(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690869
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】洗濯機上物干し装置
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20150305BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20150305BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
D06F57/00 A
D06F57/12 C
A47B81/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-113217(P2013-113217)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-4348(P2014-4348A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2013年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-122361(P2012-122361)
(32)【優先日】2012年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩二
【審査官】
平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】
実用新案登録第2529643(JP,Y2)
【文献】
特開2001−178996(JP,A)
【文献】
特開平07−059623(JP,A)
【文献】
特開2002−315641(JP,A)
【文献】
特開平09−149826(JP,A)
【文献】
米国特許第05032957(US,A)
【文献】
米国特許第05971170(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A47B 81/00
D06F 57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機上方の空間に設置される洗濯機上物干し装置であって、
少なくとも前側及び下側が開放され、洗濯機上方の空間の側壁に取付固定されるボックス部と、
上記ボックス部内上部に、該ボックス部内に収容されて洗濯機の上方空間に位置する格納位置と、ボックス部内から前側に引き出されて洗濯機前側の上方空間に位置する引出し位置との間を前後方向にスライド移動可能に支持された引出しとを備え、
上記引出しは、その内部に吊下げ係止部を有し、
引出しの前面には、下端が引出しよりも下側に位置する扉部が設けられ、該扉部の下端に、引出しをスライド操作するための把手部が設けられており、
上記引出しが格納位置にあるときに、その吊下げ係止部にボックス部の下側の開放部を通して洗濯物を吊り下げ可能であることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項2】
請求項1において、
ボックス部の左右側板の一方には、その前側下部を切り欠いてなる切欠き開放部が設けられていることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項3】
請求項2において、
ボックス部の左右側板の他方の内面には、引出しよりも下側に位置する収納部が設けられていることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項4】
請求項1において、
引出しは、内部に吊下げ係止部が設けられた基部と、該基部の左右方向の一側部から垂下した垂下部とからなっていて、前側から見て略L字状に形成され、
扉部は、引出しの基部に対応して左右方向に延びる横部と、該横部の左右一側に連続し、垂下部に対応して上下方向に延びる縦部とからなる略L字状とされ、
上記縦部の下端に把手部が設けられていることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項5】
請求項4において、
引出しの垂下部の内部に収納部が設けられていることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項6】
請求項3又は5において、
収納部は、ボックス部内に開放されている棚であることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
引出しは、上下方向に開放された枠状のものであり、
ボックス部には、上記引出しを通して下方空間を照明する照明装置と、
人が近付いたことを検知して上記照明装置を点灯させるための人感検知装置とが設けられていることを特徴とする洗濯機上物干し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機上方の空間に洗濯物等を干すための物干し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物干し装置として、特許文献1や特許文献2に示されるものが知られている。特許文献1に示されるものでは、洗濯機上の空間の壁部に取り付けられる前面開口型の戸棚本体と、その開口を開閉する折り戸とを備え、折り戸は戸棚本体の上端部に水平な軸線を介して回動可能に支持された上部扉と、この上部扉の下端部に水平な軸線を介して回動可能に支持された下部扉とを備えたものとし、下部扉の前面にハンガー支持具を設け、上部扉及び下部扉を開閉制御装置によって回動させることによって開いて戸棚本体から突出させ、そのハンガー支持具にハンガーを吊り下げて、洗濯機前側上方に洗濯物を干すことができるようにしている。
【0003】
また、特許文献2のものでは、左右の側枠間に棚部を架設し、左右の側枠の上部又は下部フレーム間に、前端に左右方向の横バーを有するコ字状のスライド部材を前後方向にスライド可能に支持し、引き出したスライドバーの横バーに洗濯物のハンガーをかけるようにしている。
【0004】
これら引用文献1,2のものでは、いずれも洗濯物を干すための物干し部分(引用文献1では下部扉のハンガー支持具、引用文献2ではスライド部材の横バー)を前方向に移動させて突出させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−178996号公報
【特許文献2】特許第4807124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、引用文献2のもののように、物干し部分を引出し可能とする場合において、洗濯物を高い位置に吊り下げると、丈の長い洗濯物でも、下部が洗濯機等と接触することなく干すことができ、空気の流れをスムーズにして乾燥を早めることができるが、その引出しが高いところに位置することとなり、背の低い人にとって手が届き難く、引出しの操作が面倒になる。さりとて、物干し部分の位置を低くすると、それに伴って洗濯物を干す位置も低くなり、洗濯物を高い位置に干せなくなるばかりでなく、引出しが引出し時に人の頭部と干渉する等の問題が生じる。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、洗濯機上方に設置される洗濯機上物干し装置の構造を工夫することで、洗濯物を干す部分を引出し可能とするとともに、物干し位置や人の頭部との干渉という問題を回避しつつ、その出し入れ操作を容易にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、前後方向にスライドする引出しを設け、その引出しの内部に物干し部分を設け、引出しの前面に引出しよりも低い下端を有する扉部を設けて、その扉部下端を引出しのスライド操作のための操作部とするようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明は、洗濯機上方の空間に設置される洗濯機上物干し装置として、少なくとも前側及び下側が開放され、洗濯機上方の空間の側壁に取付固定されるボックス部と、このボックス部内上部に、該ボックス部内に収容されて洗濯機の上方空間に位置する格納位置、及びボックス部内から前側に引き出されて洗濯機前側の上方空間に位置する引出し位置の間を前後方向にスライド移動可能に支持された引出しとを備えている。この引出しは、その内部に吊下げ係止部を有し、引出しの前面には、下端が引出しよりも下側に位置する扉部が設けられ、該扉部の下端に、引出しをスライド操作するための把手部が設けられて
おり、上記引出しが格納位置にあるときに、その吊下げ係止部にボックス部の下側の開放部を通して洗濯物を吊り下げ可能であることを特徴とする。
【0010】
この請求項1の発明では、洗濯機上方の空間の側壁に取付固定されるボックス部内の上部に引出しが前後方向にスライド移動可能に支持され、この引出しの内部に吊下げ係止部が設けられているので、洗濯物を干すときには、引出しを格納位置から引出し位置に引き出して、その内部の吊下げ係止部に洗濯物を吊せばよく、引出し上部の高い位置にある基部に洗濯物を干すことができるとともに、その洗濯物を吊す際には身体近くで吊すことができ、そのままの状
態で洗濯物を干すことができる。
また、引出しは格納位置にあるときに、その吊下げ係止部にボックス部の下側の開放部を通して洗濯物を吊り下げ可能であるので、引出しを格納位置に戻した状態でも洗濯物を干すことができる。
【0011】
そして、引出しの前面には、下端がその引出しよりも下側に位置する扉部が設けられ、その扉部の下端に、引出しをスライド操作するための把手部が設けられているので、上記引出しを格納位置から引出し位置に引き出したり、逆に引出し位置から格納位置に押し込んだりする際には、その扉部下端の把手部に手を当てて操作すればよく、背が低い人でも引出しに容易に手が届くようになり、引出しのスライド移動を容易に行うことができる。すなわち、扉部は、引出しの取っ手を兼ねていることとなる。
【0012】
また、引出し前面の扉部の下端を引出しよりも下側に配置することで、その引出しがスライド移動する際に人の頭と干渉することはない。
【0013】
しかも、引出しの前面が扉部に覆われるので、外観見映えをよくすることができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記ボックス部の左右側板の一方には、その前側下部を切り欠いてなる切欠き開放部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明では、ボックス部の左右側板の一方に、その前側下部を切り欠いて切欠き開放部が設けられているので、仮に引出しが格納位置にあっても、ボックスの左右一方から切欠き開放部を通して引出し内部の吊下げ係止部に対する洗濯物の吊り下げ等を行うことができ、洗濯作業が容易になる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、ボックス部の左右側板の他方の内面には、引出しよりも下側に位置する収納部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明では、ボックス部の左右側板の内面において引出しよりも下側に位置する収納部が設けられているので、この収納部に洗濯用備品等を収納し又はそれを収納部から取り出す際に、身体近くで洗濯用備品の出し入れをすることができ、洗濯作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、引出しは、内部に吊下げ係止部が設けられた基部と、該基部の左右方向の一側部から垂下した垂下部とからなっていて、前側から見て略L字状に形成されている。また、扉部は、引出しの基部に対応して左右方向に延びる横部と、該横部の左右一側に連続し、垂下部に対応して上下方向に延びる縦部とからなる略L字状とされ、上記縦部の下端に把手部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明では、引出しは、前側から見て略L字状に形成されたものであり、その引出しの前面に引出しと同じ略L字状の扉部が設けられ、その縦部の下端に把手部が設けられているので、上記引出しを格納位置から引出し位置に引き出したり、逆に引出し位置から格納位置に押し込んだりする際には、その扉部において、引出しの垂下部の前側に位置する縦部下端の把手部に手を当てて操作すればよく、背が低い人でもさらに引出しに容易に手が届くようになり、引出しのスライド移動をより一層容易に行うことができる。すなわち、引出しの垂下部及び扉部の縦部は、引出しの取っ手を兼ねていることとなる。
【0020】
また、左右一側のみに垂下部を有するL字状の引出しとすることで、左右全体に亘って垂下部が形成される場合に比べ、その引出しがスライド移動する際に、垂下部が人の頭と干渉することはない。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、上記引出しの垂下部の内部に収納部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この請求項5の発明では、引出しの基部から垂下した垂下部に収納部が設けられているので、この収納部に洗濯用備品等を収納し又はそれを収納部から取り出すときには、上記洗濯物を干すときと同様に、引出しを格納位置から引出し位置に引き出して、その状態で収納部に対し洗濯用備品等を出し入れすればよく、身体近くで洗濯用備品の出し入れをすることができ、洗濯作業をスムーズに行うことができる。この場合、引出しの垂下部(引出しの取っ手)が収納部を兼ねていることとなる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項3又は5の発明において、上記収納部は、ボックス部内に開放されている棚であることを特徴とする。
【0024】
この請求項6の発明では、洗濯用備品等を収納部としての棚に容易に出し入れすることができる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1〜6の発明のいずれか1つにおいて、上記引出しは、上下方向に開放された枠状のものであり、ボックス部には、上記引出しを通して下方空間を照明する照明装置と、人が近付いたことを検知して上記照明装置を点灯させるための人感検知装置とが設けられていることを特徴とする。
【0026】
この請求項7の発明では、人感検知装置が人の近付いたことを検知し、この検知信号を受けて照明装置が点灯し、この点灯により引出しを通して下方空間が照明される。このことで、暗くなりがちな洗濯機周りを自動的に明るくすることができ、洗濯作業を快適に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1の発明によると、洗濯機上方の空間に設置される物干し装置として、ボックス部内上部に引出しを前後方向にスライド移動可能に支持し、その引出しの内部に
吊下げ係止部を設け、引出しの前面に下端が引出しよりも下側に位置する扉部を設け、その扉部の下端に、引出しをスライド操作するための把手部を設け
るとともに、引出しが格納位置にあるときに、吊下げ係止部にボックス部の下側の開放部を通して洗濯物を吊り下げ可能としたことにより、引出しを引き出して身体近くで洗濯物の吊り下げを行って洗濯作業をスムーズに行うことができ
、或いは引出しを格納位置に戻した状態でもボックス部下側の開放部から洗濯物を干すことができる。また、引出しのスライド操作の際には、その前面の扉部下端の把手部に手を当てて操作すればよく、背が低い人でも引出しに容易に手が届くようになり、引出しのスライド移動を容易に行うことができ、その引出しのスライド移動時に人の頭との干渉を防止することができるとともに、扉部により外観見映えをよくすることができる。
【0028】
請求項2の発明によると、ボックス部の左右側板の一方に、その前側下部を切り欠いた切欠き開放部を設けたことにより、引出しが格納位置にある引出し内部の吊下げ係止部に対する洗濯物の吊り下げ等をボックス部の左右一方から切欠き開放部を通して行って、洗濯作業を容易にすることができる。
【0029】
請求項3の発明によると、ボックス部の左右側板の他方の内面に、引出しよりも下側に位置する収納部を設けたことにより、この収納部に対し洗濯用備品等を出し入れするときに、身体近くで洗濯用備品の出し入れして洗濯作業をスムーズに行うことができる。
【0030】
請求項4の発明によると、引出しを、内部に吊下げ係止部が設けられた基部と、この基部の左右一側から垂下した垂下部とからなる略L字状のものとし、その引出し前面に、その基部及び垂下部に対応した略L字状の扉部を設け、その縦部下端に把手部を設けたことにより、その把手部を持って引出しをスライド操作できるので、その操作がさらに容易となる。
【0031】
請求項5の発明によると、引出しの垂下部の内部に収納部を設けたことにより、この収納部に対し洗濯用備品等を出し入れするときには、引出しを格納位置から引出し位置に引き出して、その状態で収納部に対し洗濯用備品等を出し入れすればよく、身体近くで洗濯用備品の出し入れして洗濯作業をスムーズに行うことができる。
【0032】
請求項6の発明によると、収納部は、ボックス部内側に開放されている棚としたことにより、洗濯用備品等を収納部に容易に出し入れすることができる。
【0033】
請求項7の発明によると、引出しを枠状のものとし、ボックス部に、照明装置と、人の近付きを検知して照明装置を点灯させる人感検知装置とを設けたことにより、暗くなりがちな洗濯機周りを自動的に明るくすることができ、洗濯作業を快適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る洗濯機上物干し装置が設置された状態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る洗濯機上物干し装置を引出しが引出し位置にある状態で斜め下側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、洗濯機上物干し装置の縦断面図である。
【
図4】
図4は、洗濯機上物干し装置の横断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る洗濯機上物干し装置を示す
図2相当図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る洗濯機上物干し装置を示す
図3相当図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る洗濯機上物干し装置における引出し前面の扉部を示す
図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0036】
(実施形態1)
図1において、1は住居の洗面室等に設置された洗濯機で、この洗濯機1は洗面室等の床面に形成したパン2上に設置されている。3は洗濯機1や後述のダウンライト24等のための電源用コンセント、Mは洗濯をする人で、図では洗濯物Lを吊そうとする状態を示している。
【0037】
上記洗濯機1上方の空間には、本発明の実施形態1に係る洗濯機上物干し装置5が設置されている。尚、この実施形態では、「左」及び「右」とは前側から見たときの位置を指すものとする。
図2〜
図4に示すように、上記物干し装置5は、ボックス部6と、その内部に支持される引出し10とを備えている。上記ボックス部6は、左右の側板6a,6b、天板6c及び後板6dからなっていて前側及び下側が開放された矩形箱状のものであり、これら左右の側板6a,6b、天板6c又は後板6dの少なくとも一部で洗濯機1上方の空間周りの側壁Wに取付固定されている。この実施形態では後板6dで後側の側壁Wに取付固定されている例を示している。
【0038】
一方、上記引出し10は上記ボックス部6内に、引出し10が該ボックス部6内に収容されて洗濯機1の上方空間に位置する格納位置と、引出し10がボックス部6内から前側に引き出されて洗濯機1前側の上方空間に位置する引出し位置(
図2に示す位置)との間を前後方向にスライド移動可能に支持されている。
【0039】
引出し10は、前側から見たときに略L字形状のもので、
図2〜
図6に示すように、前側から見て右側から左側に向かった後に下側に向かうようにL字状に折れ曲がった互いに同じ形状の前板10a及び後板10bと、これら前板10a及び後板10bの上下高さが大きい左端部同士を接続する前後方向に延びる垂直な左側板10cと、前板10a及び後板10bの上下高さが小さい右端部同士を接続する前後方向に延びる垂直な右側板10dと、前板10a及び後板10bの左側下部にあって左右幅が小さい下端部同士を接続する前後方向に延びる水平な底板10eとを有する。
【0040】
引出し10における上記右側板10dの右側面(外面)とボックス部6における右側板6bの左側面(内面)との間、及び引出し10の左側板10c上部の左側面(外面)とボックス部6における左側板6aの右側面(内面)との間にはそれぞれ同じ高さ位置に左右のスライドレール機構15,15が取り付けられている。また、左側板10cの上部と右側板10dとの間には、左右水平方向に延びる吊下げ係止部としてのハンガーパイプ16が掛け渡されて、このハンガーパイプ16の両端部は、左側板10c及び右側板10dに形成した上下2つの取付孔10f,10fに挿入係止されるブラケット16a,16aに支持されている。また、前板10aの下部と後板10bの下部との間には、各々の高さ方向の略中央部に前後方向に延びる水平な棚板17が掛け渡されて固定されている。尚、左側板10c及び右側板10dに複数の取付孔10f,10f,…を高さ方向に並べて形成し、その中でブラケット16aが挿入される取付孔10fを変更することで、吊下げ係止部としてのハンガーパイプ16の高さ位置を調整するようにしてもよい。また、ハンガーパイプ16に代えて又は加えて、前板10a又は後板10bから内側に突出するようにフックを設けることもできる。
【0041】
このことで、引出し10は、前板10a、後板10b及び左側板10cの各上部、並びに右側板10dの全体で構成されて上下方向に開放された枠状の基部11と、前板10a、後板10b及び左側板10cの各下部、並びに底板10eで構成された箱状の垂下部12とからなり、基部11は、ボックス部6内側面の上部にスライドレール機構15,15によって前後方向にスライド移動可能に支持され、その内部にハンガーパイプ16(吊下げ係止部)が設けられている。一方、垂下部12は基部11の左側から垂下し、その内部には、ボックス部6の内側である基部11の右側に開放されかつ底板10e及び棚板17を有する2段の棚からなる収納部13が設けられている。そして、これら基部11及び垂下部12により、引出し10は前側から見て略L字状に形成されている。尚、19は底板10e及び棚板17の右端部の上側近傍に配置されて前板10a及び後板10bの各下部間に掛け渡された転倒防止パイプで、この転倒防止パイプ19により、底板10e及び棚板17に載置された洗濯用備品18等が転倒して落下するのを防ぐようにしている。
【0042】
上記引出し10の前板10a前面には扉部21が一体的に設けられている。この扉部21は、
図7に示すように、上記引出し10の基部11(前板の上部)に対応して左右方向に延びる横部21aと、この横部21aの左側に連続し、垂下部12(前板の下部)に対応して上下方向に延びる縦部21bとからなる略L字状のものである。この扉部21は、
図6に示すように、引出し10の前面(前板10a)よりも若干大きく形成され、その横部21aの右端部及び上端部、横部21a上側ないし縦部21bの左端部、縦部21bの下端部は引出し10の前面から外側に向かって突出しており、引出し10が格納位置にあるときに突出部分がボックス部6の前端面に当接してそれを覆うようになっている。そして、縦部21bの下端は、引出し10の前面下端部によりさらに下側に突出し、その下端部には、引出し10をスライド操作するための把手部22が設けられている。
【0043】
上記ボックス部6の天板6cには、その中央部にダウンライト取付孔7が、またその右側に人感センサ取付孔8がそれぞれ貫通形成されている。
図3に仮想線にて示すように、ダウンライト取付孔7には、引出し10の基部11を通して下方空間を照明する照明装置としてのLED等からなるダウンライト24が取付固定され、人感センサ取付孔8には、人が近付いたことを検知して上記ダウンライト24を点灯させるための人感センサ25(人感検知装置)が取付固定されている。
【0044】
したがって、この実施形態においては、洗濯機1上方の空間の側壁Wに洗濯機上物干し装置5のボックス部6が取付固定され、そのボックス部6内に引出し10が前後方向にスライド移動可能に支持され、この引出し10の枠状の基部11にハンガーパイプ16(吊下げ係止部)が設けられているので、
図2に示すように、洗濯物Lを干すときには、引出し10を格納位置から引出し位置に引き出して、そのハンガーパイプ16に洗濯物Lを掛けたハンガーHを吊せばよい。このことで、引出し10において高さの高い基部11に洗濯物Lを干すことができ、例えば丈の長い洗濯物Lであっても下部が洗濯機1や周りのもの等と干渉することなく干すことができる。そして、このような高い位置に洗濯物Lを干すようにしていても、それを吊す際には、洗濯をする人Mは、洗濯機1の真上でなく、その前側の空間である身体近くで洗濯物Lを吊すことができるようになり、洗濯物Lを吊して干す行為を容易に行うことができる。その後、そのままの状態、或いは引出し10を格納位置に戻した状態で洗濯物Lを干すことができる。
図1はその動作を示しており、
図3にはハンガーパイプ16に吊された洗濯物Lを示している。
【0045】
また、上記引出し10の垂下部12に収納部13が設けられているので、この収納部13に洗剤や漂白剤、柔軟剤、洗濯ネット、洗濯ばさみを含む洗濯用備品18等を収納することができる。この洗濯用備品18等を収納部13に収納し又はそれを収納部13から取り出すときには、上記洗濯物Lを干すときと同様に、引出し10を格納位置から引出し位置に引き出し、その状態で収納部13に対し洗濯用備品18等を出し入れし、その後に引出し10を格納位置に戻せばよい。このことで、洗濯作業をする人Mの身体近くで洗濯用備品18等の出し入れをすることができるようになり、洗濯作業をスムーズに行うことができる。
【0046】
その際、収納部13は、基部11の左側に開放されている棚であるので、洗濯用備品18等を収納部13に容易に出し入れすることができる。
【0047】
上記引出し10は、前側から見て略L字状に形成されたものであり、その前面に、引出し10と同じ略L字状の扉部21が設けられ、その縦部21bの突出した下端に把手部22が設けられているので、上記のように洗濯物Lを干したり洗濯用備品18等を収納部13に出し入れしたりするために、引出し10を格納位置から引出し位置に引き出し、逆に引出し位置から格納位置に押し込む際、引出し10の垂下部12の下端部に相当する、扉部21の把手部22を持って引出し10をスライド操作すればよい。このことで、背が低い人Mでも引出し10に容易に手が届くようになり、引出し10のスライド移動を容易に行うことができる。このように引出し10の垂下部12は、収納部13が設けられているだけでなく、その引出し10をスライド操作するための取っ手を兼ねていることとなる。
【0048】
また、引出し10が前から見てL字状のものであり、左側のみに垂下部12が形成されているので、左右全体に亘って垂下部を形成する場合に比べ、その引出し10のスライド移動に伴い、垂下部12が人Mの頭と干渉することはない。
【0049】
また、引出し10の前面が扉部21に覆われるので、外観見映えをよくすることもできる。
【0050】
さらに、上記ボックス部6の天板6cには、上記引出し10の上下方向に開放された枠状の基部11を通して下方空間を照明するダウンライト24と、人が近付いたことを検知してダウンライト24を点灯させるための人感センサ25とが取り付けられているので、洗濯作業をする人Mが洗濯機1に近付くと、そのことを人感センサ25が検知し、この人感センサ25の検知信号をによりダウンライト24が点灯する。この点灯により引出し10の基部11を通して下方空間が照明され、これは引出し10が格納位置及び引出し位置のいずれにあっても同様に行われる。このことで、暗くなりがちな洗濯機1周りを自動的に明るくすることができ、洗濯作業を快適に行うことができる。
【0051】
尚、上記実施形態では、引出し10の垂下部12及び扉部21の縦部21bを左側にしているが、右側に設けてもよいのは言うまでもない。
【0052】
(実施形態2)
図8〜
図11は本発明の実施形態2を示し(尚、
図1〜
図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、引出し10の構造や収納部13の位置等を変更したものである。
【0053】
すなわち、この実施形態では、ボックス部6は天板6cがなく、前側及び下側に加えて上側にも開放されている。このような開放構造を補強するために、左右側板6a,6b前端の上端部間に左右水平方向に延びる前部補強桟6eが掛け渡され、この前部補強桟6eの左右中央部と後板6dの左右中央部との間にも前後水平方向に延びる中央補強桟6fが掛け渡されている。
【0054】
また、ボックス部6の右側板6bには、その前側下部を切り欠いてなる切欠き開放部9が設けられている。この切欠き開放部9は、ボックス部6の右側板6bの前側下部を上下方向にあっては上下略半部まで、また前後方向にあっては後端寄り位置までそれぞれ矩形状に切り欠くことで形成されている。
【0055】
また、ボックス部6の左側板6aの内面には、引出し10よりも下側に位置する収納部13が設けられている。この収納部13は、左側板6a内面下半部の前端部に取付固定された前側壁板13aと、左側板6a内面の下部に取付固定され、前部が前側壁板13aの下端部に、また後端部がボックス部6の後板6dの下端部にそれぞれ固定された水平な底板13bとを有する。前側壁板13aと、この前側壁板13aに対向するボックス部6の後板6dとの上下中間部間には例えば1枚の棚板17が掛け渡され、その棚板17は前側壁板13a及びボックス部6の後板6dにダボ(図示せず)により支持されている。このことで、収納部13は、前側壁板13aとボックス部6の後板6dとを側壁として両者間に底板13b及び棚板17を有しかつボックス部6内(右側)に開放された2段の棚からなり、その底板13b及び棚板17の上に洗濯用備品18等を載置して収納するようにしている。
【0056】
尚、図示しないが、収納部13における前側壁板13aとボックス部6の後板6dとの対向面には高さ方向の異なる複数のダボ穴が形成されており、このダボ穴に挿入されるダボの高さ位置を変えて棚板17の高さを変更したり、ダボを抜いて棚板17を取り外したり、ダボを追加して棚板17を増やしたりできるようになっている。
【0057】
引出し10は、上記実施形態1とは異なり、矩形板状の前板10a及び後板10bと、これら前板10a及び後板10bの左端部同士を接続する前後方向に延びる矩形板状の左側板10cと、前板10a及び後板10bの右端部同士を接続する前後方向に延びる矩形板状の右側板10dとを有する。すなわち、引出し10は、上記実施形態1の基部11と同様の構成で、上下方向に開放された矩形枠状のものとなっており、ボックス部6内側面の上部にスライドレール機構15,15によって前後方向にスライド移動可能に支持され、その内部にハンガーパイプ16(吊下げ係止部)が設けられている。
【0058】
また、引出し10の前板10a前面には扉部21が一体的に設けられている。この扉部21は、
図11に示すように、上記引出し10の前面(前板10a)よりも若干大きく形成され、その周囲端部が引出し10の前面から外側に向かって突出し、特に上端部及び下端部は引出し10の前面からそれぞれ上側及び下側に向かって他の周囲端部(左右端部)よりも大きく突出しており、引出し10が格納位置にあるときに突出部分がボックス部6の前部補強桟6eを含む前端面に部分的に当接してそれを覆うようになっている。そして、引出し10の前面下端部により下側に突出している、扉部21の下端には、引出し10をスライド操作するための把手部22が設けられている。
【0059】
その他の構成は実施形態1と同じである。
【0060】
したがって、この実施形態においても実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。特に、この実施形態では、ボックス部6の右側板6bに、その前側下部を切り欠いてなる切欠き開放部9が設けられているので、引出し10が格納位置にあっても、ボックス部6の右側から切欠き開放部9を通して引出し10内部のハンガーパイプ16(吊下げ係止部)に対する洗濯物Lの吊り下げ等を行うことができるようになり、洗濯作業を容易に行うことができる。
【0061】
また、ボックス部6において、その左側板6aの内面に収納部13が引出し10よりも下側に位置するように設けられているので、この収納部13に洗濯用備品18等を収納し又はそれを収納部13から取り出す際に、身体近くで洗濯用備品18の出し入れをすることができ、洗濯作業をスムーズに行うことができる。
【0062】
尚、上記実施形態2では、ボックス部6の右側板6bに切欠き開放部9を形成し、左側板6aに収納部13を設けているが、逆に、ボックス部6の左側板6aに切欠き開放部9を、また右側板6bに収納部13をそれぞれ設けることもできる。
【0063】
(その他の実施形態)
尚、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形の実施形態を包含している。例えば実施形態1において、ボックス部6の右側板6b(又は左側板6a)に実施形態2と同様の切欠き開放部9を形成してもよい。
【0064】
また、収納部13は棚以外の構造を採用することができ、扉の付いた箱形状でもよい。また、本発明では、収納部13は必須ではなく、なくてもよい。
【0065】
さらに、引出し10又はその基部11は、ダウンライト24を設けない場合等には、枠状にしなくてもよく、板状のものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、洗濯物を干す部分が引出し可能で、人との干渉を招くことなく、その出し入れ操作を容易にすることができるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0067】
M 人
W 側壁
L 洗濯物
1 洗濯機
5 洗濯機上物干し装置
6 ボックス部
6a 左側板
6b 右側板
6c 天板
6d 後板
9 切欠き開放部
10 引出し
11 基部
12 垂下部
13 収納部
15 スライドレール機構
16 ハンガーパイプ(吊下げ係止部)
17 棚板
18 洗濯用備品
21 扉部
21a 横部
21b 縦部
22 把手部
24 ダウンライト(照明装置)
25 人感センサ(人感検知装置)