(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
  負荷として用いられるLEDの照明は、従来の白熱電球と比較して発光効率が5倍あり、また蛍光灯に対して寿命が4倍長い利点を有するが、LED駆動装置としての点灯回路が大型でコストが高い。その理由は、従来の点灯回路は、交流電源からの交流電圧をダイオードブリッジで全波整流し、その整流出力を昇圧回路で昇圧して、複数のLEDを直列接続したLED列と抵抗との直列回路に、昇圧した直流電圧を供給する構成となっているが、昇圧回路はトランジスタなどのスイッチング素子の他に、当該スイッチング素子のスイッチングを制御するための制御ICや、エネルギー蓄積及び放出用のコイルや電解コンデンサなどを含み、多数の電子回路を使用するために、実装回路全体の薄型化並びに体積の増加及びコスト高を回避できないことにある。
【0003】
  また別な問題として、電解コンデンサはLEDよりも寿命が短く、LED本来の利点である長寿命化を活かせない。さらに、力率改善を目的として組み込まれた昇圧回路は、高周波でスイッチング素子をスイッチング動作させる必要があり、点灯回路から交流電源にノイズが伝搬して、テレビ受像機やラジオなどの電子機器に電波障害などの悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
  上記問題に対処するために、特許文献1では、ダイオードブリッジと直列負荷回路との間に昇圧回路を組み込むことなく、抵抗や定電流ダイオードなどの駆動子だけで力率を改善し得るLEDの駆動装置を提案している。
【0005】
  図9は、特許文献1で提案された回路図を示している。同図において、1は交流電源、2は交流電源1からの交流電圧を全波整流するダイオードブリッジであり、当該ダイオードブリッジ2は4つのダイオード、すなわち第1ダイオード3,第2ダイオード4,第3ダイオード5及び第4ダイオード6をブリッジ接続して構成される。ここでは、交流電源1の第1出力端子11に第1ダイオード3のアノードと第3ダイオード5のカソードが接続され、交流電源1の第2出力端子12に第2ダイオード4のアノードと第4ダイオード6のカソードが接続され、第1ダイオード3と第2ダイオード4のカソードどうしを接続して、ダイオードブリッジ2の第1出力端子13とし、第3ダイオード5と第4ダイオード6のカソードどうしを接続して、ダイオードブリッジ2の第2出力端子14としている。これにより、ダイオードブリッジ2の第2出力端子14を基準として、第1出力端子13に正極性の全波整流された電圧波形が生成するようになっている。
【0006】
  7はLED駆動装置に接続される負荷としてのLEDで、複数個のLED7を直列接続したLED列17A,17Bを複数備えている。本図では便宜上、n個のLED7からなるLED列17Aと、(n+a)個のLED7からなるLED列17Bが有るものとする(n,aは何れも自然数)。
【0007】
  ここで一方のLED列17Aに着目すると、LED列17Aの一端は駆動子21Aの第2接点23Aに接続され、またLED列17Aの他端はダイオードブリッジ2の第2出力端子14に接続される。駆動子21Aの第1接点22Aはダイオードブリッジ2の第1出力端子13に接続され、これにより駆動子21AとLED列17Aとの直列回路が、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に接続される。さらにここでは、駆動子21Aとは別な駆動子31Aが設けられ、その第1接点32Aがダイオードブリッジ2の第1出力端子13に接続され、第2接点3
3AがLED列17Aの何れか二つのLED7,7の間に接続される。
【0008】
  上記LED列17A及び駆動子21A,31Aの回路構成は、別なLED列17Bにも同様に設けられる。すなわち、駆動子21BとLED列17Bとの直列回路が、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に接続されると共に、駆動子31Bの第1接点32Bがダイオードブリッジ2の第1出力端子13に接続され、駆動子31Bの第2接点3
3BがLED列17Bの何れか二つのLED7,7の間に接続される。こうして、LED列17A及び駆動子21A,31Aからなる回路と、LED列17B及び駆動子21B,31Bからなる回路が、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に並列接続される。
【0009】
  またここでは、駆動子21A,21Bが何れも電気抵抗であるとし、駆動子31A,31Bが何れも定電流ダイオードであるとする。したがって駆動子31A(または駆動子31B)は、第1接点32Aと第2接点33Aの間に印加される電圧が所定値を超えるまでは、その電圧に応じた電流を第1接点32Aから第2接点33Aに向けて流すようにし、前記印加される電圧が所定値を超えると、第1接点32Aから第2接点33Aに向けて流れる電流を一定値に制限する特性を有する。
【0010】
  図10は、上記負荷駆動装置の動作原理を説明するために、交流電源1から負荷駆動装置に供給される正弦波Sを分割した状態の模式図を示している。ここに示すのは、ダイオードブリッジ2で整流された正電圧の半周期の正弦波Sであり、正弦波Sが多数の領域bに分割される。
【0011】
  図9に示す回路では、LED列17Aを構成するLED7の数が、LED列17Bを構成するLED7の数よりも少ないので、正弦波Sの電圧が0から上昇するに従って、先ず領域b1に対応したLED列17Aが点灯し、その後に領域b2に対応したLED列17Bが点灯するようになる。したがって、
図9では図示していないが、LED列BよりもLED7の個数を増やした別なLED列があれば、当該LED列が領域b3に対応して、LED列17Bの後に点灯するようになり、同様な考えで別なLED列を順に点灯させることが可能になる。このように、正弦波Sの電圧が高くなるほど、駆動されるLED列17A,17B,…の数が多くなって、これらのLED列17A,17B,…を流れる電流量も増加するので、従来のような昇圧回路を組み込んだことによる諸問題を解決して、力率を効果的に改善することが可能になる。
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
  しかし、上記
図9に示す負荷駆動装置では次のような問題がある。
【0014】
  LED列17Aには駆動子21Aを通してダイオードブリッジ2から電流i1が流れる他に、別な駆動子31Aを通してもダイオードブリッジ2から直接的に電流i2が流れる。そのため、LED列17A当りの定電流ダイオード損失が、電流制限を受けていない1個の駆動子31Aに集中する。
【0015】
  また、駆動子31Aの第2接点33Aとダイオードブリッジ2の第2出力端子14との間に接続されるLED7には、駆動子21A,31Aからの加算した電流i1+i2が流れ込む(例えばi1=i2であれば、LED列17Aのそれ以外のLED7と比較して2倍の電流が流れる)。
【0016】
  つまり、
図9に示す負荷駆動装置では、駆動子31Aや、駆動子31Aの第2接点33Aとダイオードブリッジ2の第2出力端子14との間に接続されるLED7の損失が、他のLED7や駆動子21Aの損失よりも大きくなって、回路素子の発熱が不均一なものとなり、負荷を含めた放熱設計が難しいものとなる。
【0017】
  しかも、一つのLED列17Aのなかで、電流i1だけが流れ込むLED7と、電流i1+i2が流れ込むLED7が存在するので、同じ特性のLED7を使用することができない。
【0018】
  こうした問題は、他のLED列17Bとこれに接続する駆動子31Bについても同じことが言える。
【0019】
  本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、簡単な構成で力率の改善を図りつつも、同一特性の負荷や素子を用いることができ、しかも負荷を含めた放熱設計を簡素化することが可能な負荷駆動装置および負荷ユニットを提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0020】
  請求項1に係る発明の負荷駆動装置は、複数の負荷を直列接続した負荷列
に電流制限素子を直列に接続し
、前記複数の負荷の一部に定電流素子を並列に接続した直並列回路を、交流電圧または整流電圧の出力端子間に複数個並列に接続して構成され、
前記定電流素子を並列に接続していない負荷の個数が、前記
複数の直並列回路で個々に異なるように
構成したことを特徴とする。
【0021】
  この場合の定電流素子は、それぞれの負荷に一つずつ並列接続してもよいし、複数の直列接続した負荷を跨いで、一つの定電流素子を並列接続してもよい。
【0022】
  請求項2に係る発明の負荷駆動装置は、交流電源からの交流電圧を整流電圧に変換して、前記出力端子に出力する整流器をさらに備えたことを特徴とする。
【0023】
  請求項3に係る負荷ユニットは、請求項1または2記載の負荷駆動装置と前記負荷列とを接続して構成したものである。
【0024】
  請求項4に係る負荷ユニットは、電球型,丸管蛍光管型または直管蛍光管型の筐体に収容されることを特徴とする。
【0025】
  請求項5に係る負荷ユニットは、前記負荷駆動装置と前記負荷列とを、単一の基板に実装して構成される。
 
【発明の効果】
【0026】
  請求項1の発明によれば、交流電圧または整流電圧が上昇するに従って、定電流素子を並列に接続していない残りの負荷の数が少ない直並列回路から、電流制限素子と定電流素子を通して残りの負荷に電流が流れ込んで、残りの負荷が順次駆動し始め、その後で交流電圧または整流電圧がさらに上昇すると、今度は電流制限素子を通して全ての負荷に電流が流れ込んで、全ての負荷が駆動し始める。したがって、定電流素子と電流制限素子を付加しただけの簡単な構成で、負荷駆動装置に印加される電圧波形に近似した低ノイズ電流波形が得られ、力率の改善を図ることができる。
【0027】
  また、各々の直並列回路において、負荷列を構成する全ての負荷と定電流素子は、何れも共通の電流制限素子により電流制限される。したがって、残りの負荷だけが駆動する時に、その残りの負荷を流れる電流量と、定電流素子を流れる電流量は、電流制限素子を流れる電流量と一致し、また全ての負荷が駆動する時に、その全ての負荷を流れる電流量は、やはり電流制限素子を流れる電流量と一致する。そのため、負荷列を構成する全ての負荷と、全ての定電流素子はそれぞれ同一特性のものを利用でき、負荷を含めた放熱設計を簡素化することが可能になる。
【0028】
  請求項2の発明によれば、整流機能を内蔵する負荷駆動装置を提供することができる。
【0029】
  請求項3の発明によれば、負荷駆動装置がコイルや電解コンデンサを含まないため、負荷ユニットにおける部品の配置自由度が向上する。
【0030】
  請求項4の発明によれば、外付けの電源コンバータなどを設けなくても、筐体に、負荷駆動装置と全ての負荷列を内蔵させることができ、全体を小型にかつ軽量にすることが可能になる。
【0031】
  請求項5の発明によれば、基板の片面または両面に沿って部品を配置することで、負荷ユニットとしての薄型化を達成できる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0033】
  以下、本発明で提案する負荷駆動装置と負荷ユニットの好適な実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、背景技術で示した
図9の回路と共通するものには共通の符号を付し、その説明については重複を避けるために極力省略する。
 
【0034】
  図1は、好ましい負荷駆動装置の一例を示す回路図であって、ここで用いる負荷は、LED71A〜76Aを直列接続したLED列17Aと、LED71B〜76Bを直列接続したLED列17Bと、LED71C〜76Cを直列接続したLED列17Cと、LED71D〜76Dを直列接続したLED列17Dとにより、合計で4つのLED列17A〜17Dと、各LED列17A〜17Dにつき6個のLED71A〜76A,71B〜76B,71C〜76C,71D〜76Dで構成される。LED列17A〜17Dの数と、各LED列17A〜17DにおけるLEDの数については何れも特に限定されず、また各LED列17A〜17Dを構成するLEDの個数を全て同一にする必要もない。LED列17Aにおいて、LED71A〜76Aは同じ特性のものが用いられ、同方向に直列接続される。これは、他のLED列17B〜17Dも同じである。
 
【0035】
  負荷駆動装置としてのLED駆動回路100は、整流器としてのダイオードブリッジ2の他に、個々のLED列17A〜17Dに一つずつ直列接続される抵抗41A〜41Dと、LED列17Aのなかで、4個のLED71A〜74Aに並列接続される定電流ダイオード51A〜54Aと、LED列17Bのなかで、3個のLED71B〜73Bに並列接続される定電流ダイオード51B〜53Bと、LED列17Cのなかで、2個のLED71C〜72Cに並列接続される定電流ダイオード51C〜52Cと、LED列17Dのなかで、1個のLED71Dに並列接続される定電流ダイオード51Dとからなり、スイッチング素子やコイル,コンデンサなどの部品を用いない構成となっている。
 
【0036】
  なお本実施例では、例えばLED列17Aに関し、各LED71A〜74Aに対応して定電流ダイオード51A〜54Aを一つずつ並列接続しているが、複数の直列接続したLED(例えば、2つのLED71A,72A)を跨いで、一つの定電流ダイオードを並列接続してもよい。これは他のLED列17B〜17Dでも同じことがいえる。
 
【0037】
  抵抗41AとLED列17Aとの直列回路,抵抗41BとLED列17Bとの直列回路,抵抗41CとLED列17Cとの直列回路,抵抗41DとLED列17Dとの直列回路は、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に並列接続される。これにより本実施例では、LED列17Aに抵抗41Aと定電流ダイオード51A〜54Aを接続した第1回路81Aと、LED列17Bに抵抗41Bと定電流ダイオード51B〜53Bを接続した第2回路81Bと、LED列17Cに抵抗41Cと定電流ダイオード51C,52Cを接続した第3回路81Cと、LED列17Dに抵抗41Dと定電流ダイオード51Dを接続した第4回路81Dがそれぞれ形成される。
 
【0038】
  ここで前記第1回路81Aに着目すると、本実施例ではダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に、抵抗41Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続した一部のLED71A〜74Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続していない残りのLED75A,76Aとを直列に接続しており、電流制限用の抵抗41AとLED75A,76Aに同じ電流が流れるように定電流ダイオード51A〜54Aの接続を工夫している。同様に第2回路81B〜81Dについても、本実施例ではダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に、抵抗41Bと、定電流ダイオード51B〜53Bを並列接続した一部のLED71B〜73Bと、定電流ダイオード51B〜53Bを並列接続していない残りのLED74B〜76Bとを直列に接続し、抵抗41Cと、定電流ダイオード51C,52Cを並列接続した一部のLED71C,72Cと、定電流ダイオード51C,52Cを並列接続していない残りのLED73C〜76Cとを直列に接続し、さらに抵抗41Dと、定電流ダイオード51Dを並列接続した一部のLED71Dと、定電流ダイオード51Dを並列接続していない残りのLED72D〜76Cとを直列に接続しており、やはり抵抗41BとLED74B〜76B,抵抗41CとLED73C〜76C,抵抗41DとLED72D〜76Dのそれぞれについて、同じ電流が流れるように工夫している。
 
【0039】
  そして第1回路81Aでは、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続していないLED75A,76Aが2つあり、第2回路81Bでは、定電流ダイオード51B〜53Bを並列接続していないLED74B〜76Bが3つあり、第3回路81Cでは、定電流ダイオード51C,52Cを並列接続していないLED73C〜76Cが4つあり、第4回路81Dでは、定電流ダイオード51Dを並列接続していないLED72D〜76Dが5つある。このように、第1回路81A〜81Dにおいて、定電流ダイオード51Aを並列接続していない75A,76Aと、定電流ダイオード51B〜53Bを並列接続していないLED74B〜76Bと、定電流ダイオード51C,52Cを並列接続していないLED73C〜76Cと、定電流ダイオード51Dを並列接続していないLED72D〜76Dとの個数を異ならせることで、ダイオードブリッジ2からの整流電圧が上昇または下降するに伴い、これらのLED75A,76Aと、LED74B〜76Bと、LED73C〜76Cと、LED72D〜76Dの駆動すなわち点灯と、駆動停止すなわち消灯するタイミングを各々ずらして、LED列17A〜17Dに流れ込む電流を段階的に増加または減少させ、LED駆動回路100としての力率の改善を図るようにしている。
 
【0040】
  図2は、
図1に示すLED駆動回路100とLED列17A〜17Dを、基板110に実装した状態を示している。同図において、110は放熱機能に優れたヒートシンク付きの基板であり、前述したような複数のLED列17A〜17Dや、定電流ダイオード51や、ダイオードブリッジ2などの全部品を、共通する基板110にマウントした組立て体としての照明ユニット120が構成される。本実施例では、従来の昇圧回路のようなコイルや電解コンデンサを含まないため、部品の配置自由度が向上して、基板110の一側に全ての部品を実装することができる。また、照明ユニット120としての厚さ寸法を劇的に減少させることができる。
 
【0041】
  なお、本実施例では一枚の基板110の片面に、LED駆動回路100とLED列17A〜17Dを集中的に実装することで、放熱設計の自由度を高めているが、基板110の両面にLED駆動回路100やLED列17A〜17Dを分散して配置してもよい。
 
【0042】
  図3は、
図2で示した照明ユニット120をLED電球140に組み込んだ適用例を示している。LED電球140は、口金142を有するカバー143と、このカバー143の開口端部に設けられるドーム状のグローブ144とを、外形となる筐体145として備えており、前記照明ユニット120は筐体145の内部に収容されていて、前述のようにLED駆動回路100をLED列17A〜17Dと同じ基板110に一体化して備えている。
 
【0043】
  図3には比較として、昇圧回路を組み込んだ従来のLED電球140’を示している。LED電球140’は、同様に口金142’を有するカバー143’と、このカバー143’の開口端部に設けられるドーム状のグローブ144’とを備え、LED駆動回路やLED列を含む照明ユニット120’が筐体145’の内部に収容される。従来の照明ユニット120’は、LED列を実装する基板110’の他に、昇圧回路のコイルや電解コンデンサを実装する別の基板112’を組み合わせてなり、本実施例のように一つの基板110に全ての部品を組み込むことができない。また、カバー143’の内部空間は、昇圧回路のコイルや電解コンデンサで大部分が占有されるので、LED電球140’としての筐体形状をこれ以上小型化するのは難しい。その点、本実施例におけるLED電球140は、カバー143の内部に部品の存在しない空間が大きく確保されており、LED電球140として部品の配置や放熱設計の自由度が飛躍的に向上する。
 
【0044】
  図4および
図5は、薄型の照明ユニット120による別な適用例を示したものである。
図4において、151は平坦な床面部、152は床面部151に立設する壁面部で、この壁面部152の表面に照明ユニット120が装着される。また
図5において、155は上面を開口した透明な水槽で、この水槽155の上部に照明ユニット120が装着される。
 
【0045】
  本実施例の照明ユニット120は基板110に全ての部品が実装可能で、また実装時における回路全体の体積を極めて小さくできるため、平坦な形状を実現しやすく軽量化も容易となっている。そのため
図4に示すように、壁面部152や天井(図示せず)に照明器具としての照明ユニット120を埋め込む場合、大きな穴をあけずに貼り付けるだけで簡単に取り付けが可能になる。また、
図5に示すような観賞用アクアリウムに使用する照明器具においては、従来の蛍光灯器具が50mm以上の厚みを有していたのに対し、本実施例の照明ユニット120は5mm以下の薄型化が可能になる。
 
【0046】
  なお、
図3〜
図5に示した適用例に限らず、
図2に示す薄型状の照明ユニット120を、同様の目的で別な用途の照明器具として適用することが可能である。
 
【0047】
  例えば
図6には、蛍光管型のLED照明灯160に適用したものを示し、ここでは筒状をなすガラスなどの透明管161と、透明管161の両側開口を塞ぐ口金162とにより、LED照明灯160の外形をなす筐体163を構成し、その筐体163の内部に前述の照明ユニット120を収容している。基板110は、筐体163に合わせた細長の矩形形状に形成され、
図1に示すLED駆動回路100とLED列17A〜17Dが基板110に実装される。従来知られている蛍光管からLED管に置き換えたLED照明灯は、筐体内に電源コンバータを含めた全ての照明ユニットを収容することができず、外付けで電源コンバータを設けざるを得なかったが、本実施例の照明ユニット120では、筐体163の内部に全てを内蔵することができ、照明器具全体を小型且つ軽量化できる。
 
【0048】
  また、
図6に示す筐体163は直管型として直線状に形成されるが、丸型のリング状に形成されたLED照明灯160にも、同様に適用が可能である。
 
【0049】
  次に、
図1の回路に戻って、その動作を
図7と
図8を併せて参照しながら説明する。交流電源1からの交流電圧は、ダイオードブリッジ2によって全波整流され、その整流された電圧が、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間から第1回路81A,第2回路81B,第3回路81C,第2回路81Dにそれぞれ印加される。
 
【0050】
  前記ダイオードブリッジ2で整流された電圧は、
図8の上段の波形図に示すように、時間tの経過に伴い正弦波Sに沿って増減を繰り返す。ここで、整流電圧のレベルを便宜的に5つの領域(領域1〜領域5)に分割して考えると、整流電圧の正弦波Sが0から次第に上昇する領域1では、第1回路81Aにおいて、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続していない2つのLED75A,76Aの順方向降下電圧を合計した値よりも、整流電圧の値が上回るようになり、抵抗41Aから定電流ダイオード51A〜54Aを順に通過して、LED75A,76Aに電流が流れ込み、LED75A,76Aが点灯し始める。その後、LED75A,76Aに流れ込む電流量は、整流電圧がさらに上昇するに従って増加するが、この電流量は電流制限機能を有する抵抗41Aと定電流ダイオード51A〜54Aとによって一定値に制限される。
 
【0051】
  整流電圧の正弦波Sが領域1よりも高い領域2に上昇すると、今度は第2回路81Bにおいて、定電流ダイオード51B〜53Bを並列接続していない3つのLED74B〜76Bの順方向降下電圧を合計した値よりも、整流電圧の値が上回るようになり、抵抗41Bから定電流ダイオード51B〜53Bを順に通過して、LED74B〜76Bに電流が流れ込み、LED74B〜76Bが点灯し始める。その後、LED74B〜76Bに流れ込む電流量は、整流電圧がさらに上昇するに従って増加するが、この電流量は電流制限機能を有する抵抗41Bと定電流ダイオード51B〜53Bとによって一定値に制限される。
 
【0052】
  整流電圧の正弦波Sが領域2よりも高い領域3に上昇すると、今度は第3回路81Cにおいて、定電流ダイオード51C,52Cを並列接続していない4つのLED73C〜76Cの順方向降下電圧を合計した値よりも、整流電圧の値が上回るようになり、抵抗41Cから定電流ダイオード51C,52Cを順に通過して、LED73C〜76Cに電流が流れ込み、LED73C〜76Cが点灯し始める。その後、LED73C〜76Cに流れ込む電流量は、整流電圧がさらに上昇するに従って増加するが、この電流量は電流制限機能を有する抵抗41Cと定電流ダイオード51C,52Cとによって一定値に制限される。
 
【0053】
  整流電圧の正弦波Sが領域3よりも高い領域4に上昇すると、今度は第4回路81Dにおいて、定電流ダイオード51Dを並列接続していない5つのLED72D〜76Dの順方向降下電圧を合計した値よりも、整流電圧の値が上回るようになり、抵抗41Cから定電流ダイオード51Dを順に通過して、LED72D〜76Dに電流が流れ込み、LED72D〜76Dが点灯し始める。その後、LED72D〜76Dに流れ込む電流量は、整流電圧がさらに上昇するに従って増加するが、この電流量は電流制限機能を有する抵抗41Cと定電流ダイオード51Dとによって一定値に制限される。
 
【0054】
  整流電圧の正弦波Sが領域4よりも高いピークの領域5に上昇すると、第1回路81Aにおいて、全てのLED71A〜76Aの順方向降下電圧を合計した値よりも、整流電圧の値が上回るようになり、抵抗41Aから定電流ダイオード51A〜54Aにではなく、LED71A〜76Aを順に通過して電流が流れ込んで、それまで点灯していたLED75A,76Aのみならず、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続したLED71A〜74Aも点灯するようになる。このとき各LED71A〜76Aに流れ込む電流は、抵抗41Aによって全て同じ量に制限される。そしてこのような動作は、他の第2回路81B,第3回路81C,第4回路81Dでも同様に行われ、結局領域5では、全てのLED71A〜76A,71B〜76B,71C〜76C,71D〜76Dが点灯することになる。
 
【0055】
  なお
図1に示す回路では、例えば第1回路81Aにおいて、LED71A〜74Aのそれぞれに定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続しているので、整流電圧の正弦波Sが上昇するに従って、LED74A→LED73A→LED72A→LED71Aの順に一つずつ点灯させることができる。但し、LED71A〜74Aを一つずつ点灯させる必要がなければ、LED71A〜74Aのそれぞれに定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続する必要はなく、例えばLED71A,72Aと、LED73A,74Aにそれぞれ跨って定電流ダイオードを並列接続したり、LED71A〜74Aに跨って定電流ダイオードを並列接続したりして、部品点数の削減を図ってもよい。このことは、他の第2回路81Bや第3回路81Cでも同じことが言える。
 
【0056】
  図7は、上述した一連の動作イメージを図で示したものである。前記整流電圧の正弦波Sが領域1にあるとき、
図7の矢印1に示す電流が第1回路81Aに流れ込む。整流電圧の正弦波Sが領域2に上昇すると、第1回路81Aへの矢印1の電流に加えて、矢印2に示す電流が第2回路81Bに流れ込む。整流電圧の正弦波Sが領域3に上昇すると、第1回路81Aへの矢印1の電流と、第2回路81Bへの矢印2の電流に加えて、矢印3に示す電流が第3回路81Cに流れ込む。整流電圧の正弦波Sが領域4に上昇すると、第1回路81Aへの矢印1の電流と、第2回路81Bへの矢印2の電流と、第3回路81Cへの矢印3の電流に加えて、矢印4に示す電流が第4回路81Dに流れ込む。そして、整流電圧の正弦波Sが領域5に上昇すると、全てのLED71A〜76A,71B〜76B,71C〜76C,71D〜76Dが点灯する。
 
【0057】
  このように本実施例のLED駆動回路100では、交流電源2からの交流電圧が上昇するのに合わせて、並列に接続された第1回路81A〜第4回路81Dに順次電流を流し込むことができる。この時の時間と電流との関係を示したものが
図8の下段の波形図であり、電圧波形に近似した正弦波状の低ノイズ電流波形が得られ、力率が改善される。なお、ここまでは整流電圧の正弦波Sが上昇する時の動作を説明したが、正弦波Sが下降する場合にはその逆を辿る。
 
【0058】
  また、本実施例のLED駆動回路100で重要なのは、前記整流電圧の正弦波Sがどのように変化しても、例えば第1回路81Aにおいて、抵抗41Aを通過する電流量と、定電流ダイオード51A〜54Aを通過する電流量と、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続していない各LED75A,76Aを通過する電流量が一致するだけでなく、全てのLED71A〜76Aが点灯する状態で、これらの各LED71A〜74Aを通過する全ての電流量が一致する、ということである。これはLED列17Aとして、全て同じ特性を有するLED71A〜76Aが利用できることを意味する。また、特定の素子に多くの電流が流れるようなことがなく、第1回路81Aのみならず他の第2回路81B〜81Dを含めて発熱を均一にすることができ、例えば前記
図2で示すような照明ユニット120の形態で、放熱設計を容易にすることが可能になる。
 
【0059】
  以上のように、本実施例におけるLED駆動回路100は、複数の負荷であるLED71A〜76Aを直列接続した負荷列としてのLED列17A
を有し、このLED列17Aにおける一部のLED71A〜74Aに定電流素子である定電流ダイオード51A〜54Aを
それぞれ並列に接続し、LED列17Aに電流制限素子としての抵抗41Aを直列に接続した第1回路81Aと、同様にLED71B〜76Bを直列接続したLED列17B
における一部のLED71B〜73Bに定電流ダイオード51B〜53Bを
それぞれ並列に接続し、LED列17Bに抵抗41Bを直列に接続した第2回路81Bと、LED71C〜76Cを直列接続したLED列17C
における一部のLED71C〜72Cに定電流ダイオード51C,52Cを
それぞれ並列に接続し、LED列17Cに抵抗41Cを直列に接続した第3回路81Cと、LED71D〜76Dを直列接続したLED列17D
における一部のLED71Dに定電流ダイオード51Dを
それぞれ並列に接続し、LED列17Dに抵抗41Dを直列に接続した第4回路81Dを、複数個の直並列回路として整流電圧の出力端子13,14間に並列に接続して構成される。この場合の定電流素子は、それぞれの負荷に一つずつ並列接続してもよいし、複数の直列接続した負荷を跨いで、一つの定電流素子を並列接続してもよい。
 
【0060】
  そして、各々の直並列回路において、第1回路81Aでは、抵抗41Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列に接続したLED列17Aの一部のLED71A〜74Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列に接続していないLED列17Aの残りのLED75A,76Aを、出力端子13,14間に直列に接続し、第2回路81Bでは、抵抗41Bと、定電流ダイオード51B〜53Bを並列に接続したLED列17Bの一部のLED71B〜73Bと、定電流ダイオード51B〜53Bを並列に接続していないLED列17Bの残りのLED75A,76Aを、出力端子13,14間に直列に接続し、第3回路81Cでは、抵抗41Cと、定電流ダイオード51C,52Cを並列に接続したLED列17Cの一部のLED71C,72Cと、定電流ダイオード51C,52Cを並列に接続していないLED列17Cの残りのLED73C〜76Cを、出力端子13,14間に直列に接続し、第4回路81Dでは、抵抗41Dと、定電流ダイオード51Dを並列に接続したLED列17Dの一部のLED71Dと、定電流ダイオード51Dを並列に接続していないLED列17Dの残りのLED72D〜76Dを、出力端子13,14間に直列に接続しており、LED列17Aにおける残りのLED75A,76Aの個数と、LED列17Bにおける残りのLED74B〜76Bの個数と、LED列17Cにおける残りのLED73C〜76Cの個数と、LED列17Dにおける残りのLED72D〜76Dの個数が、第1回路81A〜81Dのそれぞれで個々に異なるように、定電流ダイオード51A〜54AをLED列17Aの一部のLED71A〜74Aと並列に接続し、定電流ダイオード51B〜53BをLED列17Bの一部のLED71B〜73Bと並列に接続し、定電流ダイオード51C,52CをLED列17Cの一部のLED71C,72Cと並列に接続し、定電流ダイオード51DをLED列17Dの一部のLED71Dと並列に接続している。
 
【0061】
  このようにすると、交流電源1からの交流電圧またはダイオードブリッジ2からの整流電圧が上昇するに従って、定電流ダイオード51A〜54Aを並列に接続していないLED75A,76Aの数が少ない第1回路81Aから、抵抗41Aと定電流ダイオード51A〜54A素子を通してLED75A,76Aに電流が流れ込んで、第1回路81AのLED75A,76Aと、第2回路81BのLED74B〜76Bと、第3回路81CのLED73C〜76Cと、第4回路81DのLED72D〜76Dが順次点灯し始め、その後で前記交流電圧または整流電圧がさらに上昇すると、今度は抵抗41A〜41Dを通して全てのLED71A〜76A,71B〜76B,71C〜76C,71D〜76Dに電流が流れ込んで、全てのLED71A〜76A,71B〜76B,71C〜76C,71D〜76Dが点灯し始める。
 
【0062】
  したがって、定電流ダイオード51A〜54A,51B〜53B,51C,52C,51Dと抵抗41A〜41Dを付加しただけの簡単な構成で、LED駆動回路100に印加される電圧波形に近似した低ノイズ電流波形が得られ、力率の改善を図ることができる。
 
【0063】
  また第1回路81Aにおいて、LED列17Aを構成する全てのLED71A〜76Aと、定電流ダイオード51A〜54Aは、共通の抵抗41Aにより電流制限され、第2回路81Bにおいて、LED列17Bを構成する全てのLED71B〜76Bと、定電流ダイオード51B〜53Bは、共通の抵抗41Bにより電流制限され、第3回路81Cにおいて、LED列17Cを構成する全てのLED71C〜76Cと、定電流ダイオード51C〜52Cは、共通の抵抗41Cにより電流制限され、第4回路81Dにおいて、LED列17Dを構成する全てのLED71D〜76Dと、定電流ダイオード51Dは、共通の抵抗41Dにより電流制限される。
 
【0064】
  したがって、例えば第1回路81Aにおいて、残りのLED75A,76Aだけが点灯する時に、その残りのLED75A,76Aを流れる電流量と、定電流ダイオード51A〜54Aを流れる電流量は、抵抗41Aを流れる電流量と一致し、また全てのLED71A〜76Aが点灯する時にも、その全てのLED71A〜76Aを流れる電流量は、やはり抵抗41Aを流れる電流量と一致する。そのため、LED列17Aを構成する全てのLED71A〜76Aと、全ての定電流ダイオード51A〜54Aはそれぞれ同一特性のものを利用でき、LED71A〜76Aを含めた放熱設計を簡素化することが可能になる。そしてこれは、他の第2回路81B〜第4回路81Dについても、全く同じことが言える。
 
【0065】
  また本実施例では、全ての直並列回路である第1回路81A〜第4回路81Dを、全てのLED列17A〜17Dと共に基板110の片面に実装している。
 
【0066】
  また、本実施例のLED駆動回路100は、交流電源1からの交流電圧を整流電圧に変換して、出力端子13,14に出力する整流器としてのダイオードブリッジ2をさらに備えている。このようにすると、整流機能を内蔵するLED駆動回路100を提供することができる。
 
【0067】
  上述したように、LED駆動回路100がコイルや電解コンデンサを含まないため、部品の配置自由度が向上する。そのため、LED駆動回路100と全てのLED列17A〜17Dとを接続し、負荷ユニット(照明ユニット120)として一体化して構成すれば、照明ユニット120における部品の配置自由度を向上させることが可能になる。
 
【0068】
  また、照明ユニット120を電球型の筐体145や、丸管蛍光管型または直管蛍光管型の筐体163に収容できるような形状にすることで、外付けの電源コンバータなどを設けなくても、筐体145,163に、LED駆動回路100と全てのLED列17A〜17Dを内蔵させることができ、完成したLED電球140やLED照明灯160について、その全体を小型にかつ軽量にすることが可能になる。
 
【0069】
  さらに、本実施例の照明ユニット120は、LED駆動回路100とLED列17A〜17Dとを、単一の基板110に実装して構成され、基板110の片面または両面に沿って部品を配置することで、照明ユニット120としての薄型化を達成できる。
 
【0070】
  なお、図示していない他の変形例として、
図1に示す回路では、前記第1回路81において、ダイオードブリッジ2の出力端子13,14間に、抵抗41Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続した一部のLED71A〜74Aと、定電流ダイオード51A〜54Aを並列接続していない残りのLED75A,76Aとを順に接続しているが、その接続の順番を変えても構わない。これは、他の第2回路81B〜81Dでも同じことが言え、例えば発熱する抵抗41A〜41Dが基板110上の同じ側に配置されるのを極力避けるために、第1回路81A〜81Dの一部の回路と他の回路で、前記接続の順番を異ならせるようにしてもよい。
 
【0071】
  また、全波整流方式のダイオードブリッジ2は、半波整流方式や倍電圧整流方式の整流器を用いてもよく、また整流器を用いずに交流電源1からの交流電圧を出力端子13,14間に出力する構成としてもよい。さらに、抵抗41A〜41Dに代わる別な電流制限素子を用いてもよく、定電流ダイオード51A〜54A,51B〜53B,51C〜52C,51Dに代わる別な定電流素子を用いてもよい。その他、負荷はあえて発光するLED列17A〜17Dである必要はなく、同等の特性を有するあらゆる負荷に適用が可能である。
 
【0072】
  なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の変更が可能である。