(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図1乃至
図22を用いて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態による半導体装置の構造を示す平面図である。
図2及び
図3は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
図4は、フラットSTIプロセスを用いて製造した半導体装置の構造の一例を示す概略断面図である。
図5乃至
図22は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0011】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0012】
シリコン基板10の主表面には、素子領域を画定する素子分離絶縁膜20が形成されている。また、シリコン基板10内には、Pウェル28と、Pウェル28を囲むように設けられたNウェル32及びN型埋め込み層34が形成されている。
【0013】
素子分離絶縁膜20により画定された素子領域上には、トンネルゲート絶縁膜36を介してフローティングゲート50が形成されている。フローティングゲート50上には、ONO膜42を介してコントロールゲート48が形成されている。コントロールゲート48の両側のシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層56,66が形成されている。こうして、素子領域上には、フローティングゲート50とコントロールゲート48とが積層されたスタック構造のゲート電極を有するメモリセルトランジスタが形成されている。
【0014】
シリコン基板10上には、このようなメモリセルトランジスタが、複数、マトリクス状に配置されている。X方向に隣接するメモリセルトランジスタのコントロールゲート48は、互いに接続されており、ワード線WLを形成している。ワード線WL間の素子領域は、交互にメモリセルトランジスタのソース領域とドレイン領域を形成している。X方向に隣接するメモリセルトランジスタのソース領域は、X方向に延在するN型不純物層56(ソース線)によって互いに接続されている。
【0015】
メモリセルトランジスタが形成されたシリコン基板上には、層間絶縁膜72が形成されている。層間絶縁膜72には、メモリセルトランジスタのドレイン領域(N型不純物層64)に達するコンタクトホール74が形成されている。コンタクトホール74内には、コンタクトプラグ76が埋め込まれている。コンタクトプラグ90が埋め込まれた層間絶縁膜80上には、Y方向に延在し、コンタクトプラグ90を介してメモリセルトランジスタのドレイン領域に接続されたビット線78が形成されている。これにより、Y方向に隣接するメモリセルトランジスタのドレイン領域は、ビット線78によって互いに接続されている。
【0016】
ここで、本実施形態による半導体装置では、フローティングゲート50が、
図3に示すように、2層の導電膜(シリコン膜24,38)によって形成されている。シリコン膜38は、フローティングゲート50の形成領域の全体に形成されており、シリコン膜24は、フローティングゲート50の形成領域のX方向の両端部にそれぞれ形成されている。フローティングゲート50のX方向の両端部では、シリコン膜38がシリコン膜24上に乗り上げるように形成されている。これにより、ONO膜42に接するフローティングゲート50の表面積が増し、ONO膜42を介して形成されるフローティングゲート50とコントロールゲート48との間のキャパシタの容量を増加することができる。
【0017】
フラットSTIプロセスを用いた半導体装置では、例えば
図4に示すように、フローティングゲート50は1層の導電膜によって形成される。この場合において、フローティングゲート50の膜厚を100nm、フローティングゲート50のX方向の幅を150nm、コントロールゲート48のY方向の幅を250nmと仮定すると、ONO膜42に接するフローティングゲート50の表面積は、87500nm
2となる。
【0018】
なお、フラットSTIプロセスとは、素子分離絶縁膜を形成後、素子分離絶縁膜の表面をエッチングしておくことにより、フローティングゲート形成面の活性領域と素子分離領域との間の段差を低減するプロセスである。
【0019】
これに対し、
図3に示す本実施形態の半導体装置では、上記パラメータに加え、シリコン膜24の膜厚を100nm、シリコン膜38の表面段差を100nmと仮定すると、ONO膜42に接するフローティングゲート50の表面積は、187500nm
2となる。
【0020】
フローティングゲート50とコントロールゲート48との間のキャパシタの容量は、ONO膜42に接するフローティングゲート50の表面積に比例する。したがって、
図3に示す本実施形態の半導体装置では、
図4に示す半導体装置と比較して、キャパシタの容量をおよそ2.1倍に増加することができる。
【0021】
ここで、スタック構造のゲート電極の特性を評価する一つのパラメータとして、カップリング比がある。カップリング比は、フローティングゲート50とシリコン基板10との間のキャパシタ容量をCTNOX、フローティングゲート50とコントロールゲート48との間のキャパシタ容量をCONOとして、CONO/(CTNOX+CONO)で定義される。カップリング比は、メモリセルトランジスタの書き込み/消去動作に大きく影響する。すなわち、カップリング比が小さいと、ファウラー・ノルドハイム・トンネル現象によってトンネルゲート絶縁膜36に電流を流してデータの書き込みや消去を行う際に、大きな動作電圧が必要となる。カップリング比の低下を回路設計で補うことも考えられるが、電源電圧から動作電圧まで昇圧するための昇圧回路の素子面積が増大し、チップコストの上昇、更には、昇厚時間がかかることから処理速度の低下をも引き起こすことになる。半導体装置の微細化や低電圧化が進むと、カップリング比を大きくする必要性は更に高くなる。
【0022】
本実施形態による半導体装置によれば、フローティングゲート50とコントロールゲート48との間のキャパシタ容量を増加することができ、ひいてはカップリング比を増大することができる。これにより、より低い動作電圧での書き込み・消去動作を行うことが可能となる。
【0023】
また、本実施形態による半導体装置では、
図3に示すように、フローティングゲート50を形成する下層のシリコン膜24の側面が、シリコン膜38側に近づくほど外側に張り出した逆テーパ形状を有している。これは、シリコン膜24,38をY方向に分離してフローティングゲート50を形成する際に生じることのあるエッチング残渣の影響を防止するためである。
【0024】
フローティングゲート50をY方向に分離するエッチングの際、素子分離絶縁膜20上に乗り上げている部分のフローティングゲート50の形状に起因して、Y方向に延在するストリンガー状のエッチング残渣が生じることがある。このようなエッチング残渣が発生すると、Y方向に隣接するフローティングゲート50間がエッチング残渣によって互いに接続されてしまい、動作不良を引き起こすことがある。シリコン膜24の側面を逆テーパ形状とすることにより、Y方向に延在するストリンガー状のエッチング残渣が発生するのを防止することができる(後述の製造方法を参照)。
【0025】
上述のフラットSTIプロセスは、ストリンガー残渣対策として有効なプロセスではあるが、カップリング比の低下が顕著である。
【0026】
これに対し、本実施形態の半導体装置によれば、ストリンガー残渣の発生と、カップリング比の増加との双方を、同時に実現することができる。これにより、動作電圧の低下及び昇圧時間の短縮、製造コストの低減が可能となり、半導体装置の高集積化、微細化が可能となる。また、ストリンガー残渣を低減できることにより、半導体装置の歩留まりや信頼性を向上することができる。
【0027】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について
図5乃至
図22を用いて説明する。なお、
図5乃至
図15において、各図(a)はメモリセル領域の工程断面図を示し、各図(b)は周辺回路領域の工程断面図を示している。
図16乃至
図22は、メモリセル領域の工程断面図を示している。
【0028】
まず、シリコン基板10上に、例えば熱酸化法により、例えば膜厚50nm程度のシリコン酸化膜12を形成する。
【0029】
次いで、シリコン酸化膜12上に、例えばCVD法により、例えば膜厚250nm程度のシリコン窒化膜14を形成する。
【0030】
次いで、シリコン窒化膜14上に、素子分離領域を露出し、素子領域を覆うフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0031】
次いで、このフォトレジスト膜をマスクとしてシリコン窒化膜14、シリコン酸化膜12及びシリコン基板10をエッチングし、シリコン基板10の素子分離領域に、深さが例えば600nmのトレンチ16を形成する。
【0032】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する(
図5(a)、(b))。
【0033】
次いで、例えば熱酸化法により、トレンチ16の内壁にシリコン酸化膜のライナー膜(図示せず)を形成する。
【0034】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚800nmのシリコン酸化膜18を堆積し、トレンチ16内をシリコン酸化膜18によって埋め込む(
図6(a)、(b))。
【0035】
次いで、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、シリコン窒化膜14が露出するまでシリコン酸化膜18を研磨し、シリコン窒化膜14上の余分なシリコン酸化膜18を除去する。こうして、トレンチ16内に埋め込まれたシリコン酸化膜18により、素子分離絶縁膜(STI)20を形成する(
図7(a)、(b))。
【0036】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域を露出し周辺回路領域を覆うフォトレジスト膜22を形成する。
【0037】
次いで、フォトレジスト膜22及びシリコン窒化膜14をマスクとして、例えばフッ酸系の水溶液を用いたウェットエッチングを行い、素子分離絶縁膜20の表面部をエッチングする。これにより、メモリセル領域内の素子領域と素子分離領域との間の段差を低減する(
図8(a)、(b))。この工程は、通常のフラットSTIプロセスと同様である。
【0038】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜22を除去する。
【0039】
次いで、全面に、例えばCVD法により、膜厚が例えば100nm、リン濃度が例えば1×10
23cm
−3のシリコン膜24を堆積する(
図9(a)、(b))。シリコン膜24は、ポリシリコン膜でもよいしアモルファスシリコン膜でもよい。
【0040】
なお、シリコン膜24の不純物濃度は、後工程で形成するシリコン膜38の不純物濃度よりも高く、より好ましくは1桁以上高くすることが望ましい。これは、シリコン膜24,38をエッチングする際に、シリコン膜24のエッチングレートをシリコン膜38のエッチングレートよりも高くするためである。
【0041】
次いで、CMP法により、シリコン窒化膜14が露出するまでシリコン膜24を研磨し、シリコン窒化膜14上の余分なシリコン膜24を除去する。この際、周辺回路領域の素子分離絶縁膜20はシリコン窒化膜14とほぼ同じ高さを有しているため、周辺回路領域のシリコン膜24は総て除去される。一方、メモリセル領域の素子分離絶縁膜20の表面はシリコン窒化膜14の表面よりも窪んでいるため、メモリセル領域の素子分離絶縁膜20上のシリコン膜24は除去されずに残る。これにより、メモリセル領域の素子分離絶縁膜20上に、選択的にシリコン膜24を残存させることができる(
図10(a)、(b))。
【0042】
次いで、例えばウェットエッチングにより、シリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜12を除去する。
【0043】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚20nmのシリコン酸化膜を形成する。これにより、素子領域上に、シリコン酸化膜の犠牲酸化膜26を形成する(
図11(a)、(b))。
【0044】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、メモリセル領域及び周辺回路領域の高電圧トランジスタ形成領域に、所定のウェルを形成する。
【0045】
例えば、まず、メモリセル領域及びN型高電圧トランジスタ形成領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、例えば、ボロンイオン(B
+)を、加速エネルギー450keV、ドーズ量1×10
13cm
−2の条件でイオン注入する(TPW)。また、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー10keV、ドーズ量4×10
12cm
−2の条件でイオン注入する(NVT1)。また、例えば、リンイオン(P+)を、加速エネルギー2MeV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する(BNW)。
【0046】
次いで、P型高電圧トランジスタ形成領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、例えば、リンイオンを、加速エネルギー600keV、ドーズ量4×10
12cm
−2の条件でイオン注入する(NW1)。また、例えば、リンイオンを、加速エネルギー50keV、ドーズ量4×10
12cm
−2の条件でイオン注入する(PVT)。
【0047】
次いで、メモリセル領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー50keV、ドーズ量6×10
13cm
−2の条件でイオン注入する(CVT)。
【0048】
次いで、N型高電圧トランジスタ形成領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー10keV、ドーズ量2×10
12cm
−2の条件でイオン注入する(NVT2)。
【0049】
次いで、例えば窒素雰囲気中で熱処理を行い、注入した不純物を活性化する。これにより、メモリセル領域に、TPW、NTV1、CVTイオン注入の不純物により、閾値電圧制御用のチャネル不純物層を含むPウェル28を形成する。また、N型高電圧トランジスタ形成領域に、TPW、NTV1、NVT2イオン注入の不純物により、閾値電圧制御用のチャネル不純物層を含むPウェル30を形成する。また、P型高電圧トランジスタ形成領域に、NW1、PVTイオン注入の不純物により、閾値電圧制御用のチャネル不純物層を含むNウェル32を形成する。また、Pウェル28,30の下部に、BNWイオン注入の不純物により、埋め込みN型層34を形成する。Pウェル28,30は、Nウェル32及び埋め込みN型層34により囲まれた二重ウェルとし、シリコン基板10の他の領域から分離する(
図12(a)、(b))。
【0050】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、犠牲酸化膜26を除去する。
【0051】
次いで、例えば酸化雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10の表面を熱酸化し、素子領域に、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜を成長し、シリコン酸化膜のゲート絶縁膜36を形成する。
【0052】
次いで、全面に、例えばCVD法により、膜厚が例えば100nm、リン濃度が例えば1×10
22cm
−3のシリコン膜38を堆積する(
図13(a)、(b))。シリコン膜38は、ポリシリコン膜でもよいしアモルファスシリコン膜でもよい。
【0053】
次いで、フォトリソグラフィにより、周辺回路領域のシリコン膜38を除去し、メモリセル領域のシリコン膜24,38をY方向に延在するストライプ状にパターニングするためのフォトレジスト膜40を形成する(
図14(a)、(b))、
図21(a))。
【0054】
次いで、フォトレジスト膜40をマスクとしてシリコン膜38,24を順次エッチングし、周辺回路領域のシリコン膜38を除去するとともに、メモリセル領域のシリコン膜24,38をY方向に延在するストライプ状にパターニングする(
図21(b)、
図22(a))。
【0055】
このとき、シリコン膜24に含まれる不純物濃度はシリコン膜38に含まれる不純物濃度よりも1桁程度高いため、シリコン膜24のエッチングレートはシリコン膜38のエッチングレートよりも大きくなる。このため、シリコン膜38のエッチング面が垂直になるようにエッチング条件を設定すると、シリコン膜24は垂直形状よりも過剰にエッチングされ、エッチング面が逆テーパ形状となる。
【0056】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜40を除去する(
図15(a)、(b)、
図22(b))。
【0057】
なお、Y方向に延在するストライプ状のシリコン膜24,38は、後工程でX方向に分割してフローティングゲート50となるが、本明細書では説明の便宜上、Y方向に延在するストライプ状のシリコン膜24,38をフローティングゲートと呼ぶこともある。
【0058】
次いで、全面に、例えばCVD法により膜厚10nmのシリコン酸化膜を、例えばCVD法により膜厚10nmのシリコン窒化膜を、例えば熱酸化法により膜厚10nmのシリコン酸化膜を、順次形成する。これにより、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜構造のONO膜42を形成する。
【0059】
次いで、メモリセル領域を覆い、周辺回路領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、周辺回路領域のONO膜42及びトンネルゲート絶縁膜36を、エッチングにより選択的に除去する。
【0060】
次いで、周辺回路領域に、所定のウェル(図示せず)及びゲート絶縁膜(図示せず)を形成する。なお、周辺回路トランジスタの以降の製造プロセスは通常の製造プロセスと同様のため、ここでは説明を省略する。
【0061】
次いで、全面に、例えばCVD法により、膜厚が例えば200nm、リン濃度が例えば5×10
20cm
−3のシリコン膜44を堆積する。シリコン膜44は、ポリシリコン膜でもよいしアモルファスシリコン膜でもよい。
【0062】
次いで、シリコン膜44上に、例えばCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン窒化膜46を形成する(
図16)。
【0063】
次いで、フォトリソグラフィにより、シリコン窒化膜46上に、周辺回路領域を覆い、メモリセル領域にコントロールゲートのパターンを有するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0064】
次いで、このフォトレジスト膜をマスクとして、メモリセル領域のシリコン窒化膜46、シリコン膜44をエッチングする。これにより、メモリセル領域に、上面がシリコン窒化膜46で覆われたシリコン膜44よりなるコントロールゲート48を形成する。コントロールゲート48のゲート長は、例えば0.25μmとする。
【0065】
次いで、フォトレジスト膜をマスクとして、ONO膜42及びシリコン膜38,24を更にエッチングし、シリコン膜38,24をY方向に分割する。これにより、コントロールゲート48下に、シリコン膜38,24よりなるフローティングゲート50を形成する。
【0066】
この際、シリコン膜24の側面は逆テーパ形状となっているため、シリコン膜24の側面に形成されたONO膜42の陰になってシリコン膜24のエッチングができなくなるような不具合は生じない。また、
図8に示す工程において素子分離絶縁膜20の表面部をエッチングし、素子領域と素子分離領域との間の段差を低減している。これにより、Y方向に延在するストリンガー状のエッチング残渣が生じることを防止することができる。
【0067】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0068】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、メモリセルトランジスタのソース領域にP型不純物層52を形成し、メモリセルトランジスタのソース領域にN型不純物層54を形成する(
図17)。P型不純物拡散層52は、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー50keV、ドーズ量1×10
14cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。また、N型不純物拡散層54は、例えば、砒素イオン(As
+)を、加速エネルギー50keV、ドーズ量5×10
14cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0069】
次いで、例えば酸化雰囲気中でアニールを行い、メモリセル領域の素子領域上、コントロールゲート48及びフローティングゲート50の側壁部分に、例えば膜厚1nmのシリコン酸化膜(図示せず)を形成する。
【0070】
次いで、フォトリソグラフィにより、周辺回路領域を覆い、メモリセル領域のコントロールゲート48間の領域を交互に露出、すなわち、メモリセルトランジスタのソースを連結するソース線となる領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0071】
次いで、このフォトレジスト膜及びコントロールゲート48をマスクとして、ソース線形成領域の素子分離絶縁膜20をエッチングする。
【0072】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0073】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、ソース線形成領域に、ソース線となるN型不純物層56を形成する。N型不純物層は、例えば、砒素イオン(As
+)を、加速エネルギー50keV、ドーズ量1×10
16cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0074】
次いで、例えば酸化雰囲気中でアニールを行い、メモリセル領域の素子領域上、コントロールゲート48及びフローティングゲート50の側壁部分に、例えば膜厚1nmのシリコン酸化膜58を形成する。
【0075】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜(図示せず)を成長する。
【0076】
次いで、このシリコン窒化膜及びシリコン窒化膜46をエッチバックし、コントロールゲート48及びフローティングゲート50の側壁部分に、シリコン窒化膜のサイドウォールスペーサ60を形成する(
図18)。
【0077】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン酸化膜(図示せず)を成長する。
【0078】
次いで、このシリコン酸化膜をエッチバックし、サイドウォールスペーサ60の側壁部分に、シリコン酸化膜のサイドウォールスペーサ62を形成する。
【0079】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、コントロールゲート48及びサイドウォールスペーサ60,62をマスクとしてイオン注入を行い、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層64を形成する(
図19)。N型不純物層64は、例えば、リンイオンを、加速エネルギー15keV、ドーズ量2×10
15cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0080】
次いで、サリサイドプロセスにより、コントロールゲート48上及びN型不純物層64上に、金属シリサイド膜66を形成する。
【0081】
こうして、シリコン基板10のメモリセル領域に、メモリセルトランジスタを形成する。
【0082】
次いで、メモリセルトランジスタが形成されたシリコン基板10上に、例えばCVD法により、例えば膜厚1nmのシリコン窒化膜68と、例えば膜厚2000nmのBPSG膜70とを堆積し、層間絶縁膜72を形成する。
【0083】
次いで、層間絶縁膜72に、メモリセルトランジスタのドレイン領域を露出するコンタクトホール74を形成する。
【0084】
次いで、所定の配線プロセスを行い、コンタクトホール74内に埋め込まれたコンタクトプラグ76、コンタクトプラグ76を介してメモリセルトランジスタに接続されたビット線78等を形成し、本実施形態による半導体装置を完成する(
図20)。
【0085】
このように、本実施形態によれば、フローティングゲートの端部を2層構造として表面積を増加するので、フローティングゲートとコントロールゲートとの間に形成されるキャパシタの容量を増加してカップリング比を増加することができる。これにより、動作電圧を低電圧化及び昇圧時間の短縮化が可能となり、半導体装置の高集積化・微細化が容易となる。
【0086】
また、フローティングゲートの側壁下部を逆テーパ形状にするので、スタックゲート構造を形成する際のストリンガー残渣の発生を抑制することができる。これにより、半導体装置の歩留まりや信頼性を向上することができる。
【0087】
また、素子分離絶縁膜20の形成の際に用いたマスク膜を利用して素子分離領域に選択的にシリコン膜24を残存するので、製造プロセスの大幅な変更を行うことなく、端部が2層構造のフローティングゲート50を形成することができる。これにより、大幅な製造コストの増大なしに、カップリング比の大きなメモリセルトランジスタを形成することができる。
【0088】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置の製造方法について
図23乃至
図27を用いて説明する。
図1乃至
図22に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
【0089】
図23乃至
図27は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0090】
本実施形態では、
図1に示す第1実施形態による半導体装置の他の製造方法を説明する。
【0091】
まず、
図5乃至
図9に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、素子分離絶縁膜20、シリコン膜24等を形成する(
図23)。
【0092】
次いで、ドライエッチングにより、シリコン窒化膜14の表面が露出するまでシリコン膜24をエッチバックし、シリコン膜24をシリコン窒化膜14の側壁部分に選択的に残存させる(
図24)。
【0093】
なお、周辺回路領域に形成された素子分離絶縁膜20及びシリコン窒化膜14の表面高さはほぼ等しいため(
図9(b)参照)、周辺回路領域に形成されたシリコン膜24は、このエッチバック工程において除去される。
【0094】
次いで、例えばウェットエッチングにより、シリコン窒化膜14及びシリコン酸化膜12を除去する。
【0095】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚20nmのシリコン酸化膜を形成する。これにより、素子領域上に、シリコン酸化膜の犠牲酸化膜26を形成する(
図25)。
【0096】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、メモリセル領域及び周辺回路領域の高電圧トランジスタ形成領域に、所定のウェルを形成する。
【0097】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、犠牲酸化膜26を除去する。
【0098】
次いで、例えば酸化雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10の表面を熱酸化し、素子領域に、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜を成長し、シリコン酸化膜のトンネルゲート絶縁膜36を形成する。
【0099】
次いで、全面に、例えばCVD法により、膜厚が例えば100nm、リン濃度が例えば1×10
22cm
−3のシリコン膜38を堆積する。
【0100】
次いで、フォトリソグラフィにより、周辺回路領域のシリコン膜38を除去し、メモリセル領域のシリコン膜24,38をY方向に延在するストライプ状にパターニングするためのフォトレジスト膜40を形成する(
図26)。
【0101】
次いで、フォトレジスト膜40をマスクとしてシリコン膜38,24をエッチングし、周辺回路領域のシリコン膜38を除去するとともに、メモリセル領域のシリコン膜24,38をY方向に延在するストライプ状にパターニングする。
【0102】
このとき、シリコン膜24に含まれる不純物濃度はシリコン膜38に含まれる不純物濃度よりも1桁程度高いため、シリコン膜24のエッチングレートはシリコン膜38のエッチングレートよりも大きくなる。このため、シリコン膜38のエッチング面が垂直になるようにエッチング条件を設定すると、シリコン膜24は垂直形状よりも過剰にエッチングされ、エッチング面が逆テーパ形状となる(
図22(a)参照)。
【0103】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜40を除去する(
図27)。
【0104】
この後、例えば
図16乃至
図20に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体装置を完成する。
【0105】
このように、本実施形態によれば、フローティングゲートの端部を2層構造として表面積を増加するので、フローティングゲートとコントロールゲートとの間に形成されるキャパシタの容量を増加してカップリング比を増加することができる。これにより、動作電圧を低電圧化及び昇圧時間の短縮化が可能となり、半導体装置の高集積化・微細化が容易となる。
【0106】
また、フローティングゲートの側壁下部を逆テーパ形状にするので、スタックゲート構造を形成する際のストリンガー残渣の発生を抑制することができる。これにより、半導体装置の歩留まりや信頼性を向上することができる。
【0107】
また、素子分離絶縁膜20の形成の際に用いたマスク膜を利用して素子分離領域に選択的にシリコン膜24を残存するので、製造プロセスの大幅な変更を行うことなく、端部が2層構造のフローティングゲート50を形成することができる。これにより、大幅な製造コストの増大なしに、カップリング比の大きなメモリセルトランジスタを形成することができる。
【0108】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0109】
例えば、上記実施形態では、シリコン膜24の側壁を逆テーパ形状としたが、シリコン膜24の側壁は必ずしも逆テーパ形状にする必要はない。上記実施形態の一つの目的は、フローティングゲート50とコントロールゲート48との間に形成されるキャパシタの容量を増加することにある。この目的は、シリコン膜24の側壁を逆テーパ形状にすることとは独立して、フローティングゲート50をシリコン膜24,38により形成することによって達成することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、シリコン膜24の堆積前に素子分離絶縁膜20の表面をエッチングし、素子領域と素子分離領域との間の段差を低減している。したがって、シリコン膜24の側壁を必ずしも逆テーパ形状としなくても、通常のフラットSTIプロセスと同様、ストリンガー残渣を抑制する効果を期待できる。
【0111】
フローティングゲート50の断面形状は、中央部の膜厚よりもX方向の両端部の膜厚が厚い形状であれば、上記実施形態に記載の形状に限定されるものではない。フローティングゲート50の断面形状は、例えば
図28(a)に示すように、側壁部分の全体が垂直であってもよい。或いは、例えば
図28(b)に示すように、フローティングゲート50のX方向の端部下側が逆テーパ形状であってもよい。或いは、例えば
図28(c)に示すように、フローティングゲート50のX方向の端部下側が段階的な逆テーパ形状であってもよい。
【0112】
また、フローティングゲート50の形状は、素子領域上に位置する中央部が1層の導電膜により形成され、素子分離絶縁膜上に位置する両端部が2層の導電膜により形成された構造を有していることにより、カップリング比を増大する効果を得ることができる。フローティングゲート50の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0113】
また、上記実施形態では、スタック構造のゲート電極を有する半導体記憶装置としてフラッシュEEPROMを例にして説明したが、EPROM等、スタック構造のゲート電極を有する他の半導体記憶装置に適用することもできる。
【0114】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の構造、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。