特許第5690975号(P5690975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690975
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20060101AFI20150305BHJP
   F24F 6/02 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   F24F6/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-514826(P2014-514826)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2014-522556(P2014-522556A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】KR2012011665
(87)【国際公開番号】WO2013100677
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2013年12月4日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0146469
(32)【優先日】2011年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ヨン−ソック
(72)【発明者】
【氏名】イ,ム−ソック
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−202112(JP,A)
【文献】 特開2009−208013(JP,A)
【文献】 特表2010−515412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/24
F24F 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜が集積されて形成される中空糸膜束が内蔵されるハウジング部と、
前記中空糸膜束の端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部を密封するために前記ハウジング部の端部に結合するポッティング部と、
前記ハウジング部と前記ポッティング部との間に配置され、前記ハウジング部を密封するシール部材と、
を含み、
前記シール部材は、
前記ハウジング部の端部に装着される固体シール材と、
前記固体シール材及び前記ハウジング部の端部と前記ポッティング部との間に装着され、前記固体シール材、前記ハウジング部、及び前記ポッティング部を弾力的に結合させる液状シール材と、
を含み、
前記固体シール材は、
前記ハウジング部の端に装着されるシールボディーと、
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、前記ハウジング部の端部の内周面と前記液状シール材との間に配置される第1突出部と、
を含むことを特徴とする膜加湿器。
【請求項2】
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、
前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項3】
前記シールボディーは前記第1突出部が形成された面の反対面に形成された溝を含むことを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項4】
前記シールボディーは、折れたり伸ばしたりする少なくとも1つ以上のしわを含むことを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項5】
複数の中空糸膜が集積されて形成される中空糸膜束が内蔵されるハウジング部と、
前記中空糸膜束の端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部を密封するために前記ハウジング部の端部に結合するポッティング部と、
前記ハウジング部と前記ポッティング部との間に配置され、前記ハウジング部を密封するシール部材と、
を含み、
前記シール部材は、
前記ハウジング部の端に装着されるシールボディーと、
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、前記ハウジング部の端部の内周面に密着される第1突出部と、
前記第1突出部から前記ポッティング部に向かって延長され、前記ポッティング部の外周面に弾性的に接触する少なくとも1つ以上のリップと、
を含むことを特徴とする膜加湿器
【請求項6】
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、
前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項7】
前記少なくとも1つ以上のリップは、前記ハウジングの長手方向に対して傾斜するように直線状に延長されることを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項8】
前記少なくとも1つ以上のリップは、前記ハウジングの長手方向に対して傾斜するように曲線状に延長されることを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項9】
複数の中空糸膜が集積されて形成される中空糸膜束が内蔵されるハウジング部と、
前記中空糸膜束の端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部を密封するために前記ハウジング部の端部に結合するポッティング部と、
前記ハウジング部と前記ポッティング部との間に配置され、前記ハウジング部を密封するシール部材と、
を含み、
前記シール部材は、
前記ハウジングの端に装着されるシールボディーと、
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、所定の厚さをもって、前記ハウジング部の端部の内周面と前記ポッティング部の外周面との間に配置される第1突出部と、
を含むことを特徴とする膜加湿器
【請求項10】
前記第1突出部の内周面から径方向に内側に突出される少なくとも1つ以上のリブをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項11】
前記リブの長手方向の断面は台状であることを特徴とする請求項10に記載の膜加湿器。
【請求項12】
前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、
前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項13】
前記シール部材はフレキシブルな材質のシートからなり、
前記シール部材を前記ハウジング部の端部の内周面に位置させた後、液状のポッティング部を注いで硬化させることで、ハウジング部とポッティング部との間にシール部材を介在させることを特徴とする請求項に記載の膜加湿器。
【請求項14】
前記ハウジング部は、
前記中空糸膜束をその内部に収容する中空の収容部と、
前記収容部の端部を囲むように配置された外壁と、
を含み、
前記シール部材は前記外壁の内周面と前記ポッティング部との間に配置されることを特徴とする請求項1、5、9のいずれかに記載の膜加湿器。
【請求項15】
前記外壁の端部に結合するカバーをさらに含み、
前記シール部材は、前記カバー、前記外壁、及び前記ポッティング部の間に配置されることを特徴とする請求項14に記載の膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜加湿器に関するもので、より詳細には、ハウジング部と、中空糸膜束の端部をハウジング部に固定させるポッティング部との間にシール部材を介在させた膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
膜加湿器は、中空糸膜(hollow fiber membrane)を使用することができ、ハウジングとその内部に設置された中空糸膜モジュールを含む。中空糸膜を用いた加湿器の作動時には外部環境の影響を受けることがある。特に、自動車用燃料電池システムに用いられる加湿器は、酷寒地域や酷暑地域であっても安定した動作が保障されなければならない。
【0003】
従来技術による加湿器は、中空糸膜の端部を結束させ、前記中空糸膜の端部をハウジングに固定するためのポッティング部をさらに含む。しかしながら、前記ポッティング部の熱変形率がハウジングの熱変形率よりも大きいため、低温や高温の環境で前記ポッティング部が前記ハウジングから離脱するか、前記ハウジングが破損することがあった。この場合、ハウジングのガスが漏れる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2009−13304号、2009年2月5日
【特許文献2】大韓民国公開特許第2009−57773号、2009年6月8日
【特許文献3】大韓民国公開特許第2009−128005号、2009年12月15日
【特許文献4】大韓民国公開特許第2010−108092号、2010年10月6日
【特許文献5】大韓民国公開特許第2010−131631号、2010年12月16日
【特許文献6】大韓民国公開特許第2011−1022号、2011年1月6日
【特許文献7】大韓民国公開特許第2011−6122号、2011年1月20日
【特許文献8】大韓民国公開特許第2011−6128号、2011年1月20日
【特許文献9】大韓民国公開特許第2011−21217号、2011年3月4日
【特許文献10】大韓民国公開特許第2011−26696号、2011年3月16日
【特許文献11】大韓民国公開特許第2011−63366号、2011年6月10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、温度が変化しても、ハウジングと中空糸膜を固定させるポッティング部との結束力を強固に維持できる膜加湿器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の様々な実施例による膜加湿器は、複数の中空糸膜が集積されて形成される中空糸膜束が内蔵されるハウジング部と、前記中空糸膜束の端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部を密封するために前記ハウジング部の端部に結合するポッティング部と、前記ハウジング部と前記ポッティング部との間に配置され、前記ハウジング部を密封するシール部材と、を含むことができる。
【0007】
前記ハウジング部は、前記中空糸膜束をその内部に収容する中空の収容部と、前記収容部の端部を囲むように配置された外壁と、を含み、前記シール部材は前記外壁の内周面と前記ポッティング部との間に配置される。
【0008】
前記膜加湿器は、前記外壁の端部に結合するカバーをさらに含み、前記シール部材は、前記カバー、前記外壁、及び前記ポッティング部の間に配置される。
【0009】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は、前記ハウジング部の端部に装着される固体シール材と、前記固体シール材及び前記ハウジング部の端部と前記ポッティング部との間に装着され、前記固体シール材、前記ハウジング部、及び前記ポッティング部を弾力的に結合させる液状シール材と、を含むことができる。
【0010】
1つまたは多数の実施例で、前記固体シール材は、前記ハウジング部の端に装着されるシールボディーと、前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、前記ハウジング部の端部の内周面と前記液状シール材との間に配置される第1突出部と、を含むことができる。
【0011】
1つまたは多数の実施例で、前記固体シール材は、前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することができる。
【0012】
1つまたは多数の実施例で、前記シールボディーは前記第1突出部が形成された面の反対面に形成された溝を含むことができる。
【0013】
1つまたは多数の実施例で、前記シールボディーは折れたり伸ばしたりする少なくとも1つ以上のしわを含むことができる。
【0014】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は、前記ハウジング部の端に装着されるシールボディーと、前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、前記ハウジング部の端部の内周面に密着される第1突出部と、前記第1突出部から前記ポッティング部に向かって延長され、前記ポッティング部の外周面に弾性的に接触する少なくとも1つ以上のリップと、を含むことができる。
【0015】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することができる。
【0016】
1つまたは多数の実施例で、前記少なくとも1つ以上のリップは、前記ハウジングの長手方向に対して傾斜するように直線状に延長される。
【0017】
1つまたは多数の実施例で、前記少なくとも1つ以上のリップは、前記ハウジングの長手方向に対して傾斜するように曲線状に延長される。
【0018】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は、前記ハウジングの端に装着されるシールボディーと、前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出され、所定の厚さをもって、前記ハウジング部の端部の内周面と前記ポッティング部の外周面との間に配置される第1突出部と、を含むことができる。
【0019】
1つまたは複数の実施例で、前記シール部材は、前記第1突出部の内周面から径方向に内側に突出される少なくとも1つ以上のリブをさらに含むことができる。
【0020】
1つまたは多数の実施例で、前記リブの長手方向の断面は台状であり得る。
【0021】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は、前記シールボディーから前記ハウジング部の長手方向に突出される第2突出部をさらに含み、前記ハウジング部の端部は前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置することができる。
【0022】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材はフレキシブルな材質のシートからなり、前記シール部材を前記ハウジング部の端部の内周面に位置させた後、液状のポッティング部を注いで硬化させることで、ハウジング部とポッティング部との間にシール部材を介在させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例によれば、シール部材によって、ポッティング部とハウジング部の熱変形量の差が吸収されるため、極地方または熱帯地方など過酷な温度条件であっても、ハウジング部の気密が維持される。したがって、外部環境を問わず、膜加湿器の安定した動作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施例による膜加湿器の一部断面図である。
図2】本発明の第1実施例による膜加湿器に適用される一例のシール部材の断面図と斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による膜加湿器に適用される他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
図4】本発明の第1実施例による膜加湿器に適用されるまた他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
図5】本発明の第2実施例による膜加湿器の一部断面図である。
図6】本発明の第2実施例による膜加湿器に適用される一例のシール部材の断面図と斜視図である。
図7】本発明の第2実施例による膜加湿器に適用される他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
図8】本発明の第2実施例による膜加湿器に適用されるまた他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
図9】本発明の第3実施例による膜加湿器の一部断面図である。
図10】本発明の第3実施例による膜加湿器に適用される一例のシール部材の断面図と斜視図である。
図11】本発明の第3実施例による膜加湿器に適用される他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
図12】本発明の第3実施例による膜加湿器に適用されるまた他の例のシール部材の断面図と斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例に対して詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な形態で実現でき、ここで説明する実施例に限定されることはない。
【0026】
本発明の実施例による膜加湿器は燃料電池システムに使用することができる。説明の便宜上、燃料電池システムに用いられる膜加湿器を説明する。しかし、本発明の技術的思想は燃料電池システムに用いられる膜加湿器に限定されることはない。
【0027】
燃料電池用加湿器は、燃料電池から排出される加湿空気を用いて乾いた燃料ガスまたは作動ガスに水分を供給する。周知の通り、燃料ガスまたは作動ガスは中空糸膜の内部に形成された管路を通過し、加湿された空気は中空糸膜の外部を通過し、中空糸膜の透水性により加湿された空気の水分が中空糸膜を通過して燃料ガスまたは作動ガスに供給される。
【0028】
説明の便宜上、燃料電池から排出され、多量の水分を含有する空気を加湿気体とし、加湿気体により加湿される燃料ガスまたは作動ガスを作動気体とする。
【0029】
外形をなすハウジング部の内部には中空糸膜束が内蔵され、前記中空糸膜の両端部は合成樹脂が硬化されて形成されるポッティング部によりハウジング部の内部に固定される。すなわち、ハウジング部の内部に中空糸膜束を挿入した状態で液状の合成樹脂をハウジング部の内部に注いで硬化させることによりポッティング部が形成される。液状の合成樹脂は中空糸膜間の孔隙を埋め、ハウジング部の内周面に接着される。
【0030】
ハウジング部とポッティング部との間にはシール部材が配置される。
【0031】
ハウジング部は、通常ポリカーボネートのような硬質のプラスチックまたは金属などで製造され、ポッティング部はポリウレタン、エポキシ、シリコン樹脂のような液状の合成樹脂を硬化させて形成される。
【0032】
ハウジング部とポッティング部が相異なる材質で形成されるため、ハウジング部とポッティング部の熱変形率が異なることがある。これによって低温または高温でポッティング部がハウジング部に比べて大きく収縮または膨張することがある。この場合、ポッティング部がハウジング部から離脱するか、ハウジング部を破損させる虞がある。本発明の実施例によるシール部材は、ポッティング部とハウジング部の熱変形量の差を吸収してポッティング部とハウジング部の結合を強固にする。
【0033】
シール部材はハウジング部とポッティング部との間に介在されてハウジング部を密封させる。シール部材はポッティング部に挿入されるか、ポッティング部の縁に形成されたシール溝に位置する。
【0034】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は液状シール材と固体シール材を含むことができる。前記固体シール材は、シリコン、アクリルゴム、EPDM、NBRなどのような材質からなり、前記液状シール材は、シリコン、ウレタンなどのような材質からなる。
【0035】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材は固体シール材だけ含むことができ、前記固体シール材は少なくとも1つ以上のリップを含むことができる。すなわち、ポッティング部の縁に形成されたシール溝に前記固体シール材が挿入され、少なくとも1つ以上のリップは前記固体シール材からポッティング部に向かって延長され、前記ポッティング部の外周面に弾性的に接触する。
【0036】
1つまたは多数の実施例で、前記シール部材はフレキシブルな材質のシートで形成される。前記シートがハウジングに位置した後、液状のポッティング部を注いで硬化させる。この場合、前記シートはポッティング部の変形を吸収することができる。前記シートは前記ポッティング部によく接着しなければならない。
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例に様々な膜加湿器について詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1実施例による膜加湿器の一部断面図であり、図2から図4は、本発明の第1実施例による膜加湿器に適用されるシール部材の断面図と斜視図である。
【0039】
図1には本発明の第1実施例による膜加湿器の一側部が示されている。前記膜加湿器の他側部は膜加湿器の一側部と同一またはほぼ同様であるため、膜加湿器の一側部についてのみ説明する。
【0040】
図1に示すように、本発明の第1実施例による膜加湿器10は、ハウジング部110、カバー120、中空糸膜束310、ポッティング部210、そしてシール部材200を含む。
【0041】
ハウジング部110とカバー120は膜加湿器10の外形をなす部材であり、ポリカーボネートのような硬質のプラスチックや金属で製作される。
【0042】
ハウジング部110は、ほぼ円筒形状であり、収容部111と外壁112を含む。
【0043】
収容部111の内部には中空の空間が形成されており、収容部111の端部には貫通孔114が形成される。
【0044】
外壁112は、前記収容部111に一体に形成され、前記収容部111の端部と貫通孔114を囲むように形成される。前記外壁112には、加湿気体が流入される供給ポート(図示せず)または加湿気体が吐出される吐出ポート(図示せず)が形成される。したがって、前記供給ポートに供給された加湿気体は、前記貫通孔114を通過して収容部111の内部を通過し、中空糸膜の内部を通過する作動気体に水分を供給する。その後、前記収容部111の内部の加湿気体は貫通孔114を介して外壁112と収容部111との間の空間に流入され、吐出ポートを介して膜加湿器10の外部に吐出される。
【0045】
カバー120は、ハウジング部110の外壁112に結合し、前面121、円錐部122、連結部123、及び結合部124を含む。
【0046】
前記前面121は、平らなディスク形状であり、前記前面121には作動気体が流入される流入口125または水分が供給された作動気体が排出される排出口135が形成される。したがって、流入口125を介して流入された作動気体は中空糸膜の内部に形成された通路を通過して排出口135を介して排出される。作動気体が中空糸膜の内部に形成された通路を通過する時、中空糸膜を介して作動気体に水分が供給される。
【0047】
円錐部122は、前記前面121からハウジング部110を向かって延長されており、円錐部122の一端は前記前面121に連結される。前記円錐部122の直径は前記前面121から連結部123まで徐々に増加する。
【0048】
連結部123は円錐部122の他端に連結され、前記前面121とほぼ平行となるように半径方向の外側に延長される。
【0049】
結合部124は前記連結部123からハウジング部110の長手方向に延長されており、前記外壁112に結合される。
【0050】
中空糸膜束310は前記ハウジング部110の収容部111に内蔵される。前記中空糸膜は水分を選択的に通過させる。中空糸膜の材質と構成は、当業者であれば既に知っているものであるため、本明細書ではこれに関する詳細な説明は省略する。中空糸膜束310は複数の中空糸膜が集積されている。
【0051】
ポッティング部210は、中空糸膜の端部を互いに連結させ、中空糸膜間の孔隙を埋める。また、ポッティング部210は、前記外壁112の端部の内周面に接着され、ポッティング部210とカバー120との間の空間に流入された作動気体とポッティング部210とハウジング部110との間の空間に流入された加湿気体が混合されないようにする。
【0052】
上述したように、ポッティング部210は、ポリウレタン、エポキシ、シリコン樹脂のような液状の合成樹脂を硬化させて形成される。すなわち、液状のポッティング部210をハウジング部110の端部に注入すると、液状のポッティング部210は中空糸膜間の孔隙を埋めて外壁112の内周面に接するようになる。この際、液状のポッティング部210を硬化させることにより、ポッティング部210は外壁112の内周面に接着されることになる。
【0053】
また、前記ポッティング部210を別途のジグで硬化し、硬化されたポッティング部210を極低温で外壁112の内周面に圧入してもよい。その後、ポッティング部210の温度が上昇するにつれて、ポッティング部210が膨張して外壁112の内周面にきつく内嵌するようになる。
【0054】
1対のポッティング部210がハウジング部110の両端に接着されるため、中空糸膜束310の両端部がハウジング部110に固定される。
【0055】
上述したように、ポッティング部210の縁にはシール溝212が形成される。
【0056】
シール部材200は、図1及び図2に示すように、外壁112とポッティング部210との間に介在されてハウジング部110を密封させる。特に、前記シール部材200は、前記ポッティング部210に形成されたシール溝212に位置する。本発明の第1実施例では、前記シール部材200は固体シール材220と液状シール材221を含む。特に、液状シール材221がポッティング部210とハウジング部110の熱変形量の差を吸収する。
【0057】
固体シール材220は前記外壁112の端部に装着され、前記液状シール材221は前記固体シール材220及び前記外壁112の端部と前記ポッティング部210との間に装着され、前記固体シール材220、前記外壁112、及び前記ポッティング部210を弾力的に結合させる。前記固体シール材220はシリコン、アクリルゴム、EPDM、NBRなどの材質からなり、前記液状シール材221はシリコン、ウレタンなどの材質からなる。
【0058】
図1及び図2に示すように、前記固体シール材220は、外壁112の端とカバー120の連結部123との間に装着されるシールボディー231と、前記シールボディー231から前記ハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の内周面と前記液状シール材221との間に配置される第1突出部232と、前記シールボディー231から前記ハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の外周面と前記カバー120の結合部124との間に配置される第2突出部233を含む。したがって、前記外壁112の端部は前記第1突出部232と前記第2突出部233との間に位置する。
【0059】
一方、前記第1突出部232が形成された面の反対面に形成された溝235をさらに含んでもよい。前記溝235は、前記第1突出部232を食い込むように形成されてもよい。前記溝235は前記ポッティング部210の変形を吸収することができる。
【0060】
また、前記第1突出部232と前記ポッティング部210との間に前記液状シール材221が位置することで、前記液状シール材221がハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収することができる。
【0061】
図3には本発明の第1実施例によるシール部材200の他の例が示されている。図3に示された固体シール材220’には第2突出部233が含まれていない。それ以外は、図3に示された固体シール材220’の構成と図2に示された固体シール材220の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0062】
図4には本発明の第1実施例によるシール部材200のまた他の例が示されている。図4に示された固体シール材220’’のシールボディー231は折れたり伸ばしたりする少なくとも1つ以上のしわ234を含むことができる。それ以外は、図4に示された固体シール材220’’の構成と図2に示された固体シール材220の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
図5は、本発明の第2実施例による膜加湿器の一部断面図であり、図6から図8は、本発明の第2実施例による膜加湿器に適用されるシール部材の断面図と斜視図である。
【0064】
図5に示すように、本発明の第2実施例による膜加湿器10は、シール部材520を除いては、本発明の第1実施例による膜加湿器10と同様である。したがって、シール部材520についてのみ詳細に説明する。
【0065】
図5に示すように、本発明の第2実施例によるシール部材520は固体シール材だけ含む。前記シール部材520は、ハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収できる構造を持っている。
【0066】
図5及び図6に示すように、本発明の第2実施例によるシール部材520は、シールボディー521、第1突出部522、及び少なくとも1つ以上のリップ523,524,525を含む。
【0067】
前記シールボディー521は、外壁112の端とカバー120の連結部123との間に装着される。
【0068】
第1突出部522は、前記シールボディー521からハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の内周面に密着される。
【0069】
少なくとも1つ以上のリップ523,524,525は、前記第1突出部522の内周面から前記ポッティング部210を向かって延長され、第1リップ523、第2リップ524、及び第3リップ525を含む。
【0070】
前記第1、3リップ523,525は、前記ポッティング部210の外周面に弾性的に接触してハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収する。そのために前記第1、3リブ523,525は直径方向に対して傾いて延長される。
【0071】
前記第2リップ524は、前記ポッティング部210の外周面に接触していない。ポッティング部210がハウジング部110よりも大きく変形する時、前記第2リップ524は前記ポッティング部210を支持することで、第1、3リップ523,525の破損を防止する。
【0072】
一方、前記第1、3リップ523,525は直線状に延長される。
【0073】
図7には本発明の第2実施例によるシール部材520’の他の例が示されている。図7に示されたシール部材520’は第2突出部526をさらに含む。前記第2突出部526は前記シールボディー521から前記ハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の外周面と前記カバー120の結合部124との間に配置される。したがって、前記外壁112の端部は前記第1突出部522と第2突出部526との間に位置する。
【0074】
それ以外は、図7に示されたシール部材520’の構成と図6に示されたシール部材520の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
図8には本発明の第2実施例によるシール部材520’’のまた他の例が示されている。図8に示されたシール部材520’’の第1、3リップ523,525は曲線状に延長される。それ以外は、図8に示されたシール部材520’’の構成と図6に示されたシール部材520の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
図9は、本発明の第3実施例による膜加湿器の一部断面図である。図10から図12は本発明の第3実施例による膜加湿器に適用されるシール部材の断面図と斜視図である。
【0077】
図9に示すように、本発明の第3実施例によるシール部材620は、固体シール材だけ含む。前記シール部材620は、フレキシブルな材質のシートからなり、所定の厚さをもって、ハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収することができる。
【0078】
図9及び図10に示すように、本発明の第3実施例によるシール部材620は、シールボディー621、第1突出部622、少なくとも1つ以上のリブ623、及び第2突出部624を含む。
【0079】
シールボディー621は、外壁112の端とカバー120の連結部123との間に装着される。
【0080】
第1突出部622は、前記シールボディー621からハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の内周面に密着される。前記第1突出部622は所定の厚さをもって、ハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収することができる。
【0081】
少なくとも1つ以上のリブ623は前記ポッティング部210を向かって突出している。前記リブ623の長手方向の断面は台状であるため、ハウジング部110とポッティング部210の熱変形量の差を吸収することができる。また、前記ポッティング部210の外周面は前記リブ623に対応する形状を持っている。すなわち、前記ポッティング部210は、シール部材620を外壁112の端部と内周面に位置させた後、液状のポッティング部210を注いで硬化させることで形成される。
【0082】
第2突出部624は、前記シールボディー621から前記ハウジング部110の長手方向に突出され、前記外壁112の端部の外周面と前記カバー120の結合部124との間に配置される。したがって、前記外壁112の端部は前記第1突出部622と第2突出部624との間に位置する。
【0083】
図11には本発明の第3実施例によるシール部材620’の他の例が示されている。図11に示されたシール部材620’にはリブ623が含まれていない。それ以外は、図11に示されたシール部材620’の構成と図10に示されたシール部材620の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
図12には本発明の第3実施例によるシール部材620’’のまた他の例が示されている。図12に示されたシール部材620’’には第2突出部624が含まれていない。それ以外は、図12に示されたシール部材620’’の構成と図10に示されたシール部材620の構成は同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明はこの実施例により限定されることはなく、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に変更可能な範囲のものも本発明の権利範囲に属する。
図1
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図6
図7
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図10
図11
図12