特許第5690841号(P5690841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690841椎骨骨折を処置するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690841
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】椎骨骨折を処置するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20150305BHJP
   A61F 2/44 20060101ALI20150305BHJP
   A61M 25/10 20130101ALN20150305BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61F2/44
   !A61M25/10 520
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-543190(P2012-543190)
(86)(22)【出願日】2010年12月7日
(65)【公表番号】特表2013-512761(P2013-512761A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】US2010059186
(87)【国際公開番号】WO2011071851
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】12/632,325
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン,デーミエン
(72)【発明者】
【氏名】ポール,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】スー,ショーン
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0299401(US,A1)
【文献】 特表2001−506879(JP,A)
【文献】 特開2009−142563(JP,A)
【文献】 特開2008−173496(JP,A)
【文献】 特開2006−263184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61F 2/44
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張および封じ込め器具であって、
長軸を有し、かつ前記長軸にそって伸びる外側通路および内側通路を含む外側チューブ、
前記外チューブの前記内通路を通して伸長し、前記外側チューブより先に出て伸長する内部充填チューブ、
前記内部充填チューブの遠位末端上のバルーン、および
前記チューブの遠位末端上の第一部分と第二部分を持つ封じ込めジャケットであって、そこで前記バルーンを包囲する封じ込めジャケット、
を含む膨張および封じ込め器具であって、
前記封じ込めジャケットの前記第一部分が、前記バルーンが封じ込めジャケット内で膨張しえ、それによって前記バルーンが前記封じ込めジャケットの前記第一部分を占有するように適合され、
前記封じ込めジャケットの前記第二部分が、第一充填材を受領可能なように適合され、そこで封じ込めジャケットの第二部分が前記バルーンによって占有されない、
膨張および封じ込め器具。
【請求項2】
前記封じ込めジャケットが、前記第一の充填材の漏出を防ぐために適合する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項3】
前記封じ込めジャケットが骨成長剤を用いて少なくとも部分的に被覆されている、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項4】
前記封じ込めジャケット内の前記バルーンが、膨張したときに、前記バルーンが膨張する骨中の空洞の壁に対して圧力を提供して高さの低下を防ぐように適合する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項5】
前記封じ込めジャケット内で前記バルーンを膨張する工程が、前記バルーンが膨張する骨中の空洞の高さを増大する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項6】
前記第一の充填材が骨中の空洞の容積あたり10〜90%を占有する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項7】
前記バルーンの収縮の後に前記封じ込めジャケットの前記第一部分内に挿入されるべき、前記第一の充填材および第二の充填材が両方とも同じ材料を含む、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項8】
前記バルーンの収縮の後に前記封じ込めジャケットの前記第一部分内に挿入されるべき、前記第一の充填材および第二の充填材が両方とも骨セメントを含む、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項9】
前記バルーンの収縮の後に前記封じ込めジャケットの前記第一部分内に挿入されるべき、前記第一の充填材および第二の充填材が実質的に空洞を充填する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項10】
洞の壁上に被覆された骨成長材をさらに包含する、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項11】
前記第一の充填材が、前記外側チューブの外側通路を通じて導入される、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項12】
前記バルーンの収縮の後に前記封じ込めジャケットの前記第一部分内に挿入されるべき、第二の充填材が、前記外側チューブの内側通路を通じて導入される、請求項1に記載の膨張および封じ込め器具。
【請求項13】
椎骨骨折を処置するためのシステムであって:
充填チューブおよび前記充填チューブの遠位端上のバルーンを含む膨張デバイス;
椎体の海綿骨内に空洞を創出するために前記椎体で前記バルーンを膨張させるために適合する前記膨張デバイス;および
膨張デバイスを除去した後に、前記椎体内に挿入するために適合した膨張および封じ込めのデバイスを含むシステムであって、そこで、前記膨張および封じ込めのデバイスは:
長軸を有し、かつ前記長軸にそって伸びる外側通路および内側通路を含む外側チューブであって、ここで前記外側通路が前記内側通路を囲み、かつ内壁によって前記内側通路から隔てられており、ここで前記外側チューブは少なくとも1つの出口ポートを前記外側通路の遠位端に有する、外側チューブと、
前記外側チューブの内側通路を通じて伸び、前記外側チューブより先に出て伸びる内側充填チューブと;
前記内側充填チューブの遠位端上にある前記バルーン;および
前記外側チューブの遠位端上にある封じ込めジャケットを含み、ここで前記バルーンを包囲する封じ込めジャケットを含み、
上記封じ込めジャケットは、第一部分と第二部分を含み、前記封じ込めジャケットの前記第一部分が、前記バルーンが前記封じ込めジャケット内で膨張しえ、前記バルーンが前記封じ込めジャケットの前記第一部分を占有するように適合され、
前記封じ込めジャケットの第二部分が、第一の充填材の受領が可能なように適合され、ここで前記封じ込めジャケットの前記第二部分が前記バルーンによって占有されない、
システム。
【請求項14】
前記充填材が、骨セメントを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
膨張および封じ込めのデバイスであって:
長軸を有し、かつ前記長軸にそって伸びる外側通路および内側通路を備える、外側チューブと;
前記外側チューブの前記内側通路を通じて伸び、前記外側チューブより先に出て伸びる内側充填チューブと;
前記内側充填チューブの遠位端上のバルーン;および
前記外側チューブの遠位端上の封じ込めジャケットであって、ここで前記バルーンを包囲する、封じ込めジャケットを含み、
上記封じ込めジャケットは、第一部分と第二部分を含み、前記封じ込めジャケットの前記第一部分が、前記バルーンが前記封じ込めジャケット内で膨張しえ、前記バルーンが前記封じ込めジャケットの前記第一部分を占有するように適合され、
前記封じ込めジャケットの第二部分が、第一の充填材の受領が可能なように適合され、ここで前記封じ込めジャケットの前記第二部分が前記バルーンによって占有されない、
膨張および封じ込めのデバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本開示は全体として、骨の処置に関する。詳細には、1つ以上の実施形態では、本開示は、椎骨骨折の処置のための方法および装置であって、空洞創出のための膨張デバイスと、椎体高およびセメント封じ込めを維持するための膨張および封じ込めのデバイスとを包含する、方法および装置に関する。
【0002】
〔背景技術〕
骨および骨構造は、それらが支持体および構造を提供する能力に影響し得る種々の脆弱性に影響され易い。骨構造の脆弱性は、変性疾患、腫瘍、骨折および脱臼を含めて多くの原因を有し得る。例として、椎骨の脆弱性からは、脊柱における1つ以上の椎骨の崩壊を含む圧迫骨折がもたらされる。これらの椎骨の圧迫骨折は、骨粗鬆症、外傷および腫瘍を含めて多数の病態によって生じ得る。医学および工学における進歩によって、これらの脆弱性を緩和または治癒(硬化)するための多数のデバイスおよび技術が医師にもたらされた。
【0003】
椎骨骨折を処置するための1つの技術は、椎体形成術(vertebroplasty)である。椎体形成術では、医師は、骨折した椎体中に骨セメントを注入して骨折を安定化するためのニードルを用いる場合がある。椎骨形成術(kyphoplasty)は、椎骨中に骨の空洞を創出するための、骨折した椎骨の中へのバルーンの挿入を包含する、椎骨骨折を処置するための別の技術である。次いで、このバルーンが取り除かれ、続いて椎体中への骨セメントの注入によって骨折が安定化され得る。椎体形成術および椎骨形成術の両方とも、骨セメントの漏出が共通の問題であって、これが合併症をもたらし得る。これらの技術に関連する別の問題は、骨折した椎体に対して復元の高さが不十分という可能性である。
【0004】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、骨折した椎骨を安定化し得る方法および装置が必要である。
【0005】
本開示は全体として、骨の処置に関する。詳細には、1つ以上の実施形態では、本開示は、椎骨骨折の処置のための方法および装置であって、空洞創出のためのデバイスと、膨張デバイスと、椎体高およびセメント封じ込めを維持するための封じ込めデバイスとを包含する、方法および装置に関する。
【0006】
〔課題を解決するための手段〕
本発明の実施形態は、骨を処置するための方法を含む。この方法は、骨において空洞を創出することを含み得る。この方法はさらに、空洞中に封じ込めジャケットを配置することを含み得る。この方法はさらに、封じ込めジャケット内でバルーンを膨張させ、その結果このバルーンが、封じ込めジャケットの第一部を占有することを含み得る。この方法はさらに、この封じ込めジャケットの第二部分内に第一の充填材を導入することであって、ここでこの封じ込めジャケットの第二部分が、バルーンによって占有されないことを含み得る。この方法はさらに、この封じ込めジャケットからバルーンを取り外すことを含み得る。この方法はさらに、この封じ込めジャケットの第一部分中に第二の充填材を導入することを含み得る。
【0007】
本発明の特徴および利点は、当業者に容易に明白になるであろう。当業者によって多数の変更がなされ得るが、このような変更は、本発明の趣旨の範囲内である。
【0008】
〔発明を実施するための形態〕
本開示は全体として、骨の処置に関する。詳細には、1つ以上の実施形態では、本開示は、椎骨骨折の処置のための方法および装置であって、空洞創出ための膨張デバイスと、椎体高およびセメント封じ込めを維持するための膨張および封じ込めのデバイスとを包含する、方法および装置に関する。
【0009】
図1は、椎体中に高さの低下を伴う圧迫骨折を有する椎体10を図示する。図示されるとおり、椎体10は、皮質骨12という外側部分と海綿骨14という内側部分とを備える。
【0010】
図2〜4は、本発明の一実施形態による、椎体10中の空洞の創出を図示する。図2に図示されるとおり、膨張デバイス16は、椎体10の海綿骨14中に挿入され得る。図示される実施形態では、膨張デバイス16は、充填チューブ18と、充填チューブ18の遠位端上の第一のバルーン20とを備える。図示されるとおり、第一のバルーン20は、膨張デバイス16が椎体10中に挿入されるとき、収縮され得る。特定の実施形態では、膨張デバイス16は、膨張式骨タンプ(tamp)であってもよい。膨張デバイス16のための椎体10中の通路は、任意の種々の異なる適切な技術を用いて創出され得ることが理解されるべきである。図示はしていないが、例えば、外套針(trocar)を用いて、患者の身体中にカニューレを配置してもよい。次いで、ドリルを例えば、カニューレ中に挿入して、椎体10中にチャネルを創出し、この中に膨張デバイス16を挿入してもよい。次いで、膨張デバイス16を、このカニューレを通じて、例えば、椎体10の中に挿入してもよい。
【0011】
図3は、本発明の一実施形態による、椎体10中に空洞22を創出するための膨張デバイス16の使用を図示する。図示されるとおり、第一のバルーン20は、例えば、膨張して椎体10の内側部分中の海綿骨14を圧迫し得る。空洞22の創出に加えて、第一のバルーン20はまた、例えば、緻密骨12を押し離して、椎体10の高さを復元し得る。次いで、膨張デバイス16は、椎体10から取り外され得る。図3は、空洞22の創出のための第一のバルーン20の使用を図示しており、当業者は、空洞22の創出のために他の適切な技術も用い得るということを理解する。例として、拡張式ジャッキまたは他の適切なデバイスを用いて、椎体10中に空洞22を創出してもよい。
【0012】
図4は、本発明の実施形態による、膨張デバイス16の除去後、椎体10中に創出された空洞22を図示する。図示はしていないが、本発明の実施形態はさらに、骨成長剤、または止血シール剤を用いてこの空洞22の壁を被覆する工程を包含し得る。
【0013】
図5は、本発明の一実施形態による椎体中の膨張および封じ込めのデバイス24の使用を図示する。図示されるとおり、膨張および封じ込めのデバイス24は、椎体10中の空洞22の中に挿入され得る。特定の実施形態では、第二の膨張デバイスが、カニューレ(図示せず)を通じて椎体10中に挿入され得る。図示した実施形態では、膨張および封じ込めのデバイス24は、外側チューブ26、内側充填チューブ28、第二バルーン30、および封じ込めジャケット32を備える。下にさらに詳細に考察するとおり、空洞22を、充填材の第一の容積34で部分的に充填しながら、第二のバルーン30を使用して、椎体10の高さを維持してもよい。封じ込めジャケット32は、望ましくない漏出を妨げるために空洞22中に導入された充填材(例えば、セメント)を含むために使用され得る。この方式では、空洞22からの充填材の漏出および椎体高の減少に関連する問題は軽減されるか、または回避される可能性さえあり得る。
【0014】
第二のバルーン30は、本発明の実施形態によって、内側充填チューブ28の遠位端または近位端に配置され得る。特定の実施形態では、第二のバルーン30および内側充填チューブ28は、膨張式骨タンプであってもよい。図示はしていないが、第二のバルーン30は、膨張および封じ込めのデバイス24が椎体10中に挿入されるとき、収縮される。空洞22中への挿入後、次に第二のバルーン30を膨張してもよい。概して、第二のバルーン30の膨張は、椎体高の減少を予防する(または軽減する)ために空洞22の壁に対して圧力を提供するはずである。特定の実施形態では、椎体10の高さをさらに増大するために第二のバルーン30の拡張が所望され得る。特定の実施形態では、第二のバルーン30の膨張は、第一のバルーン20の除去後にある程度の椎体高減少を復元し得る。図示されるとおり、第二のバルーン30は全体として、封じ込めジャケット32内に包囲され得る。第二のバルーン30の容積は全体として、本発明の実施形態によれば、封じ込めジャケット32の容積よりも小さくなければならない。さらに、膨張された場合、第二のバルーン30は全体として、封じ込めジャケット32の全容積を占有すべきではない。例えば、第二のバルーン30は、封じ込めジャケット32の容積あたり約10%〜約90%を占有し得る。
【0015】
封じ込めジャケット32は、本発明の実施形態によれば、外側チューブ26の遠位端に配置されてもよい。図示されるとおり、封じ込めジャケット32は、この封じ込めジャケット32が外側チューブ26の遠位端を包囲するように、外側チューブ26の遠位端に取り付けられてもよい。図示はしていないが、封じ込めジャケット32は、膨張および封じ込めのデバイス24が椎体10中に挿入されるとき、収縮され得る。空洞22中への挿入後、封じ込めジャケット32は、この封じ込めジャケット内の第二のバルーンが膨張されるにつれて、膨張され得る。図示されるとおり、この封じ込めジャケット32は、空洞22の形状に適合し得る。特定の実施形態では、封じ込めジャケット32の容積は、空洞22の容積よりも大きくてもよい。特定の実施形態では、この封じ込めジャケット32は、漏出を防ぐための充填材を含み得る、柔軟なバルーン(例えば、ポリウレタン)であることが所望され得る。従って、封じ込めジャケットは、本発明の実施形態によれば、海綿骨内の充填材の嵌合を可能にし得る。
【0016】
図5に図示されるとおり、膨張および封じ込めのデバイス24の使用は、本発明の技術の実施形態によれば、封じ込めジャケット32の膨張と、第二のバルーン30の膨張とを包含する。図5によってさらに例示されるとおり、次に、空洞22は第一のセメント容積34で部分的に充填され得る。図示される実施形態では、第一のセメント容積34は、例えば、外側チューブ26によって、封じ込めジャケット32中に導入され得る。この第一のセメント容積34は全体として、膨張された第二のバルーン30によって占有されない封じ込めジャケット32の一部を充填し得る。例として、第一のセメント容積34は、空洞22中で膨張されるにつれて封じ込めジャケット32の容積あたり約10%〜約90%を占有し得る。次いで、第一のセメント容積34は、封じ込めジャケット32中で硬化することを可能にされてもよい。第一のセメント容積34が実質的に硬化した後、第二のバルーン30が空洞から取り除かれ得る。
【0017】
図6は、本発明の実施形態による膨張および封じ込めのデバイス24のさらなる使用を図示する。前に言及されるとおり、第二のバルーン30は、第一のセメント容積34が実質的に硬化された後に、空洞22から取り除かれ得る。図示される実施形態では、封じ込めジャケット32は、空洞22中に残る。図示されるとおり、第二のセメント容積36は次に、封じ込めジャケット32中に導入され得る。第二のセメント容積36は全体として、封じ込めジャケット32の占有されていない部分、例えば、セメントの第一の容積32によって占有されていない封じ込めジャケット32の部分を占有し得る。例として、第二のセメント容積36は、空洞22中で膨張されるにつれて、封じ込めジャケット32の容積あたり約10%〜約90%を占有し得る。次いで、第二のセメント容積36は、封じ込めジャケット32中で硬化することを可能にされてもよい。次いで、膨張および封じ込めのデバイス24は、椎体10から取り除かれ得る。本発明の実施形態によれば、封じ込めジャケット32は、デバイス24から取り外されて、椎体10中に残ってもよい。
【0018】
図7は、本発明の実施形態による、椎体中で圧迫骨折を安定化した後の椎体10を図示する。図示されるとおり、封じ込めジャケット32は、椎体10中に残って全体として空洞22を充填する。第一のセメント容積34と第二のセメント容積36は全体として、封じ込めジャケット32を充填する。図7および図1の比較から容易に明らかであるとおり、高さは、本発明の実施形態によって、椎体10まで復元され得る。
【0019】
図5〜7の前述の説明は、膨張および封じ込めのデバイス24の使用を記載するが、膨張および封じ込めのデバイス24は、本発明の技術の実施形態によれば、椎体高およびセメント封じ込めを維持するための一デバイスの例示であることが理解されるべきである。椎体高およびセメント封じ込めを維持するための他の適切なデバイスもまた本発明の実施形態において用いられてもよい。
【0020】
図8〜9は、本発明の一実施形態による、封じ込めジャケット32を図示する。図9は、本発明の一実施形態による、封じ込めジャケット32の拡大図である。図示されるとおり、封じ込めジャケット32の外面は、骨成長剤で被覆されてもよい。骨成長剤は、椎体10中の封じ込めジャケット32に隣接する海綿骨14の成長を促進するために適切な任意の種々の物質であり得る。
【0021】
図10〜11は、本発明の一実施形態によって用いられ得る膨張および封じ込めのデバイス24を図示する。前に言及したとおり、デバイス24は、椎体10中に挿入され得る。図示されるとおり、膨張および封じ込めのデバイス24は、外側チューブ26と、内部充填チューブ28と、収縮状態の第二のバルーン30と、封じ込めジャケット32とを備え得る。図示される実施形態では、外側チューブ26は、外側通路40と、内側通路42とを備える二重ダクトチューブである。外側通路は、内側壁43によって隔てられた通路で内側通路42を囲んでもよい。外側通路40および内側通路42は両方とも、例えば、外側チューブの長軸44にそって伸び得る。図示されるとおり、外側チューブ26の遠位端46は、外側通路40に対して1つ以上の出口ポート48を備え得る。出口ポート48は、内通路42の周囲に間隔を空けられていてもよい。内側通路42は、例えば、封じ込めジャケット32中に第一のセメント容積34を送達するために用いられ得る。内側充填チューブ28は、外側チューブ26の内側通路42を通って配置され得る。
【0022】
図12は、本発明の一実施形態による、膨張および封じ込めのデバイス24の使用を図示する。図示されるとおり、デバイス24の使用は、第二のバルーン30および封じ込めジャケット32を膨張する工程を包含し得る。本発明の実施形態はさらに、封じ込めジャケット32中への第一のセメント容積34の導入を包含し得る。図示されるとおり、第一のセメント容積34は、第二のバルーンによって占有されていない封じ込めジャケット34の容積中に導入され得る。この第一のセメント容積34は、外側チューブ26の外側通路40を通じて導入されて、1つ以上の出口ポート48から封じ込めジャケット34中に出ていってもよい。第一のセメント容積34の十分な量は例えば、封じ込めジャケット34の非占有部分を全体として充填するために、導入され得る。次いで、この第一のセメント容積34は、封じ込めジャケット34中で硬化することを可能にされてもよい。
【0023】
図13は、本発明の一実施形態による、膨張および封じ込めのデバイス24のさらなる使用を図示する。第一のセメント容積34が実質的に硬化された後、例えば、第二のバルーン30が収縮されて、封じ込めジャケット32から取り除かれ得る。図示されるとおり、デバイス24の使用はさらに、封じ込めジャケット32中への第二のセメント容積36の導入を包含し得る。例として、第二のセメント容積36は、膨張した状態の第二のバルーン30によって事前に占有された、封じ込めジャケット32内の空間中に導入され得る。セメント充填チューブは、第二のセメント容積36を封じ込めジャケット34に送達するために用いられ得る。特定の実施形態では、十分な量の第二のセメント容積36を、封じ込めジャケット32の残り部分を実質的に充填するために導入してもよい。次いで、この第二のセメント容積36は、封じ込めジャケット34中で硬化することを可能にされてもよい。
【0024】
図14は、本発明の一実施形態による、膨張および封じ込めのデバイス24のなおさらなる使用を図示する。図示されるとおり、第一のセメント容積34および第二のセメント容積36は全体として、封じ込めジャケット32を充填する。前に記述したとおり、封じ込めジャケット32は、望ましくない漏出を防ぐセメント容積を含む。次いで、外側チューブ26は、封じ込めジャケット32から外されて、封じ込めジャケット32が適所に残されてもよい。なお、椎体の評価は、カニューレの使用を通じて行っても、または開放式のアクセス方法によって行ってもよい。
【0025】
前述の説明は、本発明の実施形態による、第一のセメント容積34および第二のセメント容積36の使用について述べている。当業者は、第一のセメント容積34および第二のセメント容積36が、整形外科の適用における使用に適切な任意の種々の骨セメントを含み得るということを理解するであろう。適切な骨セメントの例には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が含まれる。さらに、前述の記述では、セメントの使用について述べているが、本発明の実施形態はまた、椎体10における空洞22を、例えば、充填および安定化するために利用され得る種々の異なる充填材を包含し得る。適切な材料の例としては、ヒト骨移植片および合成由来の代用骨を挙げてもよい。
【0026】
例示的な実施形態では、第一のバルーンを用いて椎体中の空洞を創出する。しかし、空洞を創出するために用いられ得る任意のデバイスが適用されてもよい。例えば、ステント、ドリルおよび吸引機のような機械的デバイスを用いて、椎体中の空洞を創出してもよい。空洞が創出された後、本発明に従って、封じ込めジャケットおよび第二のバルーンが導入され得る。なお、封じ込めジャケット内に第二のバルーンを配置するには種々の異なる方法が用いられ得る。例えば、椎骨空洞の特定の位置にセメントを挿入するための効率および容易さを最大化するために第二のバルーンを任意の位置に配置してもよい。
【0027】
本発明の別の例示的な実施形態では、図15〜21は、挿入デバイス52の遠位端に取り付けられた封じ込めジャケット50を図示する。挿入デバイス52は、封じ込めジャケット50に対して連結するように適合される。挿入デバイス52にはまた、椎体の空洞中に医療デバイスを挿入するために用いられ、かつ封じ込めジャケット50内に含まれる中央ポート54が設けられる。例えば、この中央ポート54を用いて、k−ワイヤ、内視鏡デバイス、骨セメントおよび他の医学的に適合する器具を挿入して、椎骨空洞内で骨セメントを硬化する手順を向上してもよい。中央ポート54の反対側および中央ポート54の遠位端で、複数のバルーン56を装着してもよい。異なる実施形態では、この複数のバルーン56は、サイズおよび形状が変化し得る。また、中央ポート54の反対側および挿入デバイス壁52の間に、シーリング構成要素57が設けられる。このシーリング構成要素57は骨充填材または挿入デバイス52を通じて回収される任意の他の材料のなんらかのリスクを排除するために利用される。
【0028】
中央ガイドワイヤ58を用いて、最初に椎体内に封じ込めジャケット50を挿入する。一旦封じ込めジャケット50が、図16に図示されるように椎体内に配置されれば、図16および図17に図示されるように、複数のバルーン56を空洞に挿入して膨張させる。バルーン56が膨張されるにつれて、バルーン56の外壁からの圧力は、封じ込めジャケット50を膨張させる。バルーン56が最適の容積まで膨張された後、次に第一の充填材60を、中央ポートを通じて封じ込めジャケット50内の第一部分に挿入する。次に、バルーン56が収縮され、中央ポートを通じて封じ込めジャケットから取り外される。ここで図18および図19を参照すれば、バルーン56の取り外し後、第一の充填材60が硬化され、それによって、椎体内の封じ込めジャケットの一部に安定性および高さの復元がもたらされる。一旦、第一の充填材60が硬化されれば、図20に示されるように、第二の充填材62を第二部分に挿入して、封じ込めジャケット50内で硬化することを可能にしてもよい。図21は、封じ込めジャケット50内に含まれている第一および第二の充填材を図示する。また、封じ込めジャケット50は、囲んでいる海綿骨の形状に従い、第一の充填材も第二の充填材も漏出することなく周囲の骨と嵌合する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、空洞創出バルーンおよび高さ復元バルーンを、椎体挿入デバイスに装着された封じ込めジャケット内に構成してもよい。本発明の一工程では、封じ込めジャケットと、空洞創出バルーンと、高さ復元バルーンを折れた椎体に挿入する。次に、空洞創出バルーンおよび高さ復元バルーンを同時に膨張させ、それによって椎体内で封じ込めジャケットを膨張させる。一旦空洞が創出され、高さ復元バルーンが膨張されれば、この空洞創出バルーンを収縮させて、取り除く。空洞創出バルーンの除去後、骨充填材挿入デバイスを封じ込めジャケット中に挿入し、封じ込めジャケットの第一部分に骨充填材を充填する。一旦骨充填材が硬化されれば、高さ復元バルーンを取り除いて、第二の骨充填材を封じ込めジャケットの第二部分中に挿入する。次に、第二の骨充填材を硬化して、挿入デバイスを取り除き、第一および第二の骨充填材を含んでいる封じ込めジャケットは椎体中に残しておく。
【0030】
さらに、前述の説明は、例えば、空洞創出のための膨張デバイスと、椎体高およびセメント封じ込めを維持するための膨張および封じ込めのデバイスとを備える椎骨骨折の処置に関する。本発明の技術はまた、椎体高および/またはセメント封じ込めの維持が所望され得る、他の適切な骨処置にも用いられ得ることが理解されるべきである。例として、本発明の実施形態は、脛骨プラトー骨折、橈骨遠位端骨折および海綿骨破壊を処置するために用いられ得る。
【0031】
本明細書に開示される本発明は、上記の目的を満たすことが十分予測されるということは明らかであるが、多数の改変および実施形態が当業者によって工夫され得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の技術の一実施形態による椎体の断面図である。
図2】本発明の一実施形態により椎体中に挿入された膨張デバイスを図示する。
図3】本発明の一実施形態により椎体中に空洞を創出するための膨張デバイスの使用を図示する。
図4】本発明の一実施形態により椎体中に創出された空洞を図示する。
図5】本発明の一実施形態による椎体中の膨張および封じ込めのデバイスの使用を図示する。
図6】本発明の一実施形態による椎体中の膨張および封じ込めのデバイスのさらなる使用を図示する。
図7】本発明の一実施形態により安定化された椎体を図示する。
図8】本発明の一実施形態による封じ込めジャケットを図示する。
図9】本発明の一実施形態による封じ込めジャケットの拡大図である。
図10】本発明の一実施形態による膨張および封じ込めのデバイスを図示する。
図11】本発明の一実施形態による膨張および封じ込めのデバイスを図示する。
図12】本発明の一実施形態による膨張および封じ込めのデバイスの使用を図示する。
図13】本発明の一実施形態による膨張および封じ込めのデバイスのさらなる使用を図示する。
図14】本発明の一実施形態による膨張および封じ込めのデバイスのなおさらなる使用を図示する。
図15】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図16】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図17】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図18】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図19】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図20】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図21】椎骨骨折を処置するためのシステムおよび方法のさらに別の実施形態を図示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
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図19
図20
図21