特許第5691338号(P5691338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691338
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
   A63F7/02 315Z
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-209893(P2010-209893)
(22)【出願日】2010年9月17日
(65)【公開番号】特開2012-61254(P2012-61254A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2013年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150051
【氏名又は名称】株式会社竹屋
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正博
(72)【発明者】
【氏名】梁川 誠市
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−285022(JP,A)
【文献】 特開2009−261732(JP,A)
【文献】 特開2009−297110(JP,A)
【文献】 特開2010−029345(JP,A)
【文献】 特開2009−268705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域内に配置され、遊技球が入賞可能な第1の始動口と、
遊技領域内に配置され、遊技球が入賞可能な第2の始動口と、
前記第1の始動口へ遊技球が入賞したとき、前記入賞に対応する判定値を設定し、その判定値が関連づけられた保留記憶を記憶する第1の保留記憶手段と、
前記第2の始動口へ遊技球が入賞したとき、前記入賞に対応する判定値を設定し、その判定値が関連づけられた保留記憶を記憶する第2の保留記憶手段と、
前記第1の保留記憶手段に前記保留記憶がある場合は、その保留記憶に関連づけられた前記判定値に基づいて抽選を行い、前記抽選の結果に応じて大当り遊技を提供するとともに、前記判定値に基づいて、通常の遊技状態である遊技状態Aと、遊技者にとって前記遊技状態Aよりも有利な遊技状態である遊技状態Bとのいずれかを設定する第1の保留遊技実行手段と、
前記第1の保留記憶手段に前記保留記憶がなく、前記第2の保留記憶手段に前記保留記憶がある場合は、その保留記憶に関連づけられた前記判定値に基づいて抽選を行い、前記抽選の結果に応じて前記大当り遊技を提供するとともに、前記判定値に基づいて、前記遊技状態Aと、前記遊技状態Bとのいずれかを設定する第2の保留遊技実行手段と、
前記遊技状態Bが設定されてからの、前記第1の保留遊技実行手段による前記抽選の回数N1、前記第2の保留遊技実行手段による前記抽選の回数N2、及び前記N1と前記N2の和N3のいずれかである抽選回数Nが所定のX回に達した場合、前記遊技状態Aを設定する遊技状態変更手段と、
前記遊技状態Bにおいて、前記遊技状態Aでは前記大当り遊技が提供されないが、前記遊技状態Bでは前記大当り遊技が提供される前記判定値と関連づけられた前記保留記憶が前記第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ前記遊技状態Bが設定されてからの前記抽選回数Nが所定のY(Y<X)回に達している場合、所定の第1の報知を行う第1の報知手段と、
を備え、
前記第1の保留遊技実行手段により提供される大当り遊技は、前記第2の保留遊技実行手段により提供される大当り遊技よりも、遊技者にとって有利であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技状態Bにおいて、前記遊技状態Aでは前記大当り遊技が提供されないが、前記遊技状態Bでは前記大当り遊技が提供される前記判定値と関連づけられた前記保留記憶が前記第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ前記遊技状態Bが設定されてからの前記抽選回数Nが前記Y回に達していない場合、所定の第2の報知を行う第2の報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の始動口及び第2の始動口を備えるとともに、第1の特別図柄表示装置及び第2の特別図柄表示装置を備える遊技機が知られている。この遊技機では、第1の始動口に入賞して貯留された保留記憶(以下、第1の保留記憶とする)は、第1の特別図柄表示装置を作動させ、第2の始動口に入賞して貯留された保留記憶(以下、第2の保留記憶とする)は、第2の特別図柄表示装置を作動させる。そして、第1の特別図柄表示装置又は第2の特別図柄表示装置が表示する図柄に応じて、大当り遊技の提供、確率変動、時短等が行われる。
【0003】
前記の遊技機において、第1の保留記憶は、第2の保留記憶よりも優先して消化される。すなわち、第1の保留記憶と第2の保留記憶とが両方とも存在する場合、たとえ、第2の保留記憶の方が先に貯留されたとしても、第1の保留記憶が先に消化される(特許文献1参照)。
【0004】
また、前記の遊技機では、確率変動により大当りの確率が通常よりも高い高確率状態が設定されてから、第1の特別図柄表示装置又は第2の特別図柄表示装置の作動が所定回数(例えば70回)行われると、高確率状態が終了する。
【0005】
さらに、前記の遊技機では、第1の始動口への入賞に基づき提供される大当り遊技は、第2の始動口への入賞に基づき提供される大当り遊技よりも、ラウンド数や出玉の数等の点で、遊技者にとって有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−268126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の遊技機が高確率状態であるとき、第2の保留記憶として、高確率状態であれば大当り遊技を提供するが、高確率状態でなければ大当り遊技を提供しない保留記憶(以下、仮大当り保留記憶とする)が存在する場合がある。
【0008】
この場合、遊技者は、その仮大当り保留記憶の存在に気付かず、第1の始動口を狙って遊技球の発射を続け、第1の保留記憶の貯留と消化(すなわち第1の特別図柄表示装置の作動)が繰り返されて、第1の特別図柄表示装置の作動回数が所定回数に達し、高確率状態が終了してしまうことがある。その結果、仮大当り保留記憶は、大当り遊技を提供することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、遊技者が遊技の状況を認識できず、不利な状況となってしまうことを防止できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)請求項1の発明は、
遊技領域内に配置され、遊技球が入賞可能な第1の始動口と、遊技領域内に配置され、遊技球が入賞可能な第2の始動口と、前記第1の始動口へ遊技球が入賞したとき、前記入賞に対応する判定値を設定し、その判定値が関連づけられた保留記憶を記憶する第1の保留記憶手段と、前記第2の始動口へ遊技球が入賞したとき、前記入賞に対応する判定値を設定し、その判定値が関連づけられた保留記憶を記憶する第2の保留記憶手段と、前記第1の保留記憶手段に前記保留記憶がある場合は、その保留記憶に関連づけられた前記判定値に基づいて抽選を行い、前記抽選の結果に応じて大当り遊技を提供するとともに、前記判定値に基づいて、通常の遊技状態である遊技状態Aと、遊技者にとって前記遊技状態Aよりも有利な遊技状態である遊技状態Bとのいずれかを設定する第1の保留遊技実行手段と、前記第1の保留記憶手段に前記保留記憶がなく、前記第2の保留記憶手段に前記保留記憶がある場合は、その保留記憶に関連づけられた前記判定値に基づいて抽選を行い、前記抽選の結果に応じて前記大当り遊技を提供するとともに、前記判定値に基づいて、前記遊技状態Aと、前記遊技状態Bとのいずれかを設定する第2の保留遊技実行手段と、前記遊技状態Bが設定されてからの、前記第1の保留遊技実行手段による前記抽選の回数N1、前記第2の保留遊技実行手段による前記抽選の回数N2、及び前記N1と前記N2の和N3のいずれかである抽選回数Nが所定のX回に達した場合、前記遊技状態Aを設定する遊技状態変更手段と、前記遊技状態Bにおいて、前記遊技状態Aでは前記大当り遊技が提供されないが、前記遊技状態Bでは前記大当り遊技が提供される前記判定値と関連づけられた前記保留記憶が前記第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ前記遊技状態Bが設定されてからの前記抽選回数Nが所定のY(Y<X)回に達している場合、所定の第1の報知を行う第1の報知手段と、を備え、前記第1の保留遊技実行手段により提供される大当り遊技は、前記第2の保留遊技実行手段により提供される大当り遊技よりも、遊技者にとって有利であることを特徴とする遊技機を要旨とする。
【0011】
本発明の遊技機は、前記遊技状態Bにおいて、前記遊技状態Aでは前記大当り遊技が提供されないが、前記遊技状態Bでは前記大当り遊技が提供される前記判定値と関連づけられた前記保留記憶(仮大当り保留記憶)が前記第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ抽選回数Nが所定のY回に達した場合、所定の第1の報知を行う。ここで、YはXより小さい数である。
【0012】
遊技者は、その第1の報知に従い、遊技球の発射を中止する等の方法で、遊技球が第1の始動口に入賞しないようにすることができる。そうすることで、第2の保留記憶である仮大当り保留記憶よりも優先して消化される第1の保留記憶が生じなくなる。その結果、仮大当り保留記憶が消化される前に、抽選回数Nが所定のX回に達し、遊技状態Bが終了してしまうことを防止できる。すなわち、高確率状態のままで、仮大当り保留記憶を消化し、大当り遊技を生じさせることができる。
【0013】
また、遊技者は、第1の報知が行われるまでは、遊技球を第1の始動口に入賞させ、第1の保留遊技実行手段による大当り遊技を発生させることができる。この第1の保留遊技実行手段による大当り遊技は、第2の保留遊技実行手段による大当り遊技よりも、遊技者にとって有利である。
【0014】
以上のように、本発明によれば、第1の報知によって、遊技者に遊技の状況を認識させ、遊技が不利な状況となってしまうことを防止できる。
前記抽選回数Nは、遊技状態Bが設定されてからの、第1の保留遊技実行手段による抽選の回数N1であってもよいし、遊技状態Bが設定されてからの、第2の保留遊技実行手段による抽選の回数N2であってもよいし、遊技状態Bが設定されてからの、前記N1と前記N2の和N3(N1+N2)であってもよい。
【0015】
前記遊技者にとって有利とは、例えば、大当り遊技のラウンド数が多い、1ラウンド当りの出玉が多い、電動チューリップが開く時間が長い、確率・確変突入率が高い、ラウンド振り分けにおいてラウンド数が多くなる確率が高い等が挙げられる。
【0016】
前記遊技状態Bの設定は、前記抽選結果が出るごとに行われる。例えば、既に遊技状態Bとなっているときでも、遊技状態Bを設定する抽選結果が出た場合は、その抽選結果に基づき、再度遊技状態Bが設定される。
【0017】
前記報知としては、例えば、表示手段による表示、音声による報知等が挙げられる。
前記遊技状態Bに設定されている状態とは、その時点で遊技状態Bとなっている状態であってもよいし、その時点では未だ遊技状態Bではないが、その後、遊技状態Bとなることが決まっている状態(例えば大当り遊技の提供中であって、その大当たり遊技の終了後、遊技状態Bが始まることになっている状態)のいずれであってもよい。
【0018】
前記第1の保留遊技実行手段及び前記第2の保留遊技実行手段は、例えば、判定値(乱数)が所定の値である場合に大当り遊技を提供し、判定値が前記所定の値でない場合は大当り遊技を提供しない(例えばはずれ遊技を提供する)ものとすることができる。
【0019】
また、前記第1の保留遊技実行手段及び前記第2の保留遊技実行手段は、例えば、判定値が大当り遊技を提供するものである場合は、判定値に基づき、前記遊技状態Aと、前記遊技状態Bとのいずれかを設定し、判定値が大当り遊技を提供するものでない場合は、その判定値によっては、前記遊技状態A、前記遊技状態Bの設定を行わない(そのときの遊技状態(遊技状態A、遊技状態Bのうちの一方の遊技状態)をそのまま維持する)ものとすることができる。
(2)請求項2の発明は、
前記遊技状態Bにおいて、前記遊技状態Aでは前記大当り遊技が提供されないが、前記遊技状態Bでは前記大当り遊技が提供される前記判定値と関連づけられた前記保留記憶が前記第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ前記遊技状態Bが設定されてからの前記抽選回数Nが前記Y回に達していない場合、所定の第2の報知を行う第2の報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の遊技機を要旨とする。
【0020】
本発明の遊技機は、遊技状態Bにおいて、仮大当り保留記憶が第2の保留記憶手段に記憶されており、且つ遊技状態Bが設定されてからの抽選回数NがY回に達していない場合、所定の第2の報知を行う。
【0021】
遊技者は、第2の報知に従い、遊技球を第1の始動口に入賞させ、第1の保留遊技実行手段による大当り遊技を発生させることができる。この第1の保留遊技実行手段による大当り遊技は、第2の保留遊技実行手段による大当り遊技よりも、遊技者にとって有利である。
【0022】
また、遊技状態Bが設定されてからの抽選回数Nが所定のY回に達し、第1の報知が行われると、遊遊技者は、技球の発射を中止したり、遊技球が入射口から遊技領域に入射する速さを調整する等の方法で、遊技球が第1の始動口に入賞しないようにすることができる。そうすることで、第2の保留記憶である仮大当り保留記憶よりも優先して消化される第1の保留記憶が生じなくなる。その結果、仮大当り保留記憶が消化される前に、抽選回数Nが所定のX回に達し、遊技状態Bが終了してしまうことを防止できる。すなわち、高確率状態のままで、仮大当り保留記憶を消化し、大当り遊技を生じさせることができる。
【0023】
以上のように、本発明によれば、第1の報知に加えて、第2の報知を行うことによって、遊技者に遊技の状況を一層よく認識させ、遊技を有利に進めることを可能にする
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】遊技機1の正面図である。
図2】遊技機1が実行する始動入賞処理を表すフローチャートである。
図3】遊技機1が実行する変動開始時処理を表すフローチャートである。
図4】遊技機1が実行する大当り判定処理を表すフローチャートである。
図5】遊技機1が実行する停止図柄作成処理を表すフローチャートである。
図6】遊技機1が実行する表示処理を表すフローチャートである。
図7】遊技機1が奏する効果を表す説明図である。
図8】本発明の範囲外である事例を表す説明図である。
図9】遊技機1が実行する変形例の表示処理を表すフローチャートである。
図10】変形例が奏する効果を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.遊技機1の構成
遊技機1の全体構成を図1に基づいて説明する。遊技機1は、図示しない遊技場に来場した遊技者にパチンコ遊技を提供するものであって、図示しない遊技島に取り付けられる外枠3と、外枠3に開閉可能に取り付けられた内枠5と、内枠5に取り付けられ、遊技者に対面して配置された遊技盤7と、遊技者が遊技行為を行うために遊技盤7上に遊技球8を発射するためのハンドル9と、遊技盤7における遊技行為の結果として提供される賞品、ここでは遊技球8(賞品として払い出される遊技球8を賞品球と言う。)を貯留する上受け皿11と、上受け皿11から排出される遊技球8を受ける下受け皿13を備えている。
【0034】
遊技者に対面する遊技盤7は、遊技者から見える位置に、遊技者に興趣のある図柄を提供する図柄表示装置21と、第1の始動口17と、第2の始動口18とを備える。第1の始動口17は、第2の始動口18の真下に位置する。第1の始動口17の近傍には普通電動役物(電動チューリップ)19が設けられている。普通電動役物19は、後述する高確率状態又は時短のときは開放され易く、第1の始動口17へ遊技球8が入り易い状態となる。
【0035】
また、遊技盤7は、大入賞口25を備え、大入賞口25を開放することにより大入賞口25への入賞を容易にし、その結果として大量の賞品球を提供する機能を有する特別電動役物24と、特別図柄遊技の結果を表示する第1特別図柄表示装置31及び第2特別図柄表示装置32と、遊技球8が通過すると、普通図柄遊技用の普通図柄始動信号を出力する機能を有する普通図柄始動ゲート35と、普通図柄始動ゲート35を遊技球8が通過すると、普通図柄を所定時間変動表示してから、所定の普通図柄を確定表示する(普通図柄遊技の結果を表示する)普通図柄表示装置37と、普通図柄遊技の保留数を表示する普通図柄記憶表示装置39とを備えている。普通図柄表示装置37が当りの普通図柄を確定表示すると、普通電動役物19が開放される。上述した普通図柄記憶表示装置39は、4個のランプを備え、その4個のランプのうち、保留数に対応する数のランプだけが点灯するように構成されている。図柄表示装置21は、第1特別図柄遊技の保留数を表示する第1特別図柄記憶表示装置33及び第2特別図柄遊技の保留数を表示する第2特別図柄記憶表示装置34を備えている。第1特別図柄記憶表示装置33及び第2特別図柄記憶表示装置34は、保留数に対応する数の円形の表示を行うように構成されている。
【0036】
また、遊技盤7には、変動時間短縮機能(以降、時短と称す)が作動中(即ち、時短中)かを表示する時短表示LED42が設置されている。
また、遊技機1は、遊技機1の前記各構成を制御し、後述する処理を実行する主制御基板41及び図柄制御基板43を備えている。
【0037】
2.遊技機1が実行する処理
遊技機1が実行する処理を図2図6に基づいて説明する。
(1)始動入賞処理
遊技機1は、第1の始動口17、又は第2の始動口18に遊技球8が入賞したとき、乱数(判定値)を取得する処理(始動入賞処理)を行う。この始動入賞処理を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
ステップ10では、0〜746のカウンタから1つの乱数を取得する。この乱数は大当り乱数であり、後に、大当りであるか否かの判定に使用される。
ステップ20では、0〜99のカウンタから、1つの乱数を取得する。この乱数は大当り用図柄乱数であり、後に、大当り用停止図柄の設定に使用される。また、この大当り用図柄乱数は、後述する確率変動(高確率状態(遊技状態B)/低確率状態(遊技状態A))、時短、及び大当り遊技におけるラウンド数の設定に用いられる。
【0039】
ステップ30では、0〜1306のカウンタから1つの乱数を取得する。この乱数は特図変動パターン選択用乱数であり、後に、変動表示における変動パターンの設定に使用される。
【0040】
ステップ40では、0〜100のカウンタから1つの乱数を取得する。この乱数は特図大当り変動選択用乱数であり、後に、変動表示における変動パターンの設定に使用される。
【0041】
なお、第1の始動口17、又は第2の始動口18に遊技球8が入賞したとき、後述する変動開始時処理、又は大当り遊技の提供を行っていなければ、前記ステップ10〜40で取得する乱数を用いて、変動開始時処理を行う。ここで、遊技球8が第1の始動口17に入賞した場合は、変動開始時処理において変動表示をするとき、第1特別図柄表示装置31のみを使用し、遊技球8が第2の始動口18に入賞した場合は、第2特別図柄表示装置32のみを使用する。
【0042】
一方、第1の始動口17、又は第2の始動口18に遊技球8が入賞したとき、変動開始時処理、又は大当り遊技の提供が行われていれば、入賞1回当り1個の保留記憶が主制御基板41の図示しないメモリに記憶され、前記ステップ10〜40で取得する乱数は、対応する保留記憶に関連づけて記憶される。なお、第1の始動口17へ遊技球8が入賞したことによる保留記憶(以下、第1の保留記憶とする)と、第2の始動口18へ遊技球8が入賞したことによる保留記憶(以下、第2の保留記憶とする)とは、区別して記憶される。第1の保留記憶、第2の保留記憶は、それぞれ、記憶できる数の上限が4個に設定されている。よって、例えば、既に第1の保留記憶が4個ある場合に、第1の始動口17に遊技球8が入賞しても、その入賞による第1の保留記憶は生じない。
【0043】
(2)変動開始時処理
次に、変動開始時処理を、図3図5のフローチャートに基づいて説明する。変動開始時処理は、保留記憶がある場合は、1個の保留記憶を消化して、1回実行される。保留記憶は、最も先に記憶されたものから消化され、消化された保留記憶は消去される。ただし、保留記憶には、上述したように、第1の保留記憶と第2の保留記憶とがあり、第1の保留記憶が存在する場合は、第2の保留記憶が存在していても、第1の保留記憶が優先して消化される。よって、第2の保留記憶が消化されるのは、第1の保留記憶が存在しない場合のみである。保留記憶を消化して変動開始時処理を実行する場合、その保留記憶に関連づけて記憶された各種乱数(上述した始動入賞処理で取得したもの)が変動開始時処理において使用される。また、保留記憶がない場合は、第1の始動口17、又は第2の始動口18に遊技球8が入賞したときに、変動開始時処理が実行される。
【0044】
変動開始時処理は、先の変動開始時処理が終了してから、開始される。また、先の変動開始時処理の結果、大当り遊技が提供される場合は、その大当り遊技が終了してから開始される。
【0045】
変動開始時処理は、図3に示すように、大当り判定処理(ステップ310)、停止図柄作成処理(ステップ320)、変動パターン選択処理(ステップ330)、及び変動表示処理(ステップ340)から成る。
【0046】
大当り判定処理を図4に基づいて説明する。ステップ410では、遊技機1が高確率状態であるか否かを判断する。高確率状態である場合はステップ420へ進み、高確率状態ではない(すなわち低確率状態である)場合はステップ440に進む。なお、高確率状態とは、大当り乱数が、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39のいずれかであれば大当りとなる状態である。また、低確率状態とは、大当り乱数が、3、7の場合のみ、大当りとなる状態である。
【0047】
ステップ420では、前記ステップ10で取得した大当り乱数(保留記憶を消化して変動開始時処理を行う場合は、その保留記憶に関連づけられた大当り乱数)が、高確率状態での大当り(1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39)のいずれかであるか否かを判断する。その後、ステップ430に進む。
【0048】
一方、ステップ440では、前記ステップ10で取得した大当り乱数が、低確率状態での大当り(3、7)のいずれかであるか否かを判断する。その後、ステップ430に進む。
【0049】
ステップ430では、前記ステップ420又はステップ440で大当りに該当すると判断した場合は大当り判定値を格納し、大当りではないと判定した場合は外れ判定値を格納する。
【0050】
次に、停止図柄作成処理(図3のステップ320)を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ510では、前記ステップ430で、大当り判定値を格納したか、外れ判定値を格納したかを判断する。大当り判定値を格納した場合はステップ520に進み、外れ判定値を格納した場合はステップ530に進む。
【0051】
ステップ520では、前記ステップ20で取得した大当り用図柄乱数(保留記憶を消化して変動開始時処理を行う場合は、その保留記憶に関連づけられた大当り用図柄乱数)に基づき、変動表示処理(図3のステップ340)における大当り用停止図柄と、後述する大当り遊技処理におけるラウンド数と、時短の回数(時短が終了する条件)と、大当り遊技処理において大入賞口25(図1参照)を開放する時間(以下、大入賞口開放秒数とする)を決定する。大当り用停止図柄は、多数の種類があるが、それらは、「確変」と「非確変」との2種類に分けられる。「確変」の大当り用停止図柄が表示されると、高確率状態が設定される。この高確率状態は、「確変」の大当り用停止図柄が表示されてから、第1の始動口17又は第2の始動口18への入賞に基づき実行される変動開始時処理の回数(抽選回数N)が70回に達するまで続く。「確変」の大当り用停止図柄が表示されてから、変動開始時処理の回数が70回に達すると、低確率状態に移行する。
【0052】
また、時短の回数がn回(nは自然数)に決定されると、以降n回の変動開始時処理において、変動表示処理での変動表示時間が短縮される。nとしては、例えば70回が挙げられる。
【0053】
また、大当り用図柄乱数に応じて、大当り遊技におけるラウンド数が設定される。なお、このラウンド数は、第1の始動口17への入賞に基づく大当り遊技(以下、優先大当り遊技とする)の方が、第2の始動口18への入賞に基づく大当り遊技(以下、非優先大当り遊技とする)よりも、多く設定される。
【0054】
例えば、大当り用図柄乱数が、1、50、99の場合、大当り用停止図柄、ラウンド数、時短の回数(時短が終了する条件)、大入賞口開放秒数を、それぞれ表1のように設定する。
【0055】
【表1】
【0056】
ステップ530では、変動表示処理(図3のステップ340)における外れ用停止図柄を設定する。外れ用停止図柄は1種類のみである。
図3に戻り、ステップ330では、前記ステップ30〜40で取得した特図変動パターン選択用乱数、特図大当り変動選択用乱数等に基づき、変動表示処理(図3のステップ340)における変動パターンを設定する。このとき、時短である場合は、時短用の変動パターンを設定する。また、高確率状態である場合は高確率状態用の変動パターンを設定する。また、リーチ判定用乱数がリーチに該当するものである場合は、リーチを含む変動パターンを設定する。その他、停止図柄が大当りか否か、保留記憶の数、大当り用停止図柄が確変であるか否かに応じて、変動パターンを設定することができる。
【0057】
ステップ340では、以下のように、変動表示処理を行う。まず、主制御基板41が、変動開始コマンドを図柄制御基板43に送信する。この変動開始コマンドは、前記ステップ330で設定した変動パターンごとに対応するものである。図柄制御基板43は、変動開始コマンドを受信すると、前記ステップ330で設定した変動パターンにより、図柄表示装置21における図柄の変動表示を開始する。
【0058】
次に、主制御基板41は、前記ステップ520で決定した大当り用停止図柄に対応する大当り用停止図柄コマンド、又は前記ステップ530で決定した外れ用停止図柄に対応する外れ用停止図柄コマンドを図柄制御基板43に送信する。図柄制御基板43は、主制御基板41から受信したコマンド(大当り用停止図柄コマンド又は外れ用停止図柄コマンド)に対応する、大当り用停止図柄又は外れ用停止図柄で変動表示が確定停止するように、変動表示を管理制御する。
【0059】
次に、主制御基板41は、前記ステップ330で設定した変動パターンの終了するタイミングで変動停止コマンドを図柄制御基板43に送信する。図柄制御基板43は、変動停止コマンドを受信すると、先に主制御基板41から受信していた大当り用停止図柄コマンド又は外れ用停止図柄コマンドに対応する、大当り用停止図柄、又は外れ用停止図柄で変動表示を停止させる。
【0060】
また、主制御基板41は、第1の始動口17への入賞、又は第1の保留記憶を消化して変動表示を行う場合は、前記ステップ520で決定した大当り用停止図柄に対応する大当り用停止図柄コマンド、又は前記ステップ530で決定した外れ用停止図柄に対応する外れ用停止図柄コマンドを、第1特別図柄表示装置31に送信する。第1特別図柄表示装置31は、送信されたコマンドに対応する停止図柄を表示する。
【0061】
また、主制御基板41は、第2の始動口18への入賞、又は第2の保留記憶を消化して変動表示を行う場合は、前記ステップ520で決定した大当り用停止図柄に対応する大当り用停止図柄コマンド、又は前記ステップ530で決定した外れ用停止図柄に対応する外れ用停止図柄コマンドを、第2特別図柄表示装置32に送信する。第2特別図柄表示装置32は、送信されたコマンドに対応する停止図柄を表示する。
(3)大当り遊技処理
次に、大当り遊技処理について説明する。大当り遊技処理は、上述した変動開始時処理において大当り用停止図柄が確定表示された場合、変動開始時処理に続いて実行される。
大当り遊技処理は、大入賞口25を開放してから、閉じるまでを1ラウンドとし、複数のラウンドで構成される。ラウンド数は、上述したように、大当り用図柄乱数に基づいて設定される。また、優先大当り遊技におけるラウンド数は、非優先大当り遊技におけるラウンド数よりも多い。
(4)表示処理
次に、表示処理について図6に基づいて説明する。この表示処理は、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0062】
ステップ610では、遊技機1が高確率状態に設定されているか否かを判断する。高確率状態である場合はステップ620に進み、低確率状態である場合は本処理を終了する。なお、高確率状態に設定されているとは、その時点で高確率状態である場合と、その時点では未だ高確率状態ではないが、その後、高確率状態となることが決まっている状態(例えば大当り遊技の提供中であって、その大当たり遊技の終了後、高確率状態が始まることになっている場合)のいずれであってもよい。
【0063】
ステップ620では、第2の保留記憶(非優先の保留記憶)に、仮大当り保留記憶Mが記憶されているか否かを判断する。仮大当り保留記憶Mが記憶されている場合はステップ630に進み、記憶されていない場合は本処理を終了する。
【0064】
ステップ630では、直前に「確変」の大当り用停止図柄が表示されてから(直前の高確率状態の設定から)、変動開始時処理を実行した回数Nを取得する。なお、遊技機1の主制御基板41は、変動開始時処理が1回実行されるたびに1ずつカウントアップし、「確変」の大当り用停止図柄が表示される(高確率状態が設定される)とカウントを0にリセットする変動開始時処理カウント手段として機能する。この変動開始時処理カウント手段からNを取得することができる。
【0065】
ステップ640では、その時点で遊技球8の発射を停止したとして、仮大当り保留記憶Mを消化するまでに、消化する保留記憶(第1の保留記憶及び第2の保留記憶を含む)の数Zを取得する。例えば、第1の保留記憶として、Z1個が記憶されており、第2の保留記憶において、仮大当り保留記憶Mが、Z2番目に消化されるものである場合、Zは、Z1とZ2との和となる。
【0066】
ステップ650では、ZとNとの和が、70に達しているか否かを判断する。ZとNとの和が70に達している場合はステップ660に進み、70に達していない場合はステップ670に進む。
【0067】
ステップ660では、図柄表示装置21に第1の表示を行う。その表示の内容は、表2に示すMS1、MS2、又はその両方である。MS1、MS2は、遊技球8の発射を停止すること(第1の始動口17に入賞させないこと)を勧める表示である。
【0068】
【表2】
【0069】
ステップ670では、図柄表示装置21に第2の表示を行う。その表示の内容は、表2に示すMS3〜MS5のうちのいずれか1つ、又は2以上である。MS3〜MS5は、遊技球8を発射し、第1の始動口17に入賞させることを勧める表示である。
【0070】
3.遊技機1が奏する効果
遊技機1は、高確率状態において、第2の保留記憶として仮大当り保留記憶Mが生じ、且つ直前に高確率状態が設定されてから変動開始時処理を実行した回数Nが所定回数(70−Z)に達すると、遊技球8の発射を停止することを勧める旨の第1の表示を行う。
【0071】
遊技者は、その表示に従い、遊技球8の発射を中止し、遊技球8が第1の始動口17に入賞しないようにすることができる。この場合、第2の保留記憶である仮大当り保留記憶Mよりも優先して消化される第1の保留記憶が生じなくなるので、変動開始時処理が70回行われる前の(高確率状態中の)タイミングにて、仮大当り保留記憶Mが消化され、その仮大当り保留記憶Mに基づく大当り遊技が提供される。このように、遊技機1は、仮大当り保留記憶Mによる大当りを、取りこぼすことなく、発生させることができる。
【0072】
また、遊技機1は、高確率状態において、第2の保留記憶として仮大当り保留記憶Mが生じ、且つ直前に高確率状態が設定されてから変動開始時処理を実行した回数Nが所定回数に達しない間は、遊技球8を発射し、第1の始動口17へ入賞させることを勧める旨の第2の表示を行う。
【0073】
遊技者は、その表示に従い、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、優先大当り遊技を発生させることができる。この優先大当り遊技は、非優先大当り遊技よりも、遊技者にとって有利である。
【0074】
以上のように、本発明によれば、第1の表示及び第2の表示によって、遊技者に遊技の状況を認識させ、遊技が不利な状況となってしまうことを防止できる。
この効果を図7に示す事例に基づき、具体的に説明する。図7(a)に示す事例では、大当り1により、高確率状態1が設定される。このとき、第2の保留記憶として、仮大当り保留記憶Mが存在する。そのため、高確率状態1が設定されたとき、第2の表示が行われる。遊技者は、第2の表示に従い、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、変動開始時処理を繰り返す。そして、50回目の変動開始時処理により、大当り2(優先大当り遊技)が発生し、高確率状態2が設定される。このときも、第2の表示が行われる。遊技者は、第2の表示に従い、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、変動開始時処理を繰り返す。変動開始時処理の回数Nが所定回数に達すると、第2の表示は消され、第1の表示が行われる。遊技者はその第1の表示に従い、遊技球8の発射を中止し、遊技球8が第1の始動口17に入賞しないようにする。すると、変動開始時処理の回数Nが70回のとき(高確率状態2の終了前)に、仮大当り保留記憶Mが消化され、大当り3が発生する。
【0075】
このように、高確率状態2が終了する前に、仮大当り保留記憶Mを消化し、大当り3を発生させることができる。また、変動開始時処理の回数Nが所定回数に達するまでは、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、大当り2(遊技者にとって有利な優先大当り遊技)を発生させることができる。
【0076】
また、図7(b)に示す事例では、大当り1により、高確率状態1が設定される。このとき、第2の保留記憶として、仮大当り保留記憶Mが存在する。そのため、高確率状態1が設定されたとき、第2の表示が行われる。遊技者は、第2の表示に従い、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、変動開始時処理を繰り返す。変動開始時処理の回数Nが所定回数に達すると、第2の表示は消され、第1の表示が行われる。遊技者はその第1の表示に従い、遊技球8の発射を中止し、遊技球8が第1の始動口17に入賞しないようにする。すると、変動開始時処理の回数Nが70回のとき(高確率状態1が終了する前)に、仮大当り保留記憶Mが消化され、大当り2が発生する。
【0077】
このように、高確率状態1が終了する前に、仮大当り保留記憶Mを消化し、大当り2を発生させることができる。また、変動開始時処理の回数Nが所定回数に達するまでは、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、優先大当り遊技の発生を狙うことができる。
【0078】
それに対し、第1の表示及び第2の表示を行わない事例を図8に基づいて説明する。図8(a)に示す事例では、大当り1により、高確率状態1が設定される。このとき、第2の保留記憶として、仮大当り保留記憶Mが存在する。しかし、この事例では、第2の表示は行われない。遊技者は、より有利な優先大当り遊技を発生させることを狙い、遊技球8を第1の始動口17に入賞させ、変動開始時処理を繰り返す。この事例では、第1の表示も行われないので、仮大当り保留記憶を消化することなく、変動開始時処理の回数Nが70回に達して高確率状態1が終了し、低確率状態に移行する。従って、仮大当り保留記憶Mが消化されるのは、低確率状態に移行してからとなり、大当りを取りこぼしてしまう。
【0079】
また、図8(b)に示す事例では、大当り1により、高確率状態1が設定される。このとき、第2の保留記憶として、仮大当り保留記憶Mが存在する。しかし、この事例では、第2の表示は行われないので、遊技者は、仮大当り保留記憶Mの存在に気づかず、遊技球の発射を止めてしまう。すると、第1の保留記憶が貯留されないので、第2の保留記憶が早期に消化され、高確率状態1が設定されてから4回目の変動開始時処理で仮大当り保留記憶Mが消化され、大当り2が発生する。従って、優先大当り遊技の発生を狙うことができない。
【0080】
4.変形例
(1)変形例の大当り乱数判定処理
表示処理は、図6に示すものの代わりに、図9に示すものであってもよい。この表示処理は、保留記憶が貯留されるたびに実行される。なお、変形例の遊技機1は、表示処理以外は、上述した遊技機1と同様である。
【0081】
ステップ710では、遊技球8の入賞により、第2の保留記憶(非優先の保留記憶)が貯留されるか否かを判断する。第2の保留記憶が貯留される場合はステップ720に進み、第2の保留記憶が貯留されない場合は本処理を終了する。
【0082】
ステップ720では、遊技機1が高確率状態であるか否かを判断する。高確率状態ではない場合はステップ730に進み、高確率状態である場合は本処理を終了する。
ステップ730では、遊技機1が時短であるか否かを判断する。時短ではない場合はステップ740に進み、時短である場合は、本処理を終了する。
【0083】
ステップ740では、遊技機1が大当り遊技中であるか否かを判断する。大当り遊技中でない場合はステップ750に進み、大当り遊技中である場合は本処理を終了する。
ステップ750では、後述する満タン表示が既になされているか否かを判断する。満タン表示が未だなされていない場合はステップ760に進み、満タン表示が既になされている場合はステップ790に進む。
【0084】
ステップ760では、新たに貯留する保留記憶が、大当りの保留記憶であるか否か(すなわち、前記ステップ10で取得した大当り乱数が、低確率状態でも大当りとなる値(3、7)であるか否か)を判断する。YESの場合はステップ770に進み、NOの場合は本処理を終了する。
【0085】
ステップ770では、新たに貯留する保留記憶が、確変大当りの保留記憶(大当り用図柄乱数が確率変動を生じさせるものである大当りの保留記憶)であるか否かを判断する。確変大当りの保留記憶である場合はステップ780に進む。一方、通常大当りの保留記憶(大当り用図柄乱数が確率変動を生じさせないものである大当りの保留記憶)である場合は本処理を終了する。
【0086】
ステップ780では、第2の保留記憶の貯留数が上限に達するように、遊技球8の発射を促す表示(満タン表示)を図柄表示装置21に行う。この表示は、確変大当りの保留記憶を消化して行う、変動表示が終了するまで(大当り遊技が開始される直前まで)行われる。
【0087】
前記ステップ750で、満タン表示が既になされていると判断された場合はステップ790に進み、新たに貯留する保留記憶が、高確率状態で大当りとなる判定値(高確率用大当り判定値)、すなわち、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39のいずれかを有するものであるか否かを判断する。高確率用大当り判定値を有するものである場合はステップ800に進み、高確率用大当り判定値を有さないものである場合は本処理を終了する。
【0088】
ステップ800では、新たに貯留する保留記憶が、低確率状態でも大当りとなる判定値、すなわち、3、7のいずれかを有するものであるか否かを判断する。3、7のいずれをも有さない場合は(すなわち、新たに貯留する保留記憶が仮大当り保留記憶である場合は)ステップ810へ進み、3、7のうちのいずれかを有する場合は本処理を終了する。
【0089】
ステップ810では、図柄表示装置21にアシスト表示を開始する。その表示内容は、「連チャンのチャンス有り、確変60回転位で発射を止めてね。」というものである。すなわち、このアシスト表示は、これから高確率状態が設定され、第2の保留記憶として、仮大当り保留記憶が存在することを遊技者に知らせるものである。また、このアシスト表示は、高確率状態が設定されてから、変動開始時処理の回数が60回に達するまでは、第1の始動口17への入賞を狙って遊技球8を発射し、変動開始時処理の回数が60回に達したときは、遊技球8の発射を止めることを遊技者に勧めるものである。このアシスト表示は、満タン表示後に貯留された仮大当り保留記憶が消化されるまで継続する。なお、アシスト表示は、第2の保留記憶の貯留数が上限に達してから行うようにしてもよい。
(2)変形例の遊技機1が奏する効果
この変形例では、低確率状態において確変大当りの保留記憶を先読みで検出したとき(前記ステップ770でYESと判断されたとき)、第2の保留記憶の貯留数が上限に達することを促す満タン表示を行う(前記ステップ780)。その後、満タン表示に応じて遊技者が遊技球8を発射し、第2の保留記憶において、確変大当りの保留記憶の後に、仮大当り保留記憶が存在する場合(前記ステップ790でYESと判断され、前記ステップ800でNOと判断された場合)には、上述したアシスト表示を行う(前記ステップ810)。
【0090】
前記の処理を図10に基づき、更に具体的に説明する。図10において、△は大当りではない保留記憶(外れの保留記憶)、◎は確変大当りの保留記憶、□は仮大当り保留記憶を表し、×は保留記憶がない状態を表す。また、△、◎、□内の番号は、第2の保留記憶の中で、保留記憶が記憶された順番である。図10の「保留の推移」の欄において、第1の保留記憶は上段に、第2の保留記憶は下段に記載されている。
【0091】
低確率状態において、第2の保留記憶として、番号2の確変大当りの保留記憶が生じると、第2の保留記憶の貯留数が上限に達することを促す満タン表示を行う。その後、満タン表示に応じて遊技者が遊技球8を発射し、第2の保留記憶が、番号3〜5の外れの保留記憶、及び番号6の仮大当り保留記憶で満タンになる。
【0092】
このとき、第2の保留記憶に、番号6の仮大当り保留記憶が存在するため、上述したアシスト表示が行われる。なお、アシスト表示が行われるのは、番号2の確変大当りの保留記憶を消化して行われる変動時開始処理のうち、変動表示処理(図3参照)が終了するまでの期間(大当り遊技が開始される前の先読み演出期間であって、大当り用リーチ表示の変動が終了するまでの期間)である。
【0093】
遊技者は、そのアシスト表示に従い、高確率状態が設定されてから、変動開始時処理の回数が60回に達するまでは、第1の始動口17への入賞を狙って遊技球8を発射し、優先大当り遊技の発生を狙うことができる。
【0094】
また、遊技者は、前記のアシスト表示に従い、高確率状態が設定されてからの変動開始時処理の回数が60回に達したときは、遊技球8の発射を中止し、遊技球8が第1の始動口17に入賞しないようにすることができる。こうすることで、第2の保留記憶である仮大当り保留記憶よりも優先して消化される第1の保留記憶が生じなくなる。その結果、仮大当り保留記憶が消化される前に、変動開始時処理の回数が70回を超えてしまうこと(高確率状態が終了してしまうこと)を防止できる。すなわち、高確率状態のままで、仮大当り保留記憶を消化し、大当り遊技を生じさせることができる。
【0095】
以上のように、本変形例によれば、アシスト表示によって、遊技者に遊技の状況を認識させ、遊技が不利な状況となってしまうことを防止できる。
この変形例では、主制御基板41から各種表示を行わせるコマンドを送信するタイミングは、大当り遊技中、高確率状態、時短のいずれでもないときとすることができる。そのため、大当り遊技中、高確率状態、時短のときに、主制御基板41からコマンドを送信することを禁止する規則に対応することができる。
【0096】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記変形例において、高確率状態ではなく、時短ではなく、大当り遊技中ではなく、未だ満タン表示をしていない状態において、第1の保留記憶(優先の保留記憶)に確変大当りの保留記憶を検出した場合にも、満タン表示を行うようにしてもよい。
【0097】
また、大当りが発生した場合、大当り用停止図柄によらず、必ず高確率状態となるようにしてもよい。
また、遊技機1において、第1の始動口17と第2の始動口18とは、左右方向における位置が異なるように配置されていてもよい。例えば、遊技盤7における右寄りの位置に第1の始動口17を備え、遊技盤7における中央に第2の始動口18を備えていてもよい。
【0098】
また、図柄表示装置は、第1の画面と第2の画面とを持つものであってもよい。第1の画面には、第1の保留記憶を消化して生じる図柄の変動表示、図柄の停止表示、アシスト表示を行うことができる。また、第2の画面には、第2の保留記憶を消化して生じる図柄の変動表示、図柄の停止表示、アシスト表示を行うことができる。第2の画面における図柄の変動表示は、第1の保留記憶が存在しているときに開始されてもよい。この場合、図柄の変動表示が停止して図柄が確定する(大当りの場合は大当り遊技を提供する)タイミングは、第1の保留記憶がなくなってからとすることができる。
【0099】
また、遊技機1は、大当り遊技の提供中のみに、アシスト表示を行うものであってもよい。
また、遊技機1は、第2の始動口18を開閉する普通電動役物(開閉手段)を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1・・・遊技機、3・・・外枠、5・・・内枠、7・・・遊技盤、8・・・遊技球、
9・・・ハンドル、11・・・上受け皿、13・・・下受け皿、
17・・・第1の始動口、18・・・第2の始動口、19・・・普通電動役物、
21・・・図柄表示装置、23・・・発射レール、24・・・特別電動役物、
25・・・大入賞口、26・・・入射口、31・・・第1特別図柄表示装置、
32・・・第2特別図柄表示装置、33・・・第1特別図柄記憶表示装置、
34・・・第2特別図柄記憶表示装置、35・・・普通図柄始動ゲート、
37・・・普通図柄表示装置、39・・・普通図柄記憶表示装置、
41・・・主制御基板、42・・・時短表示LED、43・・・図柄制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10