(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る給電コネクタの一実施形態を、
図1〜5に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、本実施形態の給電コネクタAは、電気自動車(電動機械)に電力を供給する充電スタンド等の充電装置に備えるものであり、電力供給時(充電時)に電気自動車に設けられる受電側コネクタB(
図4参照)に接続するものである。以下の説明では、各図面におけるY軸正方向を前方と呼び、Y軸負方向を後方と呼ぶことがある。また、X軸正方向を上方と呼び、X軸負方向を下方と呼ぶことがある。また、Z軸方向を幅方向と呼ぶことがある。
給電コネクタAは、筒状ケース1と、コネクタ本体2と、操作レバー部3と、リンク機構4と、グリップ部5と、を備える。
【0019】
筒状ケース1は、筒状に形成され、その中心軸線L1方向(Y軸方向)の前方側の端部(前端部)に開口する前端開口部1aを有する。筒状ケース1の前端部は、受電側コネクタBのシェル101内に挿入される挿入部11として構成されている。挿入部11の周壁には、後述するロックアーム7の係止爪71を挿入部11の径方向外側に臨ませる挿通孔11aが形成されている。
【0020】
筒状ケース1の後方側の端部(後端部)は、筒状ケース1の外面のうち筒状ケースの後方(Y軸負方向)側に向く面を有する部分である。言い換えれば、筒状ケース1の後端部は、筒状ケース1の外周面の後方側の端部(
図1において境界線L2で示す部分)よりも筒状ケース1の後方側に位置する部分である。
筒状ケース1の後端部には、後述する操作レバー部3の第二端3Bを外方に突出させる開口孔12が形成されている。本実施形態の開口孔12は、中心軸線L1よりも筒状ケース1の上方(X軸正方向)側にずれた位置に形成されている。また、開口孔12は、筒状ケース1の後端部の傾斜面1cに開口している。
【0021】
傾斜面1cは、筒状ケース1の外周面の周方向の一部(
図1において筒状ケース1の上方(X軸正方向)側に位置する筒状ケース1の外周面の部分)から、筒状ケース1の後方(Y軸負方向)に向かうにしたがって筒状ケース1の下方(X軸負方向)側に傾斜している。また、傾斜面1cは、筒状ケース1の後方(Y軸負方向)に向かうにしたがって筒状ケース1の外周面(Y軸方向)に対する傾斜角度が漸次大きくなるように、断面円弧状に湾曲している。さらに、傾斜面1cは、後述する操作レバー部3の回動軸線L3を中心とした円弧となるように形成されている。
また、傾斜面1cは、中心軸線L1を越えて筒状ケース1の下方(X軸負方向)側まで延びている。ただし、傾斜面1cは、操作レバー部3の回動軸線L3よりも筒状ケース1の上方(X軸正方向)側に形成されている。このため、傾斜面1cは、筒状ケース1の後方(Y軸負方向)側だけではなく、筒状ケース1の上方(X軸正方向)側にも向いている。
【0022】
開口孔12の周縁には、筒状ケース1の外面(傾斜面1c)から突出して開口孔12を囲む突条部13が形成されている。本実施形態の突条部13は、開口孔12の内周面を開口孔12の貫通方向に延長させるように形成されている。
【0023】
さらに、筒状ケース1の後端部には、LED等の表示ランプ14が設けられている。表示ランプ14は、電気自動車に電力を供給している状態を点灯によって充電作業を行うユーザー(作業者)等に報知するものである。すなわち、表示ランプ14は、充電時に点灯し、充電完了時や充電していない状態で消灯するように設定されている。
本実施形態では、表示ランプ14が、筒状ケース1の後端部の傾斜面1cから外方に露出している。これにより、ユーザー等は表示ランプ14を筒状ケース1の後方(Y軸負方向)側から視認することができる。また、表示ランプ14は、傾斜面1cのうち開口孔12よりも下方(X軸負方向)側にずらした位置に配されている。
【0024】
グリップ部5は、筒状ケース1に一体に設けられ、筒状ケース1の中心軸線L1方向(Y軸方向)に交差する方向(筒状ケース1の径方向外側)に延びている。グリップ部5の延在方向は、例えば、中心軸線L1に沿って筒状ケース1の前方側に向かう方向(Y軸正方向)に対する傾斜角度θが90度以上180度未満となるように設定されるとよい。グリップ部5の傾斜角度θは、例えば100度以上140度以下であると、より好ましい。
本実施形態では、グリップ部5が筒状に形成され、グリップ部5の内部空間が筒状ケース1の内部空間に連通している。また、グリップ部5は筒状ケース1の後端部に設けられている。また、グリップ部5は、筒状ケース1の下方(X軸負方向)側の部分に設けられている。すなわち、グリップ部5は、中心軸線L1を基準として開口孔12と反対側に位置している。本実施形態のグリップ部5は、筒状ケース1に一体に形成されているが、例えば筒状ケース1と別個に形成された上で筒状ケース1に固定されてもよい。
【0025】
コネクタ本体2は、筒状ケース1の中心軸線L1方向に摺動自在とされた状態で筒状ケース1内に収容される。
コネクタ本体2は、受電側コネクタBに電気接続するための複数の給電側端子(端子)21と、複数の給電側端子21を収納する筒状の端子収納部22と、給電側端子21の基端に接続されるケーブル10を収納するケーブル収納部23とを備える。ケーブル10は、給電側端子21側からグリップ部5内を通じて給電コネクタAの外側に延びるように配されている。
【0026】
給電側端子21には、電気自動車に電力を供給するための給電用端子のほか、例えば充電装置と電気自動車との間で充電制御に要する情報を通信するための通信用端子などがある。端子収納部22は、コネクタ本体2の中心軸線L1方向への移動に関わらず、主に筒状ケース1の挿入部11内に配されている。端子収納部22の前方(Y軸正方向)側の端部は、給電側端子21の先端を筒状ケース1の前端開口部1aから外方に臨ませるように開口している。これら給電側端子21等の各種端子の具体的な数や配置、端子収納部22の具体的な形状、また、前述した筒状ケース1の挿入部11の形状等は任意に設定することが可能であるが、例えば「日本電動車両規格:JEVS G 105」に定められているものが挙げられる。
ケーブル収納部23は、端子収納部22よりも後方(Y軸負方向)側に配され、端子収納部22の後方(Y軸負方向)側の端部に固定されている。ケーブル収納部23は、ケーブル10を収納できるように、中心軸線L1方向(Y軸方向)に直交する断面でC字状となるように板材を折り曲げて形成されている(特に
図3参照)が、これに限ることはない。
【0027】
上記コネクタ本体2を筒状ケース1に対して中心軸線L1方向に摺動自在とする手段には、従来周知の摺動手段を用いることが可能である。摺動手段は、例えば、筒状ケース1及びコネクタ本体2のいずれか一方に形成され、中心軸線L1方向に延びるレール部と、筒状ケース1及びコネクタ本体2のいずれか他方に形成され、中心軸線L1方向に延びてレール部を挿入する摺動溝部と、を備えていればよい。
【0028】
そして、本実施形態の給電コネクタAは、上記したコネクタ本体2を筒状ケース1に対して位置決めする位置決め手段6を備える。位置決め手段6は、コイルスプリング61と、コイルスプリング61によって筒状ケース1の内周面側からケーブル収納部23に向けて付勢される球体状のボールプランジャ62、及び、ボールプランジャ62に対向するケーブル収納部23の対向面に形成された凹部63を備える。
凹部63は、中心軸線L1方向に互いに間隔をあけて二つ配列されている。各凹部63の内面はボールプランジャ62の球面に対応する円弧状に形成され、各凹部63にはボールプランジャ62の一部が入り込むようになっている。ボールプランジャ62が凹部63に入り込んだ状態では、筒状ケース1に対するコネクタ本体2の移動が規制される。ただし、コネクタ本体2を中心軸線L1方向に移動させる力が所定値よりも大きい場合には、コイルスプリング61の付勢力に抗って、コネクタ本体2を中心軸線L1方向に移動させることができる。
【0029】
これら二つの凹部63のうち前方(Y軸正方向)側に位置する第一凹部63Aには、挿入部11が受電側コネクタBに差し込まれても給電側端子21が受電側コネクタBの端子から離れて位置するように、コネクタ本体2が筒状ケース1の後方側の位置(後退位置2A、
図1参照)に配された状態で、ボールプランジャ62が入り込む。一方、後方(Y軸負方向)側に位置する第二凹部63Bには、挿入部11が受電側コネクタBに差し込まれた状態で給電側端子21が受電側コネクタBの端子に接続されるように、コネクタ本体2が筒状ケース1の前方側の位置(前進位置2B、
図5参照)に配された状態で、ボールプランジャ62が入り込む。
すなわち、位置決め手段6は、コネクタ本体2を上記した後退位置2A及び前進位置2Bに位置決めする役割を果たす。
【0030】
操作レバー部3は、コネクタ本体2の中心軸線L1方向への移動を操作するものであり、筒状ケース1に回動可能に軸支されている。
操作レバー部3の長手方向の第一端3A側は、筒状ケース1内に配されている。操作レバー部3の第二端3Bは、筒状ケース1の開口孔12から外方に突出している。また、操作レバー部3の第二端3Bは、操作レバー部3の回動位置に関わらず、筒状ケース1の後端部(境界線L2よりも筒状ケース1の後方側の部分)に配される(特に
図1,5参照)。また、操作レバー部3の第二端3Bは、筒状ケース1の中心軸線L1方向(Y軸方向)及びグリップ部5の延出方向に直交する筒状ケース1の幅方向(Z軸方向)の両端部よりも内側に位置している(特に
図2参照)。
以下、本実施形態の操作レバー部3について詳細に説明する。
【0031】
操作レバー部3は、レバー本体31と、筒状ケース1の開口孔12から外方に突出するレバー本体31の第二端31Bに一体に設けられ、筒状ケース1の外面(主に傾斜面1c)に配されるカバー部32と、を備える。
レバー本体31は、レバー軸33によって筒状ケース1に回動可能に軸支される。本実施形態では、操作レバー部3の長手方向の第一端3Aをなすレバー本体31の第一端が、レバー軸33によって筒状ケース1に軸支されている。レバー軸33の軸線(操作レバー部3の回動軸線L3)方向は、筒状ケース1の幅方向(Z軸方向)に延びており、中心軸線L1方向(Y軸方向)に直交している。ただし、回動軸線L3は、中心軸線L1よりも筒状ケース1の下方(X軸負方向)側にずれて位置しており、中心軸線L1と交差しない。一方、レバー本体31の長手方向の第二端31Bは、開口孔12から外方に突出しているため、中心軸線L1よりも筒状ケース1の上方(X軸正方向)側に位置している。
そして、レバー本体31の中途部31Cは、リンク機構4によってコネクタ本体2(ケーブル収納部23)の後端部に直接連結されている。また、レバー本体31は、その回動位置に関わらずレバー本体31の第二端31Bが中途部31Cよりも筒状ケース1の後方側に位置するように、屈曲して形成されている。
【0032】
より具体的に説明すれば、レバー本体31は、その第一端から中途部31Cまで延びる第一アーム部34、及び、中途部31Cから第二端31Bまで延びる第二アーム部35、を備える。第一アーム部は34、レバー軸33(回動軸線L3)から離れる方向に直線状に延びている。一方、第二アーム部35は、筒状ケース1の後方側に延びるように第一アーム部34に対して屈曲している。また、第二アーム部35は、筒状ケース1の開口孔12から断面円弧状の傾斜面1cに対して直交する方向に突出するように、湾曲して形成されている。さらに、第二アーム部35は、筒状ケース1の外側に位置する第二アーム部35の先端部(レバー本体31の第二端31Bをなす部分)が開口孔12内に位置する第二アーム部35の部分よりも筒状ケース1の後方側に位置するように、屈曲して形成されている。
【0033】
上記構成のレバー本体31は、例えば筒状ケース1の幅方向(Z軸方向)に間隔をあけて配されると共に、互いに固定された二つの帯状板材36によって構成されてよい(
図3参照)。各帯状板材36は、いずれも上記したレバー本体31の構成を有する。これら二つの帯状板材36は、例えばレバー軸33を介して一体に固定されている。
【0034】
カバー部32は、筒状ケース1の外面(主に傾斜面1c)に配され、開口孔12から突出するレバー本体31の第二端31B(第二アーム部35の先端部)を覆うものである。カバー部32は、レバー本体31の第二端31Bにネジ止め等により固定される。
カバー部32は、レバー本体31の第二端31Bよりもその突出方向にさらに延びる延出部37を備え、延出部37の延出方向先端が操作レバー部3の第二端3Bとなる。延出部37の延出方向の寸法は、操作レバー部3がコネクタ本体2の後退位置2Aに対応する位置に配された状態で、延出部37の先端(操作レバー部3の第二端3B)が筒状ケース1の外周面よりも中心軸線L1側(筒状ケース1の径方向内側)に位置するように設定されている(特に
図1参照)。この延出部37は、ユーザーが操作レバー部3を操作する際に把持する部分である。
【0035】
また、カバー部32は、被覆部38を備える。被覆部38は、延出部37に対してレバー本体31の両方の回動方向R1,R2に延びるように形成されている。この被覆部38は、レバー本体31の回動位置に関わらず、筒状ケース1の開口孔12及び突条部13を筒状ケース1の外面側から覆う開口孔被覆部として機能する。
また、被覆部38は、コネクタ本体2が後退位置2Aに配された状態で表示ランプ14を被覆し、コネクタ本体2が前進位置2Bに配された状態で表示ランプを筒状ケース1の外方に露出させるランプ被覆部としても機能する。
【0036】
以上のように構成される操作レバー部3において、筒状ケース1の幅方向(Z軸方向)に沿うカバー部32の寸法は、筒状ケース1の幅寸法よりも小さく設定されている。このため、操作レバー部3は、筒状ケース1の幅方向(Z軸方向)の両端部よりも内側に位置する(特に
図2参照)。
また、レバー本体31を挿通させる筒状ケース1の開口孔12が後方側に向く筒状ケース1の傾斜面1cに形成され、かつ、カバー部32の延出部37が傾斜面1cに対して直交する方向に延びるため、カバー部32の延出部37(操作レバー部3の第二端3B)は、レバー本体31の回動位置に関わらず、筒状ケース1の後端部に配される。
さらに、上記構成の操作レバー部3の第二端3Bは、筒状ケース1の後方側(Y軸負方向側)及び上方側(X軸正方向側)の両方に向く傾斜面1c上に位置するため、操作レバー部3の第二端3Bの移動方向は、筒状ケース1の後方側から見て筒状ケース1の上下方向(X軸方向)となる。また、操作レバー部3の第二端3Bの移動方向は、筒状ケース1の上方側から見て筒状ケース1の前後方向(Y軸方向)となる。
【0037】
リンク機構4は、コネクタ本体2及び操作レバー部3を直接連結して、操作レバー部3の回動運動をコネクタ本体2の直線運動に変換するものである。本実施形態のリンク機構4は、コネクタ本体2の後端部(ケーブル収納部23)に設けられた連結ピン41と、操作レバー部3に形成されて連結ピン41を挿入する長孔42と、を備える。
連結ピン41は、操作レバー部3の回動軸線L3に平行する方向に延びている。一方、長孔42は、レバー本体31の中途部31Cに形成され、操作レバー部3の回動軸線L3に直交する方向(第一アーム部34の長手方向)に延びている。これにより、連結ピン41は、長孔42内においてその長手方向に移動自在とされている。このようにリンク機構4が構成されることで、操作レバー部3の回動運動(操作レバー部3を回動させる力)をコネクタ本体2の直線運動(コネクタ本体2を中心軸線L1方向に移動させる力)に変換することができる。
本実施形態において、長孔42の長手方向の寸法は、コネクタ本体2を後退位置2Aと前進位置2Bとの間で移動させる際に連結ピン41が長孔42の長手方向の両端に当接しないように、長孔42内における連結ピン41の移動長さよりも長く設定されている。
【0038】
操作レバー部3及びリンク機構4が上記のように構成されているため、本実施形態の給電コネクタAでは、
図1に示す状態において操作レバー部3を第一回動方向R1に回動させた際に、コネクタ本体2が後退位置2Aから前進位置2Bに向けて筒状ケース1の前方側に移動する。この際、操作レバー部3の第二端3Bは、筒状ケース1の上方側から見て筒状ケース1の前方側に移動するように見える。逆に、
図5に示す状態において、操作レバー部3を第二回動方向R2に回動させた際には、コネクタ本体2が前進位置2Bから後退位置2Aに向けて筒状ケース1の後方側に移動する。この際、操作レバー部3の第二端3Bは、筒状ケース1の上方側から見て筒状ケース1の後方側に移動するように見える。
すなわち、本実施形態の給電コネクタAでは、操作レバー部3の第二端3B及びコネクタ本体2の移動方向を互いに一致させることができる。
【0039】
上記のように操作レバー部3に連結されたコネクタ本体2の中心軸線L1方向への移動は、操作レバー部3を挿通させる筒状ケース1の開口孔12によって規制される。
具体的に説明すれば、開口孔12の内周面には、操作レバー部3の回動方向に対向して操作レバー部3(第二アーム部35)が当接可能な一対の当接面12a,12bが形成されている。操作レバー部3の回動方向に沿う一対の当接面12a,12b間の距離(回動方向に沿う開口孔12の寸法)は、例えば、後退位置2A(
図1参照)から前進位置2B(
図5参照)に至るコネクタ本体2の移動長さに伴う操作レバー部3の回動長さに対応するように設定されている。
【0040】
これにより、例えば
図1のようにコネクタ本体2が後退位置2Aに配された状態では、操作レバー部3(第二アーム部35)が第一当接面12aに当接する位置に配される、あるいは、第一当接面12aとの間に微小な間隔をあけて配される。一方、例えば
図5のようにコネクタ本体2が前進位置2Bに配された状態では、操作レバー部3(第二アーム部35)が第二当接面12bに当接する位置に配される、あるいは、第二当接面12bとの間に微小な間隔をあけて配される。すなわち、本実施形態では、開口孔12の一対の当接面12a,12bによって、コネクタ本体2の移動範囲が後退位置2A(
図1参照)から前進位置2B(
図5参照)に至る範囲を越えないように規制される。これにより、ユーザーが操作レバー部3を過度な力で操作しようとしても、その力が筒状ケース1の内部のリンク機構4まで及ばず、破損を防止することができる。
【0041】
さらに、本実施形態の給電コネクタAは、
図1,5に示すように、筒状ケース1の前端部側に設けられて給電コネクタAを受電側コネクタBに係止するロックアーム7を備える。
ロックアーム7は、中心軸線L1方向に延びる棒状に形成されている。ロックアーム7の前端部には筒状ケース1の径方向外側に突出する係止爪71が形成されている。また、ロックアーム7の中途部はピン72によって筒状ケース1に軸支されている。すなわち、ロックアーム7は筒状ケース1に対して揺動可能に取り付けられている。また、筒状ケース1とロックアーム7との間には、ロックアーム7の係止爪71が筒状ケース1の径方向外側に突出するようにロックアーム7を第一揺動方向に付勢するコイルスプリング73が設けられている。本実施形態では、ロックアーム7が一つだけ設けられているが、例えば複数設けられてもよい。この場合、複数のロックアーム7は、コネクタ本体2を囲むように筒状ケース1の周方向に配列されればよい。
【0042】
さらに、コネクタ本体2には、コネクタ本体2が前進位置2Bに配された状態において、上記したロックアーム7の前端部を筒状ケース1の径方向内側から支持する支持突起74が形成されている。支持突起74は、コネクタ本体2の端子収納部22の外周面から突出している。
図1,5において、支持突起74は端子収納部22の周方向全体に形成されているが、少なくともコネクタ本体2が前進位置2Bに配された状態においてロックアーム7の前端部に対向する端子収納部22の外周面の領域に形成されればよい。この支持突起74は、コネクタ本体2が前進位置2Bに配された状態において、ロックアーム7の係止爪71が不意の外力等によって筒状ケース1内に退避してしまうことを防ぐ役割を果たす。
【0043】
さらに、本実施形態の給電コネクタAは、コイルスプリング73の付勢力に抗ってロックアーム7の係止爪71を筒状ケース1内に退避させるロック解除機構8を備える。本実施形態のロック解除機構8は、コネクタ本体2に設けられ、コイルスプリング73の付勢力に抗ってロックアーム7の後端部を筒状ケース1の径方向外側に押し付けるアーム押付部81を備える。
アーム押付部81は、コネクタ本体2から筒状ケース1の径方向外側に突出して形成されている。アーム押付部81は、コネクタ本体2が前進位置2B(
図5参照)に配された状態において、ロックアーム7の後端部よりも筒状ケース1の前方側に位置し、ロックアーム7の後端部に接触しない。一方、コネクタ本体2が後退位置2A(
図1参照)に配された状態では、アーム押付部81がロックアーム7の後端部に当接する。これにより、アーム押付部81がコイルスプリング73の付勢力に抗ってロックアーム7の後端部を筒状ケース1の径方向外側に押し付け、その結果として、ロックアーム7の係止爪71が筒状ケース1内に退避することになる。
【0044】
また、本実施形態の給電コネクタAは、充電時において筒状ケース1に対するコネクタ本体2の移動を防止する電磁ロック機構9を備える。電磁ロック機構9は、筒状ケース1に設けられるソレノイド91と、コネクタ本体2に設けられてソレノイド91のプランジャ93を挿通させる係合孔95を有するロック部92と、を備える。本実施形態のロック部92は、コネクタ本体2のケーブル収納部23に一体に形成されているが、例えばコネクタ本体2と別個の部材をコネクタ本体2に固定してもよい。
【0045】
ソレノイド91のプランジャ93は、ソレノイド91の電磁石94に電流が流れていない状態で電磁石94内に収容され、電磁石94に電流を流した状態で電磁石94から例えばZ軸方向に突出する。電磁石94への電力供給は充電時に行われる。
ロック部92は、コネクタ本体2が前進位置2B(
図5参照)に配された状態で電磁石94から突出したプランジャ93が係合孔95に挿通可能となる位置に配される。一方、コネクタ本体2が後退位置2A(
図1参照)に配されている状態では、ロック部92の係合孔95がプランジャ93に対してずれて位置し、仮にプランジャ93が電磁石94から突出しても係合孔95に挿通することは無い。
【0046】
上記構成の給電コネクタAと接続される受電側コネクタBは、電気自動車の車体等に固定されるものであり、
図4,5に示すように、筒状ケース1の挿入部11を受け入れる筒状のシェル101と、その内部に設けられる筒状の端子収納部102と、端子収納部102内に配される受電側端子(不図示)とを備える。端子収納部102は、筒状ケース1の挿入部11をシェル101内に受け入れた状態において、コネクタ本体2の端子収納部22内に受け入れられるものである。すなわち、これらシェル101や端子収納部102の形状は、給電コネクタAの挿入部11や端子収納部22にそれぞれ対応している。そして、シェル101の内周面には、給電コネクタAの係止爪71と係合する係止凹部103が形成されている。
受電側端子は給電コネクタAの給電側端子21に接触あるいは当接することで、給電コネクタAと受電側コネクタBとを電気接続するものであり、給電側端子21と同様の役割を果たす。すなわち、受電側端子の数や配置は、給電コネクタAの給電側端子21に対応している。
【0047】
次に、本実施形態の給電コネクタAの使用方法について説明する。
給電コネクタAを受電側コネクタBに接続する場合には、はじめに、
図1に示すようにコネクタ本体2が後退位置2Aに配されている状態で、ユーザーがグリップ部5を把持して筒状ケース1の前端部(挿入部11)をシェル101内に挿入して受電側コネクタBに差し込む。この状態において、給電コネクタAの給電側端子21と受電側コネクタBの受電側端子とは、互いに離間している。
次いで、ユーザーが操作レバー部3の第二端3B(延出部37)を把持して操作レバー部3を第一回動方向R1に回動させる。これにより、コネクタ本体2が筒状ケース1の前方側に移動して
図5に示すように前進位置2Bに配される。また、操作レバー部3の被覆部38が表示ランプ14上から離れ、表示ランプ14が筒状ケース1の外方に露出する。
【0048】
この状態においては、上記した操作レバー部3の操作によってロック解除機構8のアーム押付部81がコネクタ本体2と共に移動してロックアーム7の後端部から離間する。このため、コイルスプリング73の付勢力によってロックアーム7の係止爪71が筒状ケース1の挿通孔11aから外部に突出して受電側コネクタBの係止凹部103に係合する。これにより、給電コネクタAが受電側コネクタBに嵌合した状態となる。また、係止爪71を含むロックアーム7の前端部が支持突起74によって径方向内側から支持されるため、給電コネクタAと受電側コネクタBとの嵌合状態を保持できる。
さらに、この状態においては、給電側端子21が受電側端子に接触あるいは当接して給電コネクタAと受電側コネクタBとが電気接続され、充電可能な状態となる。より具体的に説明すれば、操作レバー部3を第一回動方向R1に回動させた際には、ロックアーム7の係止爪71が受電側コネクタBの係止凹部103に係合した後に、給電コネクタAと受電側コネクタBとが電気接続される。
【0049】
そして、上記した嵌合状態において充電が開始されると、ソレノイド91の電磁石94に電流が流れてプランジャ93がロック部92の係合孔95に挿入される。すなわち、電磁ロック機構9によってコネクタ本体2の移動が防止され、充電時において給電コネクタAの給電側端子21と受電側コネクタBの受電側端子とが離間することを確実に防ぐことができる。また、充電が開始されると、表示ランプ14が点灯して電気自動車に電力が供給されていることをユーザーに報知する。
充電が完了した際には、電磁石94への電力供給が停止され、これに伴ってソレノイド91のプランジャ93がロック部92の係合孔95から抜け出る。すなわち、コネクタ本体2が移動可能な状態となる。また、この際には、表示ランプ14が消灯して充電が完了したことをユーザーに報知する。
【0050】
その後、給電コネクタAを受電側コネクタBから取り外す場合には、はじめに、ユーザーが操作レバー部3の第二端3B(延出部37)を把持して操作レバー部3を第二回動方向R2に回動させる。これにより、コネクタ本体2が
図1に示すように筒状ケース1の後方側に移動して後退位置2Aに配される。また、操作レバー部3の被覆部38が表示ランプ14上に配される、すなわち、表示ランプ14が被覆部38によって覆われる。
この状態においては、上記した操作レバー部3の操作によってロック解除機構8のアーム押付部81がコネクタ本体2と共に移動してロックアーム7の後端部に当接する。これにより、アーム押付部81がコイルスプリングの付勢力に抗ってロックアーム7の後端部を筒状ケース1の径方向外側に押し付け、ロックアーム7の係止爪71が筒状ケース1内に退避する。すなわち、給電コネクタAと受電側コネクタBとの嵌合状態が解除される。
その後、グリップ部5を把持して給電コネクタAを受電側コネクタBから引き抜くことにより、給電コネクタAの取り外し作業が完了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の給電コネクタAによれば、コネクタ本体2及び操作レバー部3がリンク機構4によって連結されることで、操作レバー部3に加えられた力が直接コネクタ本体2に伝達され、コネクタ本体2の動きが操作レバー部3の動きに追従するため、付勢手段を利用した従来構成と比較して、操作レバー部3の操作によりコネクタ本体2を後方へ移動させる際に、コネクタ本体2を含む筒状ケース1内の構造に衝撃が加わることを抑制できる。したがって、筒状ケース1内の構造を高い強度の部材で構成する必要が無くなり、給電コネクタAの製造コスト増加を防止できる。また、付勢手段によって操作レバー部3が勢いよく後退することもないので、ユーザーは給電コネクタをより安全に取り扱うことができる。
また、操作レバー部3に加えられた力が直接コネクタ本体2へ伝達され、コネクタ本体2の動きが操作レバー部3の動きに追従するため、付勢手段を利用した従来構成と比較して、コネクタ本体2と受電側コネクタBとの嵌め合わせ力の大小に応じて、ユーザーが操作レバー部3に加える力を自在にコントロールして操作レバー部3を操作することができる。
また、操作レバー部3に加えられた力が直接コネクタ本体2へ伝達され、コネクタ本体2の動きが操作レバー部3の動きに追従するため、仮にコネクタ本体2と受電側コネクタBとの嵌め合わせ力が大きくても、付勢手段やギヤ機構を利用した従来構成と比較して、操作レバー部3の操作によりコネクタ本体2を受電側コネクタBから確実に引き抜くことができる。
【0052】
さらに、リンク機構4がコネクタ本体2と操作レバー部3とを直接連結する簡素な構造のため、給電コネクタAの小型化を容易に図ることも可能である。
また、操作レバー部3の第二端3B(延出部37)が、操作レバー部3の回動位置に関わらず筒状ケース1の後端部から外部に突出し、かつ、筒状ケース1の幅方向端部よりも内側に位置するため、給電コネクタAが地面に放置される等して自動車等によって踏まれたとしても、筒状ケース1の外部に突出する操作レバー部3の第二端3B(延出部37)に応力が掛かり難くなり、操作レバー部3が変形することを抑制できる。
【0053】
具体的に説明すれば、給電コネクタAは、筒状ケース1の幅方向が概ね鉛直方向に向くように、筒状ケース1の幅方向端部及びグリップ部5の両方が地面に接触することで、最も安定した状態で地面上に配される。この配置状態(放置状態)では、操作レバー部3の第二端3B(延出部37)が筒状ケース1よりも鉛直方向上方に突出しない、また、地面にも接触しない。このため、給電コネクタAが自動車等に踏まれても、操作レバー部3に応力が掛かることを抑制できる。
【0054】
さらに、コネクタ本体2が後退位置2Aに配された状態では、操作レバー部3の第二端3B(延出部37)が筒状ケース1の外周面よりも中心軸線L1側(径方向内側)に位置するため、地面に放置された給電コネクタAが自動車等により踏まれても、自動車等が操作レバー部3に接触することをさらに抑制できる。本実施形態で述べたように、給電コネクタAを受電側コネクタBから取り外した状態では、コネクタ本体2が後退位置2Aに配されるため、上記のように操作レバー部3の第二端3Bが筒状ケース1の径方向内側に位置することは、非常に有用である。
【0055】
また、本実施形態の給電コネクタAによれば、筒状ケース1の開口孔12に操作レバー部3を当接させる一対の当接面12a,12bが形成されているため、操作レバー部3をいずれか一方の回動方向に回動させて開口孔12の当接面12a,12bに当接した状態において、ユーザーが操作レバー部3をさらに一方の回動方向に回動させようとしても、操作レバー部3を回動させようとする力は当接面12a,12bで受けることになる。このため、操作レバー部3を無理に回動させようとする力がコネクタ本体2やコネクタ本体2と操作レバー部3との連結部分などに伝わり、これらに応力が発生することを防止できる。すなわち、筒状ケース1内に配されたコネクタ本体2等の構造の保護を図ることができる。
【0056】
さらに、本実施形態の給電コネクタAによれば、操作レバー部3の第一端3Aが筒状ケース1に軸支され、操作レバー部3の中途部(レバー本体31の中途部31C)がリンク機構4によってコネクタ本体2に直接連結されているため、操作レバー部3の移動方向をコネクタ本体2の移動方向に一致させることができ、ユーザーは操作レバー部3を直感的に操作することが可能となる。
また、本実施形態の給電コネクタAによれば、操作レバー部3の第二端3Bが操作レバー部3の回動位置に関わらず中途部31Cよりも筒状ケース1の後方側に位置するように操作レバー部3が屈曲して形成されているため、操作レバー部3の第二端3Bを確実に筒状ケース1の後端部に配することができる。
【0057】
さらに、本実施形態の給電コネクタAでは、筒状ケース1の開口孔12の周縁に突条部13が形成され、かつ、開口孔12及び突条部13が筒状ケースの外面(傾斜面1c)に配された操作レバー部3の被覆部38によって覆われている。このため、水分が筒状ケース1の外面上を流れて被覆部38の内側に入り込むことを抑制できる。また、仮に水分が被覆部38の内側に入り込んだとしても、突条部13によって開口孔12内に入り込むことを阻止できる。したがって、水分が筒状ケース1の開口孔12から筒状ケース1内に侵入することを効果的に抑制できる。給電コネクタAを備える充電装置は屋外に設置されることが多いため、上記のように水分侵入を効果的に抑制できることは、非常に有用である。
【0058】
また、本実施形態の給電コネクタAによれば、コネクタ本体2が後退位置2Aに配された状態で、表示ランプ14が操作レバー部3の被覆部38によって覆われるため、表示ランプ14の保護を図ることができる。さらに、操作レバー部3を移動させるだけで、表示ランプ14が露出した状態と被覆された状態とに切り換えることができるため、給電コネクタAの使用時における作業を増やすことなく、表示ランプ14の保護を容易に図ることができる。
さらに、表示ランプ14の露出状態及び被覆状態の切換は、コネクタ本体2の後退位置2Aと前進位置2Bとの間の移動に連動しているため、コネクタ本体2や操作レバー部3の移動不足等の注意喚起にも寄与する。
【0059】
さらに、本実施形態の給電コネクタAのように、操作レバー部3のレバー本体31が回動軸線L3方向に間隔をあけて配された二つの帯状板材36によって構成されていれば、操作レバー部3の剛性を確保しながら、軽量化も図ることができる。また、二つの帯状板材36の間にコネクタ本体2の給電側端子21に接続されるケーブル10や、給電コネクタAに必要な各種電気配線などを通すことができるため、筒状ケース1内のスペースを有効に活用して筒状ケース1の小型化を図ることができる。
【0060】
以上、本発明の給電コネクタに係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、リンク機構4の連結ピン41がコネクタ本体2に設けられ、リンク機構4の長孔42が操作レバー部3に形成されているが、これに限ることはない。例えば、連結ピン41が操作レバー部3(レバー本体31の中途部31C)に設けられ、長孔42がコネクタ本体2(ケーブル収納部23)に形成されてもよい。この場合、長孔42は、Z軸方向に延びるように形成されればよい。
【0061】
例えば、上記実施形態の給電コネクタAでは、コネクタ本体2及び操作レバー部3の第二端3Bの移動方向が一致にするように構成されているが、これに限ることはない。例えば、コネクタ本体2及び操作レバー部3の第二端3Bの移動方向が互いに逆向きとなるように構成されてもよい。この場合には、例えばレバー本体31の第一端3A及び第二端31Bが中途部31Cよりも筒状ケース1の上方側に位置するようにレバー本体31を屈曲して形成すればよい。
そして、上記実施形態においては、電気自動車用の充電装置に備える給電コネクタAについて説明したが、本発明の給電コネクタは、電力によって駆動する各種電動機械用の充電装置に適用することが可能である。
【課題】電動機械の受電側コネクタに接続して、電動機械に電力供給するための給電コネクタにおいて、使用時における不具合発生を抑制でき、かつ、耐久性を向上できるようにする。
【解決手段】筒状ケース1と、筒状ケース内に収容され、中心軸線L1方向に摺動自在とされたコネクタ本体2と、筒状ケースに回動可能に軸支される操作レバー部3と、コネクタ本体及び操作レバー部を直接連結して操作レバー部の回動運動をコネクタ本体の直線運動に変換するリンク機構4と、を備え、操作レバー部の第一端3A側が筒状ケース内に配され、操作レバー部の第二端3Bが、筒状ケースの後端部に形成された開口孔12から外方に突出し、かつ、操作レバー部の回動位置に関わらず、筒状ケースの後端部に配されると共に、筒状ケースの幅方向両端部よりも内側に位置する給電コネクタAを提供する。