、
103及びR104は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
xは0又は1であり、
基Aは、下記式(3)で表される基である。]
【化2】
[式(3)中、
105は、シアノ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;又は、フェニル基;を表し、
106、R107、及びR108は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表す。]
【化3】
[式(4)中、
201からR204は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
205は、ヒドロキシ基;アミノ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;ベンゼン環が、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルメチルアミノ基;ナフチルメチルアミノ基;又は、ナフタレン環が、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、及び塩素原子よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたナフチルメチルアミノ基;を表す。]
【化4】
[式(1)中、
nは0又は1であり、
は、カルボキシ基;C1−C4アルキル基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;フェニル基;又は、スルホ基で置換されたフェニル基;を表し、
は、シアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;スルホ基;C1−C4アルキル基;又は、C1−C4アルコキシ基;を表し、
からRは、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C6アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
からRが置換しているベンゾイミダゾロピリドン環が、アゾ基を介して結合しているナフタレン環上におけるアゾ基の置換位置はa又はbであり、該ナフタレン環上に置換しているスルホ基の置換位置はb又はcであるが、両者が同じ位置に置換することはなく、
からR11は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルバモイル基;スルファモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;を表す。]
【化5】
[式(6)中、
mは0又は1であり、
401は、カルボキシ基;C1−C4アルキル基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;フェニル基;又は、スルホ基で置換されたフェニル基;を表し、
405からR407は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
409からR411は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルバモイル基;スルファモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;又は、ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;を表し、
基Dは、フェニル基又はナフチル基であり、
基Dがフェニル基のとき、ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される基で置換されてもよく、
また、基Dがナフチル基のとき、ヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;フェニルスルホニルオキシ基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、ニトロ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換基されてもよい。]
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物が下記式(7)で表される化合物である、請求項1に記載のインク組成物。
【化6】
[式(7)中、n、RからR11は、前記式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
【請求項3】
前記式(2)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101及びR103がスルホ基であり、
102が水素原子である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記式(4)で表される化合物が下記式(8)で表される化合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
【化7】
[式(8)中、
2010及びR2030は、それぞれ独立に、水素原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
2020及びR2040は、それぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基を表し、
2050は、前記式(4)におけるR205と同じ意味を表す。]
【請求項5】
前記式(7)において、
nが1であり、
がC1−C4アルキル基又はフェニル基であり、
がシアノ基又はカルバモイル基であり、
がスルホ基であり、
がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
が水素原子であり、
がC1−C4アルキル基であり、
が水素原子又はスルホ基であり、
10が水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルコキシ基、又は、C1−C4アルキルスルホニル基であり、
11が水素原子又はスルホ基である、請求項2に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記式(8)において、
2010及びR2030がそれぞれ独立に、水素原子又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
2020及びR2040がC1−C4アルキル基であり、
2050がスルホ基で置換されたC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;フェニルアミノ基;スルホフェニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;スルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基;又は、カルボキシ基で置換されたフェニルメチルアミノ基;である、請求項4に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記式(2)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101、R103、及びR107がスルホ基であり、
102が水素原子であり、
104が水素原子、塩素原子、又はスルホ基であり、
105がカルボキシ基である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記式(6)において、
mが1であり、
401がカルボキシ基又はフェニル基であり、
405がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
406が水素原子であり、
407がC1−C4アルキル基であり、
409が水素原子又はスルホ基であり、
410が水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルコキシ基、又はC1−C4アルキルスルホニル基であり、
411が水素原子又はスルホ基であり、
基Dがスルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、及びC1−C4アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニル基である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記色素(I)が、前記式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩であり、該式(2)中、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101、R103、及びR107がスルホ基であり、
102、R106、及びR108が水素原子であり、
104が塩素原子であり、
105がカルボキシ基であり、
前記色素(II)が、前記式(4)で表される化合物又はその塩であり、該式(4)中、
201及びR203が水素原子又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
202及びR204がC1−C4アルキル基であり、
205がスルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、又はスルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基であり、
前記色素(III)が、前記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;及び、前記式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;から選択される少なくとも1種類であり、
該式(1)中、
nが1であり、
がC1−C4アルキル基であり、
がシアノ基であり、
及びRのいずれか一方がスルホ基、他方が水素原子であり、
がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
が水素原子であり、
がC1−C4アルキル基であり、
が水素原子又はスルホ基であり、
10がC1−C4アルコキシ基であり、
11が水素原子又はスルホ基であり、
からRが置換しているベンゾイミダゾロピリドン環がアゾ基を介して結合しているナフタレン環のアゾ基の置換位置がb、該ナフタレン環に置換しているスルホ基の置換位置がcであり、
該式(6)中、
mが1であり、
401がカルボキシ基であり、
405がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
406が水素原子であり、
407がC1−C4アルキル基であり、
409が水素原子又はスルホ基であり、
410がC1−C4アルコキシ基であり、
411が水素原子又はスルホ基であり、
基Dがスルホ基で置換されたフェニル基である、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項10】
インク組成物中に含有する色素の総質量において、前記色素(I)の比率が10〜75質量%であり、前記色素(II)の比率が10〜40質量%であり、前記色素(III)の比率が10〜60質量%である、請求項1及至9のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項11】
インク組成物中に含有する前記色素(I)、前記色素(II)、及び前記色素(III)の質量の総和が、該インク組成物の総質量に対して0.1〜20質量%である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項12】
インクジェット記録に用いる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法。
【請求項14】
前記被記録材が情報伝達用シートである、請求項13に記載のインクジェット記録方法。
【請求項15】
前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである、請求項14に記載のインクジェット記録方法。
【請求項16】
a)請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物、及び、
b)請求項13に記載のインクジェット記録方法、のいずれかにより着色された着色体。
【請求項17】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ特定の式で表される色素(I)と、色素(II)とを含有し、さらに特定の式で表される色素(III)の、少なくとも3種類の色素を含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インク組成物によって着色された着色体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため音の発生が少なく静かである。また、小型化、高速化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン用等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐ガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
【0003】
これらのうちで、耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガス等が記録紙中で色素に作用し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。オゾンガスの他にも、この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、NOx、SOx等が挙げられるが、これらの酸化性ガスの中でもオゾンガスがインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる主原因物質とされている。このため、耐ガス性の中でも、特に耐オゾンガス性が最も重要視される傾向がある。写真画質のインクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質での滲みを少なくする目的で、多孔性白色無機物等の材料が用いられることが多い。このような記録紙に記録した画像において、オゾンガスによる変退色が顕著に見られる。この酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はインクジェット記録方法における最も重要な課題の1つとなっている。
【0004】
今後、インクを用いた記録(印刷)方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐光性、耐オゾンガス性、耐湿性、耐水性のさらなる向上が強く求められている。
【0005】
種々の色相のインクが種々の色素から調製されているが、それらのうち黒色インクは、モノカラー及びフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域とがニュートラルな色相で、且つ印字濃度が高く、さらに色相の光源依存性が小さい良好な黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているが、まだ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を配合して黒色インクを調製することが行われている。しかし、複数の色素を混合してインクを調製すると、単一の色素でインクを調製した場合に比べて、1)メディア(被記録材)によって色相が異なる、2)光やオゾンガスによる色素の分解によって、特に変色が大きくなる、等の問題がある。
【0006】
印刷物の各種耐久性が良好なインクジェット用黒色インク組成物としては、例えば特許文献1〜4のもの等が提案されている。このインク組成物は色相が黒色として非常に良好であり、印刷物の画像堅牢性についても大きく改良がなされたインク組成物であるが、特に耐オゾン性についてさらなる改善が要望されており、未だ市場の要求を十分に満足する製品を提供するに至っていない。なお、特許文献5には、いずれも水溶性とされる短波染料Sと長波染料Lとの少なくとも2種を含有するインク組成物が開示されているが、3種類の染料を含有するインク組成物は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−84346号公報
【特許文献2】国際公開2009/069279号
【特許文献3】国際公開2005/097912号
【特許文献4】国際公開2007/077931号
【特許文献5】特表2009−512737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、彩度が低く色味のないニュートラルな黒色を呈し、印字された画像の濃度が高く、記録画像の耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上述したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、それぞれ特定の式で表される色素(I)と、色素(II)とを含有し、さらに特定の式で表される色素(III)の、少なくとも3種類の色素を含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
1)
色素(I)として、少なくとも1種類の下記式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩と、色素(II)として、λmaxを380〜460nmの範囲に有する少なくとも1種類の下記式(4)で表される化合物又はその塩とを含有し、さらに色素(III)として、下記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;及び、下記式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;から選択される少なくとも1種類を含有するインク組成物、
【化1】
[式(2)中、
101及びR102は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N,N−ジアルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表し、
103及びR104は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
xは0又は1であり、
基Aは、下記式(3)で表される基である。]
【化2】
[式(3)中、
105は、シアノ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;又は、フェニル基;を表し、
106、R107、及びR108は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表す。]
【化3】
[式(4)中、
201からR204は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
205は、ヒドロキシ基;アミノ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;ベンゼン環が、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルメチルアミノ基;ナフチルメチルアミノ基;又は、ナフタレン環が、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、及び塩素原子よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたナフチルメチルアミノ基;を表す。]
【化4】
[式(1)中、
nは0又は1であり、
は、カルボキシ基;C1−C4アルキル基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;フェニル基;又は、スルホ基で置換されたフェニル基;を表し、
は、シアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;スルホ基;C1−C4アルキル基;又は、C1−C4アルコキシ基;を表し、
からRは、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C6アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
からRが置換しているベンゾイミダゾロピリドン環が、アゾ基を介して結合しているナフタレン環上におけるアゾ基の置換位置はa又はbであり、該ナフタレン環上に置換しているスルホ基の置換位置はb又はcであるが、両者が同じ位置に置換することはなく、
からR11は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルバモイル基;スルファモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;を表す。]
【化5】
[式(6)中、
mは0又は1であり、
401は、カルボキシ基;C1−C4アルキル基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;フェニル基;又は、スルホ基で置換されたフェニル基;を表し、
405からR407は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;フェニルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
409からR411は、それぞれ独立に、水素原子;塩素原子;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルバモイル基;スルファモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;又は、ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;を表し、
基Dは、フェニル基又はナフチル基であり、
基Dがフェニル基のとき、ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C4アルキルアミノ基;ジC1−C4アルキルアミノ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ベンゾイルアミノ基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される基で置換されてもよく、
また、基Dがナフチル基のとき、ヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;フェニルスルホニルオキシ基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、ニトロ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換基されてもよい。]
【0011】
2)
上記式(1)で表される化合物が下記式(7)で表される化合物である、上記1)に記載のインク組成物、
【化6】
[式(7)中、n、RからR11は、上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。]
【0012】
3)
上記式(2)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101及びR103がスルホ基であり、
102が水素原子である、上記1)又は2)に記載のインク組成物、
【0013】
4)
上記式(4)で表される化合物が下記式(8)で表される化合物である、上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【化7】
[式(8)中、
2010及びR2030は、それぞれ独立に、水素原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
2020及びR2040は、それぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基を表し、
2050は、上記式(4)におけるR205と同じ意味を表す。]
【0014】
5)
上記式(7)において、
nが1であり、
がC1−C4アルキル基又はフェニル基であり、
がシアノ基又はカルバモイル基であり、
がスルホ基であり、
がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
が水素原子であり、
がC1−C4アルキル基であり、
が水素原子又はスルホ基であり、
10が水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルコキシ基、又は、C1−C4アルキルスルホニル基であり、
11が水素原子又はスルホ基である、上記2)に記載のインク組成物、
【0015】
6)
上記式(8)において、
2010及びR2030がそれぞれ独立に、水素原子又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
2020及びR2040がC1−C4アルキル基であり、
2050がスルホ基で置換されたC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;フェニルアミノ基;スルホフェニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;スルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基;又は、カルボキシ基で置換されたフェニルメチルアミノ基;である、上記4)に記載のインク組成物、
【0016】
7)
上記式(2)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101、R103、及びR107がスルホ基であり、
102が水素原子であり、
104が水素原子、塩素原子、又はスルホ基であり、
105がカルボキシ基である、上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【0017】
8)
上記式(6)において、
mが1であり、
401がカルボキシ基又はフェニル基であり、
405がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
406が水素原子であり、
407がC1−C4アルキル基であり、
409が水素原子又はスルホ基であり、
410が水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルコキシ基、又はC1−C4アルキルスルホニル基であり、
411が水素原子又はスルホ基であり、
基Dがスルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、及びC1−C4アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニル基である、上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【0018】
9)
上記色素(I)が、上記式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩であり、該式(2)中、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
xが1であり、
101、R103、及びR107がスルホ基であり、
102、R106、及びR108が水素原子であり、
104が塩素原子であり、
105がカルボキシ基であり、
上記色素(II)が、上記式(4)で表される化合物又はその塩であり、該式(4)中、
201及びR203が水素原子又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
202及びR204がC1−C4アルキル基であり、
205がスルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、又はスルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基であり、
上記色素(III)が、上記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;及び、上記式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩;から選択される少なくとも1種類であり、
該式(1)中、
nが1であり、
がC1−C4アルキル基であり、
がシアノ基であり、
及びRのいずれか一方がスルホ基、他方が水素原子であり、
がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
が水素原子であり、
がC1−C4アルキル基であり、
が水素原子又はスルホ基であり、
10がC1−C4アルコキシ基であり、
11が水素原子又はスルホ基であり、
からRが置換しているベンゾイミダゾロピリドン環がアゾ基を介して結合しているナフタレン環のアゾ基の置換位置がb、該ナフタレン環に置換しているスルホ基の置換位置がcであり、
該式(6)中、
mが1であり、
401がカルボキシ基であり、
405がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、
406が水素原子であり、
407がC1−C4アルキル基であり、
409が水素原子又はスルホ基であり、
410がC1−C4アルコキシ基であり、
411が水素原子又はスルホ基であり、
基Dがスルホ基で置換されたフェニル基である、上記1)に記載のインク組成物、
【0019】
10)
インク組成物中に含有する色素の総質量において、上記色素(I)の比率が10〜75質量%であり、上記色素(II)の比率が10〜40質量%であり、上記色素(III)の比率が10〜60質量%である、上記1)及至9)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【0020】
11)
インク組成物中に含有する上記色素(I)、上記色素(II)、及び上記色素(III)の質量の総和が、該インク組成物の総質量に対して0.1〜20質量%である、上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【0021】
12)
インクジェット記録に用いる、上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物、
【0022】
13)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法、
【0023】
14)
上記被記録材が情報伝達用シートである、上記13)に記載のインクジェット記録方法、
【0024】
15)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである、上記14)に記載のインクジェット記録方法、
【0025】
16)
a)上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のインク組成物、及び、
b)上記13)に記載のインクジェット記録方法、のいずれかにより着色された着色体、
【0026】
17)
上記1)乃至11)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、彩度が低く色味のないニュートラルな黒色を呈し、印字された画像の濃度が高く、記録画像の耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
【0029】
本発明のインク組成物は、それぞれ特定の式で表される色素(I)と色素(II)とを含有し、さらに特定の式で表される色素(III)の、少なくとも3種類の色素を、それぞれ少なくとも1種類ずつ含有する、水性の黒色インク組成物である。
【0030】
本発明のインク組成物が含有する色素(I)について記載する。
【0031】
本発明のインク組成物が含有する色素(I)は、上記式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩である。後記する式(1)及び式(6)で表される化合物と同様に、式(2)で表される化合物も互変異性体を有し、これらの異性体も色素(I)に含まれる。
特に断りのない限り、以下の本明細書においては煩雑さを避けるため、「式(2)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩」を含めて「式(2)で表される化合物」と簡略して記載する。
色素(I)は少なくとも1種類の式(2)で表される化合物からなり、式(2)で表される単一の化合物からなる色素であってもよく、複数の化合物からなる色素の混合物であってもよい。なお、式(2)で表される化合物は水溶性の染料である。
【0032】
式(2)中、xは0又は1であり、1が好ましい。
【0033】
式(2)中、R101及びR102におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0034】
式(2)中、R101及びR102におけるN−アルキルアミノスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−(n−ブチル)アミノスルホニル基等のN−C1−C4アルキルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、R101及びR102におけるN,N−ジアルキルアミノスルホニル基としては、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジ(n−プロピル)アミノスルホニル基等のN,N−ジC1−C4アルキルアミノスルホニル基;等が挙げられる。
【0035】
式(2)中、R101及びR102におけるアシル基としては、アルキルカルボニル基又はアリールカルボニル基が挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の、通常C1−C6アルキルカルボニル基、好ましくはC1−C4アルキルカルボニル基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチル(メチルカルボニル)、プロピオニル(エチルカルボニル)、ブチリル(プロピルカルボニル)等の直鎖のもの;イソブチリル(イソプロピルカルボニル)等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
アリールカルボニル基としては、アリール部分の炭素数がC6−C10のものが挙げられ、具体例としては、ベンゾイル、ナフトイル等が挙げられる。
【0036】
式(2)中、R101及びR102におけるC1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではメチルが特に好ましい。
【0037】
式(2)中、R101及びR102における、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基としては、上記R101及びR102におけるC1−C4アルキル基の任意の炭素原子に、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基が置換したものが挙げられる。該アルキル部分については直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシC1−C4アルキル基;メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチル、n−プロポキシブチル等のC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基;等が挙げられる。
【0038】
式(2)中、R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではメトキシが特に好ましい。
【0039】
式(2)中、R101及びR102における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基の任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に2つ以上の酸素原子が置換しないものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。これらの中ではスルホC1−C4アルコキシ基が好ましい。
【0040】
式(2)中、R101及びR102におけるアシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基又はアリールカルボニルアミノ基が挙げられる。
アルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の、通常C1−C6アルキルカルボニルアミノ基、好ましくはC1−C4アルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、ブチリルアミノ(プロピルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が直鎖のもの;イソブチリルアミノ(イソプロピルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
アリールカルボニルアミノ基としては、アリール部分の炭素数がC6−C10のものが挙げられ、具体例としては、ベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等が挙げられる。
【0041】
式(2)におけるR101及びR102としては、水素原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基が好ましい。より好ましくは、いずれか一方が水素原子、他方が水素原子以外の基;又は、いずれか一方がスルホ基、他方がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;であり、前者がさらに好ましい。特に好ましくは、いずれか一方が水素原子、他方がスルホ基である。
【0042】
式(2)における、同一のベンゼン環に置換したニトロ基、R101及びR102の置換位置は特に制限されない。
好ましくは、該ベンゼン環に置換するアゾ基の置換位置を1位として、下記(a)乃至(d)の組み合わせが挙げられ、(a)の組み合わせが特に好ましい。
(a)ニトロ基が4位、R101が2位、R102が6位。
(b)ニトロ基が4位、R101が2位、R102が5位。
(c)ニトロ基が2位、R101が4位、R102が6位。
(d)ニトロ基が3位、R101が2位、R102が5位。
【0043】
式(2)中、R103及びR104におけるハロゲン原子としては、上記「R101及びR102におけるハロゲン原子」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0044】
式(2)中、R103及びR104におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0045】
式(2)中、R103及びR104におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0046】
式(2)中、R103及びR104における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0047】
式(2)におけるR103及びR104としては、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基が好ましい。より好ましくは、いずれか一方が水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、又はC1−C4アルコキシ基、他方がカルボキシ基又はスルホ基のものが挙げられる。さらに好ましくは、いずれか一方が水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、又はC1−C4アルコキシ基、他方がスルホ基;又は、いずれか一方が水素原子、他方がカルボキシ基;のものが挙げられる。
特に好ましくは、いずれか一方がハロゲン原子、他方がスルホ基のものが挙げられる。
【0048】
式(2)における、同一のベンゼン環に置換したR103、R104、及び基Aの置換位置は特に制限されない。
好ましくは、該ベンゼン環に置換するアゾ基の置換位置を1位として、下記(e)乃至(h)の組み合わせが挙げられ、(e)の組み合わせが特に好ましい。
(e)R103及びR104の一方が3位、他方が5位、基Aが4位。
(f)R103及びR104の一方が2位、他方が5位、基Aが4位。
(g)R103及びR104の一方が2位、他方が4位、基Aが5位。
(h)R103及びR104の一方が3位、他方が4位、基Aが5位。
【0049】
式(2)中、基Aは上記式(3)で表される基である。
【0050】
式(3)中、R105におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0051】
式(3)中、R105におけるC1−C4アルコキシカルボニル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル等の直鎖のもの;イソプロポキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0052】
式(3)におけるR105としては、シアノ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、フェニル基が好ましく、シアノ基又はカルボキシ基がより好ましく、カルボキシ基がさらに好ましい。
【0053】
式(3)中、R106、R107、及びR108におけるハロゲン原子としては、上記「R101及びR102におけるハロゲン原子」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0054】
式(3)中、R106、R107、及びR108におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0055】
式(3)中、R106、R107、及びR108におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0056】
式(3)中、R106、R107、及びR108における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記R106、R107、及びR108におけるC1−C4アルコキシ基の任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に2つ以上の酸素原子が置換しないものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
【0057】
式(3)中、R106、R107、及びR108におけるアシルアミノ基としては、上記「R101及びR102におけるアシルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0058】
式(3)におけるR106、R107、及びR108としては、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基が好ましい。より好ましくは、いずれか1つが水素原子、残りがハロゲン原子、カルボキシ基、及びスルホ基から選択されるいずれか2つのもの;又は、いずれか2つが水素原子、残りの1つがスルホ基のもの;が挙げられ、後者が特に好ましい。
【0059】
式(3)における、同一のベンゼン環に置換したR106、R107、及びR108の置換位置は特に制限されない。
好ましくは、該ベンゼン環に置換する(ピラゾロン環の)窒素原子の置換位置を1位として、下記(i)乃至(k)の組み合わせが挙げられる。
(i)3つがいずれも水素原子以外のとき、2位、4位、及び5位;又は、2位、4位、及び6位。
(j)2つが水素原子以外の基、1つが水素原子のとき、水素原子以外の基が2位及び4位;2位及び5位;3位及び5位。
(k)1つが水素原子以外の基、2つが水素原子のとき、水素原子以外の基が4位。
【0060】
式(2)の置換基、その置換位置等について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものの組み合わせ等についても同様である。
【0061】
式(2)で表される化合物の好ましい具体例を、下記表1乃至表4に挙げるが、式(2)で表される化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
本発明のインク組成物が含有する色素(II)について記載する。
【0067】
本発明のインク組成物が含有する色素(II)は、上記式(4)で表される化合物又はその塩である。
特に断りのない限り、以下の本明細書においては煩雑さを避けるため、「式(4)で表される化合物又はその塩」を含めて「式(4)で表される化合物」と簡略して記載する。
色素(II)は少なくとも1種類の式(4)で表される化合物からなり、式(4)で表される単一の化合物からなる色素であってもよく、複数の化合物からなる色素の混合物であってもよい。なお、式(4)で表される化合物は、水溶性の染料である。
【0068】
「λmaxを380〜460nmの範囲に有する」とは、色素を含有する水溶液のpHが5.5〜8.0の範囲にあり、且つ水中でのλmax(最大吸収波長)における吸光度が0.5〜1.5の範囲になるように吸光度を測定する際の該色素水溶液の濃度を調整したときに、380〜720nmの範囲におけるλmaxを、380〜460nmの範囲に有する色素であることを意味する。このような物性を有する水溶性の化合物(色素)は、通常イエロー〜オレンジ〜ブラウン〜レッド色の染料であり、式(4)で表される化合物も同様の色相を有する染料である。
【0069】
式(4)中、R201からR204におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0070】
式(4)中、R201からR204におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0071】
式(4)中、R201からR204における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルコキシ基」における任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に2つ以上の酸素原子が置換しないものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
【0072】
式(4)中、R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0073】
式(4)中、R201からR204におけるジC1−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。2つの「C1−C4アルキル」部分は同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ等の直鎖のもの;ジイソプロピルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジ−t−ブチルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0074】
式(4)中、R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基」における任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子にアミノ基とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ等のヒドロキシ置換モノC1−C4アルキルアミノ基;2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、4−スルホブチルアミノ等のスルホ置換モノC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ等のカルボキシ置換モノC1−C4アルキルアミノ基;等が挙げられる。
【0075】
式(4)中、R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるジC1−C4アルキルアミノ基」における任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子にアミノ基とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。また、置換基の種類は同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ等のヒドロキシ置換ジC1−C4アルキルアミノ基;3,3’−ジスルホジプロピルアミノ等のスルホ置換ジC1−C4アルキルアミノ基;2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ等のカルボキシ置換ジC1−C4アルキルアミノ基;等が挙げられる。
【0076】
式(4)中、R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、ブチリルアミノ(プロピルカルボニルアミノ)、ペンチリルアミノ(ブチルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が直鎖のもの;イソブチリルアミノ(イソプロピルカルボニルアミノ)、ピバロイルアミノ(t−ブチルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0077】
式(4)中、R201からR204における、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子に、カルボキシ基が置換したものが挙げられる。カルボキシ基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。具体例としては、2−カルボキシエチルカルボニルアミノ、3−カルボキシプロピルカルボニルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。
【0078】
式(4)中、R201からR204におけるモノC1−C4アルキルウレイド基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されないが、「N’」に置換するのが好ましい。
本明細書において、「モノC1−C4アルキルウレイド基」とは、「C1−C4アルキルNH−CO−NH−」基又は「HN−CO−N(C1−C4アルキル)−」基を意味し、R201からR204が結合するベンゼン環において、該ベンゼン環に直接結合する窒素原子を「N」、この窒素原子とカルボニル(CO)基を介して結合する窒素原子を「N’」として記載する。したがって、該C1−C4アルキルの置換位置としては前者が「N’」、後者が「N」である。
具体例としては、N’−エチルウレイド、N’−プロピルウレイド、N’−ブチルウレイド等の直鎖のもの;N’−イソプロピルウレイド、N’−イソブチルウレイド、N’−t−ブチルウレイド等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0079】
式(4)中、R201からR204におけるジC1−C4アルキルウレイド基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されないが、上記「モノC1−C4アルキルウレイド基」における置換位置に準じて「N」及び「N’」に1つずつ、又は「N’」に2つ置換するものが挙げられ、後者が好ましい。また、2つの該C1−C4アルキルは、同一であっても異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、N’,N’−ジメチルウレイド、N’,N’−ジエチルウレイド、N’,N’−ジプロピルウレイド、N’,N’−ジブチルウレイド等の直鎖のもの;N’,N’−ジイソプロピルウレイド、N’,N’−ジイソブチルウレイド等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0080】
式(4)中、R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルウレイド基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。
具体例としては、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシプロピルウレイド等のN’−モノ(ヒドロキシC1−C4)アルキルウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−モノ(スルホC1−C4アルキル)ウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−モノ(カルボキシC1−C4アルキル)ウレイド基;等が挙げられる。
【0081】
式(4)中、R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204におけるジC1−C4アルキルウレイド基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子が、これらの基で置換されたものが挙げられる。置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。また、置換基を複数有するとき、その種類は同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ウレイド、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ウレイド等のヒドロキシ基で置換されたもの;N’,N’−ジ(3−スルホプロピル)ウレイド等のスルホ基で置換されたもの;N’,N’−ジ(カルボキシメチル)ウレイド等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0082】
式(4)中、R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、2−クロロフェニルアミノ、4−クロロフェニルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;2−メチルフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−t−ブチルフェニルアミノ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;2−ニトロフェニルアミノ、4−ニトロフェニルアミノ等のニトロ基で置換されたもの;3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、3,5−ジスルホフェニルアミノ等のスルホ基で置換されたもの;2−カルボキシフェニルアミノ、4−カルボキシフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、3,5−ジカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0083】
式(4)中、R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。
具体例としては、2−クロロベンゾイルアミノ、4−クロロベンゾイルアミノ、2,4−ジクロロベンゾイルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;2−メチルベンゾイルアミノ、3−メチルベンゾイルアミノ、4−メチルベンゾイルアミノ等のC1−C4基で置換されたもの;2−ニトロベンゾイルアミノ、4−ニトロベンゾイルアミノ、3,5−ジニトロベンゾイルアミノ等のニトロ基で置換されたもの;2−スルホベンゾイルアミノ、4−スルホベンゾイルアミノ等のスルホ基で置換されたもの;2−カルボキシベンゾイルアミノ、4−カルボキシベンゾイルアミノ、3,5−ジカルボキシベンゾイルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0084】
式(4)中、R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。置換基の種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。
具体例としては、2−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−t−ブチルフェニルスルホニルアミノ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ基で置換されたもの;3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−スルホフェニルスルホニルアミノ等のスルホ基で置換されたもの;3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0085】
式(4)におけるR201からR204としては、
水素原子;ウレイド基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;が好ましく、
水素原子;ウレイド基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;及び、ベンゼン環がC1−C4アルキル基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;がより好ましく、
水素原子;C1−C4アルコキシ基;スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;及び、C1−C4アルキル基;がさらに好ましく、
水素原子;スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;及び、C1−C4アルキル基;が特に好ましい。
なお、R201からR204のうち、少なくとも1つは水素原子以外の基であるのが好ましく、少なくとも2つが水素原子以外の基であるのがより好ましい。
【0086】
上記のうちR201及びR203としては、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基が好ましく、中でも水素原子、スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基が特に好ましい。
【0087】
上記のうちR202及びR204としては、
水素原子;ウレイド基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;並びに、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;が好ましく、
水素原子;ウレイド基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;及び、ベンゼン環がC1−C4アルキル基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;がより好ましく、
水素原子;及び、C1−C4アルキル基;がさらに好ましく、
C1−C4アルキル基が特に好ましい。
【0088】
式(4)中、R201からR204の特に好ましい組み合わせとしては、R201及びR203が水素原子のとき、R202及びR204がC1−C4アルキル基である組み合わせ;又はR201及びR203がスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基のとき、R202及びR204がC1−C4アルキル基である組み合わせ;が挙げられる。
【0089】
式(4)中、R201からR204の置換位置は特に制限されないが、これらが置換するそれぞれのベンゼン環において、トリアジン環に結合する窒素原子の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を4位として、一方が2位、他方が5位に、それぞれ置換するのが好ましく、R201及びR203が2位、R202及びR204が5位に、それぞれ置換するのがより好ましい。
【0090】
式(4)中、R205におけるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0091】
式(4)中、R205におけるジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204がジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0092】
式(4)中、R205における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0093】
式(4)中、R205における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0094】
式(4)中、R205における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、2−クロロフェニルアミノ、4−クロロフェニルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;2−メチルフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−t−ブチルフェニルアミノ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;2−メトキシフェニルアミノ、4−メトキシフェニルアミノ、2,5−ジメトキシフェニルアミノ、4−エトキシフェニルアミノ等のC1−C4アルコキシ基で置換されたもの;2−ニトロフェニルアミノ、4−ニトロフェニルアミノ等のニトロ基で置換されたもの;3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、3,5−ジスルホフェニルアミノ等のスルホ基で置換されたもの;2−カルボキシフェニルアミノ、4−カルボキシフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、3,5−ジカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0095】
式(4)中、R205における、ベンゼン環が、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルメチルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。置換基の種類としては同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、該ベンゼン環上における「メチルアミノ」の置換位置を1位として、4−スルホフェニルメチルアミノ、2,4−ジスルホフェニルメチルアミノ等のスルホ置換フェニルメチルアミノ基;2−カルボキシフェニルメチルアミノ、4−カルボキシフェニルメチルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルメチルアミノ、3,5−ジカルボキシフェニルメチルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;2−ニトロフェニルメチルアミノ、4−ニトロフェニルメチルアミノ等のニトロ基で置換されたもの;2−メチルフェニルメチルアミノ、4−メチルフェニルメチルアミノ、4−t−ブチルフェニルメチルアミノ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;2−メトキシフェニルメチルアミノ、3−メトキシフェニルメチルアミノ、4−メトキシフェニルメチルアミノ、4−エトキシフェニルメチルアミノ等のC1−C4アルコキシ基で置換されたもの;2−フルオロフェニルメチルアミノ、3−フルオロフェニルメチルアミノ、4−フルオロフェニルメチルアミノ、3,4−ジフルオロフェニルメチルアミノ等のC1−C4フッ素原子で置換されたもの;2−クロロフェニルメチルアミノ、4−クロロフェニルメチルアミノ、2,4−ジクロロフェニルメチルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;2−ブロモフェニルメチルアミノ、3−ブロモフェニルメチルアミノ、4−ブロモフェニルメチルアミノ等の臭素原子で置換されたもの;2−トリフルオロメチルフェニルメチルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルメチルアミノ等のトリフルオロメチル基で置換されたもの;2−メチル−4−スルホフェニルメチルアミノ、3−メチル−4−スルホフェニルメチルアミノ、3−メトキシ−4−スルホフェニルメチルアミノ、2−クロロ−4−スルホフェニルメチルアミノ等の、異なる2つの基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0096】
式(4)中、R205がナフチルメチルアミノ基のとき、ナフタレン環上における「メチルアミノ」の置換位置は特に制限されないが、該「メチルアミノ」が1位又は2位に結合したもの、すなわち、1−ナフチルメチルアミノ基又は2−ナフチルメチルアミノ基であるのが好ましい。
【0097】
式(4)中、R205における、ナフタレン環が、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、及び塩素原子よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたナフチルメチルアミノ基としては、上記「R205がナフチルメチルアミノ基」に記載のナフチルアミノ基のナフタレン環上の任意の位置に、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ有するものが挙げられる。置換基の種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。
具体例としては、4−スルホ−1−ナフチルメチルアミノ、1−スルホ−2−ナフチルメチルアミノ、4、8−ジスルホ−1−ナフチルメチルアミノ等のスルホ基で置換されたもの;4−カルボキシ−1−ナフチルメチルアミノ、1−カルボキシ−2−ナフチルメチルアミノ等のカルボキシ基で置換されたもの;4−メチル−1−ナフチルメチルアミノ、1−メチル−2−ナフチルメチルアミノ、4−エチル−1−ナフチルメチルアミノ、1−エチル−2−ナフチルメチルアミノ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;4−メトキシ−1−ナフチルメチルアミノ、1−メトキシ−2−ナフチルメチルアミノ、4−エトキシ−1−ナフチルメチルアミノ、1−エトキシ−2−ナフチルメチルアミノ等のC1−C4アルコキシ基で置換されたもの;4−クロロ−1−ナフチルメチルアミノ、1−クロロ−2−ナフチルメチルアミノ、4、8−ジクロロ−1−ナフチルメチルアミノ等の塩素原子で置換されたもの;等が挙げられる。
【0098】
上記のうちR205としては、スルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基;フェニルアミノ基;スルホ基で置換されたフェニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;ベンゼン環が、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルメチルアミノ基;ナフチルメチルアミノ基;又は、ナフタレン環がスルホ基で置換されたナフチルメチルアミノ基;が好ましい。より好ましくは、スルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、又は、ベンゼン環がスルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基である。
【0099】
上記式(4)において、それぞれ置換位置が特定されていない4つのスルホ基の置換位置は、特に制限されない。1つのアゾ結合を有するベンゼン環に置換したスルホ基は、該アゾ結合の置換位置を1位として、2位、3位、又は4位に置換し、4位に置換するのが好ましい。
一方、2つのアゾ結合を有するベンゼン環に置換したスルホ基は、該ベンゼン環と、R201及びR202、又は、R203及びR204が置換したベンゼン環とを結合するアゾ結合の置換位置を1位として、2位又は3位に置換し、2位に置換するのが好ましい。
【0100】
上記R201〜R205、これらの組み合わせ、及び置換位置が特定されていないスルホの置換位置等について、好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせたものはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
【0101】
上記式(4)で表される化合物の好ましいものの1つが、上記式(8)で表される化合物である。
【0102】
式(8)中、R2010及びR2030におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0103】
式(8)中、R2010及びR2030におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0104】
式(8)中、R2010及びR2030における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0105】
式(8)中、R2010及びR2030としては、水素原子;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;が好ましい。より好ましくは、水素原子、又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である。
【0106】
式(8)中、R2020及びR2040におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0107】
式(8)中、R2050は、上記式(4)におけるR205と、好ましいもの等を含めて同じ意味を表す。
【0108】
上記R2010乃至R2050の組み合わせ等について、好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせたものはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
【0109】
式(8)における、好ましいR2010乃至R2050の具体的な組み合わせとしては、以下のものが挙げられる。すなわち、
2010及びR2030がそれぞれ独立して、水素原子又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基、
2020及びR2040がC1−C4アルキル基、
2050がスルホ基で置換されたモノC1−C4アミノ基、カルボキシ基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基、フェニルアミノ基、スルホ基で置換されたフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、又は、ベンゼン環がスルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルメチルアミノ基の組み合わせである。
この組み合わせにおいて、R2050を、スルホ基で置換されたモノC1−C4アミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、又は、ベンゼン環がスルホ基で置換されたフェニルメチルアミノ基に代えた組み合わせはより好ましい。
【0110】
式(4)又は式(8)で表される化合物の好ましい具体例を、下記表5乃至表12に挙げるが、該化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
【表7】
【0114】
【表8】
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
【表11】
【0118】
【表12】
【0119】
本発明のインク組成物が含有する色素(III)について記載する。
【0120】
本発明のインク組成物が含有する色素(III)は、上記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩、及び/又は、上記式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩である。
特に断りのない限り、以下の本明細書においては煩雑さを避けるため、「式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩」を含めて「式(1)で表される化合物」と簡略して記載する。また、「式(6)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩」を含めて「式(6)で表される化合物」と簡略して記載する。
色素(III)は少なくとも1種類の式(1)又は式(6)で表される化合物からなり、式(1)又は式(6)で表される単一の化合物からなる色素であってもよく、複数の化合物からなる色素の混合物であってもよい。さらに、単一の式(1)及び式(6)で表される化合物の色素の混合物であってもよく、一方又は両者が複数の式(1)及び式(6)で表される色素の混合物であってもよい。好ましくは、式(1)又は式(6)で表される化合物のいずれかを色素(III)として用いる。
なお、式(1)及び式(6)で表される化合物は、いずれも水溶性の染料である。
【0121】
上記式(1)で表される化合物について記載する。
【0122】
式(1)で表される化合物は互変異性体を有し、式(1)以外に下記式(9)乃至式(13)等で表される異性体等が考えられる。これらの互変異性体も式(1)で表される化合物に含まれる。
なお、下記式(9)乃至式(13)中、n、R乃至R11、及びa乃至cは、いずれも上記式(1)におけるのと同じ意味を有する。
【0123】
【化8】
【0124】
【化9】
【0125】
【化10】
【0126】
【化11】
【0127】
【化12】
【0128】
式(1)中、nは0又は1であり、1が好ましい。
【0129】
式(1)中、RにおけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと同じものが挙げられるが、好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチルが挙げられ;より好ましくはメチル、n−プロピルが挙げられ;さらに好ましくはメチルが挙げられる。
【0130】
式(1)中、Rにおける、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基としては、上記「RにおけるC1−C4アルキル基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子に、カルボキシ基が置換したものが挙げられる。カルボキシ基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。カルボキシ基の置換位置は特に制限されない。具体例としては、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル等が挙げられる。
【0131】
式(1)中、Rにおける、スルホ基で置換されたフェニル基としては、2−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等の、スルホ基が1つ又は2つ置換したものが挙げられる。
【0132】
式(1)におけるRとしては、C1−C4アルキル基又はフェニル基が好ましく、C1−C4アルキル基がより好ましい。
【0133】
式(1)中、Rは、シアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表し、シアノ基又はカルバモイル基が好ましく、シアノ基がさらに好ましい。
【0134】
式(1)中、R及びRにおけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいものを含めて同じものが挙げられる。
【0135】
式(1)中、R及びRにおけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0136】
式(1)におけるR及びRとしては、水素原子;スルホ基;C1−C4アルキル基;又は、C1−C4アルコキシ基が好ましい。より好ましくは、いずれか一方がスルホ基、他方が水素原子、C1−C4アルキル基、又はC1−C4アルコキシ基である。さらに好ましくは、いずれか一方がスルホ基、他方が水素原子である。
【0137】
式(1)中、RからRにおけるC1−C6アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。炭素数の範囲は通常C1−C6、好ましくはC1−C5、より好ましくはC1−C4である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソアミル、t−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、イソヘキシル、t−ヘキシル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中でも、メチル、t−ブチル、t−ペンチル、2,2−ジメチルプロピルが好ましく、メチル、t−ブチルがより好ましく、t−ブチルがさらに好ましい。
【0138】
式(1)中、RからRにおけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0139】
式(1)中、RからRにおける、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0140】
式(1)中、RからRにおけるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0141】
式(1)中、RからRにおけるジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0142】
式(1)中、RからRにおける、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0143】
式(1)中、RからRにおける、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0144】
式(1)中、RからRにおけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0145】
式(1)中、RからRにおける、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子に、これらの基が置換したものが挙げられる。これらの基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。
具体例としては、ヒドロキシアセチルアミノ(ヒドロキシメチルカルボニルアミノ)、2−ヒドロキシエチルカルボニルアミノ、3−ヒドロキシプロピルカルボニルアミノ等のヒドロキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;2−カルボキシエチルカルボニルアミノ、3−カルボキシプロピルカルボニルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。
【0146】
式(1)中、RからRにおけるモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルウレイド基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0147】
式(1)中、RからRにおける、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0148】
式(1)中、RからRにおける、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0149】
式(1)中、RからRにおける、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0150】
式(1)中、RからRにおける、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0151】
上記のうちRとして好ましいものは、スルホ基;ヒドロキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;であり、より好ましいものはスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である。
【0152】
上記のうちRとしては、特に水素原子が好ましい。
【0153】
上記のうちRとして好ましいものは、C1−C6アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホ基又はカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゾイルアミノ基;であり、より好ましいものはC1−C6アルキル基である。
【0154】
式(1)中、RからRが置換しているベンゾイミダゾロピリドン環がアゾ基を介して結合しているナフタレン環のアゾ基の置換位置はbが好ましく、また、該ナフタレン環に置換しているスルホ基の置換位置はcが好ましい。
【0155】
式(1)中、RからR11におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0156】
式(1)中、RからR11におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0157】
式(1)中、RからR11における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0158】
式(1)中、RからR11におけるC1−C4アルキルスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル等の直鎖のもの;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
【0159】
式(1)中、RからR11における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基としては、上記「RからR11におけるC1−C4アルキルスルホニル基」におけるアルキル部分の任意の炭素原子が、これらの基で置換されたものが挙げられる。これらの基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。
具体例としては、2−ヒドロキシエチルスルホニル、3−ヒドロキシプロピルスルホニル等のヒドロキシ基で置換されたもの;2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、4−スルホブチルスルホニル等のスルホ基で置換されたもの;カルボキシメチルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0160】
式(1)中、RからR11における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニル基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。置換基の種類としては同一でも異なっていてもよい。
具体例としては、該ベンゼン環上における「スルホニル」の置換位置を1位として、2−クロロフェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル等の塩素原子で置換されたもの;2−メチルフェニルスルホニル、4−メチルフェニルスルホニル、2,4−ジメチルフェニルスルホニル、4−t−ブチルフェニルスルホニル等の、C1−C4アルキル基で置換されたもの;2−ニトロフェニルスルホニル、4−ニトロフェニルスルホニル等のニトロ基で置換されたもの;3−スルホフェニルスルホニル、4−スルホフェニルスルホニル、3,5−ジスルホフェニルスルホニル等のスルホ基で置換されたもの;2−カルボキシフェニルスルホニル、4−カルボキシフェニルスルホニル、3,5−ジカルボキシフェニルスルホニル等のカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0161】
からR11は、少なくともいずれか1つが水素原子以外の基であることが好ましく、少なくともいずれか1つがスルホ基又はカルボキシ基であることがより好ましい。
【0162】
として好ましいものは、水素原子、塩素原子、又はスルホである。
10として好ましいものは、塩素原子、カルボキシ、スルホ、ニトロ、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ、又はC1−C4アルキルスルホニル基である。
11として好ましいものは、水素原子又はスルホである。
【0163】
ベンゾチアゾール環上における好ましいRからR11の置換位置は、Rが4位又は5位、R10が6位、R11が7位である。
【0164】
上記式(1)の置換基について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
【0165】
式(1)における好ましいRからR11の組み合わせは、Rが水素原子、R10がスルホ又はC1−C4アルコキシ基、R11がC1−C4アルコキシ基又はスルホの組み合わせである。
この組み合わせのとき、ベンゾチアゾール環の置換位置において、Rが4位、R10が5位又は6位、R11が6位又は7位の場合がより好ましい。
上記のうち、特に好ましい組み合わせは、Rが水素原子でその置換位置が4位、R10がスルホでその置換位置が5位、R11がC1−C4アルコキシ基でその置換位置が6位;又は、Rが水素原子でその置換位置が4位、R10がC1−C4アルコキシ基でその置換位置が6位、R11がスルホでその置換位置が7位;の組み合わせである。
【0166】
上記式(1)で表される化合物の好ましいものの1つが、上記式(7)で表される化合物である。
【0167】
式(7)中、n、RからR11は、上記式(1)におけるのと同じ意味を表し、上記式(1)において記載したものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0168】
式(1)又は式(7)で表される化合物の好ましい具体例を、下記表13乃至表24に挙げるが、該化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0169】
【表13】
【0170】
【表14】
【0171】
【表15】
【0172】
【表16】
【0173】
【表17】
【0174】
【表18】
【0175】
【表19】
【0176】
【表20】
【0177】
【表21】
【0178】
【表22】
【0179】
【表23】
【0180】
【表24】
【0181】
上記式(6)で表される化合物について記載する。
【0182】
式(6)で表される化合物は互変異性体を有し、式(6)以外に下記式(41)、式(42)、式(43)等で表される異性体等が考えられる。これらの互変異性体も本発明に含まれる。
なお、下記式(41)、式(42)、及び式(43)中、R401乃至R411は、いずれも上記式(6)におけるのと同じ意味を表す。
【0183】
【化13】
【0184】
【化14】
【0185】
【化15】
【0186】
式(6)中、mは0又は1であり、1が好ましい。
【0187】
式(6)中、R401におけるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0188】
式(6)中、R401における、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基としては、上記「Rにおける、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0189】
式(6)中、R401におけるC1−C4アルコキシカルボニル基としては、上記「R105におけるC1−C4アルコキシカルボニル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0190】
式(6)中、R401における、スルホ基で置換されたフェニル基としては、スルホ基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。具体例としては、2−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等が挙げられる。
【0191】
上記のうち、式(6)におけるR401としては、カルボキシ基又はフェニル基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
【0192】
式(6)中、R405からR407におけるC1−C4アルキル基としては、上記「Rにおける、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0193】
式(6)中、R405からR407におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0194】
式(6)中、R405からR407における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0195】
式(6)中、R405からR407におけるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0196】
式(6)中、R405からR407における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0197】
式(6)中、R405からR407におけるジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0198】
式(6)中、R405からR407における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0199】
式(6)中、R405からR407におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」に記載のものと、同じものが挙げられる。
【0200】
式(6)中、R405からR407における、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「RからRにおける、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0201】
式(6)中、R405からR407におけるモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルウレイド基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0202】
式(6)中、R405からR407における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記「R201からR204における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0203】
式(6)中、R405からR407における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0204】
式(6)中、R405からR407における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0205】
式(6)中、R405からR407における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0206】
上記のうちR405として好ましいものは、スルホ基;ヒドロキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;であり、より好ましくはスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である。
【0207】
上記のうちR406としては、水素原子が特に好ましい。
【0208】
上記のうちR407として好ましいものは、C1−C4アルキル基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;である。より好ましくはC1−C4アルキル基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホ基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;である。さらに好ましくはC1−C4アルキル基である。
【0209】
式(6)中、R409からR411におけるC1−C4アルキル基としては、上記「Rにおける、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0210】
式(6)中、R409からR411におけるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0211】
式(6)中、R409からR411における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0212】
式(6)中、R409からR411におけるC1−C4アルキルスルホニル基としては、上記「RからR11におけるC1−C4アルキルスルホニル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0213】
式(6)中、R409からR411における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基としては、上記「RからR11における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0214】
式(6)中、R409からR411における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニル基としては、上記「RからR11における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0215】
409として好ましいものは、水素原子、スルホ基、又はC1−C4アルキル基であり、より好ましくは、水素原子又はスルホ基である。
410として好ましいものは、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、又はC1−C4アルキルスルホニル基であり、より好ましくはC1−C4アルコキシ基である。
411として好ましいものは、水素原子又はスルホ基である。
【0216】
ベンゾチアゾール環上における好ましいR409からR411の置換位置は、R409が4位又は5位、R410が6位、R411が7位である。
【0217】
式(6)におけるR409からR411の特に好ましい組み合わせとしては、R409がスルホ基でその置換位置が5位、R410がC1−C4アルコキシ基でその置換位置が6位、R411が水素原子;又は、R409が水素原子、R410がC1−C4アルコキシ基でその置換位置が6位、R411がスルホ基でその置換位置が7位;の組み合わせが挙げられる。
【0218】
式(6)中、基Dはフェニル基又はナフチル基である。該フェニル基及びナフチル基は、それぞれ上記の特定の基の群から選択される少なくとも1種類の基で置換されていてもよい。
【0219】
式(6)中、基Dがフェニル基のとき、上記特定の基で置換されたフェニル基について記載する。置換基の数は通常1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つである。複数の基が置換するとき、その置換基の種類は特に制限されないが、同一であるものが好ましい。置換基の位置についても特に制限されないが、ピラゾロン環の窒素原子との結合位置を1位として、置換基の数が3つのとき2位、3位、及び5位;置換基の数が2つのとき2位及び4位、又は3位及び5位;置換基の数が1つのとき4位;に、それぞれ置換するのが好ましい。
なお、以下の各構成におけるフェニル基上の置換基の位置は、ピラゾロン環の窒素原子との結合位置を1位として記載する。
【0220】
基Dにおけるヒドロキシ基で置換されたフェニル基としては、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。
【0221】
基Dにおけるスルホ基で置換されたフェニル基としては、2−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等が挙げられる。
【0222】
基Dにおけるカルボキシ基で置換されたフェニル基としては、4−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル等が挙げられる。
【0223】
基DにおけるC1−C4アルキル基で置換されたフェニル基としては、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル等が挙げられる。また、置換基であるC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0224】
基DにおけるC1−C4アルコキシ基で置換されたフェニル基としては、4−メトキシフェニル等が挙げられる。また、置換基であるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0225】
基DにおけるモノC1−C4アルキルアミノ基で置換されたフェニル基としては、4−メチルアミノフェニル等が挙げられる。また、置換基であるモノC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるモノC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0226】
基DにおけるジC1−C4アルキルアミノ基で置換されたフェニル基としては、4−ジメチルアミノフェニル等が挙げられる。また、置換基であるジC1−C4アルキルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるジC1−C4アルキルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0227】
基DにおけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基で置換されたフェニル基としては、4−アセチルアミノフェニル等が挙げられる。また、置換基であるジC1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、上記「R201からR204におけるC1−C4アルキルカルボニルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0228】
基Dにおける、「ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されたベンゾイルアミノ基」で置換されたフェニル基としては、4−(4−クロロフェニルベンゾイルアミノ)フェニル、4−(4−メチルフェニルベンゾイルアミノ)フェニル、4−(4−ニトロフェニルベンゾイルアミノ)フェニル、4−(4−スルホフェニルベンゾイルアミノ)フェニル、4−(4−カルボキシフェニルベンゾイルアミノ)フェニル等が挙げられる。また、置換基である「ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されたベンゾイルアミノ基」としては、上記「R201からR204における、ベンゼン環が、塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0229】
基Dにおける、複数の種類の基で置換されたフェニル基としては、3−ヒドロキシ−4−カルボキシフェニル等の、ヒドロキシ基及びカルボキシ基で置換されたもの;3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−5−スルホフェニル等の、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基で置換されたもの;等が挙げられる。
【0230】
式(6)中、基Dがナフチル基のとき、上記特定の基で置換されたナフチル基について記載する。置換基の数は1つ乃至3つである。複数の基が置換するとき、その置換基の種類は特に制限されないが、同一であるものが好ましい。ピラゾロン環の窒素原子と基Dとの結合位置は1位又は2位のもの、すなわち、1−ナフチル又は2−ナフチルが好ましい。
ナフチル基上の置換基の位置については特に制限されないが、以下のものが好ましい。
すなわち、
[基Dが1−ナフチル基のとき]
(l)置換基の数が1つのとき、3、4、5、6、7位。
(m)置換基の数が2つのとき、3位と4位、3位と5位、3位と6位、3位と7位、4位と6位、4位と7位、5位と7位の組み合わせ。
(n)置換基の数が3つのとき、3位と4位と6位、3位と4位と7位、3位と5位と6位、3位と5位と7位、3位と6位と7位の組み合わせ。
[基Dが2−ナフチル基のとき]
(o)置換基の数が1つのとき、4、5、6、7、8位。
(p)置換基の数が2つのとき、4位と6位、4位と7位、4位と8位、5位と6位、5位と7位、5位と8位、6位と8位の組み合わせ。
(q)置換基の数が3つのとき、4位と6位と7位、4位と6位と8位、4位と7位と8位の組み合わせ。
なお、以下の各構成におけるピラゾロン環の窒素原子とナフチル基との結合位置、及び該ナフチル基上の各置換基の位置は、上記に準じて記載する。
【0231】
基Dにおけるヒドロキシ基で置換されたナフチル基としては、4−ヒドロキシナフト−1−イル、6−ヒドロキシナフト−1−イル、5−ヒドロキシナフト−2−イル等が挙げられる。
【0232】
基Dにおけるスルホ基で置換されたナフチル基としては、7−スルホナフト−1−イル、5,7−ジスルホナフト−2−イル、6,8−ジスルホナフト−2−イル、4,8−ジスルホナフト−2−イル、4,6,8−トリスルホナフト−2−イル、4,7,8−トリスルホナフト−2−イル等が挙げられる。
【0233】
基DにおけるC1−C4アルコキシ基で置換されたナフチル基としては、4−メトキシナフト−1−イル、6−メトキシナフト−2−イル等が挙げられる。また、置換基であるC1−C4アルコキシ基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルコキシ基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
【0234】
基Dにおけるフェニルスルホニルオキシ基で置換されたナフチル基としては、4−フェニルスルホニルオキシナフト−1−イル、5−フェニルスルホニルオキシナフト−2−イル等が挙げられる。
【0235】
基D中、「ナフタレン環が、塩素原子、ニトロ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルオキシ基」で置換されたナフチル基における、「ナフタレン環が、塩素原子、ニトロ基、及びC1−C4アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルオキシ基」としては、通常1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つのこれらの基で置換されたものが挙げられる。複数の基が置換するとき、その置換基の種類は特に制限されないが、同一であるものが好ましい。置換基の位置については特に制限されない。
具体例としては、4−クロロフェニルスルホニルオキシ、2,4−ジクロロフェニルスルホニルオキシ、3,5−ジクロロフェニルスルホニルオキシ等の塩素原子で置換されたもの;2−ニトロフェニルスルホニルオキシ、4−ニトロフェニルスルホニルオキシ等のニトロ基で置換されたもの;4−メチルフェニルスルホニルオキシ、2,4−ジメチルフェニルスルホニルオキシ等のC1−C4アルキル基で置換されたもの;等が挙げられる。
なお、これらの置換基のうちC1−C4アルキル基としては、上記「R101及びR102におけるC1−C4アルキル基」に記載のものと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
基D中、上記の置換フェニルスルホニルオキシ基で置換されたナフチル基としては、4−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシナフト−1−イル、5−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシナフト−2−イル等が挙げられる。
【0236】
上記のうち、基Dとして好ましいものは、フェニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基、及びC1−C4アルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニル基;ナフチル基;スルホ基で置換されたナフチル基;が挙げられる。より好ましくは、フェニル基、スルホ基で置換されたフェニル基、及びカルボキシ基で置換されたフェニル基であり、さらに好ましくはスルホ基で置換されたフェニル基である。
【0237】
上記式(6)の置換基について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
【0238】
式(6)で表される化合物の好ましい具体例を、下記表25乃至表28に挙げるが、該化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0239】
【表25】
【0240】
【表26】
【0241】
【表27】
【0242】
【表28】
【0243】
上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)で表される化合物又はその互変異性体の塩は、無機又は有機陽イオンとの塩である。そのうち、無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの各塩及びアンモニウム塩が挙げられる。一方、有機陽イオンの塩としては、例えば下記式(5)で表される4級アンモニウムとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩が混合物であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物等、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって、各化合物における溶解性等の物性値が異なる場合もあり、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、又は、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させること等により目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
【0244】
【化16】
【0245】
式(5)において、Z、Z、Z、Zは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくともいずれか1つは水素原子以外の基を表す。
式(5)におけるZ、Z、Z、Zのアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシC1−C4アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては、水素原子;メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシC1−C4アルキル基が挙げられる。
【0246】
式(5)として好ましい化合物のZ、Z、Z、及びZの組み合わせの具体例を下記表29に示す。
【0247】
【表29】
【0248】
上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)で表される各化合物の合成方法について記載する。
【0249】
上記式(1)及び式(7)で表される化合物は、国際公開2009/069279号に記載の方法、又は、該国際公開公報に記載の方法に準じて合成原料を適切に選択することにより、当業者であれば容易に合成することができる。
【0250】
上記式(2)で表される化合物は、国際公開2005/097912号に記載の方法、又は、該国際公開公報に記載の方法に準じて合成原料を適切に選択することにより、当業者であれば容易に合成することができる。
【0251】
上記式(6)で表される化合物は、特開2009−84346号公報に記載の方法、又は、該公報に記載の方法に準じて合成原料を適切に選択することにより、当業者であれば容易に合成することができる。
【0252】
上記式(4)及び式(8)で表される化合物は、例えば次の方法で合成することができる。
なお、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとし、また、下記式(A)乃至(K)において適宜使用されるR201乃至R205は、それぞれ式(4)におけるのと同じ意味を表す。
下記式(A)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これと下記式(B)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(C)で表される化合物を得る。
式(C)で表される化合物の別合成方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、下記式(A)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これとアニリンのメチル−ω−スルホン酸誘導体とを常法によりカップリング反応させた後、アルカリ条件下で加水分解して下記式(D)で表される化合物を得る。得られた式(D)で表される化合物を発煙硫酸等で処理してスルホ化することにより、式(C)で表される化合物を得ることもできる。また、式(C)で表される化合物の中には、市販品として購入できるもの(例えばC.I.アシッドイエロー9)もある。
【0253】
【化17】
【0254】
【化18】
【0255】
【化19】
【0256】
【化20】
【0257】
上記式(C)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(E)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(F)で表される化合物を得る。
【0258】
【化21】
【0259】
【化22】
【0260】
一方、上記式(C)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(G)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(H)で表される化合物を得る。
【0261】
【化23】
【0262】
【化24】
【0263】
得られた上記式(F)で表される化合物とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとを、常法により縮合反応させ、下記式(L)で表される化合物を得る。
【0264】
【化25】
【0265】
得られた上記式(L)で表される化合物と式(H)で表される化合物とを、常法により縮合反応させ、下記式(J)で表される化合物を得る。
【0266】
【化26】
【0267】
得られた式(J)で表される化合物と、R205に対応する「H−R205」で表される化合物とを、常法により縮合反応させることにより、上記式(4)で表される化合物を得ることができる。また、上記式(8)で表される化合物についても、適切な合成原料を選択する(例えば、上記式(C)で表される化合物としてC.I.アシッドイエロー9を用いる)ことにより、当業者であれば式(4)と同様に合成できる。
【0268】
上記式(A)で表される化合物のジアゾ化は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
式(A)で表される化合物のジアゾ化物と式(B)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(A)で表される化合物と式(B)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
【0269】
上記式(C)で表される化合物のジアゾ化は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。
式(C)で表される化合物のジアゾ化物と式(E)又は式(G)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(C)で表される化合物と式(E)又は式(G)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
【0270】
上記式(F)で表される化合物とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとの縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ弱酸性から中性のpH値、例えばpH3〜8で反応を行うことが有利である。反応の進行により反応系内は酸性化してしまうため、塩基の添加によって上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(F)で表される化合物とハロゲン化シアヌルとは、ほぼ化学量論量で用いる。
【0271】
上記式(H)で表される化合物と上記式(L)で表される化合物との縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、10〜80℃、好ましくは25〜70℃の温度、且つ弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜9で反応を行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(H)で表される化合物と式(L)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
【0272】
上記式(J)で表される化合物と上記「H−R205」で表される化合物との縮合反応は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、50〜100℃、好ましくは60〜95℃の温度、且つ弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH3〜10で行うことが有利である。pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(J)で表される化合物1当量に対し、「H−R205」で表される化合物は1〜10当量、好ましくは2〜5当量を用いる。
【0273】
上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)の化合物を所望の塩とするには、各化合物の合成反応の最終工程が終了した後、所望の無機塩又は有機陽イオンの塩を反応液に添加することにより塩析すればよい。また、塩酸等の鉱酸の添加により遊離酸の形で単離し、これを水、酸性の水、又は水性有機媒体等を必要に応じ用いて洗浄することにより無機塩を除去後、水性の媒体中で所望の無機又は有機塩基により中和してもよい。これにより、対応する塩の固体、又は溶液を得ることができる。
ここで、酸性の水とは、例えば硫酸、塩酸等の鉱酸や酢酸等の有機酸を水に溶解し、酸性にしたものをいう。また、水性有機媒体とは、水と混和可能な有機物質、又は水と混和可能ないわゆる有機溶剤等(具体例としては後述する水溶性有機溶剤等)と水との混和物が挙げられる。無機塩の例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。また、有機の陽イオンの塩の例としては、上記式(5)で表される4級アンモニウムのハロゲン塩等が挙げられる。無機塩基の例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;等が挙げられ、有機塩基の例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;上記式(5)で表される4級アンモニウムの水酸化物やハロゲン化物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0274】
本発明のインク組成物について記載する。
【0275】
上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)で表される化合物のそれぞれの合成反応において、最終工程終了後のそれぞれの反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することができる。また、まず各色素を含む反応液を個別に乾燥、例えばスプレー乾燥させる方法;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析する方法;塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析する方法;あるいは上記した塩析と酸析とを組み合わせて酸塩析する方法;等によって各化合物を単離し、これを混合してインク組成物を調製することもできる。
【0276】
本発明のインク組成物が含有する色素(I)乃至(III)として好ましい色素は、上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)で表される各化合物において、好ましいものとして挙げた化合物であり、より好ましい色素等についても同様である。
また、色素(I)乃至(III)として、好ましい化合物を含有するインク組成物はより好ましく、より好ましい化合物を含有するインク組成物はさらに好ましく、好ましい化合物とより好ましい化合物を含有するインク組成物等についても同様である。
【0277】
色素(I)乃至(III)の好ましい組み合わせの1つとしては、色素(I)として上記7)に記載の式(2)で表される化合物、色素(II)として上記6)に記載の式(8)で表される化合物、色素(III)として上記5)に記載の式(7)で表される化合物;又は、上記8)に記載の式(6)で表される化合物;の組み合わせが挙げられる。この組み合わせの色素を含有する本発明のインク組成物は、本発明のインク組成物として好ましいものの1つである。
特に好ましい色素(I)乃至(III)の組み合わせとしては、上記9)に記載のものが挙げられ、この組み合わせの色素を含有する本発明のインク組成物は特に好ましい。
【0278】
本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量において、色素(I)の比率は10〜75質量%、好ましくは30〜65質量%であり;色素(II)の比率は10〜40質量%、好ましくは10〜30質量%であり;色素(III)の比率は10〜60質量%、好ましくは20〜45質量%である。
また、本発明のインク組成物中に含有する色素(I)、色素(II)、及び色素(III)の質量の総和は、インク組成物の総質量に対して、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
【0279】
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、本発明のインク組成物における染料の溶解、乾燥の防止(湿潤状態の保持)、粘度の調整、浸透の促進、表面張力の調整、消泡等の効果を目的として使用され、本発明のインク組成物中には含有する方が好ましい。
インク調製剤としては、例えば、防黴防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、界面活性剤、酸化防止剤(退色防止剤)等の公知の添加剤が挙げられる。
水溶性有機溶剤の含有量は、本発明のインク組成物の総質量に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は同様に0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのがよい。上記以外の残部は水である。
【0280】
本発明のインク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。さらに、インク組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。本発明のインク組成物のpH、表面張力は後記するようなpH調整剤、界面活性剤で適宜調整することが可能である。
【0281】
本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合、本発明のインク組成物が含有する各色素[すなわち、上記式(1)、式(2)、式(4)、式(6)乃至(8)で表される各化合物]中における金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量は、少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法;色素の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のC1−C4アルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、析出物を濾過分離して、乾燥する等の方法;イオン交換樹脂を用いた方法;等で脱塩処理すればよい。
【0282】
上記水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4アルキルエーテル;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
これらのうち、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、ブチルカルビトール等が好ましい。
【0283】
なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ目的で使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ目的で使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むものとする。
【0284】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
【0285】
防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
なお、本明細書において、上付きの「RTM」は、登録商標を意味する。
【0286】
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;タウリン等のアミノスルホン酸類;等が挙げられる。
【0287】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0288】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
【0289】
紫外線吸収剤としては、例えば、スルホ化した、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物等の水溶性のものが挙げられる。
【0290】
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
【0291】
色素溶解剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。
【0292】
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。この褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
【0293】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
【0294】
アニオン界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
【0295】
カチオン界面活性剤の例としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
【0296】
両性界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、又はイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0297】
ノニオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレンアルコール系;その他の具体例として例えば、日信化学社製、商品名サーフィノールRTM104、105、82、465、オルフィンRTMSTG等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。
【0298】
本発明のインク組成物の製造において、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いてもよい。特に、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルタの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは、0.8〜0.1μmである。
【0299】
本発明のインク組成物は、彩度が低く色味のない、ニュートラルで高品位な黒色の色相を、より望みの色相に微調整する目的等により、上記色素(I)乃至(III)以外に、種々の色相を有する他の色素を、本発明により得られる効果を害しない範囲で含有してもよい。
その場合は、他の色相を有する黒色色素;イエロー(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.ダイレクトイエロー161等);オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等);ブラウン;スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等);レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226等)、マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド254等);ブルー(例えばC.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90等);バイオレット;ネイビー;シアン;グリーン;等の、他の色の色素を単数又は複数混合して用いることもできる。
本発明のインク組成物に、これらの色素を含有するとき、その含有量を一概に決めることは困難である。目安としては、上記の色素(II)の含有比率の範囲内、すなわち、本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量において、これらの色素と色素(II)との総量として、10〜40質量%、好ましくは10〜30質量%である。これらの色素と色素(II)との含有比率も一概に決めることは困難であるが、目安としては、これらの色素と色素(II)との総質量において、色素(II)の比率が50質量%以上であるのが好ましく、色素(II)の比率は100質量%、すなわちこれらの色素を含まなくてもよい。
【0300】
本発明の化合物を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズル付近における乾燥に対しても固体の析出は起こりにくく、この理由により該記録ヘッドの閉塞もまた起こしにくい。
【0301】
本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うものである。記録の際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
該記録方法は、公知の各方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;無色透明のインクを用いる方式;等も含まれる。
【0302】
本発明の着色体は、
a)上記1)乃至11)に記載の本発明のインク組成物、及び、
b)上記12)に記載の本発明のインクジェット記録方法、のいずれかにより着色された物質であり、好ましくは本発明のインクジェット記録方法により、本発明のインク組成物によって着色された物質である。
該物質としては下記する被記録材が好ましい。
着色され得る被記録材としては特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、中でも情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
【0303】
上記の情報伝達用シートのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工したシートは表面光沢度が高くまた耐水性も優れているため、写真画質の記録に特に適している。しかし、これらに記録した画像は、オゾンガスによって変退色が大きくなることが知られている。しかし、本発明のインク組成物は耐オゾンガス性に優れているため、このような被記録材へインクジェット記録した際にも大きな効果を発揮する。
上記のような多孔性白色無機物を表面に塗工したシートとして代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名:写真用紙・光沢プロ「プラチナグレード」、写真用紙・光沢ゴールド;セイコーエプソン(株)製、商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名:画彩写真仕上げPro;等があるが、本発明のインク組成物の用途としては、これらの専用紙等に限られるものではない。
【0304】
上記の専用紙以外の被記録材としては普通紙が挙げられる。普通紙とは、上記のインク受容層が設けられていないものであり、市販品の例としては、キヤノン(株)製、商品名:GF−500、キヤノン普通紙・ホワイト;セイコーエプソン(株)製、商品名:両面上質普通紙;等のインクジェット専用の普通紙が挙げられる。また、インクジェット専用ではないものの例としては、PPC(プレインペーパーコピー)用紙等も使用できる。
【0305】
本発明のインクジェット記録方法で情報伝達用シート等の被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の通常の記録方法で被記録材に記録すればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明のインク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
【0306】
本発明のインク組成物に色素(I)乃至(III)として含有する各化合物は、合成が容易且つ安価である。また、該各化合物は、水性媒体に対する溶解性が高く、且つ水溶解性にも優れるので、インク組成物を製造する過程でのメンブランフィルタによる濾過性が良好である。
本発明のインク組成物又は該インク組成物から調製されるインクは、保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。すなわち、本発明のインク組成物は長期間保存後の固体析出、物性変化、色相の変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用等として好適に用いられ、特にインクジェット専用紙に記録した際には、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、異なるメディアに記録した場合であっても、色相の変化が少ない。また、記録画像の印字(印刷)濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、さらに耐湿性、耐水性等の各種堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性とが共に優れている。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー色素を含有する他のインク組成物と併用することで、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能であり、普通紙にも当然使用できる。
このように本発明のインク組成物は、インクジェット記録用の黒色インクとして極めて有用である。
【実施例】
【0307】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例中、特に断りのない限り、「部」及び「%」とあるのは、質量基準である。また、合成反応や晶析等の各操作については撹拌下に行った。1回の合成反応において、目的とする化合物の必要量が得られなかった場合には、必要量が得られるまで該反応を繰り返し行った。
また、下記の各式において、スルホ、カルボキシ等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
また、実施例中に記載したpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示す。
また、合成した化合物の最大吸収波長(λmax)はpH5〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に測定値を記載した。
【0308】
[合成例1]
(工程1)
水200部に下記式(14)で表される化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、35%塩酸31.3部を水200部で希釈した水溶液中に、0〜10℃を保ちながら30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行った。得られた反応液にスルファミン酸0.4部を添加し、5分間撹拌してジアゾ反応液を調製した。
【0309】
【化27】
【0310】
一方、40〜50℃の温水300部に、特開2004−083492号公報に記載の方法で得た下記式(15)で表される化合物24.0部及び25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5〜6に調整し、水溶液を得た。この水溶液に上記で得られたジアゾ反応液を15〜25℃で、30分間かけて滴下した。滴下中は炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH5〜6に保持した。滴下後、同温度、同pHで2時間撹拌した後、35%塩酸の添加によりpH0〜1に調整した。得られた液を65℃に加熱し、同温度で2時間撹拌した後、室温まで冷却し、析出した固体を濾過分取することにより、下記式(16)で表される化合物を含むウェットケーキ130部を得た。
【0311】
【化28】
【0312】
【化29】
【0313】
(工程2)
水250部に上記(工程1)で得られた式(16)で表される化合物を含むウェットケーキ65部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解した。この溶液にライオン(株)社製、商品名:レオコールTD90(界面活性剤)0.10部を加えた後、15〜25℃で塩化シアヌル3.8部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を5〜6に保持しながら15〜25℃で2時間撹拌した。次にこの反応液を60〜65℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら5時間撹拌した。
ベンジルアミン4.3部を上記反応液に添加した後、70〜75℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を9.0〜10.0に保持しながら3時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水200部に溶解した。この溶液にエタノール500部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。このウェットケーキを水200部に添加して溶液とし、この溶液に2−プロパノール700部を添加した。析出した固体を濾過分取し乾燥することにより、下記式(17)で表される色素(II)に相当する化合物(λmax:441nm)21.2部をナトリウム塩として得た。
【0314】
【化30】
【0315】
[合成例2]
水200部に上記実施例2において得られた式(17)で表される化合物のナトリウム塩5.0部及び塩化リチウム14.0部を添加し撹拌溶解して塩交換反応を行った。ここに2−プロパノール300部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水50部に溶解し、2−プロパノール500部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水40部に溶解し、2−プロパノール600部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、上記式(17)で表される色素(II)に相当する化合物(λmax:433nm)3.5部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
【0316】
[合成例3]
(工程1)
水200部に上記式(14)で表される化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、0〜10℃に保った5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
【0317】
一方、3−メチルアニリン10.7部を、130部の水、10.4部の重亜硫酸ナトリウム、及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体水溶液を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃で、炭酸水素ナトリウムの添加によりpH4〜5に調整しながら5時間反応させた。反応液に35%塩酸100部を添加した後、70〜80℃で5時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分取することにより、下記式(18)で表される化合物120部をウェットケーキとして得た。
【0318】
【化31】
【0319】
(工程2)
水400部に上記(工程1)で得られた式(18)で表される化合物120部のウェットケーキを加え、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解した。この溶液にライオン(株)社製、商品名:レオコールTD90(界面活性剤)0.10部を加えた後、15〜25℃で塩化シアヌル6.5部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6.5〜7.5に保持しながら15〜25℃で3時間撹拌した。次にこの反応液を60〜65℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を7.0〜8.0に保持しながら5時間撹拌した。
一方、下記式(19)で表される化合物13.1部を水200部に添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH7.0〜8.0として懸濁液を得た。この懸濁液を前記反応液に添加した後、85〜95℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を7.5〜8.5に保持しながら5時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、35%塩酸の添加によりpH2.5〜4.0とし、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水350部に懸濁後、25%水酸化ナトリウムの添加によりpH7.0〜8.0とし溶解した。この溶液にエタノール700部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。このウェットケーキを水300部に添加後、撹拌溶解し、エタノール300部及び2−プロパノール600部を添加した。析出した固体を濾過分取し乾燥することにより、下記式(20)で表される色素(II)に相当する化合物(λmax:419nm)35.0部をナトリウム塩として得た。
【0320】
【化32】
【0321】
【化33】
【0322】
なお、上記式(19)で表される化合物は、以下のように合成した。
30%発煙硫酸70.0部を98%硫酸63.3部に加えた。この溶液を氷浴にて冷却し、ベンジルアミン17.8部を滴下した。この間、反応温度が40℃以下となるように滴加速度を調整した。滴下終了後、室温で1時間撹拌したのち、400gの氷水に反応液をゆっくり滴下した。滴下終了後、懸濁液を濾過し、塩酸20部で洗い、得られたウェットケーキを80℃で乾燥させることにより、上記式(19)で表される4−(アミノメチルベンゼン)スルホン酸22.8部を得た。
【0323】
[合成例4]
水50部に上記合成例3において得られた式(20)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩5.0部を添加し撹拌溶解した。ここに塩化リチウム15.0部を添加した後、70℃で1時間撹拌し、ナトリウム塩の一部をリチウム塩に交換した。得られた液を室温まで冷却後、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水30部と2−プロパノール(イソプロパノール)300部との混合液に添加し、1時間撹拌した後、固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水20部と2−プロパノール300部との混合液に添加し、1時間撹拌した後、固体を濾過分取し、乾燥することにより、上記式(20)で表される色素(II)に相当する化合物(λmax:417nm)3.3部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
【0324】
[合成例5]
水600部に、国際公開2009/069279号の実施例7に記載の下記式(21)で表される化合物及び下記式(22)で表される化合物の混合物のナトリウム塩5.0部、並びに塩化リチウム16.4部を加えて溶液を得た。この溶液を1時間撹拌した後、メタノール200部及び2−プロパノール600部を加えた。析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水100部に溶解し、2−プロパノール300部を加え、析出した固体を濾過分離してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水80部に溶解し、2−プロパノール400部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより塩交換を行い、色素(III)に相当する、下記式(21)で表される化合物と下記式(22)で表される化合物との混合物を、ナトリウム塩とリチウム塩との混合塩(λmax:593nm)として4.0部得た。
【0325】
【化34】
【0326】
【化35】
【0327】
[合成例6]
水200部に特開2005−298636号公報の実施例1に記載の方法に準じて得た、下記式(23)で表されるアゾ化合物のナトリウム塩5.0部及び塩化リチウム14.0部を添加し、撹拌溶解して塩交換反応を行った。ここに2−プロパノール300部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水50部に溶解し、2−プロパノール500部を添加し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水40部に溶解し、2−プロパノール600部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、下記式(23)で表される色素(II)に相当する化合物(λmax:429nm)3.5部をナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。
【0328】
【化36】
【0329】
[合成例7]
(工程1)
2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール4.2部を12%発煙硫酸21.5部中に15〜25℃でゆっくり添加した。添加後、同温度で2時間撹拌した後、45部の氷水中に約10分間かけて滴下した。析出した固体を濾過分離して、下記式(24)で表される化合物と下記式(25)で表される化合物との混合物10.0部をウェットケーキとして得た。
【0330】
【化37】
【0331】
【化38】
【0332】
(工程2)
2−アミノ−4−tert−ブチルフェノール16.5部をN−メチルピロリドン30部に溶解し、無水酢酸10.7部を約10分間かけて滴下した。滴下後、40〜50℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。室温まで冷却後、水90部を加え1時間撹拌し、析出した固体を濾過分離して、下記式(26)で表される化合物のウェットケーキ32.3部を得た。
【0333】
【化39】
【0334】
(工程3)
2−プロパノール60部に上記(工程2)で得た式(26)で表される化合物のウェットケーキ32.3部及び炭酸カリウム14.7部を添加した後、70℃に加熱した。この溶液に1,3−プロパンスルトン11.7部と2−プロパノール5部との混合液を10分間かけて滴下した。滴下後80℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。60℃に冷却後、35%塩酸31.6部を約10分間かけて滴下し、次に90℃に加熱した。90〜95℃で2時間反応させた後、室温まで冷却した。この反応液に飽和食塩水150部を添加し、1時間撹拌後、析出した固体を濾過分離し、乾燥して、下記式(27)で表される化合物17.2部を得た。
【0335】
【化40】
【0336】
(工程4)
砕氷10.2部に濃硫酸13.5部を加え、氷浴で冷却し0〜5℃の硫酸液を得た。この液に、上記(工程1)で得た式(24)で表される化合物及び(25)で表される化合物の混合物のウェットケーキ10.0部を約10分間かけて加え、0〜5℃で約30分間撹拌した。得られた液に60%硝酸2.1部を加え、0〜5℃で40%ニトロシル硫酸7.1部を約5分間かけて滴下した後、同温度で1時間反応させ、ジアゾ反応液を得た。
一方、40〜50℃の温水120部に、上記(工程3)で得た式(27)で表される化合物5.7部、及びスルファミン酸1.0部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5.5〜6.5に調整し、懸濁液を得た。この懸濁液に、砕氷50部を加えて液温を5〜10℃とした後、上記のジアゾ反応液を5〜15℃、約30分間かけて滴下した。この際、砕氷を加えて5〜15℃の液温を保持し、滴下終了後、同温度で1時間反応させ、析出した固体を濾過分離して下記式(28)で表される化合物と式(29)で表される化合物との混合物のウェットケーキ30.6部を得た。
【0337】
【化41】
【0338】
【化42】
【0339】
(工程5)
水100部に、上記(工程4)で得た式(28)で表される化合物と式(29)で表される化合物との混合物のウェットケーキ30.6部、及び砕氷40部を加えて懸濁液とし、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて懸濁液のpHを約1.0に調整した。氷浴で液温を5〜10℃に保持し、35%塩酸2.9部及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.8部を加え、同温度で1時間反応させることによりジアゾ反応液を得た。
一方、水50部に2−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン−1,7−ジスルホン酸4.2部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.0に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記のジアゾ反応液を、反応温度15〜25℃、約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウムの添加により、反応液のpH値を7.5〜8.0に調整し、この温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。この反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離して、下記式(30)で表される化合物と下記式(31)で表される化合物との混合物のウェットケーキ61.0部を得た。
【0340】
【化43】
【0341】
【化44】
【0342】
(工程6)
水200部に、上記(工程5)で得た式(30)で表される化合物と式(31)で表される化合物との混合物のウェットケーキ30.5部を加えて1時間撹拌し、水溶液を得た。この液に砕氷100部を添加し0〜5℃に冷却後、35%塩酸2.0部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.0部を加え、同温度で1時間反応させることにより、ジアゾ反応液を得た。
一方、水100部に、特許文献2に記載の方法で得た下記式(32)で表される化合物1.6部を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7.5〜8.5に調整し、水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を5〜15℃、約30分間かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウムを加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ22.6部を得た。得られたウェットケーキを水280部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、塩化リチウム27.4部を添加して1時間撹拌し、水溶液を得た。2−プロパノール350部を添加し、析出した固体を濾過分取し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水80部に溶解し、2−プロパノール350部を加えて析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水50部に溶解し、2−プロパノール250部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより、色素(III)に相当する下記式(33)で表される化合物と下記式(34)で表される化合物との混合物4.4部を、ナトリウム塩とリチウム塩との混合塩として得た。λmax:590nm。
【0343】
【化45】
【0344】
【化46】
【0345】
【化47】
【0346】
[合成例8]
水300部に、特開2009−84346号公報の実施例2に記載の方法に準じて得た、下記式(35)で表される化合物と下記式(36)で表される化合物との混合物のナトリウム塩5.0部及び塩化リチウム16.4部を加えて溶液を得た。この溶液を1時間撹拌した後、メタノール100部及び2−プロパノール400部を加えた。析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水70部に溶解し、2−プロパノール300部を加え、析出した固体を濾過分離してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水60部に溶解し、2−プロパノール300部を加えて析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより塩交換を行い、下記式(35)及び下記式(36)で表される、色素(III)に相当する化合物の混合物を、ナトリウム塩とリチウム塩との混合塩(λmax:604nm)として3.9部得た。
【0347】
【化48】
【0348】
【化49】
【0349】
[実施例1乃至6、及び比較例1乃至3]
[(A)インクの調製]
下記表30に記載した各成分を混合することにより、本発明及び比較用のインク組成物をそれぞれ得た後、0.45μmのメンブランフィルタで夾雑物を濾別することにより、試験用のインクを得た。このインクの調製をそれぞれ実施例1乃至6、及び比較例1乃至3とする。得られた本発明のインクは、貯蔵中、沈殿分離を生じることなく、また、長期間の保存後においても物性の変化は生じなかった。
また、以下の各実施例及び比較例において、インクの調製にはイオン交換水を使用した。インクの調製時においては、水酸化リチウムを用いて各インクのpHを8〜10に調整し、イオン交換水を加えることにより総量100部とした。
なお、比較例1のインクは、特許文献4の実施例3−2に開示されたインクを追試して調製したものであるため、他の各実施例及び比較例のインクとは、その組成が多少異なり、また、上記pHの調整も該特許文献4に記載の通り水酸化ナトリウムで行った。この比較例1のインクは、3種類の色素を含有する。
【0350】
【表30】
【0351】
上記表30について記載する。
表30中、色素(I)乃至(III)は、本発明のインク組成物中に含有する、色素(I)乃至(III)に、それぞれ対応する。また、「他の色素」は、該色素(I)乃至(III)に相当しない色素を意味する。
各色素の欄は破線により上下に2分割されており、上欄に記載の括弧付きの番号は、本実施例中に記載の化合物の式番号に対応しており、下欄には用いた部数を記載した。
色素欄以外の、水溶性有機溶剤、各添加剤等の欄中に記載の数字は、いずれも組成物中における部数を記載した。また、記号「−」は、該当するものを含有しないことを意味する。
また、表30中の「界面活性剤」は、日信化学社製、商品名サーフィノールRTM104である。
なお、表30中の略号は以下の意味を表す。
DY86:C.I.Direct Yellow86。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン。
IPA:イソプロパノール。
BCTL:ブチルカルビトール。
EDTA・2Na:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム。
【0352】
上記表30中の色素について記載する。
「(37)」は、国際公開2005/097912号の実施例8に開示された下記式(37)で表される化合物のナトリウム塩とリチウム塩との混合塩である。
【0353】
【化50】
【0354】
「(38)」は、特開2002−332426号公報に開示された下記式(38)で表される化合物のナトリウム塩である。
【0355】
【化51】
【0356】
比較例1で使用した「(39)」及び「(40)」は、それぞれ下記式(39)及び下記式(40)で表される化合物のナトリウム塩である。
【0357】
【化52】
【0358】
【化53】
【0359】
また、比較例1で使用した「(44)」は、国際公開第2007/077931号の合成例4に開示された下記式(44)で表される化合物のナトリウム塩である。
【0360】
【化54】
【0361】
[(B)インクジェット記録]
上記の各実施例、及び各比較例で得たそれぞれのインクを使用し、キヤノン社製インクジェットプリンタ、商品名「PIXUSRTM iP4500」により、光沢紙であるセイコーエプソン社製、商品名「写真用紙クリスピアRTM<高光沢>」にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際は、100%、80%、60%、40%、20%、10%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得た。得られた記録物は印刷後24時間以上室温で乾燥させ、これを試験片として各種評価に用いた。
【0362】
[(C)記録画像の評価]
上記のようにして得た各試験片を2種類の耐オゾンガス性試験、印字濃度試験、及び彩度試験に用いた。
記録画像の測色は、いずれもGRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名「SpectroEye」を用いて行った。測色する際は、いずれも濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。
耐オゾンガス性試験では、試験前の記録画像のブラック反射濃度Dk値が1.2〜1.5の範囲にある階調部分を測色することにより測定した。具体的な試験方法は下記の通りである。
【0363】
1)耐オゾンガス性試験−1
スガ試験機社製、商品名「オゾンウェザオメーター」に試験片を設置し、オゾン濃度15ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で16時間放置した。オゾン暴露前と暴露後とにおける各試験片の記録画像について、CIEのL、a、bを測定し、下記式により色差ΔEを算出した。なお、下記計算式中、ΔL、Δa、及びΔbは、それぞれ暴露前後のL、a、及びbの差を意味する。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表31に示す。なお、ΔEは小さい方が、試験前後の変退色が少なく優れた結果を表す。
A:ΔEが15未満
B:ΔEが15以上20未満
C:ΔEが20以上
【0364】
2)耐オゾンガス性試験−2
スガ試験機社製、商品名「オゾンウェザオメーター」に試験片を設置し、オゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で16時間放置した。オゾン暴露前と暴露後とにおける各試験片の記録画像について、CIEのL、a、bを測定し、上記「1)耐オゾンガス性試験−1」と同様にして色差ΔEを算出した。
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表31に示す。なお、ΔEは小さい方が、試験前後の変退色が少なく優れた結果を表す。
A:ΔEが30未満
B:ΔEが30以上40未満
C:ΔEが40以上
【0365】
3)印字濃度試験
各試験片中、最も濃く印字されている階調部分について、上記測色システムを用い、ブラック反射濃度Dk値を測定した。その値について以下の基準で評価を行った。評価結果を表31に示す。なお、Dk値は大きい方が、印字濃度が高いことを表すため優れる。
A:Dk値が2.2以上
B:Dk値が2.2未満2.0以上
C:Dk値が2.0未満
【0366】
4)彩度試験
黒色の色相の品質を評価するため、Dk値が1.2〜1.5の階調部分での、彩度C値を評価した。いずれの試験片も60%濃度の階調部分が、当該Dk値に相当した。Cは下記式を用いて算出した。
=(a*2+b*21/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表31に示す。C値は小さい方(0に近い方)が、無彩色で色味の無い高品質の黒色に近づくため優れる。
A:C値が5未満
B:C値が5以上15未満
C:C値が20以上15未満
D:C値が20以上
【0367】
【表31】
【0368】
[実施例7乃至9、及び比較例4]
上記「(A)インクの調整」と同様にして、下記表32に記載した各成分を混合することにより、実施例7乃至9及び比較例4のインク組成物を調製した。
【0369】
【表32】
【0370】
上記「(B)インクジェット記録」と同様にして、実施例7乃至9及び比較例4のインク組成物を用いた試験片を得た後、上記「2)耐オゾンガス性試験−2」、「3)印字濃度試験」、及び「4)彩度試験」と同一の評価を行った。評価結果を下記表33に示す。
【0371】
【表33】
【0372】
表31及び表33の結果より明らかなように、各実施例のインクは、全ての試験項目において非常に優れた結果を示した。
具体的には各実施例のインクは、比較例1のインクと比較していずれの耐オゾンガス性試験においても優れた結果を示した。また、比較例1のインクは、最も濃く印刷されている部分でブロンズ現象による印字濃度の低下が発生しているのに対し、本発明のインクはブロンズ現象を起こさず、高い印字濃度が得られることが明らかとなった。さらに、色素(II)を含まない比較例2乃至4のインク組成物は、彩度が最も悪い評価であり、黒色の品質としては不適切であることが明らかである。
【0373】
以上の結果から、いずれも特定の色素(I)乃至(III)の3種類の色素を含有する本発明のインク組成物は、従来の黒色インク組成物と比較して、インクジェット記録画像に要求される各種の堅牢性、特に耐オゾンガス性に極めて優れ、また印字濃度も十分に高く、また彩度が低く色味のないニュートラルな高品質の、黒色の記録画像を与えることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0374】
本発明のインク組成物はインクジェット記録用、筆記用具用等の各種記録用、特にインクジェット記録用のブラックインク液として好適である。