特許第5691008号(P5691008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5691008顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5691008
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20150312BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20150312BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20150312BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20150312BHJP
   C09B 33/147 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   C09B67/20 K
   G02B5/20 101
   C09B67/20 L
   C09B67/46 A
   G03F7/004 505
   !C09B33/147
【請求項の数】4
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2013-212126(P2013-212126)
(22)【出願日】2013年10月9日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒川 久満
(72)【発明者】
【氏名】室星 太郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝佳
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悠太
【審査官】 太田 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−088185(JP,A)
【文献】 特開2007−163543(JP,A)
【文献】 特許第5316690(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 29/20
C09B 67/20
C09B 67/46
G02B 5/20
G03F 7/004
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合アゾ顔料と下記一般式(1)で表される顔料分散剤とを含有する顔料組成物であって、縮合アゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド221、およびC.I.ピグメントレッド242からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことを特徴とする顔料組成物

【化1】

一般式(1)中、X1が、水素原子またはハロゲン原子であり、
2、X5およびX10は、水素原子であり、
3およびX4は、互いに結合して環を形成しない場合には、X3水素原子、4パーフルオロアルキル基であり、互いに結合して環を形成する場合には、−NHCONH−であり、ベンズイミダゾロン環を形成し、
6が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシル基であり、
7、X8およびX9は、水素原子、式(a)または式(d)で表される基であって、X7、X8およびX9のうち少なくとも1つは、式(a)または式(d)で表される基である。]

【化2】

式(a)中、Z1は、COであり、Z2は、NHであり、nは、1〜8の整数であり、R16およびR17は、炭素数が1〜8のアルキル基である。]
【化4】

式(d)中、Z6は、CONHであり、R25およびR29は水素原子であり、R26、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子または式(a)で表される基であって、R26、R27およびR28のうち少なくとも1つは、式(a)で表される基である。]
【請求項2】
着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤を含有する着色組成物であって、着色剤が請求項記載の顔料組成物を含有することを特徴とする着色組成物。
【請求項3】
さらに光重合性単量体を含有することを特徴とする請求項記載の着色組成物。
【請求項4】
基板上に、請求項または記載の着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物、着色組成物、カラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタを使用するカラー表示装置としては、たとえば(i)光源としてのバックライト、光シャッターとしての液晶、色調整機能(色変換機能、色分解機能、色補正機能など)を有するカラーフィルタの組み合わせからなる液晶表示装置、(ii)合成白色有機EL光源、色調整機能(色変換機能、色分解機能、色補正機能など)を有するカラーフィルタの組み合わせからなる有機EL表示装置などが挙げられる。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0004】
一般的に、カラーフィルタの製造は、顔料を分散した着色組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂及びその他の成分を含有した光硬化性着色組成物を使用して、現像工程および230℃以上の高温処理工程を経て、着色パターンおよびブラックマトリクスを形成する方法が主流である。
【0005】
現在フラットパネルディスプレイは(i)の液晶ディスプレイが主流となっており、低消費電力、省スペース等の利点から、家庭用テレビ、パソコン用モニタ、タブレット型端末やスマートフォンとして急速に普及している。この普及に伴い、特に輝度の高度化が年々要求されており、構成する部材であるカラーフィルタにおいては、透過性の向上が望まれている。輝度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。そのため消費電力の増大を抑制する観点から、カラーフィルタの高輝度化がトレンドとなっている。
【0006】
輝度を高くするためには、最適な分光形状を有する顔料組成物を設計する必要があり、例えば、赤色の場合は、カラーフィルタの透過スペクトルにおいて、560nm付近から長波長側にかけての透過度を高める必要がある。
【0007】
また、テレビの用途では、色再現性も重要視される。カラー液晶表示装置の色再現性は、赤、緑、青のフィルタセグメントから放射される光の色で決まり、それぞれのフィルタセグメントの色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積で評価され、アメリカNationalTelevision System Committee(NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対する比(単位は%、以下NTSC比と略す。)として表現される。この値は、一般のノートパソコンで40〜100%、パソコン用のモニターで50〜100%、液晶テレビでは70%〜100%となっている。
【0008】
(i)の液晶表示装置におけるバックライトとしては、冷陰極管タイプバックライト、無機材料を用いた発光ダイオードや有機EL素子を用いた、2波長ピークの擬似白色バックライトと3波長ピークのバックライトなどがある。液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、VAモード、IPSモード等があり、中でもTN(ツイストネマチック)モード型液晶を用いるタイプが主流となっている。しかしながら、これら液晶表示装置においては、黒表示でもバックライトユニットは白表示と同じ発光をし続けているため、エネルギーの無駄が大きいという問題点を有している。
【0009】
また、カラー液晶表示装置においては、2枚の偏光板の間に液晶層およびカラーフィルタが挟まれた構造が主流であるため、カラーフィルタのコントラスト比も重要な品質項目である。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、光板を透過した光の偏光面を乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため高品質な液晶表示装置を実現するためには、高コントラスト化が不可欠である。
【0010】
上記1枚目の偏光板を透過した光の偏光面がカラーフィルタで乱される原因は、1枚目の偏光板で偏光された光がカラーフィルタを通過する際に顔料表面で反射し、偏光面が回転して偏光が崩される(消偏性)ことにあると考えられている。
【0011】
よって、カラー液晶ディスプレイのコントラスト比を高くするためには、カラーフィルタ中に含まれる顔料の一次粒子を微細化し、光の波長以下の大きさにすること、および顔料と媒体との屈折率差を小さくすることが重要である。顔料の一次粒子の微細化は、一般的には、顔料に機械的な粉砕処理を施すことにより行われている(特許文献1、2参照)。
【0012】
従って、高い微細化能と分散能をもつ顔料分散剤を用いて、適切な分光領域を持つ顔料を微細化および良好な分散状態を得ることができれば、輝度およびコントラスト比が向上する。
【0013】
従来、カラーフィルタ基板の3原色(赤・緑・青;RGB)の一つであるの赤色フィルタセグメントには、主顔料としてジケトピロロピロール系顔料であるC.I.ピグメントレッド254、およびアントラキノン系顔料であるC.I.ピグメントレッド177を単独または組み合わせて用いられている。
【0014】
C.I.ピグメントレッド254は特に輝度に優れる顔料であるが、微細顔料の耐熱性に問題があり、それを用いたカラーフィルタにおいて、輝度が低下するという問題を有する。また、C.I.ピグメントレッド177は、耐熱性および耐光性は良好であるが、輝度が低いという問題があった。
【0015】
(ii)の有機EL表示装置の合成白色光源としては、2波長ピークを有する光源や3波長ピークを有する光源および可視光領域に多数のピークを有するものがあり、各色に発光する有機EL材料を混ぜるか層状に重ねるなどして合成白色光を得ている。
【0016】
有機EL表示装置は、TFT(薄膜トランジスタ)などにより直接画素の光源をオン/オフコントロールすることが出来るため、指定画素の発光を消すことで黒表示を行うことが可能である。したがって、発光装置内に液晶表示装置において用いられる偏向板が不要となり、かつ液晶体によりコントロールを行う必要も無くなる。このため、表示装置における透過光の光量が増大するとともに、黒表示において発光装置を消すことにより、エネルギーの消費を大幅に減少させることができる。また真の暗闇の黒を再現することが可能となり、コントラスト比を大きくすることができる。このような液晶表示装置における問題点が解決された有機ELカラー表示装置として、例えばSONY社製「XEL−1」などの製品が既に上市されている。(例えば特許文献3参照)
【0017】
しかしながら、このような有機EL素子を用いた発光装置は、従来用いられている光源の発光スペクトルと発光スペクトルが異なっている。例えば従来の光源では420〜430nm付近にピークを有しているが、有機EL素子を用いた光源では、材料の特性から420〜430nm近辺にピークは無く、460nm付近にピークを有している。また有機EL素子を用いた光源の発光スペクトルは、従来の光源と比較して全体的にブロードなピークを有しているため、460nm近辺のピークを過ぎた後においても、500nm付近まで従来の光源よりスペクトルが高くなっている。これらの理由から、有機EL素子を用いた光源を使用した表示装置に、現在使用されているカラーフィルタをそのまま用いることができないのが現状である。このため有機EL素子を用いた光源に使用できる、最適な色相や透過率特性を持つカラーフィルタ材料の選択、開発が必要となっている。
【0018】
このような光源を有する有機EL表示装置においても、液晶表示装置と同様、NTSC比を高くすることが求められる。NTSC比を大きくするためには、それぞれのフィルタセグメントの色純度を高くする必要があるが、色純度を高くすると光源の光の利用効率(輝度Y値で表す。)が低くなるため、消費電力が多くなるという問題点がある。
【0019】
NTSC比の大きいカラーフィルタを得るために従来はC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179といった赤色顔料と、着色力に優れたC.I.ピグメントイエロー 185や、C.I.ピグメントイエロー 139といった黄色顔料を用いることが多い。
【0020】
ここで、上記顔料を単独、もしくは組み合わせて使用した場合、輝度が低いという問題がある。
【0021】
特許文献4〜6には、赤色フィルタセグメントの更なる輝度向上を図るべく、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド242、およびC.I.ピグメントオレンジ38などのアゾ顔料を主顔料として使用することが提案されているが、輝度、色純度は十分ではなく、更なる改善が求められていた。さらに、特許文献7には新規なアゾ化合物が開示されているが、その顔料分散剤としての作用については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2001−220520号公報
【特許文献2】特開2005−189672号公報
【特許文献3】特開2005−100921号公報
【特許文献4】特開2009−237462号公報
【特許文献5】特開平11−14824号公報
【特許文献6】特開平10−115709号公報
【特許文献7】特開2011−173971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルタに使用した際に、そのコントラスト比および輝度が優れ、耐熱性、耐光性が良好で、塗膜異物が発生しない顔料組成物、および分散性安定性が極めて優れた着色組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、縮合アゾ顔料とある特定の構造を有する顔料分散剤からなる顔料組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
【0025】
すなわち、本発明は、縮合アゾ顔料と下記一般式(1)で表される顔料分散剤とを含有する顔料組成物であって、縮合アゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド221、およびC.I.ピグメントレッド242からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことを特徴とする前記顔料組成物に関する。
【0026】
【化1】

[一般式(1)中、X1が、水素原子またはハロゲン原子であり、
2、X5およびX10は、水素原子であり、
3およびX4は、互いに結合して環を形成しない場合には、X3水素原子、X4パーフルオロアルキル基であり、互いに結合して環を形成する場合には、−NHCONH−であり、ベンズイミダゾロン環を形成し、
6が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシル基であり、
7、X8およびX9は、水素原子、式(a)または式(d)で表される基であって、X7、X8およびX9のうち少なくとも1つは、式(aまたは式(d)で表される基である。]
【0027】
【化2】

[式(a)中、Z1は、Cであり、Z2は、Nであり、nは、1〜の整数であり、R16およびR17は、炭素数が1〜8のアルキル基である。]
【0029】
【化4】

[式(d)中、Z6は、CONHであり、25およびR29は水素原子であり、R26、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子または式(a)で表される基であって26、R27およびR28のうち少なくとも1つは、式(aで表される基である。]
【0032】
また、本発明は、着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤を含有する着色組成物であって、着色剤が前記顔料組成物を含有することを特徴とする着色組成物に関する。
【0033】
また、本発明は、さらに光重合性単量体を含有することを特徴とする前記着色組成物に関する。
【0034】
さらに、本発明は、基板上に、前記着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の顔料組成物を使用することにより、輝度に優れ、かつ耐熱性、および耐光性が良好なカラーフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下に挙げる「C.I.」とは、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0037】
<顔料分散剤>
先ず、一般式(1)で表される顔料分散剤の置換基について説明する。
【0038】
【化5】

[一般式(1)中、X1が、水素原子またはハロゲン原子であり、
2、X5およびX10は、水素原子であり、
3およびX4は、互いに結合して環を形成しない場合には、X3水素原子、X4パーフルオロアルキル基であり、互いに結合して環を形成する場合には、−NHCONH−であり、ベンズイミダゾロン環を形成し、
6が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシル基であり、
7、X8およびX9は、水素原子、式(a)または式(d)で表される基であって、X7、X8およびX9のうち少なくとも1つは、式(aまたは式(d)で表される基である。]
【0039】
【化6】

[式(a)中、Z1は、Cであり、Z2は、Nであり、nは、1〜の整数であり、R16およびR17は、炭素数が1〜8のアルキル基である。]
【0041】
【化8】

[式(d)中、Z6は、CONHであり、25およびR29は水素原子であり、R26、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子または式(a)で表される基であって26、R27およびR28のうち少なくとも1つは、式(aで表される基である。]
【0042】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの内、フッ素原子もしくは塩素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
【0043】
また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基ないしエチル基がさらに好ましい。
【0044】
また、パーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロイソブチル基等の炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が挙げられる。これらの内、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
【0045】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基といった炭素数1〜4のアルコキシル基があげられる。これらの内、メトキシ基もしくはエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0046】
一般式(1)において、X1水素原子または、ハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子がより好ましい。
【0047】
また、X3およびX4互いに結合して環を形成しない場合には、X3は水素原子、X4はパーフルオロアルキル基であり、X3およびX4が、互いに結合して環を形成する場合には、−NHCONH−であり、ベンズイミダゾロン環を形成する場合が好ましい。特に、X3は水素原子、X4はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0048】
また、X6は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシル基が好ましく、ハロゲン原子もしくはアルキル基が特に好ましい。
【0049】
また、X7〜X9のいずれか一つは、式(a)または式(d)で表される基であることが好ましい。より好ましい態様としては、(i):X9が、式(a)または式(d)で表される基であり、X7およびX8が、水素原子である場合、(ii):X8が、式(a)で表される基であり、X7およびX9が、水素原子である場合、(iii):X7およびX9が、式(d)で表される基であり、X8が、水素原子である場合があげられる。さらに好ましい態様としては、(iv):X9が、式(a)、または式(d)で表される基であり、X7およびX8が、水素原子である場合、(v):X8が、式(a)で表される基であり、X7およびX9が、水素原子である場合である。
【0050】
ここで、式(a)で表される基の好ましい態様としては、Z1がCOであり、Z2がNHであり、
nが1〜8の整数であり、R16およびR17が炭素数1〜8のアルキル基である。より好ましくは、nが1〜4の整数であり、R16およびR17が炭素数1〜4のアルキル基である。
【0052】
また、式(d)で表される基の好ましい態様としては、R25およびR29が水素原子であり、R26〜R27のうち少なくとも1つが式(a)で表される基であり、他は水素原子である。より好ましい態様としては、(i):R27が式(a)で表される基であり、R26およびR28が水素原子である場合、(ii):R26が水素原子または式(a)で表される基であり、R28が式(a)で表される基であり、R27が水素原子である場合があげられる。
【0053】
したがって、一般式(1)の好ましい態様としては、
1が、水素原子またはハロゲン原子であり、
2、X5およびX10は、水素原子であり、
3およびX4は、互いに結合して環を形成しない場合には、X3水素原子、4パーフルオロアルキル基であり、互いに結合して環を形成する場合には、−NHCONH−であり、ベンズイミダゾロン環を形成し、
6が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはアルコキシル基であり、
7、X8およびX9は、水素原子、式(aまたは式(d)で表される基であって、X7、X8およびX9のうち少なくとも1つは、式(aまたは式(d)で表される基であり、中でも、
式(a)中、Z1は、COであり、Z2は、NHであり、nは、1〜8の整数であり、R16およびR17は、炭素数が1〜8のアルキル基であり、
式(d)中、Z6は、CONHであり、R25およびR29は水素原子であり、R26、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子または式(a)で表される基であって、R26、R27およびR28のうち少なくとも1つは、式(a)で表される基であることが好ましい。
【0054】
上記式(aおよび式(dで表される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
顔料分散剤は、顔料を分散するときに混合する方法のほかに、顔料組成物製造時に水または有機溶剤中で混合処理する方法や、ソルトミリング処理時に添加する方法が挙げられる。顔料分散剤の配合量は、顔料100質量部に対して、0.5〜40質量部の範囲であることが好ましい。1〜35質量部の範囲であることがさらに好ましく、5〜30質量部の範囲であることが特に好ましい。
【0056】
以下、本発明に用いられる顔料分散剤における、式(aおよび式(dで表される置換基(Lと略する)の具体例を記載するが、本発明は、これらに限定されるものではない。尚、C37およびn−C37はプロピル基、i−C37はイソプロピル基、C49はブチル基、C36はプロピレン基、C48はブチレン基を表す。
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
<縮合アゾ顔料>
次に、本発明に使用する縮合アゾ顔料について説明する。
本発明に使用される縮合アゾ顔料は、下記一般式(2)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0060】
【化11】
[一般式(2)中、Y1〜Y5が、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、フェノキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミド基、フェニルアミド基である。]
【0061】
一般式(2)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの内、フッ素原子もしくは塩素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
【0062】
また一般式(2)中、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基ないしエチル基がさらに好ましい。
【0063】
また一般式(2)中、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基といった炭素数1〜4のアルコキシル基があげられる。これらの内、メトキシ基もしくはエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0064】
縮合アゾ顔料としては例えば、業界公知の顔料であるC.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262が挙げられる。より好ましくは、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242であり、特に好ましくはC.I.ピグメントレッド242である。
【0065】
(顔料の微細化)
本発明の顔料組成物は、着色組成物とした場合に高い輝度および高いコントラストを得るため、必要に応じてソルトミリングやアシッドペースティング処理等により、顔料粒子の微細化を施すことにより、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。TEM(透過型電子顕微鏡)により求められる顔料の平均一次粒子径は、顔料担体中への分散性を高めるために、10nm以上であることが好ましい。また、コントラストが高いフィルタセグメントを得るためには、50nm以下であることが好ましい。
【0066】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の1次粒子径が異なる。
【0067】
加熱により顔料の結晶成長を促進するためには、加熱温度が35〜150℃であることが好ましい。また、ソルトミリングの混練時間は、ソルトミリングを行った顔料の1次粒子の粒度分布とソルトミリングに要する費用のバランスの点から2〜24時間であることが好ましい。
【0068】
顔料をソルトミリングする際の条件を最適化することにより、1次粒子径が非常に微細であり、また分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。特に、色素誘導体を併用すると好適である。
【0069】
また、ソルトミリングに用いる水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000質量部用いることが好ましく、300〜1200質量部用いることが最も好ましい。
【0070】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0071】
顔料組成物をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、2〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0072】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、本発明の一般式(1)で表される顔料分散剤と縮合アゾ顔料からなる顔料組成物、バインダー樹脂、および有機溶剤を含み、必要に応じて、分散助剤、および着色剤以外の色素等も含むことができる。
【0073】
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、顔料組成物を分散するものであって、従来公知の熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0074】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0075】
カラーフィルタ用途として用いる場合には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0076】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0077】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0078】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、カラーフィルタ用途として好ましい。
【0079】
上記熱可塑性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、またはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、またはα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0080】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類が挙げられる。
【0081】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性向上の観点から、エポキシ樹脂、メラミン樹脂がより好適に用いられる。
【0082】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、顔料組成物を好ましく分散させるためには、5,000〜80,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0083】
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、および「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0084】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用途で使用する場合には、顔料組成物への吸着及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料組成物担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基および芳香族基のバランスが、顔料組成物の分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、現像で微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0085】
バインダー樹脂は、顔料組成物の全質量を基準として、20〜500質量%の量で用いることができる。20質量%未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500質量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない場合がある。
【0086】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、顔料組成物を充分に顔料組成物担体中に分散させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0087】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0088】
中でも、着色組成物各成分の溶解性、および塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0089】
これら有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、顔料組成物の全質量を基準(100質量%)にして、500〜4000質量%の量で用いることが好ましい。
【0090】
<分散助剤>
顔料組成物を顔料組成物担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料組成物の分散に優れ、分散後の顔料組成物の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料組成物を顔料組成物担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率(輝度)の高いカラーフィルタが得られる。
【0091】
(色素誘導体)
本発明に用いられる色素誘導体としては、一般式(1)で表される顔料分散剤以外にも、有機顔料を母体骨格とし、公知の方法により有機顔料に塩基性基、酸性基、またはフタルイミドメチル基を導入した化合物も用いることができる。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。 また、一般に色素とは呼ばれていないフタルイミド系、ナフタレン系、ナフトキノン系、アントラセン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開平06−306301号公報、特開2001−220520号公報、特開2003−238842号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0092】
色素誘導体の配合量は、顔料組成物の分散性向上の観点から、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
【0093】
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料組成物への親和性部位と、顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して顔料組成物担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0094】
上記分散剤の内、本発明の顔料分散剤との酸−塩基相互作用を最大限に利用し、少量の添加量で着色組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、酸性官能基を有する高分子分散剤がより好ましい。特にカルボン酸含有グラフト共重合体や、側鎖にスルホン酸、カルボン酸、リン酸などを含む官能基を有する、酸性官能基含有アクリル系ブロック共重合体およびウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、顔料組成物全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0095】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0096】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0097】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、顔料組成物の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を及ぼすことがある。
【0098】
<その他色素>
本発明の着色組成物には、色度を調製するため等に、本発明の効果を損なわない範囲で下記の顔料あるいは染料を併用してもよい。
【0099】
例えば、C.I.ピグメント レッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、176、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、または287等の赤色顔料を挙げることができる。赤色染料としては、キサンテン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、アントラキノン系、シアニン系、などが挙げられる。特にキサンテン染料が好ましい。具体的には、キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などが、
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9などが、
キサンテン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック レッド 1、C.I. ベーシック レッド8、C.I. ベーシック バイオレット 10などが挙げられる。
【0100】
また、C.I.ピグメント オレンジ38、43、71、または73等の橙色顔料またはC.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料を併用することができる。また、橙色染料または黄色染料としては、キノリン系、アゾ系(ピリドン系、バルビツール酸系、金属錯体系など)、ジスアゾ系、メチン系などが挙げられる。
【0101】
併用する色素で好ましいものは、色特性の観点から、アゾ系、ナフトールアゾ系、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、キノフタロン系、およびペリレン系の色素が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメント レッド254、臭素化ジケトピロロピロール顔料、C.I.ピグメント イエロー138、139、150、185が挙げられる。
【0102】
<着色組成物の製造法>
本発明の着色組成物は、顔料組成物を、バインダー樹脂、有機溶剤と、必要に応じて、分散助剤、またはその他色素等を混合した後、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、顔料組成物とその他色素等を同時に顔料組成物担体に分散しても良いし、別々に顔料組成物担体に分散したものを混合しても良い。
【0103】
(感光性着色組成物)
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体を添加し、感光性着色組成物として使用することができる。
【0104】
<光重合性単量体>
本発明の感光性着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0105】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0106】
光重合性単量体の配合量は、顔料組成物100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0107】
<光重合開始剤>
本発明の感光性着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、必要に応じて光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0108】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0109】
光重合開始剤の含有量は、顔料組成物100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0110】
<増感剤>
さらに、本発明の感光性着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0111】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0112】
増感剤の含有量は、感光性着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0113】
<アミン系化合物>
また、本発明の感光性着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
【0114】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0115】
<レベリング剤>
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0116】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、感光性着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0117】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0119】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0120】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の感光性着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0121】
<その他の添加剤成分>
本発明の感光性着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0122】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0123】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0124】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物および感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物および感光性着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0125】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものであり、その中の赤色フィルタセグメントが、本発明のアゾ顔料を含有する着色組成物または感光性着色組成物から形成される。
【0126】
緑色フィルタセグメントは、緑色顔料と顔料担体を含む通常の緑色着色組成物あるいは緑色感光性着色組成物を用いて形成することができる。緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58等が用いられる。また、アルミニウムフタロシアニンなどの青色顔料も使用することができる。
【0127】
また、緑色着色組成物あるいは緑色感光性着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等の黄色顔料を挙げることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を併用することもできる。
【0128】
青色フィルタセグメントは、青色顔料と顔料担体を含む通常の青色着色組成物あるいは青色感光性着色組成物を用いて形成することができる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメント ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等が用いられる。また青色着色組成物あるいは青色感光性着色組成物には、紫色顔料を併用することができる。併用可能な紫色顔料としては、C.I.ピグメント バイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を挙げることができる。また、青色や紫色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。染料を使用する場合、キサンテン系染料が耐熱性と輝度の点で好ましい。
【0129】
(カラーフィルタの製造方法)
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0130】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0131】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0132】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0133】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物または感光性着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0134】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【実施例】
【0135】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。Meはメチル基、Etはエチル基を表す。
【0136】
(元素分析および質量分析)
顔料分散剤の構造決定および同定に際しては、元素分析および質量分析を用いた。元素分析は、パーキン・エルマー社製2400 CHN Element Analyzerを用いた。質量分析は、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI−TOF MS Autoflex III TOF/TOFを用いた。
【0137】
顔料および顔料組成物の平均一次粒子径、同定方法、樹脂の重量平均分子量(Mw)、および樹脂の酸価は以下の通りである。
【0138】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0139】
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、および「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0140】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5〜1.0部に、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業社製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
【0141】
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0142】
(アクリル樹脂溶液2の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0143】
<顔料分散剤の製造方法>
[合成例1]
(顔料分散剤1(RD−1)の末端アミンの製造)
ジエチルアミノプロピルアミン97.5部を水140部に投入し、20〜25℃で撹拌溶解させた。4−ニトロベンゾイルクロライドを125部投入し、20〜25℃で2時間撹拌した後、55〜60℃で1時間撹拌した。続いてこの溶液を、670部の水、80%酢酸110重量部および鉄粉135重量部と混合し、85℃〜90℃で5時間反応させた。50℃〜60℃に冷却し、鉄粉をろ別した後、ろ液にソーダ灰を投入して目的物を析出させた。このスラリーをろ過、乾燥し、下記式(7−a)で表わされる4−アミノ−N−(3−(ジエチルアミノ)プロピル)ベンズアミドを138部得た。
【0144】
式(7−a)
【化12】
【0145】
(顔料分散剤1(RD−1)のベース化合物の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.7部をトルエン180部に溶解させた。ここに塩化チオニル17.9部を25分かけて滴下し、110℃で1時間還流させ、安息香酸クロライドを合成した。トルエン140部に式(7−a)で表わされる4−アミノ−N−(3−(ジエチルアミノ)プロピル)ベンズアミド30.0部を分散させ、これに安息香酸クロライドを室温下1時間で滴下した。続いて4時間還流を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリー、ろ過乾燥を経て下記式(7−b)で表わされる化合物を40.0部得た。
【0146】
式(7−b)
【化13】
【0147】
上記式(7−b)で表わされる化合物40.0部および65%NaSH80部を300部の水に加えて6時間還流し、下記式(7−c)で表わされるベース化合物35.0部を得た。
【0148】
式(7−c)
【化14】
【0149】
(顔料分散剤1(RD−1)の合成)
下記式(7−c)で表わされるベース化合物20.0部を水200部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液20.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム3.60部を水11.0部に加えて調整した水溶液を添加して2時間攪拌した。続いて80%酢酸水溶液59.0部、25%水酸化ナトリウム水溶液65.0部、および水64.0部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。一方、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部、25%水酸化ナトリウム水溶液53.5部をメタノール340部に溶解させ、カップラー溶液とした。
このカップラー溶液を上記ジアゾニウム塩水溶液に、5℃にて30分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.4であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗、90℃で24時間乾燥させ、式(7)で表される顔料分散剤を35.8部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)61.97%、(H)4.94%、(N)10.84%に対して、実測値(C)61.8%、(H)4.9%、(N)10.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0150】
式(7)
【化15】
【0151】
[合成例2]
(顔料分散剤2(RD−2)の製造)
N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.2部に代えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(8)で表される顔料分散剤を32.2部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)65.92%、(H)5.53%、(N)15.38%に対して、実測値(C)66.1%、(H)5.6%、(N)15.3%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0152】
式(8)
【化16】
【0153】
[合成例3]
(顔料分散剤3(RD−3)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.7部をトルエン180部に溶解させた。ここに塩化チオニル17.9部を25分かけて滴下し、110℃で1時間還流させ、安息香酸クロライドを合成した。トルエン140部にジエチルアミノプロピルアミン15.7部を溶解させ、これに安息香酸クロライドを室温下1時間で滴下した。続いて4時間還流を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリーし、ジエチルエーテルで抽出した。続いて抽出液をエバポレーターで溶媒を除去し、残渣を80℃で乾燥し、下記式(9−a)で表わされる化合物を31.2部得た。
【0154】
式(9−a)
【化17】
【0155】
上記式(9−a)で表わされる化合物31.2部および65%NaSH62部を230部の水に加えて6時間還流し、下記式(9−b)で表わされるベース化合物27.0部を得た。
【0156】
式(9−b)
【化18】
【0157】
次いで、式(7−c)で表わされるベース化合物20部を、式(9−b)で表わされるベース化合物14.0部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(9)で表される顔料分散剤を30.2部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.41%、(H)5.07%、(N)10.67%に対して、実測値(C)60.2%、(H)4.9%、(N)10.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0158】
式(9)
【化19】
【0159】
[合成例4]
(顔料分散剤4(RD−4)の化合物の製造)
トルエン190部に3−ニトロベンゾイルクロライド23.8部を溶解させ、これを、トルエン150部にジエチルアミノプロピルアミン21.0部を溶解させた溶液に、室温下1時間で滴下した。続いて還流4時間を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリー、ジエチルエーテル抽出した。続いてエバポレーターで溶媒を除去し、80℃乾燥を経て下記式(10−a)で表わされる化合物を28.6部得た。
【0160】
式(10−a)
【化20】
【0161】
上記式(10−a)で表わされる化合物28.6部および65%NaSH57部を215部の水に入れ、6時間還流すると、下記式(10−b)で表わされるベース化合物22.8部得た。
【0162】
式(10−b)
【化21】
【0163】
合成例1において、式(7−c)で表わされるベース化合物20部を、式(10−b)で表わされるベース化合物12.5部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(10)で表される顔料分散剤を28.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)61.39%、(H)4.99%、(N)11.19%に対して、実測値(C)61.0%、(H)5.0%、(N)11.2%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0164】
式(10)
【化22】
【0165】
[合成例5]
(顔料分散剤5(RD−5)の製造)
式(7−a)で表わされる化合物12.5部を水190部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液19.8部を加えて1時間攪拌した。この溶液に亜硝酸ナトリウム3.60部を水11.0部に加えて調整した水溶液を添加して2時間攪拌した。続いて80%酢酸水溶液59.0部、25%水酸化ナトリウム水溶液65.0部、および水64.0部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
別途、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.6部、25%水酸化ナトリウム水溶液53.5部をメタノール340部に溶解させ、カップラー溶液とした。
このカップラー溶液を上記ジアゾニウム塩水溶液に5℃にて30分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.4であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗、および90℃で24時間乾燥させ、式(13)で表される顔料分散剤を27.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)61.39%、(H)4.99%、(N)11.19%に対して、実測値(C)61.4%、(H)5.1%、(N)11.1%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0166】
式(13)
【化23】
【0167】
[合成例6]
(顔料分散剤6(RD−6)の製造)
水18.0部に80%酢酸を2.54部入れ、5〜10℃に冷却した。塩化シアヌル4.24部および3−アミノアセトアニリド3.18部を入れ、10〜20℃で1時間撹拌した。次に、2.5%NaOH水溶液37.3部を滴下し、更に10〜20℃で1時間撹拌した。続いてジエチルアミノプロピルアミン6.89部を添加し、室温下1時間撹拌した。5〜10℃に冷却し、2.5%NaOH水溶液37.3部を滴下し、更に75℃2時間撹拌した。放冷した後、35%HCl水溶液を11.0部入れ100℃で3時間撹拌、放冷した。
上記溶液に氷を加えて温度5℃に調整し、亜硝酸ナトリウム1.53部を水5.1部に加えて調整した水溶液を添加して2時間攪拌した。続いて80%酢酸水溶液15.6部、25%水酸化ナトリウム水溶液17.1部、および水18.4部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
別途、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド7.82部、25%水酸化ナトリウム水溶液14.1部をメタノール154部に溶解させ、カップラー溶液とした。
このカップラー溶液を上記ジアゾニウム塩水溶液に5℃にて30分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.4であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗、および90℃で24時間乾燥させ、式(14)で表される顔料分散剤を16.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.03%、(H)6.02%、(N)18.78%に対して、実測値(C)59.8%、(H)5.9%、(N)18.9%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0168】
式(14)
【化24】
【0169】
[合成例7]
(顔料分散剤7(RD−7)の製造)
N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド7.82部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド6.82部に代えた以外は、合成例6と同様の操作を行い、式(15)で表される顔料分散剤を14.7部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)63.63%、(H)6.64%、(N)23.53%に対して、実測値(C)63.5%、(H)6.8%、(N)23.2%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0170】
式(15)
【化25】
【0171】
[合成例8]
(顔料分散剤8(RD−8)の製造)
水18.0部に80%酢酸を2.54部入れ、5〜10℃に冷却した。塩化シアヌル4.24部および3−アミノアセトアニリド3.18部を入れ、10〜20℃で1時間撹拌した。次に、2.5%NaOH水溶液37.3部を滴下し、更に10〜20℃で1時間撹拌した。続いてジエチルアミノプロピルアミン6.89部を添加し、室温下1時間撹拌した。5〜10℃に冷却し、2.5%NaOH水溶液37.3部を滴下し、更に75℃2時間撹拌した。放冷した後、35%HCl水溶液を11.0部入れ100℃で3時間撹拌、放冷した。
上記溶液に氷を加えて温度5℃に調整し、亜硝酸ナトリウム1.53部を水5.1部に加えて調整した水溶液を添加して2時間攪拌した。続いて80%酢酸水溶液15.6部、25%水酸化ナトリウム水溶液17.1部、および水18.4部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
別途、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド7.82部、25%水酸化ナトリウム水溶液14.1部をメタノール154部に溶解させ、カップラー溶液とした。
このカップラー溶液を上記ジアゾニウム塩水溶液に5℃にて30分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.4であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗、および90℃で24時間乾燥させ、式(17)で表される顔料分散剤を16.2部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.03%、(H)6.02%、(N)18.78%に対して、実測値(C)59.9%、(H)6.2%、(N)18.5%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0172】
式(17)
【化26】
【0173】
[合成例9]
(顔料分散剤9(RD−9)のベース化合物の製造)
5−ニトロイソフタル酸16部およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0部をトルエン110部に溶解させた。ここに塩化チオニル22.6部を25分かけて滴下し、110℃で1時間還流させ、安息香酸クロライドを合成した。トルエン90部に式(7−a)で表わされる4−アミノ−N−(3−(ジエチルアミノ)プロピル)ベンズアミド38.0部を分散させ、これに上記安息香酸クロライドを室温下1時間かけて滴下した後、4時間還流を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリー、ろ過、乾燥を経て下記式(18−a)で表わされる化合物28.0部を得た。
【0174】
式(18−a)
【化27】
【0175】
次いで、上記式(18−a)で表わされる化合物25.0部を100部のN−メチルピロリドンに溶解させ、これに水硫化ナトリウム水和物(水硫化ナトリウムを65%含有)32部を55部の水に溶かした水溶液を添加した後、6時間還流し、下記式(18−b)で表わされるベース化合物20.0部を得た。
【0176】
式(18−b)
【化28】
【0177】
(顔料分散剤9(RD−9)の合成)
式(7−c)で表わされるベース化合物20部を、式(18−b)で表わされるベース化合物32.3部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(18)で表される顔料分散剤を49.2部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)63.55%、(H)5.63%、(N)12.35に対して、実測値(C)63.7%、(H)5.8%、(N)12.5%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0178】
式(18)
【化29】
【0179】
[合成例10]
(顔料分散剤10(RD−10)のベース化合物の製造)
5−ニトロイソフタル酸16部およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2.0部をトルエン110部に溶解させた。これに塩化チオニル22.6部を25分かけて滴下し、110℃で1時間還流させ、安息香酸クロライドを合成した。トルエン90部にジエチルアミノプロピルアミン20.0部を溶解させ、これに上記安息香酸クロライドを室温下1時間かけて滴下した後、4時間還流を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリー、ろ過、乾燥を経て下記式(19−a)で表わされる化合物26.4部を得た。
【0180】
式(19−a)
【化30】
【0181】
上記式(19−a)で表わされる化合物16.2部を100部のN−メチルピロリドンに溶解させ、これに水硫化ナトリウム水和物(水硫化ナトリウムを65%含有)32部を55部の水に溶かした水溶液を添加した。6時間還流した後、下記式(19−b)で表わされるベース化合物13.1部を得た。
【0182】
式(19−b)
【化31】
【0183】
次いで、4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸14.9部およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1.0部をトルエン110部に溶解させた。これに塩化チオニル11.1部を25分かけて滴下し、110℃で1時間還流させ、安息香酸クロライドを合成した。トルエン90部に式(19−b)の化合物31.0部を溶解させ、これに上記安息香酸クロライドを室温下1時間で滴下した後、4時間還流を行い、反応を完結させた。10%炭酸ナトリウム水溶液で中和しながらトルエンを留去した後、3%NaOH水溶液でリスラリー、ろ過、乾燥を経て下記式(19−c)で表わされる化合物35.4部を得た。
【0184】
式(19−c)
【化32】
【0185】
上記式(13−c)で表わされる化合物16.2部を100部のN−メチルピロリドンに溶解させ、これに水硫化ナトリウム水和物(水硫化ナトリウムを65%含有)32部を55部の水に溶かした水溶液を添加した後、6時間還流し、下記式(19−d)で表わされるベース化合物16.5部を得た。
【0186】
式(19−d)
【化33】
【0187】
(顔料分散剤10(RD−10)の合成)
式(7−c)で表わされるベース化合物20部を、式(19−d)で表わされるベース化合物27.8部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(19)で表される顔料分散剤を44.9部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)61.89%、(H)5.84%、(N)12.03に対して、実測値(C)61.9%、(H)5.7%、(N)12.2%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0188】
式(19)
【化34】
【0189】
[合成例11]
(顔料分散剤11(RD−11)の合成)
N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.6部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.2部に変更した以外は、合成例5と同様の操作を行い、式(20)で表される顔料分散剤を25.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)66.31%、(H)5.74%、(N)16.91%に対して、実測値(C)66.3%、(H)5.6%、(N)16.8%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0190】
式(20)
【化35】
【0191】
[合成例12]
(顔料分散剤12(RD−12)の製造)
N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.6部を、N−[5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.8部に変更した以外は、合成例5と同様の操作を行い、式(21)で表される顔料分散剤を26.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)64.96%、(H)5.45%、(N)11.84%に対して、実測値(C)65.0%、(H)5.3%、(N)11.9%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0192】
式(21)
【化36】
【0193】
[合成例13]
(顔料分散剤13(RD−13)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に代えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(22)で表される顔料分散剤を34.9部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.08%、(H)4.52%、(N)10.78%に対して、実測値(C)60.1%、(H)4.5%、(N)10.6%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0194】
式(22)
【化37】
【0195】
[合成例14]
(顔料分散剤14(RD−14)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジメチルアミノプロピルアミン12.3部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(23)で表される顔料分散剤を28.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)56.97%、(H)4.14%、(N)11.07%に対して、実測値(C)57.5%、(H)4.3%、(N)11.0%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0196】
式(23)
【化38】
【0197】
[合成例15]
(顔料分散剤15(RD−15)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(24)で表される顔料分散剤を29.1部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)58.19%、(H)4.58%、(N)10.60%に対して、実測値(C)58.1%、(H)4.4%、(N)10.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0198】
式(24)
【化39】
【0199】
[合成例16]
(顔料分散剤16(RD−16)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジブチルアミノプロピルアミン22.4部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(25)で表される顔料分散剤を30.3部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.34%、(H)5.34%、(N)9.77%に対して、実測値(C)60.4%、(H)5.2%、(N)9.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0200】
式(25)
【化40】
【0201】
[合成例17]
(顔料分散剤17(RD−17)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジオクチルアミノプロピルアミン35.8部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(26)で表される顔料分散剤を32.9部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)63.76%、(H)6.57%、(N)8.45%に対して、実測値(C)63.8%、(H)6.7%、(N)8.5%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0202】
式(26)
【化41】
【0203】
[合成例18]
(顔料分散剤18(RD−18)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジメチルアミノオクチルアミン24.0部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(27)で表される顔料分散剤を30.1部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)60.86%、(H)5.52%、(N)9.59%に対して、実測値(C)60.9%、(H)5.4%、(N)9.5%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0204】
式(27)
【化42】
【0205】
[合成例19]
(顔料分散剤19(RD−19)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジメチルアミノブチルアミン17.3部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(28)で表される顔料分散剤を29.4部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)58.76%、(H)4.78%、(N)8.45%に対して、実測値(C)58.7%、(H)4.9%、(N)8.5%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0206】
式(28)
【化43】
【0207】
[合成例20]
(顔料分散剤20(RD−20)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、ジエチルアミノプロピルアミン15.7部を、ジメチルアミノエチルアミン13.9部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(29)で表される顔料分散剤を28.7部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)57.59%、(H)4.37%、(N)8.82%に対して、実測値(C)57.5%、(H)4.2%、(N)8.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0208】
式(29)
【化44】
【0209】
[合成例21]
(顔料分散剤21(RD−21)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.2部に代えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(30)で表される顔料分散剤を31.2部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)63.89%、(H)5.09%、(N)15.28%に対して、実測値(C)64.0%、(H)5.2%、(N)15.1%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0210】
式(30)
【化45】
【0211】
[合成例22]
(顔料分散剤22(RD−22)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸24.2部に、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド19.3部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(31)で表される顔料分散剤を31.3部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)62.59%、(H)5.25%、(N)15.97%に対して、実測値(C)62.4%、(H)5.4%、(N)16.0%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0212】
式(31)
【化46】
【0213】
[合成例23]
(顔料分散剤23(RD−23)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−メチル−3−ニトロ安息香酸21.7部に代えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(32)で表される顔料分散剤を34.0部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)63.28%、(H)5.04%、(N)11.07%に対して、実測値(C)63.1%、(H)4.9%、(N)11.2%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0214】
式(32)
【化47】
【0215】
[合成例24]
(顔料分散剤24(RD−24)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−メチル−3−ニトロ安息香酸21.7部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(33)で表される顔料分散剤を28.6部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)61.92%、(H)5.20%、(N)10.94%に対して、実測値(C)62.0%、(H)5.4%、(N)11.0%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0216】
式(33)
【化48】
【0217】
[合成例25]
(顔料分散剤25(RD−25)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−メチル−3−ニトロ安息香酸21.7部に、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.8部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(34)で表される顔料分散剤を27.1部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)65.44%、(H)5.66%、(N)11.56%に対して、実測値(C)65.5%、(H)5.8%、(N)11.6%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0218】
式(34)
【化49】
【0219】
[合成例26]
(顔料分散剤26(RD−26)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−メチル−3−ニトロ安息香酸21.7部に、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド14.5部に代えた以外は、合成例3と同様の操作を行い、式(35)で表される顔料分散剤を22.6部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)66.76%、(H)5.94%、(N)16.52%に対して、実測値(C)66.8%、(H)5.8%、(N)16.4%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0220】
式(35)
【化50】
【0221】
[合成例27]
(顔料分散剤27(RD−27)の製造)
4−メトキシ−3−ニトロ安息香酸23.7部を、4−メチル−3−ニトロ安息香酸21.7部に、N−[2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド18.5部を、N−[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド16.2部に代えた以外は、合成例1と同様の操作を行い、式(36)で表される顔料分散剤を31.9部得た。得られた顔料分散剤について、元素分析を行ったところ、計算値(C)67.40%、(H)5.66%、(N)15.72%に対して、実測値(C)67.5%、(H)5.5%、(N)15.7%であったこと、TOF−MSによる質量分析の結果より、目的の化合物であることを同定した。
【0222】
式(36)
【化51】
【0223】
<顔料組成物の製造>
[実施例1]
(顔料組成物1(RP−1)の作製)
C.I.ピグメントレッド242(PR242)(Clariant社製「Novoperm Scarlet 4RF」)を90部、顔料分散剤(RD−1)を10部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の顔料組成物1(RP−1)を得た。平均一次粒子径は25nmであった。
【0224】
[実施例2〜44、46]
(顔料組成物2〜44、46(RP−2〜44、46)の作製)
表1に示す縮合アゾ顔料、顔料分散剤の組合せおよび比率(顔料組成物の全量100部内の比率)に変更した以外は、顔料組成物1(RP−1)と同様にして、顔料組成物2〜44、46(RP−2〜44、46)を作製した。結果は、表1にまとめた。なお、縮合アゾ顔料は以下を使用した。
・C.I.ピグメントレッド221(PR221):Clariant社製「Chromophtal Red 2B」
・C.I.ピグメントレッド166(PR166):Clariant社製「Chromophtal Scarlet RT」
・C.I.ピグメントレッドPR242(PR242):(Clariant社製「Novoperm Scarlet 4RF」)
なお、実施例10〜12(RP−10〜12)は参考例である。
【0225】
[実施例45]
(顔料組成物45(RP−45)の作製)
98%硫酸1kgを室温で撹拌しながら、C.I.ピグメントレッド242(PR242)(Clariant社製「Novoperm Scarlet 4RF」)90部、顔料分散剤(RD−13) 10部を徐々に添加し、室温で1時間撹拌して完全に溶解させ、硫酸溶液を得た。水5kgと氷5kgを混合液を撹拌しながら、上記硫酸溶液を徐々に注入し、顔料組成物のスラリー液を得た。得られたスラリー液をろ過し、ろ液のpHが7以上になるまで水洗した後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の顔料組成物45(RP−45)を得た。平均一次粒子径は24nmであった。
【0226】
<その他製造例>
[製造例1]
(赤色顔料1(RC−1)の製造:PR254)
市販のC.I.ピグメント レッド 254(PR254)(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の赤色顔料1(RC−1)を得た。平均一次粒子径は37nmであった。
【0227】
[製造例2]
(赤色顔料2(RC−2)の製造:PR177)
C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントレッド177(PR177)(BASF社製「CROMOPHTAL RED A2B」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料2(RC−2)97部を得た。平均一次粒子径は33nmであった。
【0228】
[製造例3]
(赤色顔料3(RC−3)の製造:PR242)
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントレッド242(PR242)(Clariant社製「Novoperm Scarlet 4RF」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料3(RC−3)98部を得た。平均一次粒子径は39nmであった。
【0229】
[製造例4]
(赤色顔料4(RC−4)の製造:PR176)
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントレッド176(PR176)(クラリアント社製「Novoperm Carmine HF3C」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料4(RC−4)98部を得た。平均一次粒子径は35nmであった。
【0230】
[製造例5]
(赤色顔料5(RC−5)の製造:PO38)
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントオレンジ38(PO38)(クラリアント社製「Novoperm Red HF」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料5(RC−5)97部を得た。平均一次粒子径は39nmであった。
【0231】
[製造例6]
(赤色顔料6(RC−6)の製造:DiBrDPP)
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert−アミルアルコール200部、およびナトリウム−tert−アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4−ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系顔料のアルカリ金属塩を得た。さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、−10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系顔料のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に−5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系顔料のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間攪拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系顔料の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することにより臭素化ジケトピロロピロール顔料150.8部を得た。
【0232】
上記で得られた臭素化ジケトピロロピロール顔料(以下、DiBrDPP)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の赤色顔料6(RC−6)を得た。平均一次粒子径は34nmであった。
【0233】
[製造例7]
(赤色顔料7(RC−7)の製造:PR166)
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントレッド166(PR166)(Clariant社製「Chromophtal Scarlet RT」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料7(RC−7)98部を得た。平均一次粒子径は41nmであった。
【0234】
[製造例8]
(赤色顔料8(RC−8)の製造:PR221)
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)を、C.I.ピグメントレッド221(PR221)(Clariant社製「Chromophtal Red 2B」)に変更した以外は、赤色顔料1(RC−1)の製造と同様に行い、赤色顔料8(RC−8)98部を得た。平均一次粒子径は39nmであった。
【0235】
【表1】
【0236】
(表1続き)
【0237】
<着色組成物の作製方法>
[実施例47]
(着色組成物1(RM−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物1(RM−1)を作製した。
顔料組成物1(RP−1) 10.0部
樹脂型分散剤(ビック・ケミー社製「BYK111」) 3.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0238】
[実施例48〜91、96、比較例1〜8]
(着色組成物2〜45、50〜58(RM−2〜45、50〜58)の作製)
顔料組成物1(RP−1)を顔料組成物2〜46(RP−2〜46)、赤色顔料1〜8(RC−1〜8)に変更した以外は着色組成物1(RM−1)と同様にして、それぞれ、着色組成物2〜45、50〜58(RM−2〜45、50〜58)を作製した。
【0239】
[実施例92]
(着色組成物46(RM−46)の作製)
顔料組成物1(RP−1)10.0部を、赤色顔料3(RC−3)9.5部および顔料分散剤13(RD−13)0.5部に変更した以外は着色組成物1(RM−1)と同様にして、着色組成物46(RM−46)を作製した。
【0240】
[実施例93]
(着色組成物47(RM−47)の作製)
顔料組成物1(RP−1)10.0部を、赤色顔料7(RC−7)9.5部および顔料分散剤23(RD−23)0.5部に変更した以外は着色組成物1(RM−1)と同様にして、着色組成物47(RM−47)を作製した。
【0241】
[実施例94]
(着色組成物48(RM−48)の作製)
顔料組成物1(RP−1)10.0部を、赤色顔料8(RC−8)9.5部および顔料分散剤1(RD−1)0.5部に変更した以外は着色組成物1(RM−1)と同様にして、着色組成物48(RM−48)を作製した。
【0242】
[実施例95]
(着色組成物49(RM−49)の作製)
顔料組成物1(RP−1)10.0部を、顔料組成物19(RP−19)9.5部および顔料分散剤5(RD−5)0.5部に変更した以外は着色組成物1(RM−1)と同様にして、着色組成物49(RM−49)を作製した。
【0243】
<着色組成物の塗膜評価>
得られた着色組成物1〜58(RM−1〜58)を用いて作製した塗膜の耐熱性、耐光
性、および異物評価を下記方法で行った。表2に評価結果を示す。
なお、実施例56〜58(RM−10〜12)は参考例である。
【0244】
(耐熱性評価)
着色組成物を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.0μmになるように塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板(カラーフィルタの一態様)を作製した。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として250℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.0未満(極めて良好)
○:ΔEab*が1.0以上、2.5未満(良好)
△:ΔEab*が2.5以上、5.0未満(不良)
×:ΔEab*が5.0以上(極めて不良)
【0245】
(耐光性評価)
耐熱性評価のときと同様の方法で塗膜基板を作製し、C光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。続いて、その基板上に紫外線カットフィルター(ホヤ社製「COLORED OPTICAL 部LASS L38」)を貼り、470W/m2のキセノンランプを用いて紫外線を100時間照射した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、上記計算式により、色差ΔEab*を求め、耐熱性と同じ基準で評価した。
【0246】
(塗膜異物評価)
着色組成物を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.0μmになるように塗布し、次に70℃で20分乾燥し、次いで、230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。評価はオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」)を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントした。下記の4段階で評価した。
◎:異物の数が5個未満(極めて良好)
○:異物の数が5個以上、10個未満(良好)
△:異物の数が10個以上、60個未満(不良)
×:異物の数が60個以上(極めて不良)
【0247】
(保存安定性試験方法)
着色組成物の25℃における粘度を、E型粘度計(東機産業社製TUE−20L型)を用い回転数20rpmで測定した。着色組成物の作製当日の初期粘度と、40℃の恒温室にて7日間保存後に測定した粘度から、粘度変化率を算出し、保存安定性を下記の基準にて評価した。
◎:1割未満(極めて良好)
○:1割以上、2割未満 (良好)
△:2割以上、5割未満(不良)
×:5割以上(極めて不良)
【0248】
【表2】
【0249】
(表2続き)
【0250】
表2に示すように、本発明の顔料分散剤を用いた着色組成物は、塗膜の耐熱性、耐光性、塗膜異物、および初期粘度において良好な結果であった。
【0251】
特に、本発明の顔料分散剤を用いた着色組成物と、用いていない比較例3、7、8を比較すると、一次粒子径だけでなく、塗膜の塗膜異物および保存安定性において明らかな差が見られた。
【0252】
<感光性着色組成物の作製方法>
[実施例97]
(感光性着色組成物1(RR−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物1(RR−1)を作製した。
着色組成物1(RM−1) 24.4部
着色組成物52(RM−52) 18.6部
アクリル樹脂溶液2 8.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) 2.8部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 43.6部
【0253】
[実施例98〜148、比較例9〜15]
(感光性着色組成物2〜59(RR−2〜59))
着色組成物1(RM−1)および着色組成物52(RM−52)を、表3に示す着色組成物の組合せおよび比率(着色組成物の全量43部内の比率)に変更する以外は、実施例97と同様にして、それぞれ、感光性着色組成物2〜59(RR−2〜59)を得た。尚、比率変更については、塗膜評価の際にC光源でx=0.640、y=0.330の色度に合うようにした。
なお、実施例106〜108(RR−10〜12)は参考例である。


【0254】
<感光性着色組成物の塗膜評価>
得られた感光性着色組成物1〜59(RR−1〜59)を用いて作製した塗膜の輝度(色特性)の評価を下記方法で行った。表3に評価結果を示す。
【0255】
(輝度評価)
感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで230℃で60分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板の輝度Y(C)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用い、測定した。作製した塗膜基板は、230℃での熱処理後で、C光源でx=0.640、y=0.330の色度に合うようにした。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5質量%、炭酸水素ナトリウム0.5質量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0質量%および水90質量%からなるものを用いた。輝度Y(C)に関しては、0.1ポイント以上であれば、明らかに差があるといえる。
【0256】
(コントラスト比評価)
得られた感光性着色組成物をスピンコーターを用いて、回転数を変えて乾燥膜厚が約1μm前後となるように(膜厚)3水準の塗布基板を作製した。塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、それぞれ膜厚及びコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1μmにおけるコントラスト比(CR)を一次相関法で求めた。
【0257】
【表3】
【0258】
(表3続き)
【0259】
表3の結果より、本発明の顔料分散剤を用いた着色組成物を用いることにより、高輝度かつ高コントラストな感光性着色組成物を作製することができた。
【0260】
<カラーフィルタの作製>
カラーフィルタの作製に使用する緑色感光性着色組成物と青色感光性着色組成物の作製を行った。尚、赤色については本発明の感光性着色組成物1(RR−1)を使用した。
【0261】
(緑色着色組成物1(GM−1)の作製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、緑色着色組成物1(GM−1)を作製した。
緑色顔料(C.I.ピグメント グリーン 36) 6.8部
黄色顔料(C.I.ピグメント イエロー 150) 5.2部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0262】
(緑色感光性着色組成物1(GR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物1(GR−1)を作製した。
緑色着色組成物1(GM−1) 42.0部
アクリル樹脂溶液2 13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) 2.8部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 39.6部
【0263】
(青色着色組成物1(BM−1)の調製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1(BM−1)を作製した。
青色顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:6) 7.2部
紫色顔料(C.I.ピグメント バイオレット 23) 4.8部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0264】
(青色感光性着色組成物1(BR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物1(BR−1)を作製した。
青色着色組成物1(BM−1) 34.0部
アクリル樹脂溶液2 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0265】
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで本発明の感光性着色組成物1(RR−1)を塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。形成された赤色フィルタセグメントは、C光源でx=0.640、y=0.330であった。同様の方法により、緑色感光性着色組成物1(GR−1)をx=0.300、y=0.600、青色感光性着色組成物1(BR―1)をx=0.150、y=0.060になるように、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0266】
本発明の感光性着色組成物1(RR−1)を用いることにより、高輝度かつ高コントラストなカラーフィルタを作製することが可能であった。
【要約】
【課題】本願発明の目的は、カラーフィルタに使用した際に、そのコントラスト比および輝度が優れ、耐熱性、耐光性が良好で、塗膜異物が発生しない顔料組成物、および分散性安定性が極めて優れた着色組成物を提供することにある。
【解決手段】前記課題は、縮合アゾ顔料と、一般式(1)で表される特定構造を有するナフトールアゾ系顔料分散剤と、を含有する顔料組成物、該顔料組成物からなる着色組成物、カラーフィルタによって解決される。
【選択図】なし