【実施例】
【0018】
以下、図面と共に本発明による胴縁ブレース耐震壁の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは1階においては土台であり、2階においては梁であるが、ここでは1階の場合について説明する。
前記土台1上には、互いに間隔をあけて鉛直方向に配設された第1木柱3Aおよび第2木柱4Aが軸組みによって設けられている。
【0019】
前記第1、第2木柱3A,4Aの第1、第2木柱上部3Aa,4Aaには、梁2が軸組みによって設けられている。
前記第1、第2木柱3A,4Aの外側の面には、本発明による胴縁ブレース耐震壁30を形成するため、互いに独立して形成された上部三角形部60及び下部三角形部61が設けられている。
【0020】
前記上部三角形部60は、前記第1木柱3Aに設けられ、上部縦枠3と、前記上部縦枠3の下部に接続して設けられ木ねじ62で前記第1木柱3Aに固定された上部中間金具5Aと、前記上部縦枠3の上部に接続して設けられ木ねじ62で梁2と第1木柱3Aの上部3Aaとを一体結合させる第1上部金具63と、前記第2木柱4Aの上部4Aaに設けられ木ねじ62で梁2と第2木柱4Aの上部4Aaとを一体結合させるための第2上部金具64と、前記第1上部金具63と前記第2上部金具64との間を接続するための上部横枠65と、前記上部中間金具5Aと第2上部金具64間を鋼板ねじ62aを介して接続するためのブレースを形成する上部斜材10とによって形成されている。
【0021】
前記下部三角形部61は、前記第1木柱3Aに前記上部縦枠3とは独立した状態で設けられ胴縁をなす下部縦枠3aと、前記下部縦枠3aの下部に接続して設けられ木ねじ62で前記第1木柱3Aの下部3Abおよび土台1に固定された第1下部金具66と、前記第2木柱4Aの下部4Abに設けられ木ねじ62で土台1と第2木柱4Aの下部4Abとを一体結合させるための第2下部金具67と、前記第1下部金具66と第2下部金具67との間を接続するために設けられた下部横枠68と、前記下部中間金具5Bと第2下部金具67間を鋼板ねじ62aを介して接続するためのブレースを形成する下部斜材11とによって形成されている。
【0022】
図2は、
図1のA部を示す拡大詳細図であり、上部、下部中間金具5A,5Bが分離線L
1を介して互いに独立している状態が示されており、各木柱3A,4Aの長さによっては、上部三角形部60と下部三角形部61とが分離線L
1の位置から分離され、上部中間金具5Aと下部中間金具5Bとの間に空間(図示せず)が生じ、第1木柱3Aの一部が露出するように構成することもある。
尚、一例として、前記上部斜材10および下部斜材11は断面コ字型で形成され、この断面コ字型の形状は、図示のものに限らず、リップのないもの或いはリブのないもの等も採用できる。
【0023】
図3は、
図1のB部を示す拡大詳細図であり、第2上部金具64と梁2および第2木柱4Aとは複数の木ねじ62で結合され、第2上部金具64と上部斜材10とは鋼板ねじ62aによって結合されている。
【0024】
図4は、
図1のC部を示す拡大詳細図であり、第2下部金具67と土台1および第2木柱4Aとは複数の木ねじ62で結合され、第2下部金具67と下部斜材11とは鋼板ねじ62aによって結合されている。
【0025】
図5は、
図1の他の形態を示すもので、
図1と同一部分には同一符号を付しその説明は省略し、
図1と異なる部分についてのみ説明する。
図5において、符号70aで示されるものは上部横材用縦枠であり、符号70bで示されるものは下部横材用縦枠であり、この上部横材用縦枠70aは前記第2上部金具64と第2下部金具67との間に設けられ、前記上部縦枠3と上部横材用縦枠70aとの間は上部中間水平横材71によって接続され、上部斜材10と前記上部中間水平横材71とは鋼板ねじ62aによる上部接続部72によって接続されている。
また、前記下部縦枠3aと下部横材用縦枠70bとの間は下部中間水平横材73によって接続され、下部斜材11と前記下部中間水平横材73とは鋼板ねじ62aによる下部接続部74によって接続されている。
【0026】
図6は
図1および
図5の平面断面拡大図を示しており、各木柱3A,4Aの面に設けた窯業系サイディング用木胴縁100の外側に、窯業系サイディング80を介して、前述の本発明による
図1および
図5の胴縁ブレース耐震壁30が木ねじ62によって各木柱3A,4Aに固定されている。
すなわち、
図1および
図5および
図6においては、各木柱3A,4Aの外壁側面と上部縦枠3、下部縦枠3aおよび上部横材用縦枠70aおよび下部横材用縦枠70bと第1上部金具63、第2上部金具64、第1下部金具66および第2下部金具67との間には、窯業系サイディング用胴縁100と窯業系サイディング80を挟持した状態で施工された場合を示している。
【0027】
前述の
図1および
図5および
図6の場合は、改築の場合を示しているが、外壁すなわち、窯業系サイディングを除去することに多大の費用を必要とするため、この外壁を除去することなく、外壁の外面に
図1又は
図5の胴縁ブレース耐震壁30を取付けた後に、金属サイディング用木胴縁101を介して金属サイディング81を取り付けるようにすることができる。また、図示していない新築の場合には、
図6で示す窯業系サイディング80および窯業系サイディング用木胴縁100を用いることなく、本発明による
図1又は
図5で示す胴縁ブレース耐震壁30を木柱3A,4Aに直接取り付けることもできる。
【0028】
すなわち、改築の家屋の外壁に胴縁ブレース耐震壁30を設置し、第1上部金具63を梁2と第1木柱3Aに木ねじ62を用いて固定すると共に、第2上部金具64を梁2と第2木柱4Aに木ねじ62を用いて固定する。
次に、第1下部金具66を土台1と第1木柱3Aに木ねじ62で固定すると共に、第2下部金具67を土台1と第2木柱4Aに木ねじ62を介して固定する。
【0029】
前述の状態で、土台1、第1木柱3A、第2木柱4Aおよび梁2に対し、改築の家屋の外壁(図示せず)を介して胴縁ブレース耐震壁30の取り付けを完了することができ、さらに、各胴縁ブレース耐震壁30の外側に金属サイディング81を木ねじ62等(図示せず)によって取り付けることによって、耐震工事を完了することができる。
【0030】
尚、前述の上部縦枠3、下部縦枠3a、上部横材用縦枠70a、下部横材用縦枠70b、上部横枠65、下部横枠68、上部中間水平横材71および下部中間水平横材73は、例えば、400N級の鋼材で構成され、前記上部斜材10および下部斜材11は400N級、440N級、490N級、540N級および590N級の何れかの高張力鋼板で構成されている。
従って、本発明による胴縁ブレース耐力壁30は、新築、改築を問わず、全ての木造建築の壁に耐力性を付加して耐震性を向上することができると共に、また、モルタル等の外壁の外面からも胴縁ブレース耐力壁30を取り付けることができ、既存の建物の耐震性の向上を容易に得ることができる。また、胴縁ブレース耐力壁30の外側に仕上げる外壁は、新築で外壁重量の制約がない場合は、金属サイディング以外の窯業系サイディング等を取り付けて、耐震工事を完了することができる。
【0031】
本発明による胴縁ブレース耐震壁の要旨は次の通りである。
すなわち、互いに間隔をあけて土台1上で鉛直方向に配設された第1、第2木柱3A,4Aのうち前記第1木柱3Aに設けられ互いに独立して設けられた上部縦枠3及び下部縦枠3aと、前記上部縦枠3の上部に設けられた第1上部金具63と、前記上部縦枠3の下部に設けられた上部中間金具5Aと、前記第1上部金具63と前記第2木柱4Aの上部に設けられた第2上部金具64との間を接続するための上部横枠65と、前記上部中間金具5Aと前記第2上部金具64間を接続する上部斜材10と、前記下部縦枠3aの下部に設けられた第1下部金具66と、前記下部縦枠3aの上部に設けられた下部中間金具5Bと、前記第1下部金具66と前記第2木柱4Aの下部に設けられた第2下部金具67との間を接続するための下部横枠68と、前記下部中間金具5Bと前記第2下部金具67間を接続する下部斜材11とを備え、前記第1上部金具63、上部中間金具5A、下部中間金具5Bおよび第1下部金具66は前記第1木柱3Aに固定され、前記第2上部金具64および第2下部金具67は前記第2木柱4Aに固定され、前記上部縦枠3、上部横枠65および上部斜材10で上部三角形部を形成し、前記下部縦枠3a、下部横枠68および下部斜材11で下部三角形部61を形成し、前記上部三角形部60および下部三角形部61は互いに独立している構成であり、また、前記第1下部金具66は、前記土台1および第1木柱3Aに固定され、前記第2下部金具67は、前記土台1および第2木柱4Aに固定され、前記第1上部金具63は、前記梁2および第1木柱3Aに固定され、前記第2上部金具64は前記梁2および第2木柱4Aに固定されている構成であり、また、前記第2上部金具64と第2下部金具67との間は互いに独立した上部横材用縦枠70aと下部横材用縦枠70bが設けられ、前記上部縦枠3と上部横材用縦枠70aとの間は上部中間水平横材71によって接続され、前記上部斜材10と上部中間水平横材71とは上部接続部72によって接続され、前記下部縦枠3aと下部横材用縦枠70bとの間は下部中間水平横材73によって接続され、前記下部斜材11と下部中間水平横材73とは下部接続部74によって接続されている構成である。