特許第5690846号(P5690846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690846固定型トランシーバ・ステーションによりデバイスを遠隔制御する方法、デバイス、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690846
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】固定型トランシーバ・ステーションによりデバイスを遠隔制御する方法、デバイス、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/22 20090101AFI20150305BHJP
【FI】
   H04W8/22
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-551542(P2012-551542)
(86)(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公表番号】特表2013-519278(P2013-519278A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2011000428
(87)【国際公開番号】WO2011095312
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年12月17日
(31)【優先権主張番号】61/301,834
(32)【優先日】2010年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10001206.1
(32)【優先日】2010年2月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】595135947
【氏名又は名称】ドイチェ テレコム アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Deutsche Telekom AG
(73)【特許権者】
【識別番号】312006909
【氏名又は名称】ドイチェ・テレコム・(ユーケイ・)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ハラルト
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−261990(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080236(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/089026(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/114848(WO,A1)
【文献】 特表2011−519497(JP,A)
【文献】 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Radio Resource Control (RRC); Protocol Specification (Release 9),3GPP TS 25.331 V9.1.0 (2009-12),3GPP,2009年12月,614-640
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによってデバイスを遠隔制御する方法であって、
前記無線セルに関する固有の情報である制御情報であって、前記デバイスを特定するように機能する識別部を有する制御情報を、位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部である制御チャンネル上にて、前記固定型トランシーバ・ステーションによって前記デバイスに送るステップであって、前記デバイスを前記ネットワークに登録せず、かつ前記デバイスを前記ネットワークとの無線リソース制御接続を行わないようにしているステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記制御チャンネルがシステム情報ブロック(SIB)チャンネルになっている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御チャンネルがシステム情報ブロック(SIB)タイプ2チャンネルになっている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御情報が、前記デバイスの遠隔制御された動作を定めるように機能する命令部を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
記制御情報の識別部が、1個のデバイス又は複数のデバイスを特定するようになっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記制御情報が、1個のUMTS登録領域(URA)の識別子又は複数のUMTS登録領域(URA)の識別子を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1個のUMTS登録領域(URA)の識別子又は前記複数のUMTS登録領域(URA)の識別子が、確保されているUMTS登録領域(URA)における識別子のセットの一部になっている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによって、遠隔制御されるデバイスであって、
位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部である制御チャンネル上で、前記固定型トランシーバ・ステーションによって送られる制御情報であって、前記無線セルに関する固有の情報であり、さらには、デバイスを特定する機能を有する識別部を有する制御情報を受信可能とする受信手段と、
前記制御情報をデコード可能とする制御手段と
を備え、
ネットワークに登録されず、かつ前記ネットワークと無線リソース制御接続しないように構成されているデバイス。
【請求項9】
前記制御チャンネルがシステム情報ブロック(SIB)タイプ2チャンネルになっている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御情報が、1個のUMTS登録領域(URA)の識別子又は複数のUMTS登録領域(URA)の識別子を有している、請求項8又は9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御情報が、前記デバイスの遠隔制御された動作を定めるように機能する命令部を有している、請求項8〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記制御情報の識別部が、1個のデバイス又は複数のデバイスを特定するようになっている、請求項8〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによって、デバイスを遠隔制御する方法を実行するように、前記固定型トランシーバ・ステーションを制御するコンピュータ読取り可能なプログラム・コードを含むプログラムであって、
前記方法が、前記無線セルに関する固有の情報である制御情報であって、前記デバイスを特定するように機能する識別部を有する制御情報を、位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部である制御チャンネル上にて、前記固定型トランシーバ・ステーションによって前記デバイスに送るステップであって、前記デバイスを前記ネットワークに登録せず、かつ前記デバイスを前記ネットワークとの無線リソース制御接続を行わないようにしているステップを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによってデバイスを遠隔制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE及びUMTSにおいては、専用の制御メッセージを用いずに、個々のデバイス、デバイスのグループ、又は任意の数のデバイスを遠隔制御することができなくなっている。これは、
−あらゆるデバイスにおいて、全ての無線リソース制御(RRC)用スタックを作動させる必要があるということと、
−あらゆるデバイスにおいて、トランシーバを作動させる必要があるということと、
−移動体通信ネットワークのオペレータが、デバイスとネットワークとの間の無線リソース制御(RRC)接続を最初に確立せずに、任意のデバイスを遠隔制御するような方法が存在しないということと
を意味している。従って、無線リソース制御(RRC)用スタックを実装しないデバイスは、移動体通信ネットワークのオペレータによる遠隔制御ができなくなっており、さらに、トランシーバの無いデバイスは、移動体通信ネットワークのオペレータによる遠隔制御ができなくなっている。
【0003】
このことは、いくつかのデバイスが完全に遠隔制御できないということと、その他のデバイスが無線リソース制御(RRC)接続のみでしか制御できないということとを意味するために、移動体通信ネットワークのオペレータに対する制約となり、さらに、このことによって、デバイスをネットワークに登録し、かつ専用のネットワーク・リソースを使用することが要求されることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによってデバイスを遠隔制御する方法を提供することにある。本発明の別の目的は、遠隔制御されるデバイスを提供すること、及びそのようなデバイスを遠隔制御するために固定型トランシーバ・ステーションを使用する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによってデバイスを遠隔制御する方法を用いて実現されることとなる。ここで、当該デバイスはネットワークに登録されることがなく、このような方法においては、制御チャンネル上に制御情報を送る固定型トランシーバ・ステーションを設け、この制御情報を無線セルに関する特定の情報とし、制御チャンネルを、位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部とし、制御情報に、デバイスを特定する(specify、指定する)機能を有する識別部を含める。
【0006】
その結果、好ましくは、移動体通信ネットワークのオペレータによって遠隔制御可能である安価なデバイスを設置することができる。安価なデバイスは、トランシーバを必要とせずに、また極めて限定された無線リソース制御(RRC)用スタックのみを実装することによって実現することができる。さらに、このような安価なデバイスをネットワークに登録しないために、このことは、例えば、加入者識別モジュール(SIM)に関連するホーム位置レジスタ(HLR)等のネットワーク・リソースを不要とする。
【0007】
そのため、本発明においては、デバイスがネットワークと無線リソース制御接続していないことが好ましい。なお、「ネットワークと無線リソース制御(RRC)接続していない」という用語によって、無線リソース制御が全く実現されないということ、又は限定された無線リソース制御(RRC)用スタックのみが本発明の(機械)デバイスの中に(若しくはデバイスと一体になって)存在して本発明による方法に基づいて使用されるということのどちらかを意味することとなる。
【0008】
本発明によれば、移動体通信ネットワークのオペレータが、そのロング・ターム・エボリューション(LTE)及び/又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)ネットワーク内に、安価なデバイスを、それらを遠隔制御かつ構成する可能性を失わないように構築かつ配置することができる。唯一要求されることとしては、そのようなデバイスが、ブロードキャスト共通制御チャンネル上で固定型トランシーバ・ステーション(例えば、ノードB(Node B)又は他の基地局)によって送られたシステム情報ブロードキャスト・メッセージ(システム情報ブロック(SIB))を読取り可能とするということにある。
【0009】
本発明においては、制御チャンネルが、システム情報ブロック(SIB)チャンネル、好ましくは、システム情報ブロック(SIB)タイプ2チャンネルであることが好ましい。
【0010】
さらに、制御情報に、少なくとも1つのUMTS登録領域(URA)の識別子(identity、アイデンティティ)を含めることが好ましい。
【0011】
システム情報ブロック(SIB)タイプ2は、UMTS登録領域(URA)の識別子リストを有している。3GPPにおいては、このUMTS登録領域(URA)の識別子(すなわち、URA・ID)の範囲は、1から65536(216)に渡っている。本発明においては、通常のネットワーク計画にて使用され、かつ確保されているUMTS登録領域(URA)の識別子のセットを定義する。
【0012】
本発明においては、各遠隔デバイスは、3GPP仕様に従って、システム情報ブロック(SIB)タイプ2の制御チャンネルを読み取るようになっている。デバイスが、受け取ったUMTS登録領域(URA)の識別子リストの中で任意の確保されているUMTS登録領域(URA)の識別子を検出すると、これをコードと解釈して、対応する動作、例えば、イネーブル/ディセーブル、周波数変更、又は他の任意の動作が実行されることとなる。このコードは、UMTS登録領域(URA)の識別子リストの中で確保されているUMTS登録領域(URA)の識別子に関する特定の組合せとして、又はある期間に渡って、UMTS登録領域(URA)の識別子リストの中で確保されているUMTS登録領域(URA)の識別子の一連の組合せとして送信されることができる。
【0013】
そのため、本発明においては、
−制御情報に、デバイスの遠隔制御された動作を定義するように機能する命令部を含めること、及び/又は
−制御情報の識別部に1つのデバイス又は複数のデバイスを特定させること
が好ましく、
ここで、識別部及び/又は命令部は、1つのUMTS登録領域(URA)の識別子又は複数のUMTS登録領域(URA)の識別子によって形成される。
【0014】
このことは、制御情報に識別部及び命令部を含めることが好ましいことを意味する。さらに、このことは、識別部及び命令部の両方を、1つのUMTS登録領域(URA)の識別子の形式で又は複数のUMTS登録領域(URA)の識別子の形式で提供することができるということを意味する。
【0015】
本発明によれば、1つのUMTS登録領域(URA)(例えば、16ビットから成る)を、1つの識別部(又は複数の識別部)と1つの命令部(又は複数の命令部)との両方を提供するために使用することが可能であり、かつ好ましい。例えば、本発明における別の種々の方法によれば、単一のURAの中で、識別部及び命令部を伝えることができる、例えば、
−(単一URAの)14ビットを、遠隔制御されるデバイス(又はデバイスのグループ)をアドレス特定するために使用し(すなわち、識別部を構成する)、さらに、2ビットを命令部(すなわち、デバイスがどの動作を実行すべきかを示す)として使用すること、
−(単一URAの)15ビットを、遠隔制御されるデバイス(又はデバイスのグループ)をアドレス特定するために使用し(すなわち、識別部を構成する)、さらに、1ビットを命令部(すなわち、デバイスがどの動作を実行すべきかを示す)として使用すること
が挙げられる。本発明の別の実施形態によれば、2つのURAを、識別部及び命令部を伝えるために使用することができ、例えば、
−(2つのURAのうちの一方の)16ビットを、遠隔制御されるデバイス(又はデバイスのグループ)をアドレス特定するために使用し(すなわち、識別部を構成する)、さらに、(2つのURAのうちの他方の)16ビットを、命令部(すなわち、デバイスがどの動作を実行すべきかを示す)として使用すること、
−(2つのURA、すなわち、1つのURA及び別の8ビットのURAにおける)24ビットを、遠隔制御されるデバイス(又はデバイスのグループ)をアドレス特定するために使用し(すなわち、これらのビットが識別部を構成する)、さらに、8ビットを、命令部(すなわち、どの動作を実行すべきかを示す)として使用すること
が挙げられる。
【0016】
ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワーク内における本発明の態様は、他の種類の制御チャンネル及び他の種類の制御情報を使用すること、例えば、制御チャンネルとしてシステム情報ブロック(SIB)タイプ9を使用すること及び制御情報としてHNBネーム(ホーム・ノードBネーム)を使用することに依存している。
【0017】
本発明の別の目的は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内の固定型トランシーバ・ステーションによって遠隔制御されるデバイスを提供することにある。このデバイスは、固定型トランシーバ・ステーションの制御チャンネル上の制御情報を受信可能とする受信手段を備え、制御情報を無線セルに関する特定の情報とし、かつ制御チャンネルを、位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部とし、制御情報に、デバイスを特定する機能を有する識別部を含めている。このデバイスは、制御情報をデコード可能とする制御手段をさらに備えている。さらに、このデバイスは、ネットワークに登録されず、好ましくは、ネットワークと無線リソース制御接続もしていない。
【0018】
好ましくは、UMTS登録領域(URA)の識別子を、デバイスを遠隔制御するために用いることができる。
【0019】
本発明によるそのようなデバイスは、好ましくは、完全な無線リソース制御(RRC)用スタックを必ずしも必要としない単純なデバイスになっている。そのような単純なデバイスは、例えば、建物等の内部におけるセルの特定領域内の無線カバレッジを向上させるために、移動体通信ネットワークの無線セル内で使用される中継器として用いることができる。
【0020】
本発明の別の目的は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)のいずれかの種類におけるセル方式移動体通信ネットワークの無線セル内でデバイスを遠隔制御するために固定型トランシーバ・ステーションを使用する方法を提供することにある。ここで、当該デバイスはネットワークに登録されておらず、また好ましくは、ネットワークと無線リソース制御接続もしておらず、この固定型トランシーバ・ステーションは、制御チャンネル上に制御情報を送るようになっており、この制御情報は無線セルに関する特定の情報となっており、制御チャンネルは位置情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部になっており、制御情報がデバイスを特定する機能を有する識別部を含んでいる。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、本発明による方法を実行するために、固定型トランシーバ・ステーションを制御するコンピュータ読取り可能なプログラム・コードを含むプログラムを提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、上述したように、固定型トランシーバ・ステーションを制御するプログラムを含むコンピュータ・プログラム製品を提供することにある。
【0023】
本発明のこれら及び他の特徴、機能及び利点は、本発明の原理を一例として例示する添付した図面と合わせて考慮すれば、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に例として与えられる。以下で引用する参照図は、添付の図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるデバイスを制御する固定型トランシーバ・ステーションの実施形態を概略的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、特定の実施形態に関連してまた特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されることはないが、特許請求の範囲のみに限定される。描写された図面は略図に過ぎず、限定するものではない。図面では、幾つかの部品の寸法は誇張されており、説明する目的のスケールで描写されていない場合がある。
【0026】
単数名詞を指すときに不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」、「the」が使用される場合、何か他のものが具体的に記載されていない場合は、これにはその名詞の複数形が含まれるものとする。
【0027】
さらに、明細書や特許請求の範囲の中の第1、第2、第3等の用語は、類似の要素間における区別をするために用いられ、必ずしも順番又は時間的な順序を示すために用いられていない。このように使用される用語は、適切な環境下にて入替可能であり、かつ本願の発明の実施形態は、本願に記載されたものとは別の順序で動作可能であるということを理解されたい。
【0028】
図1には、本発明によるデバイス20を制御するための固定型トランシーバ・ステーション10の実施形態が、概略的に示されている。
【0029】
この固定型トランシーバ・ステーション10は、移動体通信ネットワーク30に接続される又は移動体通信ネットワーク30の一部になっている。本発明による通信ネットワーク30は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワーク又はUMTSの地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)になっている。
【0030】
固定型トランシーバ・ステーション10は、制御チャンネル上に制御情報11を送るようになっている。この制御情報11は、固定型トランシーバ・ステーション10の無線セルに関する特定の情報になっている。制御チャンネルは、位置情報、特に、UMTS登録領域(URA)の識別子情報をブロードキャストするために使用されるチャンネル又はチャンネルの一部になっている。好ましくは、制御チャンネルはシステム情報ブロック(SIB)チャンネルであり、システム情報ブロック(SIB)タイプ2チャンネルであることがより好ましい。
【0031】
制御情報11は、好ましくは、UMTS登録領域(URA)の識別子又は複数のUMTS登録領域(URA)の識別子になっている。3GPPによれば、UMTS登録領域(URA)の識別子の範囲は、1〜65536(216)であり、UMTS登録領域(URA)の識別子リストには、最大8UMTS登録領域(URA)の識別子を含めることができる。本発明においては、これを、デバイス20を遠隔制御するために使用する。デバイス20は、完全な無線リソース制御(RRC)用スタックを有しないデバイスであることが好ましい。通信ネットワーク内部でセル識別に使用されるUMTS登録領域(URA)の識別子の可能な値の範囲は、一定数のUMTS登録領域(URA)の識別子がデバイス20を遠隔制御するために使用可能となるように減少している。このことは、確保されているUMTS登録領域(URA)の識別子のセットが、デバイス20を遠隔制御するために使用されるように作られるということを意味する。デバイス20が、UMTS登録領域(URA)の識別子の確保されているセットのUMTS登録領域(URA)の識別子を受け取る場合、そのようなUMTS登録領域(URA)の識別子は、セルに関する特定の識別情報として解釈されるのではなく、コード化された遠隔制御命令又はその一部として解釈される。
【0032】
デバイス20は、固定型トランシーバ・ステーション10から制御情報11を受信可能とする受信手段21を備えている。さらに、デバイス20は、制御情報11をデコード可能とする制御手段22を備えている。このことは、制御手段22に基づいて、制御情報が固定型トランシーバ・ステーション10から受信した命令として解釈可能であるということを意味している。
【0033】
制御情報11を受信することに基づいて、デバイス20が実行する可能な動作には、
−デバイス20をイネーブルすること、
−デバイス20をディセーブルにすること、
−デバイス20にて、その周波数を変えること、
−デバイス20が、フィードバック、すなわち肯定応答信号を、例えば、ユーザに与えること
が含まれる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、同じ遠隔制御命令を示す制御情報11が、一定の方法で(例えば、システム情報ブロック(SIB)タイプ2がブロードキャストされるたびに)繰り返し送られることとなる。もちろん、遠隔制御命令が変化する場合には、制御情報11が変化する必要がある。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、遠隔制御命令に対応する制御情報11には、例えば、特定の順序に基づいて様々な時間にシステム情報ブロック(SIB)タイプ2をブロードキャストすることが含まれる。
【0036】
本発明によれば、制御情報11が識別部と命令部とを含むことが可能である。識別部は、固定型トランシーバ・ステーション10の無線カバレッジ領域内で、一定数のそのようなデバイスの中からデバイス20を個別に特定するように機能することとなる。例えば、制御情報の識別部に、アドレス特定されるデバイス20の(固有の)連続番号を含めることができる。
図1