【実施例】
【0034】
図1は、本発明の一実施例のコイン選別計数装置100を示す。このコイン選別計数装置100は、直径の異なる複数金種コインを金種毎に選別し、選別された金種毎のコインを計数する機能を有するもので、大まかにはコイン選別装置102とコイン計数装置104とを含んでいる。
【0035】
(コイン選別装置)
まず、コイン選別装置102について説明する。コイン選別装置102は、コインを金種別に振り分ける機能を有するもので、
図1〜
図3に示すように、基台106、コイン整列装置108、およびコイン振分装置112を含んでいる。
【0036】
(基台)
図1に示すように、基台106は、コイン整列装置108、コイン振分装置112等を支持する機能を有する。基台106は、側面視台形状の左サイドフレーム114、右サイドフレーム116および両者を接続するステ118、122よりなる。左サイドフレーム114と右サイドフレーム116の上端にベースプレート124が傾斜して固定されている。
【0037】
図2に示すように、ベースプレート124には、コイン整列装置108、コイン振分装置112等が取り付けられる。
【0038】
(コイン整列装置)
コイン整列装置108は、直径の異なる複数種類のバラ状態のコインを一つずつ区分けして送り出す機能を有する。換言すれば、コイン整列装置108は、コイン送り出し装置として機能する。なお、コイン整列装置108は、実施例に限らず他の同様の装置を使用することができる。
【0039】
図1および
図5に示すように、本実施例のコイン整列装置108は、ベースプレート124、回転ディスク126および保留ボウル128を含んでいる。
【0040】
(ベースプレート)
ベースプレート124は、回転ディスク126の通孔132に落下し回転ディスク126によって押動されるコインの下面を支える機能を有する。換言すれば、ベースプレート124はコインを載置可能なベースとして機能する。ベースプレート124は、矩形平板形であり、コインがスライドするため、摩耗しないよう金属、例えばステンレスにより製作することが好ましい。
【0041】
(回転ディスク)
回転ディスク126は、保留ボウル128にバラ状態で保留されたコインを攪拌し、一つずつ区分けして送り出す機能を有する。回転ディスク126は円盤形であって、周縁部に等間隔にコインが落下する円形の通孔132が複数個形成されている。通孔132は、選別する最大直径コインよりも僅かに大径の円形孔である。通孔132の上面側の回転方向後位の後方周面134は斜めに形成し、すり鉢状に形成される。回転ディスク126の通孔132間のリブ136の下面にはコインの押動突条(図示せず)が形成される。
【0042】
回転ディスク126はベースプレート124の上面に固定された最大コイン厚みよりも僅かに厚い薄板からなるほぼ四分の三周を囲う案内リング144の案内孔(図示せず)内に同心状態に配置される。
【0043】
回転ディスク126は、
図3および
図4に示すように、側方に倒立状態に配置した電気モータ148によって減速機152を介して選択的に正転又は逆転される。本実施例において、正転とは
図2において時計方向の回転であり、逆転とは反時計方向の回転である。回転ディスク126の中央には
截頭円錐形の攪拌体154が形成されている。
【0044】
(保留ボウル)
保留ボウル128は、多数のコインをバラ状態で保留する機能を有する。
図1に示すように、保留ボウル128は縦向きの筒状体であり、下端部156は回転ディスク126よりも僅かに大きい円形に、上端部158は平面視矩形に形成され、下端部と上端部は斜面162によって接続されている。
【0045】
保留ボウル128は、下端部の掛止フック(図示せず)をベースプレート124の掛止孔160にフックし、反対側を固定装置(図示せず)で固定することにより、ベースプレート124の上面に着脱可能に固定される。保留ボウル128の下端部156の底部には、回転ディスク126が配置されている。
【0046】
保留ボウル128にバラ積みされた各種コインは、回転ディスク126の回転によって攪拌される。詳述すれば、回転ディスク126上のコインが通孔132に落下したりリブ136に乗り上げたり、および攪拌体154の頂部の斜面により攪拌される。この攪拌によってコインCが通孔132内にベースプレート124と平行に落下した場合、ベースプレート124上面にコインCの下面が支えられる。換言すれば、コインCは一つずつ区分けされる。
【0047】
さらに、コインCの周縁が押動突条(図示せず)によって押動されるので、コインCは案内リング144の案内孔の内周面に案内されつつ回転ディスク126によって連れ回りされる。連れ回りされるコインCは、
図6に示すように、送り出し部159において、ベースプレート124から上方に弾性的に突出される規制ピン161A、161Bによって周方向へ誘導され、一つずつ送り出される。
【0048】
なお、ベースプレート124は水平に配置できるが、傾斜した場合、回転ディスク126へのコイン荷重を減少出来ると共に、下方空間を有効に活用できる利点がある。
【0049】
(コイン振分装置)
コイン振分装置112は、コインを金種別に振り分ける機能、詳述すればコインの直径の差を利用して機械的に直径別に振り分ける機能を有する。
図5に示すように、コイン振分装置112は、回転体164と、第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、第3コイン選別孔172、および第4コイン選別孔174と、第1〜第3のコイン選別孔166、168、172に対応して設けられた第1押付装置176、第2押付装置178および第3押付装置180とを含んでいる。
【0050】
(回転体)
回転体164は、コイン整列装置108によって一枚ずつ送り出されたコインCを受け取って第1コイン選別孔166から第4コイン選別孔174に順次搬送する機能を有する。すなわち、この回転体164がコイン搬送部として機能する。
【0051】
図5に示すように、回転体164は、円盤形であって、回転軸線183から所定の半径に形成された円弧状の基準周縁184と、基準周縁184から半径方向に突出する回転ディスク126の通孔132と同数であって、等間隔に設けた送り羽根186とを有する。送り羽根186の間の保持凹部188は、その保持凹部188に最大径コイン1枚が保持され、かつ、最小径コイン2枚が保持されない大きさに形成される。
【0052】
回転体164は、ベースプレート124の上面に対し最薄コインCの厚み以下の間隔の平面内において、回転ディスク126の駆動源(すなわち、電気モータ148)から後述するギヤ手段401を介して回転され、
図5において反時計方向に回転ディスク126と同期して回転される。
【0053】
送り羽根186間の各基準周縁184は同一半径上に位置するため、回転体164が回転しても同一円上を移動する。送り羽根186は同一半径に形成され、先端は回転ディスク126の下方を通過するよう設定される。これにより、回転ディスク126の回転によって規制ピン161A、161Bによって周方向に送り出されたコインCは送り羽根186によって受け取られた後、送り羽根186によって押動されつつ選別通路190を搬送される。換言すれば、送り羽根186によりコインCが選別通路190(すなわち、搬送経路)上を反時計方向に搬送される。
【0054】
(コイン選別孔)
第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、第3コイン選別孔172、および第4コイン選別孔174は所定直径のコインCを落下させる機能を有する。すなわち、送り羽根186によって搬送されるコインCが、その搬送経路(選別通路190)の上流から下流に行くにしたがって、小径コインから大径コインの順に落下するように、第1〜第4のコイン選別孔166、168、172、174が順に配置されている。具体的には、第1コイン選別孔166が50円コインに対応し、第2コイン選別孔168が100円コインに対応し、第3コイン選別孔172が10円コインに対応し、第4コイン選別孔174が500円コインに対応している。
【0055】
まず、第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、および第3コイン選別孔172について説明する。なお、第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、および第3コイン選別孔172の基本構造は同一なので、ここでは第1コイン選別孔166についてのみ説明し、第2コイン選別孔168および第3コイン選別孔172についてはその説明を省略する。
【0056】
図6に示すように第1コイン選別孔166は、ベースプレート124に形成された内側案内縁である弧状内縁192および外側基準縁である弧状外縁194によって構成された弧状の長孔である。
【0057】
弧状内縁192は、回転体164の回転軸線183を中心とした基準周縁184よりも僅かに大きい所定の半径を有する。換言すれば、基準周縁184と弧状内縁192との間に弧状の内側コインガイド195が形成される。
【0058】
弧状内縁192は、基準周縁184よりも約1mm以上大きいことが好ましい。この場合、選別(落下)されるコインCが落下し易いからである。しかし、半径差が小さ過ぎる場合、誤選別される恐れがあり、大きすぎるとコインCが落下し難くなるので、1〜3mm程度が好ましい。換言すれば、弧状内縁192と基準周縁184とで形成される内側コインガイド195の幅は約1mm以上が好ましい。また、弧状内縁192は落下するコインCに対する抵抗を小さくするため、面取りした後、バフがけし、滑らかに形成することが好ましい。
【0059】
弧状外縁194は、ベースプレート124に形成してもよいが、本実施例ではベースプレート124に固定したスライドプレート198によって構成されている。
【0060】
ベースプレート124には、弧状外縁194の半径方向の外方に矩形のスライド孔(図示せず)が形成され、スライドプレート198が基準周縁184の半径方向にスライド可能に嵌め合わされている。換言すれば、スライドプレート198は、スライド孔の右側縁および左側縁(いずれも、図示せず)によって基準周縁184に対し弧状外縁194が同心円的状態を保ったまま平行移動可能である。
【0061】
右側縁および左側縁はスライドプレート198、具体的には弧状外縁194の案内装置206である。案内装置206は、本実施例に代えて同様の機能を有する装置に変更することができる。
【0062】
次に第4コイン選別孔174について説明する。第4コイン選別孔174は、上記の通り、最大径の500円コインを落下させるためのものである。よって、500円コインが落下できる大きさであればよいので、第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、および第3コイン選別孔172のような調整機構は必要でない。本実施例では略矩形の開口である。
【0063】
上述したように、本実施例では10円、50円、100円、および500円コインが選別対象であるので、小直径から大直径の順にほぼ等間隔に第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、第3コイン選別孔172および第4コイン選別孔174が配置されている。換言すれば、第1コイン選別孔166に最小の50円コイン、第2コイン選別孔168に二番目に小径の100円コイン、第3コイン選別孔172に三番目に小さい10円コインが落下するよう各基準周縁184と弧状外縁194との距離が設定される。そして、最大の500円コインは、第4コイン選別孔174に落下するよう設定される。第4コイン選別孔174は、500円の直径よりも大きく形成し、500円コインの直径を超えるコインが落下するよう設定される。
【0064】
第1コイン選別孔166、第2コイン選別孔168、第3コイン選別孔172および第4コイン選別孔174から落下したコインCは、個別の通路によって案内され、金種毎の集金袋に保留される(図示せず)。
【0065】
(押付装置)
第1押付装置176、第2押付装置178、および第3押付装置180は、送り羽根186によってベースプレート124上をスライドされるコインCを対応するコイン選別孔の弧状外縁194以遠において、基準周縁184に向かって所定の力で押し付ける機能を有する。すなわち、
図5に示すように、弧状外縁194と同一の曲率に形成された弧状案内面228を有しており、この弧状案内面228により押し付けられた状態でコインCが案内される。
【0066】
第1押付装置176、第2押付装置178、および第3押付装置180の構成に関しては、上述した特許文献1(特開2009−217807)に記載されたものを使用できるため、ここではその説明を省略する。
【0067】
(コイン計数装置)
コイン計数装置104は、コイン選別装置102により金種毎に選別されたコインCの数を計数する機能を有する。
図7および
図8に示すように、コイン計数装置104は、第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298と、それらを固定・支持するとともに、選別通路(すなわち、搬送経路)190の上面を画定する機能を有するサブプレート182と含んでいる。
【0068】
(サブプレート)
サブプレート182は、コイン振分装置112の上側において、ベースプレート124に対し最大コインの厚みを超え、最薄コイン厚みの二枚以下の間隔で平行に配置される。送り羽根186によって押動されるコインCが二枚重ならないためである。しかし、最厚コインの厚みよりも僅かに大きく設定することが好ましい。移送されるコインCの姿勢を安定させるためである。
【0069】
サブプレート182には、第1〜第4のコイン選別孔166、168、172、174の各々に対応する位置に、略矩形の4つの開口286が形成されている。
【0070】
(コイン検出センサ)
第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298の各々は、サブプレート182に形成された4つの開口286の各々に対応して配置される。換言すれば、第1〜第4のコイン選別孔166、168、172、174の各々に対応して配置される。
【0071】
第1コイン検出センサ292は、第1コイン選別孔166に搬送されたコインCの存在を検出し、検出されたコインCの第1コイン選別孔166と相対する時間(換言すれば、検出されたコインCが第1コイン選別孔166上に存在する時間)を示すコイン検出信号V1を出力する。すなわち、コインCが第1コイン選別孔166に落下せずに通過した場合には、コインCの検出時間が長くなり、その長い検出時間を示すコイン検出信号V1を第1コイン検出センサ292が出力する。他方、コインCが第1コイン選別孔166に落下した場合には、コインCの検出時間が短くなり、その短い検出時間を示すコイン検出信号V1を第1コイン検出センサ292が出力する。
【0072】
したがって、第1コイン検出センサ292から出力されるコイン検出信号V1に基づき、第1コイン選別孔166にコインCが落下したか否かを検出することができる。これは、第1コイン検出センサ292が第1コイン選別孔166のコイン落下センサとして機能することを意味する。
【0073】
同様に、第2コイン検出センサ294は、第2コイン選別孔168に搬送されたコインCの存在を検出し、検出されたコインCの第2コイン選別孔168と相対する時間を示すコイン検出信号V2を出力する。第3コイン検出センサ296は、第3コイン選別孔172に搬送されたコインCの存在を検出し、検出されたコインCの第3コイン選別孔172と相対する時間を示すコイン検出信号V3を出力する。第4コイン検出センサ298は、第4コイン選別孔174に搬送されたコインCの存在を検出し、検出されたコインCの第4コイン選別孔174と相対する時間を示すコイン検出信号V4を出力する。すなわち、第2〜第4のコイン検出センサ294、296、298の各々は、第2〜第4のコイン選別孔168、172、174の各々のコイン落下センサとして機能する。
【0074】
(コイン検出センサの構成)
第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298は、同一の構成を有している。そのため、第1コイン検出センサ292についてのみ説明することとし、第2〜第4のコイン検出センサ294、296、298については、その説明を省略する。
【0075】
図7および
図8に示すように、第1コイン検出センサ292は、固定ブラケット324、揺動ブラケット328、上流ローラ322U、および下流ローラ322Cを含んで構成される。
【0076】
サブプレート182にL形の固定ブラケット324の水平部324Hが固定され、垂立部324Vが構成される。垂立とは、サブプレート182に対し垂立(すなわち、垂直)との意味である。垂立部324Vから横向きに延在する支軸326の一端部が固定される。換言すれば、支軸326は片持ち状態でサブプレート182に対し平行に配置されている。
【0077】
この支軸326に揺動ブラケット328の第1垂立部330が揺動自在に取り付けられている。第1垂立部330には軸受327が設けられ、この軸受327に支軸326が挿入されている。揺動ブラケット328の第2垂立部332は、サブプレート182に対しほぼ垂立状態をなし、開口286に沿って延在する。詳しくは、第2垂立部332は中央部332C、上流部332Uにより形成され、選別通路190を移送されるコインCの円形の経路と同様の曲率となるよう、中央部332Cに対し上流部332Uは鈍角に折曲されている。
【0078】
さらに、揺動ブラケット328には、揺動レバ352が形成されている。揺動レバ352の一端は第1垂立部330に接続され、揺動レバ352の他端はサブプレート182に平行な方向に延在している。換言すれば、揺動レバ352は、サブプレート182の中央から外側に向かって水平に形成されている。揺動レバ352は、揺動ブラケット328と一体に形成されているため、支軸326を中心に回動可能である。揺動レバ352の先端部352Aは、サブプレート182の上面に向かって延在するL字形状を有している。
【0079】
選別通路190におけるコインCの移動に対し、上流部332U、中央部332Cの順に配置されている。上流部332U、中央部332Cの各々に横向きの上流支軸334U、下流支軸334Cが固定され、上流支軸334Uに上流ローラ322U、下流支軸334Cに下流ローラ322Cが回転自在に取り付けられている。これら上流ローラ322U、下流ローラ322Cの下端部は、第1コイン選別孔166に相対する開口286から選別通路190に突出している。
【0080】
上流ローラ322Uと下流ローラ322Cの回転中心の間隔は、選別対象の最小コインCの直径よりも狭い間隔で配置される。換言すれば、上流支軸334Uと下流支軸334Cの回転軸間距離は選別対象コインの直径よりも小さいので、コイン上面に対し少なくとも二つのローラが同時に相対する位置関係が生じるよう設定されている。
【0081】
さらに、中央部332Cに対し上流部332Uは鈍角に折り曲げられているので、上流ローラ322U、下流ローラ322Cはこれらにならって円弧上に配置される。この円弧は選別通路190を移動するコインCの中心が描く円弧におおよそ一致するよう設定することが好ましい。結果として、コインCの中央を押し下げることになるので、最も効果的にコインCを押し下げることができるからである。
【0082】
揺動ブラケット328の水平部329には、下方に突出するスプリングガイド軸333Aが設けられている。揺動ブラケット328の水平部329と固定ブラケット324の水平部324Hとの間には、スプリングガイド軸333Aに案内されたスプリング333が配置されている。スプリング333は、揺動ブラケット328を
図8において時計方向に付勢している。固定ブラケット324の水平部324Hには、垂立するストッパ346が固定されている。
【0083】
揺動ブラケット328の水平部329の裏面側に弾性体からなる緩衝体(図示せず)を固定し、その緩衝体がストッパ346に係止された状態において、上流ローラ322U、下流ローラ322Cが選別通路190に対し垂立するよう設定される。このとき、上流ローラ322U、下流ローラ322Cの下端部とベースプレート124の上面との間隔は、コインの厚みよりも小さく設定される。換言すれば、選別通路190(すなわち、搬送経路)を移動する各種コインCによって、上流ローラ322U、下流ローラ322Cが押し上げられる。この押し上げに伴って、揺動レバ352も支軸326を支点として回動する。
【0084】
支軸326は揺動ブラケット328の水平部329の下側(すなわち、水平部329と固定ブラケット324の水平部324Hとの間)に配置されている。これは、揺動ブラケット328の上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cの支軸(図示せず)からサブプレート182までの距離と、支軸326からサブプレート182までの距離との差が小さくなるようにするためである。そのようにすることで、上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cの支軸と支軸326とを含む平面が、サブプレート182の表面に対してより平行に近くなるので、揺動ブラケット328が支軸326を中心に回動した場合に、その回動に伴う上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cの移動方向がサブプレート182に対してより垂直に近くなる。したがって、上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cがその近傍に配置される部材(例えば、第1〜第3の押付装置176、178、180)に接触する可能性が小さくなるという利点がある。換言すれば、第1〜第3の押付装置176、178、180の配置精度に余裕が生じる。
【0085】
搬送されたコインCの直径が第1コイン選別孔166よりも小さい場合、上流ローラ322U、下流ローラ322Cが押し上げられた後、コインCが第1コイン選別孔166に落下する。その際、コインCには上流ローラ322U、下流ローラ322Cによって押し下げる力が作用する。しかも、上流ローラ322Uと下流ローラ322Cの下端が選別通路190を移動するコインCの上面と同時に接触し、同時に押し下げる。換言すれば、コインCが二つのローラで同時に押し下げられるので、平行に押し下げられる。これにより、コインCの押し下げられる姿勢が安定するので、円滑に第1コイン選別孔166に落下することができる。
【0086】
換言すれば、揺動ブラケット328、上流ローラ322U、および下流ローラ322Cがコイン落下補助部材323として機能する。したがって、コインCの第1コイン選別孔166への落下が促進され、コインCがより落下し易くなる。その結果、コインCが落下するまでの期間、すなわち、第1コイン選別孔166近傍におけるコインCの存在期間が短くなる。
【0087】
コインCが落下すると、押し上げられた上流ローラ322U、下流ローラ322Cが元の位置に復帰する。
【0088】
搬送されたコインCの直径が第1コイン選別孔166よりも大きい場合、上流ローラ322U、下流ローラ322Cが押し上げられた後、コインCが第1コイン選別孔166に落下することなく、第1コイン選別孔166を通過する。その通過後に、押し上げられた上流ローラ322U、下流ローラ322Cが元の位置に復帰するが、コインCが落下する場合に比べ、押し上げられてから復帰するまでの時間は相対的に長くなる。すなわち、コインCが第1コイン選別孔166に相対する時間が、コインCが落下する場合に比べ相対的に長くなる。
【0089】
サブプレート182上において、揺動レバ352の先端部352Aの近傍には、透過型の光電センサ354が配置されている。光電センサ354は、支持体356を介してサブプレート182の上面に固定されている。光電センサ354は、中央に凹部355を有するコの字の断面形状を有し、その凹部355の内側に対向配置された投光器および受光器(いずれも図示せず)が設けられている。揺動レバ352の先端部352Aは、光電センサ354の凹部355に配置され、光電センサ354の投光器−受光器間の光軸を遮断可能である。
【0090】
すなわち、上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cがいずれも押し上げられていない状態では、揺動レバ352の先端部352Aが光電センサ354の光軸を遮らないように、光電センサ354と揺動レバ352の先端部352Aの位置関係が設定されている。そして、上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cの少なくとも一方が押し上げられた状態では、揺動レバ352の回動に伴って先端部352Aが上向きに変位し、それにより先端部352Aが光電センサ354の凹部355に挿入され、光電センサ354の光軸が揺動レバ352の先端部352Aにより遮断される。
【0091】
したがって、選別通路190(すなわち、搬送経路)を移動する各種コインCによって、上流ローラ322U、下流ローラ322Cが押し上げられ、揺動レバ352が回動することにより、揺動レバ352の先端部352Aが光電センサ354の光軸を遮断し、光電センサ354の出力が変化することになる。光電センサ354の出力は、第1コイン検出センサ292のコイン検出信号V1として、
図9に示すように、信号処理装置302に供給される。
【0092】
第2〜第4のコイン検出センサ294、296、298についても、同様の構成により、コイン検出信号V2、V3、V4が信号処理装置302に供給される。このように、第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298は、揺動ブラケット328と一体に形成された揺動レバ352、および光電センサ354によって構成された機械式センサとしてとして作動する。
【0093】
(移動案内装置)
図5に示された移動案内装置304は、直径の異なるコインCがスムーズに第1押付装置176に案内されるようにする機能を有する。移動案内装置304に関しては、上述した特許文献1(特開2009−217807)に記載されたものを使用できる。そのため、ここではその説明を省略する。
【0094】
(駆動装置)
図3および
図4に示すように、
図5のコイン選別装置102の裏面側には、減速機152の出力軸(図示せず)に接続されたギヤ452と、ギヤ452と噛み合うギヤ454と、ギヤ454と同軸のギヤ456と噛み合うギヤ458と、ギヤ458と噛み合うギヤ460が配置されている。これらのギヤ452、454、456、458、460が前述のギヤ手段401を構成する。
【0095】
ギヤ458は、回転ディスク126を回転させる回転軸440に固定されている。ギヤ460は、回転体164を回転させる回転軸(図示せず)に固定されている。
【0096】
電気モータ148の駆動力は減速機152、ギヤ452、454、456を介してギヤ458伝達され、回転ディスク126が回転する。さらに、駆動力がギヤ460に伝達されて回転体164が回転する。こうして、回転ディスク126と回転体164とが同期して回転する。すなわち、電気モータ148、減速機152およびギヤ手段401がコイン選別装置102の駆動装置400を構成する。なお、減速機152は取り付けプレート402を介してコイン選別装置102に取り付けられる。
【0097】
(エンコーダ装置)
図3に示すように、駆動装置400の下方には、エンコーダ装置500が取り付けられている。エンコーダ装置500は、
図17および
図18に示すように、エンコーダ円盤502と、第1光電センサ504および第2光電センサ506と、第1および第2の光電センサ504、506が固定されたフレーム508とを含んで構成される。
【0098】
エンコーダ円盤502には、その中央において平面視円形で一部を切り欠いた形状の貫通孔503Aが形成されると共に、その貫通孔503Aの周囲に3つのネジ挿入孔503Bが形成されている。貫通孔503Aは、エンコーダ円盤502を回転体164の回転軸(図示せず)に固定する際の位置決めに使用される。エンコーダ円盤502は、ネジ挿入孔503Bにそれぞれ挿入された3つのネジ(図示せず)をギヤ460に形成された3つのネジ穴461に螺合することにより、ギヤ460に固定される。換言すれば、エンコーダ円盤502は、回転体164の回転軸の下端にギヤ460を介して固定されており、回転体164と一体的に回転可能である。
【0099】
エンコーダ円盤502には、その周縁に沿って等間隔で配置された複数の第1通孔510が形成されると共に、第1通孔510の形成領域よりも内側(すなわち、回転体164の回転軸に近い領域)に等間隔で配置された5つの第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eが形成されている。この実施例では、180個の第1通孔510が形成されており、回転角が2度の間隔で第1通孔510が配置される。第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eは、回転角が72度の間隔で配置される。第1通孔510および第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eは、いずれも矩形の平面形状を有する。第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eの幅(換言すれば、エンコーダ円盤502の円周方向に沿った長さ)WH2は、第1通孔510の幅WT1の2倍に設定されている。
【0100】
第1および第2の光電センサ504、506は、中央に設けられた検出用の凹部505、507にエンコーダ円盤502の一部が挿入されるように配置され、フレーム508を介してコイン選別装置102に取り付けられている。第1光電センサ504は、エンコーダ円盤502の複数の第1通孔510のうちの凹部505内に位置するものに向けて光を照射する投光器504Aと、投光器504Aからの光を受光して電気信号を生成する受光器504Bとから構成される透過型のセンサである。同様に、第2光電センサ506は、エンコーダ円盤502の第2通孔512A〜512Eのうちの凹部507内に位置するものに向けて光を照射する投光器506Aと、投光器506Aからの光を受光して電気信号を生成する受光器506Bとから構成される透過型のセンサである。第1および第2光電センサ504、506は、エンコーダ円盤502が回転体164と共に回転すると、その回転角に同期したパルス信号を第1および第2のエンコーダパルス信号Venc1、Venc2として後述する信号処理装置302にそれぞれ出力する。第2エンコーダパルス信号Venc2のパルス幅は、第1エンコーダパルス信号Venc1のパルス幅の2倍に設定されている。第2エンコーダパルス信号Venc2のパルス周期は、第1エンコーダパルス信号Venc1のパルス周期の36倍に設定されている。
【0101】
第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eは、回転体164に設けられた5つの保持凹部188に対応して配置される。すなわち、保持凹部188に導入されたコインCが回転体164の送り羽根186に押動されて第1コイン選別孔166に向かう際に、後述するコイン穴検出センサ700にコインCの中央部が相対する(換言すれば、コインCが穴明きコインである場合にその穴がコイン穴検出センサ700に相対する)タイミングで、第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eのうちの対応するものが第2光電センサ506の凹部507内に位置するように、第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eが配置される。
【0102】
フレーム508は、エンコーダ円盤502にほぼ平行な板状の水平部508Aを有している。水平部508Aは、平面視略矩形の第1部分508Aaと、第1部分508Aaの一端からL字形に延びる第2部分508Abとを有している。第2部分508Abはエンコーダ円盤502の外周面に対向する端部を有しており、その端部には垂直方向下方に延びる第1垂立部508Bが形成されている。さらに、第1部分508Aaの他端には、垂直方向下方に延びる第2垂立部508Cが形成されている。第1光電センサ504はネジ522により第1垂立部508Bに固定され、第2光電センサ506はネジ524により水平部508Aに固定される。水平部508Aの所定の位置には2つのネジ挿入孔509A、509Bが形成されており、ネジ挿入孔509A、509Bに挿入されたネジ(図示せず)によってフレーム508がコイン選別装置102の裏面側に固定される。
【0103】
(コイン外径検出センサ)
図3に示すように、ベースプレート124の裏面には、コイン外径検出センサ600が取り付けられている。コイン外径検出センサ600は、
図15および
図16に示すように、水平方向に揺動可能な揺動レバ602と、揺動レバ602の動きを検出する光電センサ604と、揺動レバ602および光電センサ604を支持するフレーム606とを含んで構成される。
【0104】
フレーム606は、平面視略台形の第1部分606Aa、第1部分606Aaの一端からV字形に延びる第2部分606Abおよび第3部分606Acを有する板状の基部606Aを有している。基部606Aのほぼ中央には、揺動レバ602を支持するための支軸608が設けられている。支軸608は、コイン外径検出センサ600がベースプレート124の裏面に取り付けられた状態で、ベースプレート124に対してほぼ垂直である。基部606Aの第2部分606Abの先端には垂直方向下方(
図15では上方)に延びる第1垂立部606Bが形成され、第3部分606Acの先端には垂直方向下方(
図15では上方)に延びる第2垂立部606Cが形成されている。第1垂立部606Bには光電センサ604を取り付けるための開口610が形成されている。第2垂立部606Cには後述する付勢部材を支持するためのスプリングガイド軸612が設けられている。フレーム606がベースプレート124裏面の所定位置に固定されることにより、コイン外径検出センサ600がベースプレート124に取り付けられる。
【0105】
揺動レバ602は、軸受614が設けられた基部602A、基部602Aから水平に延びるアーム部602B、およびアーム部602Bに対してほぼ直角に折れ曲がった先端部602Cを有する板状部材を含んで構成される。軸受614にフレーム606の支軸608が挿入され、ワッシャ630および止め輪632が支軸608の先端部分に挿入されることにより、揺動レバ602が支軸608に回動可能に支持される。
【0106】
基部602Aには水平方向に突出する突出部602Dが形成され、突出部602Dから垂直方向に延びる支柱616を介してスプリングガイド軸618が水平方向に延在して設けられている。このスプリングガイド軸618とフレーム606のスプリングガイド軸612との間に付勢部材としてのスプリング620が挿入されることにより、
図16(A)の矢印AR1に示すように、支柱616および第2垂立部606Cが互いに離間する方向に付勢される。換言すれば、揺動レバ602は、スプリング620により
図16(A)の時計方向に通常時付勢される。
【0107】
なお、揺動レバ602の付勢は、上記の構成に限定されない。上記の構成ではスプリング620として圧縮荷重を受けるバネ(いわゆる、圧縮コイルバネ)を使用しているが、引張荷重を受けるバネ(いわゆる、引張コイルバネ)を使用することも可能である。また、コイルバネ以外のバネなど他の付勢部材を適宜に選択して使用することも勿論可能である。
【0108】
揺動レバ602の基部602Aの上面には、支軸(図示せず)に回動自在に支持されたローラ306およびローラ622が設けられている。ローラ306は、上述した移動案内装置304を構成してコインCを回転体164の基準周縁184に押し付ける機能を有すると共に、スプリング620の付勢力に抗して揺動レバ602を回動させる機能を有する。すなわち、
図16(A)に示すように、コインCの外周面がローラ306に接触することにより、ローラ306が矢印AR2の方向に押動されて揺動レバ602を矢印AR3の方向(すなわち、揺動レバ602の先端部602Cを光電センサ604の凹部605に挿入させる方向)に回動させる機能を有する。
【0109】
なお、ローラ622は、コインCが本来の経路から外れることを防止するために設けられている。また、上述した規制ピン161A、161Bは、揺動レバ602の基部602Aの上面に設けられている。
【0110】
光電センサ604は、光を照射する投光器604Aと、投光器604Aからの光を受光して電気信号を生成する受光器604Bとから構成される透過型のセンサである。光電センサ604は、中央に設けられた検出用の凹部605に揺動レバ602の先端部602Cが挿入可能な位置に配置され、フレーム606の開口610に投光器604Aおよび受光器604Bを挿入させた状態で取り付け片604Cを介してフレーム606の第1垂立部606Bに取り付けられる。揺動レバ602の回動時には、先端部602Cが光電センサ604の投光器604Aおよび受光器604Bの間の光軸を遮断可能である。
【0111】
揺動レバ602の回動に伴う先端部602Cの変位量(換言すれば、揺動レバ602の回動量(すなわち、回転角度))は、ローラ306の移動量にほぼ比例する。換言すれば、先端部602Cの変位量は、ローラ306に接触するコインCの外径(すなわち、直径)にほぼ比例する。したがって、支軸608の軸線から先端部602Cの距離を適宜に設定することにより、基準外径(直径)以下の金種の場合には揺動レバ602が揺動しても光電センサ604の光軸が遮断されず、基準外径(直径)を超える金種の場合には揺動レバ602の揺動により光電センサ604の光軸が遮断されるようにすることが可能である。この実施例では、外径21.0mmの50円コインの場合に光電センサ604の光軸が遮断されず、外径22.0mmの5円コインの場合に光電センサ604の光軸が遮断されるように設定される。
【0112】
光電センサ604の光軸の遮断の有無に応じて光電センサ604の出力信号は変化する。換言すれば、コイン外径検出センサ600は、回転体(すなわち、コイン搬送部)164により搬送されるコインCの外径を検出し、コインCの外径に対応するコイン外径検出信号Vdiaを出力するコイン外径検出手段として機能する。
【0113】
(コイン穴検出センサ)
コイン穴検出センサ700は、サブプレート182に固定された受光器702と、駆動装置400の取り付けプレート402に固定された投光器704とを含んで構成される透過型の光電センサである。投光器704から放出された光がベースプレート124の所定位置に形成された投光用貫通孔706を通って受光器702に照射されるように、受光器702および投光器704が配置される。コイン穴検出センサ700は、選別通路190の所定位置に位置するコインCが穴を有するコイン(すなわち、5円または50円コイン)である場合に、その穴が受光器702および投光器704の光軸上に位置するように配置される。換言すれば、選別通路190を搬送されるコインCの中央部が受光器702および投光器704の光軸上を通過するようにコイン穴検出センサ700が配置される。
【0114】
コイン穴検出センサ700は、その光軸上を通過するコインCの穴の有無に応じたコイン穴検出信号Vholeを出力する。換言すれば、コイン穴検出センサ700は、回転体164(すなわち、コイン搬送部)により搬送されるコインCの穴の有無を検出し、コインCの穴の有無に対応するコイン穴検出信号Vholeを出力するコイン穴検出手段として機能する。
【0115】
コイン穴検出センサ700は、受光器702および投光器704の光軸が選別通路190の所定の位置、好ましくは、コイン整列装置108の送り出し部159と第1コイン選別孔166との間に位置するように配置され、それに対応する位置に投光用貫通孔706が形成される。それにより、コイン振分装置112で振り分けられる前に全てのコインCの穴の有無を検出することができる。より好ましくは、コイン外径検出センサ600の外形検出のタイミングとほぼ同じタイミングでコイン穴を検出できるように、コイン穴検出センサ700が配置される。それにより、コイン外径の検出とコイン穴の検出とを同時にでき、後述する信号処理装置302での処理が容易になるという利点がある。
【0116】
(コイン選別計数装置の動作)
上記の構成を持つコイン選別計数装置100は、次のように動作する。まず、コイン選別計数動作について説明する。
【0117】
(コイン選別計数動作)
保留ボウル128内に10円から500円コインCをバラ積み状態で投入すると、回転ディスク126の回転により、コインCが攪拌されて通孔132に落下し、規制ピン161A、161Bに案内されて回転ディスク126の周方向に一枚ずつ送り出される。送り羽根186の回転経路に送り出されたコインCは送り羽根186に受け取られ、ベースプレート124上をスライドして円形の選別通路190(すなわち、搬送経路)を移送される。
【0118】
以下、第1コイン選別孔166にコインCが落下しない場合、および落下する場合について、各々説明する。
【0119】
(コインがコイン選別孔を通過する場合)
ここでは、500円コインCが選別通路190に送り出されたケースを説明する。
【0120】
まず、
図10に示すように、500円コインCは、移動案内装置304を構成するローラ306に衝突して回転体164の基準周縁184側に移動され、ローラ306によって回転体164の基準周縁184に押し付けられる。この時、
図11に示すように、揺動レバ352の先端部352Aが光電センサ354の光軸を遮らない位置にある。この状態の光電センサ354の出力信号V1は、
図13(A)に示すように、V
Lである。
【0121】
次に、500円コインCが第1コイン選別孔166に達し、揺動ブラケット328の上流ローラ322Uを押し上げながら、第1コイン選別孔166の上を移動する。この時、
図12に示すように、揺動レバ352が回動して先端部352Aが上向き(矢印Yの方向)に変位し、光電センサ354の光軸が揺動レバ352の先端部352Aにより遮られる。その結果、
図13(A)に示すように、光電センサ354の出力信号V1がV
LからV
Hに変化する。
【0122】
さらに、500円コインCが揺動ブラケット328の上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cを押し上げながら、選別通路190(すなわち、搬送経路)を移動し、下流ローラ322Cを通過した時点で、
図11に示すように、揺動レバ352は元の位置に戻り、
図13(A)に示すように、光電センサ354の出力信号V1もV
Lに戻る。
【0123】
(コインがコイン選別孔に落下する場合)
ここでは、50円コインCが選別通路190に送り出されたケースを説明する。
【0124】
上述した500円コインCの場合と同様にして、
図10に示すように、50円コインCは第1コイン選別孔166に達する。この時、
図11に示すように、揺動レバ352の先端部352Aが光電センサ354の光軸を遮らない位置にある。この状態の光電センサ354の出力信号V1は、
図13(B)に示すように、V
Lである。
【0125】
次に、50円コインCは、揺動ブラケット328の上流ローラ322Uを押し上げながら、第1コイン選別孔166の上を移動する。この時、
図12に示すように、揺動レバ352が回動して先端部352Aが上向きに変位し、光電センサ354の光軸が揺動レバ352の先端部352Aにより遮られる。その結果、
図13(B)に示すように、光電センサ354の出力信号V1がV
LからV
Hに変化する。
【0126】
さらに、50円コインCが揺動ブラケット328の上流ローラ322Uおよび下流ローラ322Cを押し上げながら、選別通路190(すなわち、搬送経路)を移動すると、50円コインCの内側下面は内側コインガイド195によって支えられ、外側は弧状外縁194の内側にあるので支えられず、コインCの全体が第1コイン選別孔166に相対した時に落下する。すなわち、下流ローラ322Cを押し上げた時点で50円コインCは第1コイン選別孔166に落下する。コインC4が落下すると同時に、
図11に示すように、揺動レバ352は元の位置に戻り、
図13(B)に示すように、光電センサ354の出力信号V1もV
Lに戻る。
【0127】
この場合、500円コインのように第1コイン選別孔166を通過する場合に比べ、光電センサ354の出力信号VがV
Hに維持される期間、すなわち、コインC4の第1コイン選別孔166に相対する時間が相対的に小さくなる。したがって、
図13(A)および(B)に示すように、T1>T2の関係が成立する。
【0128】
10円コインの場合は、第1コイン選別孔166および第2コイン選別孔168を通過した後、第3コイン選別孔172に落下する。100円コインの場合は、第1コイン選別孔166を通過した後、第2コイン選別孔168に落下する。500円コインの場合は、第1〜第3のコイン選別孔166、168、172を通過した後、第4コイン選別孔174に落下する。これらの落下時、通過時の動作は上述した場合と同様である。
【0129】
揺動ブラケット328において、上流ローラ322Uと下流ローラ322Cとの間隔Lは適宜に設定される。この間隔Lを調整することにより、2つのコインCを連続して検出する際のコイン検出信号がV
Lとなるオフ期間(すなわち、
図13(A)に示すように、パルスの間隔T3)が調整可能である。
【0130】
例えば、間隔Lを大きくすれば、コインCがコイン選別孔を通過する場合のコイン検出信号がV
Hとなるオン期間T1が大きくなり、コインCがコイン選別孔に落下する場合のオン期間T2との差が大きくなるので、コインCの落下の判定が容易になる。しかしながら、オン期間T2が過剰になると、連続して搬送される先のコインCと後のコインCとの間のコイン検出信号のオフする期間T3が小さすぎて、誤検出する可能性が高まる。したがって、間隔Lは誤検出を生じない程度の大きさに設定する必要がある。
【0131】
本実施例では、コインCがコイン選別孔に落下する場合のオン期間T2がコイン選別孔を通過する場合のオン期間T1の1/2程度になるように、間隔Lが設定されている。しかし、本発明はそれに限定されるものではなく、間隔Lは適宜に設定することができる。
【0132】
(コイン選別計数動作の信号処理)
図9に示すように、第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298から各々出力されるコイン検出信号V1、V2、V3、V4は、信号処理装置302に供給される。さらに、回転体164に対応して取り付けられたエンコーダ装置500から出力される第1エンコーダパルス信号Venc1もまた、信号処理装置302に供給される。第1エンコーダパルス信号Venc1は、コインCの搬送部として機能する回転体164の回転に対応して生成される信号であり、第1エンコーダパルス信号Venc1を計数することにより、回転体164の角度変位を計測することができる。すなわち、エンコーダ装置500は、コインCの搬送位置を検出する搬送位置検出部として機能する。
【0133】
信号処理装置302は、コイン落下判別部310A、コイン数計数部310Bおよび穴明きコイン判別部320を有し、具体的には、信号増幅器、アナログ/ディジタル変換器、およびマイクロプロセッサなどの電子回路を含んで構成される。コイン落下判別部310Aは、供給されたコイン検出信号V1、V2、V3、V4および第1エンコーダパルス信号Venc1に基づいて、各種コインCが第1〜第4のコイン選別孔166、168、172、174に落下したかを判別し、コイン落下判別信号Vdをコイン数計数部310Bへ出力する。コイン数計数部310Bは、コイン落下判別信号Vd(すなわち、コイン落下判別部310Aの判別結果)に基づいて、落下したコインCの数を計数する。穴明きコイン判別部320については、後述する。
【0134】
図14は、信号処理装置302によるコイン選別計数動作の処理を示すフローチャートである。
【0135】
最初に、第1コイン検出センサ292のコイン検出信号V1に対する処理が実行される。まず、ステップS1において、第1コイン検出センサ292がコインCを検出したか否かを判定する。すなわち、コイン検出信号V1がオン(V1=V
H)状態になった場合に、コインCを検出したと判定する。コインCを検出した場合(YESの場合)には、次のステップS2に進み、コインCを検出しない場合(NOの場合)には、ステップS5に進む。
【0136】
次のステップS2において、コイン検出信号V1のオン期間(すなわち、V1=V
Hの期間)を第1閾値T
TH1と比較して、コイン検出信号V1のオン期間が第1閾値T
TH1よりも小さい場合(YESの場合)には、ステップS3に進む。第1閾値T
TH1よりも大きい場合(NOの場合)には、ステップS5に進む。
【0137】
このステップS2において、コイン検出信号V1のオン期間と第1閾値T
TH1との比較は、エンコーダ装置500から供給される第1エンコーダパルス信号Venc1を用いて行われる。すなわち、コイン検出信号V1のオン期間において第1エンコーダパルス信号Venc1のパルス数をカウントし、カウントされたパルス数が所定のパルス数より小さい場合にYESと判定される。
【0138】
ステップS3において、コインCが第1コイン選別孔166に落下したと判定し、ステップS4において、50円コインの枚数に1を加算する。
【0139】
上記のステップS1〜S4により、第1コイン検出センサ292から供給されたコイン検出信号V1に対する処理が完了する。
【0140】
次に、ステップS5〜S8において、第2コイン検出センサ294のコイン検出信号V2に対する処理が実行される。この場合にも、第1コイン検出センサ292のコイン検出信号V1に対する処理(ステップS1〜S4)の場合とほぼ同様の処理が行われる。
【0141】
すなわち、ステップS5において、コイン検出信号V2がオン(V2=V
H)状態になった場合に、コインCを検出したと判定してステップS6に進み、コインCを検出しない場合には、ステップS9に進む。ステップS6において、コイン検出信号V2のオン期間(すなわち、V2=V
Hの期間)を第2閾値T
TH2と比較して、コイン検出信号V2のオン期間が第2閾値T
TH2よりも小さい場合には、ステップS7に進む。第2閾値T
TH2よりも大きい場合には、ステップS9に進む。ステップS7において、コインCが第2コイン選別孔168に落下したと判定し、ステップS8において、100円コインの枚数に1を加算する。
【0142】
第3および第4のコイン検出センサ296、298のコイン検出信号V3、V4についても、各々における比較する閾値を第3閾値T
TH3、第4閾値T
TH4に変更(ステップS10、S14)した点を除き、上述したステップS1〜S4とほぼ同様の処理が実行される。そして、ステップS12において10円コインの枚数に1が加算され、ステップS16において500円コインの枚数に1が加算される処理が行われる。
【0143】
上記のように、第1〜第4のコイン検出センサ292、294、296、298のコイン検出信号V1、V2、V3、V4の各々についての処理が実行された後、ステップS17において、コインCの選別が完了したか否かが判断される。具体的には、第1コイン検出センサ292が所定時間以上コインを検出しない場合、コインCの全てが選別計数されたものとされる。コインCの選別が完了した場合(YESの場合)には処理を終了し、電気モータ148が停止される。コインCの選別が完了していない場合(NOの場合)にはステップS1に戻り、上記のステップS1〜S16までの処理が繰り返される。
【0144】
上記第1〜第4の閾値T
TH1〜T
TH4は、選別計数の対象となるコインCの金種に応じて設定される。換言すれば、コインCの直径に対応して適宜設定される。第1〜第4の閾値T
TH1〜T
TH4は、各々別の値に設定してもよいし、全てを同じ値に設定することもできる。
【0145】
(穴明きコイン金種判別動作)
次に、
図19〜
図25を参照しながら、穴明きコインの場合の金種判別動作について説明する。ここでは、一例として、5円コインおよび50円コインを判別する動作について説明する。
【0146】
(停止状態の場合)
図19および
図20は、コイン選別計数装置100が停止状態にある場合を示す。この状態では、回転体164の保持凹部188にコインCが導入されておらず、ローラ306がコインCに押動されることがない。そのため、コイン外径検出センサ600の揺動レバ602は、スプリング620により
図20の時計方向に付勢され、先端部602Cが光電センサ604から離れた初期位置P1にある。
【0147】
(50円コインの場合)
図21および
図22は、50円コインC1の場合を示す。コイン選別計数装置100が作動し、送り出し部159(
図6を参照)を介して回転体164の保持凹部188に50円コインC1が導入されると、回転体164の基準周縁184とローラ306とにより50円コインC1が挟持される。この状態では、コイン外径検出センサ600の揺動レバ602が50円コインC1に押動されて
図22の反時計方向に回動し、揺動レバ602の先端部602Cが光電センサ604に向かって移動する。しかし、50円コインC1は基準外径(直径)以下のコインであるため、揺動レバ602の先端部602Cは位置P2に達するものの、光電センサ604の凹部605に挿入されず、光電センサ604の光軸が遮断されることはない。そのため、
図25(C)に示すように、コイン外径検出信号VdiaはV
Lのまま変化しない。
【0148】
他方、コイン穴検出センサ700は、50円コインC1の穴を検出したことを示すコイン穴検出信号Vholeを出力する。すなわち、
図25(B)に示すように、コイン穴検出信号Vholeは、移動中の50円コインC1の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t1においてV
HからV
Lに変化する。50円コインC1がさらに移動し、50円コインC1の穴の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸を通過する時刻t2において、コイン穴検出信号VholeがV
LからV
Hに変化する。期間(または、時間)TS2の経過後の時刻t5に50円コインC1の穴の反対側の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸を通過し、コイン穴検出信号VholeがV
HからV
Lに変化する。そして、移動中の50円コインC1の反対側の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t6において、コイン穴検出信号VholeがV
LからV
Hに変化する。
【0149】
エンコーダ装置500において、回転体164により搬送される(すなわち、移動される)50円コインC1の穴がコイン穴検出センサ700に相対するタイミングで、第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eのうちのいずれか1つが第2光電センサ506の凹部507内に位置する。そのため、エンコーダ装置500は、
図25(A)に示すように、時刻t2後の時刻t3においてV
LからV
Hに変化し、時刻t5以前の時刻t4においてV
HからV
Lに変化する第2エンコーダパルス信号Venc2を出力する。換言すれば、第2エンコーダパルス信号Venc2は、コイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)となる期間(または、時間)TS2内においてV
H(すなわち、オン状態)となるオン期間(または、オン時間)TS1を有するパルス信号である。したがって、第2エンコーダパルス信号Venc2に同期したタイミングでコイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)にあるか否かを判別すれば、コイン穴の有無を判別できる。換言すれば、第2エンコーダパルス信号Venc2はコイン穴判別タイミング信号として機能する。コイン穴検出信号Vholeによるコイン穴の有無の判別は、例えば、第2エンコーダパルス信号Venc2が立ち上がるタイミングまたは立ち下がるタイミングで実施される。
【0150】
(5円コインの場合)
図23および
図24は、5円コインC2の場合を示す。50円コインC1の場合と同様に、送り出し部159(
図6を参照)を介して回転体164の保持凹部188に5円コインC2が導入されると、回転体164の基準周縁184とローラ306とにより5円コインC2が挟持される。コイン外径検出センサ600の揺動レバ602が5円コインC2に押動されて
図24の反時計方向に回動し、揺動レバ602の先端部602Cが光電センサ604に向かって移動する。そして、5円コインC2は基準外径(直径)を超えるコインであるため、揺動レバ602の先端部602Cは位置P3に達して光電センサ604の凹部605に挿入され、光電センサ604の光軸が遮断される。したがって、
図25(C)に示すように、コイン外径検出信号Vdiaは時刻t8においてV
LからV
Hに変化する。5円コインC2が回転体164によってさらに移動されると、ローラ306が元の位置に復帰し、コイン外径検出センサ600の揺動レバ602も初期位置P1に戻る。その過程の時刻t13において、光電センサ604の光軸の遮断状態が解除され、コイン外径検出信号VdiaがV
HからV
Lに変化する。
【0151】
他方、コイン穴検出センサ700は、50円コインC1の場合と同様に、5円コインC2の穴を検出したことを示すコイン穴検出信号Vholeを出力する。すなわち、
図25(B)に示すように、コイン穴検出信号Vholeは、移動中の5円コインC2の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t7においてV
HからV
Lに変化する。5円コインC2がさらに移動し、5円コインC2の穴の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸を通過する時刻t9において、コイン穴検出信号VholeがV
LからV
Hに変化する。期間(または、時間)TS3の経過後の時刻t12に5円コインC2の穴の反対側の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸を通過し、コイン穴検出信号VholeがV
HからV
Lに変化する。そして、移動中の5円コインC2の反対側の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t14において、コイン穴検出信号VholeがV
LからV
Hに変化する。なお、5円コインC2の穴径は50円コインC1の穴径よりも大きいため、コイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)の期間(または、時間)において、TS3>TS2の関係が成立する。
【0152】
エンコーダ装置500において、回転体164により搬送される(すなわち、移動される)5円コインC2の穴がコイン穴検出センサ700に相対するタイミングで、第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eのうちのいずれか1つが第2光電センサ506の凹部507内に位置する。そのため、エンコーダ装置500は、50円コインC1の場合と同様に、
図25(A)に示すように、時刻t9後の時刻t10においてV
LからV
Hに変化し、時刻t12以前の時刻t11においてV
HからV
Lに変化する第2エンコーダパルス信号Venc2を出力する。換言すれば、第2エンコーダパルス信号Venc2は、コイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)となる期間(または、時間)TS3内においてV
H(すなわち、オン状態)となるオン期間(または、オン時間)TS1を有するパルス信号である。したがって、第2エンコーダパルス信号Venc2に同期したタイミングでコイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)にあるか否かを判別すれば、コイン穴の有無を判別できる。
【0153】
(穴無しコインの場合)
ここでは、穴無しコイン(10円、100円および500円)の例として100円コインが回転体164の保持凹部188に導入される場合について説明する。100円コインの場合、コイン外径(すなわち、直径)が5円コインC2よりも大きいため、5円コインC2の場合と同様に、揺動レバ602の先端部602Cが光電センサ604の凹部605に挿入され、光電センサ604の光軸が遮断される。そのため、
図25(C)に示すように、コイン外径検出信号Vdiaは、時刻t16においてV
LからV
Hに変化し、期間(または、時間)TS5の経過後の時刻t19においてV
HからV
Lに変化する。
【0154】
他方、コイン穴検出センサ700は、コイン穴を検出しなかったことを示すコイン穴検出信号Vholeを出力する。すなわち、
図25(B)に示すように、コイン穴検出信号Vholeは、移動中の100円コインの周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t15においてV
HからV
Lに変化する。100円コインがさらに移動し、100円コインの反対側の周縁がコイン穴検出センサ700の光軸に達する時刻t20において、コイン穴検出信号VholeがV
LからV
Hに変化する。
【0155】
エンコーダ装置500において、回転体164により搬送される(すなわち、移動される)100円コインの中央部がコイン穴検出センサ700に相対するタイミングで、第2通孔512A、512B、512C、512D、512Eのうちのいずれか1つが第2光電センサ506の凹部507内に位置する。そのため、エンコーダ装置500は、
図25(A)に示すように、時刻t16後の時刻t17においてV
LからV
Hに変化し、時刻t19以前の時刻t18においてV
HからV
Lに変化するオン期間(または、オン時間)TS1を有する第2エンコーダパルス信号Venc2を出力する。第2エンコーダパルス信号Venc2に同期したタイミングでコイン穴検出信号VholeがV
H(すなわち、オン状態)にあるか否かを判別すれば、コイン穴の有無を判別できる。100円コインの場合は、コイン穴検出信号VholeがV
L(すなわち、オフ状態)であるので、穴無しコインと判別される。
【0156】
上記の通り、コイン穴検出信号Vholeおよび第2エンコーダパルス信号Venc2に基づいてコイン穴の有無を判別できる。そして、穴明きコインであると判別された場合、コイン外径検出信号Vdiaに基づいて5円および50円のいずれの金種であるかを判別することができる。
【0157】
なお、上記の金種判別動作では、コイン外径検出センサ600を構成する光電センサ604の光軸が遮断状態および非遮断状態にある場合にそれぞれV
HおよびV
Lとなるコイン外径検出信号Vdiaが、コイン外径検出センサ600から出力される。コイン穴検出センサ700の光軸が遮断状態および非遮断状態にある場合にそれぞれV
LおよびV
Hとなるコイン穴検出信号Vholeが、コイン穴検出センサ700から出力される。しかしながら、コイン外径検出信号Vdiaは、光軸が遮断状態および非遮断状態にある場合にそれぞれV
LおよびV
Hとなる信号であってもよい。コイン穴検出信号Vholeは、光軸が遮断状態および非遮断状態にある場合にそれぞれV
HおよびV
Lとなる信号であってもよい。また、エンコーダ装置500が出力する第2エンコーダパルス信号Venc2は正論理パルスとしているが負論理パルスとすることも可能である。
【0158】
(穴明きコイン金種判別動作の信号処理)
図9に示すように、コイン穴検出センサ700およびコイン外径検出センサ600から出力されるコイン穴検出信号Vholeおよびコイン外径検出信号Vdiaは、信号処理装置302に供給される。エンコーダ装置500から出力される第2エンコーダパルス信号Venc2もまた、信号処理装置302に供給される。
【0159】
信号処理装置302の穴明きコイン判別部320は、コイン穴検出信号Vholeおよびコイン穴判別タイミング信号に基づいてコインCの穴の有無を判別すると共に、その判別結果とコイン外径検出信号Vdiaとに基づいて5円および50円のいずれであるかを判別する。すなわち、穴明きコイン判別部320は、穴明きコインの金種を判別する金種判別手段として機能する。
【0160】
図26は、信号処理装置302による穴明きコイン金種判別動作の処理を示すフローチャートである。
【0161】
まず、ステップST1において、エンコーダ装置500からの第2エンコーダパルス信号Venc2がオン(Venc2=V
H)したか否かを判断する。オンした場合(YESの場合)には次のステップST2に進み、オンしない場合(NOの場合)にはスタートに戻る。換言すれば、第2エンコーダパルス信号Venc2がオンするまでは待機状態となる。
【0162】
次のステップST2において、コイン穴検出信号Vholeがオン(Vhole=V
H)したか否かを判断する。オンした場合(YESの場合)にはステップST4に進み、オンしない場合(NOの場合)にはステップST3に進む。ステップST3では、穴無しコイン(10円、100円または500円)と判別された後、ステップST8に進む。
【0163】
ステップST4において、コイン外径検出信号Vdiaがオン(Vdia=V
H)したか否かを判断する。オンした場合(YESの場合)にはステップST6に進み、オンしない場合(NOの場合)にはステップST5に進む。ステップST5では、50円コインと判別された後、ステップST8に進む。
【0164】
ステップST6において5円と判別された後、次のステップST7に進み、ステップST7において5円コイン検出信号Vsがコイン数計数部310Bに出力される。その後、ステップST8に進む。
【0165】
5円コイン検出信号Vsがコイン数計数部310Bに出力された場合、コイン数計数部310Bにおいて100円コインの枚数から1が減算されると共に、5円コインの混入枚数がカウントされ、混入枚数が図示しない表示装置に表示される。
【0166】
ステップST8では、選別が完了したか否かが判断される。すなわち、コイン落下判別部310Aから供給される判別完了信号Veがオンした場合に選別が完了したと判断して、処理を終了する。判別完了信号Veがオフの場合にはステップST1に戻って上記のステップST1〜ST7の処理が繰り返される。
【0167】
なお、本実施例では、信号処理装置302において、穴明きコイン判別部320から5円コイン検出信号Vsが出力された場合の処理(以下、ポスト処理という)として、コイン数計数部310Bにおいて100円コインの枚数から1が減算されるようにしているが、ポスト処理は適宜変更が可能である。ポスト処理として、例えば、減算をせずに5円コインの混入枚数をカウントするのみの処理とすることもできし、カウントされた5円コインの混入枚数を表示するだけでなく、音声や光による警告報知を同時に行うようにしてもよい。また、5円コイン検出信号Vsが出力された場合には、直ちにコイン選別計数装置100を停止して警告報知を実行するようにしてもよい。
【0168】
また、本実施例では、穴あきコインとして5円および50円を判別しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、外貨や偽造コインなどを判別する場合にも適用可能である。
【0169】
本実施例では、金種毎にコインを選別し、選別された金種毎のコインの枚数を計数するようにしているが、上記のコイン選別計数装置100において、所定金種のコインが所定枚数だけ計数された時点(すなわち、コインが落下したと判別された時点)でコイン選別計数装置の作動を停止すれば、所定金種のコインを所定枚数だけ選別することもできる。
【0170】
また、本実施例では、4つのコイン選択孔とそれらに対応する4つのコイン検出センサを備えているが、コイン選択孔およびコイン検出センサの数は適宜に変更できる。また、コイン検出センサとしては、機械式、光学式などの各種のものが使用可能である。
【0171】
本実施例では、コイン選別孔近傍でのコインの存在期間に応じたコイン検出信号に基づいてコインを計数するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、特許文献1に開示されているように、コインの通過を検知する5つのセンサを配置し、所定時間内に5つのセンサから順にコイン検知信号が出力されるか否かを基準にしてコインを計数するようにしてもよい。