(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
櫛本体と、前記櫛本体の長手方向に直交する向きに前記櫛本体から延出する複数本の櫛歯と、前記櫛歯を囲うように前記櫛本体の長手方向の一端側から前記櫛歯と同方向に延出する中実な一端縁櫛部とを備える櫛において、
前記一端縁櫛部は、先を尖らせた先細形状にして頭髪の分け目の形成が行えるようにしてあり、外縁面の延出方向における先端側と基端側との間の箇所に、前記外縁面にあてがう指と前記外縁面との間で挟まれる分け目に係る毛髪束が広がるような空間を生じさせる窪み部が形成してあることを特徴とする櫛。
前記櫛本体には、前記長手方向に沿った距離を示す目印が設けてあり、前記一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうことで、前記窪み部の両側に残る外縁部分を頭皮に当接させて、前記目印に基づき頭髪の長さ測定が行えるようにしてある請求項1に記載の櫛。
前記一端縁櫛部には、複数の櫛歯を有する櫛部が設けてあり、前記櫛部の各櫛歯の先端で前記外縁面が形成されるようにしてある請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の櫛。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図23(b)に示すように、縁櫛部D1aの先端で、縁櫛部D1aの外方へ分けられた毛髪束は、縁櫛部D1aと指Fとの間で挟み込まれるが、指Fと縁櫛部D1aは、縁櫛部D1aの外周に沿った広い範囲で対向することから、挟み込まれた所定量の毛髪束は、両者の間で詰まった状態となる。そのため、両者の間で詰まった状態の毛髪束が、縁櫛部D1aを進める際の抵抗となり、分け目Wを形成しようとする線に沿って縁櫛部D1aをスムーズに動かすことの妨げになると云う問題が生じる。また、縁櫛部D1aをスムーズに動かせなくなることで、詰まって引っ掛かった状態となった毛髪束の一部が、縁櫛部D1aと指Fとの間から抜け出て分け目W付近に残ってしまい、このような残った毛髪部分により、分け目Wの境界がぼやけたものとなり、分け目線の見た目の美しさが損なわれるという問題が生じる。
【0008】
一方、頭髪の長さを測定するにあたり、上述した特許文献1〜3で開示されるような目盛が付された櫛を用いることを想定した場合、これらの櫛の縁櫛部の外縁面(櫛全体の先端面となる外周箇所)は、直線的に形成されているか、又は外方へ凸となるように湾曲して形成されていることが一般的である。そのため、例えば、
図24に示すように、頭皮Haから頭髪の長さを測定する際、櫛D2の一端に設けられた縁櫛部D2aの外縁面を頭皮Haあてがうと、曲面的な頭皮Haと、直線的な縁櫛部D2aの外周は一点接触的な状態で当接することになり、それにより、測定中の櫛D2が接触箇所を中心にグラグラと揺れる不安定な姿勢となり(
図24中に示す黒矢印方向に揺れる)、安定した測定を行えないという問題がある。
【0009】
さらに、特許文献4に係る櫛は、そもそも縁櫛部が頭皮にあてがうような形状になっていないため、頭皮から頭髪の長さを測定することに不適である。そして、特許文献5、6に係る櫛は、縁櫛部の外縁面が、いずれも外方へ凸となるように湾曲した形状であるため、縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうと、外方へ凸の曲面同士が当接する状態となり、特許文献1〜3に係る櫛以上に不安定な姿勢となり、安定した測定を行えないという問題がある。
【0010】
また、理容学校や美容学校での実技指導、又は理容・美容の実技検定等では、頭皮から所定の角度で引き出した頭髪を指定された長さでカットする実技課題が出されることがある。この際、頭皮から髪の毛を引き出す角度が変わると、カットの長さも自ずと変わってくることから、頭皮に対して、どのような角度で頭髪を引き出すかは、実技課題において非常に重要な事項となる。しかし、上述した特許文献1〜6に係る櫛では、頭皮に対して頭髪を引き出す角度を測定できないので、上述した実技課題において有効でない。
【0011】
また、一般に櫛の持ち方は、ユーザにより様々であり、指先で櫛本体を左右から挟持するユーザや、指の付け根等を櫛に係止させて持つユーザ等がいる。引用文献6に係る櫛は、頭髪の長さ測定を行えるように櫛本体に設けた尖端部を、指先の滑り止めとして機能させるようにしているが、この尖端部で指の付け根等を係止させることまではできないので、指の付け根等を係止して櫛を持つユーザによっては、使い勝手が十分でないという問題もある。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、分け目を形成する際、縁櫛部の外縁面に窪み部を形成することで、縁櫛部とユーザの指との間における毛髪束の詰まった状態を緩和して、スムーズにパーティング作業を行えるようにした櫛を提供することを目的とする。
また、本発明は、頭皮からの頭髪長さを測定する櫛において、上述した窪み部により、縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがった際、窪み部の両側に残る箇所で二点接触となる状態を確保して櫛の姿勢の安定化を図り、容易に且つ正確に頭髪の長さ測定を行えるようにした櫛を提供することを目的とする。
さらに、上述した窪み部を、正確な長さ測定だけに用いるのではなく、櫛を把持するユーザの指の付け根等の係止にも利用して、使い勝手を向上させた櫛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係る櫛は、櫛本体と、前記櫛本体の長手方向の一端側に設けられた一端縁櫛部と、前記櫛本体に設けられた複数本の櫛歯とを備える櫛において、前記一端縁櫛部には、先端側と基端側との間における外縁面に、窪み部が形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、一端縁櫛部の外縁面(櫛全体の一方の先端面に応じた外周箇所)に窪み部を形成することで、一端縁櫛部を用いて頭髪の分け目を形成する際、一端縁櫛部と、その一端縁櫛部にあてがう指との間において、窪み部による空間が生じる。そのため、両者の間で挟み込まれた毛髪束は、窪み部による空間で広がることが可能となり、挟み込まれた状態が緩和され、抵抗感も減少し、一端縁櫛部を分け目を形成する線に沿ってスムーズに進められるようになり、その結果、美しい分け目線を形成できるようになる。
【0014】
本発明に係る櫛は、前記櫛本体には、前記長手方向に沿った距離を示す目印が設けてあり、前記一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうことで、前記窪み部の両側に残る外縁部分を頭皮に当接させて、前記目印に基づき頭髪の長さ測定が行えるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、上述した窪み部を有する一端縁櫛部を設けた櫛本体に、距離測定用の目印を形成したので、櫛全体の一端側の先端面となる一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうと、窪み部の両側に残る外周部分が頭皮に当接するので、頭皮に対して二点接触の状態を確保できるようになる。この二点接触状態により、測定時の櫛の姿勢が安定するようになることから、頭髪の長さを正確に測定できるようになる。
【0016】
本発明に係る櫛は、前記櫛本体の他端側に把持部が形成してあり、前記把持部には、外縁面に外縁窪み部が形成してあり、前記把持部の外縁面を頭皮にあてがうことで、前記外縁窪み部の両側に残る外縁部分を頭皮に当接させて、前記目印に基づき頭髪の長さ測定が行えるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、櫛本体の他端側に把持部を形成し、その把持部の外縁面(櫛全体の他方の端面となる外周箇所)に、窪み部を形成したので、把持部の外周箇所を頭皮にあてがっても、頭皮に対して二点接触の状態を確保できることから、把持部側からでも、安定した姿勢で頭髪の長さ測定を行える。さらに、把持部に形成した窪み部は、指の付け根等の係止部としても機能し、ユーザによる櫛の使い勝手も向上できる。
【0018】
本発明に係る櫛は、前記櫛本体の長手方向における他端側に形成された他端縁櫛部を備え、前記他端縁櫛部には、先端側と基端側との間における外縁面に、他端窪み部が形成してあり、前記他端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうことで、前記他端窪み部の両側に残る外縁部分を頭皮に当接させて、前記目印に基づき頭髪の長さ測定が行えるようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、櫛本体の他端側に設けた他端縁櫛部の外縁面(櫛全体の他方の端面に応じた外周箇所)にも窪み部(他端窪み部)を形成したので、他端縁櫛部の外周箇所を頭皮にあてがっても、頭皮に対して二点接触の状態を確保できるようになることから、櫛の両端側のいずれを用いても、安定した測定を行えるようになり、ユーザの使い勝手に応じて、櫛のいずれの側からでも頭髪の正確な測定を行える。
【0020】
本発明に係る櫛は、前記一端縁櫛部の外縁面は、前記櫛本体の長手方向に対して斜めに形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、一端縁櫛部の外縁面を斜めに形成したので、頭髪を測定するために、一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがった場合、曲面の頭皮に係る法線方向に対して櫛は斜めの姿勢となり、頭皮に対して一定の斜めの角度で頭髪の長さを測定できるようになる。そのため、理容学校や美容学校での実技指導、又は理容・美容の実技検定等において、所定の角度で髪の毛を引き出して、所定の長さでカットするような実技課題が出された場合に対応できるように、一端縁櫛部の外縁面の斜めの角度を、実技課題で頻出される角度に設定しておけば、実技課題等に好適な櫛を提供できるようになる。
【0021】
本発明に係る櫛は、前記一端縁櫛部の外縁面、及び前記他端縁櫛部の外縁面は、それぞれ前記櫛本体の長手方向に対して斜めに形成してあり、前記一端縁櫛部の外縁面の斜めに係る角度と、前記他端縁櫛部の外縁面の斜めに係る角度とは、相違するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、一端縁櫛部と他端縁櫛部のそれぞれの外縁面の斜めの角度を相違するようにしたので、異なる二種類の角度で頭髪の長さ測定を、正確且つ容易に行えるようになる。そのため、両端の縁櫛部の外縁面の角度を、実技課題等で頻出される二種類の角度にそれぞれ設定すれば、実技課題等で非常に有用となる。
【0023】
本発明に係る櫛は、前記櫛本体の一端側からの距離を示す第1目印、及び前記櫛本体の他端側からの距離を示す第2目印が前記櫛本体に設けてあることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、櫛本体の一端側からの距離を示す第1目印、及び他端側からの距離を示す第2目印を櫛本体に設けたので、第1目印および第2目印を適宜使い分けることで、櫛本体の両側から正確に距離を測定できるようになる。
【0025】
本発明に係る櫛は、第一の距離単位系に応じた第1目印及び第二の距離単位系に応じた第2目印が前記櫛本体に設けてあることを特徴とする。
本発明にあっては、二種類の距離単位系に応じた第1目印及び第2目印を設けたので、二種類の距離単位系に基づく頭髪の長さ測定を、一本の櫛で行えるようになる。なお、二種類の距離単位系の一例としては、第1目印を日本等で用いられることが多いmm(ミリメートル)単位系にすると共に、第2目印を欧米等で用いられることが多いinch(インチ)単位系にすることなどが好適である。
【0026】
本発明に係る櫛は、前記第1目印は、前記第2目印と相違する印にしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、第1目印と、第2目印とを相違する印にしたので、一目で第1目印と、第2目印とを区別できるようになり、二種類の目印がある場合でも、使いたい方の目印に従って頭髪の長さ測定をスムーズに行えるようになる。なお、第1目印と第2目印とを相違する印にする一例としては、第1目印は、櫛本体の背面に複数の凹凸を設けて、凹同士又は凸同士の間隔(ピッチ)を所定の寸法に設定したものにすると共に、第2目印は、櫛本体に複数の貫通孔を形成し、各貫通孔の間隔(ピッチ)を所定の寸法に設定したものにすることなどが考えられる。
【0027】
本発明に係る櫛は、前記一端縁櫛部には、複数の櫛歯を有する櫛部が設けてあり、前記櫛部の各櫛歯の先端で前記外縁面が形成されるようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、一端縁櫛部の外縁面を形成するように櫛部を設けたので、その櫛部で頭髪をかき分けて一端縁櫛部の外縁面を頭皮へあてがい易くなる。そのため、毛髪量の多い場合や長髪の場合などにおいて、髪の毛に遮られて一端縁櫛部が頭皮へ届きにくいようなときでも、櫛部で頭髪を分けて、一端縁櫛部を確実に頭皮にあてがう(突き当てる)ことができる。
【0028】
本発明に係る櫛は、前記一端縁櫛部の厚みは、先端側に比べて、基端側を大きくしており、前記一端縁櫛部の基端側の外縁面には、厚み方向に応じた中央箇所に凹部が形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、厚みを太くした一端縁櫛部の基端側における厚み方向の中央箇所に凹部を形成したので、窪み部及び凹部の周囲には三箇所の外周部分が残存するようになる。その結果、一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうと、残存する三箇所の外縁部分が頭皮に当接して、頭皮に対して三点接触の状態を確保できるようになり、更に櫛の安定した姿勢を確保でき、一段と容易に且つ正確に頭髪の長さを測定できるようになる。
【0029】
本発明に係る櫛は、前記一端縁櫛部には、先端側と基端側との間における側面の少なくとも一方に、側方窪み部が形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、一端縁櫛部の少なくとも一方の側面に側方窪み部を形成したので、側方においても毛髪束が広がるような空間を確保することができ、それにより、一端縁櫛部を動かしてパーティング作業を行う際、一端縁櫛部の先端で分けられた毛髪束が更に詰まりにくくなり、一段とパーティングの作業性を向上でき、作業効率の向上も図れる。なお、側方窪み部は、外縁面の窪み部と連通するように形成すると、一体となった窪み空間を確保でき、挟み込まれた毛髪束の抵抗感を一層減少できるので好適となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明にあっては、一端縁櫛部に窪み部を形成することで、ユーザの指と一端縁櫛部との間の隙間に所定の空間を確保でき、分けられた毛髪束が隙間で詰まることを緩和して、スムーズにパーティング作業を行えるようにすると共に、詰まった毛髪束の一部が分け目に残るような事態が生じることも防止して、美しい分け目を効率よく生成することに役立てられる。
【0031】
本発明にあっては、窪み部を有する一端縁櫛部を延出する櫛本体に、距離測定用の目印を形成したので、櫛先端となる一端縁櫛部の外周箇所を頭皮にあてがうと、窪み部の両側に残る外縁部分が頭皮に当接するので、頭皮に対して二点接触の状態を確保でき、測定時の櫛の姿勢を二点接触状態により安定させて、頭髪の長さを正確に測定できる。
本発明にあっては、櫛本体の他端側に把持部を形成し、その把持部の外周に、窪み部を形成したので、把持部の外周を頭皮にあてがっても、頭皮に対して二点接触の状態を確保でき、把持部側からでも、安定した姿勢で頭髪の長さ測定を行える上、把持部に形成した窪み部を、指の付け根等の係止部として機能させることができ、ユーザによる櫛の使い勝手も向上できる。
本発明にあっては、他端縁櫛部に形成した他端窪み部により、他端側で測定を行うときも、櫛の姿勢を安定にでき、頭髪測定に対する櫛の使い勝手を向上できる。
本発明にあっては、一端縁櫛部の外縁面を斜めに形成したので、その斜めに係る角度で正確な頭髪の長さ測定を行うことができ、理容・美容の学校又は検定等における実技に対して好適な櫛を提供できる。
本発明にあっては、両端の櫛縁部の外縁面の角度を相違させたので、二通りの斜めの角度で正確な頭髪の長さ測定を行うことができる。
【0032】
本発明にあっては、一端側からの距離を示す第1目印、及び他端側からの距離を示す第2目印を櫛本体に設けたので、櫛全長が、どのような寸法であっても、櫛本体の両端のいずれかで測定を行うことで、正確且つ容易に頭髪の長さを測定できる。
本発明にあっては、二種類の距離単位系に応じた第1目印及び第2目印を設けたので、二種類の距離単位系に基づく頭髪の長さ測定を、一本の櫛で行うことができる。
本発明にあっては、第1目印と、第2目印とを相違する印にしたので、一目で二種類の目印を区別できる。
【0033】
本発明にあっては、一端縁櫛部に櫛部を設けたので、その櫛部で頭髪をかき分けて一端縁櫛部の外縁面を頭皮へあてがう(突き当てる)ことができ、正確な頭髪長さの測定に役立てられる。
本発明にあっては、一端縁櫛部の厚みを太くした基端側の中央箇所に凹部を形成し、窪み部及び凹部の周囲には三箇所の外周部分が残存するようにしたので、一端縁櫛部の外縁面を頭皮にあてがうと、頭皮に対して三点接触の状態を確保できるようになり、更に櫛の安定した姿勢を確保でき、一段と容易に且つ正確に頭髪の長さを測定できる。
本発明にあっては、一端縁櫛部の側面の少なくとも一方に側方窪み部を形成したので、側面においても毛髪束の詰まりを解消できる空間を確保でき、一端縁櫛部でパーティング作業を行う際、パーティングの作業性を一段と向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態に係る櫛1の全体を概略的に示す斜視図である。本発明の櫛1は、通常の整髪等に用いる以外に、頭髪の分け目の形成、及び頭髪(毛髪束。毛髪パネルとも云う)の長さ測定を行えるようにして、美しい整髪及びカットの補助を行うものである。
【0036】
図1に示すように、櫛1は、角棒状の櫛本体2における一端側2a及び他端部2bに、一端縁櫛部3及び他端縁櫛部4をそれぞれ設けており、一端縁櫛部3及び他端縁櫛部4の間で複数本の櫛歯6を櫛本体2から延出するように設けた構成とした合成樹脂製のものである。なお、
図1中に示すX軸方向は櫛1(櫛本体2)の長手方向に沿った方向であり、X軸方向に直交するY軸方向は櫛歯6及び各縁櫛部3、4の延出方向に沿った方向であり、X軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向は櫛1(櫛本体2)及び各縁櫛部3、4の厚み方向に沿った方向である(他の図でも同様)。以下、櫛1について詳しく説明する。
【0037】
図1及び
図2(a)に示すように、櫛本体2は、Z軸方向に沿って、一方の側面2cから他方の側面2dへ貫通する貫通孔7を複数形成している。貫通孔7は、X軸方向に横長の楕円であり、その楕円の周囲には、楕円形状のザクリ部を形成している。なお、第1実施形態においては、貫通孔7の長軸側の内径と短軸側の内径の比を2対1にしており、一例としては長軸側の内径を5mm(ミリメートル)、短軸側の内径を2.5mmに設定している。
【0038】
また、
図2(a)に示すように、櫛本体2の最も一端側2aに位置する貫通孔7は、その中心が、一端縁櫛部3の外周部(外縁部分の頂部3g)から距離Lとなる箇所に形成されており、一端側2aからの順序が2番目以降となる貫通孔7は、各貫通孔7の中心同士の間隔が、それぞれ距離Lとなるように形成されている(なお、最も他端側2bに位置する貫通孔7の中心は、一端側と同様に、他端縁櫛部4の外端から距離Lとなる箇所に形成されている)。距離Lの具体例としては、櫛1をミリメートル単位系の測定で用いる場合、10mm等に設定することが好適であり、櫛1をインチ単位系の測定で用いる場合は、1インチ(inch)又は0.5インチ等に設定するのが好適である。このような間隔で形成された貫通孔7は、所定の寸法を距離Lごとに示す目印(櫛本体2の長手方向に沿った距離を示す目印)に該当する。
【0039】
櫛本体2は、長手方向において、上述したように各貫通孔7が距離Lの間隔で配置される寸法で形成されている。なお、櫛本体2の長手方向2の中央部分2e(
図1参照)は、把持部として機能させるために、貫通孔7を形成していない。また、櫛1は、この中央部分2eの真ん中を境にして、一端側2aへ間隔を広くした櫛歯6aを設けると共に(間隔の一例としては3mm)、他端側2bへ間隔を狭くした櫛歯6bを設けている(間隔の一例としては1.5mm)。なお、一端側の櫛歯6aの中で、最も一端縁櫛部3よりにいる櫛歯6cは、
図2(a)に示すように、他より全長を短くして、一端縁櫛部3による頭髪の分け目形成の作業(パーティング作業)を行いやすくしている。
【0040】
図1及び
図2(a)(b)に示すように、一端縁櫛部3は、先を細く尖らした先細形状であり、櫛本体2に対して直交する方向(Y軸方向に沿った方向)へ櫛本体2の一端側2aより延出し、櫛歯6を囲って保護する役目を担う。一端縁櫛部3は、Y軸方向に沿った方向において、先細形状の先端3a側から、櫛本体2との連結側になる基端3b側への中間的な箇所に湾曲した形状の一端窪み部3dを外周部(外縁となる面)に形成している。詳しくは、一端縁櫛部3の一端外縁面3c(X軸方向を示す矢印の方向から見た面に応じた外周となる外縁部の面)に、円弧状に湾曲した一端窪み部3dを形成している。この一端窪み部3dに係る曲率は、一般的な人体の頭部における最も小さな曲率箇所より若干小さめにすることが好適であり、
図2(a)に示す例では曲率半径を25mmにしている。
【0041】
一端縁櫛部3は、一端外縁面3cに、上述した一端窪み部3dを形成することで、Y軸方向においては、一端窪み部3dの両側(先端3a側と、基端3b側)において、突出した形で外縁部分3e、3fがそれぞれ残存する。また、一端外縁面3cの先端3a側及び基端3b側は湾曲状に形成されており、それにより、一端外縁面3cは、Y軸方向において、
図2(a)に示すように先端3aの外縁部分3eが凸、中間箇所の一端窪み部3dが凹、及び基端3bの外縁部分3fが凸となった連続的な湾曲形状になっている。なお、
図2(a)に示すように、先端3aの外縁部分3eは、頂部3hで最も凸になっており、基端3bの外縁部分3fは、頂部3gで最も凸になっており、これらの頂部3g、3hはX軸方向で同等の箇所に位置すると共に、これらの頂部3g、3hが、上述した櫛本体2の最も一端側2aに位置する貫通孔7について、一端縁櫛部3の外端からの距離Lの基準点になっている。なお、
図2(b)において、凹の一端窪み部3dと、凸の外縁縁部3e、3fとが形成される箇所の境界を区別するために、便宜的に一点鎖線を示しているが、この一点鎖線は仮想線であり、櫛1の一端櫛縁部3において実際に示されているものではない。
【0042】
また、
図1に示す櫛本体2の他端側2bに設けた他端縁櫛部4は、櫛本体2の長手方向を中央部分2eを中心にして、上述した一端縁櫛部3と対象となるように形成されている。すなわち、他端縁櫛部4は、X軸方向に沿って外方となる外周に応じた他端外縁面4cにおいて、先端4aから、櫛本体2との連結側になる基端4bへの中間的な箇所に他端窪み部4dを形成し、その他端窪み部4dの両側(先端4a側と、基端4b側)に、外縁部分4e、4fが、それぞれ残存するようにしている。
【0043】
図3は、上述した櫛1の一端縁櫛部3で、分け目を形成する状態を示している(なお、
図3では、発明のポイントを明確にするため、貫通項7等の図示を省略している)。分け目の形成は、頭皮Haにおいて分け目Wを作りたい箇所に、一端縁櫛部3の先端3aをあてがって、分け目Wにおける頭髪を二つに分けて、一端縁櫛部3の外方へ分かれた頭髪を一端縁櫛部3の外周箇所と指Fとで挟み込んで分け目を形成していくことになる。本実施形態の櫛1では、一端外縁部3の外周箇所に一端窪み部3dが形成されていることから、一端縁櫛部3と指Fとの間の空間Sが生じる。また、一端縁櫛部3の外周(一端外縁面3c)は、先端3a側の外縁部分3e及び基端3b側の外縁部分3fが、上述したように凸となることから、一端縁櫛部3にあてがう指Fは、これらの凸となる箇所を中心に接触することから、凸となる箇所の前後において、一端縁櫛部3と指Fとの間の接触状態は、従来(
図23(b)参照)にくらべて低下している。
【0044】
そのため、一端縁櫛部3と指Fとの間の毛髪束は、一端窪み部3dに応じた空間Sで自然と広がるようになると共に、先端3a側の外縁部分3e及び基端3b側の外縁部分3fの凸となる箇所の前後における挟まれ力は従来に比べて弱まる。それにより、両者の間に挟み込まれた毛髪束は、従来のように広い範囲にわたって詰まり気味になることが解消されるので、分け目Wを形成しようとする線に沿って一端縁櫛部3を動かそうとする際に、毛髪束の詰まりによる抵抗感が無くなり、一端縁櫛部3をスムーズに動かすことができ、パーティング作業を効率良く行える。また、毛髪束の詰まりを解消することで、一端縁櫛部3で外方に分けた毛髪束から一部の毛髪部分が抜け落ちることも無くなり、明確な分け目Wを形成でき、分け目線の見た目の美しさを確保できる。
【0045】
また、
図4(a)(b)及び
図5は、上述した櫛1を頭髪の長さ測定に使用している状況を示しており、カット対象として、カット練習等に用いられる人頭模型(通常「ウィッグ」と称される。)を用いた例を図示しているが、人体の頭部への使用状況も同様となる。この人頭模型Hは、人頭を模した頭部全体に毛髪を植設したものである(なお、
図4(a)(b)及び
図5では、使用状況のポイントを明確にするため、頭部に植設された毛髪全体の図示を省略しており、必要箇所のみの毛髪を示す)。
【0046】
図4(a)は、人頭模型Hの側方からの視図であり、櫛本体2の一方の側面2c(
図1参照)を人頭模型Hの側方と同方向の向きに合わせて測定する場合を示している。測定においては、測定対象となる10〜50mm程度の幅の毛髪束(毛髪パネル)h1、h2、h3を頭部から摘み取り、それらの毛髪束h1、h2、h3の頭皮Haからの長さを、櫛1を用いて測定する。例えば、
図4(a)に示すように、後頭部寄りに位置する毛髪束h1を測定する場合、頭部から摘み取った毛髪束h1を頭皮Haより立ち上げ、その毛髪束h1に櫛1の櫛本体2を沿わせる。その際、櫛1の一端縁櫛部3の一端外縁面3cを人頭模型Hにおける毛髪束h1の根元箇所となる頭皮Haへあてがう(突き当てる)。
【0047】
図6は、櫛1の一端縁櫛部3の一端外縁面3cを後頭部付近の頭皮Haへ突き当てた状態の詳細を示している。一端縁櫛部3の一端外縁面3cには、上述した一端窪み部3dが形成されているので、一端外縁面3cを頭皮Haに突き当てると、一端窪み部3dの両側の凸となった外縁部分3e、3fが頭皮Haに接触する(より詳しく見ると、外縁部分3e、3fの頂部3h、3gを中心に接触する)。一端窪み部3dは、その曲率を一般的な人体の頭部における最も小さな曲率箇所より若干小さめにしているので、一端窪み部3dにおいて頭皮Haと隙間が生じ、それにより、両側の外縁部分3e、3fが頭皮Haと接触した状態になっている。そのため、櫛1を一端縁櫛部3の一端外縁面3cで頭皮Haへ突き当てると、櫛1は、頭皮Haに対して外縁部分3e、3fによる二点接触の状態となり、
図6中に示した白矢印方向(左右方向)へ櫛1が振れることなく、安定した姿勢を維持することができる(白矢印方向にブレない)。それにより、櫛1は、
図24に示す従来の櫛D2に比べて、頭髪の長さを正確且つ容易に測定できる(長さ測定は、上述した複数の貫通孔7を距離Lごとの目印にして行う)。
【0048】
なお、
図4(a)に示す他の毛髪束h2、h3等も、上述した毛髪束h1と同様に測定することが可能である。また、毛髪の測定は、上述したように毛髪束(毛髪パネル)で行う以外に、1本、2本等の本単位で行うことも勿論可能である。
【0049】
図4(b)は、人頭模型Hの前方からの視図であり、櫛本体2の一方の側面2c(
図1参照)を人頭模型Hの前方となる向きに合わせて測定する場合を示している。この測定においても、測定対象となる毛髪束h10、h11、h12等を頭部から摘み取り、それらの毛髪束h10、h11、h12等に対して、頭皮Haへ一端外縁面3cを突き当てた櫛1を沿わせることで、上述した
図4(a)の場合と同様に測定することができ、
図6に示すように一端窪み部3dの両側で二点接触の状態を確保し、安定した測定を行える。
【0050】
図5は、人頭模型Hの上方からの視図であり、櫛本体2の一方の側面2c(
図1参照)を人頭模型Hの上方となる向きに合わせて測定する場合を示している。この測定においても、測定対象となる後頭部付近の毛髪束h20等を頭部から摘み取り、それらの毛髪束h20等を櫛1を沿わせることで、上述した
図4(a)(b)の場合と同様の測定を行える。この場合も、頭皮Haに突き当てた櫛1の一端外縁面3cは、
図6に示すような二点接触の状態となるので、安定した長さ測定を行うことができる。なお、
図4(a)(b)、
図5は長さ測定の例であり、頭部の別の箇所においても同様な測定が可能である。
【0051】
また、頭部から掴み出す毛髪の先端位置を正確に確認した場合などには、
図5に示すように、テールコームと称されるタイプの櫛10を組み合わせて用いることが好適である。テールコームの櫛10は、櫛本体10aより棒状の把持部10bを突出したものであり、この把持部10bを、櫛1の貫通孔7に挿入することにより、櫛1及び櫛10を組み合わせた全体が、L字状になる。このようにすることで、櫛1の貫通孔7のみで測定する場合に比べて、測定対象の毛髪の毛先と、貫通孔7に挿入された棒状の把持部10bとの位置関係で、毛髪の長さを、より測定しやすくなる。なお、櫛10の把持部10bの挿入先となる櫛1の貫通孔7は、測定対象の毛髪の長さに応じて、適宜切り替えることになり、一旦、測定して適切で無ければ、適切な位置の貫通孔7に挿入先を変更するようにして測定を行う。このような櫛10を組み合わせた測定の仕方は、勿論、
図4(a)(b)にも適用可能であり、寸法を示す目印として貫通孔7を用いる場合は、このような櫛10を組み合わせた測定の仕方を実現できる点で、従来技術の櫛に付された目盛(特許文献1〜3参照)に比べて優位性がある。
【0052】
なお、上述した頭髪(毛髪)の長さ測定は、一端縁櫛部3の一端外縁面3cを頭皮Haへ突き当てる場合で説明したが、他端縁櫛部3の他端外縁面4cを頭皮Haへ突き当てた(あてがった)場合でも、他端窪み部4dの存在により、一端外縁面3cを頭皮Haへ突き当てる場合と同様に、安定した姿勢で正確な長さ測定を行える。そのため、櫛1のユーザは、櫛1の方向性を気にすることなく、櫛本体2の一端側2a又は他端側2bのいずれでも長さ測定を行えるので、この点においても、従来技術の櫛(特許文献1〜3参照)に対し優位性がある。
【0053】
なお、第1実施形態に係る櫛1は、上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、構成をシンプルにする場合は、他端縁櫛部4の他端外縁面4cに他端窪み部4dを設けず、従来と同様の形状にして、測定の際は一端縁櫛部3の方のみを頭皮に突き当てる仕様にしてもよい。また、櫛本体2の長手方向における距離を示す目印としては、貫通孔7以外に様々なものを用いることが可能であり、例えば、上述した特許文献1〜3に示される目盛を用いること等も可能である。
【0054】
図7(a)(b)(c)は、本発明の第2実施形態に係る櫛11を示す。第2実施形態の櫛11は、櫛本体12の他端側12bの他端縁櫛部14からX軸方向へ延出するように板状の把持部15を設けたことが特徴になっており、この把持部15のX軸方向における外端となる外縁面15cに窪み部15d(外縁窪み部)を形成している。この外縁面15cの窪み部15dは、上述した櫛1の他端縁櫛部4に形成した他端窪み部4dと異なる形状であり、円弧形状ではなく、V字状に深く窪んだ形状になっている。具体的には、窪み部15dの深さ(X軸方向の深さ)は、Y軸方向における窪み部15dの開口幅に対して、約1:2の比率になっており、一例としては、深さを15mm、開口幅を30mmにしている。なお、把持部15の外縁面15cにおいて、窪み部15dの両側となる一端15aの側及び他端15bの側には、外縁部分15e、15fが突出するように存在する。
【0055】
また、櫛11は、上述した箇所以外について、第1実施形態の櫛1と同等にしており、複数の貫通孔17を形成すると共に複数本の櫛歯16を延出した櫛本体12の一端側12aに一端縁櫛部13を設けており、この一端縁櫛部13は、Y軸方向に沿った方向における一端外縁面13cで、先端13aから基端13bへの中間的な箇所に一端窪み部13dを形成し、その一端窪み部13dの両側に外縁部分13e、13fを設けている。
【0056】
このような櫛11は、まず、一端縁櫛部13で、
図3に示すようなパーティング作業を行える。さらに、一端縁櫛部13の一端外縁部13c又は把持部15の外端部分15cのいずれかを頭皮に突き当てることで、一端窪み部13d又は窪み部15dの存在により、上述した第1実施形態の櫛1と同等に、長手方向の両端において、安定した長さ測定を行える。さらに、第2実施形態の櫛11は、把持部15の窪み部15dを、櫛11をユーザが把持する際の指等の係止部として利用することもできる。
【0057】
図7(b)は、窪み部15dを係止部として利用する一例を示し、櫛の持ち方として櫛を厚み方向(Z軸方向)で挟持するように持つタイプのユーザに好適な例である。具体的には、親指と人差し指との間の指の付け根を窪み部15dに押し当てて係止するようにした状態で、把持部15の両側を挟持する持ち方となっている。この場合、把持部15dの突出する外縁部分15a、15bが親指の付け根の周囲を係止し、親指の引っ掛かりが良くなり、櫛11が手から落下する等の不具合が生じにくくなる。
【0058】
また、
図7(c)は、櫛の持ち方として櫛を幅方向(高さ方向、Y軸方向)で挟持するように持つタイプのユーザに好適な例であり、人差し指の指の付け根付近を窪み部15dに押し当てて係止するようにした状態で、把持部15の周囲の両端部を親指及び人差し指で挟持する持ち方となっている。この場合、把持部15dの突出する外縁部分15a、15bが手のひらの縁部分に食い込むように係止するので、櫛11が手から落下する等の不具合が生じにくくなる。なお、第2実施形態に係る櫛11は、上述した形態に限定されるものではなく、例えば、櫛本体12の長手方向における距離を示す目印としては、貫通孔17に替えて、上述した特許文献1〜3に示される目盛を用いること等が可能である。
【0059】
図8は、本発明の第3実施形態に係る櫛21を示しており、第3実施形態の櫛21は、一般的に、テールコームと称されるタイプのものであり、櫛本体22の他端側22bに設けた略三角形状の他端縁櫛部24から棒状の把持部25を延出したことが特徴になっている。
【0060】
櫛21は、上述した箇所以外は、第1実施形態の櫛1と同等の形態になっており、複数の貫通孔27を形成すると共に複数本の櫛歯26を延出した櫛本体22の一端側22aに一端縁櫛部23を設けており、この一端縁櫛部23は、Y軸方向に沿った方向における一端外縁面23cで、先端23aから基端23bへの中間的な箇所に一端窪み部23dを形成し、その一端窪み部23dの両側に外縁部分23e、23fを形成している。
【0061】
このような櫛21では、他端部22b側の棒状の把持部25により、従来のテールコームと同様の使い勝手を確保しながら、一端縁櫛部23の一端窪み部23dにより、上述した第1実施形態の櫛1と同様に、
図3に示すようなパーティング作業と、
図6に示すような安定した姿勢で正確な長さ測定を行える。なお、第3実施形態の櫛21でも、距離を示す目印としては、貫通孔27に替えて、上述した特許文献1〜3等に示される目盛を用いること等が可能である。
【0062】
図9(a)(b)は、本発明の第4実施形態に係る櫛31を示しており、第4実施形態の櫛31は、寸法を示す目印に特徴がある。すなわち、櫛31は、上述した第1実施形態の櫛1と同様に、寸法を示す目印として櫛本体32に複数の貫通孔37(第1目印)を形成すると共に、櫛本体32の上面32fに複数の谷部38b及び補助谷部38cを形成して、これら谷部38b及び補助谷部38cも目印(第2目印)にしている。
【0063】
複数の谷部38bは、複数の貫通孔37の中心に合わせて形成されており、それにより各谷部38b同士の間隔は距離Lになっている(また、一端縁櫛部33に最も近い谷部38bから一端縁櫛部33の外縁までも距離Lになっている)。谷部38bは、V字状の窪んでおり、開口幅と深さとの比率は約1:1であり、一例として開口幅及び深さを約3mmにしている。
【0064】
また、補助谷部38cは、隣接する谷部38b同士の中間に位置するように形成されており、補助谷部38cと、谷部38bとの間隔は距離L/2になっている(また、一端縁櫛部33に最も近い補助谷部38cから一端縁櫛部33の外縁までも距離L/2になっている)。この補助谷部38cも、V字状の窪みになっているが、深さが上述した谷部3bより浅くなっており、一例として、補助谷部38cは開口幅を3mm、深さを約1.5mmにしている。なお、隣接する谷部38bと補助谷部38cと間には、凸状の山部38aが形成されるおり、これら谷部38b、補助谷部38c及び山部38aからなる凹凸部38は、指先を櫛本体32の上面32fに沿わせて櫛を持つタイプのユーザに対して、指先の係止部として役立てることができる。
【0065】
櫛31は、上述した箇所以外は、第1実施形態の櫛1と同等であり、例えば、複数本の櫛歯36を延出した櫛本体32の一端側に一端縁櫛部33を設けており、この一端縁櫛部33は、一端外縁面33cにおいて、一端窪み部33dの両側に外縁部分33e、33fを形成している。
【0066】
このような櫛31では、一端縁櫛部33の一端窪み部33dにより、上述した第1実施形態の櫛1と同様に、きれいな分け目を形成するパーティング作業と、安定した姿勢で正確な長さ測定を行える。また、櫛31は、櫛本体32の上面32fに谷部38b及び補助谷部38cを形成したので、測定する際、頭髪に沿わし易い櫛本体32の上面32fで測定を行えるので、より容易に測定が行えると共に、距離Lの半分の距離L/2を補助谷部38cで測定できるので、谷部38b及び補助谷部38cという二種類の目印で、より詳細に測定が行える。
【0067】
さらに、
図9(b)に示すように、櫛31は、谷部38b及び補助谷部38cに、理美容用鋏の刃部の背側となる峰部を係止する(引っ掛ける)ことも可能であり、このように理美容用鋏の峰部を係止すると、頭髪のカットの際、理美容用鋏を谷部38b又は補助谷部38cで位置決めすることができる。そのため、谷部38b又は補助谷部38cでカットを行う長さを測定し、その測定した状態で、その測定に係る谷部38b又は補助谷部38cで理美容用鋏の峰部を係止して理美容用鋏の位置決めを行ってカットを行えば、正確な長さでのカットをスムーズに行える。
【0068】
なお、第4実施形態に係る櫛31は、上述した形態に限定されるものではなく、例えば、距離L/2の測定が不要な場合は、補助谷部38cの形成を省略することも可能であり、また、貫通孔37の形成も省略可能である。また、櫛31において、櫛本体32の他端側には、上述した第1実施形態の櫛1と同様にすることも可能であり、また、上述した第2実施形態の櫛11と同様に把持部を設けることも可能であり、さらには、上述した第3実施形態の櫛21と同様に棒状の把持部を設けることも可能である。
【0069】
図10(a)は、本発明の第5実施形態に係る櫛41を示しており、第4実施形態の櫛41は、寸法を示す目印に特徴があり、距離Lを示す箇所に位置する櫛歯を幅広の目印櫛歯46bにして、他の一般櫛歯46aと区別できるようにしている。なお、櫛41は、一端縁櫛部及び他端縁櫛部については第1実施形態と同様の構成である。
【0070】
すなわち、
図10(b)に示すように、一般櫛歯46aは、最も幅の広い箇所の寸法をW1にしており、一方、
図10(c)に示すように、目印櫛歯46bは、最も幅の広い箇所の寸法をW2にしており(W1<W2)、このW2という寸法は、櫛本体42の厚み寸法(Z軸方向の寸法)より大きくしている。それにより、
図10(a)に示すように、櫛本体42の上面42fから見た状態では、目印櫛歯46bは、櫛本体42の両方の側面42c、42dより飛び出るようになり、それにより、距離Lごとの位置を目印櫛歯46bで確認できる。なお、櫛本体42の一端部42a側に最も近い目印櫛歯46bは、外縁の頂部43gからの距離が距離Lになっている。
【0071】
このように、第5実施形態の櫛41は、櫛本体42の側面42c、42dより突出する目印櫛歯46bにより、距離L単位の測定を行えるので、櫛本体42の側面に貫通孔を形成することを省略できると共に、
図9(a)に示す櫛本体42の上面の谷部等の形成も省略できる。さらに、突出する目印櫛歯46bは、目視だけでなく、指先等の触感により距離Lの長さ間隔を確かめられるので、距離を確認する際、一々目視することなく、触感だけで長さの概要を把握できるというメリットがある。なお、第5実施形態の櫛41においても、櫛本体42の他端側は、上述した第4実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。
【0072】
図11は、本発明の第6実施形態に係る櫛51を示しており、第6実施形態の櫛51も、寸法を示す目印に特徴があり、櫛本体52の一方の側面52cに設けた第1目印と、他方の側面52dに設けた第2目印を異なる単位系の目印にすることで、二通りの単位系に基づく測定を一本の櫛51で対応できるようにしている。
【0073】
図11、
図12(a)(b)に示すように、櫛51は、櫛本体52の一方の側面52cに、複数の凸部58a及び凹部58bからなる湾曲部58を形成している。各凸部58a同士の間隔は、距離L1になっており(
図12(a)参照)、櫛本体52の一端側52aに設けられた一端縁櫛部53の一端外縁面53cの頂部53gに最も近い凸部58aは、その頂部53gからの寸法も距離L1になっている。距離L1は、第1の距離単位系としてミリメートル単位系の寸法に応じたものになっており、一例としては10mmに設定されている。なお、湾曲部58の凸部58aが第1目印(櫛51の一端外縁面53cからの距離を示す目印)に該当する(また、隣接する凸部58aと凹部58bの間隔はL1/2である)。
【0074】
また、櫛51は、櫛本体52の他方の側面52dに、複数の凸部59a及び凹部59bからなる湾曲部59を形成している。各凸部59a同士の間隔は、距離L2になっており(
図12(b)参照)、櫛本体52の他端側52bに設けられた他端縁櫛部54の他端外縁面54cの頂部54gに最も近い凸部59aは、その頂部54gからの寸法が距離L2になっている。この距離L2は、第2の距離単位系としてインチ単位系の寸法に応じたものになっており、一例としては1インチに設定されている。なお、湾曲部59の凸部59aが第2目印(櫛51の他端外縁面54cからの距離を示す目印)に該当する(また、隣接する凸部59aと凹部59bの間隔はL2/2である)。
【0075】
なお、櫛51の櫛本体52の長手方向の寸法は、10mm単位および1インチ単位に、丁度応じた単位寸法になっていない(mm又はインチで端数が生じる寸法になっている)。そのため、櫛本体52の一方の側面52cにおいて、他端縁櫛部54の他端外縁面54cの頂部に最も近い凸部58aは、櫛本体52の全長寸法の関係上、他端外縁面54cの頂部54gからの寸法が距離L1になっていない。同様に、櫛本体52の他方の側面52dにおいて、一端縁櫛部53の一端外縁面53cの頂部に最も近い凸部59aは、櫛本体52の全長寸法の関係上、一端外縁面53cの頂部53gからの寸法が距離L2になっていない。
【0076】
また、櫛51は、
図11に示すように、櫛本体52の一端側52aに一端縁櫛部53を設けており、この一端縁櫛部53は、上述した第1実施形態の櫛1と同様に、一端外縁面53cに形成した一端窪み部53dの両側に外縁部分53e、53fを設けている。また、櫛本体52の他端側52bに設けた他端縁櫛部54は、他端外縁面54cに形成した他端窪み部54dの両側に外縁部分54e、54fを設けている。なお、櫛本体52は、長手方向の中央箇所52eにフラットは把持部を形成すると共に、上面52fもフラットにしているが、
図9(a)(b)の第4実施形態に係る櫛31のように谷部(補助谷部)及び山部を設け、谷部の間隔を上記距離L1又は距離L2のいずれかに合わせて形成するようにしてもよく、さらには第3目印として第3の距離間隔(距離L3)を示す目印にしてもよい。
【0077】
このような櫛51は、二種類の単位系に基づく長さ測定を行うことできることが特徴となる。すなわち、一端縁櫛部53の一端外縁面53cを頭皮にあてがうと、櫛本体52の一方の側面52cに形成した湾曲部58の凸部58a又は凹部58bにより、距離L1又はL1/2単位(mm単位)に基づく長さ測定を行うことできる。さらに、他端縁櫛部54の他端外縁部54cを頭皮にあてがうと、櫛本体52の他方の側面52dに形成した湾曲部59の凸部59a又は凹部59bにより、距離L2又はL2/2単位(インチ単位)に基づく長さ測定を行うことできる。なお、このような測定においても、一端窪み部53d及び他端窪み部54dにより、測定時の櫛51の姿勢を安定させることができ、正確に長さを測定できる。また、第6実施形態に係る櫛51も、各窪み部53d、54dにより、
図3に示すようなパーティング作業を好適に行える。
【0078】
なお、第6実施形態に係る櫛51は、上述した形態に限定されるものではなく、二種類の目印には、凸部58a、凸部59aの少なくとも一方の替わりに、上述した
図1等に示す貫通孔、
図9(a)に示す櫛本体上面に設けた谷部、
図10に示す幅広の櫛、又は従来の目盛等を適宜用いることも可能である。なお、櫛本体側面に設ける凸部58a、凸部59aの目印は、上述の第1〜5実施形態の櫛1等に適用することも可能である。
【0079】
図13(a)(b)は、本発明の第7実施形態に係る櫛61を示しており、第7実施形態の櫛61は、基本的な部分は第1実施形態の櫛1と同等であるが、一端縁櫛部63には、複数の櫛歯69aを有する櫛部69を設けたことが特徴になっている。この櫛部69は、各櫛歯69aの先端の位置を示す軌跡K(
図13(a)中、一点鎖線Kで示す)で一端外縁面63cを形成している。すなわち、一端外縁面63cは、第1実施形態の櫛1の一端外縁面3cと同等の形状となるように、一端窪み部63dに応じた箇所の櫛歯69aを短くして、凹状の箇所を形成すると共に、外縁部分63e、63fに応じた箇所の櫛歯69aは長くして、各先端が飛び出て凸状の外縁部分63e、63fを形成するようにしている。
【0080】
上述したように櫛部69を構成することで、各櫛歯69aの先端を、
図4、5等に示すように頭部の頭皮Haに突き当てても、
図1等に示す櫛1と同様に、二点接触の状態を確保して毛髪(毛髪束)の長さ測定を行える。なお、各櫛歯69aは、頭皮Haに突き当てられることから、人体の頭部に使用されることを考慮すると、先端を尖った形状にするのではなく、ある程度の丸みを帯びた形状にすることが好ましい。また、各櫛歯61aの歯長は、
図13(a)に示す例では短いもので約5mm、長いもので約8mmにしているが、この歯長に限定されるものではなく、約1mmから約10mm程度の数値範囲が適用可能であり、特に櫛機能(毛髪を掻き分ける機能)を確実に発揮させたい場合は、3mm以上の歯長を確保することが好ましい。なお、櫛本体62は、通常の櫛歯66も当然、備えている。
【0081】
図13(b)は、櫛61の使用状況を示す概略斜視図である。櫛61は、一端縁櫛部63に櫛部69を有するので、毛髪の長さ測定を行う場合に、頭皮Haへ一端外縁面63cを突き当てる際、櫛部69の各櫛歯69aで毛髪束h40、h41を掻き分けることができる。また、掻き分けた毛髪束h40、h41を構成する個々の毛髪は、各櫛歯69aの間に入り込むので、各櫛歯69aの先端を頭皮Haへ接することができる。それにより、櫛61は、毛髪量が多い頭部の毛髪(毛髪束)を測定する場合でも、櫛部69での毛髪の掻き分けにより、一端外縁面63c(外縁部分63e、63fに応じた各櫛歯69aの先端)を確実に頭皮へ突き当てて毛髪長さを正確に測定できる。
【0082】
なお、第7実施形態に係る櫛61において、測定に係る目印としては、上述した各実施形態に係るものを適宜用いることができる。また、櫛部69の各櫛歯69aは、可撓性をもたせてしなるようにすれば、ある程度、頭皮の形状に沿うことから、各櫛歯69aの先端が、直線状に揃うように形成してもよい。さらに、第7実施形態に係る櫛61も、窪み部63dにより、
図3に示すようなパーティング作業を好適に行える。
【0083】
図14は、本発明の第8実施形態に係る櫛71を示しており、第8実施形態の櫛71は、櫛本体72の一端側72aに設けた一端縁櫛部73の外周側となる一端外縁面73cをX軸方向に対して約45度傾斜させた形状にすると共に、他端側72bに設けた他端縁櫛部74の外周側となる他端外縁面74cをX軸方向に対して約22.5度傾斜させた形状にしたことが特徴である。
【0084】
すなわち、一端縁櫛部73は、一端外縁面73cがX軸方向に対して45度傾斜した傾斜線K1に沿って斜めに形成されており、それにより、一端縁櫛部73の全体的な形状は、三角形的な形状になっている。また、一端縁櫛部73は、先端73a側の外縁部分73eと、基端73b側の外縁部分73fとの間に一端窪み部73dを形成している。
【0085】
また、他端縁櫛部74は、他端外縁面74cがX軸方向に対して22.5度傾斜した傾斜線K2に沿って斜めに形成されており、それにより、他端縁櫛部74の全体的な形状も、鋭角的な三角形的な形状になっている。また、他端縁櫛部74は、先端74a側の外縁部分74eと、基端74b側の外縁部分74fとの間に、他端窪み部74dを形成している。
【0086】
なお、櫛71は、第1実施形態の櫛1と同様に、櫛本体72に距離を示す目印となる複数の貫通孔77を形成しているが、一端縁櫛部73及び他端縁櫛部74が三角形的な形状であり、第1実施形態の場合に比べて広い面積になっていることから、一端縁櫛部73及び他端縁櫛部74にも貫通孔77を形成している。さらに、櫛71は、櫛本体72の上面72fに、貫通孔77の中心に合わせて凸部78を形成しており、各凸部78も距離を示す目印になっている。これらの目印は、一端外縁部73cからの距離を示すと共に、他端外縁部74cからの距離を示すものになっている。なお、櫛本体2は長手方向の中央箇所72eの側面及び上面72fをフラットに形成して把持部にしている。
【0087】
図15(a)(b)は、第8実施形態の櫛71を人頭模型Hに使用した状況を示している。なお、
図15(a)(b)においては、使用状況のポイントを明確にするため、植設した頭髪全体の図示を省略している。
【0088】
図15(a)は、人頭模型Hの側方からの視図であり、一端縁櫛部73の一端外縁面73cを頭皮に突き当てた場合を示す。例えば、人頭模型Hの後頭部の首寄り付近に植設された毛髪束の長さを測定する場合、櫛71は、櫛歯76が上を向くような姿勢で一端縁櫛部73を頭皮にあてがうことになる。ここで、人頭模型Hの後頭部の首寄り付近の頭皮Haは、
図15(a)に示すように左下がりとなった斜めの下向き湾曲面であり、このような下向き湾曲面の頭皮Haに、45度に傾斜した一端外縁部73c突き当てると、櫛71は略水平方向の姿勢となり、一端窪み部73dにより、この姿勢を安定させることができる。
【0089】
また、人頭模型Hの頂部の後寄り又は前寄り植設された毛髪束の長さを測定する場合は、一端縁櫛部73の45度に傾斜した一端外縁面73cを頭皮に突き当てると、櫛71は略鉛直方向の姿勢となり、この場合も、一端窪み部73dにより、この姿勢を安定させることができる。
【0090】
なお、測定時において櫛71の姿勢が略水平方向又は略鉛直方向になることは、ユーザ(美容師又は理容師等)の方向感覚にマッチした目安として使いやすくなる。すなわち、ユーザ(美容師又は理容師等)は、カット又はセット等の作業を行う際、矩形状の鏡の枠の縦線又は横線若しくはキャビネットの縦線又は横線などのように、作業を行う周囲に存在する鉛直方向を表す線又は水平方向を表す線を、無意識的に略鉛直方向又は略水平方向の目安にしている。そのため櫛71は、一端外縁部73cを頭部へ突き当てた状態の姿勢を略水平方向又は略鉛直方向にできるので、上述したユーザの周囲に存在する目安となる鉛直方向の縦線又は水平方向の横線と向きが揃うので、ユーザの方向感覚にマッチし、実際的な使い勝手に有効となる(
図15(a)(b)参照)。
【0091】
図15(b)は、人頭模型Hの前方からの視図であり、櫛71の一端外縁面73cを頭皮に突き当てた状態を示す。この場合も、人体模型の左右側頭部及び頂部の右寄り及び左寄りの付近に植設された毛髪束の長さを測定する際の櫛71の姿勢が略水平方向又は略鉛直方向となるので、ユーザの感化にマッチすると共に、一端窪み部73dにより、その姿勢を安定させることができる(なお、
図15、15は毛髪の図示を省略している)。
【0092】
さらに、一般に、理容学校や美容学校での実技指導、又は理容・美容の実技検定等では、頭皮から髪の毛を引き出す角度を約45度にして、所定の長さでカットする旨の実技課題が出されることがあり、
図15(a)(b)に示す櫛71の測定の仕方は、このような実技課題にマッチしたものとなる。
【0093】
また、
図16(a)は、人頭模型Hの側方からの視図であり、
図16(b)は、人頭模型Hの上方からの視図であり、いずれも他端縁櫛部74の他端外縁面74cを頭皮Haに突き当てた場合を示している。この場合も、22.5度に傾斜した他端外縁面74cにより、頭皮Haに対して22.5度傾斜した方向で頭髪の長さ測定を行うことができ、また、他端窪み部74dにより、測定時の姿勢を安定させることができる。さらに、理容学校や美容学校での実技指導、又は理容・美容の実技検定等では、頭皮から髪の毛を引き出す角度を約22.5度にしてカットする旨の実技課題が出されることもあるので、
図16(a)(b)に示す櫛71の測定の仕方は、このような実技課題等にマッチしたものになる。以上のように、第8実施形態の櫛71は、一本で二通りの傾斜角度に従った長さ測定を行える点がメリットである。
【0094】
なお、第8実施形態に係る櫛71は、上述した形態に限定されるものではなく、一端外縁面73c及び他端外縁面74cに係る斜めの角度として、他の数値を適用することも勿論可能である。また、仕様を簡易化する場合は、一端外縁部73c又は他端外縁部74cのいずれか一方を、従来と同様の構成にすることも可能であり、この場合は、一方の斜めになった外縁面により、斜めの角度で頭髪長さ測定を行える。また、第8実施形態の櫛71においても、目印には上述した各実施形態のものを適宜、用いることが可能である。さらに、第8実施形態に係る櫛71は、一端縁櫛部73の一端窪み部73dにより、
図3に示すようなパーティング作業も好適に行える。
【0095】
図17(a)は、本発明の第9実施形態に係る櫛81を示している。第9実施形態の櫛81は、複数本の櫛歯86を延出した櫛本体82の一端側82aに設けた一端縁櫛部83の基端83b側の外縁部分83fにおいて、凹部83iを形成したことが特徴になっている。なお、一端縁櫛部83の基本的な形状自体は、第1実施形態の櫛1と同等であり、一端外縁面83cにおけるY軸方向に沿った中央箇所に一端窪み部83dを形成すると共に、先端83a及び基端83bに凸状の外縁部分83e、83fを設けている。
【0096】
図17(b)に示すように、一端縁櫛部83は、Z軸方向に応じた厚み寸法が、先端83a側より基端83b側の方を大きくしており、先端83aの厚み寸法をW12、基端83bの厚み寸法をW11にしている(W11>W12)。
【0097】
そして、
図17(a)(b)(c)に示すように、基端83b側の一端外縁面83cにおける外縁部分83fの厚み方向(Z軸方向)に応じた中央箇所に凹部83iを形成している。この凹部83iにより、基端83bの外縁部分83fは、二つに分断された形状になっている。
【0098】
図18は、一端縁櫛部83の一端外縁部83cを頭皮Haに突き当てた状態を示している。この場合、上述したように、基端83bの外縁部分83fは凹部83iにより二つに分断されているので、先端83aの外縁部分83eと合わせて、計三箇所で頭皮Haと接触することになる。その結果、櫛81は、三点接触の状態を確保でき、第1実施形態の櫛1の
図6で説明した方向(Y軸方向)でのブレを防ぐと共に、
図18の白矢印で示す厚み方向(Z軸方向)のブレも防ぐことができ、より安定した姿勢を維持できる。それにより、櫛本体82に設けた複数の貫通孔87により頭髪の長さ測定を、一段と正確に行うことができる。
【0099】
なお、第9実施形態に係る櫛81において、測定に係る目印としては、上述した各実施形態に係るものを適宜用いることができる。また、櫛本体82の他端側の構成としては、上述した第1実施形態〜第3実施形態に係るものを適宜、用いることが可能である。また、上述した第1実施形態に係る櫛1から第9実施形態に係る櫛81の各部の構成は、適宜組み合わせることも可能である。さらに、第9実施形態に係る櫛81も、一端縁櫛部83の一端窪み部83dにより、
図3に示すようなパーティング作業を好適に行える。
【0100】
図19(a)(b)は、第10実施形態に係る櫛91を示し、複数の貫通孔97を形成した櫛本体92の一方の側面92c及び他方の側面92dのそれぞれに、目盛98、99を付したことが特徴になっている。目盛98、99は、10mm間隔の長い線と、各長い線同士の間で5mmの寸法を示す短い線より構成されており、櫛本体92の一端側92a及び他端側92bの両側より寸法が測れるように、一端側92a及び他端側92bの両端からの寸法を示すように各長い線及び短い線が付されている。なお、櫛本体92に形成した貫通孔97の中心は、目盛98、99の10mm間隔を示す長い線に合う位置となっており、各貫通孔97も10mm間隔を示す目印として機能する。また、櫛91は、櫛本体92の一端側92a及び他端側92bに、一端窪み部93dを形成した一端縁櫛部93、他端窪み部94dを形成した他端縁櫛部94を設けて、いずれの側でも、
図3に示すようなパーティング作業を行えると共に、安定した頭髪測定を行えるようにしている(他端縁櫛部94は、直近の櫛歯が短いので、特にパーティング作業を行いやすくなっている)。
【0101】
図20(a)(b)は、第11実施形態に係る櫛101を示し、第10実施形態の櫛91と目盛の形態が異なるものである。すなわち、櫛本体102の一方の側面102c及び他方の側面102dのそれぞれに、目盛108、109を付しており、目盛108、109は共に、櫛本体102の一端102a側から寸法を測るようになっている。また、目盛108、109は、第10実施形態のように細かい寸法(10mm、5mm)を計測するのではなく、実技検定や、実際の美容院等における作業等で一般的によく使われる寸法(2cm、4cm、6cm、10cm等)のみを示すものになっており、必要な所要寸法を一目で見分けやすい目盛の示し方になっている。なお、櫛101は、櫛本体102の一端側102a及び他端側102bに、一端窪み部103dを形成した一端縁櫛部103、他端窪み部104dを形成した他端縁櫛部104を設けて、いずれの側でも、
図3に示すようなパーティング作業を好適に行えるようにしている(他端縁櫛部94は、直近の櫛歯が短いので、特にパーティング作業を行いやすくなっている)。
【0102】
図21(a)(b)は、第12実施形態に係る櫛111を示している。この櫛111は、櫛本体112の一端112a側に設けた一端縁櫛部113の側面113j、113kに、側方窪み部113m、113nを形成したことが特徴になっている。
【0103】
一端縁櫛部113は、まず、上述した第1実施形態の櫛1等と同様に、一端外縁面113cに一端窪み部113dを形成している。また、一端縁櫛部113は、櫛本体112の一方の側面112cと同方向となる側面113jにおいて、先端113a側と、基端113b側との間の中央箇所に一方の側方窪み部113mを形成している(一方の側方窪み部113mは、Z軸方向(厚み方向)に沿って窪んでいる)。さらに、一端縁櫛部113は、櫛本体112の他方の側面112dと同方向となる側面113kにおいて、先端113a側と、基端113b側との間の中央箇所に他方の側方窪み部113nを形成している(他方の側方窪み部113nも、Z軸方向(厚み方向)に沿って窪んでいる)。
【0104】
一端外縁面113cの一端窪み部113d、一方の側面113jの側方窪み部113m、及び他方の側面113kの側方窪み部113nは、Y軸方向において同じ箇所に形成されており、それにより、各窪み部113d、113m、113nは相互に連通するような形態になっている。したがって、一端縁櫛部113は、先端113a側と、基端113b側との間の中央箇所において、一端外縁面113c、一方の側面113j、及び他方の側面113kの三方の周囲でくびれた形状になっている。なお、第12実施形態に係る櫛111は、上述した箇所以外は、第1実施形態の櫛1等と同等の形態になっている。
【0105】
図22(a)(b)は、櫛111の一端縁櫛部113を用いて、パーティング作業を行う場合の一例を示したものである。パーティング作業を行う際、一端縁櫛部113にあてがう指を、ユーザによっては、一端外縁面113cだけでなく、一端外縁面113cから一方の側面113jへと二面にわたってあてがうユーザや、一端外縁面113cから他方の側面113kへと二面にわたってあてがうユーザや、さらには一端外縁面113c、一方の側面113j、及び他方の側面113kの三面にあてがうユーザ等がいる。このような様々な指のあてがい方は、利き腕が右か、左か、ユーザの指の太さ、ユーザの櫛の把持の仕方の嗜好等によって生じる。
【0106】
図22(a)(b)は、上述した様々な指のあてがい方の中で、一端外縁面113cから一方の側面113mへと二面にわたってあてがう例を示したものであり、
図22(a)は櫛上方からの視図、
図22(b)は一端外縁面113cからの視図である。パーティング作業を行う場合、頭皮Haに形成しようとする分け目Wに、先端113aを当てた一端縁櫛部113にあてがう指Fは、一端外縁面113cから一方の側面113jへと二面にわたる二面を被うようにして、一端縁櫛部113により外方へ分けられた毛髪束を、一端縁櫛部113の周囲二面と指Fとで挟み込むことになる。一端縁櫛部113の二面で、指Fとの間に挟み込まれた毛髪束は、一端窪み部113d及び一方の側方窪み部113mで形成される空間で自然と広がる。
【0107】
また、一端縁櫛部113の二面では、一端窪み部113d及び一方の側方窪み部113mの両側となる先端113a側と基端113b側のそれぞれの箇所(Y軸方向において両側となる箇所)は、凸となるので、ユーザの指Fは、これらの凸となる箇所を中心に接触することから、指Fと一端縁櫛部113の外周面との間には隙間が生じ、この隙間が存在することで、両者に挟み込まれた毛髪束は詰まり気味になることも緩和される。
【0108】
以上のことから、一端縁櫛部113と指Fとの間の毛髪束は、従来のようにY軸方向に沿った広い範囲にわたって詰まり気味になることもなく、分け目Wを形成しようとする線に沿って、例えば、
図22(a)に示す矢印の向きへ一端縁櫛部113を動かそうとする際、従来に比べて毛髪束の詰まりによる抵抗感が一段と無くなり、一端縁櫛部113をスムーズに動かすことができる。それに伴い、一端縁櫛部113で外方に分けた毛髪束から一部の毛髪部分が抜け落ちる事態も生じなくなり、明確な分け目Wを形成できる。
【0109】
図22(a)(b)に基づく内容は一例であり、一端外縁面113cから他方の側面113kへと二面にわたって指をあてがう場合、一端外縁面113c、一方の側面113j、及び他方の側面113kの三面に指をあてがう場合も同様に、毛髪束の詰まりによる抵抗感を緩和してスムーズに一端縁櫛部113を動かして効率的なパーティング作業を行える。なお、第12実施形態の櫛111は、上述した内容以外は、第1実施形態の櫛1等と同等の機能を確保しており、一端縁櫛部113の一端外縁面113cを頭皮に突き当てて、頭髪の長さを正確に測定することも勿論可能である。
【0110】
また、第12実施形態に係る櫛111は、一端縁櫛部113の両方の側面113j、113kのいずれか一方のみに側方窪み部113m、113nを形成する構成にすることも可能である。側面113j、113kのいずれか一方のみに側方窪み部を形成した場合は、その側方窪み部を形成した側の側面113に指をあてがってパーティング作業を行うユーザについて好適となると共に、一端縁櫛部113の厚み方向(Z軸方向)の寸法が両側面113j、113kに側方窪み部113m、113mを形成する場合に比べて太くなるので、一端縁櫛部113の剛性を確保しやすい。
【0111】
さらに、第12実施形態に係る櫛111は、上述した第1〜11実施形態の構成及び変形例等も適用可能であり、例えば、長さ測定に必要な目印については、上述した様々な形態が適用できる。さらに、第12実施形態の櫛111は、櫛本体112の他端側の他端縁櫛部においても、上述した側方窪み部を形成した一端縁櫛部113と同等の構成にしてもよく、このようにすることで、両隊のいずれの櫛縁部を用いても、良好にパーティング作業を行うことができる。