特許第5691431号(P5691431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691431
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】送受波器保護装置
(51)【国際特許分類】
   B63G 8/39 20060101AFI20150312BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B63G8/39
   B63B49/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-260832(P2010-260832)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-111310(P2012-111310A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田中 友輔
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−318895(JP,A)
【文献】 特開平09−158974(JP,A)
【文献】 実開昭59−093184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63G 8/39
B63B 49/00,45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、
前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、
前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、
前記取り付け面の延在方向と直交する方向において前記アンカナットと離れた前記取り付け面の箇所に、前記取り付け面から膨出する膨出部が前記取り付け面の全周にわたって延在形成され、
前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記取り付け片により前記膨出部は前記取り付け面の全周にわたって圧縮される、
ことを特徴とする送受波器保護装置。
【請求項2】
送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、
前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、
前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、
前記取り付け片の延在方向と直交する方向において前記ねじ挿通孔と離れた前記取り付け片の箇所に、前記取り付け片の前記平坦面から突出する突出部が前記取り付け片の全周にわたって延在形成され、
前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記突出部が前記取り付け面の全周にわたって食い込む、
ことを特徴とする送受波器保護装置。
【請求項3】
送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、
前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、
前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、
前記取り付け面の延在方向と直交する方向において前記アンカナットと離れた前記取り付け面の箇所に、前記取り付け面から膨出する膨出部が前記取り付け面の全周にわたって延在形成され、
前記取り付け片の延在方向と直交する方向において前記ねじ挿通孔と離れた前記取り付け片の箇所に、前記取り付け片の前記平坦面から突出する突出部が前記取り付け片の全周にわたって延在形成され、
前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記取り付け片により前記膨出部は前記取り付け面の全周にわたって圧縮されると共に、前記突出部が前記膨出部に前記取り付け面の全周にわたって食い込む、
ことを特徴とする送受波器保護装置。
【請求項4】
前記ソナードームは、船体側と連続した形状となるように形成された外面と、前記空洞部側に位置する内面とを有し、
前記膨出部は、前記アンカナットよりも前記外面側に離れた前記取り付け面の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または3記載の送受波器保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口を閉塞するゴム製のソナードームを備える送受波器保護装置に関し、より詳細には、送受波器保護装置を構成するソナードームの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観測船などでは、自船から発生するエンジン音や振動、プロペラから発生する水中雑音の影響を少なくするため、送受波器(音響センサ)を、船底に取り付けるキールドタイプから、船首側に取り付けるバウドームタイプへと変化してきている。
バウドームタイプでは、船体の船首側下部の空洞部に送受波器を設置し、空洞部の開口をゴム製のソナードームで閉塞するようにしている。
【0003】
より詳細に説明すると、ソナードームは、船体側と連続した形状となるように形成された外面と、空洞部側に位置する内面とを有している。また、ソナードームの外周部全周は、端面と、この端面の前記内面側から突出するビード部と、端面に設けられた取り付け面とを備えている。
船体側の前記空洞部の前記開口の内周部全周は、前記船体側に設けられ前記ソナードームの外面に連続状に連結されるフェアリングプレートと、前記ビード部に連結されるビードシートとを含んで構成されている。
そして、船体側と前記端面との間でフェアリングプレートとビード部、ビードシートとにより開口の内周部全周に沿って延在する環状空間が形成される。
この環状空間には、エポキシ系樹脂などの充填材が注入され発泡させて環状空間に充填され、充填材により開口の内周部全周における雑音の発生を防止するようにしている。
従来、フェアリングプレートと前記端面との連結は、前記フェアリングプレートに取着された断面がL型のフランジの一方の取り付け片が、前記取り付け面の全周に当て付けられ、ねじ部材により前記一方の取り付け片が前記取り付け面に取着されることでなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85148
【特許文献2】特開2001−193281
【特許文献3】特開平4−80467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、環状空間への充填材の注入時、前記フェアリングプレートに取着された断面がL型のフランジの一方の取り付け片が前記取り付け面に確実に当て付けられていない箇所があると、その箇所から充填材が環状空間の外部に漏れ、充填材を環状空間に確実に充填できなくなる。
空洞部の開口は湾曲した3次元形状であり、フランジの一方の取り付け片の全周と、ソナードームの外周部全周とはそれらの全周にわたって合致し難く、特に、湾曲の半径が小さいコーナー部ではなおさらである。
そのため、充填材がフランジと前記取り付け面との連結箇所から漏れ出ないように、一方の取り付け片と前記取り付け面との間にシール部材を介在させているのが現状である。
そのため、従来の技術では、フェアリングプレートとソナードームとの連結箇所にシール部材を要するため、シール部材の配設作業に手間取り作業効率を高めることができず、また、別部品となるシール部材を作製するため、部品点数が増えてコストが掛かる不具合があり、何らかの改善が求められていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、ソナードームの取り付けについての作業効率を高めることができ、また、コストを削減する上で有利な送受波器保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明は、送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、前記取り付け面の延在方向と直交する方向において前記アンカナットと離れた前記取り付け面の箇所に、前記取り付け面から膨出する膨出部が前記取り付け面の全周にわたって延在形成され、前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記取り付け片により前記膨出部は前記取り付け面の全周にわたって圧縮されることを特徴とする。
また、本発明は、送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、前記取り付け片の延在方向と直交する方向において前記ねじ挿通孔と離れた前記取り付け片の箇所に、前記取り付け片の前記平坦面から突出する突出部が前記取り付け片の全周にわたって延在形成され、前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記突出部が前記取り付け面の全周にわたって食い込むことを特徴とする。
また、本発明は、送受波器が設置された船体の船首側下部の空洞部の開口の全周に沿って3次元の曲線形状で延在する船体側の金属製の取り付け片の全周部分が、ゴム製のソナードームの3次元の曲線形状で延在する取り付け面の全周部分に当て付けられ、ねじ部材により前記取り付け片が前記取り付け面に取着されることで前記ソナードームが前記船体側に取り付けられ前記取り付け片の内側の開口を閉塞する送受波器保護装置であって、
前記取り付け面に当て付けられる前記取り付け片の面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け片の全周に、前記取り付け片の延在方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔が形成され、前記取り付け面は平坦面で形成されると共に、前記取り付け面の全周に、前記取り付け面の延在方向に間隔をおいた箇所で前記ねじ挿通孔に対応する箇所に金属製のアンカナットが埋め込まれ、前記取り付け面の延在方向と直交する方向において前記アンカナットと離れた前記取り付け面の箇所に、前記取り付け面から膨出する膨出部が前記取り付け面の全周にわたって延在形成され、前記取り付け片の延在方向と直交する方向において前記ねじ挿通孔と離れた前記取り付け片の箇所に、前記取り付け片の前記平坦面から突出する突出部が前記取り付け片の全周にわたって延在形成され、前記ねじ挿通孔に挿通された前記ねじ部材が前記アンカナットに締結されて前記取り付け片の全周部分が前記取り付け面の全周部分に取り付けられた状態で、前記取り付け片により前記膨出部は前記取り付け面の全周にわたって圧縮されると共に、前記突出部が前記膨出部に前記取り付け面の全周にわたって食い込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開口のコーナー部などにおいて空洞部の開口の曲線形状とソナードームの外周部の曲線形状が合っていない場合であっても、常に取り付け面の部分が圧縮されるため、充填材を充填する際に、充填材が環状空間から漏れ出ることを防止することが可能となる。
また、膨出部はソナードームに一体に成形でき、また、突出部はフランジに一体に成形できるので、取り付け片と取り付け面との間にシール部材などを介在させる必要がなく、ソナードームの取り付け作業の効率を高め、また、部品点数を増やすこともないのでコストダウンを図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送受波器保護装置を示す船体の船首側の側面図である。
図2】ソナードームの斜視図である。
図3】送受波器保護装置の断面図である。
図4】(A)はフランジの平面図、(B)は図5のBB矢視図である。
図5】フランジの取り付け片が取り付け面に取着される際の説明図である。
図6】フランジの取り付け片が取り付け面に取着された状態の断面図である。
図7】第2の実施の形態の送受波器保護装置で、フランジの取り付け片が取り付け面に取着される際の説明図である。
図8】第2の実施の形態の送受波器保護装置で、フランジの取り付け片が取り付け面に取着された状態の断面図である。
図9】第2の実施の形態の送受波器保護装置で、フランジの取り付け片が取り付け面に取着される際の説明図である。
図10】第2の実施の形態の送受波器保護装置で、フランジの取り付け片が取り付け面に取着された状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、船体12の船首側下部の空洞部14に送受波器(不図示)が設置され、空洞部14は、図2に示すゴム製のソナードーム16を介して閉塞されている。
より詳細に説明すると、図3に示すように、船体12側に、空洞部14の開口の全周に延在するフェアリングプレート18が船体12の外面と連続するように設けられ、したがって、フェアリングプレート18の内周部により空洞部14の開口1402が形成されている。そして、空洞部14の開口1402は、ゴム製のソナードーム16を介して閉塞されている。
フェアリングプレート18は外周部全周が船体12側に取着され、内周部には断面がL型のフランジ20が取り付けられている。このフランジ20の一方の取り付け片20Aはソナードーム16側に対向しており、フェアリングプレート18の内周部の全周にわたって延在している。フランジ20はステンレスなどの金属材料で形成されている。
【0010】
図4(A)に示すように、フランジ20の一方の取り付け片20Aには、所定の間隔をおいて複数のねじ挿通孔2002が形成されている。
なお、フランジ20はフェアリングプレート18の内周部の周方向に沿って例えば1m毎に分割された複数の分割フランジ体からなり、それら分割フランジ体がフェアリングプレート18の内周部の周方向に並べられフェアリングプレート18の内周部に取着されることで、フランジ20はフェアリングプレート18の内周部の全周にわたって延在している。
また、空洞部14の内壁には、フェアリングプレート18の内側の箇所に沿って、開口1402の全周に延在するビードシート22が設けられている。
【0011】
ソナードーム16は、船体12側と連続した形状となるように形成された外面16Aと、空洞部14側に位置する内面16Bとを有している。
ソナードーム16には、従来公知の様々な材料、構成が使用可能である。
図5に示すように、ソナードーム16の外周部全周は、端面24と、端面24の内面16B側から突出するビード部26と、端面24に設けられた取り付け面28とを備えている。
【0012】
取り付け面28はフェアリングプレート18が連結される箇所であり、端面24の外面16A寄りに位置している。
取り付け面28は、平坦面を有しアンカナット30が埋め込まれている。なお、アンカナット30は、ステンレスなどの金属材料で形成されている。図4(B)に示すように、アンカナット30はその雌ねじ3002が取り付け片20Aのねじ挿通孔2002と同一のピッチとなるように埋め込まれている。
アンカナット30の雌ねじ3002の軸心に対して直交する方向に離れた取り付け面28の箇所に膨出部32が設けられ、この膨出部32はソナードーム16に一体成形されている。言い換えると、取り付け面28の外面16A寄りの箇所に膨出部32が設けられ、この膨出部32はソナードーム16の外周部の全周にわたって延在している。
【0013】
ソナードーム16の空洞部14の開口1402への取り付けは、次のようになされる。
図3に示すように、ビード部26がビードシート22にクランプ34を介して取着され、ビード部26がビードシート22に液密に連結され、空洞部14が液密に閉塞される。
また、図5図6に示すように、フェアリングプレート18に取着されたフランジ20の一方の取り付け片20Aが、取り付け面28の全周に当て付けられ、スプリングワッシャ36、ワッシャ38、取り付け片20Aのねじ挿通孔2002に挿通されたねじ部材40が、アンカナット30の雌ねじ3002に締結される。これにより、図6に示すように、取り付け片20Aが取り付け面28に取着され、フェアリングプレート18とソナードーム16とが連結される。
また、フェアリングプレート18が取り付け面28に取り付けられると、図3に示すように、船体12側と端面24との間でフェアリングプレート18とビードシート22、ビード部26とにより開口1402の内周部全周に沿って環状空間42が形成される。そして、環状空間42の不図示の下部開口から雑音発生防止のための充填材が注入される。この充填材は、環状空間42の不図示の上部開口から溢れ出るまで注入され、発泡させた後、それらの開口が閉塞されて充填材が環状空間42に封入される。
【0014】
本実施の形態によれば、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられと、膨出部32は、取り付け片20Aにより膨出部32が形成されていない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮される。
また、膨出部32はねじ部材40と離れた箇所に位置しているので、膨出部32が圧縮される際に、取り付け片20Aの弾性によっても圧縮されることになる。
したがって、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28から離れる箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、アンカナット30の周囲の取り付け面28の箇所は取り付け片20A側に引き寄せられ、膨出部32は、膨出部32を除いた残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮される。
また、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28に食い込んでしまう箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、膨出部32は、膨出部32を除いた残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮される。
【0015】
したがって、開口1402のコーナー部などにおいて空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っていない場合であっても、フェアリングプレート18の取り付け片20Aとソナードーム16との間で常に膨出部32が圧縮されるため、充填材を充填する際に、充填材が環状空間42から漏れ出ることを防止することが可能となる。
また、膨出部32はソナードーム16を型により成形する際に一体に成形され、ソナードーム16に一体化されているので、取り付け片20Aと取り付け面28との間にシール部材などを介在させる必要もなく、ソナードーム16の取り付け作業の効率を高め、また、部品点数を増やすこともないのでコストダウンを図る上で有利となる。
【0016】
(第2の実施の形態)
次に、図7図8を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、ソナードーム16の取り付け面28に膨出部32が設けられておらず、フェアリングプレート18のフランジ20の一方の取り付け片20Aに突出部44が設けられている点が第1の実施の形態と異なっており、その他の構造は第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の箇所、部材には同一の符号を付して第1の実施の形態と異なる箇所を説明する。
フェアリングプレート18の一方の取り付け片20Aには、図4(A)に示すように、所定の間隔をおいて複数のねじ挿通孔2002が形成されると共に、図7に示すように、一方の取り付け片20Aがソナードーム16側に対向する面に突出部44が形成されている。
一方の取り付け片20Aがソナードーム16側に対向する面は平坦面として形成されている。
突出部44は、ねじ挿通孔2002(アンカナット30の雌ねじ3002)の軸心に対して直交する方向に離れた箇所に設けられ、本例では、取り付け面28の外面16A寄りであるL型のフランジ20の屈曲部寄りに設けられ、フランジ20の全長にわたって延在している。
また、ソナードーム16の取り付け面28は平坦面で形成され、膨出部32は設けられていない。
【0017】
本実施の形態によれば、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、図8に示すように、突出部44が取り付け面28に食い込み、この突出部44が食い込んだ取り付け面28の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
また、突出部44はねじ部材40と離れた箇所に位置しているので、取り付け片20Aの弾性によっても取り付け面28の箇所は圧縮されることになる。
したがって、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28から離れる箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、アンカナット30の周囲の取り付け面28の箇所は取り付け片20A側に引き寄せられ、突出部44が取り付け面28に食い込み、この突出部44が食い込んだ取り付け面28の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
また、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28に食い込んでしまう箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、突出部44が取り付け面28に食い込み、この突出部44が食い込んだ取り付け面28の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
【0018】
したがって、開口1402のコーナー部などにおいて空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っていない場合であっても、フェアリングプレート18の取り付け片20Aとソナードーム16との間で突出部44により取り付け面28が常に圧縮されるため、充填材を充填する際に、充填材が環状空間42から漏れ出ることを防止することが可能となる。
また、突出部44はフランジ20に一体に成形でき、フランジ20に一体化されているので、取り付け片20Aと取り付け面28との間に介在させるシール部材は不要となり、ソナードーム16の取り付け作業の効率を高め、また、部品点数を増やすこともないのでコストダウンを図る上で有利となる。
【0019】
(第3の実施の形態)
次に、図9図10を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ソナードーム16の取り付け面28に、ソナードーム16に一体成形された膨出部32が設けられ、第2の実施の形態と同様に、フェアリングプレート18のフランジ20の一方の取り付け片20Aに突出部44が設けられている点が第1、第2の実施の形態と異なっており、その他の構造は第1の実施の形態と同様である。
第1、第2の実施の形態と同様の箇所、部材には同一の符号を付して第1、第2の実施の形態と異なる箇所を説明すると、ソナードーム16の取り付け面28は、端面24の外面16A寄りに位置している。
取り付け面28は、アンカナット30が埋め込まれた平坦面を有し、アンカナット30はその雌ねじ3002が取り付け片20Aのねじ挿通孔2002と同一のピッチとなるように埋め込まれている。
アンカナット30の雌ねじ3002の軸心に対して直交する方向に離れた取り付け面28の箇所で外面16A寄りの箇所に膨出部32が設けられ、この膨出部32は外周部の全周にわたって延在している。
【0020】
フェアリングプレート18の一方の取り付け片20Aには、図4(A)に示すように、所定の間隔をおいて複数のねじ挿通孔2002が形成されると共に、図9に示すように、一方の取り付け片20Aがソナードーム16側に対向する面に突出部44が形成されている。
一方の取り付け片20Aがソナードーム16側に対向する面は平坦面として形成されている。
突出部44は、ねじ挿通孔2002(アンカナット30の雌ねじ3002)の軸心に対して直交する方向に離れた箇所に設けられ、本例では、取り付け面28の外面16A寄りであるL型のフランジ20の屈曲部寄りに設けられ、フランジ20の全長にわたって延在している。
【0021】
本実施の形態によれば、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられと、図10に示すように、突出部44が膨出部32に食い込み、この突出部44が食い込んだ膨出部32の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
また、膨出部32と突出部44は共にねじ部材40と離れた箇所に位置しているので、取り付け片20Aの弾性によっても膨出部32の箇所は圧縮されることになる。
したがって、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28から離れる箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、アンカナット30の周囲の取り付け面28の箇所は取り付け片20A側に引き寄せられ、突出部44が膨出部32に食い込み、この突出部44が食い込んだ膨出部32の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
また、空洞部14の開口1402にソナードーム16の外周部を合わせた際、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28に食い込んでしまう箇所では、ねじ部材40により取り付け片20Aが取り付け面28に取り付けられると、突出部44が膨出部32に食い込み、この突出部44が食い込んだ膨出部32の箇所において、突出部44が食い込んでいない残りの取り付け面28の部分よりも多い圧縮量で圧縮する。
【0022】
したがって、開口1402のコーナー部などにおいて空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っていない場合であっても、フェアリングプレート18の取り付け片20Aとソナードーム16との間で突出部44により膨出部32が常に圧縮されるため、充填材を充填する際に、充填材が環状空間42から漏れ出ることを防止することが可能となる。
また、膨出部32はソナードーム16を型により成形する際に一体に成形され、ソナードーム16に一体化され、また、突出部44はフランジ20に一体に成形でき、フランジ20に一体化されているので、取り付け片20Aと取り付け面28との間に介在させるシール部材は不要となり、ソナードーム16の取り付け作業の効率を高め、また、部品点数を増やすこともないのでコストダウンを図る上で有利となる。
また、この第3の実施の形態によれば、突出部44と膨出部32との双方を設けているので、双方により第1、第2の実施の形態に比べ多い圧縮量で膨出部32を圧縮でき、空洞部14の開口1402の曲線形状とソナードーム16の外周部の曲線形状が合っておらず、取り付け片20Aが取り付け面28から大きく離れる場合であっても、環状空間42を閉塞する上で有利となっている。
【符号の説明】
【0023】
14……空洞部、16……ソナードーム、18……フェアリングプレート、1402……開口、20……フランジ、20A……取り付け片、22……ビードシート、24……端面、26……ビード部、28……取り付け面、32……膨出部、44……突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10