(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して、貨幣入出金装置の実施形態を説明する。また、本実施形態では、スーパーマーケット等の店舗で使用されるPOS端末に接続されて用いられる場合を例に説明する。
【0007】
図1は、本実施形態の貨幣入出金装置1の外観を概略的に示す斜視図である。
図1には、オペレータにとっての手前側つまりオペレータが対向する側を手前に、オペレータにとっての奥側を奥にして示してある。以降、図面を用いた説明での上下、左右、手前、奥、正面等の表現は、オペレータが対面する面を正面としたときのものである。
図2は、貨幣入出金装置1の外観および一部内部構造を概略的に示す平面図である。
図3は、貨幣入出金装置1の構造を、
図2にA−Aで示す位置における一部断面で示す右側面図である。
【0008】
貨幣入出金装置1は、紙幣入出金部2と、硬貨入出金部3と、これらを収納する筐体4とを備えている。
POS端末100(
図5参照)は、紙幣入出金部2に電気的に接続されており、紙幣入出金部2との間で各種信号の送受信を行う。硬貨入出金部3は、紙幣入出金部2に電気的に接続されており、紙幣入出金部2との間で各種信号の送受信を行う。硬貨入出金部3とPOS端末100との間の信号の送受信は、紙幣入出金部2を介して行う。
【0009】
紙幣入出金部2は、紙幣投入口21と、紙幣払出口22と、紙幣収納部23と、紙幣選別部(不図示)と、紙幣搬送系24(一部図示)とを備えている。紙幣投入口21および紙幣払出口22は、筐体4の上面の手前側に設けられている。
紙幣収納部23は筐体4の奥側に配されており、紙幣選別部は紙幣投入口21から紙幣収納部23までの間に位置している。紙幣搬送系24は紙幣投入口21から紙幣選別部および紙幣収納部23を経て紙幣払出口22まで紙幣を搬送するものである。
【0010】
このような構成の紙幣入出金部2は、紙幣投入口21から投入された紙幣を搬送しながら金種別に選別し金種別に紙幣収納部23に収納する。そして、紙幣入出金部2は、紙幣の払い出し指示を伝える信号をPOS端末100から受信すると、該当の金種の紙幣を紙幣収納部23から搬送してきて紙幣払出口22から払い出す。
【0011】
硬貨入出金部3は、硬貨投入口31と、硬貨払出口32と、受皿33と、硬貨収納部(不図示)と、硬貨選別部(不図示)と、硬貨搬送系(不図示)とを備えている。硬貨投入口31は、筐体4の上面の手前側であって上述の紙幣投入口21および紙幣払出口22の右隣である位置に設けられている。硬貨払出口32および受皿33は、筐体4の正面に設けられている。
硬貨収納部は筐体4の奥側に配されており、硬貨選別部は硬貨投入口31から硬貨収納部までの間に位置している。硬貨搬送系は硬貨投入口31から硬貨選別部および硬貨収納部を経て硬貨払出口32まで硬貨を搬送するものである。
【0012】
このような構成の硬貨入出金部3は、硬貨投入口31から投入された硬貨を搬送しながら金種別に選別し金種別に硬貨収納部に収納する。そして、硬貨入出金部3は、硬貨の払い出し指示を伝えるPOS端末100からの信号を紙幣入出金部2を介して受信すると、該当の金種の硬貨を硬貨収納部から搬送してきて硬貨払出口32から払い出す。受皿33は、払い出された硬貨を受け止める。
【0013】
図4は、貨幣入出金装置1が備える受皿33の外観および一部内部構造を概略的に示す平面図である。受皿33は、平坦部41と、斜面部42と、スリット43と、受皿センサ44とを有している。
平坦部41は、受皿33の底を形成する部分で、ほぼ平らな面である。斜面部42は、平坦部41を囲む斜面であって、平坦部41に近いほど低く、また硬貨払出口32から平坦部41へ向かって低くなるよう形成されており、硬貨払出口32から払い出された硬貨を平坦部41へと案内する。
【0014】
スリット43は、一対で平坦部41を幅方向に挟んで対向するように、斜面部42の下端部に、硬貨の厚み程度の高さをもたせて、形成されている。
受皿センサ44は、受皿33上の硬貨や異物の存在を確認するものであって、対をなす発光部と受光部とを有している。発光部は、斜面部42の硬貨を案内する面の裏面側に、発した光が進む道筋と一対のスリット43を結ぶ仮想線とが合うように配される。受光部は、発光部が発してスリット43から出て平坦部41に沿って進んで対のスリット43から入った光を受光する位置に配される。これにより、受皿センサ44の発光部と受光部とは、一対のスリット43を挟んで対向する。
ここで、スリット43および受皿センサ44は、受皿33に複数対設けられ、
図4では、3対図示している。
【0015】
このような受皿センサ44は、発光部が発した光を受光部が受光することによって、平坦部41に硬貨(または異物)が存在しないと判断し、発光部が発した光を受光部が受光しなければ、平坦部41に沿って進む光を遮るもの即ち硬貨(または異物)が存在すると判断する。
なお、本実施形態では、上記受皿センサ44を、貨幣入出金装置1の出金に際しては釣銭取り忘れの確認に用い、貨幣入出金装置1の入金に際しては異物排出の確認に用いる。
【0016】
ここで、本実施形態の紙幣入出金部2は、
図2の平面図に示すように、筐体4の上面に設けられた紙幣投入口21から投入された紙幣Xを横方向へ搬送するものである。そして、
図2および
図3に示すように、紙幣投入口21の下方奥には、紙幣落下防止部材として機能する複数本のバー51が配されるとともに、異物排出経路52が設けられている。
各バー51は、紙幣投入口21から投入される紙幣Xの厚さ方向にほぼ平行であって、紙幣Xを支えて落下を妨げながら、紙幣Xとともに紙幣投入口21に入り込んだ異物の落下を許容するものである。異物排出経路52は、紙幣投入口21の下方奥から受皿33へ連通する経路であって、紙幣Xとともに紙幣投入口21に入り込んでバー51をすり抜けた異物を受皿33上へと導くものである。
【0017】
図5は、貨幣入出金装置1の機能構成を示すブロック図である。紙幣入出金部2は制御部25を備え、硬貨入出金部3は制御部34を備えている。
制御部25,34は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O機器制御部、および通信I/F(いずれも不図示)等から構成される。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶するものである。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。
【0018】
制御部25は、上記各種プログラムに従って、紙幣入出金部2の各部を制御する。制御部34は、上記各種プログラムに従って、硬貨入出金部3の各部を制御する。
また、制御部25は、POS端末100に接続されて、POS端末100からの払い出し指示等を受信し、当該指示が硬貨入出金部3に関するものであれば、硬貨入出金部3に指示を伝達する。そして、制御部34は、制御部25に接続されて、制御部25を介してPOS端末100からの払い出し指示等を受信する。
【0019】
ここで、紙幣入出金部2は、異物報知ブザー53をさらに備えている。制御部25には、異物報知ブザー53が接続されており、制御部25と異物報知ブザー53とにより報知手段の一実施形態が構成される。また、制御部34には、受皿センサ44が接続されており、制御部34と受皿センサ44とにより検知手段の一実施形態が構成される。
【0020】
次に、商品販売の手順に沿って貨幣入出金装置1の動作について説明する。
図6は、本実施形態における紙幣入金時に行う処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
紙幣投入口21に紙幣が投入されると、制御部25は、受皿センサ44の検知状態をチェックする処理を行うよう制御部34に指示を出す(ステップS1)。制御部34から処理結果が返ってくると、処理結果に基づいて、制御部25は、受皿センサ44が遮光されていたか否かを判断する(ステップS2)。受皿センサ44が遮光されていなかった場合には(ステップS2のNo)、開始前遮光フラグを「0」にし(ステップS3)、遮光されていた場合には(ステップS2のYes)、開始前遮光フラグを「1」にする(ステップS4)。ここで、開始前遮光フラグは、紙幣の入金前の受皿33上の異物の有無を示す。
【0021】
続いて、制御部25は、入金計数処理(ステップS5)を計数が終了するまで繰り返す(ステップS6のNo)。入金計数処理では、紙幣投入口21から投入された紙幣の金額を計数する。計数が終了すると(ステップS6のYes)、制御部25は、開始前遮光フラグの値を確認し(ステップS7)、「1」の場合には(ステップS7のYes)、入金計数前から受皿33上に異物があったので、このまま本処理を終了する。また、開始前遮光フラグの値が「0」の場合には(ステップS7のNo)、入金計数前に受皿33上に異物がなかったので、制御部25は、改めて、受皿センサ44の検知状態をチェックする処理を行うよう制御部34に指示を出す(ステップS8)。制御部34から処理結果が返ってくると、処理結果に基づいて、制御部25は、受皿センサ44が遮光されていたか否かを判断する(ステップS9)。受皿センサ44が遮光されていなかった場合には(ステップS9のNo)、制御部25は、本処理を終了する。
そして、受皿センサ44が遮光されていた場合には(ステップS9のYes)、制御部25は、異物報知ブザー53を鳴動させることによりオペレータに受皿33の確認を促す警告を出して(ステップS10)、本処理を終了する。
【0022】
このように、本実施形態の貨幣入出金装置1によれば、紙幣に紛れ込んだ異物が受皿33に排出されるため、異物が排出されたことを視認しやすくなるので、異物が排出されたことにオペレータが気づかずに客に返却し損ねるなどの不都合の発生を防止し、客への異物返却の確実性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、異物が受皿33に排出されると、異物を受皿センサ44が検知し、異物報知ブザー53を鳴動させることによって、オペレータに対して受皿33の確認を促すことができるので、客への異物返却の確実性をさらに高めることができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、検知手段の構成に受皿センサ44を採用したが、実施にあたっては、受皿センサ44に替えて、異物排出経路52に異物の通過を検知するセンサを設けてもよい。
また、上記実施形態では、制御部25と異物報知ブザー53とで報知手段を構成したが、実施にあたっては、POS端末100が備えるモニタに異物が排出された旨を表示させる報知手段としてもよい。また、報知手段は、他の構成であっても、オペレータに報知できるものであればよい。
さらに、上記実施形態では、受皿33上に異物があることを報知して終了としたが、実施にあたっては、受皿33上の異物が取り除かれたことを受皿センサ44の出力から確認するまで受皿33上への釣銭硬貨の払い出しを待機する処理としてもよい。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1:貨幣入出金装置、2:紙幣入出金部、3:硬貨入出金部、4:筐体、
21:紙幣投入口、22:紙幣払出口、23:紙幣収納部、24:紙幣搬送系、
25:制御部、
31:硬貨投入口、32:硬貨払出口、33:受皿、34:制御部、
41:平坦部、42:斜面部、43:スリット、44:受皿センサ、
51:バー、52:異物排出経路、53:異物報知ブザー、
100:POS端末、X:紙幣