【実施例】
【0147】
以下の実施例は、本明細書の請求項に係る物品、デバイス、および/または方法の製造および評価方法の完全な開示および説明を当業者に提供するものであり、本発明を単に例示的に示すことを意図しており、発明者が考える発明の範囲を制限することを意図するものではない。数(たとえば、数量、温度など)には正確を期すように注意を払ったが、多少の誤差および偏差はあると思われる。
【0148】
実施例1
図23は、本発明の一実施態様による例示的なシステムを示すブロック図である。例示的なシステム2300は、たとえば最大256の素子を有する線形アレイと結合される。マイクロ同軸ケーブル2304の束は、アレイ2302と処理ユニット2306との間の信号の送信を提供する。例示的なシステムは、処理ユニットをさらに備える。
【0149】
処理ユニット2306は、2つの主なサブシステムに仕切られる。第1のサブシステムは、フロントエンド2308であり、ビーム成形器、フロントエンド電子回路、ビーム成形器コントローラ、および信号処理モジュールを備える。第2のサブシステムは、コンピュータユニット2310、またはバックエンドである。フロントエンドサブシステム2308は、送信信号の生成、受信信号の取得、および信号処理に関連する。バックエンド2310は、既製のPCマザーボードで良く、これは、システム制御、信号および画像処理、画像表示、データ管理、並びにユーザインターフェースに関連する。データは、たとえば、当業者が当該技術分野で周知するとおり、PCI Expressバスによって、フロントおよびバックエンドサブシステム間で転送される。
【0150】
受信信号を処理するモジュールは、本明細書で以前に記載したとおり、受信ビーム成形器である。送信信号を生成するサブシステムは、やはり本明細書で以前に記載したとおり、送信ビーム成形器である。送信および受信ビーム成形器の各々のチャネルは、アレイ2302内の別個の素子に接続される。各々の素子における個々の送信または受信信号の遅延および振幅を変えることによって、ビーム成形器は、深さの関数としての焦点深度、アパーチャサイズ、およびアパーチャウィンドウを調節することができる。
図23の例示的なシステムは、当業者が当該技術分野で周知している1つまたは複数の様々な超音波動作モードをサポートする。これらのモードを以下の表2に記載する。
【0151】
【表2】
システム仕様
図23に示すシステムの例示的な仕様は、たとえば以下の表3に記載する仕様を含む。
【0152】
【表3】
システムカート
システム、またはその一部は、たとえばカートなどの移動可能な構成内に収容され、ビーム成形器の電子回路2316、コンピュータユニット2310、および電源ユニット2312を含む。ユーザインターフェースは、カスタムコントロールを含む一体型キーボード2318、トラックボール、モニター、スピーカ、およびDVDドライブを備える。カートのフロントパネル2320は、アレイベースの振動子2302、並びにECG、血圧、および温度など、マウスの生理学的情報を接続するコネクタ2322を有する。カートの後部周辺パネル2314は、リモートモニター、フットスイッチ、およびネットワーク2324などの様々な周辺デバイスの接続を可能にする。カートは、様々な電子回路の熱を制御するための冷却ファン2326、エアガイド、および換気口のシステムを有する。
【0153】
一実施態様では、コンピュータユニット2310は、たとえばMicrosoft Windows(登録商標) XPなどのオペレーティングシステムを実行する既製のIntelアーキテクチャプロセッサで良い。コンピュータユニット2310は、たとえば、Intel 3GHz CPU(Xeonデュアルプロセッサ、またはハイパースレッディングによるP4)、2 GB DDRメモリ、ケーブルコネクタを含むPCI Express×4、100Mbps Ethernet(登録商標)、USB 2.0、1024×768×32bpp@100Hzが可能なグラフィックスコントローラ、音声出力(ステレオ)、2×120GB 7200 RPMハードディスクドライブ(O/S+ソフトウェアに1つ、ユーザデータに1つ)、および力率補正を含む300W ATX電源から構成される。
【0154】
一実施態様では、電源ユニット2312は、以下から構成される:汎用ACライン入力(100、120、220〜240VAC、50または60Hz)、ただし、AC入力は、システムAC入力端子ブロックに接続し、IEC端子ブロックを使用するAC配電を有する取外し可能なケーブルによって提供される。一実施態様では、突入電流は、電源投入から最初の100msの間、6A以下に制限される。
図23のシステムカート、および本発明のその他の実施態様は、さらにシステムケーブリング2328から構成される。システムケーブリング2328は、メインACラインコード、ラインフィルタ用索類、回路ブレーカ、電源ユニット、電源ユニット2312内部のAC索類、コンピュータユニット2310の電源コード、モニターの電源コード、DVDドライブの電源コード、ファントレー2326の電源コード、および本発明による実施態様に使用されるその他の電源索類を含む。システムケーブリング2328は、器具電子回路のサブラック電源ケーブル、PCI Expressケーブル、振動子コネクタケーブル、マウス情報システム(MIS)ケーブル、3Dステージケーブル、スタンドバイスイッチケーブルなどを含む器具電子回路のケーブルをさらに含む。システムケーブリング2328は、ビデオ延長ケーブル(VGA、DVI、SVideoなど)、キーボード/マウス延長ケーブル、キーボードスプリッタ、マウススプリッタ、リモートマウスケーブル、リモートビデオケーブル、USB延長ケーブル、プリンタ延長ケーブル、スピーカ延長ケーブルなどのコンピュータケーブルをさらに含む。
【0155】
冷却
濾過された周囲空気は、ファン2326の使用により、たとえば、ビーム成形器電子回路(つまり、ビーム成形器カードケージ2316、およびコンピュータユニット2310)を含むシステムカートの電子回路に供給される。冷却システムは、たとえば、一実施態様では、+10〜+35℃の周囲動作温度範囲をサポートし、排気温度は、周囲温度より上の20℃未満に維持されるが、その他の周囲動作温度範囲は本発明の範囲内で考えられる。
【0156】
電磁波干渉(EMI)シールディング
一実施態様では、例示的なシステムには、外部の電磁エネルギーが、システムの動作を干渉するのを防止し、システムが生成する電磁エネルギーがシステムから放射されるのを防止するため、接触EMIシールドが備えられる。
【0157】
システムシールディングは、振動子ケーブル2304、アレイ2302、および振動子コネクタ2322に延在する。コンピュータ2310および電源ユニット2312は、システム内の個々にシールドされたエンクロージャ内に収容される。すべてのシールドは、シールド間のインピーダンスが低い状態で、ほぼ接地電位に維持される。システムのシャーシ接地と接地との間は、実質的に直接接続される。また、一実施態様では、AC電源は、電源ユニット2312の一部である絶縁変換器によって、システム電源から絶縁される。
【0158】
電子回路の概略
本発明による例示的なシステムの電子回路のの一実施態様の概略を
図24に示す。この図では、例示的なシステムは、電源ユニット2402、器具電子回路差ブラック、およびコンピュータユニットから成る。電源ユニット2402は、ACおよびDC電力をカートに分配する。たとえば、48VのDC電圧は、器具電子回路サブラックに供給されるが、その他の電圧は本発明の範囲内で考えられる。器具電子回路サブラックは、ビーム成形器制御盤2404、4つの同じチャネル基板2406、およびバックプレーン2408を収容する。基板2406は、たとえばブラインド嵌合コネクタを介してバックプレーン2408と嵌合する。器具電子回路は、たとえばPCIエクスプレス接続2410を介してコンピュータユニットと通信する。
【0159】
チャネル基板
例示的なチャネル基板は、
図18a〜18dに示し、これらの図に関連して以前に説明した。チャネル基板2406は、送信ビーム成形に適するタイミングで送信信号を生成し、受信信号を取得、デジタル化、およびビーム成形する。
図24の例示的な実施態様では、4つのチャネル基板2406があり、各々の基板は16の送信チャネルおよび16の受信チャネルを備える 各々のチャネル基板2406は、送信出力ステージ、電源回路構成、送信ビーム成形器用のFPGA、受信ビーム成形器の部分和を提供するためのFPGA、ビーム成形器バス、およびバックプレーンとの接続を含む64のフロントエンド回路も備える。
【0160】
図18aで分かるとおり、4つのフロントエンド回路は、各々の送信および受信チャネルに多重化される。アレイには、各々の素子に1つのフロントエンド回路があり、各々のフロントエンド回路は、
図18a〜18dに関して以前に説明したとおり、送信出力ステージ、送信および受信マルチプレクサスイッチ、ダイオードリミッタ、並びに受信フィルタリング用の構成要素を備える。
【0161】
送信チャネルおよび送信出力ステージは、約15〜約55MHzの範囲の指定の周波数、並びにサイクルカウントおよび振幅で双極パルスを生成する。各々のチャネルによって生成される送信波形は、送信周波数の期間の約1/16に相当する分解能を有するその他のチャネルに対して特定の遅延を有する。アクティブ送信アパーチャ全体の遅延プロファイルは、送信ビーム成形器コントローラにyよって制御される。低ジッターのマスタークロックは、送信バースト信号を生成するために使用される。送信出力ステージは、アポダイズド送信アパーチャを形成するために、チャネルごとにピークピーク電圧を調節する手段を備える。
【0162】
受信チャネルは、可変ゲイン調節を提供し、受信信号をフィルタリングおよびデジタル化し、並びに受信ビームを形成する。ゲインは、前置増幅器としても動作する可変ゲイン増幅器でインプリメントされる。ゲインは、TGC曲線として周知の予め決められたゲインプロファイルにより、超音波ラインの取得中に変化する。アンチエイリアシングフィルタは、エイリアシングを防止し、ノイズの帯域幅を制限するために、ADC(アナログデジタル変換器)の前に配置される。
【0163】
図18aに示すとおり、信号は直交信号として取得されるので、デュアルADC1807、1808は各々のチャネルに使用される。ADCクロックは、互いに90°位相する。サンプリング周波数は、使用するアレイの中心周波数に従って設定される。ADCの10ビット出力は、デュアルポートRAMに送信される。受信ビーム成形器は、直交サンプルを読み取り、受信ビーム成形器コントローラによって制御される動的受信集束スキームに従って補間フィルタリングを行う。補間フィルタリング後、各々の受信チャネルからの出力は加算され、高速データ転送バスを介してCPUに送信される。
【0164】
受信ビーム成形器は、RX制御バスを介してセットアップされる。送信ビーム成形器は、TX制御バスを介してセットアップされる。制御パラメータは、各々の超音波ラインの開始以前に更新される。制御パラメータは、TXアパーチャ、TX遅延プロファイル(粗遅延および微細遅延)、RXアパーチャ、RX遅延プロファイル(初期、粗遅延、および微細遅延)、RX位相、並びにRXアポダイゼーションである。すべての制御パラメータが設定され、システムの用意ができると、開始(SOL)信号が送信され、送信/受信サイクルを開始する。
【0165】
送信出力ステージ
送信チャネルの多重化は、送信出力ステージの前に行われる。送信ビーム成形器は、最大256個の素子を有するアレイで動作することができるので、1つの素子に1つ、256個の送信出力ステージが存在する。
図20および21に示し、これらの図に関して説明するとおり、各々の出力ステージは、中心タップ変換器を駆動する2つのMOSFETから成り、中心タップにおける電源電圧はパルス振幅を制御する。出力波形は、可変サイクル数を有するほぼ方形波である。変換器の二次の一方の端部はアレイ素子に至り、他方の端部は受信保護回路に至る。受信インピーダンス素子は、インピーダンス整合およびフィルタリングを提供する。各々のMOSFETと直列のFETスイッチは、多重化を提供する。変換器および誘導子は、たとえば、プリント回路基板上のトレースとしてインプリメントされる。変換器には、基板の開口部内に挿入されるフェライト磁針がある。
【0166】
送信チャネル
各々の送信チャネルは、
図18で分かるとおり、4つの出力ステージに多重化される。チャネルごとに2つの送信信号があり、プッシュプル出力ステージの各々の位相を駆動する。
図20および21で分かるとおり、送信チャネルのアナログセクションは、適切な増減時期に、出力ステージのMOSFETのゲートキャパシタンスを駆動することが可能なプッシュプルタイプのドライバ回路から成る。これらは、アナログスイッチにより、出力ステージに多重化される。
【0167】
送信ビーム成形器
図22で分かるとおり、送信ビーム成形器は、DDRメモリを使用して、最大約800Hzで計時される送信波形を生成する。各々のチャネルは、DDRメモリ出力を使用する。出力クロックレートは、中心周波数(cf)の約16倍であり、それによって適切な遅延分解能の機能を提供する。ジッターは、PECLでDDR出力を再計時することによって減少する。
図22Aで分かるとおり、約16倍のクロックレートでは、送信波形整形は、正または負の半周期の幅を調節することによって行うことができる。この機能は、正および負の半周期間に「不感時間」を導入し、出力パルスの波形を改善することができる。
【0168】
フロントエンド回路
256個の素子から成る振動子アレイの場合、1つのセクションが各々のアレイ素子に専用の256個のフロントエンド回路セクションがある。
図17で分かるとおり、各々のフロントエンド回路は、フロントエンド変換器1702、送信出力ステージ1703、送信MUX 1708、受信MUX1704、ダイオードリミッタ、および受信フィルタリング用の構成要素を備える。
【0169】
受信チャネル
図17で分かるとおり、各々の受信チャネルは、受信信号の取得に関連する回路素子を含む。受信マルチプレクサ1704は、64個の受信チャネルをアクティブアパーチャ内の素子に接続し、これらの素子は、256素子アレイ内の最大64個の素子のサブセットである。
【0170】
受信ビーム成形器
図17に示す類の受信ビーム成形器は、受信アパーチャの各々のチャネルが取得したデジタルデータを個々に処理および加算するモジュールである。その機能としては、たとえば、受信アパーチャサイズの動的制御、つまり、各々の受信サンプルの取得時に使用されるチャネル数、受信アポダイゼーションの動的制御、つまり、受信アパーチャに適用されるウィンドウ、動的受信集束、つまり受信信号のアップサンプリング、および各々のサンプルの取得時に、補間フィルタの使用により、各々の受信チャネルに適用される遅延の調節、並びにアレイ内のアパーチャ位置の変化が挙げられる。
【0171】
チャネル基板構成
図24の例示的なに示すように、4つのチャネル基板2406があり、各々のチャネルは、26の送信チャネルおよび16の受信チャネルを含み、これらのチャネルはすべて、バックプレーン内に差し込まれる。各々のチャネル基板には、バックプレーン内の位置に基づいてアドレスが割り当てられ、各々の基板を個々に制御することができる。
【0172】
ビーム成形器制御盤
図24の例示的なシステムのビーム成形器制御盤2404は、ホストCPU(バックエンド)に対するデータのアップリンク、並びにハードウェア電子回路の集中タイミングおよび制御を提供する。ホストCPUに対するリンクは、PCI Expressバス2410を介して行われ、レーンごとに各方向に約250MB/秒のデータビットレートを可能にする。×8レーン幅PCI Expressリンクは、約4GB/秒のピークフルデュプレックス帯域幅を提供する。
【0173】
TX/RXコントローラ2412は、送信ビーム成形器および受信ビーム成形器に対するフレーム開始およびライン同期開始信号を使用して、マスタータイミングを提供する。これは、カスタムローカルバスを介して、メモリ内のビーム成形器パラメータを設定する。ビーム成形のためのすべての低ジッタークロック周波数は、ビーム成形器制御盤2404上で生成される。
【0174】
各々のチャネル基板2406からのRF部分和データは、同期アパーチャデータ2416と共に加算される2414。次に、光線ラインデータは、先入れ先出し(FIFO)メモリ2418内に入り、RFシネバッファ2420にコピーされる前に、そこに一時的に配置される。RFシネバッファ2420は、RFシネバッファ2420は、RFデータのフルフレームを記憶し、ランダムにアクセス可能である。データは、RFシネバッファ2020から読み取られ、PCI Express2410を介してホストCPUにコピーされる。あるいは、データは、信号プロセッサモジュール2422によって処理されてから、メインコンピュータユニットに送信することができる。
【0175】
制御パラメータのデータトラフィック制御および読取り/書込みは、内蔵CPU2424によって促進される。内蔵CPU2424自体は、PCI Express link2410を介して、ホストCPUがアクセス可能である。ビーム成形器制御盤2404によって提供されるその他の機能は、生理学的取得システムおよび電源の監視である。本明細書で以前に参照した
図19は、ビーム成形器制御盤1900の一実施態様のブロック図である。
【0176】
TX/RXコントローラ
送信ビーム成形器制御装置:
送信(TX)ビーム成形器制御装置は、各送信ラインの送信ビーム成形器パラメータを更新する。パラメータは、送信中心周波数(fc)における粗遅延数、微細遅延サイクル数(16×fcにおける)、送信波形(16×fcにおける)、送信サイクル数、送信選択、および送信電圧を含む。送信ビーム成形器の制御は、二重モード、三重モード、または複数の焦点域のパラメータの更新も予定する。
【0177】
受信ビーム成形器の制御装置:
受信ビーム成形器制御装置は、各々のチャネルの受信遅延プロファイル、アパーチャサイズ、およびアポダイゼーションを制御する。遅延制御は、粗遅延および微細遅延から成り、これらは、それぞれデュアルポートRAM読取りポインタ、および補間フィルタ係数セレクタビットによって制御される。
【0178】
アパーチャ制御信号は、各々のチャネルがアクティブになる時期を指定することによって、アパーチャサイズを動的に制御する。これは、補間フィルタの最終出力のクリア信号を制御することによって行われる。動的受信アポダイゼーションは、各々のチャネルの信号が乗算される5ビットのアポダイゼーションデータによって制御される。受信制御信号は、
図26に示す入力サンプルクロックレートで制御RAMから読み取られる。
【0179】
送信/受信同期化:
送信/受信同期化のブロック図を
図27に示す。BモードおよびMモードイメージングの場合、異なる送信および受信周波数を使用することができる。しかし、クロックは非同期なので、送信サイクルと受信サイクルとの間のライン間タイミング差ジッターが導入される。
図27の実施態様に示すように、送信および受信クロックを同期化する方法は、プログラム可能なドライバ(TX_除算器)2714を使用して、送信クロック(TXCLK×16)から受信クロック(RXCLK_B)を生成することである。受信周波数は、一定の比率の送信周波数である。比率は、送信クロック周波数×16をNで除算した値であり、Nは整数である。たとえば、30MHzの送信クロック周波数、および26.7MHzの受信クロック(RXCLK_B)周波数を生成するには、TX_除算器2714は、18で除算するように設定される。除算器の性質により、RXCLK_Bは、TXCLK×16と良好な位相整列状態にあり、2つのクロックは常に、最小位相差を有する。RXCLK_Bは、ライントリガ(SOL)2702の開始を同期化するために使用される。ライントリガの同期化の開始(SOL_S)2704は、TX_TRGを生成する。TX_TRGは、TX_TRG SYNC2716によってTXCLK×8に同期化される。SOL_SおよびTX_TRG間の遅延は、必要に応じて加算することができる。TX_TRGは、送信サイクルを開始するように送信ビーム成形器に信号を送信する。RXGATEはRXCLK_Bに同期化され、データの取得を開始するように受信ビーム成形器に信号を送信する。乗算器(RX PLL)2718は、I/Qクロック発生器2720がIおよびQクロックを生成するために必要とするRXCLK×4クロック周波数を提供する。
【0180】
図27Aは、ライントリガ(SOL)2702の開始を、送信クロックと受信クロックとの間の位相差が既知の状態になる時まで遅延させることによって、送信サイクルと受信サイクルとの間の一貫した同期化を維持する別の方法を示す。SOLトリガ2702は、TX_RX_SYNCパルスによって同期化される。TX_RX_SYNCパルスは、TX_Syncタイマー2722によって生成される。次に、ライントリガ(SOL_S)2704の同期化された開始は、送信ビーム成形器2706および受信ビーム成形器データの取得のための制御タイミング信号を開始させることができる。TX_TRGは、送信サイクルを開始させるように送信ビーム成形器に信号を送信する遅延バージョンのSOL_Sである。TX_TRGは、TXCLKに同期化される。送信ビーム成形器2706は、フロントエンドモジュールに対するTXGATEマルチプレクサ制御信号およびTXA/TXB送信パルスを生成する。RXGATEは、データ取得を開始するように、受信ビーム成形器に信号を送信する。RXGATEは、RXCLK2710に同期化される。
【0181】
送信2708および受信クロック2710間の位相差は、TX_Sync_Period2712が正確に計算される限り一定である。TX_Sync_Period2712は、同期化を達成するために必要な最小数の送信クロックサイクルである。たとえば、送信クロック周波数が30MHzであり、受信クロック周波数が25MHzである場合、TX_Sync_Period2712は、6サイクルの送信クロックである。
【0182】
クロック発生器
クロック発生器2428は、送信および受信ビーム成形に適するクロック周波数を提供する。クロック発生器2428は、低ジッターマスタークロック、プログラム可能除算器、クロックバッファ、および再同期化回路を備える。周波数は、送信周波数(fc)−−25〜50MHz、受信周波数−−同相および直交の20〜50MHz、デジタルクロック−−fc×2、×4、×8、×16である。この例示的な実施態様に使用される最高速のクロックは、800MHz(50MHz×16)で良い。
【0183】
PCI Expressブリッジ
PCI Expressブリッジ 2426は、PCIバス2410を介してホストCPUおよび内臓CPU2424を接続する。これは、RFシネバッファ2420からホストプロセッサメモリへ、およびこの逆のDMA転送を可能にする。PCI Expressは、PCIおよびPCI−Xバスの通信モードに基づく。PCI Expressは、シングルまたはバースト読み/書きコマンドで、PCIおよびPCI−Xと同じメモリマッピングアドレス空間を使用する。しかし、PCI Expressは、スイッチを使用して異なるデバイスを接続するポイント間シリアルインターコネクトであるが、PCIおよびPCI−Xはパラレルマルチドロップバスである。PCI Expressは、カードエッジコネクタを介するか、またはケーブル上で、チップ間または基板間通信リンクとして使用することができる。
【0184】
PCI Expressリンクの帯域幅は、たとえば、RFデータ、MISデータ、および診断の場合、アップリンク−210MB/秒バーストおよび140MB/秒持続レート、書込み制御パラメータの場合、ダウンリンク−20MB/秒バーストおよび<1MB/秒持続レートで良い。
【0185】
合成アパーチャFPGA
チャネル基板2416からの部分和ビーム成形器のRFデータは、合成アパーチャFPGA内で最初に処理される。この処理は、ビーム成形器の最終加算、合成アパーチャ、およびFIFOへの書込みを含む。
【0186】
RFシネバッファ
機能上、RFシネバッファ2420は、たとえば、1GバイトのデュアルポートRAMである。RFシネバッファ2420は、ラインおよびフレームに構成されたRFデータを記憶するランダムアクセスメモリブロックである。データは、非同期信号処理をサポートする様々なレートの入力および出力で良い。データ流は、インターリーブされたIおよびQビーム成形データから構成される。FIFOバッファは、ビーム成形器データの記憶装置を提供し、メモリは、次の表示期間でCPUによって読み取られる。
【0187】
一実施態様では、バッファの仕様は、たとえば、記憶装置−300フルサイズフレーム(512光線ライン×1024サンプル/ライン×32ビットのI&Qデータ)、バッファサイズ−>629Mバイト、入力レート−140Mバイト/秒、出力レート−140Mバイト/秒(RFデータレート)32Mバイト/秒(ビデオレート)。
【0188】
非同期信号処理
上記の例示的な超音波システムの一実施態様によると、ある動作モードでは、1秒当たり数百フレームの範囲の非常に高い取得フレームレートが可能である。表示レートは、取得レートに等しい必要はない。ヒトの眼は限られた反応時間を有し、急激な運動の変化では、ローパスフィルタとして作用する。30fpsを超えるフレームレートは、感知される運動情報を増加する上で殆ど利点はない。このため、表示された超音波画像情報は、取得レートが非常に高い場合、30fps以下の処理データレートで良い。取得を信号処理から分離するには、大型のRFバッファメモリを使用して、ビーム成形器出力データを記憶する。ビーム成形器の出力データ(date)をバッファするための例示的な構造を
図28に示す。
図28に示すように、メモリバッファ2800は、RFデータの多くのフレームを保持することができる。512波長の深さの場合、16ビットの直交サンプリングされたフルラインRFのは、4Kバイト(1024、I、Qサンプル*32ビット/対)を使用する。フレーム当たり512の光線の場合、1Gバイトのメモリバッファは512の2Dフレームを保持することができる。バッファに書き込まれるフレームのトラックを維持するには、書込みコントローラは、「最初のフレーム」および「最後のフレーム」ポインタを維持し、これらのポインタは、信号処理タスクによって読み取ることができ、読取りに使用可能なバッファ内の最初のフレーム、および読取りに使用可能な最後のフレームをそれぞれ指示する。
【0189】
アクティブな取得の際、ビーム成形器の加算出力は、書込みコントローラ2802によって次の使用可能なフレーム記憶域に書き込まれ、このフレーム記憶域は、一般に、「最後のフレーム」ポインタによって指示された直後の記憶である。各々のフレーム内のデータが取得されると、「最初のフレーム」および「最後のフレーム」ポインタが更新され、データは、バッファ内の正しいアドレスに書き込まれる。取得が停止(凍結)すると、バッファは次に、最後のNフレームを含み、「最初のフレーム」ポインタは、バッファ内の最も古いフレームを指示する。
【0190】
信号処理モジュール2422は、RFメモリバッファ2420にアクセスする。このモジュールは、表示フレームにおいて一度に1つの取得フレームにアクセスし、表示された概算データを生成する。システムが走査している間、タイマーは、信号処理モジュールに、表示フレームが必要であるという信号を送信する。この時、信号処理モジュール2422は、新しい取得RFフレームが使用可能であることを確認し、使用可能である場合、データを読み取って処理する。取得レートが、表示レートより速い場合、取得フレームは、処理および表示以前にデシメートされる。システムが凍結された後、メモリバッファ内に記憶されたRFフレームは、最初の取得レートまでの所望の任意のレートで処理することができる。
【0191】
信号処理モジュール
ビーム成形器制御盤2404は、ホストCPU上のデータロードおよび/または通信ロードを減少させるため、データパス内に信号プロセッサ2422を備える。プロセッサ2422は、たとえば、十分な数の乗算器およびメモリを含むFPGA、または、たとえば970PPCもしくは汎用DSPなどのCPUで良い。実行される信号処理機能は、ビーム成形器制御盤2404上の信号処理モジュール2422、およびコンピュータユニット(つまり、ホストコンピュータ)間で分割される。これらの機能は、ポストビーム成形制御、Bモード振幅の検出およびログの圧縮、PWドップラースペクトル概算、カラーフロークラッタフィルタ、および周波数/電力概算、非同期信号処理、またはフレーム平均を含む。どこで処理を行うかを決定する際に考慮される要素は、必要な処理速度、処理の複雑さ、および必要なデータ転送レートである。
【0192】
Bモード信号処理
Bモードイメージングの場合、信号処理モジュール2422は、ライン補間、検出、および非各を含むプロセスを実行する。
【0193】
カラーフローイメージング(CFI)信号処理
本発明による一実施態様では、ドップラーカラーフローイメージングは、Bモードイメージングと結合し、その結果、Bモード信号パスおよびドップラーカラーフロー信号パスの共通ブロックは、時間多重化され、両方のタイプの処理を提供する。一般に、Bモードラインは、当業者が周知しているとおり、BモードおよびCFIの相対光線ライン密度に応じて、各々の集合の1つまたは2つのラインのRFデータの取得でCFI集合間で取得される(一般的なCFI画像は、Bモードの光線ライン密度の半分を使用する)。
【0194】
CFIの場合、信号処理モジュール2422は、集合バッファリング、クラッタフィルタ、速度概算の計算、電力概算の計算、および分散概算の計算を含むプロセスを実行する。
【0195】
受信ビーム成形器の加算出力からのIおよびQ波形が、クラッタフィルタを通過した後、ビーム成形器制御盤上のホストコンピュータまたはCPU2424内のドップラー周波数および電力評価器によって、ドップラー信号の様々なパラメータが評価される。集合内の各々のサンプルの深さについて概算されたパラメータは、ドップラー周波数、ドップラー電力、および周波数分散の概算を含む。これらのパラメータは、周波数概算が、ノイズまたはクラッタ信号の概算ではなく、ドップラースペクトルの真の概算である可能性を判断するため、決定マトリックスで使用される。カラーフロー速度の概算は、ドップラー周波数概算から導かれる。すべての概算は、当業者が周知している2−D自己相関法を使用して導かれる。
【0196】
PWドップラー信号処理
パルス状ドップラー取得は、単独で、二重モード、または三重モードである。二重モードの場合、PWドップラー送信パルスは、Bモード送信パルスとインターリーブされ、その結果、Bモード画像はリアルタイムで更新され、PWドップラーしのぐが取得される。インターリーブの方法は、選択されるドップラーPRFに基づく。Bモードイメージングとパルス状ドップラー処理間との間で共用される構成要素は時間多重化され、両方のタイプの処理が行われる。
【0197】
三重モードの場合、パルスドップラーは、Bモードおよびカラーフローイメージングと結合される。三重モードの最も単純なインプリメンテーションは、最終的にBモードおよびCFI画像ラインのフルフレームを生じる一定シーケンスにおける、BモードラインまたはCFIラインの時間インターリーブである。このインプリメンテーションでは、両方のパルス状ドップラーおよびCFIのPRFは、通常の単一モード動作と比較して半分減少する。
【0198】
各々の光線ラインのIおよびQサンプルは、ドップラーサンプル量の当該領域を選択するために、レンジゲートされる(IまたはQ信号の選択されたレンジは、使用可能なフルレンジから分離および平均され、単一のI、Q対を生成する)。レンジゲートの長さは、必要に応じて、ユーザが、ある範囲の深さをカバーするように変更することができる。結果として平均されるI、Q対は、空間プロセッサ、および音声プロセッサに送信され、I、Qドップラー周波数データは2つの音声出力流に変換され、一方の出力流は、振動子方向(前方)の流れ)、他方の出力流は振動子から離れる(逆方向)流れである。
【0199】
PWドップラーイメージングの場合、信号処理モジュール2422は、レンジゲート(デジタル積分)を含む処理を実行する。
【0200】
Mモード信号処理
Mモードイメージングでは、信号処理モジュール2422は、検出および比較を含む処理を実行する。
【0201】
EKV信号処理
EKVは、タイミングイベントとして使用されるECG(心電計)信号を使用する後処理動作として、極めて高いフレームレート画像が生成される取得方法である(1秒当たり1000フレーム以上)。EKVイメージングは、単一素子の機械的走査振動子、または振動子アレイを使用してインプリメントされる。EKVイメージングは、2−D画像の各々のライン位置において、1000Hz以上のPRFで、ある期間にわたって超音波ラインを得する。各々のライン位置で超音波ラインが得される期間は、EKV期間と呼ばれ、たとえば1秒であり、これは、マウスまたは他の小動物の数回の心周期を捕捉するのに十分な長さである。各々の超音波ラインの取得は、単一送信パルスの点火、その後の返される超音波データの取得を含む。たとえば、2−D画像内に250のラインが存在する場合、EKVデータ集合で合計250,000の超音波ラインが取得される。EKV画像の各々のフレームは、心周期の同じ時間に取得される超音波ラインを集合させることによって再現される。
【0202】
一実施態様では、EKVデータ集合の取得シーケンスは、超音波ライン位置が静止状態を保ち、超音波ラインが当該期間で取得されるシーケンスである。たとえば、この期間が1秒であり、PRFが1KHzである場合、1000の超音波ラインが、最初の超音波ライン位置で取得される。次に、このライン位置は増分し、プロセスが繰り返される。こうして、2−D画像内の250本のラインのすべてのEKVデータが取得される。このシーケンス付けの方法の欠点は、完全なEKVデータ集合を完成するのに必要な時間の長さが比較的長くなる可能性があることである。この実施例では、時間は250×1秒=250秒である。
【0203】
アレイを使用する好ましい実施態様では、インターリーブの方法は、EKVデータ集合を完成するのに必要な時間の長さを減少させることができる。たとえば、PRFが1KHzである場合、他のラインを取得できるパルス間の期間は1msである。取得される超音波ラインの数は、信号が検出される組織内の最大深さに対する超音波の双方向送信時間によって決定される。たとえば、双方向送信時間が20μ秒である場合、様々なライン位置における50の超音波ラインが、PRF間隔でインターリーブされる。ライン位置にL1、L2...L50のラベルを付ける場合、1つの例示的なインターリーブ方法は、以下のようにインプリメントされる:
【0204】
【表4-1】
上記の表のシーケンスは、EKV期間が経過するまで繰り返され、EKV期間が経過した時点では、ライン1からライン50までの50の異なるライン位置で取得された1000の超音波ラインから成るデータブロックが存在する。データブロックの取得は、この方法で2−D画像のの次の50ラインについて、ライン51からライン100まで繰り返され、次に、ライン101から150までという具合に、完全な250のラインデータ集合が完了するまで取得される。
【0205】
250ライン上の完全なデータ集合に必要な合計時間は、インターリーブされるライン数に等しい係数だけ減少し、この実施例では50である。したがって、必要な時間の合計長さは5秒である。
【0206】
内蔵CPU
ビーム成形器制御盤2404上の内蔵CPU2422は、一実施態様では、PCIインターフェース2426およびDDRメモリインターフェースを有する32ビット内蔵マイクロプロセッサである。内蔵CPU2424の主な機能は、データとラフィック制御である。これは、受信ビーム成形器FIFO2418からRFシネバッファ2420、RFシネバッファ2420から信号処理モジュール2422、および信号処理モジュール2422からホストPCまでのデータの流れを制御する。
【0207】
ビーム成形器制御装置および診断情報は、レジスタなどのターゲットPCIデバイス上にメモリマッピングされる。内蔵CPU2424は、レジスタの位置を復号し、情報を適切なローカルバス上に中継する。ローカルバスは、たとえばPCI、カスタムパラレル(GPIOを使用する)、12Cシリアル、またはUARTシリアルで良く、それぞれ当該技術分野で周知されている。
【0208】
生理学的取得システム
生理学的取得システム2430(または「マウス取得システム」)はマウス情報システムの入力部2438からのアナログ信号をフィルタリングして変換する。これらの信号は、被検体のECG、温度、呼吸作用、および血圧を含む。データの変換後、データは、ローカルバスを介して内蔵CPU2424のメモリに転送され、次にホストCPUに転送され、PCI Expressリンク2410を介して表示される。
【0209】
電源の監視
ビーム成形器制御盤2404は、ラック電源2432を監視し、各々の基板上に生成される電圧を低下させる。たとえば、ラック電源2432は、+48VDCをバックプレーン2408に提供する。一実施態様では、各々のチャネル基板2406上の2つの高電圧調整装置が、フロントエンド回路の送信部分を供給する。ビーム成形器制御盤2404は、これらの調整装置の過電流または過電圧状態を監視する。
【0210】
バックプレーン
バックプレーン2408は、器具電子回路カードケージに実装される。一実施態様では、バックプレーン2408は、各々の基板を差し込むことを可能にするブラインド嵌合縁部コネクタを有するが、その他の接続スキームは本発明の範囲内で考えられる。バックプレーン2408は、基板と、カードケージ外部の信号の入力/出力コネクタとの間の相互接続を提供する。一実施態様では、バックプレーンのサイズは、高さ8U×幅84HPであり、8U×19”のラックマウントのVME式カードケージ内に適合する。カードケージの深さは、一実施態様では280mmである。
【0211】
システムソフトウェア
システムソフトウェア2330の一実施態様の概略は、
図29に示す。一般に、システムソフトウェア2330は、Windows(登録商標) XPオペレーティングシステムを実行するIntelプロセッサプラットフォームなどのプロセッサプラットフォーム上で動作する。システムの一実施態様のプロセッサプラットフォームは、本明細書で以前に説明したコンピュータユニット2310によって提供される。あるいは、システムソフトウェア2330は、調査研究用の独立ワークステーションにロードされる。ワークステーションは、ビーム成形器ハードウェアを含まず、新しいデータを取得するための振動子も持たない。ワークステーションは、以前に取得された研究データを調査し、処理機能の限られた集合を実行する。たとえば、ユーザは、測定、異なるフレームレートでの再生、またはカラーマップの変更を追加することができる。
【0212】
図30は、本発明の1つまたは複数の態様を実施するために使用されるメインソフトウェアアプリケーションの一実施態様である。システムソフトウェア3000は、
図30に示すように、システムが始動し、システムの操作者にインターフェースを提供できる時にロードされる。
【0213】
構成要素全体の構造を決定するフレームワーク3018は、コンピュータユニット2310の処理プラットフォームのオペレーティングシステムによって実行可能なアプリケーションを生成し、オペレーティングシステムとインターフェースするために使用することができる。たとえば、フレームワーク3018は、Windows(登録商標)アプリケーション、およびWindows(登録商標)オペレーティングシステムを生成する。
【0214】
アプリケーションコントローラ3020のソフトウェア構成要素は、システムソフトウェア3000の状態マシンで良い。これは、操作者、システムソフトウェア3000、フロントエンド2308間の相互作用を制御する。
【0215】
アプリケーションビュー3022のソフトウェア構成要素は、本明細書で以前に説明したとおり、アプリケーションコントローラ3020のソフトウェア構成要素内の状態マシンに基づいて、システムソフトウェア3000のプレゼンテーションをサポートする基礎を提供することができる。
【0216】
調査構成要素3002は、操作者が、調査を実行し、研究データを調査し、内容を編集し、研究データをインポートまたはエクスポートすることを可能にする。本明細書で以前に説明したように、データを取得するために、システムがサポートする様々な動作モードの可能性があり、システムソフトウェア3000のモード3004ソフトウェア構成要素によって管理することが可能である。サポートされるモードとしては、たとえば、Bモード、3Dモード、Mモード、PWドップラー、カラーフロードップラーなどが挙げられる。各々のモードは、調節可能なパラメータ、シネループ取得、およびメイン画像ディスプレー領域を有し、これらは、モード3004ソフトウェア構成要素によって管理される。モードによっては、たとえばPWドップラーおよびBモードなど、同時に動作する。
【0217】
ビーム成形器制御装置3024のソフトウェア構成要素は、システムソフトウェア3000内の設定に基づいて、フロントエンドのイメージングパラメータを生成することができる。
【0218】
ユーザデータマネジャー3006ソフトウェア構成要素は、システムをどのように構成するかに関するユーザの好みを維持する。
【0219】
測定3026ソフトウェア構成要素は、操作者がモードデータに関する測定および注釈を行うことを可能にする。
【0220】
計算3028ソフトウェア構成要素は、操作者が測定結果に関して計算を行うことを可能にする。
【0221】
ユーティリティ層3008ソフトウェア構成要素は、アプリケーションおよび第三者のライブラリ全体で使用される。
【0222】
ハードウェア層3012ソフトウェア構成要素は、本明細書で以前に説明したように、PCI expressバスを介してビーム成形器と通信するために使用される。
【0223】
生理学的3030ソフトウェア構成要素は、本明細書で以前に説明したように、ハードウェア層3012を通して、生理学的データ収集を制御するために使用することができる。
【0224】
データ層3010は、動作に必要なすべてのパラメータの様々な集合のデータベースを含む。パラメータは、現在のユーザ構成および動作モードに基づいて設定される。
【0225】
メッセージログ3014およびエンジニアリング構成3016は、診断の報告およびトラブルシューティングに使用される。
【0226】
振動子選択基板
再び
図24を参照すると、本発明によるこの実施態様では、システムは、カートの前部に1つの振動子コネクタ2438を有することが可能であり、振動子を切り換える場合、ユーザは最初の振動子を物理的に外し、次に別の振動子を差し込むことが可能であることが分かる。一実施態様では、これは、360ピン振動子コネクタ2438で良い。別の実施態様では、フロントパネルに2つの振動子コネクタを有する振動子選択基板を使用すると、物理的に振動子に触れずに、振動子間で切り換えることができる。
【0227】
実施例2
超音波イメージングシステムのもう1つの例示的な実施態様は、以下で説明し、
図31に示すように、モジュール式のソフトウェアベースのアーキテクチャを含む。
【0228】
図31の実施態様は、処理ユニットの一部である4つのモジュールを備え、これらは、例示的なシステムの場合、ビーム成形器モジュール3102、RFバッファメモリ3104、信号処理モジュール3106、およびシステムCPU3108である。ビーム成形器モジュール3102は、パルスを振動子から送信および受信するための回路構成、並びにビーム成形に使用される遅延処理を含む。その出力は、加算RFデータであるか、または直交サンプリング技術からダウンコンバートされたIおよびQデータで良い。ビーム成形器モジュール3102の出力は、本明細書に記載するとおり、大型RFバッファメモリ3104に書き込まれる。
【0229】
CPU/信号処理モジュール3106は、画像の形成、またはドップラー感知用のビーム成形器からのRFデータを処理する。信号処理モジュール3106は、処理タスクが汎用計算環境で実行されるソフトウェアにインプリメントされるCPUモジュールを備えることができる。あるいは、信号処理モジュール3106は、いくつかの信号処理機能と共にハードウェアにインプリメントされるか、または専用プロセッサ上で実行されるソフトウェアにインプリメントれ、この場合、追加の信号処理モジュールは、システムCPU3108にプラグインカードとしてインプリメントすることができる。
【0230】
専用ハードウェアソリューションが信号処理モジュール3106に選択される場合、高性能CPUと共にインプリメントすることができる。任意に、これは、デジタル信号処理チップ(DP)と共にインプリメントすることができる。使用されるあるタイプのDSPは、当該技術分野で周知されているとおり、浮動小数点の種類であり、ホストCPUによって制御され、「データ駆動」される。システムCPU3108は、ユーザインターフェース/制御システム、および信号/画像処理サブシステムの両方として動作することが可能である。システム制御情報は、メモリマッピングされたI/Oを使用して分散されることができ、モジュールは、CPUモジュールの周辺機器用バスとインターフェースする。任意に、システムCPU3108は、ビーム成形器モジュール3102から物理的に分離され、PCI Expressケーブル(または同等品)3110を介して接続することができる。例示的なPCI Expressケーブル3110は、最大1GB/秒の転送をサポートし、3mの長さのケーブルである。様々なモジュール上に存在するいくつか、または全部のメモリは、CPUの3108メモリ空間にマッピングすることができ、パラメータおよびデータにアクセスすることを可能にする。
【0231】
例示的なアーキテクチャのシステムCPU3108は、信号処理、走査変換、および表示処理を含む多数のリアルタイム処理タスクを実行することができる。これらのタスクは、処理ルーチンのスケジューリングに予想されるシステム待ち時間を考慮して、「ハード」リアルタイムオペレーティングシステムを必要としない方法で管理することができる。さらに、システムCPU3108は、システムに対するユーザインターフェースを管理し、ユーザの動作に応じて、設定および制御機能を他のモジュールに提供することができる。CPUマザーボードおよびオペレーティングシステムは、複数のCPUをサポートすることができ、高速システムバスに迅速にアクセスし、ほぼリアルタイムのタスク管理が行われる。
【0232】
送信ビーム成形器
この例示的なシステムのビーム成形器モジュール3102は、送信ビーム成形器を備える。送信ビーム成形器は、たとえば、アレイ素子のサブセットの選択によるアパーチャ制御、送信パルスの開始までの遅延タイミング、送信波形の生成、および送信アポダイゼーション制御を含む機能を提供することができる。例示的な実施態様の場合、振動子アレイ3112が使用される。一実施態様では、この振動子アレイ3112は、最大256個の素子を含む。送信器パルスドライバを振動子素子に切り換える高電圧の必要性をなくすため、ビーム成形器モジュール3102の送信ビーム成形器構成要素は、振動子アレイ素子の数に相当する多数の送信器から構成される。たとえば、256個の素子を有する例示的なアレイ振動子の場合、送信ビーム成形器は256個の送信器を備える。任意に、送信ビーム成形器は、256個未満の送信器、および個々の送信器を特定の素子に接続するための高電圧切換え方法を含むことができる。高電圧マルチプレクサは、256素子アレイからの線形サブセットを選択するために使用される。
【0233】
任意に、ビーム成形器モジュール3102の送信ビーム成形器構成要素は、例示的なアレイのすべての256個の素子の高電圧パルサードライバ、および送信波形発生器のサブセットを適切なドライバ/アレイ素子に接続する切換え機構を備える。この任意の実施態様は、低レベルの多重化により受信器を保護するための256個のTX/RXスイッチを使用し、受信アパーチャのアレイ素子のサブセットを選択する。低レベル多重化は、TX/RXスイッチと任意に結合可能であり、場合によっては、高電圧MUXスキームと比較して受信信号の減衰が少なく、より迅速に切り換えられる。
【0234】
1/16波長の送信遅延を使用することができ、これは、送信ビームの適切な集束および側面ローブの減少を提供する。所望のステアリングおよび集束制御では、波長で測定した場合の最大遅延時間は、最大送信アパーチャの少なくとも0.7倍で良い。たとえば、128個の送信器、および1.5波長のアレイ間隔の場合、最大送信アパーチャは192波長である。20MHzの中心周波数では、最大送信遅延時間は少なくとも6.72μ秒で良い。
【0235】
1/16波長の正確度の場合、対象となる最大中心周波数は遅延分解能を指定する。50MHzでは、これは1.25ナノ秒の遅延正確度を与え、800MHzのクロックおよび13ビットの計数器の同等品を使用して、6.72usecの最大遅延時間を達成する。任意に、高周波数のクロックの代わりに、200MHzの4つの位相クロックを使用することができる。これは、200MHzクロックの4つの位相の1つを、11ビット計数器に対する入力として選択することによって、特定の送信遅延を選択することを可能にし、計数器には、遅延時間における200MHzクロックの数がプレロードされる。
【0236】
ビーム成形器モジュール3102の送信ビーム成形器の構成要素は、双極送信パルサーをさらに含む。このタイプのパルサードライブは、一般に、3つのパラメータで指定される:送信周波数であるT1(半周期の持続時間)、時間通りの半周期であるT2(正または負の半周期パルスの持続時間)、およびパルス持続時間であるT3(送信全体の半周期パルスの数)。これらの持続時間は、
図32に示す。
【0237】
半周期パルス持続時間、T2の制御は、振動子の出力を改善して、正弦波駆動の比較的近い概算を可能にする。これは、送信パルス電力の多少生のアポダイゼーションを得るために使用することも可能だが、持続時間の十分に微細な制御が提供される必要がある。
【0238】
送信アポダイゼーションは、送信ビームにおけるスプリアスローブを減少させるために使用することができ、スプリアスローブは、側面ローブまたは格子ローブで良い。送信アパーチャのアポダイゼーションによって、出力は減少し、方位分解能は悪化するため、常に好ましいわけではない。多くの場合、少量のアポダイゼーション能力、たとえば少ないレベルの出力のみを提供する能力は、スプリアスローブの減少と方位分解能との良好な妥協を達成するのに十分である。送信波形の生成に関して上記で述べたパルス幅変調スキームは、限られた送信アポダイゼーションを提供するために可能な1つの手段である。第2の方法は、パルサードライバに対する高電圧の1つのレベルではなく、おそらく4つ以上のレベルを提供することであり、そのため、各々のパルサーにこれらのレベルの1つを選択する手段を使用する。
【0239】
受信ビーム成形器
ビーム成形器モジュール3102は、受信ビーム成形器構成要素も備える。例示的なシステムに使用できるインプリメンテーションを形成するいくつかの様々な受信ビームがある。以下に記載するデジタルな方法は、受信アパーチャ内の各々の素子のための最小のA/D変換器を有する。この例示的な実施態様では、A/D変換器のビット深度は10ビットであり、これは、−50dBの信号レベルで所望のビーム成形正確度を与える。A/Dダイナミックレンジは、スプリアスローブを減少させ、所望のコントラスト分解能を提供するように選択される。8ビットA/D変換器は、適切な場合は使用することができる。例示的なシステムの実施態様は64個の受信チャネルを使用し、合成アパーチャを使用して、最大フレームレートが不要なアプリケーションに128チャネルの受信アパーチャをインプリメントする。デジタル受信ビーム形成インプリメンテーションの1つの任意の方法は、信号の最高周波数より少なくとも2倍高いレートで(多くの場合、Nyquistレートと呼ばれる)、個々の素子から超音波信号をサンプリングする。たとえば、50MHz、100%帯域幅の振動子のNyquistサンプリングレートは、150MHz以上である。
【0240】
帯域幅サンプリング
ビーム成形器モジュール3102の受信ビーム成形器の構成要素の別の任意のサンプリング方法は、帯域幅サンプリングである。当業者が周知しているサンプリング理論は、連続関数は、帯域幅、Bヘルツ内の周波数のみを含む場合、1/(2*B)秒未満だけ離れている一連の点における値によって完全に決定されると規定している。帯域幅制限信号のサンプリングによって、サンプリングスペクトルとの一定の関係で現われる信号スペクトルの複数のコピーが得られる。これらの複製スペクトルが重複していないことを条件として、アンダーサンプルされたデータから最初の信号を再現することが可能である。たとえば、30MHzに中心をがある20MHzの最大帯域幅を有し、40MHzのレートでサンプリングされた信号を考える。この状況では、スペクトルは、
図32に示すように複製される。最初のスペクトルは、40MHzのサンプルレートが信号のすべての情報を保存するのに適する場合、周波数スペクトルの0〜20MHz部分で複製される(また、スペクトルはfs/2周波数付近で反射するが、これは、後続の信号処理で考慮に入れることができる)。
【0241】
図33は、30MHz信号スペクトルの帯域幅サンプリングを示し、これは、ビーム成形器モジュール3102の受信ビーム成形器の一実施態様に使用される。通常のNyquistサンプリングを使用して、
図33の信号スペクトルをサンプリングには、80MHz以上のサンプルレートを必要とする。上記のとおり、波長の3/4で帯域幅サンプリングを使用すると、最大60MHzの振動子中心周波数は、1秒当たり80メガサンプル(MSPS)の10ビットA/D変換器を使って管理することができ、このA/D変換器は、当該技術分野で周知され、数社のベンダーから入手可能である。上記の実施例では、この信号スペクトルは、中心周波数の20MHz帯域幅領域(66.7%)外の周波数成分を含まない。実際上、振動子スペクトルは、多くの場合、66.7%の帯域幅領域を越えて延在することが可能なスカートを有し、重複するスペクトル、および不正確な信号再現を生じる。これらのスカートは、A/D変換器の前の帯域通過アンチエイリアシングフィルタを使用して処理することができ、A/D変換器は、帯域幅限界を越えて所望のレベル、たとえば5〜10%まで延在するスペクトルスカートに電力を保持する。
【0242】
直交サンプリング
直交サンプリングとして周知されている帯域幅サンプリングのもう1つの形式は、ビーム成形器モジュール3102の受信ビーム成形器の構成要素の実施態様に任意に使用することができる。このサンプリング方法では、2つのサンプルは、中心周波数に対して90°位相で取得される。これらのサンプルは、信号の帯域幅に等しい間隔で再現することができる。たとえば、直交サンプルが、中心周波数のすべての期間で取得される場合、サンプルレートは100%の帯域幅信号をサポートする。直交サンプリングから得られるサンプルの対は、サンプルが、異なる時間に取得されるため、真の相補(complimentary)対ではないが、分析波形の真のサンプルであり、共点直交サンプルは、2つのIおよびQサンプリングされた波形のサンプルを適時に同じ点に補間することによって観察することができる。直交サンプリングは、中心周波数の4倍でサンプリングする1つの高いサンプルレート変換器、または各々が中心周波数で動作するが、クロックは、中心周波数に対して90°だけ位相が異なる2つの比較的低い周波数変換器と共にインプリメントされるる。
【0243】
Nyquistサンプリング
任意に、さらに別の形式のサンプリングを受信ビーム成形器に使用することができる。この形式のサンプリングは、帯域幅サンプリングと結合するNyquistサンプリングである。通常のNyquistサンプリングは、比較的低い振動子中心周波数に使用され、帯域幅サンプリングは、比較的高い周波数に使用される。105MSPSの最大サンプルレートを有する商業的に使用可能な10ビットA/Dが使用可能である。このサンプルレート能力では、100%帯域幅を有する30MHz中心周波数振動子は、Nyquistレートで適切にサンプリングすることができる。40MHzでは、Nyquistサンプリングは、最大約60%の帯域幅を有する振動子に使用することができ、その結果、この中心周波数またはそれ以上の周波数では、帯域幅サンプリングを使用することができる。これらの比較的高いサンプルレートが使用される場合、ビーム成形器の処理回路構成は、比較的高いクロックレート、およびさらに高い記憶装置要件にも適応する。
【0244】
直交サンプリングの変形は、帯域幅が比較的高いビーム成形能力を、その利益が得られるアプリケーション(たとえば、高調波イメージング)に提供するために使用することができる この方法では、2つの直交サンプルの対は、中心周波数のすべてのサイクルで取得される。たとえば、30MHzの中心周波数、および100%の帯域幅を越える著しいスペクトル成分を有し、その結果、スペクトルが15MHz未満および/または45MHzを超える周波数を超える信号のサンプリングを考える。チャネルごとに2つのA/D変換器を使用して、当該チャネルでRF信号が取得され、各々のサンプリングは、中心周波数の60MHzの2倍で周期的に行われる。第2A/D変換器のサンプルクロックは、第1A/D変換器のサンプリングクロックに対して、30MHzの期間の1/4だけ遅延する。次に、A/D変換器によって取得されるすべての第2サンプルは、−1が乗算される。第1A/D変換器から開始するサンプル流は、ダウンコンバートされた直交(Q)サンプル流であり、第2A/D変換器から開始するサンプル流は、ダウンコンバートされた同相(D)サンプル流である。受信ビーム形成に必要な微細遅延は、直交サンプルの補間によってインプリメントされる。この方法は、中心周波数の200%帯域幅におけるRF信号の正確なサンプリングを可能にする。
【0245】
比較的高い帯域幅帯域幅ビーム成形能力を提供する別の方法は、受信チャネルごとに1つのA/D変換器を必要とするが、この方法では、ビーム成形器のRF出力は、合成アパーチャ法に類似する2つの取得パルスを使用して形成することができる。たとえば、100%の帯域幅を有し、−6dBスペクトルが15〜45MHz延長する30MHz信号スペクトルを考える。この場合、信号は、60MHzサンプルレートでサンプリングすることができる他のすべてのサンプルの記号はフリップされ、直交ダウンコンバーションスキームのQチャネルとして得可能なダウンコンバートされたサンプル流を提供する。次の取得では、サンプリングクロックは、30MHzの期間の1/4だけ遅延し、(別のサンプルの記号をフリップした後)I直交波形を提供する。次に、これらの2つの直交波形は、ビーム成形ごに時間移動して結合され、30MHz中心周波数の200%帯域幅には正確なRF信号を再現する。これは、100%帯域幅を有する超音波振動子からすべての情報を捕捉するのに適する。フレームレートは、単一パルス光線ラインの取得と比較して半分減少する。比較的高いフレームレートは、画像ラインの数を減少させることによって、対象領域上で達成することができる。
【0246】
図31の例示的な実施態様では、受信ビーム成形器の遅延インプリメンテーションは、補間法を使用して実行される。ビーム成形のこの方法の場合、A/D変換器はすべて、一定のサンプルレートで(帯域幅または直交サンプリングを使用して)同時にサンプリングする。ステアリングおよび動的集束の遅延は、2つステップでインプリメントされる:1)サンプルクロックサイクルの整数である遅延をインプリメントする粗遅延ステージ、および2)粗サンプル間の波長時間位置の1/16に補間する補間フィルタ。粗遅延ステージは、プログラム可能なシフトレジスタの関数を実行し、その最大長は、サンプル期間に望ましい最大遅延時間に相当する。これらの2つのステージの順序は、必要な場合、インプリメンテーションの問題に応じて逆にすることができる。
【0247】
帯域幅サンプリングの補間について、以下の実施例を使用して説明する。帯域幅サンプリングを使用する例示的な30MHzアレイの場合、すべてのA/D変換器のサンプルレートは、40MHzに設定することができ、66.7%の帯域幅を提供する。128の受信チャネルでは、最大遅延には約10μ秒が望ましいので、インプリメンテーションは、約400ステージのプログラム可能なシフトレジスタを使用する。40MHzでは、プログラム可能な補間器は、隣接する40MHzサンプル間に等間隔に配置された11の中間サンプル値の1つ(1/16波長の正確度)のみを計算すれば良い。補間器は、正確な信号の再現を提供するように、帯域幅サンプリングのために特に設計することができる。サンプルは、すべてのチャネルの補間器の出力から取得して加算し、所望のビーム成形方向についてサンプリングされたRF波形を生成することができる。
【0248】
帯域幅サンプリングデータ点の間に補完する信号再現プロセスは、上記の例の30MHzアレイに関して単純化される。この場合、すべての奇数サンプルは、信号(別の記号を有する)のベースバンド表現のQ成分のサンプルとして取得することができ、偶数サンプルは、I成分のサンプルであると考えることができる。単純な帯域制限補間器は、適切な中間時間点でIおよびQ信号値を発見するために使用することができ、次に、信号値は、RF値を再現するように結合される。必要な場合、すべての帯域幅サンプリングデータ点は、補間フィルタによってダウンコンバートされ、ベースバンド直交サンプリングされたビーム成形器出力を生じ、その結果、下流の信号処理を単純化することができる。
【0249】
直交サンプリング補間について、以下の実施例を使用して説明する。この実施例では、各々のチャネルの入力信号は、振動子中心周波数のサイクル当たり1つの直交対において直交サンプリングされ、ほぼ中心周波数の100%の入力帯域幅を提供すると想定される。この対の2つのサンプルは、中心周波数に対して90°異なる位相で取得され、これは、QおよびIベースバンド信号の実際のサンプルを提供するが、波形は、異なる位置で適時にサンプリングされる。QおよびIデータを結合する以前に、補間フィルタを使用してサンプリング偏差を補正する。サンプル偏差を補正するのに必要な補間は、ビーム成形に使用される補間フィルタ内に任意に組み入れられる。
【0250】
提案される直交サンプリング法は、ベースバンドIおよびQ信号を生成するため、補間フィルタは、RF波形ではなく、これらの信号上で動作する。すべてのチャネルのサンプルは同時に取得され、その結果、IおよびQ波形は、すべてのチャネルに共通のRF波形に対して同相を有する。これは、すべてのチャネルで混合器を使用して、IまたはQ信号を導くに等しく、混合器の搬送周波数はすべて同相を有する。しかし、異なるチャネルからのIおよびQサンプルの正しい和は、時間遅延エコー波形の位相に一致するように、各チャネル上の搬送位相を調節することによって得ることができる。これは、RF中心周波数期間の0°位相に対し、補間点に従って補間されたI、Qサンプルの位相回転を意味する。この回転は、FIR補間フィルタの係数内に補間して、コヒーレントに加算できる各々のチャネルからの補正IおよびQ出力を生成することも可能である。
【0251】
直交サンプリング補間ビーム成形方法を説明する方法として、先ず、実際のインプリメンテーションではなく、比較的単純な概念モデルを考える。このモデルでは、補間は、中心周波数の期間全体の16の別個の点にインプリメントされ、ビーム成形に関する1/16波形の正確度を提供する。この正確度レベルは、ビームプロファイルを著しく悪化させないために十分であることが実証されている。
図34に示す直交サンプリングさた波形を考えると、信号は、周波数がサンプリング周波数の0.9倍(たとえば、この場合は1Hz)の正弦波である。Qサンプルは、「o」3402として示し、Iサンプルは、「x」3404として示す。図から分かるとおり、QおよびIサンプルは、非常に遅く変化する波形のサンプルであり、ベースバンドQおよびI波形を表す。補間フィルタは、これらの波形上で動作し、サンプリング周波数の期間ごとに16の補間点を計算する。
【0252】
図34を参照すると、これは、サンプル周波数の0.9倍で直交サンプリングされた正弦波を示す。補間点は、実際のサンプル値が補間点に当たらないように選択される。その結果、補間フィルタに固有のフィルタ関数がすべての点に適用される。QおよびIサンプル点に対する16の補間点の位置を
図34Aに示す。
【0253】
一般に、4点FIRフィルタは、正確な補間に十分である。点0〜3をQおよびIサンプル間に補間するには、
図34Bに示すように、8個のサンプルのウィンドウを使用することができる。
【0254】
点4〜15を補間するため、ウィンドウは、
図34Cに示すように、1つのサンプル分だけ前方に移動させる。
【0255】
これらのウィンドウを使用すると、各々の補間位置の8つの係数の集合を計算することができ、ウィンドウ内のサンプル値を乗算すると、補間されたIおよびQ値が得られる。最初のウィンドウの場合、補間されたI値は、偶数の積(0、2、4、6)の和であり、Q値は、奇数の積(1、3、5、7)の和である。
【0256】
図35は、
図34の正弦波上で
図34に示す例の正弦波に対する補間値のプロットである。この図では、補間点は点線として示され、ウィンドウを適用することができる最初の位置である(この場合、ウィンドウ#2)第4のサンプル点の後で開始する。
【0257】
図36は、深さの範囲の各々の振動子から直交サンプリングされた信号から成る線形アレイからエコー情報の単一光線ラインを取得するためのデータ集合の図である。データ集合は、一方の軸に沿った深さ3602、および他方の軸に沿ったチャネル番号3604のアレイとして考えることができる。上記のデータ集合から光線ラインに沿った単一範囲点を再現するには、8つのサンプルウィンドウを各々のチャネルのデータ列内の深さに対応する適切なサンプル番号に配置し、要求される正確な遅延を提供する16の補間点の1つを選択する。
図36に示すように、様々なチャネルウィンドウは、範囲点を再現するのに必要な集束の曲率に対応する放物線アーチ3606に沿って配置される。範囲点のビーム成形パラメータは、アパーチャに含まれる各々のチャネルの開始サンプル番号および補間番号を提供することによって画定される。
【0258】
上記の各々のチャネルデータに適切な補間フィルタを適用した後、範囲点の適切な遅延に対応する各々のチャネルごとに、IおよびQサンプルを取得する。本明細書で以前に説明したように、各チャネルからのI、Qサンプルの位相は異なるため、これらのIおよびQサンプルの対を単純に加算して、ビーム成形されたI、Qの対を導くことはできない。各々のチャネルからのI、Qの対を加算する前に、インプリメントされた遅延時間に対して同じ位相を対応するために、各々のチャネルのI、Qの対を位相回転させる。たとえば、2つのチャネルがエコーリターンを受信し、範囲点との光路長の差が、エコー周波数の正確に1/2波長に相当し、これらのエコーリターンが、本発明の直交サンプリングスキームによって同じ時間にサンプリングされる場合、サンプルは、RF信号上の様々な点に位置し、結果として得られるI、Q波形は、180°位相が外れる。この状況は、
図37Aおよび37Bに示され、2つのチャネルの波形上の再現点は、垂直線によって指示される。2つのチャネルの波形からの再現点におけるIおよびQ値は、ビーム成形器内で加算される場合、建設的に加算されるが、値はまったく異なり、建設的に加算されないことは明らかである。2つのIおよびQ値を加算するには、先ず、ベクトル回転を実行しなければならない。回転量は、サンプル期間の開始からの再現点の距離を決定することによって計算され、実際上、補間点数×1/16波長である(正確には、期間の1/32を加算)。この距離は、期間全体の一部を取得し、2*piを乗算することによって、角度に変換することができる。次に、回転方程式は、以下で与えられる:
(1) Qr=I*sin(角度)+Q*cos(角度)
(2) Ir=I*cos(角度)−Q*sin(角度)
補間されたIおよびQサンプルにこれらの回転方程式を使用すると、回転したIおよびQをコヒーレントに加算することが可能である。IおよびQサンプルの回転は、補間に使用される8つの係数に組み入れることができる。たとえば、偶数サンプルがIサンプルである最初の補間ウィンドウを使用する場合、上記の方程式(1)のsin(角度)は、各々のI係数を乗算することができ、cos(角度の項は、各々のQ係数を乗算することができる。次に、すべての積項を一緒に加算すると、結果として得られるFIRフィルタは、回転したQ値を提供する。同様に、係数の別の集合は、回転したI値を計算するために使用することができる。このスキームでは、FIRフィルタは、サンプル期間ごとに2回動作し、異なる係数を使用して、回転したQおよびI値の出力流を生成する。この流れは、他のチャネルの回転QおよびI値の流れと加算して、ビーム成形器の出力を生成することができ、この出力は、この場合、ダインターリーブされたI、Qデータであり、ウンコンバートされた加算RFを表す。あるいは、QおよびI値の補間は、各々4つの係数を有する別個のFIRフィルタと共にインプリメントされる。このスキームでは、位相回転は、補間後のステージでインプリメントされる。
【0259】
2つの直交対が中心周波数の各々の期間で取得されるサンプリングスキームも、直交サンプルの補間後の位相回転を必要とする。このスキームでは、チャネルごとに2つのA/D変換器を使用して、当該チャネルでRF信号を取得し、各々のサンプリングは、中心周波数の2倍で行われる。第2A/D変換器のサンプルクロックは、第1A/D変換器のサンプリングクロックに対して、しっはの期間の1/4だけ遅延される。A/D変換器によって取得されるすべての第2サンプルは、−1を乗算される。補間値は、中心周波数の期間全体の16の個々の点について計算されるか、またはサンプルクロックの機関全体の8つの点について計算することができる。ある範囲の2つのサンプルクロック周期について計算される補間点は、0から15の番号が付けられる。必要な位相回転の量は、2*pi/16を乗算した補間点数である。たとえば、補間点が、奇数番号が付けられたサンプルクロックサイクルの開始後、サンプルクロック周期の1/8に位置する場合、位相回転量は2*pi/16である。補間点が、偶数番号が付けられたサンプルクロックサイクルの開始後、サンプルクロック周期の1/8に位置する場合、位相回転量は2*pi*(9/16)である。補間点は、中心周波数の1/32だけ変位し、その結果、実際のサンプル値は、補間フィルタに固有のフィルタ関数が確実にすべての点に適用される順序で補間点上に位置する。位相回転後、値が加算されて、ビーム成形器出力を提供する。ビーム成形器からの受信信号出力の包絡線の振幅は、IおよびQサンプルの二乗の和の平方根を計算することにょって決定される。次に、圧縮曲線が、包絡線振幅値に適用される。ドップラー処理は、加算されたIおよびQサンプル流を直接使用して、ドップラー周波数の概算ちを導くか、および/またはFFTスペクトルデータを計算することができる。
【0260】
直交サンプル上で動作する補間フィルタの可能なインプリメンテーションについて、以下で説明する。一実施態様では、補間フィルタ、および制御論理は、FPGAデバイスと共にインプリメントすることができる。
図31に関連して上記で述べたとおり、受信ビーム成形器の遅延インプリメンテーションは、補間法を使用して実行される。遅延インプリメンテーションの高レベルダイアグラムを
図25に示す。このダイアグラムは、単一ビーム成形器チャネルのA/D変換後の関数を示す。2つのA/D変換器の出力は、中心周波数の2倍の一定レートで、単一サンプル流に多重化される。10ビットA/D変換器の場合、本明細書では、A/D変換器から来る一連の10ビットサンプルがあり、最初のサンプルはQサンプルとして指示され、次に、直交対のIサンプルとして指示される。この流れは、
図25に示されるデュアルポートram2502に対する入力である。
【0261】
取得ラインの開始時、デュアルポートram内の書込みポインタ2504、および読取りポインタ2506は、ram2502の上部にリセットされる。新たしいサンプルが来ると、そのサンプルは、ram2502の書込みポインタ2504のアドレス書き込まれ、次の順次位置に前進する。書込みポインタ2504は、ram2502の端部に達すると、ram2504の始めに送られ、次の書込み動作が行われる。デュアルポートram2502は、取得ラインに必要なステアリングおよび集束が必要とする最大遅延のサンプルを記憶するのに十分な大きさである。
【0262】
新しい各々のサンプルが書き込まれ、その後書込みポインタ2504が増分するデュアルポートram2502の入力側は、すべてのチャネルは、それぞれの入力データを正確に同時に、同じアドレスに書き込むことができるため、チャネル特有の制御機構を必要としない。デュアルポートram2502の出力側は、独立するチャネル制御を使用する。
図26は、単一チャネルに必要な制御信号をインプリメントする1つの機構を示す。
図26の実施態様では、制御ram2602のアドレスは、入力サンプルクロックレート(中心周波数、Fcの2倍)で増分する。次に、ram2602は、各々のビットが個々の制御信号を提供するレジスタ出力2604を提供する。
【0263】
図25を参照すると、受信遅延を本発明による一実施態様にインプリメントする方法が示され、説明されている。受信アパーチャの中心線に沿って位置する1点から返るエコーの場合、エコーは、最初に当該素子、またはアパーチャの中心に最も近い素子からの信号に出現し、その後、アパーチャの外側部分付近の素子に出現する。これは、アパーチャの中心および外側縁部からの信号のエコーを整列させるため、外側縁部からの信号と加算する前に、中心信号をある期間遅延できることを意味する。デュアルポートram2502の実施例では、比較的長い遅延は、読取り点2506のラグを書込み点2504のさらに後方にすることによって達成される。したがって、アパーチャの中心チャネルは、読取り点2506と書込み点2504との間に比較的大きい差を有し、外側チャネルは最小の差を有する。
【0264】
動的集束の場合、焦点は、受信ラインに沿って音速の半分で外側に移動し、その結果、焦点は、常に、受信されるエコーの位置に存在する。一定のアパーチャの場合、焦点が範囲内から移動すると、アパーチャの内側チャネルと外側チャネルとの間の遅延は減少する。動的アパーチャ、または一定のf(つまり、アパーチャサイズで除算された焦点長)番号動作では、内側チャネルと外側チャネルとの間の遅延は、最大アパーチャに達するまで増加し、次に減少する。
【0265】
動的アパーチャおよび動的焦点をデュアルポートram遅延スキームに使用すると、デュアルポートramポインタ2504、2506の以下の動作が行われる:中心チャネルは、遅延が達成されるまで、書込みポインタ2504を読取りポインタ2506の前方に移動させることによって、最大遅延量(完全なアパーチャの量)だけ遅延される。この点では、読取りポインタ2506は、書込みポインタ2504と同じレートで前方に移動される。外側チャネルの最初の遅延は、書込みポインタ2504を読取りポインタ2506の前方に、適切な量だけ移動させることによって設定される。この最初の遅延偏差は、中心チャネルの読取りポインタ2505および書込みポインタ2504の偏差より小さくて良い。この点では、読取りポインタ2506は、チャネルがアパーチャ内でアクティブになるまで、書込みポインタ2504と同じレートで前方に移動する。
【0266】
チャネルがアパーチャ内でアクティブになった後、その遅延は、時間の経過につれて徐々に増加し、中心チャネルの遅延に近づく。これは、場合により、書込みポインタ2504が移動する時に、読取りポインタ2506を前方に移動させないことによって達成される。その結果、読取りポインタ2506と書込みポインタ2504との間の偏差は、時間の経過と共に徐々に増加する。
【0267】
上記の動作は、
図26Aに示すように、2つの2進状態制御信号のみで指示される。最初の信号は、読取りポインタ前進イネーブル(PRE)2600であり、この信号は、読取りポインタ2506が書込みポインタ2504と共に前進することを可能にする。この信号が、Fc*2サンプルクロックの時間において真である場合、書込みポインタは、データがデュアルポートram2502に書き込まれた後に前進し、読取りポインタ2506は同時に前進する。信号が偽である場合、書込みポインタ2504は、書込み動作後に前進するが、読取りポインタ2502は同じ状態を維持する。PRE制御信号2606、2606aは、チャネルの最初の遅延を設定するためにのみ使用されるのではなく、動的集束粗遅延をインプリメントするためにも使用される。
【0268】
第2制御信号(CE)2608、2608aは、チャネルの出力がアクティブになる時を単に指定し、その結果、すべてのアクティブチャネルの加算に関与する。これは、補間器の最終出力レジスタの「クリア」入力を制御するCE信号2608、2608aによって達成することができる。チャネルは、その素子感度パターンによって、ある減衰閾値量未満を有するリターンエコーを受信することが可能になる時に応じてアパーチャ内でアクティブになる。この時間は、最初の制御信号によってインプリメントされる最初の遅延時間と一致しなければならない。CE信号2608は、取得ラインの開始からの直交サンプルの数に関して、チャネルがアクティブになる時を指定することに注意しなければならない。これは、チャネルは、最初にチャネルの加算に関与する時に、直交対に寄与しなければならないためである。Fc*2サンプルクロックの場合、すべての直交サンプル対に2つのクロックがある。
【0269】
図26は、中心素子(2606および2608)に出現する制御信号、および完全アパーチャの外側縁部(2606aおよび2608a)における素子を示す。しかし、偶数のチャネル/素子の場合、アパーチャの中心は2つの素子間に位置するため、実際の中心素子は存在しない。
【0270】
中心チャネルの場合、RPE2606は、必要な最大遅延時間だけ低く維持される。その結果、書込み点2504は前方に移動し、読取り点2506は移動しない。遅延時間に達した後、RPE2606は高く設定され(真)、読取りポインタ2506は、書込みポインタ2504と同じレートで前進することが可能になる。中心チャネルに必要な動的集束はないため、RPE2606は、取得ラインの残りで高く維持される。中心チャネルのCE信号2608は、遅延時間に達した直後にチャネルをアクティブにする。偏差は、シフトレジスタ、補間フィルタに使用されるレジスタが充填されることを可能にする。CE信号2608は、次に、出力レジスタ上のクリアを除去し、その結果、チャネルのデータは加算バスに入る。
【0271】
外側チャネルでは、最初の遅延が、中心チャネルよりはるかに短いため、RPE2606aは短時間だけ低く維持される。次に、RPE2606aは高く設定され、チャネルがアクティブになるまで、この遅延を維持することを可能にする。その時点では、RPE信号2606aは、単一クロックサイクルで低く設定され、時には、動的集束パターンをインプリメントする。チャネルが加算に関与することができる場合、CE信号2608は出力レジスタ上のクリアを除去する。
【0272】
再び
図25を参照すると、補間フィルタは、ビーム成形に対して微細遅延分解能を提供する。中心周波数の波長ごとに16の補間点があり、1/16ラムダ遅延分解能を提供する。各々の補間点では、2つの8点FIRフィルタが適用され、一方は分析信号Iサンプルを生成し、他方はQサンプルを生成する。これは、補間フィルタは、中心周波数の期間ごとに2回、またはサンプルClk(Fc*2)レートで動作することを意味する。IおよびQサンプルは、出力レジスタに連続して出力され、イネーブルになると、サンプルを加算バスに供給する。
【0273】
補間フィルタ用の入力は、デュアルポートram2502の読取りアドレスから来て、一般に、各々のサンプルClk(Fc
*2)に1つのサンプル(IまたはQ)だけ前進する。デュアルポートram2502で読取りが実行されると、サンプルは、8つのサンプルシフトレジスタ2508に入力され、このレジスタは、読み取った最後の8つのサンプルを保持する。デュアルポートram2502の読取り動作がイネーブルではない場合(RPEが低い)、データはシフトレジスタ2508に入らず、読取りポインタ2506は前進しない。シフトレジスタ22508は、最後の8つのサンプルをまだ保持しており、読取りポインタ2506が前進しない場合、サンプルは失われない。読取りポインタ2506は、単に書込みポインタのさらに後方に位置する。
【0274】
2つのサンプルクロックサイクルごとに、シフトレジスタ22508内のサンプルは、補間フィルタの乗算器2510の入力と平行に転送される。これらのサンプルは、IおよびQ出力を生成する2つの乗算/累算動作を維持する。動的集束が行われない場合、乗算器の入力部に移動したサンプルは、各々の中心周波数期間に2つのサンプル分だけ、適時に前方に変位する。次に、フィルタは、中心周波数の各々の期間にIおよびQサンプルを出力する。動的集束では、場合により、デュアルポートramの読取リサイクルはディスエーブルされ、乗算器の入力部に移動したサンプルは、1つのサンプル分だけ前方に変位する。その結果、補間点は、中心周波数の全体の期間未満の適時に前方に移動する。外側チャネル上の動的集束では、補間点は、適時に徐々に、中心チャネルと同時に逆に移動する。
【0275】
補間フィルタによって使用される係数は、小型ram内に記憶され、システムCPUによってロードすることができる。ram2512は、係数の32の集合、つまりI補間点に16、Q補間点に16を保持することができる。係数は、5つのアドレスライン別に選択され、そのうちの4つは、制御ram2602に由来する制御ラインである。これらの4つのラインは、その他のサンプルクロック(Fc*2)ごとに新しいアドレスを提供しなければならない。その他のラインは、選択される補間点のIまたはQ係数の集合を選択し、フィルタの動作でトグルすることができ、中心周波数の期間ごとにIおよびQサンプルを生成する。最後に、補間フィルタ用の出力レジスタ2514は、サンプルが加算バスに入る前に、出力サンプルを保持する。このレジスタのクリア入力は、CE制御ラインによって制御される。その結果、チャネルは、補間出力が有効になるまで、加算バスに寄与することをディスエーブルされる。
【0276】
補間フィルタ、位相回転、および動的アポダイゼーションをインプリメントするもう1つの方法を
図25Bに示す。この図では、クロックを必要とする上のボックス2520内のすべてのデジタル回路素子は、受信周波数クロックで計時される。クロックを必要とする下のボックス2522内のすべてのデジタル回路素子は、受信周波数クロックの2倍で計時される。アナログ/デジタル変換器(ADC)2524、2526からの入力I/Qデータは、個々のFIFO2528、2530に書き込まれる。ADC2524、2526からのサンプル出力は、偏差補正が行われ、予め決められた一定の値が加算される。ADCの偏差補正ステージの2524、2526出力からのサンプルは、FIFO2528、2530内に同時に記憶されるため、FIFO内への新しいサンプルの書込みは別個のタイミング論理を必要としない。すべてのチャネルは、同じ書込みイネーブル信号を共用する。各々のIおよびQチャネル2528、2530のFIFOの読取り側は、ビーム成形器コントローラによって生成される受信遅延信号によって制御される単独のイネーブル信号2532、2534を使用する。
【0277】
各々のFIFOの読取りイネーブル信号2532、2534は、各々のチャネルに必要な初期粗遅延値2536に等しい多数の受信クロックサイクルだけ遅延する。読取りイネーブル信号2532、2534が低く維持され、データがFIFO2528、2530内に書き込まれる場合、FIFOの読取りは停止し、粗遅延2536が増加する。読取りイネーブル信号2532、2534が高くなると、加わる粗遅延2536は一定の状態を保つ。中心からの信号のエコーおよびアパーチャの外側縁部を整列させるため、中心信号は、外側縁部からの信号と加算される前に、ある期間遅延される。アパーチャの中心でサンプリングされたデータの遅延値は、外側縁部の遅延値より大きい。
【0278】
動的受信集束は、補間フィルタインデックス2540を充電する必要がある場合に高くなる制御信号DF2538を必要とする。補間フィルタインデックス2540は、0から15の16の数のmoduloである。補間フィルタインデックス2540は、補間点が1/16波長だけ変位すると減少する。補間フィルタインデックス2540が0から15に減少すると、FIFO読取りイネーブル信号2532、2534は、1クロックサイクルで低くなり、粗遅延2536を1だけ増加させる。
【0279】
微細遅延は、補間によってインプリメントされる。この実施例では、補間フィルタは、収縮FIRフィルタとして、4つのタップ2542、2544、2546、2548と共にインプリメントされる。16の補間点には、係数の16集合がある。各々の補間点は、4つの係数2550、2552、2554、2556を有する。IおよびQサンプルをインターリーブし、フィルタを受信クロック周波数の2倍で動作させることによって、同じ補間フィルタをIおよびQサンプルの両方に使用することができる。ADCにより取得されたIおよびQサンプルは、異なる点で適時にサンプリングされるが、同じ点に適時に補間されるため、係数の異なる集合はIおよびQの補間に使用される。サンプリング偏差を補正するため、Qサンプルの補間フィルタインデックスは、Iサンプルのインデックスから4だけ偏位する。補間フィルタに使用される係数は、係数を記憶するRAM2558アドレスを切り換えることによってI係数およびQ係数との間で交替する。補間フィルタインデックスは、係数のアドレス計数器2560によって表される。IおよびQ係数のアドレス計数器2560は、DF信号2538が、1クロックサイクルで高くなった時に減少する。補間フィルタ2560の出力は、I/Qインターリーブされる。
【0280】
補間信号は、
図25Bに示す位相回転ステージ2564、2566に供給される。位相回転回路には、2つの乗算器/累算素子がある。一方は、Qr=I*sin(角度)+Q*cos(角度)2568を生成するために使用され、他方は、Ir=I*cos(角度)−Q*sin(角度)2570を生成するために使用される。正弦および余弦係数は、RAM内にルックアップテーブル2572、2574として記憶される。正弦および余弦値の16の集合がある。余弦および正弦ルックアップテーブル(LUT)2572、2574のアドレスは、補間フィルタの係数2550、2552、2554、2556と同じ時に更新される。位相回転回路2564、2566も、中心周波数の2倍で動作する。第2の動作サイクルごとに、有効なIrおよびQrデータの対が生成される。
【0281】
動的アポダイゼーションでは、位相回転2568、2570の出力は、受信時に動的に変国される係数を乗算される。チャネルの増倍係数がゼロに設定される場合、チャネルはアパーチャに寄与しない。こうして、動的アパーチャの更新が行われる。IおよびQサンプルは、マルチプレクサ(MUX)2572を介して共通の乗算器にインターリーブされ、必要な乗算器の資源を減少させる。
【0282】
補間フィルタによるマルチラインビーム成形
ビーム成形に補間フィルタを使用すると、マルチライン走査が可能になる。マルチライン走査では、いくつかの受信ラインが、
図38に示すように、同じ送信ビームで再現される。送信ビームは、一般に、受信ラインが取得される領域をカバーする大きい被写界深度と共に広げられる。
【0283】
マルチライン内の隣接する受信走査ラインは、各々のチャネルの個々の遅延がごくわずかに変化することが可能なので、補間フィルタの遅延インプリメンテーションは、すべてのラインを同時に処理することを可能にする。この方法は、帯域幅サンプリングで行われ、補間フィルタは、
図39の個々のチャネルの補間フィルタの例示的な概念上のインプリメンテーションに示すサンプルレートより高いレートで動作する。
【0284】
図39では、個々の受信チャネルのA/D変換器からのデジタルサンプルは、可変長シフトレジスタ3902を介して送信され、サンプルの整数の粗遅延をインプリメントする。可変長シフトレジスタ3902の出力は、次に、第2シフトレジスタ3904に送信され、個々のシフトステージにアクセスすることができる。この第2シフトレジスタ3904に充填されると、補間フィルタはサンプルのサブセット上で動作し、サンプルは、たとえば8つのサンプルである。補間フィルタは、1/16波長以上の分解能の微細遅延を提供する。上記の実施例では、補間フィルタは、フィルタシフトレジスタのセル4および5間の補間サンプルを提供する。
【0285】
図40に示す3−1マルチライン走査では、補間フィルタは、サンプルシフトごとに3回動作する。
図40の実施例では、フィルタウィンドウは、第1受信ラインでは通常位置から1サンプルだけ後方に偏位し、第3受信ラインでは1サンプルだけ前方に偏位する。実際上、隣接するラインには遅延値にサンプル差はないため、すべてのラインは同じフィルタウィンドウを使用する必要がある。各々のラインのフィルタウィンドウの位置は、プログラム可能である。遅延差が1サンプルより大きい状況では、フィルタシフトレジスタを拡張して、ウィンドウ間の分離をより大きくすることができる。波長当たり1つまたは2つのサンプルのみがある帯域幅サンプリングの場合、フィルタウィンドウは、多くの場合、1サンプル期間より多く分離する必要はない。
【0286】
図40に示すフィルタ動作の出力は、単一出力流に時間多重化される。この流れは、他のチャネルからの寄与に加算され、ビーム成形器の出力を生成する。3−1マルチラインの場合、加算回路構成は、サンプルレートの3倍で動作することが可能であることに注意する。次に、ビーム成形器の加算出力は多重分離され、下流処理用の3つのマルチライン受信ラインを生成する。下流処理は、単一光線ラインの取得時間に3つのラインを処理することができる。
【0287】
上記の例示的な受信ビーム形成方法では、出力は、再現ラインに沿ってサンプリングされたRFデータを表すサンプルのデジタルデータ流である。この流れは、受信アクティブアパーチャに関与するすべての受信チャネルからのデータサンプルを加算することによって導かれる。RFデータ流は、全体の光線ラインを保持するのに十分な記憶域を有するバッファ内に補足することができる。この同じバッファは、合成アパーチャの取得に使用され、受信アパーチャの第2の半分からのRFデータが加算回路構成から出て行く時に、このRFデータと加算される。
【0288】
ダウンコンバーションを含まないNyquistまたは帯域幅サンプリングスキームでは、加算されたRFデータ流は、生RF流としてビーム成形器を出て行く。このデータ流は、多くの場合ヒルベルト変換フィルタと呼ばれる1対の相補(complimentary)90°位相差フィルタを使用して、異なる形式に変換することができる。これらのフィルタは、RF信号を効果的に帯域通過させ、同時にベースバンド直交データ流にダウンコンバートする。次に、これらのベースバンドIおよびQデータ流は結合され、2Dイメージングのためのエコー振幅データを提供するか、またはドップラー血流検出のためにさらに処理することができる。ヒルベルト変換フィルタは、高調波イメージング、または周波数複合に必要な場合、受信信号スペクトルの一部分を選択的にフィルタリングして処理することができる。周波数複合の場合、フィルタは、スペクトルの異なる周波数帯域からインターリーブ出力サンプルを生成するために、時間多重化される。
【0289】
再び
図31を参照すると、ビーム成形器モジュール3102は、ビーム成形器制御装置も備えることができる。各事象を統合して、完全な画像フレームを形成するため、ビーム成形器は、ある種のコントローラを使用する。コントローラは、一連音ビーム成形器の事象を指定する単純な状態マシンとしてインプリメントすることができる。各々のビーム成形器の事象は、送信動作、受信動作、および/または信号処理動作を指定することができる。送信動作は、アレイからの送信パルスに関連するすべてのパラメータを指定する。これらのパラメータとしては、アレイ内の所望の素子に対するパルサーの接続持続時間、各々のパルサーの遅延時間、送信波形の特性、および送信アパーチャのアポダイゼーション関数が挙げられる。これらのパラメータは、受信チャネルに接続される素子の詳細、各チャネルに使用されるTGC波形、A/D変換器のサンプルレート、動的アパーチャ、再現プロセスに使用されるステアリングおよび/または動的集束パターンを含む。最後に、信号処理動作は、たとえば加算出力を合成アパーチャにバッファするか、またはヒルベルト変換フィルタに送信することなど、加算出力に何を行うことを指定する。ヒルベルト変換フィルタは、ビーム成形器事象に必要なことを実行するために指定される。
【0290】
上記の説明から明らかなとおり、ビーム成形プロセスの制御は複雑である可能性があり、この複雑さに対処する方法は、ハードウェアを制御するために使用されるメモリブロック内のリアルタイム走査以前に、すべての情報を符号化することである。次に、ビーム成形器コントローラのタスクは、ビーム成形器の事象に必要な情報を検索するのに適するメモリブロックの部分を「ポインティング」するように縮小される。次に、特定の動作モードのビーム成形器の設定は、すべてのメモリブロックにパラメータ情報をロードし、個々のポインタを含むビーム成形器の様々な事象をコントローラの状態マシンにプログラミングすることによって行われる。走査モードを実行するため、次に、取得データの全体的なフレームの事象を実行してステップスルーするように告げる。フレームの終わりに、コントローラは停止信号を探し、見つからない場合、全体のシーケンスを再び繰り返す。
【0291】
例示的な超音波システムの実施態様は、1秒当たり数百フレーム以上の範囲のある動作モードで、非常に光度の取得フレームレートが可能である。本発明による他の実施態様と同様、例示的な実施態様は、
図28に関連して上記で述べた非同期処理を使用することにより、取得レートが非常に高速である場合でも、表示された超音波画像情報を30fps以下で処理する。しかし、Nyquistサンプルデータの場合、データ記憶装置は50〜100%増加することを評価するべきである。
【0292】
やはり上記で説明したとおり、信号処理ハードウェア/ソフトウェアは、RFメモリバッファにランダムアクセスし、単一取得フレームからRFデータにアクセスして、表示された概算データを生成する。この例示的な実施態様では、信号処理および表示の最大フレームレートは30fpsであり、これは、一般にタイマーによって設定され、1/30秒ごとに信号処理タスクを信号で知らせる。新しい表示フレームの処理が完了すると、信号処理/表示タスクは、次の1/30秒の時間目盛を待つ。この時点では、信号処理タスクは、書込みコントローラから「最後のフレーム」ポインタを読み取り、新しいフレームが使用可能かどうかを確認する。「最後のフレーム」ポインタが以前に処理されたフレームから前進しなかった場合、信号処理は何も行わず、次の1/30秒の目盛を待つ。「最後のフレーム」ポインタが変更された場合、信号処理は、ポインタが支持するフレーム上で開始する。この方法では、信号処理は、常に1/30秒目盛で開始し、常に、取得された一番最近のフレーム上で動作する。取得が、30fpsよりはるかに早く動作している場合、「最後のフレーム」ポインタは、各々の信号処理動作で数フレーム前進する。
【0293】
システムが凍結された後、メモリバッファ内に記憶されたRFフレームは、最初の取得レートまでの任意の所望のレートで処理することができる。1/30秒でどの位多くのRFフレームが前進するかは単純に計算され、これは、浮動小数点値として計算され、1未満の分数から、リアルタイムの取得時の1/30秒で生じる多くのフレームまで異なる可能性がある。各々の1/30秒では、信号処理は、整数の境界に交差するまでフレームの前進値を累算する。その時点で、信号処理は、処理される最後のフレームの先のフレームの整数の境界数であるフレームを処理する。
【0294】
合成アパーチャビーム成形は、このメモリバッファスキームによってもサポートされる。この場合、合成アパーチャを構成する様々なラインは、順次メモリバッファ内に取得され、RF記憶フレームのサイズが増加する。これは、単に書込みコントローラの異なるパラメータであり、書込みコントローラは、取得フレームごとにどの程度多くのラインが書き込まれるかを記録する。読出しの場合、信号処理は、次に、合成アパーチャ内の複数のRFラインを結合して、最終結果を生成する。
【0295】
シネループ再生用のRFデータは、異なる方法によるデータの再処理を提供し、新しい情報をもたらす。たとえば、カラーフローイメージング用のウォールフィルタは、再生時に変更され、特定の流れの状態に応じて最適化を可能にする。第2に、RFデータを扱うことを望む研究者の場合、バッファメモリは、外部記憶デバイスにダンプされ、RFデータの複数のフレームを分析に提供する。最後に、診断ツールとして、バッファメモリは、CPUからテストRFデータをロードされ、信号処理方法のデバッグ、分析、および検証を可能にする。
【0296】
Nyquistサンプリングされるビーム成形方法の場合、ダウンコンバートされる直交サンプリングデータはRFデータから導かれ、振幅の検出およびドップラー処理が行われる。こうしたデータは、通過帯域の周波数上で90°位相差を有するように設計された相補(complimentary)位相FIRフィルタを使って取得することができる。これらのフィルタも、サンプル流をより低いサンプルレートにダウンコンバートすることができるが、出力サンプルレートは、信号の周波数範囲をサンプリングするのに十分でなければならない。ダウンコンバートされた出力サンプルを提供するため、フィルタは、スペクトルの中心周波数のサイクルの整数だけ変位されるRFデータ上で動作する。あるいは、異なるフィルタは、比較的小さいデシメーション比を得るように、非整数のサイクル変位用に設計することができる。例示的なHilbertフィルタの概略の設計は、当業者によって当該技術分野で周知されており、
図41に示す。
【0297】
このフィルタは、ウィンドウイング法を使用して、ローパスフィルタを最初に計算することによって設計される。フィルタの長さは、広範な周波数で良好な応答を確保するには、約40タップ必要であり、RFデータの中心周波数の期間内のサンプル数の倍数でなければならない。たとえば、サンプルレートが120MHz、中心周波数が30MHzであり、中心周波数の期間内に4つのサンプルがある場合、適切なフィルタの長さは40タップ(10期間)になる。次に、ローパス係数は、周波数が中心周波数に適合する正弦および余弦関数を乗算される。30MHzの実施例では、正弦および余弦関数の各々の期間は4つのサンプルである。
【0298】
ダウンコンバートされたサンプルを得るには、フィルタは、中心周波数のサイクルの整数だけ変位するサンプルに適用される。30MHzの中心周波数の場合(120MHzでサンプリングされる)、RFサンプルは、一度に4つのサンプルだけ変位され、デシメーション比は4対1になる。このデシメーション比では、入力信号は100%の帯域幅に制限されるか、あるいは出力サンプルのエイリアシングが生じる。
【0299】
比較的小さいデシメーション比を得るため、フィルタは、位相情報を保存するために、別の係数の集合を使用することができる。30MHzの実施例の場合、4対2のデシメーション比を達成するには、1つは0°位相、もう1つは180°位相の係数の2つの集合を使用する。
【0300】
こうした別の係数の集合は、ローパスフィルタ係数を乗算する前に、適切な位相増分で
+正弦および余弦をサンプリングすることによって得られる。出力サンプラー間の変位が中心周波数の期間の1/2である場合、デシメーション比を得る単純な方法は、係数を同じに保ち、1/2期間の増分のフィルタ出力の記号を逆にすることである。
【0301】
フィルタの通過帯域特性は、様々なウィンドウイング機能を使用して変更することができる。これは、高調波イメージングまたはトラッキングフィルタに望ましい。周波数コンパウンドは、高いデシメーション比の場合、追加のフィルタがなくても達成することができるが、フィルタは、入りサンプルレートで動作可能でなければならない。30MHzの実施例の場合、2つのフィルタは、2つのサンプル変位増分において、RFデータ上で動作する異なる中心周波数に使用することができる。フィルタブロックは、2つのサンプルごとに異なるフィルタ結果を出力する。次に、異なるフィルタからインターリーブされた2つのI、Qサンプルが検出され、一緒に加算されて、4対1のデシメートされた検出出力を生成する。
【0302】
実施例3
最大256個の素子を有するアレイに対する例示的なシステムインターフェースは、超音波画像を取得するために使用される。表4は、画像を取得するための例示的な深度範囲、視野、Bモードのフレームレート、およびカラーフローイメージングのフレームレートを示す。これらの動作パラメータは、左端の列に記載されている特定の小動物イメージングアプリケーションに使用することができる。しかし、当業者には明らかなとおり、動作パラメータのその他組合せは、小動物およびヒトの被検体の解剖学的構造またはその一部をイメージングするために使用することができる。
【0303】
小動物の被検体を使用し、動物に麻酔して、加熱した小動物プラットフォーム上に配置する。ECG電極を動物上に配置し、ECG波形を記録する。温度プローブを動物に配置して、温度を記録する。それによって、イメージング時に、動物の重要な生理学的パラメータを監視する。使用する麻酔剤は、たとえばイソフラボンガス、または別の適切な麻酔剤で良い。イメージングする領域は、剃髪して毛皮を除去する。イメージング以前に、超音波伝導ゲルを、イメージングする領域に配置する。超音波アレイは、アレイの走査平面が対象領域に整列して、ゲルに接触するように配置する。イメージングは、「フリーハンド」で行うか、またはアレイを固定具上に実装し、アレイを安定させて行う。
【0304】
Bモードフレームレートは、表4に記載する様々な視野について概算する。比較的高いフレームレートは、減少した視野で得られる。カラーフローイメージング(CFI)フレームレートは、ライン密度がBモードの密度の1/2の指示されたカラーボックスの幅について概算され、Bモード画像を同時に取得する。
【0305】
【表4-2】
様々な中心周波数および角度に関して、150KHzのPRFで測定可能な非エイリアス速度をパルス波(PW)ドップラーについて表5に記載する。
【0306】
【表5】
マウスの心拍数は高く、500拍/分または8拍/秒である。心周期ごとに取得されるフレーム数が増加すると、心周期全体の心臓運動は、より正確に評価することができる。フレームレートは、心周期ごとに少なくとも10フレーム、より良好な時間分解能の点で好ましくは20である。したがって、一実施態様では、少なくとも1秒当たり160フレームのレートで、マウスの心臓および周囲組織(10〜12mm)の長軸像を含むのに十分な大きさの視野で取得される。たとえば、30MHzの線形アレイを使用すると、12mmの視野のフレームレートは、1秒当たり約180フレームである。視野がより小さい場合、使用されるフレームレートは高くなる(たとえば、2mmの視野、30MHzの線形アレイの場合、1秒当たり900を超えるフレームレートを使用すると、心臓弁などの迅速に移動する構造を観察することができる)。
【0307】
マウスの循環系(大動脈)に存在する最大速度は高く、通常の成体マウスでは1m/秒だが、病体の場合は4〜5m/秒という高さに達する可能性がある。マウスの大動脈からの非エイリアスPWドップラー信号を取得して表示するには、PWドップラー用のパルス繰返し周波数(PRF)が比較的高くなければならない。例示的なシステムでは、150KHzという高いPWドップラーモードのPRFが使用され、中心周波数が30MHz、およびドップラー角度が60°の場合、血流速度の非エイリアス測定は3.8m/秒になる。
【0308】
Bモードイメージングのフレームレートは、信号が検出される組織の最大深度に対する超音波の双方向送信、フレーム当たりのライン数、送信焦点領域の数、各々の送信パルスで処理されるライン数、ラインとフレームとの間のオーバヘッド処理時間によって決定される。異なる送信焦点領域位置で取得された画像は、一緒に「縫合」して、フレームレートを犠牲した画像全体の分解能を改善することができ、この分解能は、区域の数に相当する係数だけ減少する。浸透を増加または解像度を増加させるため、ユーザが選択可能であるか、または自動的に送信焦点領域の位置にリンクされる比較的低いかまたは高い送信中心周波数の選択。超音波ラインの並列処理を伴うマルチライン処理は、フレームレートを増加させるために使用することができる。
【0309】
PWドップラーの特徴としては、約500Hz〜約150KHzのPRF範囲、交互の送信周波数選択、レンジゲートサイズおよび位置の選択、ハイパスフィルタのカットオフがあり、リアルタイムBモード画像がPWドップラーモードと同時に表示される二重モード動作は、Bモードに使用される送信周波数と同じであるか、または異なって良い。PWドップラービームをステアリングする能力は、使用する周波数およびアレイのピッチ、アレイ内の素子の指向性によって決まり、これは、当業者であれば理解すると思われる。75ミクロンのピッチを有し、PWドップラーにおいて24MHzの送信周波数で動作するアレイの場合、ビームは最大約20°ステアリングされる。このアレイの場合、比較的大きいステアリング角度は、不適切に大きい格子ローブが生じ、人為的信号の検出の一因になる可能性がある。
【0310】
カラーフローイメージング(CFI)は、組織のある領域内の平均流速の概算を提供するために使用することができる。CFIデータが処理される領域は、「カラーボックス」と呼ばれる。Bモードデータは、通常、Bモードラインをカラーフローラインとインターリーブすることによって、カラーフローデータとほぼ同時に取得される。カラーフローデータは、カラーフローデータは、2つのデータ集合が空間的に整列するように、Bモードフレーム上でオーバーレイとして表示することができる。CFIは、アレイのタイプに応じて、約500Hzから約25〜75KHzまでのPRFレンジを含む。40MHzの中心周波数、および超音波ビーム軸と速度ベクトル間の角度が0°の場合、最大非エイリアス速度は約0.72m/秒である。ビームステアリングは、アレイの特性(特に、素子の間隔)、送信周波数、およびビーム成形器の能力によって決まる可能性があり、たとえば、ステアリングは、主な中心周波数で利用可能ではなく、別の(比較的低い)周波数で利用可能である。75μのピッチを有し、CFIにおいて24MHzの送信周波数で動作するアレイの場合、ビームは、最大約20°ステアリングすることができる。比較的大きい角度は、不適切な格子ローブレベルを生じる可能性がある。カラーフローイメージングの特徴としては、カラーボックスのサイズおよび位置の選択、送信焦点深度の選択、別の周波数の選択、レンジゲートのサイズの選択、およびハイパスフィルタのカットオフの選択が挙げられる。パワードップラーは、カラーボックス内の組織から生じるドップラー信号の電力の概算を提供するために使用することができる。組織ドップラーモードは、移動する組織からの平均速度概算が提供されるCFIの変形である。マルチライン処理は、CFIモードに適用される方法であり、複数の受信データが、送信される各々の送信パルスに関して処理される。
【0311】
ビーム成形器は、2−Dイメージングおよびドップラーモードが、Bモードラインをドップラーラインとインターリーブすることによって、ほぼ同時にアクティブになるモードをサポートすることができる。3−Dイメージングは、当業者が周知しているように、上昇方向に機械的な走査を使用する。
【0312】
このアプリケーション全体で、様々な出版物を引用している。これらの出版物の開示内容は全体として、本発明が関連する技術の現状を完全に説明するために、引用することにより本出願に援用する。
【0313】
特記しない限り、本明細書に記載する何らかの方法は、いかなる点でも、そのステップが特定の順序で実行されることを必要とすることを意図するものではない。したがって、方法クレームが、各ステップが行われる順序を実際に列挙せず、各ステップが、特定の順序に限られることをクレームまたは明細書内で特に指定されていない場合、決して、何らかの点で順序が推測されることは意図していない。これは、ステップの配置または動作の流れに関する論理の問題、文法上の構成または句読法から生じる明白な意味、明細書に記載されている実施態様の数またはタイプを含む解釈に考えられる何らかの非明示的な根拠に適用される。
【0314】
当業者には、本発明の範囲または精神を逸脱せずに、本発明に様々な変更および変形を加えることが可能であることは明らかである。本発明のその他の実施態様は、明細書を考察し、本明細書に開示する本発明を実践することから当業者にとって明らかになるであろう。明細書および実施例は、単なる実例であることが意図されており、本発明の真の範囲および精神は以下の請求の範囲に指示されている。