(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薬品保管ケースの前記薬品を前記投入手段に取り出すときに、前記薬品を一時停止させる位置と、前記薬品との係合を解く位置に前記フラップを保持する保持手段を備えた請求項1記載の薬品自動払出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、薬品自動払出装置は、数多くの医薬品をストックする必要があること、そして患者の人数分の空トレイを準備、保管する場所や、薬品を払い出されたトレイをストックする場所も必要であることなどから、必然的に大型の装置となり、大きな設置スペースを必要とする。また、様々な機能を付加することにより、装置の奥行きも増大し、設置スペースを増大させる原因となっている。特に、ベッド数200床から400床程度の中規模病院においては、薬品自動払出装置の導入に対しその効果は認めるものの、設置スペースの問題で導入を見送らざるを得ないという問題もある。そのために、設置面積の少ない薬品自動払出装置が望まれている。
また、薬品自動払出装置においては、注射用アンプルや点滴用バッグなど、容器が破損しやすく取り扱いに細心の注意が必要な薬品も払い出しの対象となっている。薬品自動払出装置において薬品容器の破損が起こりやすい工程の一つが、薬品の取り出しからトレイへの供給までの工程であることから、薬品の破損が起こりにくい投入手段の実現が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、設置スペース、特に奥行きが小さい薬品自動払出装置を提供することを目的とする。加えて、薬品容器の破損の起こりにくい投入手段を備えた薬品自動払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の薬品自動払出装置は、収納されている薬品をトレイに投入する投入手段を備える薬品自動払出装置であって、前記投入手段は、ヘッド本体部と、取り出した薬品を一時保持するとともに前記トレイに載置するポケット部と、前記ヘッド本体部と前記ポケット部とを結合するアーム部とを備え、前記ポケット部は、アーム部の一端と第1の軸で回動可能に接続されるとともに、前記アーム部の他端と前記ヘッド本体部とが第2の軸で回動可能に接続され、前記ヘッド本体部の、前記第1の軸よりトレイ側の位置に当接部が設けられるとともに、前記ポケット部にガイド部が設けられ、
薬品が薬品保管ケースから投入手段に取り出される際に、前記薬品と接する位置にフラップが設けられ、前記薬品保管ケースの前記薬品を前記投入手段に取り出すときに、前記フラップにより前記薬品を一時停止させ、前記薬品が一時停止された後、前記フラップを移動させることにより前記薬品と前記フラップとの係合を解いて前記薬品を投入手段に落下させ、前記ガイド部が前記当接部に当接しながら前記ポケット部が
前記薬品を前記トレイに載置するものである。
ここで、「ポケット部」とは、取り出した薬品を一時保持することができればよく、その形状は任意である。また、「アーム部」とは、ヘッド本体部とポケット部とを連結することができればよく、その形状は任意であり、必ずしも板状や棒状のものには限らない
。
ここで、「フラップ」とは、その一端が投入手段に連結されており、前記薬品が前記薬品保管ケースから投入手段に取り出される際に薬品が移動する方向に動くことができる布状体又は板状体をいう。
請求項
2記載の本発明の薬品自動払出装置は、請求項
1記載の薬品自動払出装置において、前記薬品保管ケースの前記薬品を前記投入手段に取り出すときに、前記薬品を一時停止させる位置と、前記薬品との係合を解く位置に前記フラップを保持する保持手段を備えたものである。
請求項
3記載の本発明の薬品自動払出装置は、請求項
1または
2記載の薬品自動払出装置において、前記薬品が薬品保管ケースから取り出される経路に可動部が設けられており、当該可動部は、前記フラップの移動と連動して傾斜角が変化するものである。
請求項4記載の本発明の薬品自動払出装置は、収納されている薬品をトレイに投入する投入手段を備える薬品自動払出装置であって、前記投入手段は、ヘッド本体部と、取り出した薬品を一時保持するとともに前記トレイに載置するポケット部と、前記ヘッド本体部と前記ポケット部とを結合するアーム部とを備え、前記ポケット部は、アーム部の一端と第1の軸で回動可能に接続されるとともに、前記アーム部の他端と前記ヘッド本体部とが第2の軸で回動可能に接続され、前記ヘッド本体部の、前記第1の軸よりトレイ側の位置に当接部が設けられるとともに、前記ポケット部にガイド部が設けられ、前記ガイド部は、第1のガイド面と、前記第1のガイド面に連続して前記第1のガイド面とは曲率または角度が異なる第2のガイド面とからなり、前記ガイド部が前記当接部に当接しながら前記ポケット部が薬品を前記トレイに載置するものである。
請求項
5記載の本発明の薬品自動払出装置は、請求項1から
4のいずれかに記載の薬品自動払出装置において、トレイを搬送するトレイ搬送手段を有し、前記トレイ搬送手段は、トレイへの薬品の載置の際に前記ポケット部の方向にトレイを移動させる移動手段を有するものである。
請求項
6記載の本発明の薬品自動払出装置は、請求項1から
5のいずれかに記載の薬品自動払出装置において、トレイを搬送するトレイ搬送手段を有し、前記トレイ搬送手段は、トレイを水平方向に回転させる旋回手段を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、アーム部を有するので、薬品をトレイに載置、つまり払い出す際に、より前方のトレイ側にポケット部を移動させることができる。つまり、トレイをヘッド部本体側に移動させることなく、あるいは移動させるとしても移動距離を短くすることができ、薬品自動払出装置の奥行きを短くすることができ、ひいては設置面積の少ない薬品自動払出装置を実現することが可能である。さらに、アーム部を有するので、従来よりも低い点から薬品を投入することができ、より衝撃の少ない方法で薬品をトレイに投入することができ、薬品の破損を防止することができるものである。
また、ガイド部と当接部を設けることにより、当接部より前方のトレイ側にポケット部を移動させ、薬品をトレイに払い出すことができる。つまり、トレイをヘッド部本体側に移動させることなく、あるいは移動させるとしても移動距離を短くすることができ、薬品自動払出装置の奥行きを短くすることができ、ひいては設置面積の少ない薬品自動払出装置を実現することが可能である。さらに、当接部が第1の軸より前方の位置に設けられているので、払い出しの際においてトレイに対するポケット部の底面の角度をより小さくすることができ、壊れやすい薬品容器を有する薬品であってもゆっくりとトレイに薬品を移すことが可能となり、薬品容器の破損の危険性がより少ない投入手段を実現することが可能である
。
また、薬品を投入手段に一時保持するために取り出す際に、薬品がフラップと接してフラップの重心が高くなる方向にフラップをはね上げることにより、薬品の速度を小さくすることができる。これにより、投入手段に複数の薬品を取り出す場合であっても、薬品同士の衝突によって生じうる破損を防止することが可能である。
また、フラップの材質、形状、大きさや、投入手段との連結又方法を、薬品の重量や形状に応じた適切なものにすることにより、取り出された薬品がフラップに接することにより薬品の速度を十分に小さくすることができ、かつ、薬品の自重によりフラップを開けて薬品を確実に投入手段内に落下させることができる。
さらに、薬品をフラップによって一時停止させることにより、薬品の速度をゼロとすることができる。そして、薬品保管ケースから取り出された薬品の速度をゼロとした後に、フラップと薬品との係合を解いて投入手段に落下させるものであるから、投入手段へ落下する薬品の速度は、薬品保管ケースの位置ではなく、薬品が一時停止した位置に対応したものとなる。これにより、投入手段からの高さを低くして投入手段に落下する時の速度を下げることができるから、薬品の破損を防止することが可能である。
また、フラップによって一時停止させた後に、フラップとの係合を解いて薬品を投入手段に落下させるものであるから、薬品の払い出しにおいて、取り出された薬品が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することが可能である。
請求項
2記載の発明によれば、保持手段によりフラップを所定の位置に保持することができるから、薬品を確実に一時停止させ、かつ、保持手段によるフラップの保持を解放することにより、薬品とフラップとの係合を解き、確実に投入手段に落とすことが可能である。
請求項
3記載の発明によれば、フラップとフラップの移動と連動して傾斜角が変化する可動部により、薬品を一時停止して、投入手段に取り出す薬品の速度を十分に小さくすることができるから、投入手段に複数の薬品を取り出す場合であっても、薬品同士が衝突することによる破損を防止することが可能である。
請求項4記載の発明によれば、ガイド部に複数の曲率ないし角度を有するガイド面を設けることにより、ポケット部の動作を異ならせることが可能である。例えば、最初はトレイ直上までポケット部を移動させ、次にポケット部の底面をトレイ底面に対しゆるやかな角度をもって薬品をトレイに移載し、さらに角度を増してポケット部に薬品を残留させることなく確実にトレイに移載するといったことが可能となる。
請求項
5記載の発明によれば、トレイをヘッド本体部方向に移動させることができるので、ポケット部とトレイがともに歩み寄る構成となっており、より迅速な薬品払出をすることが可能である。また、ポケット部が前方のトレイ側に移動することにより、トレイの奥行き方向への移動距離を短くすることができるので、薬品自動払出装置の奥行きを短くすることができ、ひいては設置面積の少ない薬品自動払出装置を実現することが可能である。
請求項
6記載の発明によれば、トレイを回転させることができるので、ポケット部から一番遠いトレイの領域に薬品を載置する場合でも、トレイを移動手段で移動させることなく、トレイを回転させることにより、薬品をトレイに載置することができる。これによりトレイの奥行き方向への移動距離を短くすることができるので、薬品自動払出装置の奥行きを短くすることができ、ひいては設置面積の少ない薬品自動払出装置を実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1、薬品自動払出装置)
本発明の実施形態について、まず、
図1を参照しつつ、調剤指示に基づき、収納されている薬品をトレイに投入する投入手段を備える本発明の薬品自動払出装置の全体構成について説明する。
図1は、薬品自動払出装置101の外観正面図である。薬品自動払出装置101は、未収納トレイユニット102、薬品投入ユニット103、プリンタユニット104、収納済トレイユニット105、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段106から構成されている。
未収納トレイユニット102は、各種薬品を乗せるための空のトレイ107を積載、収容するとともに、下部に設けられたトレイ搬送手段106に空トレイを供給するものである。本実施例では、空トレイ収納ユニット102は、前面を透明プラスチックやガラス等で形成した扉を備え、トレイの在庫が確認できるようになっているが、必ずしもこれらの覆いは必要ではなく、トレイ107を露出するような形で積載、収容するようなタイプでも良い。
薬品投入ユニット103は、各種薬品を分別保管するとともに、処方箋データなどによる調剤指示に基づき、患者ごとに必要な薬品を、トレイ搬送手段106で未収納トレイユニット102から移送された空のトレイ107に投入、載置するものである。薬品投入ユニットには、薬品を種類別に保管する多数の薬品ケース、そして、薬品ケースから調剤指示に基づき所望の薬品を取り出し、トレイに載置することにより払い出す投入手段が設けられている。詳細は、後述する。また、薬品は、処方の対象となりうるものであれば足り、例えば注射薬、点滴薬、内服薬、貼付薬、座薬等である。また薬品自体のパッケージは、注射薬においてはアンプルやプラスチックボトル、点滴薬においては輸液バッグ、内服用の錠剤、粉末剤などは小瓶やSP包装、PTP包装などが代表的である。
プリンタユニット104は、処方箋データに基づき、注射箋など薬剤処方の内容を記載した処方箋や、各種薬剤の薬品ラベルを印刷するプリンタを備えるとともに、印刷された処方箋や薬品ラベルを、トレイ搬送手段106により薬品投入ユニット103から移送されてきたトレイ107に投入、載置するものである。本実施例では、プリンタユニットは、外部からほこりや異物が入り込むのを防止するため、前面が不透明な金属ないしプラスチックの扉で覆われており、扉は開閉可能となっている。プリンタにより印刷される印刷物は個人情報が記載されており機密性が高いので、個人認証手段を設けて扉の開閉を行っても良い。なお、薬品投入ユニット103とプリンタユニット104は配置を逆にしても良い。
収納済トレイユニット105は、トレイ搬送手段106によりプリンタユニット104から移送されたトレイ107を受け取り、積載、収容するものである。この時点で、トレイ107には各種薬品および注射箋、薬品ラベルが載置されている。収納済トレイユニット105も未収納トレイユニット102と同様、前面を透明プラスチックやガラス等で形成した扉を備え、収納済トレイが確認できるようになっている。そして、このような構成により、薬剤が載置されたトレイ107が倒壊することによる薬剤の破損を防止することができる。しかし、機能的には必ずしもこれらの覆いは必要ではなく、トレイ107を露出するような形で積載、収容するようなタイプでも良い。そして、収納済トレイユニット105に積載されたトレイ107は、カート等に移し替えられるなどして、看護士や薬剤師等により、各医師や患者の元に運ばれる。
トレイ搬送手段106は、ベルトコンベアなどの手段により、未収納トレイユニット102から薬品投入ユニット103、プリンタユニット104を経て、収納済トレイユニット105を結ぶものであり、本実施例によれば、各ユニットの下部に独立して設けられている。トレイ搬送手段の動作は、未収納トレイユニット102から空トレイ107を受け取り、薬品投入ユニット103で薬剤を、プリンタユニット104で処方箋や薬品ラベルをトレイ107上に受け取って、収納済トレイユニット105に薬剤および処方箋が載置されたトレイ107を引き渡すものである。このように、トレイ搬送手段106を一列に設けることにより、トレイ配置、薬品投入、印刷物投入、トレイ搬出を各ユニットで同時並行的に進めることができ、より迅速な薬品払出しを実現することができる。トレイ移送手段106の詳細な構成および動作は後述する。
【0011】
(2、トレイ搬送手段)
図2,3を用いて、トレイ搬送手段の構成を説明する。
図2は薬品投入ユニット下部のトレイ搬送手段の外観斜視図、
図3はトレイ搬送手段のうち、旋回可能な第2のコンベアの構成図である。なお、
図2、
図3はトレイが右から左へ搬送される場合の構成を示しているが、病院のスペースとの兼ね合いで、
図1のように左から右へ搬送するようにしてもよい。
薬品投入ユニット103の下部に位置するトレイ搬送手段106は、複数のベルトコンベアを組み合わせて構成されている。すなわち、トレイ搬送手段は106、第1のコンベア201、第2のコンベア202、第3のコンベア203から構成されている。
第1のコンベア201は、ローラー、ベルト、およびローラーを駆動するためのモーターを有し、図示しないコンピュータなどの制御装置からの命令を受けてモーターを駆動し、トレイを搬送する。そして、第1のコンベア201は、薬品投入ユニット103の上流側に位置し、未収納トレイユニット102の側から流れてきたトレイ107を受け取り、第2のコンベア202に受け渡すという役割を担う。なお、第2のコンベア202にトレイ107が滞留しているときは、第1のコンベア201上で待機させるように制御してもよい。
第1のコンベア201の途中には、電子カード書込み装置204が設けられており、トレイ107の側面に設けられた患者カードたる電子カード401に、日付、患者名、病棟、病室、患者IDなどの患者情報を書き込み、電子カード上の表示手段にて表示させる。また、処方箋の内容や処方薬の種類などの情報を同時に書き込んでも良い。なお、電子カード書込み装置204は、第3のコンベア203、あるいはプリンタユニット104の下部のトレイ搬送手段106に設けても良い。 第2のコンベア202は、第1のコンベア201と第3のコンベア203の間に位置し、トレイを第1のコンベア201から受け取り、第3のコンベア203に受け渡す役割を担っている、さらに、第2のコンベア202は、移動手段および旋回手段に相当し、第2のコンベア202自体がトレイの搬送方向に対して直角に移動したり、あるいはコンベア202自体が旋回動作を行う役割を担っている。さらに、第2のコンベア上には投入手段が設けられ、移動手段および旋回手段の動作を組み合わせることにより、所望のトレイの領域に薬品を払い出すという役割を担っている。
第2のコンベア202の詳細な構成を
図3を用いて説明する。第2のコンベア202は、トレイを投入手段側に移動させる移動手段、およびトレイを回転させる旋回手段を兼ねている。なお、移動手段、旋回手段は、トレイを搬送方向に対して直角に移動させ、あるいは回転させることができれば、以下の手段には限定されない。
第2のコンベア202は、ローラー205、ベルト206、モーター207を有しており、モーター207の駆動力がローラー205に伝達され、無端状に形成されたベルト206を回転させることにより、ベルト206上部のトレイ107を搬送する。また、第2のコンベア202は、旋回部208、モーター209、ベルト210、ローラー211を有しており、モーター209の駆動力がベルト210、ローラー211を介して、旋回部208に伝達され、旋回部208が旋回することにより、第2のコンベア202全体が上部に載置されたトレイとともに水平方向に回転する。さらに、第2のコンベア202には、モーター212、ボールねじ213、レール部材214が設けられており、モーター212の駆動力がボールねじ213に伝えられ、モーター212の回転運動が直線運動に変換されて、第2のコンベア202全体が、第1のコンベア201から第3のコンベア203に至るトレイの搬送経路に直交する方向(
図3の矢印方向)に移動させることが可能である。
第3のコンベア203も第1のコンベア201と同様、ローラー、ベルト、およびローラーを駆動するためのモーターを有し、図示しないコンピュータなどの制御装置からの命令を受けてモーターを駆動し、トレイを搬送する。そして、第3のコンベア203は、薬品投入ユニット103の下流側に位置し、薬品が収納されたトレイ107をプリンタユニット104や収納済トレイユニット105の下に設けられたコンベアに受け渡すという役割を担う。
【0012】
(3、投入手段)
図4、5、6を用いて、本発明の薬品自動払出装置の薬品投入ユニットにおける投入手段の詳細を説明する。
図4は、薬品自動払出装置の薬品投入ユニット内部の側面図である。本図において、紙面奥側垂直方向がX方向、紙面下側方向がZ方向、紙面左側方向がY方向である。薬品投入ユニットには、薬品を薬品保管ケースから取り出しトレイ107に搬送するヘッド部401、ヘッド部401をXZ方向に移動させることにより薬品を搬送するヘッド搬送部402、薬品の種類ごとに薬品を保管する複数の薬品保管ケース403からなる。
ヘッド部401は、図示しないコンピュータからの調剤指示に基づき、ヘッド搬送部402により所望の薬品を保管している薬品保管ケース403に移動され、かかる薬品を受け取り、再びヘッド搬送部402によりトレイ107直上に移動され、薬品をトレイ107に載置する、すなわち払い出すものである。この払い出しに際して、
図7を参酌して後述する通りヘッド部401のポケット404がトレイ107側にせり出す構成を有するので、ヘッド部401がヘッド搬送部402に乗って移動する空間を小さくすることができ、その分薬品保管ケース403を後方に延長することができので、より多くの薬品を保管できるものである。以下、ヘッド部401の構成を以下の実施例で説明する。
【0013】
(実施例1)
図5、6は、第1の実施例の投入手段たるヘッド部401の外観斜視図および側面図である。
ヘッド部401は、ヘッド部本体401aに、ポケット404、アーム405、第1の軸406、第2の軸407、ガイド408、ローラー409を有している。
ヘッド部本体401aはヘッド本体部であり、薬品保管ケース403から薬品を取り出し、トレイに供給するための様々な機構が設けられている。
ポケット404は、ポケット部であり、ヘッド部401の左上前方から受け取った薬品を一時的に保持するとともに、トレイ107直上で図面左下側にせり出すように開き、ポケット404の投入口側(図中、ポケット404の左端部)からトレイ107に薬品を載置するものである。ポケット404の内面は、複数の薬品が収容、保持できるよう曲面状となっている。また、望ましくは、薬品容器の破損を防ぐため、内面にゴムなどの弾性体、布などの緩衝材を設けている。このように、ポケット部は薬品を一時的に保持し、トレイに載置できる構成を有していれば、いかなる形状や構成を有していてもよい。例えば、断面が円筒状のポケット部などでもよい。
アーム405は、アーム部であり、ヘッド部本体401aとポケット404とを結合する部材である。そして、ポケット404は、第1の軸406でアーム405の一端と回動可能に接続されるとともに、ヘッド部本体401aは、第2の軸407でアーム405の他端と回動可能に接続されている。なお、第2の軸は、図示しない駆動手段で回転するよう構成されている。これに対して、本実施例では第1の軸には駆動手段は接続されず、自由に回転することができるのみである。
ガイド408は、ガイド部であり、ポケット404側面に設けられている。ガイド408はそのガイド面を後述のローラー409と当接させながらローラー409上をすべるように移動することにより、ポケット404を移動、開閉させる。つまり、ポケット404の軌跡、および開閉動作やタイミングは、ガイド408の形状に依存することになる。本実施例では、ローラー409と接する面は、第1のガイド面408a、および第2のガイド面408bとから構成されている。第1のガイド面408aは主にポケット404のトレイ方向へのせり出し動作を実現するものであり、第1の軸406が最下点に至るまでの間、ローラー409と接する。第2のガイド面408bは、第1のガイド面aよりも小さい角度で形成されており、主にポケット404の開口動作を実現するものである。第2のガイド面408bは、第1の軸406が最下点から上昇に転ずるとき以降、ローラー409と接する。第1のガイド面408aと第2のガイド面408bとは、接線の傾きが連続するよう、緩やかな曲面で結ばれている。こうすることにより、ポケット404のスムーズな開閉を実現することができる。
ローラー409は、当接部であり、ヘッド部本体401aから下方に突出して設けられている。そして、ローラー409は第1の軸406よりもトレイ方向、すなわち図面上では、第1の軸406からY軸に沿って正の方向に設けられている。これは、ポケット404がせり出す方向でもある。
トレイ107は、上述の第2のコンベア202上で、投入装置により薬品が投入されるのを待っている。
図5,6は、トレイ107のうち、107aの領域に薬品が投入されるのを待っている様子を表している。なお、この位置は、第2のコンベア202上をトレイ107が搬送されてきた位置でもよいし、移動手段によりトレイ107の搬送方向と垂直に移動されてきた位置でもよい。
【0014】
以上の構成を有するヘッド部401の動作について、
図7を用いて説明する。
図7は、ポケット404の開閉動作を示したものである。かかる一連の動作は、第2の軸407に図示しないモーターなどの駆動手段で駆動力が加えられることにより実現している。
図7(a)は、ポケット404がヘッド部本体401aに収容されている、すなわちポケット404が閉じている状態を表す図である。このときは、ポケット404の底面は水平、あるいは保持している薬品がこぼれ落ちないよう、投入口側に向かってやや上向きとなっている。なお、
図7(b)〜(d)では、
図7(a)に示した状態を破線で示している。
図7(b)は、ポケット404が開き始める直前の図である。同図中に実線で示すように、アーム405が第2の軸407で回動することによりアーム405が前方に振られ、それに伴いポケット404はトレイ側(図中左側)にせり出すように移動する。同時に、アーム404の第1の軸406が下側に移動することによりポケット404は下側に移動する。したがって、全体としてみれば、ポケットは左下に移動しているように見える。ただし、この状態ではまだポケット404の底面はほぼ水平を保っている。これをガイド側から見ると、ガイド408の第1のガイド面408aがローラー409上をすべるようにポケット404がトレイに向かって左下側に移動している。これにより、ポケット404はトレイ側に移動しているので、トレイ107を移動手段を用いてヘッド部401側に移動させる必要がない、あるいは、移動させたとしてもより短い距離で済むことになる。また、ポケット404は下側にも移動しているので、従来よりも緩やかな角度で薬品を投入できるものである。
図7(c)は、ポケット404が開き、薬品の投入がされる時点の図である。同図中に実線で示すように、この時、ローラー409は第1のガイド面408aから第2のガイド面408bの境界に位置している。第2のガイド面408bは第1のガイド面408bより水平に近い角度で設けられている。そして、ポケット404はローラー409と第1の軸406で支えられながら、第1の軸406が最下点から再び上方に向かうにしたがい、第1の軸406とローラー409のなす角度は急激に増加し、ポケット404の投入口側が徐々に沈み込む。すなわちポケット404が開き始め、トレイ107の底面とポケット404の投入口側が接する。このように、ポケット404は一旦沈み込んでから開き始めるので、トレイ107からの高さが従来より低い点で薬品が投入される、つまり従来より緩やかな角度でもって薬品を投入できるので、薬品に与える衝撃はより軽減することができ、薬品の破損を防止することができるものである。また、ポケット404は前方にせり出した状態で開き始めるので、トレイ107をヘッド部側に移動させる必要はなく、移動させるとしても、最小限の移動距離で済むことになる。
図7(d)は、ポケットが完全に開いた状態を表す図である。この時、同図中に実線で示すように、ローラー409の位置は第2のガイド面408b上にある。この状態で、第1の軸406はさらに上方に向かい、ポケット404を持ち上げるので、図ようにポケット404は完全に開ききり、やがてポケット404の底面が垂直に近い状態になる。これにより、ポケット404に薬品が残ることなく、確実に薬品を払出すことが可能である。なお、この段階で、ヘッド部401全体を持ち上げるよう制御すれば、更に確実にポケット404から薬品をトレイ107に払い出すことが可能である。
【0015】
図8は、トレイに薬品を払い出す際のトレイの動きと、トレイ上の薬品の払出位置を示した図である。図中の×は、ヘッド部のポケットが薬品を払い出す位置を表している。
トレイ107は2枚の仕切り板で収納部が3分割されており、それぞれ収納部107a、107b、107cを形成している。
まず、
図8(a)の通り、搬送系路上のトレイ107の収納部107aに、上述のポケット404が図面上方からせり出し、薬品が載置される。上述の通り、ポケット404は投入口がせり出すように移動するので、収納部107aに薬品を載置する場合は、トレイ107をポケット404の方向に移動させる必要はない。
次に、
図8(b)の通り、旋回手段によりトレイ107が回転される。そして、収納部107cに、上述のポケット404が図面上方からせり出し、薬品が載置される。この場合もトレイ107をポケット404の方向に移動させる必要はない。
さらに、
図8(c)の通り、移動手段によりトレイ107はポケット404の方向に移動される。そして、ポケット404がせり出し、収納部107bに薬品が載置される。このように、ポケット404がせり出して薬品をトレイ107に払い出すことができるので、移動手段によりトレイ107が移動する距離を短くすることができ、装置の奥行きを短くすることができるものである。また、ヘッド部401のY軸方向(
図4参照)の移動空間をトレイ107直上部分のみに設ければよいので、薬品保管ケースの奥行きを伸ばすことができ、限られた空間でより多くの薬剤を搭載することが可能である。
最後に、
図8(d)の通り、移動手段により元のトレイ搬送経路に戻されるとともに、旋回手段によりトレイ107が元の向きに戻される。
なお、収納部107a、107cに薬品を載置する場合は、搬送系路上で薬品を受け取っているが、移動手段により搬送経路に対して直角方向に移動させてもよい。
このような構成をとることにより、ポケットとトレイが互いに歩み寄る形となるので、トレイ搬送経路に対して直角方向へのトレイの移動を最小限に抑えることができ、薬品払出装置の奥行きを短くすることが可能となる。具体的には、本実施例では、ポケット404が50mm、トレイ107が150mm歩み寄っているので、装置自体も50mm薄型化することが可能である。
【0016】
(実施例2)
図9は、第2の実施例の投入手段たるヘッド部901の側面図である。第1の実施例と異なり、ガイド部および当接部は設けられていない。それに対し、実施例1では第2の軸407のみが駆動していたが、本実施例ではこれに加え、第1の軸906も駆動するよう構成されている。すなわち、第1の軸906および第2の軸907はそれぞれ図示しない駆動手段に接続され、それぞれ、ポケット904およびアーム905を回転させる。
このように、第2の軸907および第1の軸906の両方が駆動することにより、ポケット904のせり出し量、およびポケット904の角度が自由に制御できることになり、実施例1と同様の動作を実現することが可能である。さらに、実施例1よりも複雑な動きを実現することも可能である。以下、その動作を説明する。
まず、アーム905がトレイ底面に対して垂直になるまで、第2の軸907に接続された駆動手段によりアーム905は回転される。この際、第1の軸906に接続された駆動手段は、第2の軸907に接続された駆動手段と同期を取り、同じ速度で回転する。こうすることにより、アーム905が最下点に至るまで、ポケット904を水平に保つことができる。
次に、アーム905が最下点を越えたあたりから、第1の軸の回転速度を徐々に上げる。これにより、ポケット904の投入口側(ポケットの左側端部)が下がり始める。
そして、ポケット904の投入口側がトレイ107の底面に接した後は、ヘッド部901を上昇さる。これにより、ポケット904は完全に開ききり、薬品を確実にトレイに投入可能である。
以上のように、本実施例においても、薬品の投入地点を従来より前方に設定できるので、トレイの移動量が少なくなり、より薄型の薬品払出装置を実現でき、また、薬品の投下地点を従来より低く設定できるので、薬品に対する衝撃が少ない方法で薬品をトレイに投入することが可能である。
【0017】
(実施例3)
本実施例以下は、投入手段からトレイへの薬品の払い出しの際に生じる薬品容器の破損ではなく、投入手段が薬品保管ケースから薬品を取り出し、投入手段のポケット部に至るまでに生じる薬品容器の破損を防止するための投入手段についてのものである。
図10は、設置スペース特に奥行きに制限のあるフラップを備えない薬品自動払出装置における薬品取り出し動作を段階的に示した模式図である。同図(a)〜(c)に示すように、ヘッド部401は、ポケット404とシュート410とを備えている。シュート410は、薬品保管ケース403の薬品500がヘッド部401に取り出されるときの薬品の経路となるものである。
図10(a)に示すように、薬品保管ケース403内の薬品500を取り出す際、ヘッド部401のシュート410が薬品保管ケース403と近づく方向(矢印Aの方向)に移動する。そして、
図10(b)に示すように、薬品保管ケース403の薬品500をシュート410介してポケット404内に落下させて取り出す。この後、シュート410は、薬品保管ケース403から遠ざかる方向(矢印Bの方向)に移動する。
図10(c)に示すように、シュート410が元の位置(
図10(a)と同じ位置)に戻ることにより、ヘッド部401による薬品保管ケース403からの薬品500の取り出しは終了する。
図16に示す従来の薬品投入ユニット600では、シュート610の移動距離Xを十分とることにより、同図(b)に示すようにシュート610内で薬品500を一旦停止させ、薬品保管ケース403からシュート610内へ落下するときに生じた薬品500の速度を吸収した後、同図(c)に示すようにシュート610からポケット604内へ薬品500を取り出している。しかし、奥行きに制限のある薬品自動払出装置101においては、薬品保管ケース403から薬品500を取り出す際に、シュート410の移動距離Xが制限されていることから、薬品500をシュート410内において吸収することができない。この結果として、薬品500は、薬品保管ケース403から直接にヘッド部401のポケット404に落下することとなる(
図10(b)参照)。このため、薬品500がポケット404に落下する速度は、薬品保管ケース403のポケット404からの高さに対応したものとなるから、ポケット404内に複数の薬品500を取り出したときに、薬品500同士が衝突し、薬品500が割れるという問題が発生するおそれがあった。
この問題の発生を防止するために、本実施例3のヘッド部401には、
図11に示すように、薬品500が薬品保管ケース403からヘッド部401に取り出される際に薬品500を一時停止させるためのフラップ411が設けられている。このフラップ411は、調剤指示に基づき、薬品500を薬品保管ケース403からヘッド部401に取り出すときに、薬品500を一時停止させ、薬品500が一時停止された後に、薬品500との係合が外れる方向に移動することにより、薬品500との係合が解かれ、薬品500をポケット404内に落下させるものである。
【0018】
図11は、本発明の第3の実施例の薬品自動払出装置の薬品取り出し動作を段階的に示した模式図である。
図11(a)に示すように、薬品保管ケース403の薬品500を取り出す際、ヘッド部401のシュート410が薬品保管ケース403に近づく方向(矢印A1で示した方向)に移動するとともに、フラップ411がシュート410の中の薬品500の経路に近づく方向(矢印A2で示した方向)に移動する。より具体的には、フラップ411は、ヘッド部401が薬品保管ケース403に近づいた時に、ヘッド部401にある薬品保管ケース403の後部ゲート(図示しない)を開ける機構に連動して、シュート410に押しつけられる方向に移動する動作をする。このように、ヘッド部401の薬品保管ケース403の後部ゲートを開ける機構を利用して、フラップ411を立てる様にしたので、ヘッド部401の移動とフラップ411の移動との同期をうまく取ることができる。そして、
図11(b)に示すように、フラップ411により薬品保管ケース403から取り出された薬品500をシュート410内で一時停止させることによって、薬品500の速度を吸収する。
薬品500をシュート410内で一時停止させた後に、シュート410は、元の位置(
図11(a)参照)に戻る方向(矢印B1の方向)に移動する。この移動の際に、フラップ411も元の位置(
図11(a)参照)に戻る方向(矢印B2の方向)に移動する。より具体的には、ヘッド部401が薬品保管ケース403から離れた状態では、フラップ411は、バネ付勢によりシュート410から離間したる状態になる。すなわち、ヘッド部401が薬品保管ケース403から離れた状態になれば、フラップ411は、後述する蝶番412に設けられたバネにより付勢されている方向に自動的に移動することにより開放される。フラップ411が矢印B2の方向へ跳ね上がるように移動することにより、
図11(c)に示したように、フラップ411と薬品500との係合が解かれ、薬品500をポケット404内に確実に落下させることができる。
【0019】
このように、薬品500をシュート410内で一時停止させることにより、ヘッド部401のポケット404内に落下する薬品500の速度を下げることができるから、ポケット404内に複数の薬品500を取り出す場合であっても、薬品500同士が衝突して破損することを防止することができる。
また、上述のように、シュート410の移動に応じて、フラップ411が自動的に移動する構成とすれば、薬品500の払い出しにおいて、シュート410内に一時保持された薬品500を確実にポケット404に落下させることができる。このため、取り出された薬品500が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することができる。
なお、本実施例では、シュート410の動きと同期してフラップ411を図示しないバネにより付勢された蝶番412を介して移動させているが、もちろんヘッド部401全体の動きと同期して移動させてもよい。また、蝶番412を介して常に薬品保管ケース403側にばねなどの弾性部材を介して付勢させておき、薬品保管ケース403からヘッド部401が離脱する際に、フラップ411を跳ね上げるようにフラップ411を移動させてもよい。この際、薬品500がポケット404に落下するのに十分な時間が経過後、フラップ411を薬品保管ケース403側に移動させてもよい。
【0020】
図12は、ヘッド部401の内部構造を説明するために、その一方の側面を取り除いた状態を示した側面図である。同図は、上述した
図11(b)の薬品500をシュート410内に一時停止させた状態を示している。同図に示すように、フラップ411を所定の位置に保持することにより、薬品500をシュート410上に一時停止させることができる。そして、フラップ411の下方側の端部411Bを跳ね上げるように、フラップ411を移動させることにより、フラップ411と薬品500との係合を外し、薬品500をポケット404内に落下させることができる。
本実施例3のフラップ411は、端部411Bと反対側の上方側の端部411Aにおいて、保持手段としての蝶番412により、ヘッド部401蝶着されている。このため、フラップ411は蝶番412によりヘッド部401に蝶着されている部分を中心として回動可能なものとなっている。
【0021】
本実施例3のフラップ411は、薬品500の取り出しの段階に応じて、薬品500がシュート410内に一時停止する位置、またはフラップ411と薬品500との係合を外して薬品500をポケット404内に落下させることができる位置の何れかにフラップ411が位置するように、蝶番412により保持されるものである。なお、フラップ411を駆動する手段は、蝶番412と一体のものとして構成しても、別体の物として構成してもよい。
【0022】
以上のとおり、本実施例3の薬品自動払出装置は、投入手段に取り出す薬品の速度を十分に小さくすることができるから、投入手段に複数の薬品を取り出す場合であっても、薬品同士が衝突することによって破損が生じることを防止することができる。
また、薬品の払い出しにおいて、取り出された薬品が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することができる。
【0023】
(実施例4)
上述した実施例3では、フラップ411を備えたヘッド部401について説明したが、本実施例4では、フラップ411に加えて、可動部413をさらに備えた構成の薬品自動払出装置101について説明する。なお、薬品自動払出装置の全体構成については実施例3と同じであることから、以下では説明を省略する。また、既に説明した部材と同じ機能の部材については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0024】
図13は、本発明の実施例4の薬品自動払出装置の薬品取り出し動作を段階的に示した模式図である。
図13(a)に示すように、薬品保管ケース403の薬品500を取り出す際、シュート410が薬品保管ケース403に近づく方向(矢印A1の方向)に移動するとともに、フラップ411がシュート410の中の薬品500の経路に近づく方向(矢印A2の方向)に移動し、可動部413が上方向(矢印A3の方向)に移動する。
そして、
図13(b)に示すように、フラップ411と可動部413により、薬品保管ケース403から取り出された薬品500を一時停止させることにより、その速度を吸収する。このように、薬品500を一時停止させた後に、シュート410、フラップ411、可動部413の何れも元の位置(
図13(a))に戻るために、矢印B1、B2、B3で示した方向に移動する。この移動により、フラップ411及び可動部413と薬品500との係合が解かれ、薬品500をポケット404内に落下させることができる。
このように、薬品500をシュート410内で一時停止させることにより、薬品500がヘッド部401のポケット404内に落下する速度を下げることができるから、ポケット404内に複数の薬品500を取り出す場合であっても、薬品500同士が衝突して破損することが防止することができる。
また、上述のように、シュート410の移動に応じて、フラップ411及び可動部413の位置が変化する構成、すなわち、可動部413は、フラップ411の移動と連動してその傾斜角が変化する構成とされている。ここで、可動部413の傾斜角とは、可動部413の薬品500が一時停止されている部分と可動部413の端部413B(
図14参照)とを結んだ直線と水平面とにより形成される角度をいう。例えば、薬品500がシュート410内で一時停止されている状態では、可動部413の面を水平すなわち可動部413の傾斜角を0度とし、フラップ411の移動と連動してその端部413Bが下方に移動するように可動部413の面に傾斜角をつけることとすれば、薬品500の払い出しにおいて、シュート410内に一時保持された薬品500を確実にポケット404に落下させることができる。このため、取り出された薬品500が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することができる。
なお、可動部413の傾斜角としては、例えば、薬品500がシュート410内で一時停止されている状態では0度とし、フラップ411の移動と連動して30度とする構成が挙げられるが、傾斜角の大きさは、これに限られるものではなく適宜設定することができる。
また、フラップ411の移動と連動して可動部413の傾斜角が変化するとは、フラップ411によりシュート410内に一時保持されている薬品500が、可動部413上に存在している間に可動部413の傾斜角が変化することをいう。したがって、フラップ411の移動と同時に可動部413の傾斜角が変化する構成に限られるものではなく、可動部413の傾斜角が変化した後にフラップ411が移動する構成、あるいは、可動部413の傾斜角が変化する前にフラップ411が移動する構成としても良い。
【0025】
図14は、ヘッド部401の内部構造を説明するために、その一方の側面を取り除いた状態を示した側面図である。同図は、上述した
図13(b)の薬品500をシュート410内に一時停止せた状態を示している。同図に示すように、フラップ411及び可動部413が所定の位置に保持されることにより、薬品500を一時停止させることができる。そして、
図14に示した状態から、フラップ411の下方側の端部411Bをはね上げるようにフラップ411を移動させ、可動部413の薬品500がポケット404に落下するときに通過する側の端部413Bを下げるように可動部413を移動させることにより、フラップ411及び可動部413と薬品500との係合を外し、薬品500をポケット404内に確実に落下させることができる。
本実施例4における可動部413は、その上に薬品500を載置することができる板状体である。そして、薬品500がポケット404に落下するときに通過する側の端部413Bが薬品500が載置されている部分よりも下方になるように、端部413Bが上下方向に可動な構成とされている。
【0026】
以上のように、本実施例4の薬品自動払出装置101は、薬品500が薬品保管ケース403からヘッド部401に取り出される経路に可動部413が設けられており、可動部413の端部413Bは、フラップ411の移動と連動して下方に移動するものである。すなわち、本実施例の薬品自動払出装置は、薬品を停止するための手段として、フラップと揺動する可動部とを備えており、投入手段に取り出す薬品の速度を十分に小さくすることができるから、投入手段に複数の薬品を取り出す場合であっても、薬品同士が衝突することによって破損が生じることを防止することが可能である。
また、薬品の払い出しにおいて、取り出された薬品が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することが可能である。
【0027】
(実施例5)
実施例3及び4においては、薬品を取り出す際に薬品を一時停止させて薬品の速度を一度ゼロにするものについて説明した。本実施例5においては、薬品を取り出す際に薬品を一時停止させることなく、投入手段に落下する時の速度を下げて薬品の破損を防止する構成について説明する。なお、薬品自動払出装置の全体構成については既に説明していることから、以下では説明を省略する。また、既に説明した部材と同じ機能の部材については、同じ番号を付して説明を省略する。
図15は、本発明の実施例5の薬品自動払出装置の薬品取り出し動作を段階的に示した模式図である。
図15(a)に示すように、薬品保管ケース403の薬品500を取り出す際、シュート410が薬品保管ケース403に近づく方向(矢印A1の方向)に移動する、本実施の形態3のフラップ411は、シュート410側の端部411Bが自由に回動可能となるように、ヘッド部401に蝶着されており、フラップ411を駆動して端部411Bを所定の位置に保持する手段を備えていないが、薬品保管ケース403の薬品500がヘッド部401に取り出される際に、薬品500と接触する位置に設けられている。このため、薬品保管ケース403から取り出された薬品500は、シュート410内においてフラップ411と接し、その一端を跳ね上げるようにして移動することとなる。この際、フラップ411を跳ね上げるのに要したエネルギーに相当する分だけ、薬品500の速度を小さくすることができる。
【0028】
このように、薬品500と接する位置にフラップ411が設けられていることにより、ヘッド部401のポケット404内に落下する薬品500の速度を下げることができるから、ポケット404内に複数の薬品500を取り出す場合であっても、薬品500同士が衝突して破損することが防止することができる。
また、フラップ411の大きさや、重さ、回動させるための抵抗等を、薬品500の重量などに応じた適切なものに調整することにより、取り出された薬品500が自重でフラップを開けきれないで、投入手段に落下せずに取りこぼしが生じることや、落下しなかった薬品が他の患者の薬品払い出しにおいて一緒に払い出されてしまうこと等のエラーを確実に防止することができる。