(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の穿刺針および穿刺具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本発明の穿刺具の第1実施形態を示す部分縦断面図、
図2は、
図1に示す穿刺具が備える穿刺針(本発明の穿刺針の第1実施形態)の斜視図、
図3は、
図2に示す穿刺針の側面図、
図4は、
図3中の穿刺針を矢印A方向から見た図(立面図)、
図5は、
図3中のB−B線断面図、
図6は、
図3中のC−C線断面図、
図7は、
図2に示す穿刺針を設計する際の概略説明図((a)は立面図、(b)は側面図)、
図8は、
図1に示す穿刺具による穿刺状態を示す図(左側の図が部分縦断面図、右側の図が傷口の状態を示す平面図)である。なお、以下では、説明の都合上、
図1および
図3中の左側を「先端」、右側を「基端」と言い、
図2中の左下側を「先端」、右上側を「基端」と言い、
図7中(
図11および
図12についても同様)の上側を「先端」、下側を「基端」と言、
図8中の下側を「先端」、上側を「基端」と言う。
【0026】
図1に示す穿刺具1は、穿刺装置(例えばテルモ社製「ファインタッチ(登録商標)」)に装着して使用される。穿刺具1は、ケーシング(穿刺針ホルダ)2と、このケーシング2内にその軸方向に移動可能に収納された穿刺針3とを有している。ケーシング2は、管状をなす部材で構成されたものである。穿刺針3は、生体表面200を穿刺する針体4と、針体4を支持し、ケーシング2内を摺動するハブ5とに分けることができるものである。
【0027】
ケーシング2の先端は、例えば指先、上腕、腹部、大腿部、耳たぶのような生体表面200に当接する部位であり、開口211が形成されている。
図1に示すように、開口211から穿刺針3の針体4が突出することにより、生体表面200を穿刺することができる。また、ケーシング2の基端には、開口214が形成されている。
【0028】
また、ケーシング2は、その内径の大きさが互いに異なる小径部24と大径部25とを有している。小径部24は、大径部25よりも先端側に位置している。
【0029】
ケーシング2の大径部25では、その内径は、区間251では一定であるが、ほぼ中央部の内面には、凸部215、215があり、ハブ5の拡径部54と圧接する。ハブ5の基端部56は、図示しない穿刺装置の穿刺機構と係合することにより、ケーシング2内で相対的に先端側へ移動する。その結果、ハブ5の拡径部54は、各凸部215との圧接が解除され(
図1に示す状態)、ケーシング2の区間251の先端側において、前記穿刺装置の駆動力がそのまま伝達される状態となる。なお、前記駆動力が加えられた場合、穿刺針3のハブ5の拡径部54の端面52が、ケーシング2の小径部24と大径部25との境界部である段差部212に当接することにより、ケーシング2の開口211からの穿刺針3(針先411)の最大突出長さ(最大突出量)が規制される。
【0030】
また、ケーシング2の大径部25の内周面には、穿刺針3のハブ5の拡径部54を係止し得る一対の突起213、213が形成されている(
図1中には、一方の突起213のみが記載されている)。各突起213に拡径部54が係止されることにより、ケーシング2の基端側からの穿刺針3の離脱を阻止することができる。
【0031】
穿刺針3は、このケーシング2内を、拡径部54の端面52が段差部212に当接する位置と、拡径部54の端面53が突起213に当接する位置との間を軸方向に移動することができる。
穿刺針3は、針体4とハブ5とで構成されている。
【0032】
ハブ5の先端側には、針体4が露出している。
図2に示すように、針体4は、本体部41と、本体部41から突出して設けられた4つの刃部42a、42b、42c、42dとを有している。
【0033】
本体部41は、長尺状(柱状)をなし、針体4の芯となる部分である。また、本体部41は、先端に鋭利な針先411を有している。この針先411により、生体表面200を穿刺することができる。
【0034】
図4〜
図6に示すように、刃部42a〜42dは、それぞれ、本体部41の中心軸412回りに等角度間隔(90度間隔)に配置されている。刃部42a〜42dは、それぞれ、同じ形状をなしているため、以下、刃部42aについて代表的に説明する。
【0035】
刃部42aは、本体部41の外周からその中心軸412に対し直交する方向(外周方向)に突出している。また、刃部42aは、中心軸412方向に沿って延びている。このように形成された刃部42aは、その厚さ、すなわち、その側面422同士の距離が中心軸412から遠ざかる方向に向かって漸減している。これにより、刃部42aの頂部(峰(エッジ))には、鋭利な刃先421が形成される。この刃先421により、後述するように、生体表面200の針先411で穿刺された部分(傷201)を起点として、当該生体表面200を切開することができる(
図8参照)。なお、刃先421での曲率半径(針先411についても同様)は、特に限定されないが、例えば、0.1mm未満であるのが好ましく、0.05mm未満であるのがより好ましい。
【0036】
図2、
図3に示すように、刃部42aの先端部424は、その高さが先端方向に向かって漸減しているとともに、厚さも先端方向に向かって漸減している。これにより、刃部42aは、針先411と連続的に形成されることとなる。なお、刃部42aの先端部424の高さの漸減率、すなわち、
図3中の角度θ1は、特に限定されないが、例えば、5〜30度であるのが好ましく、10〜20度であるのがより好ましい。また、刃部42aの先端部424の厚さの漸減率、すなわち、
図3中の角度θ2は、特に限定されないが、例えば、10〜45度であるのが好ましく、18〜33度であるのがより好ましい。
【0037】
そして、
図5、
図6に示すように、刃部42aは、特に、その少なくとも先端部424の側面423がそれぞれ平面状をなすのが好ましい。側面423同士(稜線)のなす角度θ3(
図5、
図6参照)は、特に限定されないが、例えば、10〜45度であるのが好ましく、20〜30度であるのがより好ましい。
【0038】
なお、
図4〜
図6に示すように、刃部42aは、側面423がそれぞれ平面状をなす先端部424よりも基端側の部分の両側面は、それぞれ、外方に向かって若干湾曲している。
【0039】
図2〜
図4に示すように、針体4では、刃部42aと刃部42cとが中心軸412を介して互いに反対側に対をなして配置され、刃部42bと刃部42dとが中心軸412を介して互いに反対側に対をなして配置されている。そして、
図3に示すように、刃部42aと刃部42cとの各刃先421(頂部)の先端方向に向かう延長線同士の交点425の位置(針先411の位置)は、刃部42bと刃部42dとの各刃先421の先端方向に向かう延長線同士の交点426の位置よりも先端側となっている。すなわち、交点425の位置と交点426の位置とは、互いに中心軸412方向にズレている。
【0040】
このような配置により、針体4は、
図5に示す横断面における刃部の形成数(存在数)が2つ(刃部42a、42c)となっており、
図6に示す横断面における刃部の形成数が4つ(刃部42a〜42d)となっている。すなわち、針体4は、その針先411付近である最先端部45と針先根元部46とでは、刃部の形成数が異なっている(
図3参照)。
【0041】
これにより、刃部42a〜42dで生体表面200を切開する際、刃部42aおよび42cは、刃部42bおよび42dよりも先行して生体表面200を切開することができる。すなわち、刃部42a〜42dで生体表面200を切開する際、まず刃部42aおよび42cが生体表面200を切開し、次いで刃部42aおよび42cとともに刃部42bおよび42dが生体表面200を切開する。このように、生体表面200を段階的に(時間差をおいて)切開する(切り込む)ことができる。
【0042】
なお、交点425の位置と交点426の位置とのズレ量Lは、特に限定されないが、例えば、0.2mm未満であるのが好ましく、0.05〜0.1mmであるのがより好ましい。
【0043】
以上のような構成の針体4(穿刺針3)により、生体表面200を穿刺することができる。次に、この穿刺について
図8を参照しつつ説明する。
【0044】
図8(a)に示すように、針体4は、まず針先411が生体表面200に当接する。これにより、針体4は、生体表面200に対して、刃部42a〜42d(刃先421)で切開するのに先立って、針先411で穿刺することができる。このとき、生体表面200には、針先411の穿刺によって微小な傷201が生じる。
【0045】
その後、
図8(b)に示すように、針体4は、先端方向に前進する。これにより、針体4は、
図8(a)に示す状態よりも深く生体表面200を穿刺する。また、針体4は、刃部42a〜42dのうち一対の(一組の)刃部42aおよび42cが傷201を起点として生体表面200を図中上下方向に切開する。これにより、
図8(b)に示すように、一文字状の傷202が生じる。
【0046】
また、前述したように刃部42aおよび42dが針先411と連続的に形成されていることにより、針先411で生体表面200を穿刺してから、刃部42aおよび42dで切開する動作へ迅速に移行することができる。
【0047】
そして、
図8(c)に示すように、針体4は、さらに先端方向に前進する。これにより、針体4は、
図8(b)に示す状態よりも深く生体表面200を穿刺する。また、針体4は、刃部42aおよび42cに加え、刃部42bおよび42dが生体表面200を図中左右方向に切開する。これにより、
図8(c)に示すように、十文字状の傷203が生じる。
【0048】
その後、針体4は、基端方向に後退する(生体表面200から退避する)。
このように、生体表面200は、針体4により穿刺されることとなる。
【0049】
針体4は、前述したように刃部42a〜42dが中心軸412回りに等角度間隔に配置されているため、生体表面200を放射状に切開することができる。さらに、針体4は、生体表面200を放射状に切開する際、前述したように生体表面200を段階的に切開するため、生体表面200に生じる切開箇所が段階的に増加する。これに対し、例えば円錐状の針体(以下この針体を「従来の針体」と言う)により生体表面200を単に穿刺した場合には、生体表面200にはピンホール状の傷が生じるのみとなり、その傷の深さによっては、当該傷口から血液が流出しないこともある。従って、針体4は、生体表面200を従来の針体と同じ深さで穿刺した場合、よりも大きく切開することができ、よって、生体表面200から血液を確実に流出させることができるものとなっている。
【0050】
また、従来の針体では、生体表面200から血液が流出する程度に生体表面200を穿刺しなければならず、勢い、その穿刺深さが深くなってしまう。このため、穿刺時の痛みが増大する。針体4では、針先411による穿刺の他、刃部42a〜42dによる切開も行なわれる。これにより、穿刺深さを抑制しつつも(穿刺深さが比較的浅くても)、生体表面200から血液が確実に流出することとなる。また、穿刺深さが抑制されるため、穿刺時の痛みが防止または抑制される。
【0051】
以上のように、針体4では、生体表面200から血液が流出する程度に当該生体表面200を確実に穿刺することと、穿刺時の痛みを防止または抑制することとの相反する目的を達成することができる。
【0052】
また、針体4は、次のように設計されている。これについて
図7を参照しつつ、説明する。
【0053】
図7に示すように、針体4は、例えばCAD上で、長尺な板状をなす2枚の板部材43、44を組み合わせて設計される。
【0054】
板部材43は、その厚さが中心軸431から遠ざかる方向に向かって漸減している。これにより、両縁部にそれぞれ刃部42a、42c(刃先421)が形成される。また、板部材43は、その先端部の幅が先端方向に向かって漸減した先細り形状をなしている。
【0055】
板部材44は、その厚さが中心軸441から遠ざかる方向に向かって漸減している。これにより、両縁部にそれぞれ刃部42b、42d(刃先421)が形成される。また、板部材44は、その先端部の幅が先端方向に向かって漸減した先細り形状をなしている。
【0056】
板部材43と板部材44とを、中心軸431、441同士を重ならせる。そして、この状態で、板部材43および44のうちの一方の板部材を他方の板部材に対しその中心軸回りに90度回転させる。さらに、板部材43および44のうちの一方の板部材(
図7中では板部材44)を中心軸441に沿って他方(
図7中では板部材43)の板部材に対し基端側にズレ量L分だけズラす。これにより、板部材44の先端442が板部材43内に位置し(埋もれ)、板部材43の先端432のみが露出する。この露出した板部材43の先端432が針体4の針先411を構成する。なお、板部材43の先端432は、前述した交点425に相当し、板部材44の先端442は、交点426に相当する。
【0057】
板部材43と板部材44とをこのように組み合わせることにより、板部材43と板部材44とが一体化したように形成された針体4が得られる。
【0058】
穿刺針3では、針体4が熱可塑性樹脂のような樹脂材料で構成されている。また、ハブ5は、熱可塑性樹脂のような樹脂材料、または、ステンレス鋼等のような各種金属材料で構成されている。針体4およびハブ5が樹脂材料で構成されている場合には、針体4とハブ5とが一体的に形成された穿刺針3とすることができる。また、この場合、例えば射出成形等により、針体4とハブ5とを一括して成形することができる。針体4が樹脂材料で構成され、ハブ5が金属材料で構成されている場合には、針体4とハブ5とをそれぞれ別体で構成し、これら2つの別体同士を連結した穿刺針3とすることができる。
【0059】
なお、熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン(COP)、環状ポリオレフィン・コポリマー(COC)、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
そして、これらの熱可塑性樹脂の中でも、特に、その曲げ弾性率(ASTMD790に規定)が2000MPa以上であるのが好ましく、2000〜25000MPaであるのがより好ましい。また、曲げ強度(ASTMD790に規定)が、50Mpa以上のものであるのが好ましく、80〜300Mpaであるのがより好ましい。また、硬度(ショアR硬度 Mスケール)が50〜150であるのが好ましく、70〜130であるのがより好ましい。このような条件を満たす熱可塑性樹脂を針体4の構成材料として用いることにより、針体4で生体表面200を穿刺した際、針体4が不本意に屈曲したり、破損したりする等のような不都合が生じるのを確実に防止することができる。
【0061】
熱可塑性樹脂の中でこのような数値範囲を満たすものとしては、例えば、ポリ乳酸、環状ポリオレフィンが挙げられる。ポリ乳酸は、生分解性を有するものであるため、たとえ針体4の破片が傷203(生体内)に残留したとしても、生体への影響が防止される。また、ポリ乳酸および環状ポリオレフィンは、それぞれ、毒性が皆無であるため、たとえ針体4の破片が傷203(生体内)に残留したとしても、生体への影響が防止される。
【0062】
<第2実施形態>
図9は、本発明の穿刺針の第2実施形態を示す横断面図である。
【0063】
以下、この図を参照して本発明の穿刺針および穿刺具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0064】
本実施形態は、4つの刃部の形成位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0065】
図9に示す針体4Aでは、刃部42a〜42dは、中心軸412回りに配置されているが、隣接する2つの刃部同士がなす角度が異なっている。刃部42aと刃部42bとのなす角度は、150度であり、刃部42bと刃部42cとのなす角度は、30度であり、刃部42cと刃部42dとのなす角度は、150度であり、刃部42dと刃部42aとのなす角度は、30度である。
このような針体4Aにより、より確実に出血が得られる。
【0066】
<第3実施形態>
図10は、本発明の穿刺針の第3実施形態を示す横断面図である。
【0067】
以下、この図を参照して本発明の穿刺針および穿刺具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0068】
本実施形態は、刃部の形成数が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図10に示す針体4Bは、6つの刃部42a〜42fを有している。そして、これらの刃部42a〜42fは、中心軸412回りに等角度間隔(30度間隔)に配置されている。
【0069】
このような針体4Bは、前記第1実施形態の針体4よりも刃部の形成数が多いため、その分、生体表面200が切開される部分が増加する。これにより、針体4Bで生体表面200した際、当該生体表面200からより確実に血液が流出する。また、止血が容易である。
【0070】
以上、本発明の穿刺針および穿刺具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、穿刺針および穿刺具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0071】
また、穿刺針は、刃部の形成数が4つまたは6つのものに限定されず、例えば、3つ、5つ、7つ以上のものであってもよい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
図1等に示す構成の穿刺具を作製した。この穿刺具の仕様は、以下に示す通りである。
【0073】
・針体およびハブの構成材料:
ポリ乳酸(曲げ強度:90MPa、
曲げ弾性率:7000MPa、
硬度:120(ショアR硬度 Mスケール)
・角度θ1:17度
・角度θ2:27度
・角度θ3:24度
・ズレ量L:0.1mm
・ケーシングの構成材料:ポリプロピレン
【0074】
(実施例2)
針体の構成材料を環状ポリオレフィン(曲げ強度:100MPa、曲げ弾性率:2200MPa、硬度:80(ショアR硬度 Mスケール))とした以外は、前記実施例1と同様とした。
【0075】
(比較例1)
針体をその形状が円錐状となるもの(
図11参照)とし、構成材料をポリ乳酸(曲げ強度:90MPa、曲げ弾性率:7000MPa、硬度:120(ショアR硬度 Mスケール))とした以外は、前記実施例1と同様とした。
【0076】
(比較例2)
針体を中空針(
図12参照)とし、構成材料をステンレス鋼(SUS304)とした以外は、前記実施例1と同様とした。
【0077】
各穿刺具を、穿刺装置であるテルモ社製「ファインタッチ(登録商標)」に装着し、被験者6名の左手人差し指の横を穿刺してもらった。そして、各穿刺具を用いたときの痛みの程度(痛さ)と、出血の程度とを以下の4段階の基準に従って評価してもらった。
【0078】
なお、穿刺装置は、穿刺針の先端の皮膚への到達時の速度が3m/秒となるように設定し、穿刺深さを2.0mmに設定した。
【0079】
(痛みの程度)
◎:全く痛くない
○:穿刺針の先端が触れたのを感じる程度(それほど痛くない)
△:若干痛い
×:かなり痛い
【0080】
(出血の程度)
◎:血糖値測定に十分な程度に出血した
○:若干出血した(血糖値測定するのには問題がない程度に出血した(前記出血の程度「◎」よりは少ない))
△:血糖値測定に不十分な量しか出血しなかった
×:全く出血しなかった
これらの結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
表1から明らかなように、実施例1および2では、いずれも、穿刺時の痛みを抑制しつつ、血糖値の測定に十分な量の血液を採取することができた。
【0083】
これに対して、比較例1および2では、被験者によっては、血糖値の測定に必要な血液量を採取することができなかったり、かなりの痛みを伴うものであった。
【0084】
また、実施例1に対し、その構成材料を他の熱可塑性樹脂に変更したものについても評価したが、実施例1および2と同様の結果が得られた。
【0085】
また、実施例1に対し、角度θ1を10〜20度の範囲内でその大きさを変更したものについても評価したが、実施例1および2とほぼ同様の結果が得られた。
【0086】
また、実施例1に対し、角度θ2を18〜33度の範囲内でその大きさを変更したものについても評価したが、実施例1および2とほぼ同様の結果が得られた。
【0087】
また、実施例1に対し、角度θ3を20〜30度の範囲内でその大きさを変更したものについても評価したが、実施例1および2とほぼ同様の結果が得られた。
【0088】
また、実施例1に対し、ズレ量Lを0.05〜0.1mmの範囲内でその大きさを変更したものについても評価したが、実施例1および2とほぼ同様の結果が得られた。