(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または請求項2において、前記除霜暖房運転を実行させるとき、前記除霜モード実行前の通常暖房運転時よりもエンジンの回転数を増加させることを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、冷媒を圧縮する圧縮機をエンジン駆動とする空気調和機の暖房運転時に実施する室外熱交換器の除霜運転中において、室内機室の冷風感を緩和するために、除霜運転と室内機の暖房運転を同時におこなう。除霜運転は四方弁の切替によって、室外熱交換器を凝縮器として、霜を溶かし、凝縮された冷媒は排熱交換機で蒸発され、冷凍サイクルを構成する、一方で、室内熱交換器側へは、バイパス弁によって圧縮機の吐出ガスの一部を、室内機側の回路へ接続し、さらに、冷媒ポンプを備えることにより、冷媒圧力を上昇させ、室内機側へ高圧ガスを送ることで、快適な暖房を送ることができる。これによれば、暖房運転を行いつつ除霜モードを実行できる。
【0003】
特許文献2によれば、2台のコンプレッサが設けられ、一方のコンプレッサで圧縮された高温高圧の冷媒を室内熱交換器に供給させて暖房運転を行い、他方のコンプレッサで圧縮された高温高圧の冷媒を室外熱交換器に供給させて除霜モードを実行し、これにより暖房運転させつつ除霜モードを実行できることにしている。
【0004】
特許文献3によれば、コンプレッサで圧縮させて高温高圧にしたガス状の冷媒の一部を連結部で分岐させて室内熱交換器に供給させて暖房運転を実行すると同時に、コンプレッサで圧縮させて高温高圧にしたガス状の冷媒の残りの部分を連結部で分岐させて室外熱交換器に供給させ、室外熱交換器に付着している霜を除霜させる。これにより暖房運転させつつ除霜モードを実行できることにしている。このものによれば、エンジンの排熱を用いて冷媒と熱交換させるエンジン排熱式熱交換器が用いられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、暖房運転させつつ除霜モードを実行できるものの、コンプレッサから吐出された高温高圧のガス状の冷媒を室外熱交換器に供給させて室外熱交換器に対して除霜を実行させる。このとき室外熱交換器の外壁面に生成された霜と冷媒との熱交換により、冷媒の液化凝縮が進行する。このため、室外熱交換器における熱交換後に、ガス状の冷媒を冷媒ポンプにより再び圧縮させて昇圧させ、昇圧させた高温高圧のガス状の冷媒を室内熱交換器に供給させて暖房運転に使用することにしている。このように特許文献1によれば、室外熱交換器の除霜に使用した冷媒を再び圧縮させる工程を必要とする。更に、室内熱交換器側に高圧のガス状の冷媒を供給させる手段として、高価な冷媒ポンプを必須とするため、コストがかかる。
【0007】
更に特許文献2によれば、暖房運転させつつ除霜モードを実行させるときにおいて、暖房用のコンプレッサの他に、除霜用のコンプレッサを必須とするため、構造が複雑化し、コストがかかる。また、特許文献3に係る技術によれば、エンジンの排熱を用いて冷媒と熱交換させるエンジン排熱式熱交換器が冷凍サイクルにおいて搭載されていない。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、除霜モードで使用したガス状の冷媒を冷媒ポンプにより再び圧縮させて昇圧させる冷媒ポンプを用いることなく、暖房運転を実行させつつ室外熱交換器の除霜モードを並行させて実行させることができるエンジン駆動式空気調和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1に係るエンジン駆動式空気調和装置は、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行させ得るエンジン駆動式空気調和装置であって、
ガス状の冷媒を吸入する吸入ポートと吸入ポートから吸入したガス状の冷媒を圧縮させて吸入前よりも高温高圧のガス状の冷媒として圧縮させて吐出させる吐出ポートとをもつコンプレッサと、
コンプレッサに接続され前記コンプレッサを駆動させるためのエンジンと、
通常暖房運転時に、コンプレッサの吐出ポートから吐出された高温高圧のガス状の冷媒を室内空気と熱交換させて凝縮熱を放出させつつ凝縮させるための室内熱交換器と、
通常暖房運転時に、室内熱交換器により凝縮が進行された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる第1蒸発器として働く室外熱交換器と、
エンジンから発生する排熱で加熱され、暖房運転時に室内熱交換器により凝縮が進行された冷媒を前記エンジンからの排熱により加熱させて熱交換させて蒸発させる第2蒸発器として働くエンジン排熱式熱交換器と、
通常暖房運転時に室外熱交換器において蒸発されたガス状の冷媒を前記コンプレッサの前記吸入ポートに帰還させるための第1冷媒通路と、通常暖房運転時にエンジン排熱式熱交換器において蒸発されたガス状の冷媒をコンプレッサの吸入ポートに帰還させるための第2冷媒通路とを備える帰還通路と、
コンプレッサの吐出ポートと第1冷媒通路とを連結するバイパス通路と、
バイパス通路に設けられ、バイパス通路を開閉可能なバイパス弁と、
バイパス通路と第1冷媒通路との連結部と、第1冷媒通路と第2冷媒通路との連結部との間の第1冷媒通路に設けられ、第1冷媒通路を開閉可能な開閉弁と、
少なくともバイパス弁および開閉弁を制御させる制御部とを具備しており、
制御部は、通常暖房運転時にバイパス弁を閉状態、開閉弁を開状態とし、除霜暖房運転時にバイパス弁を開状態、開閉弁を閉状態
とし、
バイパス弁は、通常暖房運転時にコンプレッサの吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰であるとき開状態とし、ガス状の冷媒の少なくとも一部を室内熱交換器を迂回させて帰還通路を介してコンプレッサの吸入ポートに戻すように制御される、ことを特徴とする。
また、本発明のエンジン駆動式空気調和装置は冷房運転を行うことも可能である。すなわち、請求項2に係るエンジン駆動式空気調和装置は、
コンプレッサと室内熱交換器との間に設けられる四方弁と、
コンプレッサと四方弁との間に設けられるオイルセパレータと、を具備し、
四方弁は、オイルセパレータを介してコンプレッサの吐出ポートに繋がる入口ポートと、室内熱交換器に繋がる第1ポートと、コンプレッサの吸入ポートに繋がる第2ポートと、室外熱交換器に繋がる第3ポートとを有し、コンプレッサの吸入ポートに帰還するガス状の冷媒は通常暖房運転時に第2ポート及び第3ポートを流れ、冷房運転時に第1ポート及び第2ポートを流れ、
第2冷媒通路は四方弁とコンプレッサとの間に設けられる第1の連結部を介して第1冷媒通路と連結され、
バイパス通路はオイルセパレータと四方弁の入口ポートとの間の配管から分岐し、第2ポートと第1の連結部との間に設けられる第2の連結部を介して第1冷媒通路と連結され、
開閉弁は第1の連結部と第2の連結部との間に備えられ、
制御部は、冷房運転時にバイパス弁を閉状態、開閉弁を開状態とし、
バイパス弁は、暖房運転時および冷房運転時にコンプレッサの吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰であるとき開状態とし、ガス状の冷媒の少なくとも一部を室内熱交換器を迂回させて帰還通路を介してコンプレッサの吸入ポートに戻すように制御され、
冷房運転と、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行させ得る、ことを特徴とする。
【0010】
高温高圧とは、コンプレッサの吸入ポートに帰還してくるガス状の冷媒よりも高温高圧であることを意味する。本発明に係る空気調和装置は、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行可能とされている。除霜暖房運転は、通常暖房運転と基本的には共通するが、除霜モードを並行させて実行する。
また、本発明に係る空気調和装置は、冷房運転を実行することもできる。
【0011】
本発明に係る空気調和装置によれば、通常暖房運転時において、室内熱交換器は、コンプレッサの吐出ポートから吐出された高温高圧のガス状の冷媒を室内空気と熱交換させて凝縮熱を室内に放出させつつ凝縮させるため、室内空気を暖める。通常暖房運転時において、室外熱交換器は、室内熱交換器により凝縮が進行された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる第1蒸発器として働く。エンジン排熱式熱交換器は、エンジンから発生する排熱で加熱されるものであり、通常暖房運転時において、室内熱交換器により凝縮が進行された冷媒をエンジンからの排熱により加熱させて熱交換させて蒸発させる第2蒸発器として働く。
【0012】
帰還通路は第1冷媒通路と第2冷媒通路とをもつ。第1冷媒通路は、通常暖房運転時に室外熱交換器において蒸発されたガス状の冷媒をコンプレッサの吸入ポートに帰還させる。第2冷媒通路は、通常暖房運転時にエンジン排熱式熱交換器において蒸発されたガス状の冷媒をコンプレッサの吸入ポートに帰還させる。
【0013】
バイパス通路は、コンプレッサの吐出ポートと第1冷媒通路とを連結させる。バイパス弁は、バイパス通路を開閉可能である。バイパス弁が開放されるときには、バイパス通路の連通性が確保され、コンプレッサの吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の少なくとも一部を、バイパス通路および第1冷媒通路を介してコンプレッサの吸入ポートに帰還させることができる。バイパス弁の閉鎖時には、コンプレッサの吐出ポートから吐出させたガス状の冷媒をバイパス通路および帰還通路を介してコンプレッサの吸入ポートに帰還させない。
【0014】
開閉弁は、バイパス通路と第1冷媒通路との連結部と、第1冷媒通路と第2冷媒通路との連結部との間の第1冷媒通路に設けられており、第1冷媒通路を開閉可能とする。
【0015】
本発明に係る装置によれば、制御部は、通常暖房運転時には、バイパス弁を閉状態とし、開閉弁を開状態とする。制御部は、除霜暖房運転時には、バイパス弁を開状態とし、開閉弁を閉状態とする。
一方、冷房運転時には、バイパス弁を閉状態とし、開閉弁を開状態とする。
【0016】
即ち、本発明に係る装置によれば、制御部は、暖房運転を実行させつつ室外熱交換器の除霜モードを並行させて実行させる除霜暖房運転を実行することができる。このとき、制御部は、バイパス弁を開放させると共に開閉弁を閉鎖させる除霜制御を行う。このような除霜制御において、バイパス弁が開放されると、コンプレッサで圧縮された高温高圧のガス状の冷媒を、コンプレッサの吐出ポートから吐出させ、開放状態のバイパス弁およびパイパス通路を介して室外熱交換器に供給させる。これにより室外熱交換器を暖めて室外熱交換器の霜を溶かして除霜させる。更に、除霜暖房運転における除霜制御では、開閉弁が閉鎖されるため、バイパス通路を流れる高温高圧のガス状の冷媒がコンプレッサの吸入ポートに直接的に帰還することを抑える。従って、バイパス通路を流れる高温高圧のガス状の冷媒が室外熱交換器に効果的に流れ、室外熱交換器を効率よく加熱させて除霜できる。
【0017】
本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置によれば
、バイパス通路は、コンプレッサの吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰であるとき、ガス状の冷媒の少なくとも一部を室内熱交換器を迂回させて帰還通路を介してコンプレッサの吸入ポートに戻すことができるように第1冷媒通路に連結されている。
【0018】
コンプレッサの吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰であるとき、バイパス通路は、ガス状の冷媒の少なくとも一部を室内熱交換器を迂回させて帰還通路の第1冷媒通路を介してコンプレッサの吸入ポートに戻すことができる。
【0019】
(2)本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置によれば、冷房運転と、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行させることもできる。すなわち、請求項2に係るエンジン駆動式空気調和装置によれば、コンプレッサと室内熱交換器との間に設けられる四方弁と、コンプレッサと四方弁との間に設けられるオイルセパレータと、を具備し、四方弁は、オイルセパレータを介してコンプレッサの吐出ポートに繋がる入口ポートと、室内熱交換器に繋がる第1ポートと、コンプレッサの吸入ポートに繋がる第2ポートと、室外熱交換器に繋がる第3ポートとを有し、コンプレッサの吸入ポートに帰還するガス状の冷媒は通常暖房運転時に第2ポート及び第3ポートを流れ、冷房運転時に第1ポート及び第2ポートを流れ、第2冷媒通路は四方弁とコンプレッサとの間に設けられる第1の連結部を介して第1冷媒通路と連結され、バイパス通路はオイルセパレータと四方弁の入口ポートとの間の配管から分岐し、第2ポートと第1の連結部との間に設けられる第2の連結部を介して第1冷媒通路と連結され、開閉弁は第1の連結部と第2の連結部との間に備えられ、制御部は、冷房運転時にバイパス弁を閉状態、開閉弁を開状態とし、バイパス弁は、暖房運転時および冷房運転時にコンプレッサの前記吐出ポートから吐出させた高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰であるとき開状態とし、ガス状の冷媒の少なくとも一部を室内熱交換器を迂回させて帰還通路を介してコンプレッサの前記吸入ポートに戻すように制御され、冷房運転と、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、前記除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行させ得る、ことを特徴とする。
(3)暖房運転を実行させつつ室外熱交換器の除霜モードを並行させる除霜暖房運転を実行させるとき、暖房運転の暖房能力が低下するおそれがある。そこで、
請求項3に係るエンジン駆動式空気調和装置によれば、
請求項1または請求項2において、除霜暖房運転を実行させるとき、除霜モード実行前の通常暖房運転時よりもエンジンの回転数を増加させることを特徴とする。これにより暖房運転の暖房能力の低下が抑制される。除霜モードを終了して通常暖房運転に戻すときには、エンジンの回転数を減少させ、通常暖房運転のエンジンの回転数に戻す。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る空気調和装置によれば、特許文献1とは異なり、除霜モードで使用したガス状の冷媒を冷媒ポンプにより再び圧縮させて昇圧させる冷媒ポンプを用いることなく、暖房運転を実行させつつ室外熱交換器の除霜モードを並行させて実行させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念図を示す。本実施形態に係る空気調和装置は、除霜モードを実行しないで暖房する通常暖房運転と、除霜モードを実行しつつ暖房する除霜暖房運転とを実行可能とされている。除霜暖房運転は、通常暖房運転と基本的には共通するが、除霜モードを並行させて実行する。
【0023】
図1に示すように、エンジン駆動式空気調和装置は、室内機1と室外機2とを備える。室内機1は室内に設置されるものであり、室内熱交換器3をもつ。室内ファン30により室内空気が室内熱交換器3に供給され、室内熱交換器3の熱交換性が向上する。室外機2は、ガス状の冷媒を圧縮させるためのコンプレッサ4と、冷媒からオイルを分離させるためのオイルセパレータ5と、コンプレッサ4を駆動させる駆動源として機能するエンジン6と、通路切替弁として機能する四方弁7と、室外熱交換器8と、エンジン排熱式熱交換器9と、冷媒をコンプレッサ4の吸入ポート4iに帰還させるための帰還通路10と、バイパス通路14と、バイパス通路14を開閉させるためのバイパス弁15と、開閉弁16と、制御部65とを有する。
【0024】
コンプレッサ4は、ガス状の冷媒を吸入する吸入ポート4iと、吸入ポート4iから吸入した低温低圧のガス状の冷媒を圧縮させて、吸入前よりも相対的に高温高圧としたガス状の冷媒として吐出させる吐出ポート4pとをもつ。エンジン6は、気体状または液状の燃料を空気で燃焼させる駆動するものであり、エンジン6は駆動により排熱を発生させる。エンジン6はコンプレッサ4の圧縮作用を発揮させるロータ部に連結部60を介して接続されており、コンプレッサ4のロータ部を連動させてコンプレッサ4を駆動させる。
【0025】
四方弁7はコンプレッサ4と室外熱交換器8との間に設けられており、入口ポート70、第1ポート71、第2ポート72、第3ポート73を有する。
図1に示すように、入口ポート70は通路20bおよびオイルセパレータ5を介してコンプレッサ4の吐出ポート4pに繋がる。
第1ポート71は室内熱交換器3のポート3aに繋がる。
第2ポート72は、バイパス通路14および第1冷媒通路101に繋がる。更に
第2ポート72は、第1冷媒通路101、開閉弁16およびアキュムレータ18を介してコンプレッサ4の吸入ポート4iに繋がる。
第3ポート73は通路101xを介して室外熱交換器8のポート8aに繋がる。室外熱交換器8は室外に設けられている。室外ファン80により外気が室外熱交換器8に供給され、室外熱交換器8の熱交換性が向上する。
【0026】
四方弁7は、通常暖房運転時や除霜暖房運転時には、入口ポート70と第1ポート71とが連通し、第2ポート72と第3ポート73とが連通するように切り替えられる。一方、冷房運転時には、四方弁は、入口ポート70と第3ポート73とが連通し、第1ポート71と第2ポート72とが連通するように切り替えられる。
【0027】
エンジン排熱式熱交換器9は、エンジン6から発生する排熱(エンジン6で加熱されたエンジン冷却液の熱)で加熱される熱交換器であり、ポート9iおよびポート9pをもつ。エンジン排熱式熱交換器9は、エンジン排熱式熱交換器9を蒸発器として働かせるエンジン排熱をエンジン冷却液を介して供給させる加熱部94と、エンジン6を冷却させるためにエンジン6で加熱された暖かいエンジン冷却液がエンジン冷却室のポート6pから加熱部94のポート94iに向かう往路91と、加熱液であるエンジン冷却液が加熱部94のポート94pからエンジン冷却室のポート6iに向かう復路92と、往路91および復路92を循環させるエンジン冷却液循環源として機能するポンプ93とを有する。エンジン排熱式熱交換器9の熱源はエンジン6の排熱であり、加熱部94において高い熱交換量を示す。このため室外熱交換器8とは異なり、外気温度が低温であっても、エンジン排熱式熱交換器9が蒸発器として働いても着霜することが抑止されている。
【0028】
図1に示すように、帰還通路10は、アキュムレータ18をもちコンプレッサ4の吸入ポート4iに繋がる主帰還通路100と、主帰還通路100に合流する第1冷媒通路101と第2冷媒通路102とをもつ。第1冷媒通路101は、通常暖房運転時に第1蒸発器として働く室外熱交換器8において蒸発された相対的に低温低圧のガス状の冷媒をコンプレッサ4の吸入ポート4iに帰還させるための第1帰還通路として機能する。
図1に示すように、第1冷媒通路101は、室外熱交換器8のポート8aと四方弁7の第3ポート73とを繋ぐ通路101xと、四方弁7の第2ポート72から連結部33tを介して主帰還通路100に連通する通路101yとを備える。
【0029】
第2冷媒通路102は、通常暖房運転時に第2蒸発器として働くエンジン排熱式熱交換器9のポート9pと主帰還通路100とを連結部33t(主帰還通路100のうちアキュムレータ18の上流)を介して連通させている。第2冷媒通路102は、エンジン排熱式熱交換器9において蒸発された相対的に低温低圧のガス状の冷媒をコンプレッサ4の吸入ポート4iに帰還させるための第2帰還通路として機能する。
【0030】
更に帰還通路10の一部をなす第1冷媒通路101を開閉させるための開閉弁16(二方弁)が第1冷媒通路101に設けられている。開閉弁16は、四方弁7の第2ポート72と連結部33t(室外熱交換器8に繋がる第1冷媒通路101とエンジン排熱式熱交換器9に繋がる第2冷媒通路102とが合流する部位)との間に配置されている。開閉弁16が閉鎖すると、第1冷媒通路101の連通性を遮断させる。開閉弁16が開放すると、第1冷媒通路101の連通性が確保され、室外熱交換器8のポート8aを四方弁7を介して帰還通路10(アキュムレータ18,コンプレッサ4)に連通させることができる。
【0031】
更に説明を加える。
図1に示すように、コンプレッサ4の吐出ポート4pからオイルセパレータ5まで通路20aが設けられている。オイルセパレータ5のポート5pから四方弁7の入口ポート70まで通路20bがバイパス弁15を迂回するように設けられている。四方弁7の第1ポート71から室内熱交換器3のポート3aまで通路20cが設けられている。室内熱交換器3のポート3cからエンジン排熱式熱交換器9のポート9iまで電子膨張弁26、連結部33sおよび弁17を介して通路20dが設けられている。室外熱交換器8の他方のポート8cから電子膨張弁25および連結部33sを介して通路20dまで通路20iが設けられている。室外熱交換器8のポート8cと通路20iとを逆止弁19を介して連通させる通路20kが通路20iに対して並設されている。
【0032】
さて本実施形態によれば、
図1に示すように、コンプレッサ4の吐出ポート4pと室外熱交換器8のポート8aとをオイルセパレータ5を介して連通させるためのバイパス通路14が設けられている。具体的には、バイパス通路14は、オイルセパレータ5のポート5pから第1冷媒通路101yに連結部33fを介して合流する。バイパス通路14を開閉可能なバイパス弁15がバイパス通路14に設けられている。バイパス弁15は、通常暖房運転時(非除霜モード時)および冷房運転時において閉鎖されているが、コンプレッサ4の吐出ポート4pから吐出される高温高圧のガス状の冷媒の圧力が所定値よりも過剰になるとき、開放する。この場合、コンプレッサ4の吐出ポート4pから吐出される過剰に高圧のガス状の冷媒を通路20bの他にバイパス通路14にも流し、バイパス通路14と、開放状態の開閉弁16とを介して主帰還通路100のアキュムレータ18に帰還させ、ひいてはコンプレッサ4の吸入ポート4iに帰還させる。これにより冷媒の過剰高圧化を抑える。更に本実施形態によれば、暖房運転を実行させつつ除霜モードを実行する除霜暖房運転を実行するとき、制御部65は、バイパス弁15を開放させ、開閉弁16を閉鎖させる。なお、バイパス弁15、開閉弁16、四方弁7、電子膨張弁25、弁17、コンプレッサ4,エンジン6は制御部65により制御される。
【0033】
図1に示すように、室外熱交換器8のポート8a側の冷媒の温度を検知する温度センサ82aが設けられている。室外熱交換器8のポート8c側の冷媒の温度を検知する温度センサ82cが設けられている。外気の温度を検知する外気温度センサ82pが設けられている。各センサの温度信号は制御部65に入力される。
【0034】
(冷房運転)
次に、上記した空気調和装置で室内の冷房運転させるときの作用を説明する。この場合には、制御部65によりバイパス弁15は閉鎖されてバイパス通路14は閉鎖されており、且つ、開閉弁16は開放されて第1冷媒通路101は開放されている。四方弁7は、入口ポート70と第3ポート73とが連通し、第1ポート71と第2ポート72とが連通するように切り替えられている。
【0035】
燃料によりエンジン6は駆動し、コンプレッサ4が駆動する。コンプレッサ4は、アキュムレータ18の低温低圧のガス状の冷媒を吸入ポート4iから吸引して圧縮室で圧縮し、高温高圧状態のガス状の冷媒として吐出ポート4pから通路20aに吐出する。吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、オイルセパレータ5においてオイルを分離させる。オイルが分離された高温高圧のガス状の冷媒は、四方弁7の入口ポート70に至る。四方弁7では入口ポート70と第3ポート73とが連通するため、第3ポート73を経て第1冷媒通路101の通路101xを介してポート8aから室外熱交換器8に流入する。室外熱交換器8に流入した高温高圧のガス状の冷媒は、室外熱交換器8で外気と熱交換されて冷却されて凝縮するため、ガス状の冷媒の液化が進行する。室外熱交換器8において凝縮液化が進行された冷媒は、逆止弁19および通路20kを経由する。ここで電子膨張弁25は閉鎖されている。また弁17も閉鎖されている。このように通路20kを経た冷媒は、通路20d、電子膨張弁26を経てポート3cから室内熱交換器3に至り、室内熱交換器3で室内空気との熱交換により加熱されて蒸発される。このとき、冷媒の蒸発潜熱により室内空気を冷却する。次に、室内熱交換器3のポート3aから吐出されたガス状の冷媒は、通路20c、四方弁7の第1ポート71および第2ポート72を介して、更に開放状態の開閉弁16、第1冷媒通路101の通路101yを経て、ポート18iからアキュムレータ18に戻される。このようにアキュムレータ18に帰還された冷媒は、アキュムレータ18において、液状の冷媒とガス状の冷媒とに分離された状態で収納される。そしてアキュムレータ18内のガス状の低温低圧の冷媒は、主帰還通路100を介して吸入ポート4iからコンプレッサ4内に吸入され、コンプレッサ4で再び圧縮されて高温高圧のガス状の冷媒となる。コンプレッサ4で高温高圧とされたガス状の冷媒は、前述同様に、通路20a、オイルセパレータ5、四方弁7の入口ポート70、第3ポート73を介してポート8aから室外熱交換器8に供給される。上記したように冷房運転では、室外熱交換器8は凝縮器として働き、室内凝縮器3は蒸発器として働く。
【0036】
(通常暖房運転)
次に、室内を通常暖房運転(暖房運転するものの非除霜時)させるときの作用を説明する。この場合には、制御部65によりバイパス弁15は閉鎖されてバイパス通路14は閉鎖されている。且つ、第1蒸発器(室内熱交換器8)および第2蒸発器(エンジン排熱熱交換器9)において蒸発された冷媒をコンプレッサ4の吸入ポート4iに帰還させるべく、開閉弁16は開放されており、第1冷媒通路101の通路101x,101yの連通性は開放されている。また弁17も開放されている。四方弁7は、入口ポート70と第1ポート71とが連通し、第2ポート72と第3ポート73とが連通するように切り替えられている。ガス状の燃料によりエンジン6が駆動し、コンプレッサ4を駆動する。コンプレッサ4は、アキュムレータ18から放出された低温低圧のガス状の冷媒をコンプレッサ4の吸入ポート4iから吸引して圧縮室において圧縮し、高温高圧状態のガス状の冷媒として通路20a側に吐出する。通路20aに吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、オイルセパレータ5においてオイルを分離させる。オイルが分離された高温高圧のガス状の冷媒は、通路20bから、四方弁7の入口ポート70、第1ポート71、通路20cを矢印A2,A3方向に流れ、ポート3aから室内熱交換器3に流入する。室内熱交換器3に流入された高温高圧のガス状の冷媒は、室内熱交換器3において凝縮して液化し、凝縮熱を室内に放出して室内空気を加熱させる。これにより室内が暖房される。
【0037】
次に、室内熱交換器3のポート3cから排出された凝縮液化が進行した冷媒は、矢印A6方向に沿って通路20dを流れる。通路20dを流れる冷媒は、連結部33sにおいて、通路20iおよび電子膨張弁25を経て室外熱交換器8のポート8cに向かう第1流れと、弁17を介してエンジン排熱式熱交換器9のポート9iに向かう第2流れとに分岐される。
【0038】
通路20iおよび電子膨張弁25を経て室外熱交換器8のポート8cに向かった第1流れの冷媒は、第1蒸発器として働く室外熱交換器8において熱交換されて蒸発し、その蒸発した低温低圧のガス状の冷媒は、室外熱交換器8のポート8a、第1冷媒通路101の通路101x、四方弁7の第3ポート73および第2ポート72を経て、更に、通路101y,開放状態の開閉弁16および連結部33tを介して主帰還通路100のアキュムレータ18に流れる。また、弁17を経てエンジン排熱式熱交換器9のポート9iに向かった第2流れの冷媒は、ポート9iからエンジン排熱式熱交換器9に至り、エンジン排熱式熱交換器9で熱交換によりエンジン排熱(暖かいエンジン冷却液)で加熱されて蒸発される。蒸発されたガス状の冷媒は、エンジン排熱式熱交換器9のポート9pから吐出され、第2冷媒通路102および連結部33tを介してアキュムレータ18に流れる。なお、単位時間あたりの第1流れの冷媒流量と第2流れの冷媒流量は、弁17,25の開度により制御される。
【0039】
上記したようにアキュムレータ18に流れた冷媒は、アキュムレータ18において、液状の冷媒とガス状の冷媒とに分離された状態で収納される。そして、アキュムレータ18内のガス状の低温低圧の冷媒は、主帰還通路100を介して吸入ポート4iからコンプレッサ4内に吸入され、コンプレッサ4で再び圧縮されて高温高圧のガス状の冷媒となり、通路20a、オイルセパレータ5、四方弁7の入口ポート70、第1ポート71、室内熱交換器3の順に供給される。上記したように除霜モードを並行して実行しない通常暖房運転では、室内熱交換器3を凝縮器として働かせ、室外熱交換器8を第1蒸発器として働かせると共にエンジン排熱式熱交換器9を第2蒸発器として働かせことにより暖房運転を実施させる。蒸発器として室外熱交換器8およびエンジン排熱式熱交換器9の双方が設けられているため、暖房能力が良好に確保される。
【0040】
(除霜暖房運転)
上記したように通常暖房運転しているとき、室外熱交換器8は冷媒を蒸発させる蒸発器として機能して外気によって冷却されるため、外気温度の条件等によっては、外気中の水蒸気を凝縮させて室外熱交換器8の外壁面に霜が付くことがある。この場合、本実施形態によれば、制御部65は、室外熱交換器8における着霜が判定されたら、制御部65は、上記した暖房運転を実行させつつ室外熱交換器8の除霜モードを同時に並行させる除霜暖房運転を実行させる。この場合、通常暖房運転の場合と同様に暖房運転しているため、前述したように、コンプレッサ4の吐出ポート4pから高温高圧状態のガス状の冷媒は、通路20a側に吐出される。そして、吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、オイルセパレータ5を経て、通路20bから、四方弁7の入口ポート70、第1ポート71、通路20cを矢印A2,A3方向に流れ、ポート3aから室内熱交換器3に流入する。そして、高温高圧のガス状の冷媒は、室内熱交換器3において凝縮して液化し、凝縮熱を室内に放出して室内空気を加熱させ、室内が暖房される。暖房作用を発揮させた冷媒は、矢印A6方向に通路20dを流れる。この点は通常暖房の場合と共通する。
【0041】
除霜暖房運転では、室内を暖房させつつ除霜モードを実行させる。このため制御部65は、バイパス弁15を閉鎖状態から開放状態に切り替えてバイパス通路14を開放させると共に、開閉弁16を閉鎖させて第1冷媒通路101を閉鎖させる。開閉弁16および第1冷媒通路101の通路101y(室外熱交換器8に連通する通路101xは閉鎖されていない)の閉鎖により、
図1から理解できるように、室外熱交換器8のポート8aとアキュムレータ18(主帰還通路100)との連通性が遮断され、ひいては室外熱交換器8のポート8aとコンプレッサ4の吸入ポート4iとの連通性が遮断される。更に、エンジン排熱式熱交換器9のポート9pと室外熱交換器8のポート8aとの連通性が遮断される。更に、バイパス通路14と帰還通路10との連通性が遮断される。
【0042】
除霜暖房運転における除霜モードにおいては、上記したように制御部65はバイパス弁15を開放させる。これによりコンプレッサ4で圧縮された高温高圧のガス状の冷媒をコンプレッサ4の吐出ポート4pから、オイルセパレータ5を介して通路20b、四方弁7の第1ポート71を介して矢印A2方向に向けて室内熱交換器3に供給させて室内を暖房させる他に、その高温高圧のガス状の冷媒を連結部33kを介して矢印A1方向に向けて、バイパス通路14、連結部33f、四方弁7の第2ポート72および第3ポート73を経て矢印A3方向に供給させ、通路101xを介してポート8aから室外熱交換器8に供給させる。
【0043】
このためコンプレッサ4で圧縮された高温高圧のガス状の冷媒は、ポート8aから矢印A4方向に沿って室外熱交換器8に流れ、室外熱交換器8を加熱させ、室外熱交換器8に付いていた霜を溶かして除霜させる。この場合、室外熱交換器8のポートから吐出された冷媒は、凝縮液化が進行しており、(暖房運転時には電子膨張弁25は閉鎖されている)通路20kおよび逆止弁19を介して連結部33sに流れる。そして、この冷媒は、室内熱交換器3および通路20dを矢印A6方向に流れた液化凝縮後の冷媒と連結部33sにおいて合流する。連結部33sにおいて合流した液化が進行した冷媒は、通路20dを矢印A7方向に流れ、膨張作用を果たす弁17を介してポート9iからエンジン排熱式熱交換器9に供給され、エンジン6からの排熱(エンジン冷却液の熱)で加熱されて蒸発する。
【0044】
このようにエンジン排熱式熱交換器9において蒸発したガス状の冷媒は、ポート9pから第2冷媒通路102に吐出され連結部33tに至る。ここで、除霜モードでは開閉弁16が閉鎖されているため、連結部33tのガス化が進行した冷媒は、四方弁7の第2ポート72、ひいては室外熱交換器8のポート8aに向かうことが禁止され、結果として、主帰還通路100、アキュムレータ18に流れ、更にアキュムレータ18を経て吸入ポート4iを介してコンプレッサ4に帰還する。
【0045】
上記したように本実施形態によれば暖房運転を実行させつつ除霜モードを実行する除霜暖房運転を実行するときには、室内熱交換器3を、凝縮熱を放出させる凝縮器として働かせる。さらに、通常暖房運転において蒸発器として働くはずの室外熱交換器8を、凝縮熱を放出させる凝縮器として働かせ、且つ、エンジン排熱式熱交換器9を、冷媒を蒸発させる蒸発器として働かせる。これにより暖房運転および除霜モードの双方を実施させる。このように本実施形態によれば、前述した特許文献1とは異なり、除霜モードで使用したガス状の冷媒を冷媒ポンプにより再び圧縮させて昇圧させる工程を必要としない。更にこの工程のための冷媒ポンプも必要としないで、暖房運転を実行させつつ室外熱交換器8の除霜モードを並行させて実行させることができる。
【0046】
(バイパス通路14のバイパス機能について)バイパス通路14は、除霜時において冷媒をバイパスさせて室外熱交換器8に供給させるバイパス機能1と、コンプレッサ4の冷媒吐出圧力が過剰に大きいときにおいて冷媒をバイパスさせてアキュムレータ18を介してコンプレッサ4に帰還させるバイパス機能2とを果たす。バイパス通路14がバイパス機能1を果たす要件は、バイパス通路14が室外熱交換器8と開閉弁16との間の第1冷媒通路101に連結していることである。具体的には、バイパス通路14は、通路101xか、通路101yのうち第2ポート72と開閉弁16との間か、いずれかで第1冷媒通路101に連結していることである。これに対して、バイパス機能2のための必須要件は、バイパス通路14が通路101yのうち第2ポート72と開閉弁16との間に連結していることである。それは冷房運転時にもバイパス機能を果たすためである。なぜなら、冷房運転時には、四方弁7は入口ポート70と第3ポート73とが連結され、第1ポート71と第2ポート72とが連結されているため、冷房運転時の場合、バイパス通路14が通路101xに連結しているとバイパス機能2を奏することができないためである。開閉弁16は、連結部33fと連結部33tの間に存在することが必要である。なお、図示されないものの、第2冷媒通路102は第1冷媒通路101に連結されず、第1冷媒通路101、第2冷媒通路102がそれぞれアキュムレータ18に直接連結されている場合もある。この場合、第1冷媒通路と第2冷媒通路との連結部はアキュムレータ18の入口になる。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成、および共通する作用効果を有する。本実施形態においても、前記した実施形態1と同様に、室内の暖房運転を実行させつつ室外熱交換器8の除霜モードを並行させて実行させる。この場合、高温高圧のガス状の冷媒は室外熱交換器8に供給されると共に、室内熱交換器3に供給される。このため、室内熱交換器3に供給される高温高圧のガス状の冷媒の単位時間当たりの流量が低下するため、暖房運転の暖房能力が低下するおそれがある。そこで本実施形態によれば、暖房運転を実行させつつ室外熱交換器8の除霜モードを並行させて実行させるときには、制御部65は、除霜モード実行前よりもエンジン6の回転数をN1からN2に増加させる。
【0048】
更に説明を加える。
図2に示す制御は通常暖房運転の開始と共に実行される。暖房運転時において室外熱交換器8に霜が着いたときには、制御部65で判定する着霜の判定条件を満たした場合には、制御部65は除霜モードを次のように開始する。
(1)除霜モードを開始する条件が満足されたか否かについて、制御部65は判定する(ステップS102)。除霜モードを開始する条件が満足されているときには(ステップS102のYES)、制御部65はバイパス弁15を開放させ、開閉弁16を閉鎖させる(ステップS104)。除霜モードを開始する条件が満足されていないときには(ステップS102のNO)、他の処理を行うべくメインルーチンにリターンする。
(2)コンプレッサ4から吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、前述したように室内熱交換器3に供給され、室内熱交換器3において室内空気と熱交換し、凝縮熱を放出させ、室内の暖房を実施する。一方で、バイパス通路14のバイパス弁15を出た高温高圧のガス状の冷媒は、開閉弁16が閉鎖されていることで、四方弁7の第2ポート72および第3ポート73の連通を介してポート8aから室外熱交換器8側へ流れ、高温高圧のガスと室外熱交換器8に付着している霜とが熱交換する。このため室外熱交換器8に付着している霜が溶解する。ここで室外熱交換器8を除霜させて室外熱交換器8において液化が進行した冷媒と、室内熱交換器3との熱交換(室内熱交換器3における凝縮による暖房作用)で液化が進行した冷媒は、前述同様に連結部33sで合流され、その後、ポート9iからエンジン排熱式熱交換器9に供給されてエンジン6排熱と熱交換されて加熱され、蒸発化が進行する。
(3)ここで、除霜暖房時には、室外熱交換器8に対する除霜作用及び室内熱交換器3における凝縮作用との双方を必要とする。このためコンプレッサ4の吐出ポート4pの吐出圧力が低下する。しかし制御部65はエンジン6の回転数を規定値増加させる(ステップS106)。これによりコンプレッサ4の吐出ポート4pの吐出圧力を上昇させ、室内機1の室内熱交換器3による暖房性能を維持させる。また、エンジン6の回転数が高くなることでエンジン6が発生させる排熱量が増加するため、エンジン排熱式熱交換器9自体における熱交換量が増加し、エンジン排熱式熱交換器9における蒸発熱源が良好に確保される。この意味においても、除霜暖房運転において除霜モードを実行させつつも暖房運転を良好に継続することができる
(4)除霜終了の判定条件を満たしたときには(ステップS108のYES)、制御部65は、バイパス弁15を閉鎖させてバイパス通路14を閉鎖させ、且つ、開閉弁16を開放させる(ステップS110)。この結果、コンプレッサ4の吐出ポート4pから吐出された高温高圧のガス状の冷媒を室外熱交換器8へ迂回させること(室外熱交換器8の除霜)を終了し、且つ、エンジン6の回転数を通常制御の回転数に戻し(ステップS112)、除霜制御を終了し、メインルーチンにリターンする。なお除霜モードの開始の判定(ステップS102)、除霜モード終了の判定(ステップS108)については、外気温度センサ82pで検知された外気温度と、温度センサ82a,82cで検知された室外熱交換器8におけるポート8a,8cのうちの冷媒の低温側の温度との差に基づいて判定することができる。このように外気温度と、室外熱交換器8におけるポート8a側の冷媒の温度と,ポート8c側の冷媒の温度との三者に基づいて判定することができる。更に、室外熱交換器8の内圧を考慮しても良い。
【0049】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。