特許第5691292号(P5691292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691292
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20150312BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150312BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150312BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61Q19/10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-184534(P2010-184534)
(22)【出願日】2010年8月20日
(65)【公開番号】特開2012-41301(P2012-41301A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】二宮 幸治
(72)【発明者】
【氏名】柿澤 恭史
(72)【発明者】
【氏名】森部 光俊
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−331573(JP,A)
【文献】 特開2005−002039(JP,A)
【文献】 特開平07−309742(JP,A)
【文献】 国際公開第03/015741(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8
A61Q 19
Thomson Innovation
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩及びパルミチン酸塩から選ばれる2種以上の高級脂肪酸塩であって、ラウリン酸塩及びミリスチン酸塩を必須とし、これらの質量比が、ラウリン酸塩/ミリスチン酸塩=90/10〜50/50である高級脂肪酸塩5〜30質量%、(B)多価アルコール40〜70質量%、(C)グリセリン縮合物と、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物2〜10質量%、及び水4.0質量%以上45質量%未満を含有し、25℃で半固形であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
水の含有量が6質量%以上45質量%未満である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分の高級脂肪酸塩が、上記高級脂肪酸のカリウム塩又はモノエタノールアミン塩である請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
(B)成分が、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
(B)多価アルコール中の70〜100質量%がジグリセリンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
(C)成分が、デガグリセリルと、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物((ベヘン酸/エイコサン二酸)デガグリセリル)である請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項7】
25℃における粘度が2〜30Pa・sである請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項8】
ゲル状である請求項1〜7のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項9】
25℃におけるpHが9〜11である請求項1〜8のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡立ち及びその持続性、並びにすすぎやすさ及び高温安定性に優れた、25℃で半固形である皮膚洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半固形の洗浄剤組成物は、スクラブ等の粒子をその製剤の中に分散したまま保持することができ、見た目の美しさや、使用感を向上させることができる。中でも、透明から半透明の外観を有する半固形の洗浄剤は、消費者に高品質感の提供が可能である。
【0003】
高級脂肪酸塩を含む洗浄剤組成物は、泡性能、すすぎ性能が優れているが、半固形とした場合に、性能、安定性が不良になるという課題があった。これに対して、高級脂肪酸塩とアクリル酸アルキルコポリマーとを用いた透明ゲル状の皮膚洗浄剤が開示されている(特許文献1:特開2007−126396号公報)。しかしながら、外観は透明なゲル状であるが、高分子化合物で増粘してゲル状としているため、泡立ちが遅く、製剤を手に取る際に糸を引くため、使用性が不良であった。
【0004】
また、特定の高級脂肪酸塩、両性界面活性剤、グリセリン及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤を用いた透明ゲル状の洗浄剤が開示されている(特許文献2:特開2007−51168号公報)。これは、高分子化合物による増粘ではなく、界面活性剤の液晶相によるゲル化であるので、使用時の糸引きは発生し難いが、粘性が高いため容器から出し難く、さらに水を加えた際に製剤が伸ばし難く、泡立ち難いという課題があった。
【0005】
一方、高級脂肪酸塩を用いない半固形の洗浄剤組成物も開示されており、例えば、オリゴエステル系ゲル化剤、多価アルコール、非イオン性界面活性剤を用いた、洗浄後のさっぱり感と高温安定性に優れた固形状の組成物が開示されている(特許文献3:特開2004−331573号公報)。これは、多量の多価アルコールを用いる、実質的に非水系の製剤であり、マッサージやメイク落とし効果は高いものの、泡が立たず、洗浄後のさっぱり感も満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−126396号公報
【特許文献2】特開2007−51168号公報
【特許文献3】特開2004−331573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、泡立ち及びその持続性、並びにすすぎやすさ及び高温安定性に優れた、25℃で半固形である皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)炭素数8〜26の高級脂肪酸塩5〜30質量%を含有する皮膚洗浄剤組成物に、(B)多価アルコール40〜70質量%、及び(C)グリセリン縮合物と、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物2〜10質量%を配合することで、泡立ち及びその持続性、すすぎやすさ及び高温安定性に優れた、25℃で半固形である皮膚洗浄剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は下記皮膚洗浄剤組成物を提供する。
[1].(A)ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩及びパルミチン酸塩から選ばれる2種以上の高級脂肪酸塩であって、ラウリン酸塩及びミリスチン酸塩を必須とし、これらの質量比が、ラウリン酸塩/ミリスチン酸塩=90/10〜50/50である高級脂肪酸塩5〜30質量%、
(B)多価アルコール40〜70質量%
C)グリセリン縮合物と、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物2〜10質量%、及び
水4.0質量%以上45質量%未満
を含有し、25℃で半固形であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
[2].水の含有量が6質量%以上45質量%未満である[1]記載の皮膚洗浄剤組成物。
[3].(A)成分の高級脂肪酸塩が、上記高級脂肪酸のカリウム塩又はモノエタノールアミン塩である[1]又は[2]記載の皮膚洗浄剤組成物。
[4].(B)成分が、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400から選ばれる[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
].(B)多価アルコール中の70〜100質量%がジグリセリンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
].(C)成分が、デガグリセリルと、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物((ベヘン酸/エイコサン二酸)デガグリセリル)である[1]〜[5]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
[7].25℃における粘度が2〜30Pa・sである[1]〜[6]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
[8].ゲル状である[1]〜[7]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
[9].25℃におけるpHが9〜11である[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、泡立ち及びその持続性、すすぎやすさ及び高温安定性に優れた、25℃で半固形である皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)炭素数8〜26の高級脂肪酸塩5〜30質量%、(B)多価アルコール40〜70質量%、及び(C)グリセリン縮合物と、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物2〜10質量%を含有し、25℃で半固形であるものである。
【0012】
(A)高級脂肪酸塩
本発明の(A)炭素数8〜26の高級脂肪酸塩は、その高級脂肪酸の炭化水素基が、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和であってもよく、例えば、下記一般式(1)で表される高級脂肪酸塩が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
1COOM (1)
(式中、R1は、炭素数7〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の一価炭化水素基を示し、この一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい。Mは、カリウム、ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール又はジイソプロパノールアミンを示す。)
【0013】
(A)成分としては、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ラウロレイン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、トリデカン酸、テトラメチルノナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、2−ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸等の混合物であるヤシ油脂肪酸等の塩が挙げられる。対イオンとしては、カリウム、ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール又はジイソプロパノールアミンが挙げられる。
【0014】
泡立ち、泡の持続性の点から、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムが好ましく、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムがより好ましい。
【0015】
ラウリン酸塩とミリスチン酸塩とを併用する場合、ラウリン酸塩とミリスチン酸塩との質量比は、ラウリン酸塩/ミリスチン酸塩=90/10〜50/50が好ましい。ラウリン酸塩が90/10より多くなると、泡立て時の泡の持続性が悪くなる場合がある。ラウリン酸塩が50/50より少ないと、泡立ちと高温安定性が悪くなる場合がある。
【0016】
(A)成分の含有量は、皮膚洗浄剤組成物中5〜30質量%である。5質量%未満であると、泡立ち、泡の持続性が悪くなる。一方、30質量%を超えると高温安定性が悪くなり、伸ばしにくく泡立ちにくくなる。泡立ち、泡の持続性及び高温安定性の点から、10〜25質量%が好ましく、20〜25質量%がより好ましい。
【0017】
(B)多価アルコール
(B)成分としては、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400(化粧品原料基準第二版注解、医薬部外品原料規格2006、日本薬局方医薬品規格2002、第15改定日本薬局方に定められたもの)等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、高温安定性の点からジグリセリンが好ましく、全多価アルコール中の70〜100質量%がジグリセリンであることがより好ましい。
【0018】
(B)成分の含有量は、皮膚洗浄剤組成物中40〜70質量%である。この範囲とすることで、泡立ち及び泡の持続性、並びに高温安定性が良好となる。40質量%未満であると、ゲルにならない。一方、70質量%を超えると、泡立ち及び泡の持続性が悪くなる。また、50〜60質量%がより好ましい。
【0019】
(C)グリセリン縮合物と、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物
平均重合度が2〜10のグリセリン縮合物の水酸基の1/2を超えて残存させた部分エステル化合物が好ましい。残存水酸基数が1/2より少なくなると、エステル化合物と多価アルコールとの相溶性が劣り、安定性が低下する場合がある。なお、グリセリン縮合物の水酸基の数は平均重合度を基にして求めるが、この平均重合度は水酸基価を基に計算して求められるものである。平均重合度がn(nは整数)であるグリセリン縮合物の場合、1モル中の総水酸基数の1/2の数は(n+2)/2個となる。本発明においては、平均重合度が2〜10のグリセリン縮合物が好ましく、中でも、グリセリン縮合物がデガグリセリルである、デガグリセリルと、ベヘン酸と、エイコサン二酸とのエステル化合物である、(ベヘン酸/エイコサン二酸)デガグリセリルが好ましい。なお、グリセリン縮合物でないグリセリンとのエステルであると、後述する比較例で示されたように、ゲルが形成できず、半固形の組成物を得ることができない。
【0020】
本発明の(C)エステル化合物を得るには、次に述べる方法のいずれかを採用すればよい。すなわちグリセリン等、脂肪酸及び二塩基酸を同時にオリゴエステル化反応するか、グリセリン等と脂肪酸とをまずエステル化せしめ、これをさらに二塩基酸とオリゴエステル化反応あるいはエステル交換反応するか、グリセリン等と二塩基酸とをまずオリゴエステル化せしめ、次いでこれを脂肪酸とエステル化反応させる。エステル化反応においては、ベヘン酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基1個とエステル結合し、エイコサン二酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基2個とエステル結合する。なお、市販品としては、(ベヘン酸/エイコサン二酸)デカグリセリル:ノムコートHK−P(日清オイリオ株式会社)が挙げられる。
【0021】
(C)成分の含有量は、皮膚洗浄剤組成物中2〜10質量%である。2質量%未満であると、半固形を形成することができず、高温安定性が悪くなる。一方、10質量%を超えると、すすぎやすさが悪くなる。高温安定性、すすぎやすさの点で、3〜6質量%が好ましい。
【0022】
皮膚洗浄剤組成物中の水の含有量は6〜45質量%未満が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。45質量%以上だと、高温安定性が低下する場合があり、6質量%未満だと水で泡立てる際に泡立てにくくなる場合がある。
【0023】
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、適宜選択したその他成分を本発明の目的を妨げない範囲で配合することができる。その他成分としては、皮膚洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、油分、シリコーン類、低級又は高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、水酸化カリウム、クエン酸等のpH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体等が挙げられる。
【0024】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚洗浄剤組成物の常法に準じて調製することができ、本発明の皮膚洗浄剤組成物を調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた攪拌装置が好ましい。
【0025】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、25℃で半固形である。半固形とは、ゲル状、ペースト状を示し、25℃環境下で、試料を平板に置き、平板を水平から30度に傾けたとき、試料が形を保つ平板上を流下しない、もしくは流下しても秒速1cm以下の速度で流下する状態をいう。
【0026】
皮膚洗浄剤組成物の粘度は、2〜30Pa・sであり、2Pa・s未満であると半固形を形成することができず、高温安定性が悪くなる場合がある。30Pa・sを超えると、伸ばしにくく泡立てさせにくく、さらにすすぎやすさが悪くなる場合がある。粘度測定方法は、0.2Pa・s以上20Pa・s未満のときは、B型粘度計(株式会社東京計器製)で、25℃の条件下、ローターNo.4を30rpm、1分で測定する。20Pa・s以上50Pa・s以下のときは、B型粘度計(株式会社東京計器製造所社製)で、25℃の条件下、ローターNo.4を12rpm、1分で測定する。
【0027】
皮膚洗浄剤組成物のpHは9〜11が好ましい。pH9未満であると、泡立ちや泡の持続性が悪くなる場合がある。pH11を超えると高温安定性が悪くなる場合がある。泡立ち、泡の持続性及び高温安定性の点で、pH9.5〜10.5がより好ましい。なお、水酸化カリウム、クエン酸等のpH調整剤で組成物のpHを調整するが、皮膚洗浄剤組成物中のpH調整剤の含有量は0〜0.5質量%程度である。
【0028】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、顔用、身体用いずれでもよく、皮膚であれば、その対象は特に限定されない。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0030】
[実施例1〜22、比較例1〜7]
(A)及び(B)成分、並びに精製水を真空乳化釜のベッセルに秤取し、減圧状態で、80℃に加温して溶解した。溶解後、パドルを攪拌しながら、(C)成分を加え溶解し、減圧状態で1℃/分で35℃まで冷却した。香料を配合する場合(実施例23)は、この時点で添加する。さらに25℃まで1℃/分で冷却を行った。続いてpHメーターHM−30V(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてpHを測定し、水酸化カリウム(使用量は皮膚洗浄剤組成物中0〜0.1質量%又はクエン酸(使用量は皮膚洗浄剤組成物中0〜0.5質量%)を、目標のpHとし、表1〜5に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を得た。実施例の皮膚洗浄剤組成物は全て25℃でゲル状であった。なお、pHは、25℃にした皮膚洗浄剤組成物を、2分間安定化させた値を測定した。得られた皮膚洗浄剤組成物について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0031】
〈粘度〉
BH型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、試料温度25℃にて、0.2Pa・s以上20Pa・s未満のときは、B型粘度計(株式会社東京計器製)で、ローターNo.4を30rpm、1分で測定した。20Pa・s以上50Pa・s以下のときは、B型粘度計(株式会社東京計器製造所社製)で、ローターNo.4を12rpm、1分で測定した。
【0032】
〈高温安定性〉
高さ8cm、口径3cmの硬質透明ガラス瓶(容量55mL)に、皮膚洗浄剤組成物を50mL充填し、35・45℃の各環境下において保存し、各保存温度における外観を観察し、下記判断基準に基づき、皮膚洗浄剤組成物の高温安定性を評価した。
[判断基準]
◎:4週間保存後、析出物や分離がなく、均一な状態
○:4週間保存後、析出物や分離はないが、製造初期に比べて、外観が均一にわずかに濁ってみえる
△:2週間保存後は析出物や分離はないが、4週間保存後、析出物あるいは分離がある
×:2週間保存後、析出物あるいは分離がある
【0033】
〈泡立ち、泡の持続性、すすぎやすさ〉
専門評価パネル10名が、皮膚洗浄剤組成物を使用して評価した。チューブ容器(直径3cm、高さ8cm、口径3mm)に皮膚洗浄剤組成物を充填し、水で濡らした手のひらに試料1gをとり、10秒間両手をこすり合わせた後、下記評価基準に基づいて泡立ち、泡の持続性をそれぞれ評価した。続けて、手指を覆う泡や各皮膚洗浄剤組成物を流水ですすぎ流し、下記評価基準に基づいてすすぎやすさを評価した。
パネルの評点平均値をそれぞれ算出し、下記判定基準により判定した。
[評価基準]
5点:非常に良い
4点:良い
3点:どちらともいえない
2点:悪い
1点:非常に悪い
[評点平均値の判定基準]
◎ :4.5点〜5点
◎〜〇:4.0点〜4.5点未満
○ :3.0点〜4.0点未満
△ :2.0点〜3.0点未満
× :2.0点未満
【0034】
【表1】
【0035】
実施例5の45℃における安定性は「◎」であった。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
[実施例23]
組成 %
ラウリン酸カリウム 15
ミリスチン酸カリウム 7
(ベヘン酸/エイコサン二酸)デカグリセリル*3 3
ジグリセリン 60
イソプロピルメチルフェノール*5 0.1
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(E.O.11)*6 1
モノエタノールアミン 0.5
エデト酸 0.1
ビタミンE*7 0.1
ポリエチレン末*8 0.3
ポリエチレン末*9 0.1
香料 0.4
精製水 残部
合計 100.0
水酸化カリウム(48%)又は、クエン酸でpHを10.2に調整。
<評価結果>
粘度:18.6Pa・s
安定性(35℃):◎
安定性(45℃):◎
泡立ち:◎
泡の持続性:◎
すすぎやすさ:◎
【0041】
実施例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
*1:ポリエチレングリコール300(日本油脂株式会社)
*2:ポリエチレングリコール400(日本油脂株式会社)
*3:(ベヘン酸/エイコサン二酸)デカグリセリル ノムコートHK−P(日清オイリオ株式会社)
*4:(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル ノムコートHK−G(日清オイリオ株式会社)
*5:イソプロピルメチルフェノール(岩瀬コスファ)
*6:エマレックス611(日本エマルジョン、HLB=11)
*7:dl−αトコフェロール(DSMニュートリションジャパン)
*8:フロービーズCL−8007(住友精化)
*9:MPG顆粒<青>新(一丸ファルコス株式会社)