(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
充電コネクタには、安全性や操作性に優れることが望まれる。しかし、上記した特許文献1に記載されるような従来の充電コネクタは、次のような課題がある。
【0006】
給電中に車両側インレットから充電コネクタが抜けないように、充電コネクタのフックと車両側インレットの凹部との係合を解除するための解除レバーをソレノイドの通電駆動によりロックして、解除レバーの操作を禁止している。つまり、充電コネクタのフックと車両側インレットの凹部との係合状態が解除されることを間接的に防止している。そのため、衝撃や振動、或いはフックを突出させる部品(特許文献1では「板ばね38」)の破損など、解除レバーの操作に関係なく、抜け止めフックが引っ込むようなトラブルが生じたときは、充電コネクタのフックと車両側インレットの凹部との係合状態が解除されることを防止することができない。よって、給電中、車両側インレットから充電コネクタが不用意に抜ける虞があり、安全性の点で問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、装置側インレットから不用意に抜けることを確実に防止することができる充電コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電コネクタは、蓄電池を備える装置のインレットに接続して装置の蓄電池に給電するためのものであり、本体部とこの本体部の先端側に設けられる挿入部とを備える。この挿入部は、装置側のインレットに差し込まれる。また、充電コネクタは、第1揺動アームと、抜け止めフックと、第1付勢部材と、解除部材と、ソレノイドと、押え片とを備えることを特徴とする。上記第1揺動アームは、本体部側から挿入部側に亘って延設され、本体部に固定された軸を中心に揺動する。上記抜け止めフックは、第1揺動アームの軸より挿入部側の前方部分に設けられ、挿入部から突出可能である。上記第1付勢部材は、抜け止めフックが突出するように第1揺動アームを付勢する。上記解除部材は、第1揺動アームの前方部分とは反対側の後方部分に当接して、第1揺動アームを第1付勢部材による付勢方向とは逆方向に揺動させる押当部を有する。上記ソレノイドは、プランジャを有し、通電時にプランジャを一方向に移動させ、非通電時にプランジャを元の位置に復帰させる。上記押え片は、プランジャに連動して、第1揺動アームの前方部分における抜け止めフックが突出する側とは反対側の面に当接するように進出する。
【0009】
本発明の充電コネクタでは、挿入部を装置側インレットに差し込むと、装置側インレット内周面に設けられた凹部に抜け止めフックが突出して係合する。また、抜け止めフックと装置側インレットの凹部との係合を解除するときは、解除部材の押当部を第1揺動アームの後方部分に当接させ、第1揺動アームを揺動させることにより、抜け止めフックを引っ込める。
【0010】
本発明の充電コネクタによれば、ソレノイドのプランジャに連動して、押え片が第1揺動アームの前方部分に当接するように進出する。そして、抜け止めフックが挿入部から突出した状態で、ソレノイドにより押え片が第1揺動アームの前方部分に当接するように進出することで、抜け止めフックが挿入部から引っ込まないように、第1揺動アームの揺動を規制することができる。つまり、抜け止めフックが挿入部から引っ込むことを直接的に防止することができる。そのため、使用者が誤って解除部材を操作したり、衝撃や振動、或いは抜け止めフックを突出させる第1付勢部材が破損するなどのトラブルが生じても、抜け止めフックが引っ込むことがなく、抜け止めフックと装置側インレットの凹部との係合状態が解除されることを確実に防止することができる。よって、例えば給電中に、装置側インレットから充電コネクタが不用意に抜けることがなく、安全性に優れる。
【0011】
本発明の充電コネクタの一形態としては、ソレノイドが第1揺動アームの後方に配置され、プランジャが挿入部側に向かって移動することに伴い、前記押え片が前記第1揺動アームの前方部分に当接するように進出することが挙げられる。
【0012】
ソレノイドの配置位置は、特に限定されるものではない。上記するように、第1揺動アームの後方で、プランジャが挿入部側に向かって移動するように配置する他、例えば第1揺動アームにおける抜け止めフックが突出する側とは反対側の方に配置し、プランジャを第1揺動アームの延設方向と直交する方向に移動させることが挙げられる。しかし、挿入部には、装置側インレットの端子と電気的に接続される端子が格納され、また、本体部には、ケーブルが配設されているため、後者の場合、ソレノイドの設置スペースを確保することが難しい。これに対し、ソレノイドを第1揺動アームの後方に配置する場合、ソレノイドの設置スペースを確保し易い。
【0013】
本発明の充電コネクタの一形態としては、第1揺動アームの前方部分に貫通部が形成され、プランジャが元の位置にある状態では、押え片が貫通部に臨む位置に位置する。そして、プランジャの移動により、押え片が第1揺動アームの前方部分に当接するように進出することが挙げられる。
【0014】
この構成によれば、抜け止めフックが押し込まれたとき、プランジャが元の位置にある状態では、第1揺動アームに形成された貫通部に押え片を挿通させることができる。貫通部の形状や大きさは、押え片が遊嵌状態で挿通されるように設定するとよい。貫通部は、貫通孔としてもよいし、第1揺動アームの前方部分の一部を切欠いた切欠きとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充電コネクタは、ソレノイドにより押え片が第1揺動アームの前方部分に当接するように進出することで、抜け止めフックが挿入部から引っ込むことを直接的に防止することができる。よって、抜け止めフックと装置側インレットの凹部との係合状態が解除されることを確実に防止することができ、例えば給電中に、装置側インレットから充電コネクタが不用意に抜けることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。なお、ここでは、蓄電池を備える装置が電動車両(具体的には、電気自動車)であり、充電コネクタが車両用充電コネクタである場合を例として説明する。また、図中、同一符号は同一部分を示す。
【0018】
(実施の形態1)
図1に示す車両用充電コネクタ(以下、単に「充電コネクタ」と呼ぶ場合がある)100は、図示しない電気自動車のインレット(車両側インレット)に接続して、電気自動車の蓄電池に給電するために利用される。この充電コネクタ100は、図示しない充電器から延びるケーブル200の先端に取り付けられ、二つ割れのアルミ合金製カバー(右カバーと左カバー)で外装されている。充電コネクタ100は、L字状の本体部1と、本体部1の先端に設けられる挿入部2と、本体部1の背面に形成されるハンドル部3とを備え、本体部1の後端からケーブル200が導入されている。挿入部2は、車両側インレットに差し込まれる部分であり、抜け止めフック11が外周面から露出するように切欠き41が形成されている(
図2参照)。ハンドル部3は、C字状であり、一端側が本体部1の上面に沿って延長するように形成され、他端側が本体部1の後端に連結されている。このハンドル部3の上面にはスライドスイッチ4の一部が露出するように配置され、ハンドル部3の背面下方にはLEDランプ5が埋め込まれている。
【0019】
充電コネクタ100の内部構造を、
図3〜7を用いて説明する。
図3、4、6は左カバーを、
図5、7は右カバーをそれぞれ取り外した状態であり、いずれの図も充電コネクタ100を車両側インレットに差し込んで嵌合させる前の状態(初期状態)を示している。
図3〜5に示すように、本体部1には、ケーブル200が配設されると共に、後述する機械部品や機構部品が格納されている。また、挿入部2には、端子(図示せず)が格納されており、端子は端子ケース70に収納されている。以下、充電コネクタ100における車両側インレットに嵌合させるための嵌合機構について説明する。なお、端子は、例えばJEVS G 105-1993などの規格に準拠した端子配列となっており、ここでは説明を省略する。
【0020】
充電コネクタ100は、第1揺動アーム10と、抜け止めフック11と、第1付勢部材12とを備える(
図4、6参照)。第1揺動アーム10は、本体部1側から挿入部2側に亘って延設され、本体部1に固定された軸13を中心に揺動する。抜け止めフック11は、第1揺動アーム10の軸13より挿入部2側の前方部分に設けられ、挿入部2から突出可能である。第1付勢部材12は、抜け止めフック11が突出するように第1揺動アーム10を付勢する。
【0021】
この例では、第1揺動アーム10は、棒状の部材であり、中央部に軸13が挿通される孔が形成されており、この軸13に揺動可能に支持されている。抜け止めフック11は、第1揺動アーム10の先端部に設けられており、挿入部2に形成された切欠き41(
図2参照)から挿入部2の径方向外方(上方)に突出可能である。抜け止めフック11は、第1揺動アーム10における前方部分の先端部の上面から突出し、第1揺動アーム10の先端側に向かって傾斜する傾斜面を有するくさび状に形成されている。この抜け止めフック11は、挿入部2が車両側インレットに確実に差し込まれたとき、車両側インレットの内周面に設けられた凹部に対応する位置に位置する。この抜け止めフック11の位置は、後述する第2揺動アーム20に設けられた突起部21よりも挿入部2の前方側である。一方、第1揺動アーム10の前方部分とは軸13を挟んで反対側の後方部分は、L字状に屈曲し、後端部が本体部1の径方向内方(下方)に突出している。
【0022】
またこの例では、第1付勢部材12に捻じりバネを利用している(
図4参照)。具体的には、捻じりバネ12を軸13に同心状に配置し、捻じりバネ12の一端を第1揺動アーム10に固定し、他端を本体部1に固定する。そして、第1揺動アーム10の先端部に設けられた抜け止めフック11が挿入部2から突出するように、第1揺動アーム10を揺動(回動)させる方向に付勢するように捻じりバネ12を取り付けている。第1揺動アーム10の第1付勢部材12による揺動は、第1揺動アーム10の前方部分が本体部1の内周面に当接するまで許容される。
【0023】
さらにこの例では、第1揺動アーム10の前方部分に貫通部14が形成されている(
図4、5参照)。この例では、第1揺動アーム10の前方部分の中央部に貫通部14が形成され、貫通部14は貫通孔である。貫通部としては貫通孔以外にも、例えば、第1揺動アーム10の前方部分の一部を切欠いた切欠きであってもよい。
【0024】
この例の充電コネクタ100は、第2揺動アーム20と、突起部21と、第2付勢部材22とを備える(
図5、7参照)。第2揺動アーム20は、本体部1側から挿入部2側に向かって延設され、本体部1に固定された軸13を中心に揺動する。突起部21は、第2揺動アーム20の軸13より挿入部2側の前方部分に設けられ、本体部1と挿入部2との境界から突出可能である。第2付勢部材22は、突起部21が突出するように第2揺動アーム20を付勢する。
【0025】
この例では、第2揺動アーム20は、棒状の部材であり、中央部に軸13が挿通される孔が形成されており、この軸13に揺動可能に支持されている。つまり、第1揺動アーム10と第2揺動アーム20とは、同じ軸13に支持されている。また、第1揺動アーム10と第2揺動アーム20とは、左右に並列に配置されている。突起部21は、第2揺動アーム20の先端部に設けられており、挿入部2に形成された切欠き42(
図2参照)から挿入部2の径方向外方(上方)に突出可能である。突起部21は、第2揺動アーム20における前方部分の先端部の上面から突出し、第2揺動アーム20の先端側に向かって傾斜する傾斜面を有するくさび状に形成されている。この突起部21は、挿入部2が車両側インレットに確実に差し込まれたとき、車両側インレットの周縁に当接する位置に位置する。一方、第2揺動アーム20の前方部分とは軸13を挟んで反対側の後方部分は、L字状に屈曲し、後端部が本体部1の径方向内方(下方)に突出している。
【0026】
またこの例では、第2付勢部材22に捻じりバネを利用している(
図5参照)。具体的には、捻じりバネ22を軸13に同心状に配置し、捻じりバネ22の一端を第2揺動アーム20に固定し、他端を本体部1に固定する。そして、第2揺動アーム20の先端部に設けられた突起部21が挿入部2から突出するように、第2揺動アーム20を揺動(回動)させる方向に付勢するように捻じりバネ22を取り付けている。第2揺動アーム20の第2付勢部材22による揺動は、前方部分が本体部1の内周面に当接するまで許容される。
【0027】
また、充電コネクタ100は、第1揺動アーム10を第1付勢部材12による付勢方向とは逆方向に揺動させ、抜け止めフック11と車両側インレットの凹部との係合を解除する解除部材(ここでは、スライド棒30)を備える。スライド棒30は、第1揺動アーム10の延設方向に平行し、かつ、第1揺動アーム10の前方部分とは反対側の後方部分よりさらに後方に向かって延設され、その延設方向にスライド移動可能である。そして、このスライド棒30は、第1揺動アーム10の後方部分に当接して、第1揺動アーム10を第1付勢部材12による付勢方向とは逆方向に揺動させる押当部32を有する。
【0028】
この例では、スライド棒30の先端部に押当部32が設けられており、反対側の後端部にスライドスイッチ4が連結されている。押当部32は、スライド棒30の先端部の上面から突出し、先端側に向かって傾斜する傾斜面を有するくさび状に形成されている(
図4、6参照)。押当部32は、スライド棒30(スライドスイッチ4)が挿入部2側(前方)に前進したとき、第1揺動アーム10の後端部に当接し、第1揺動アーム10の後端部を押し上げることで、第1揺動アーム10を第1付勢部材12による付勢方向とは逆方向に揺動させることができる。これにより、抜け止めフック11を下降させ、抜け止めフック11を挿入部2から引っ込めることで、抜け止めフック11と車両側インレットの凹部との係合を解除する。
【0029】
またこの例では、スライド棒30を後退させる方向に付勢する第3付勢部材31を備えると共に、スライド棒30は、第2揺動アーム20の後方部分に当て止めされ、第3付勢部材31による後退を阻止する当止部33を有する。
【0030】
当止部33は、スライド棒30の先端部に設けられた押当部32から第2揺動アーム20側に向かって突出する片状に形成されており、先端側に向かって傾斜する上面を有する(
図5、7参照)。スライド棒30が前進したとき、当止部33の上面が傾斜しているので、第2揺動アーム20の後端部を押し上げて通過できる。
図5、7に示すように、当止部33が第2揺動アーム20の後端部に当て止めされることで、第3付勢部材31による付勢に抗って、スライド棒30の後退が阻止される。つまり、スライド棒30(スライドスイッチ4)が第2揺動アーム20側、即ち挿入部2側にスライドした(押し込まれた)状態で固定される。そして、挿入部2が車両側インレットに差し込まれたとき、車両側インレットの周縁に第2揺動アーム20の先端部に設けられた突起部21が当接して押し込まれて、第2揺動アーム20の後端部が上昇するように第2揺動アーム20が揺動する。これにより、当止部33と第2揺動アーム20との当止状態が解除され、スライド棒30が第3付勢部材31による付勢により後退限まで後退する。
【0031】
ここでは、第3付勢部材31に圧縮バネを利用している。具体的には、圧縮バネ31の一端を本体部1に固定された支持板43に固定し、他端をスライドスイッチ4に固定する。そして、スライド棒30(スライドスイッチ4)を後退方向、即ち挿入部2側とは反対側方向に付勢するように圧縮バネ31を取り付けている。
【0032】
さらに、充電コネクタ100は、ソレノイド50を備える。このソレノイド50は、プランジャ51を有し、通電駆動時に内蔵された電磁コイル(図示せず)によりプランジャ51を一方向に移動させ、非通電時に内蔵されたバネ(図示せず)によりプランジャ51を元の位置に復帰させる。この例では、ソレノイド50が、第1揺動アーム10の後方で、かつ第2揺動アーム20の仮想延長上とはスライド棒30を挟んで反対側であって、スライド棒30に並列に配置されている(
図4、5参照)。また、プランジャ51が挿入部2側に向かって第1揺動アーム10の延設方向と平行(ここでは、水平方向)に移動する。初期状態では、非通電となっている。プランジャ51の移動方向側の先端には、連結部52が取り付けられ、その先端部に押え片53が設けられている。連結部52は、プランジャ51の移動方向側に延びる板状片と、この板状片の先端側から上方に突出すると共に、第1揺動アーム10の前方部分の下方に延びる屈曲部とを有する(
図4、6参照)。そして、連結部52の屈曲部先端に挿入部2(抜け止めフック11)側に延びる押え片53が設けられている(
図6参照)。この例では、押え片53は、第1揺動アーム10の前方部分に対向する上面において、挿入部2(抜け止めフック11)側に向かって厚さが薄くなるように傾斜した傾斜面を有する。この押え片53は、ソレノイド50が非通電状態、即ちプランジャ51が元の位置にある状態では、第1揺動アーム10の前方部分に形成された貫通孔14に臨む位置に位置し、抜け止めフック11が押し込まれたとき、第1揺動アーム10に形成された貫通孔14に遊嵌状態で挿通される。一方、抜け止めフック11が挿入部2から突出した状態で、ソレノイド50が通電駆動され、プランジャ51が挿入部2側に向かって移動すると、押え片53は、抜け止めフック11側に進出し、第1揺動アーム10の前方部分における抜け止めフック11が突出する側とは反対側の下面に当接する位置に位置する。このとき、押え片53は、第1揺動アーム10に形成された貫通孔14から位置ずれする。そして、第1揺動アーム10の前方部分が押え片53に当接することで、抜け止めフック11が挿入部2から引っ込まないように、第1揺動アーム10の揺動が規制される。つまり、抜け止めフック11が挿入部2から突出した状態が維持される。
【0033】
次に、充電コネクタ100における車両側インレットへの差し込み操作、及び車両側インレットからの引き抜き操作での嵌合機構の動作について、主に
図6〜12を用いて詳しく説明する。
【0034】
まず、挿入部2を差し込む前の初期状態では、抜け止めフック11及び突起部21が第1付勢部材12及び第2付勢部材22による付勢により挿入部2から突出している(
図6、7参照)。また、当止部33が第2揺動アーム20の後端部に当て止めされることで、第3付勢部材31による付勢に抗って、スライド棒30の後退が阻止されている。そのため、スライド棒30の後端部に連結されているスライドスイッチ4が挿入部2側にスライドした(押し込まれた)状態で固定される。
【0035】
ここで、スライドスイッチ4が摺動するカバーの上面において、スライドスイッチ4が押し込まれた状態では露出し、かつスライドスイッチ4が後退限まで後退したときは露出しない箇所は、表示部45に利用することができる(
図4、5参照)。例えば、この表示部45に周囲と異なる色を塗装することで、色によってスライドスイッチ4が押し込まれた状態、即ち当止部33が第2揺動アーム20の後端部に当て止めされていることによりスライド棒30の後退が阻止されている状態であることを視覚的に容易に判別することができる(
図12(A)参照)。
【0036】
〈差し込み操作〉
挿入部2を車両側インレットに差し込むと、まず、抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に当接し、第1付勢部材12による付勢に抗って、抜け止めフック11が押し込まれる。抜け止めフック11は傾斜面を有するので、挿入部2から突出していても、車両側インレットに挿入し易い。
【0037】
次いで、挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込むと、突起部21が車両側インレットの周縁に当接し、第2付勢部材22による付勢に抗って、突起部21が押し込まれる(
図8参照)。突起部21は傾斜面を有するので、挿入部2から突出していても、車両側インレットに本体部1が突き当たるまで挿入し易い。そして、突起部21が押し込まれることで、第2揺動アーム20の後端部が上昇するように第2揺動アーム20が揺動することにより、当止部33と第2揺動アーム20との当止状態が解除され、スライド棒30が第3付勢部材31による付勢により後退限まで後退する(
図8、9参照)。このとき、抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に設けられた凹部に対応する位置に位置することになり、第1付勢部材12による付勢により挿入部2から突出する。これにより、抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に正常に係合して係止されることから、充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合した状態となる。以上により、充電コネクタ100の車両側インレットへの差し込み操作が完了する。このとき、充電コネクタ100と車両側インレットとの間で端子同士の電気的接続も確立される。
【0038】
ここで、スライドスイッチ4の上面において、スライドスイッチ4が押し込まれた状態では露出せず、かつスライドスイッチ4が後退限まで後退したときは露出する箇所は、表示部46に利用することができる(
図4、5参照)。例えば、この表示部46に文字などを表記したり、周囲と異なる色を塗装したりすることで、文字や色によってスライドスイッチ4(スライド棒30)が後退限まで後退したことを視覚的に容易に判別することができる(
図12(B)参照)。
【0039】
さらに、抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に突出して係止された状態で、ソレノイド50を通電駆動して、第1揺動アーム10の前方部分の下方であって、第1揺動アーム10に形成された貫通孔14からずれた位置に、押え片53を進出させる(
図10参照)。これにより、第1揺動アーム10の前方部分が押え片53に当接することから、抜け止めフック11が挿入部2から突出した状態で、第1揺動アーム10の揺動が規制される。つまり、抜け止めフック11がロックされた状態となる。そのため、抜け止めフック11が挿入部2から引っ込むことがなく、抜け止めフック11と車両側インレットの凹部との係合が外れることを確実に防止することができる。この例では、ソレノイド50のプランジャ51と押え片53とをつなぐ連結部52の板状片を水平方向に案内するガイド溝54(
図4参照)が端子ケース70に設けられており、このガイド溝54に沿って連結部52を移動させることができるので、押え片53を水平方向の正確な位置に進出させ易い。また、押え片53の上面が傾斜しているので、押え片53が第1揺動アーム10の前方部分の下方に当接するように進出し易い。ソレノイド50への通電中は、LEDランプ5(
図1参照)が点灯する。
【0040】
ソレノイド50への通電開始は、例えば、充電器から車両への給電を開始するときに行うことが挙げられる。これにより、給電中に使用者が充電コネクタ100を車両側インレットから誤って引き抜いたり、充電コネクタ100が車両側インレットから抜け落ちたりすることを確実に防止することができる。
【0041】
〈引き抜き操作〉
ソレノイド50への通電を停止して、押え片53を元の位置(即ち、第1揺動アーム10に形成された貫通孔14の下方)に復帰させる(
図9参照)。これにより、抜け止めフック11のロック状態が解除される。ソレノイド50への通電停止は、例えば、充電器から車両への給電を終了するときに行うことが挙げられる。
【0042】
次いで、スライドスイッチ4を挿入部2側(前方)に押し込むことで、スライド棒30を前進させ、押当部32を第1揺動アーム10の後端部に当接させる(
図11参照)。また、押当部32は、第1揺動アーム10の後端部に当接し、第1揺動アーム10の後端部を押し上げることで、第1揺動アーム10を第1付勢部材12による付勢方向とは逆方向に揺動させる。このとき、押当部32は傾斜面を有するので、第1揺動アーム10の後端部を押し上げ易い。そして、抜け止めフック11が下降し、抜け止めフック11が挿入部2から引っ込むことで(
図11参照)、抜け止めフック11と車両側インレットの凹部との係合状態が解除される。
【0043】
そして、この状態で、充電コネクタ100を車両側インレットから引き抜くことで、充電コネクタ100の車両側インレットからの引き抜き操作が完了する。引き抜き操作完了後、スライド棒30は、第3付勢部材31の付勢により、当止部33が第2揺動アーム20の後端部に当て止めされるまで後退して、初期状態の位置に戻る(
図6、7参照)。
【0044】
以上説明した実施の形態1に係る充電コネクタ100は、次の効果を奏する。
【0045】
ソレノイド50により押え片53を第1揺動アーム10の前方部分の下方に進出させることで、抜け止めフック11が挿入部2から引っ込むことを直接的に防止している。そのため、衝撃や振動、或いは抜け止めフック11を突出させる第1付勢部材12の破損などのトラブルが生じても、抜け止めフック11が引っ込むことがなく、抜け止めフック11と車両側インレットの凹部との係合状態が解除されることを確実に防止することができる。よって、例えば給電中に、車両側インレットから充電コネクタが不用意に抜けることを確実に防止することができる。
【0046】
また、ソレノイド50を第1揺動アーム10の後方に配置し、プランジャ51が挿入部2側に向かって水平方向に移動することで押え片53を第1揺動アーム10の前方部分の下方に進出させる構成としたことで、ソレノイド50の設置スペースを確保し易い。
【0047】
その他、本体部1と挿入部2との境界から突出可能な突起部21が設けられた第2揺動アーム20を備え、挿入部2が車両側インレットの奥まで差し込まれたとき、スライド棒30(スライドスイッチ4)が後退限まで後退する。そのため、スライド棒30(スライドスイッチ4)が後退限まで後退したか否かによって、車両側インレットへの差し込みが確実に行われたかどうかを確認することができる。したがって、不慣れな使用者であっても、スライド棒30(スライドスイッチ4)の状態を確認することで、車両側インレットへの差し込みを確実に行うことができ、充電コネクタ100の半嵌合を防止することができる。また、表示部45,46を備えることで、スライド棒30(スライドスイッチ4)が後退限まで後退したことを使用者が容易に判別することができ、車両側インレットへの差し込みが確実に行われたか否かを容易に確認することができる。
【0048】
車両側インレットへの差し込み操作は、充電コネクタ100の挿入部2を車両側インレットに差し込むだけの動作でよく、上記した特許文献1に記載の充電コネクタ(差し込み+レバーを握る)に比較して、直観的に分かり易く操作性に優れる。また、充電コネクタ100の内部構造(嵌合機構)も部品点数が少なくシンプルな構造のため、信頼性が高く、小型化、メンテナンスの容易化、低コスト化を図ることができる。さらに、スライドスイッチ4をハンドル部3の上面に配置したことにより、車両側インレットからの引き抜き操作を片手で行うことが可能である。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、本発明の充電コネクタを車両用充電コネクタに適用し、車両側インレットに接続して車両の蓄電池に給電する場合を例に説明した。この他、例えば、車両以外の船舶や潜水艇、航空機などの移動体に搭載された蓄電装置のインレットや、家庭やビル、工場などに設置された蓄電装置のインレットが上記した車両側インレットと同様の形状、即ち、インレットの内周面に凹部を有するような場合にも、本発明を適用可能である。
【0050】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、第1揺動アーム、第2揺動アーム及びスライド棒の形態を適宜変更することが可能である。また、第1付勢部材、第2付勢部材及び第3付勢部材としては、捻じりバネや圧縮バネに限らず、例えばゴムなどでもよく、バネの種類を適宜変更することも可能である。バネの種類を変更する場合、目的に応じてバネの配置を適宜変更するとよい。さらに、ソレノイドの配置やプランジャの移動方向を適宜変更することも可能である。