(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線パターンは、前記アンテナにより送信又は受信する電波の中心周波数の波長λに対し、奥行き方向に長さがλ/4で間隔がλ/6の平行配線と、この平行配線を前記奥行き方向の端部で接続する端部配線と、前記平行配線に給電する給電配線と、を有していることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
前記電子ブロックは、ディスク状記録媒体の挿入口を有するディスクドライブユニットであり、前記挿入口が前記開口部の長辺に沿う方向となるよう配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
[全体構成]
【0011】
図1〜
図3を用いて、本発明の電子機器の実施例について説明する。この実施例は、ディスク駆動装置を備えた電子機器DKである。
図1は、電子機器DKの分解斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器DKのケース2を組み立てた状態の斜視図である。
図2では、
図1に示す化粧側板12、13および天板14を装着していない。
図3は、
図1に示す機器を化粧側板12、13および天板14を装着して組み立てた状態の、すなわち電子機器DKの外観斜視図である。
【0012】
電子機器DKは、電波の送信と受信との少なくとも一方を行って無線通信をするための回路を有する無線部1を備えている。無線通信方式は例えば無線LAN(IEEE802.11b/g/n)である。
【0013】
電子機器DKは、設置状態で天地方向が薄い扁平の六面体形状を呈し、概ね天地方向に2分された上ケース2aと下ケース2bとからなるケース2を筐体として備えている。
上ケース2aは、天板2atと右側板2amと左側板2ahを有して左右方向断面で略コ字状となるよう金属材で形成されている。
下ケース2bは、底板2bbと、底板2bbの右縁部から上方に向け立ち上がる右フランジ2bmと、底板2bbの左縁部から上方に向け立ち上がる左フランジ2bhと、底板2bbの後縁部から上方に向け立ち上がる背板2bsと、を有し、金属材で形成されている。
【0014】
電子機器DKは、上ケース2aと下ケース2bとが組み合わされた状態で、前方側が開放されている。すなわち、ケース2は、その前方側に、上ケース2aと下ケース2bとの前方側縁部によって形成される開口部3を有している。
無線部1は、ケース2内に納められている。
【0015】
電子機器DKでは、ケース2内に、ケース2とは別体のブロックとして金属の筐体を有するディスクドライブユニット4が収められている。
図4は、ディスクドライブユニット4の外観斜視図である。
ディスクドライブユニット4は金属の筐体4kを有しており、その前面に挿入口4aを有している。
ディスクドライブユニット4はケース2内の、左右方向が電子機器DKのほぼ中央であって、前方側に寄せた位置に収められている。
ディスクドライブユニット4の筐体4kにおける前方側の端面4ztは、フロントパネル11に当接、又は接近した位置にある。
【0016】
ディスクドライブユニット4は、Blu−ray Disc(登録商標),DVDなどのディスク状記録媒体(以下、単にディスクとも称する)を駆動し、ディスクに対し再生動作または記録動作を行う。
ディスクドライブユニット4は、ケース2の開口部3から臨める位置にディスクを外部から挿抜するための挿入口4aを有している。
挿入口4aは、その長手方向が電子機器DKの長手方向(左右方向)に沿うように設けられている。
ディスクドライブユニット4は、ケース2内に収められた外面部が金属材で形成された電子機器のブロック(電子ブロックとも称する)の一例として説明するものであり、電子ブロックはディスクドライブユニットに限定されるものではない。
電子ブロックには例えば、ハードディスクドライブユニットやチューナユニット、シールドされた基板ユニットなども含まれる。
【0017】
上ケース2a及び下ケース2bの前方側にはフロントパネル11が取り付けられている。開口部3はフロントパネル11により塞がれている。
フロントパネル11は、非金属部材としての樹脂材で形成されており、挿入口4aに対応した位置で挿入口4aを含む領域に開口部11aが形成されている。
【0018】
フロントパネル11の中央部分には、開口部11aを塞ぐように左右方向を長手とする概ね長方形のドア15を設けてもよい。
図1〜
図3はドア15を設けた状態を示している。以下、ドア15を設けた場合について説明する。
ドア15は、アルミニウム材で形成されている。
ドア15は、
図2に示す位置(フロントパネル11の中央位置)を標準位置とし、この標準位置と、ドア15の下端がフロントパネル11の下端よりも下方となる位置であるディスク挿抜位置との間で往復移動が可能とされている。
ドア15が標準位置にあるとき開口部11aはドア15で塞がれている。
ドア15がディスク挿抜位置にあるとき開口部11aは外部に露出し、ディスクドライブユニット4へのディスクの挿抜ができるようになっている。
ドア15の標準位置とディスク挿抜位置との間の移動は、図示しないドア駆動機構等により制御される。
【0019】
ドア15は、その左端部15ht及び右端部15mtが、それぞれディスクドライブユニット4の左端部4ht及び右端部4mt(
図4参照)よりも左右方向で外側に位置する大きさで形成されている。
ドア15を有さない場合は、非金属部材で形成されたドア(図示せず)を設けてもよく、ドアを設けず開口部11aを露出させてもよい。
【0020】
図1に示すように、上ケース2aの右側板2amには、フロントパネル11側から後方に向けて切り込まれた切り欠き5が設けられている。切り欠き5は左側板2ahにも同様に設けられている。切り欠き5の端辺7はディスクドライブユニット4の筐体4kにおける前方側の端面4ztよりも奥行き方向で奥側にある。
上ケース2aの天板2atには、開口部11a及び右側板2amに寄せて切り欠き8が設けられている。
【0021】
電子機器DKは、無線部1のアンテナとして、アンテナエレメントが配線パターンとして形成されたアンテナ基板6を、筐体(ケース2)の左右の側部に一つずつ有する。すなわち、電子機器DKはアンテナエレメントを一対有する。無線部1は、ダイバーシティにより、一対のアンテナエレメントのうちの良好な方を優先的に選択してもよい。
ここで、アンテナ基板6について詳述する。
【0022】
[アンテナ基板]
図5は、アンテナ基板6の一例を説明する図である。ここでは、配線パターンをいわゆる「フォークヘンテナ」と呼ばれるアンテナエレメントとした例を示す。
【0023】
アンテナ基板6には配線パターン6aが形成されている。
配線パターン6aは平行配線31、32と、平行配線31、32を
図5の紙面では左右方向である奥行き方向の端部で接続する端部配線33と、平行配線31、32に給電する給電配線34とを有する。
【0024】
給電配線34は同軸ケーブルを接続するための接続端子35を有する。
配線パターン6aによるアンテナエレメントは、特定の方向に際だって大きい指向性を示すものではないが、平行配線31、32の開放端側(
図5の左側)にやや強い指向性を示す。
【0025】
平行配線31、32の奥行き方向の長さは、無線部1が送信または受信する電波の中心周波数(例えば2.4GHz帯)の波長λに対して、λ/4である。
平行配線31、32の天地方向(
図5の上下方向)の間隔はλ/6である。平行配線31、32の奥行き方向の長さ及び天地方向の間隔のλ/4及びλ/6は、完全なλ/4、λ/6に限定されるものではなく、許容誤差範囲を含む。
平行配線31、32の奥行き方向の長さ及び天地方向の間隔のλ/4及びλ/6からの許容誤差範囲は例えば電波の受信状況を測定し、実測から導くことができる。
【0026】
アンテナ基板6は、固定のための孔36を有する。
アンテナ基板6は、少なくとも配線パターン6aが、ケース2に対して、次に説明する線分Lを含む基準面KMよりも外側(ケース2の中心23を含まない側)となる領域に位置するよう取り付けられている。
【0027】
アンテナ基板6の取り付け位置について、
図1、
図2,
図6,
図7及び
図8を参照して具体的に説明する。
図6は
図1〜
図3に示す電子機器DKにおけるアンテナエレメントの位置とアンテナ感度を説明する図である。
図6は、電子機器DKを天面側から見た図である。電子機器DKを天面側から見たときのアンテナエレメントの位置を点AT1、
図1、
図8に図示される切り欠き5における後方側最奥の端辺7の位置を点21、電子機器DKの前面で内の左右方向の最も外側に位置する電波遮蔽物の位置を点22で示している。
【0028】
電子機器DKがドア15を有する場合には、
図2に図示される金属製のドア15における左端部15ht,右端部15mtと、
図1、
図4などに示されるディスクドライブユニット4の金属の筐体4kにおける前方側端面の左右端辺である左端部4ht及び右端部4mtとの内の左右方向外側に位置している方の端辺を天面側から見た位置が点22となる。電子機器DKがドア15を有さない場合には、ディスクドライブユニット4の筐体4kにおける前方側端面の左端辺4htおよび右端辺4mtを天面側から見た位置が点22となる。
図7は
図6に示す説明図の一部を拡大した図である。
【0029】
線分Lは、電子機器DKを天面側から見たときに、左側板2ah及び右側板2amの各切り欠き5における、後方側最奥の端辺7の位置(点21)と、電波の障害部材となる金属製のドア15における左端部15ht,右端部15mt(点22)とをそれぞれ結ぶ線として仮想的に決められる。すなわち線分Lは左右で一対決められる。
【0030】
基準面KMは、線分Lを含み天地方向に延在する鉛直面として決められる。
アンテナ基板6は左側板2ahと右側板2amとのそれぞれに、アンテナエレメントである配線パターン6aが、基準面KMよりも外側に位置するように固定されている。
図6、
図7ではアンテナエレメントを便宜的に点AT1として示しているが、実際にはアンテナエレメントは所定の大きさで形成されているので、アンテナエレメント全体が基準面KMよりも外側に位置するように固定されることが望ましい。
【0031】
ケース2の開口部3は、ディスクの挿入口4aを含む領域を除いて、非金属のフロントパネル11により覆われる。
フロントパネル11には、挿入口4aを含む領域に開口部11aが設けられている。
切り欠き5及びアンテナ基板6を含め、ケース2の少なくとも左側面,右側面,及び上面は、それぞれ非金属の化粧板である化粧側板13,12,及び天板14により覆われる。
図3において、右側面側の切り欠き5及びアンテナ基板6をアンテナ部16とすると、アンテナ部16は、化粧側板12により覆われる。
図3ではアンテナ部16を破線で示す。
【0032】
図1に示すように、ドア15は、標準位置で、少なくとも開口部11a及びディスクドライブユニット4の挿入口4aを覆うように設けられている。
ドア15は、標準位置で電子機器DKを操作するための操作パネル(図示せず)の一部、又は全部を覆い、ディスク挿抜位置でそれらを露出するように設けてもよい。
ドア15は、切り欠き部5の端辺7よりも前面側にある。
【0033】
[アンテナ感度]
電子機器DKは、アンテナエレメントが基準面KMより外側に配置されている。
図6、7において、線分L21は、電子機器DKを天面側から見たときの、点AT1を基点とし、点21を通る仮想線分である。線分L22は、点AT1を基点とし、点22を通る仮想線分である。
電子機器DKは、天面側から見たときに、線分L21に対して外方側及び線分L22に対して外方側に良好なアンテナ感度をもっている。
【0034】
その結果、
図6に示すように電子機器DKは、アンテナエレメントである、左右一対の配線パターン6aにより、左側の線分L21hと右側の線分L21mとにより形成される優角に対応した角度範囲AR1で特に良好なアンテナ感度をもつ。
従って、電子機器DKは、機器の前方から後方へ至る広い角度範囲から入来する電波を良好に受信することができる。
また、電子機器DKは、電波を、前方から後方へ至る広い角度範囲に良好に送信することができる。
また、電子機器DKは、ディスクドライブユニット4のように、ケース2内の配置に制約がある金属筐体を有する電子ブロックを収容する場合でも、ケース2及び電子ブロックによる電波の遮蔽効果の低下を最小限に抑え、かつ前方および側方に対するアンテナ感度を良好に確保することができる。
無線部1は、ダイバ−シティにより一対のアンテナエレメント(配線パターン6a)の内の良好な方を優先的に選択する。
【0035】
切り欠き5は、ケース2がアンテナ基板6における配線パターン6aを覆うことのない(重なることのない)寸法で形成される。切り欠き5の奥行き方向の長さはλ/4以上、天地方向の長さはλ/6以上の寸法で形成されることが望ましい。
切り欠き5は、ケース2の強度及び、ケース2の内部に収容された電子ブロック4から出る不要輻射を遮断するため、なるべく小さく形成することが望ましい。
例えば、切り欠き5の奥行き方向の長さはλ/4で形成される。
切り欠き5の奥行き方向の長さはλ/4に限定されることなく、許容誤差範囲を含む。
許容誤差範囲は例えば電波の受信状況を測定し、実測から導くことができる。
図5に示すアンテナエレメントは、特定の方向に強い指向性を示すものではなく、広いエリアをカバーする指向性を有する。
電子機器DKは上ケース2aの天板2atに設けた切り欠き8によって天地方向のアンテナ感度を確保する。
切り欠き8は、開口部11a及び右側板2amに寄せて、左右方向の長さλ/4以上、奥行き方向の長さλ/4以上の寸法で形成されている。上ケース2aの天板2atには、開口部11a及び左側板2ahに寄せて切り欠き8と同様の切り欠きを設けても良い。
【0036】
[アンテナ基板の取り付け]
図8は、
図5に示すアンテナ基板6をフロントパネル11およびケース2に取り付ける構造の一例を説明する図である。
【0037】
この例では、フロントパネル11の短辺の中央部に、アンテナ基板6の切り欠き6b(
図5参照)が嵌り込む凸部11pが設けられている。
アンテナ基板6は凸部11pに切り欠き6bを嵌め込んだ状態で、上下のケース2(上ケース2a、下ケース2b)を組み合わせることによりケース2に固定されている。
アンテナ基板6は、ケース2の内側の面に密着するよう配置されるが、アンテナ基板6の少なくとも配線パターン6aは、切り欠き5に対応した位置に配置されて露出している。
例えば基準面KMとアンテナ基板6とが交わる位置にある場合、配線パターン6aは基準面KMよりも外側に位置し、基準面KMが交わる位置が
図5に示す仮想線分P1より後方(
図5紙面右)に位置するように固定されることが望ましい。
配線パターン6aの上下方向の位置は、配線パターン6aの上端(
図8に示す位置Q11)と下端(
図8に示す位置Q12)の位置が切り欠き5の上端(
図8に示す位置R11)と下端(
図8に示す位置R12)の位置から離れるように配置されている。
図8に示す配線パターン6aの上端と切り欠き5の上端との距離H1と配線パターン6aの下端と切り欠き5の下端との距離H2がそれぞれ最も大きくなるように配置されることが望ましい。
【0038】
アンテナ基板6はケース2の右側板2amに設けられた孔(図示せず)及びアンテナ基板6に設けられた孔36に雄ねじ41を挿通し、雄ねじ41に図示しないナットを螺合させることによりケース2に固定されている。
【0039】
図9〜
図11は、
図5に示すアンテナ基板6をケース2に取り付ける別の構造を説明する図である。
図9は、この別の構造でアンテナ基板6をケース2に取り付ける取り付け構造を示す。
図10は、
図9に示す取り付け構造を用いる場合の化粧側板12の構造例を示す図である。
図11は、
図9に示す取り付け構造を用いる場合の化粧側板12の別の構造例を示す図である。
【0040】
図9に示す例では、アンテナ基板6は、ケース2における右側板2amの外側の面に、雄ねじ41により取り付けられている。
この場合、孔36は雄ねじ41が挿通される貫通孔として形成され、ケース2側に雌ねじが形成されている。
アンテナ基板6は、ケース2より外側に配置されている。
この構造例では、化粧側板12、13には、アンテナ基板6を収容する凹部12hkが設けられている。
図10及び
図11は、化粧側板12の例を示しており、化粧側板13も同様である。
化粧側板12、13の内面と右側板2amとの間には、凹部12hkにより空間が形成される。
【0041】
図10に示す例では、化粧側板12の外側の表面12aは平坦であり、内面側にアンテナ基板6を収容する空間V1が設けられている。
図11に示す例では、アンテナ基板6を収容する空間V2に対応して、化粧側板12の外側に突出する膨らみ部12bが設けられている。
【0042】
図12は、
図5に示すアンテナ基板6の更に別の取り付け構造を示す図である。
この構造では、アンテナ基板6が、ケース2ではなく、切り欠き5を覆う非金属部材としての化粧側板12、13に取り付けられている。
図12では化粧側板13の例を示しており、化粧側板12も同様である。
側板12、13には、アンテナ基板6を係止するためのフック42が設けられている。
【0043】
図13は、
図5に示すアンテナ基板6のさらに別の取り付け構造を示す図である。この構造では、アンテナ基板6が、その基板面をケース2の切り欠き5が設けられた右側板2amの表面と直交するように取り付けられる。
すなわち、アンテナ基板6は、その基板面が天板14の面と平行になるよう配置されている。具体例として、アンテナ基板6はフロントパネル11にその内面から突出するよう設けられた取り付け具43により取り付けられている。
例えば、
図1に示すように、2つのアンテナ基板6がケース2の開口部3の両側に配置される場合には、その一方が、
図13に示す構造で取り付けられていてもよい。
この場合、2つのアンテナ基板6の基板面は互いに直交するので、入来する電波の偏波方向によらずに良好な受信を行うことができる。
また、偏波方向が互いに直交する電波を送信するので、受信者は、受信者側のアンテナの偏波方向によらず良好に受信をすることができる。
【0044】
以上の説明では、ケース2の開口部3における左右方向の両側にそれぞれアンテナ基板6を配置するものとして説明したが、アンテナ基板6を開口部3の左右方向の一方側だけに配置することもできる。
また、ディスクドライブユニット4又はドア15を電波の障害部材とした場合を例として説明したが、電波の障害部材はケース2の開口部3に配置されるものであれば、他の部材であってもよい。
【0045】
上述したように、外部から挿抜されるディスクを駆動するディスクドライブユニット4を内蔵する電子機器では、ディスクドライブユニット4をケース2内のできるだけ前方に配置する必要がある。
本実施例では、このようなケース2内の機器の配置に制約がある場合でも、ケースによる電磁波の遮蔽効果の低下を最小限に抑え、かつ前方から後方に至る極めて広い角度範囲でアンテナ感度を確保することができる。
【0046】
また、上記説明では、無線部1はケース2の内部に配置されているが、位置は限定されずケース2の外側に配置してもよい。
また、アンテナ基板6の配線パターン6aはフォークヘンテナでなくてもよい。
【0047】
[変形例]
アンテナ基板6を左右側板2am,2ahに直接固定せずに、基板ホルダを用いて固定する構造としてもよい。
図14及び
図15は、上述した実施例のアンテナの配設構造における変形例で用いられるアンテナ基板66と、アンテナ基板66を保持した基板ホルダKHとを示している。
図15は模式図である。
【0048】
アンテナ基板66は、概ね長方形の板状に形成されており、アンテナエレメントとしてプリントされた配線パターン66aと、無線LANで通信を可能とする通信モジュール部66bと、アンテナ基板66と外部との間での信号の授受を行うためのコネクタ部66kと、を有している。
配線パターン66aは、プリント基板66におけるその長手方向の一方の先端側に設けられている。
【0049】
基板ホルダKHは、アンテナ基板6と略同じ外形寸法で形成されている。
基板ホルダKHは、樹脂で形成され、弾性を有する保持腕KH1とアンテナ基板66に形成された孔66cと係合するボスKH2などとにより、ねじを使わずにアンテナ基板66を保持する。
基板ホルダKHは、アンテナ基板66の配線パターン66aが基板ホルダKHと重ならずに露出するようにアンテナ基板66を保持する。
基板ホルダKHは、
図15における左右方向を長手とする板状に形成されている。
基板ホルダKHは、アンテナ基板66を、アンテナ基板66の長手方向が基板ホルダKHの長手方向と直交する姿勢で保持する。
基板ホルダKHの両短辺それぞれの中央には、スリットKH3,KH4が形成されている。
【0050】
アンテナエレメントとしての配線パターン66aは、無線LANの波長に同調する長さになっており、例えば1/4λのモノポールアンテナを形成している。
【0051】
図16は、アンテナ配設構造の変形例を搭載した電子機器DKの右前方部分において、化粧側板12,天板14,及び上ケース2aを外した状態を示す斜視図である。
図16は、アンテナ基板66を固定する雄ねじも外した状態を示している。
基板ホルダKHはスリットKH3,KH4が、それぞれ下ケース2bの右フランジ2bmに設けられた切起こし部2bm1とフロントパネル11の図示しない突部に係合することにより位置決めされる。
【0052】
図17は、
図16に対して上ケース2aを取り付けた状態を示している。
図17に示すように、基板ホルダKHは雄ねじSCを、下ケース2bに設けられた雌ねじ2bmnに対して上ケース2aと基板ホルダKHとを間に挟むように螺合させることで固定されている。
上ケース2aには、右側板2aにおける前方側に切り込み5が形成されている。変形例においても、アンテナ基板66は、配線パターン66aが、上述した実施例と同様に基準面KMよりも外側に位置するように取り付けられている。
例えば基準面KMとアンテナ基板66とが交わる位置にある場合、配線パターン66aは基準面KMよりも外側に位置し、基準面KMが交わる位置が
図12に示す仮想線分P2より後方(
図14紙面左)に位置するように固定されることが望ましい。
【0053】
図16及び
図17において、アンテナ基板66は、配線パターン66aが基板ホルダKHに対して上方に露出するように保持されている。
具体的には、
図14に示されるように、配線パターン66aが基板ホルダKHにならずその外側に位置するように保持されている。
これにより、配線パターン66aの天地方向の位置は、電子機器DKの天地方向の中央よりも上方側にある。
一般に、室内設置のAV機器は、部屋の下方側に設置される場合が多いので、配線パターン66aの天地方向位置が電子機器DK内の上方側にあることで、地側よりも天側に良好な感度が得られ、室内設置の場合、送受信状況がより良好になる。
電子機器DKにドア15が設けられていても、天地方向のアンテナ感度にドア15の影響を受けにくくなるので、配線パターン66aの天地方向位置が電子機器DK内の上方側にあることが好ましい。
【0054】
図18は電子機器DK内のディスクドライブユニット4の配置について説明する図である。ディスクドライブユニット4の筐体4kにおける前方側の端面4zt(
図4参照)はフロントパネル11に当接または近接した位置にある。
また、ディスクドライブユニット4の筐体4kにおける前方側の端面4ztの左端辺4htおよび右端辺4mtもフロントパネル11に当接または近接した位置にある。
【0055】
図19は、電子機器DKがディスクドライブユニット4を有する場合における配線パターン66aとディスクドライブユニット4との天地方向の位置関係を示す説明図である。
図19において、配線パターン66aの一部はディスクドライブユニット4の天板4tより上方に位置している。
具体的には、配線パターン66aの最上端部はディスクドライブユニット4の筐体4k
の天板4tより距離H3だけ上方に位置している。
図19のような配置とすることで、左右方向(
図19の紙面表裏方向)に良好なアンテナ感度を保つことができる。距離H3はできるだけ大きい方がよい。
【0056】
図20は、電子機器DKがディスクドライブユニット4を有する場合における配線パターン66aとディスクドライブユニット4との天地方向のよりよい位置関係を示す説明図である。
図20において、配線パターン66aの最下端部(例えば
図14で示す仮想線分Q2の位置)はディスクドライブユニット4の天板4tより距離H4だけ上方に位置している。
図20のような配置とすることで、左右方向(
図20の紙面表裏方向)にさらに良好なアンテナ感度を保つことができる。距離H4はできるだけ大きいことが望ましい。
【0057】
図21は、電子機器DKが金属のドア15を有する場合における配線パターン66aとドア15との天地方向の位置関係を示す説明図である。
図21において、配線パターン66aの一部はドア15の上端部15tより上方に位置している。
具体的には、配線パターン66aの最上端部はドア15の上端部15tより距離H5だけ上方に位置している。
図21のような配置とすることで、ドア15の存在によらず良好なアンテナ感度を保つことができる。距離H5はできるだけ大きい方がよい。
【0058】
図22は、電子機器DKがドア15を有する場合における配線パターン66aとドア15との天地方向のよりよい位置関係を示す説明図である。
図22において、配線パターン66aの最下端部はドア15の上端部15tより距離H6だけ上方に位置している。
図22のような配置とすることで、左右方向(
図22の紙面表裏方向)にさらに良好なアンテナ感度を保つことができる。距離H6はできるだけ大きいことが望ましい。
【0059】
電子機器DKがディスクドライブユニット4とドア15との両方を備えている場合には、どちらか、より上方に位置する方の上端より上方に配線パターンを配置することが望ましい。
また、電子機器DKにおいて、ディスクドライブユニット4又はドア15が上方に偏って配置されている場合は、配線パターン66aをディスクドライブユニット4又はドア15の下端より下方に配置してもよい。
【0060】
実施例及びその変形例では、アンテナ基板66におけるアンテナエレメントを配線パターン66aによって形成した例を説明したが、これに限らずチップアンテナなどを用いてもよい。その場合、配線パターン66aをチップアンテナに置き換えて、例えば、チップアンテナをディスクドライブユニット4やドア15の上端よりも上方に配置されているとよい。
実施例及びその変形例では、アンテナがフロントパネル11、化粧板12、化粧板13、天板14に覆われているので、外観上もよい。
【0061】
実施例及びその変形例では、無線部は、通信の送受信の双方を行うものとして説明したが、送受信の双方を行うものに限らない。送信と受信のいずれか一方のみであってもよい。
実施例及びその変形例では、アンテナ基板は、左右一対に設けたが、左右どちらか片方であってもよい。アンテナ基板を左右二対以上設けてもよい。
【0062】
以上の説明では、方向を示すために「前」、「後」、「左」、「右」、「天」および「地」という語を用いたが、これらは実際の機器における特定の方向を示すものではなく、単に説明のために用いたものである。