(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、一端封止型のハロゲンランプなどのシングルエンド型ランプは、例えば、舞台照明用またはコンサートホールの照明用の光源や、半導体ウエハの加熱処理装置用の光源として、幅広く利用されている。
このようなシングルエンド型ランプとしては、例えば
図12に示すように、一端に封止部72が形成された発光管71を備え、発光管71内に、フィラメント75が発光管71の管軸Cに沿って配置されると共に例えば窒素ガスを含む不活性ガスおよびハロゲン化合物が封入されてなり、発光管71の一端に封止部72を受容して保持するベース80が装着された構成のものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
このシングルエンド型ランプ70におけるベース80の底部には、2本の給電ピン81が管軸方向外方に突出して形成されており、給電ピン81がソケット85に対して発光管71の管軸方向に挿入されて装着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記構成のシングルエンド型ランプ70においては、ソケット85から取り外す場合には、シングルエンド型ランプ70を発光管71の管軸方向に引き出さなければならないが、シングルエンド型ランプ70が搭載される装置(機器)においては、他のランプや反射鏡などの他の構成部材が存在する場合も少なくなく、ランプ交換作業が煩雑であるという問題や、シングルエンド型ランプ70を取り出すときに、期せずして他の構成部材と接触して、発光管71が破損するといった問題が生ずることがある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、ソケットに対して発光管の管軸方向以外の方向に挿入して装着することのできる新規な構造を有し、容易に着脱することのできるシングルエンド型ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシングルエンド型ランプは、一端に封止部が形成された発光管を備え、当該発光管の一端に前記封止部を受容して保持するベースが装着されてなるシングルエンド型ランプであって、
前記ベースは、扁平正面および扁平裏面を有する扁平な直方体であり、
前記ベースを受容して保持する収容凹部を備えたソケットの当該収容凹部に対して、前記ベースが発光管の管軸に直交する方向に挿入されて着脱自在に装着される構成とされており、
前記ベースの扁平正面および扁平裏面の各々に、前記発光管の管軸に直交する方向に伸びる凹溝または突条よりなる係合部が形成され、
前記ソケットの収容凹部におけるベースの
扁平正面および扁平裏面との対向面の各々に、ランプの挿入方向に伸びる
突条または凹溝よりなる被係合部が形成され、
前記ベースにおける係合部が凹溝である場合に、前記ソケットの被係合部は当該ベースの凹溝とランプの挿入方向に摺動可能に係合する突条よりなり、前記ベースにおける係合部が突条である場合に、前記ソケットの被係合部は当該ベースの突条とランプの挿入方向に摺動可能に係合する凹溝よりなり、
前記ベースが前記ソケットの収容凹部に装着された状態において、前記ベースの係合部が前記ソケットの被係合部に
発光管の管軸方向において、および前記ベースの扁平正面に沿った平面内での回転に対して、係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシングルエンド型ランプによれば、ベースを受容して保持する収容凹部を備えたソケットの当該収容凹部に対して、ベースが発光管の管軸に直交する方向に挿入されることによって、ベースにおける係合部とソケットの収容凹部における被係合部が互いに少なくとも発光管の管軸方向において係合される構成とされることにより、ランプの取付け、取り外しの際には、シングルエンド型ランプを発光管の管軸に直交する方向に移動させればよいので、シングルエンド型ランプをソケットに容易に装着することができる。
【0013】
扁平な直方体形状のベースの扁平正面および扁平裏面の各々に、発光管の管軸に直交する方向に伸びる凹部または凸部よりなる係合部が形成されており、収容凹部におけるベースの扁平正面および扁平裏面との対向面の各々において、ランプの挿入方向に伸びるよう形成された凹部または凸部よりなる被係合部が形成されたソケットに装着される構成とされていることにより、ベースにおける凹部または凸部がソケットにおける凸部または凹部に沿って案内されながら係合されるので、ランプ偏軸、および、扁平正面(扁平裏面)に沿った平面内での回転を防止することができてシングルエンド型ランプを適正な姿勢で確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のシングルエンド型ランプの一例における構成の概略を示す正面図である。
【
図2】
図1に示すシングルエンド型ランプの平面図である。
【
図3】
図1に示すシングルエンド型ランプの右側面図である。
【
図5】本発明のシングルエンド型ランプが装着されるソケットの構成の概略を示す平面図である。
【
図6】
図5に示すソケットの構成の概略をベースと共に示す、発光管の管軸方向一端側からみたときの一側面図である。
【
図7】ベースとソケットとの装着状態を概略的に示す平面図である。
【
図8】ベースとソケットとの装着状態を概略的に示す、発光管の管軸方向一端側からみたときの一端面図である。
【
図9】シングルエンド型ランプのソケットからの取り外し方法を説明するための図である。
【
図10】本発明のシングルエンド型ランプの他の例における構成の概略を示す正面図である。
【
図11】本発明のシングルエンド型ランプに係るベースの更に他の例の構成の概略を示す斜視図である。
【
図12】従来におけるシングルエンド型ランプの一例における構成の概略を、ソケットに装着された状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のシングルエンド型ランプの一例における構成の概略を示す正面図、
図2は、
図1に示すシングルエンド型ランプの平面図、
図3は、
図1に示すシングルエンド型ランプの右側面図、
図4は、
図3におけるA−A線断面図である。本明細書においては、便宜上、ベースにおける、発光管の管軸に沿って伸びる4つの周側面のうち、幅広な周側面の一方を「扁平正面」、他方を「扁平裏面」という。
このシングルエンド型ランプ(以下、単に「ランプ」という。)10は、一端にピンチシールによる扁平な封止部12が形成されていると共に他端に排気管残部13を有する、例えば石英ガラスよりなる発光管11を具えており、発光管11の一端に、セラミックス例えばアルミナよりなるベース30が封止部12の一部を受容して保持した状態で装着されてなる。
【0017】
発光管11内には、例えばタングステンよりなる1本の線材がコイル状に巻回されて形成されたフィラメント15がその巻回軸が発光管11の管軸Cに沿って伸びるよう配置されると共に、例えば窒素ガスを含む不活性ガスおよびハロゲン化合物が封入されている。
【0018】
フィラメント15の一端部は、一方の内部リード棒16Aの一端側部分に接続されており、他端部は他方の内部リード棒16Bの一端部に接続されている。
一方の内部リード棒16Aおよび他方の内部リード棒16Bの他端部は、それぞれ、発光管11の封止部12内において気密に埋設された一方の金属箔17Aおよび他方の金属箔17Bの一端側部分に接続されている。
一方の金属箔17Aの他端側部分には、各々発光管11の他端面より管軸方向外方に突出して伸びる複数の外部リード棒18Aの一端側部分が接続されており、各々の外部リード棒18Aの他端部は、共通の棒状のコネクタ部材19Aに接続されている。
また、他方の金属箔17Bの他端側部分には、各々発光管11の他端面より管軸方向外方に突出して伸びる複数の外部リード棒18Bの一端側部分が接続されており、各々の外部リード棒18Bの他端部は、共通の棒状のコネクタ部材19Bに接続されている。
図1、
図2および
図4において、符号21はフィラメントを支持するサポーターであって、他端部分が一方の内部リード棒16Aおよび他方の内部リード棒16Bを保持固定する絶縁部材(ガラス片)22に固定されている。
【0019】
ベース30は、全体が扁平な直方体形状のものであって、発光管11の管軸方向における一端面30Aにおいて開口する四角柱状の保持部31を有し、発光管11における封止部12の一部が保持部31内に挿入されて装着された状態において、例えば接着剤(図示省略)によりランプ10の封止部12に固定されている。
ベース30における、発光管11の管軸方向における他端面30Bには、2つのコネクタ部材19A,19Bの先端がベース30の他端壁に形成された貫通孔32を介して外方に突出しており、例えばニッケルメッキされた真鍮よりなる接点板35A,35Bが、例えばスポット溶接あるいは銀ロウによって、各々のコネクタ部材19A,19Bの先端部に接続固定されて、これにより接続部36が構成されている。
接点板35A,35Bは、各々逆方向に伸び、ベース30の他端面30Bの稜で屈曲されて、それぞれ、ベース30の扁平正面30Cおよび扁平裏面30Dにおいて発光管11の管軸Cに沿って伸びるよう形成された接点板配置用凹溝33内に位置されて当該管軸Cに沿って伸びるよう設けられている。
【0020】
このランプ10は、
図5および
図6に示すように、ベース30を受容して保持する収容凹部51を備えたソケット50の当該収容凹部51に対して、ベース30が発光管11の管軸Cに直交する方向に挿入されて着脱自在に装着される構成とされている。
以下においては、便宜上、
図5および
図6に示す、X方向を「上方向」、Y方向を「前方向」、Z方向「右方向」と定義する。
【0021】
ソケット50は、全体が略直方体形状であって、前面およびこれに続く上面領域において開口する四角柱状の空間を形成する収容凹部51を備えており、ランプ装着時においてベース30の扁平正面30Cおよび扁平裏面30Dの各々と対向する、収容凹部51における互いに対向する2つの側壁52A,52Bの各々には、接点タイプの給電体55A,55Bがその一部が収容凹部51の内部空間に露出する状態で、設けられていると共にランプの挿入方向(上下方向)に伸びる突条58よりなる被係合部が形成されている。
【0022】
このソケット50は、装着されたランプ10を取り外すためのピンレバー60を備えている。
ピンレバー60は、1本の金属線材が変形加工されてなり、収容凹部51の底面52Cに沿って前後方向に伸びる先端部分が弧状に湾曲する略U字型の中央アーム部分61と、この中央アーム部分61の両端のそれぞれに連続して収容凹部51の底面52Cと平行に外方に伸びる横桿部分62と、これらの横桿部分62に連続して先端部が斜め上方前方に向かって伸びるレバー部分63とを有し、横桿部分62がソケット50の後方下端縁位置に設けられたスリーブ部材65によって回動可能に軸支されると共にレバー部分63が外部に露出した状態で、設けられている(
図9参照)。そして、ランプ装着時においては、中央アーム部分61は、収容凹部51を構成する底壁に形成された、上方に開口する凹所53内に収容された状態とされる。
【0023】
この例のランプ10におけるベース30には、扁平正面30Cおよび扁平裏面30Dの各々において、発光管11の管軸Cに直交する方向に伸びる凹溝38よりなる係合部が形成されており、ランプ10が装着された状態において、当該凹溝38がソケット50の収容凹部51における突条58に摺動可能に発光管11の管軸方向において係合される。
【0024】
以下、ランプ10のソケット50に対する取付け方法およびソケット50からの取り外し方法について説明する。
このランプ10は、発光管11の管軸Cがソケット50の収容凹部51における底面52Cに平行に伸びる姿勢で、ベース30の凹溝38がソケット50の収容凹部51における突条58に位置合わせされ、ベース30における発光管11の管軸Cに沿った一方の幅狭な周側面を挿入先頭面30Eとしてソケット50の収容凹部51に対して上方から発光管11の管軸Cに直交する方向(
図6において白抜きの矢印で示す)に挿入されてベース30の凹溝38がソケット50における突条58に沿って案内されながら全体が係合され、
図7および
図8に示すように、ベース30の挿入先頭面30Eがソケット50の収容凹部51の底面52Cに当接(面接触)されると共にベース30における接点板35A,35Bがソケット50における給電体55A,55Bに電気的に接続された状態で装着される。
【0025】
一方、ランプ10をソケット50より取り外す場合には、
図9に示すように、ソケット50におけるピンレバー60のレバー部分63を押し上げること(
図9において時計方向に回動させること)により中央アーム部分61を横桿部分62を中心として回動させてランプ10におけるベース30の挿入先頭面30Eに当接させてランプ10全体を上方に押し上げ、これにより、ベース30の挿入後端面側部分をソケット50の上端面より突出させ、当該挿入後端面側部分を指で持って引き出すことができる。
【0026】
而して、上記のランプ10によれば、ベース30を受容して保持する収容凹部51を備えたソケット50の当該収容凹部51に対して、ベース30が発光管11の管軸Cに直交する方向に挿入されることによって、ベース30の扁平正面30Cおよび扁平裏面30Dの各々における凹溝38がソケット50の収容凹部51における突条58に沿って案内されながら係合されるので、ランプ10をフィラメント15の適正な位置決めがなされた状態でソケット50に容易に装着することができ、しかも、ランプ偏軸、および、扁平正面30C(扁平裏面30D)に沿った平面(X−Y平面)内での回転を防止することができるので、ランプ10を適正な姿勢で確実に装着することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施例は、突条よりなる被係合部が収容凹部に形成されたソケットに装着される、ソケットの突条に摺動可能に係合する凹溝よりなる係合部がベースに形成された構成のものとされているが、凹溝よりなる被係合部が収容凹部に形成されたソケットに装着される、ソケットの凹溝に摺動可能に係合する突条よりなる係合部がベースに形成された構成のものであっても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
また、ベースにおける扁平正面および扁平裏面の一方に凸部(突条)が形成され、他方に凹部(凹溝)が形成された構成とされていてもよい。
【0028】
また、ベースにおける係合部は、
図10に示すように、ベース30におけるソケットの収容凹部の底面に対接される挿入先頭面30Eに形成されていてもよく、この例においては、ベース30における挿入先頭面30Eに2つの円柱状の係合用突起39が発光管11の管軸方向に並んで形成されており、
図5に示すソケット50において、突条58の代わりに、収容凹部51の底面52Cに、ベース30における係合用突起39に係合する凹所が形成されたソケットに装着される構成とされている。
このような構成のランプ10においても、ソケットの収容凹部に対して、ベース30が発光管11の管軸Cに直交する方向に挿入されることによって、ベース30における係合用突起39とソケットの収容凹部における凹所(被係合部)が互いに発光管の管軸方向において係合される構成とされることにより、ランプの取付け、取り外しの際には、ランプ10を発光管11の管軸Cに直交する方向に移動させればよいので、ランプ10をソケットに対して容易に、かつ、適正な姿勢で確実に装着することができる。
【0029】
また、
図11に示すように、ベース30が放熱用のフィン40が具備された構成とされていてもよい。このベース30は、発光管11の管軸Cに沿った他方の幅狭な周側面(挿入先頭面30Eに対向する周側面)30Fに、多数の放熱用のフィン40が設けられている。このような構成とされていることにより、ランプ保持部の放熱を効果的に行って過熱状態に至る可能性を低減させることができる。放熱用のフィン40は、一体に形成された構成とされていても、フィン部分のみを形成して接着された構成とされていてもよい。