特許第5690939号(P5690939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690939
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】シートバックの後壁を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20150305BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   B60N2/68
   A47C7/40
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-527638(P2013-527638)
(86)(22)【出願日】2011年9月12日
(65)【公表番号】特表2013-539438(P2013-539438A)
(43)【公表日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】EP2011065775
(87)【国際公開番号】WO2012032189
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年5月2日
(31)【優先権主張番号】102010044948.2
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ズィンダ、 マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ニュヤン、 ベダット
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、 ベルント
(72)【発明者】
【氏名】リバリク、 デイビット
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−195908(JP,A)
【文献】 特表2010−500198(JP,A)
【文献】 特開2001−061593(JP,A)
【文献】 特開昭54−160465(JP,A)
【文献】 特許第4236983(JP,B2)
【文献】 特許第3906319(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 7/40,7/02,7/40
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのオルガノシート(2)からシートバックの後壁(1)を製造する方法であって、
少なくとも1つのオルガノシート(2)が射出成形金型内でリブ構造体(3)をオーバーモールドされ、
前記オルガノシート(2)と前記リブ構造体(3)との間に材料間接続が形成され、その結果、一体成形部品が形成され
前記オルガノシート(2)の再成形が前記射出成形金型内で直接行われる方法。
【請求項2】
ヘッドレストブッシュ(6)、ロックハウジング(15)、ベルト偏向手段(7)、ベルトリール装置用受け部(8)及びロック受け部領域(16)の少なくとも1つが前記リブ構造体(3)にモールド成形される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記射出成形金型を閉じている間に、ブラケット(10)及び/又は張り出して曲がったエッジ(9)が少なくとも1つのスライドコアによって前記オルガノシート(2)に成形される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オルガノシート(2)は、熱可塑性樹脂マトリックスを含み、前記オルガノシート(2)の材料と材料間接続を形成する熱可塑性樹脂から作られた少なくとも1つのリブ構造体(3)に接続される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記リブ構造体(3)は、前記オルガノシート(2)の、ひいては前記シートバックの後壁(1)の前側に取り付けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記オルガノシート(2)を再成形する場合、少なくとも1つの補強ビード(4)と1つのフレーム状ビード(5)とが形成される請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記補強ビード(4)及び前記フレーム状ビード(5)の断面は、半円弧又は部分円弧であるように成形される請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記補強ビード(4)前記オルガノシート(2)を横切って斜めに延びるように、前記補強ビード(4)が前記オルガノシート(2)に配置され、作られる請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記補強ビード(4)上にリブ(12)がモールド成形される請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記リブ(12)前記補強ビード(4)の中央に配置され且つ前記補強ビード(4)側にベース領域(13)を有し、前記ベース領域(13)は前記リブ(12)と前記補強ビード(4)との接触域(14)に向かって拡幅されている、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記リブ構造体(3)の個々のリブ(12)の間の接点に交点(18)が成形され、前記交点(18)にいずれ1つのが作られる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
輪郭要素(19)が、前記シートバックの後壁(1)の端側において前記射出成形金型内で前記リブ構造体(3)上に直接モールド成形され、各輪郭要素(19)が、一体成形ヒンジ(20)を有し、且つ前記一体成形ヒンジ(20)によって前記リブ構造体(3)に旋回可能に連結される請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記射出成形金型から前記シートバックの後壁(1)を取り出した後、前記一体成形ヒンジ(20)によって、前記輪郭要素(19)はそれらが前記リブ構造体(3)を少なくとも一部の領域において覆うように旋回され、前記リブ構造体(3)と前記輪郭要素(19)は、閉じたプロファイルを形成するように材料間で接続される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オルガノシート(2)は加工及び/又は再成形中に完全に圧密されず、その結果、前記オルガノシート(2)の壁厚が予め設定可能な範囲で縮小又は増大される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴に従ってシートバックの後壁を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、シートバックの後壁は、オルガノシートとして知られているものから製造される。オルガノシートは、無限繊維によって補強された熱可塑性樹脂パネルである。オルガノシートは、熱可塑性樹脂マトリックスを有するので、溶融させることができ、同一の熱可塑性樹脂を用いて射出成形によってカプセル化することができる。ここで、2つの方法が区別される。第1の方法では、予め形成されたオルガノシートが、射出成形金型に挿入され、熱可塑性樹脂で射出成形によってカプセル化される。第2の方法では、オルガノシートの形成は、射出成形金型内で直接行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、シートバックの後壁を製造するための改良された方法を特定するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、目的は、請求項1の特徴を有するシートバックの後壁を製造する方法によって達成される。
【0005】
本発明の好ましい改良及び発展形は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明によれば、少なくとも1つのオルガノシートからシートバックの後壁を製造する方法において、少なくとも1つのオルガノシートはリブ構造体を射出成形金型内でオーバーモールドされ、オルガノシートとリブ構造体との間に材料間接続が形成され、その結果、一体成形部品が形成される。この方法を用いて製造されるシートバックの後壁は、有利なことに、軽量で、特に曲げが硬い。
【0007】
ヘッドレストブッシュ、ロックハウジング、ベルト偏向手段、ベルトリール装置受け部及び/又はロック受け部領域は、好ましくは、リブ構造体にモールド成形される。射出成形金型を閉じている間に、張り出して曲がったエッジ及び/又はブラケットが、特に好ましくは少なくとも1つのスライドを用いてオルガノシートに成形される。複数の形成及び成形作業、例えば、張り出して曲がったエッジ及びブラケットを作ることと、ヘッドレストブッシュ、ベルト偏向手段及びロック受け部を成形することを、射出成形金型に組み込むことは、本発明に係る方法を用いて製造されるシートバックの後壁の製造時間を大幅に短縮する。
【0008】
有利な一実施形態では、オルガノシートは、熱可塑性樹脂マトリックスを含み、オルガノシートの材料と材料間接続を形成する熱可塑性樹脂から作られた少なくとも1つのリブ構造体に接続される。ここで、リブ構造体は、好ましくはオルガノシートの、ひいてはシートバックの後壁の前側に取り付けられる。
【0009】
第1のデザイン変形例では、予め形成されたオルガノシートが、射出成形金型に挿入され、リブ構造体を形成するために熱可塑性樹脂で射出成形によってカプセル化される。
【0010】
代替的なデザイン変形例では、オルガノシートの再成形が、射出成形金型内で直接行われる。
【0011】
オルガノシートの再成形の場合には、少なくとも1つの補強ビード及び1つのフレーム状ビードが、特に有利に形成され、補強ビード及びフレーム状ビードの断面が半円形又は部分的に円形であるように形成される。ここで、補強ビードは、補強ビードが後部シートバック支持領域から後部シートバック内側及び受け部までオルガノシートを横切って斜めに延びるように、オルガノシートに配置され、作られる。シートバックの後壁の特に高い曲げ剛性が、結果として得られる。
【0012】
リブは、特に好ましくは補強ビード上にモールド成形され、リブは、補強ビードの中央に配置され、台座状領域と、それによりリブのベース領域と補強ビードとの間に生じる拡大された接触面積とが形成されるように、ベース領域において拡幅されている。これにより、リブのベース領域とそれぞれの補強ビードとの間で特に耐久性のある材料間接続が可能になる。
【0013】
交点がリブ構造体のそれぞれのリブ間の接点に形成され、いずれの場合も前記交点に1つの切り欠きが作られる。ここで、切り欠きは、好ましくは、補強プレート等を固定するための従来のネジ穴として構成することができる。
【0014】
輪郭要素は、便宜上、シートバックの後壁の端側において射出成形金型内でリブ構造体上に直接モールド成形することができ、各輪郭要素は、一体成形ヒンジを用いてリブ構造体に旋回可能に連結される。
【0015】
射出成形金型からシートバックの後壁を取り出した後、輪郭要素は、一体成形ヒンジの結果として、それらがリブ構造体を少なくとも一部の領域において覆うように旋回させることができ、リブ構造体及び輪郭要素は、増大されたねじり剛性を有することでシートバックの後壁全体を補強する、閉じた形状を形成して、材料間で接続される。
【0016】
オルガノシートは、特に有利なことに、加工及び/又は再成形中に完全には圧密されず、その結果、オルガノシートの壁厚が予め設定可能な範囲で縮小又は増大される。ここで、圧密は、加工されたオルガノシート上に、ひいてはシートバックの後壁上に、未加工のオルガノシートのオリジナルの壁厚を作ること又は配置することであると理解される。オルガノシートの壁厚の変化によって、加工されたオルガノシートに、ひいてはシートバックの後壁に、異なる材料特性を有利に設定することができる。例えば、増大された壁厚は、膨張率の改善をもたらす。したがって、積載量の影響領域を、それらが増大した弾性曲げを有することで弾性変形及び/又は塑性変形によって積載量の運動エネルギーを標的として消散するように、シートバックの後壁に構成することができる。
【0017】
添付の概略図を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の斜視図を正面図で概略的に示す。
図2】本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の背面図を概略的に示す。
図3】本発明の方法によって製造されるシートバックの後壁の正面図を概略的に示す。
図4】再成形されたオルガノシートの詳細図を概略的に示す。
図5】再成形されたオルガノシートの正面図を概略的に示す。
図6】本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の更なる正面図を概略的に示す。
図7】オルガノシートに形成されたビード上にモールド成形されたリブの断面図を概略的に示す。
図8】ヘッドレストブッシュの詳細図を概略的に示す。
図9】本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の更なる正面図を概略的に示す。
図10】シートバックの後壁に形成されたロック受け部領域の断面図を概略的に示す。
図11】シートバックの後壁に形成されたロック受け部領域の更なる断面図を概略的に示す。
図12】本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の更なる正面図を概略的に示す。
図13】シートバックの後壁に形成されたベルト偏向手段の断面図を概略的に示す。
図14】リブ構造体の交点の詳細図を概略的に示す。
図15】シートバックの後壁に組み込まれたロックハウジングの詳細図を概略的に示す。
図16】代替的なデザイン変形例において、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の正面図を概略的に示す。
図17】代替的なデザイン変形例において、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁の更なる正面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
互いに対応する部分は、全ての図において同一符号が与えられている。
【0020】
図1は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の斜視図を正面図で概略的に示す。
【0021】
シートバックの後壁1は、オルガノシート2として知られているものと、リブ構造体3とから形成される。
【0022】
オルガノシート2は、従来のオルガノシートである。オルガノシート2は、熱可塑性樹脂から作られ、且つその中にガラス繊維、炭素繊維及び/又はアラミド繊維又はその混合形から作られた不織布を、それらの繊維が熱可塑性樹脂で完全に被覆されるように挿入した、平坦な半製品である。オルガノシート2は、したがって無限繊維によって補強された熱可塑性樹脂パネルである。オルガノシート2は、三次元部品を作るために、短いサイクル時間で加圧し且つそれに続いて加熱することにより、再成形することができる。
【0023】
オルガノシート2は、熱可塑性樹脂マトリックスを有するので、射出成形金型(図示せず)内で溶融させることができ、同じ熱可塑性樹脂を射出成形することによってカプセル化することができる。このように、オルガノシート2の材料と材料間接続を形成する熱可塑性樹脂から構成されるリブ構造体3はオルガノシート2に取り付けられ、その結果、一体化された、したがって一体成形の部品がオルガノシート2及びリブ構造体3から形成される。
【0024】
1つの好ましいデザイン変形例では、リブ構造体3の熱可塑性樹脂は、オルガノシート2と同じ材料から構成することができる。
【0025】
代替的なデザイン変形例では、リブ構造体3の熱可塑性樹脂は、オルガノシート2の材料と同様又は同等の特性を有し、その結果、オルガノシート2の材料とリブ構造体3の熱可塑性の均一な混合及び/又は融合が可能となる。
【0026】
リブ構造体3は、好ましくは、オルガノシート2の、ひいてはシートバックの後壁1の前側に取り付けられる。
【0027】
ここで、2つの方法が区別される。第1の方法では、予め形成されたオルガノシート2が、射出成形金型に挿入され、リブ構造体3を形成するために熱可塑性樹脂を射出成形することによってカプセル化される。第2の方法では、オルガノシート2の再成形が、射出成形金型内で直接行われる。
【0028】
図2は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の背面図を概略的に示す。複数の補強ビード4がオルガノシート2に形成され、これらの補強ビード4は周囲のフレーム状ビード5によって囲まれる。補強ビード4とフレーム状ビード5の断面は、詳細には、半円形又は部分的に円形であるように形成される。
【0029】
図3は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の正面図を概略的に示す。ヘッドレストブッシュ6、ベルト偏向手段7及びベルトリール装置用受け部8が、リブ構造体3に成形される。
【0030】
図4は、再形成されたオルガノシート2の詳細図を示す。張り出して曲がったエッジ9及びブラケット10が、オルガノシート2の端側に形成される。射出成形金型を閉じている間に、前記張り出して曲がったエッジ9及びブラケット10が、射出成形金型内で少なくとも1つのスライド(図示せず)によってオルガノシート2に成形される。
【0031】
図5は、再形成されたオルガノシート2の正面図を概略的に示す。オルガノシート2における補強リブ4の配置は、シートメタルから製造されるシートバックの従来の後壁における補強リブの配置に対して同様に行われる。ここで、補強ビード4は、後部シートバック支持領域11から後部シートバック内側まで及び受け部8までオルガノシート2を横切って斜めに延びる。補強ビード4は、好ましくは、シートメタルから製造されるシートバックの従来の後壁における補強ビードと同じ幾何学的な寸法を有する。
【0032】
図6は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の更なる正面図を概略的に示し、図7の断面図でより詳細に示される断面領域が示されている。図7は、オルガノシート2に成形された補強ビード4上にモールド成形されたリブ12の断面図を示す。
【0033】
リブ12は、好ましくは補強ビード4上にモールド成形される。リブ12は、好ましくは補強ビード4の中央に配置され、台座状領域と、それによりリブ12のベース領域13と補強ビード4との間に生じる拡大された接触領域14とが形成されるように、ベース領域13において拡幅されている。
【0034】
図8は、ヘッドレストブッシュ6の詳細図を概略的に示す。ヘッドレストブッシュ6は、従来のヘッドレストのヘッドレストロッド(図示せず)をその中に配置することができるように、シートバックの後壁1の上部領域にあるリブ構造体3に組み込まれて成形される。ヘッドレストブッシュ6は、好ましくは、射出成形金型内でスライドを用いて成形される。
【0035】
図9は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の更なる正面図を概略的に示し、図10及び図11における断面図でより詳細に示される2つの断面領域が示されている。図10は、シートバックの後壁1に成形されたロック受け部領域16の断面図を概略的に示す。図11は、シートバックの後壁1に成形されたロック受け部領域16の更なる断面図を概略的に示す。
【0036】
ロック受け部領域16では、オルガノシート2は、後部シートバックのロック(図示せず)がオルガノシート2に直接接続されるように、張り出して曲がったエッジ9が端側に設けられている。リブ構造体3は、後部シートバックのロックに対応するように、ロック受け部領域16内に成形される。後部シートバックのロックのオルガノシート2への直接接続により、両部品間の特に耐久性のある堅固な接続が可能である。
【0037】
図12は、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの側壁1の更なる正面図を概略的に示し、図13の断面図でより詳細に示される断面領域が示されている。図13は、シートバックの後壁1に成形されたベルト偏向手段7の断面図を概略的に示す。ベルト偏向手段7は、図示されるようにリブ構造体3に一体化され、5mmの壁厚が、ベルト偏向手段7を形成する全体領域17においてリブ構造体3に成形される。
【0038】
図14は、リブ構造体3の交点18の詳細図を概略的に示す。多数のリブ12が互いに交わって材料の蓄積を形成するリブ構造体3内の領域を、交点18と称する。このタイプの材料の蓄積又はこのタイプの交点18に穴を作ることができ、この穴は、例えば、補強プレート等を固定するための従来のネジ穴として構成される。リブの交点における穴はまた、例えば、補強プレートを固定するためのネジ穴として使用することができる。
【0039】
図14は、シートバックの後壁1に一体化されたロックハウジング15の詳細図を概略的に示す。本発明の1つの特に有利な実施形態では、ロックハウジング15は、図示されるようにリブ構造体3に一体化され、ロックハウジング15は、そこに留めることができるベルトロックトリガー機構(図示せず)に対応するように成形される。その結果、ベルトロックとベルトロックトリガー機構は大いに補強される。
【0040】
図16は、代替的なデザイン変形例において、本発明による方法によって製造されるシートバックの後壁1の正面図を概略的に示す。前記デザイン変形例では、輪郭要素19が、シートバックの後壁1の端側において、射出成形金型内でリブ構造体3上に直接モールド成形される。輪郭要素19は、従来の一体成形ヒンジ20によってリブ構造体3に旋回可能に連結される。
【0041】
図17は、輪郭要素19がモールド成形される代替的なデザイン変形例において、本発明に係る方法によって製造されるシートバックの後壁1の更なる正面図を概略的に示す。射出成形金型から取り出した後、輪郭要素19は、一体成形ヒンジ20の結果として、それらがリブ構造体3を少なくとも一部の領域において覆うように、旋回させることができる。一体成形ヒンジ20は、リブ構造体3に接着接合又は溶接することができ、その結果、ねじり剛性を増大させることでシートバックの後壁1全体を補強する、閉じた形状が作られる。
【0042】
オルガノシート2の加工工程中、オルガノシート2の材料は、通常、完全に圧密される。ここで、圧密は、加工されたオルガノシート2上へ、ひいてはシートバックの後壁1上へ未加工のオルガノシート2のオリジナルの壁厚を作ること又は配置することであると理解される。結果として、加工されたオルガノシート2は、未加工のオルガノシート2の材料特性を有する。ここで、完全な圧密は、射出成形金型内の均一な圧迫圧力によって達成される。
【0043】
1つの特に有利な実施形態では、オルガノシート2は、加工及び/又は成形中に完全に圧密されず、その結果、オルガノシート2の壁厚が予め設定可能な範囲で縮小又は増大される。オルガノシート2の壁厚のこのタイプの変化によって、加工されたオルガノシート2に、ひいてはシートバックの後壁1に、異なる材料特性を有利に設定することができる。例えば、増大された壁厚は、加工されたオルガノシート2の、ひいてはシートバックの後壁1の膨張率の改善、及びそれによって生じる弾力性の増大をもたらす。したがって、積載量の影響突域を、それらが増大した弾性曲げやすさを有することで弾性変形及び/又は塑性変形によって積載量の運動エネルギーを標的として消散させるように、シートバックの後壁1に構成することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 シートバックの後壁
2 オルガノシート
3 リブ構造体
4 補強ビード
5 ビード
6 ヘッドレストブッシュ
7 ベルト偏向手段
8 受け部
9 張り出して曲がったエッジ
10 ブラケット
11 後部シートバック支持領域
12 リブ
13 ベース領域
14 接触領域
15 ロックハウジング
16 ロック受け部領域
17 領域
18 交点
19 輪郭要素
20 一体成形ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17