【実施例】
【0026】
図1ないし3により、本発明の実施例1を説明する。
最初に、
図1および2により、実施例1の筐体部分の構成を説明する。
図1は、本発明の実施例1の半導体電力変換装置の冷却構造を示す平面図であり、
図2はその正面図である。1は半導体素子、2は電解コンデンサ(回路部品)、3は冷却体、4は冷却風(半導体素子を冷却)、5は冷却風(コンデンサを冷却)、6は筐体、7はラミネート導体(絶縁積層導体)、9は背面側風洞、10は風洞入口、11はフィン、12は吸気口、17は冷却ガイド板(a〜c)、18は冷却風4と5の合流地点である。
【0027】
ここで、冷却ガイド板17の第2のガイド板bおよび第3のガイド板cによりチャンバが構成される。なお、第1のガイド板aは、回路部品を冷却した冷却風を前記チャンバに案内する機能を有する。また、回路部品とは、半導体素子以外の電気部品であり、例えば、発熱量を持つコンデンサなどがそれに相当する。本実施例では、電解コンデンサとしている。
【0028】
図1および2のとおり、筐体6の内部には、冷却風4の風向きに沿って、風上側に3個の半導体素子1が並列で配置されており、風下側にも3個の半導体素子1が並列で配置されている。そして、それらの正面側の半導体素子1を挟むように、冷却風5の風向きに沿って、電解コンデンサ2の3個ずつ直列の配列が2列配置されている。
【0029】
半導体素子1には、風上側と風下側のそれぞれに別々の冷却体3が取り付けられている。冷却体3には、半導体素子1の取付面とは反対の面にフィン11が形成されている。なお、半導体素子1と電解コンデンサ2は、ラミネート導体7で覆われている。
【0030】
正面側には、吸気口12が形成され、ここから、冷却風4および5が流入する。そして、半導体素子1および電解コンデンサ2を冷却して、筐体6の後方の背面側風洞9へ抜けて排気される。
【0031】
ここで、筐体6には、冷却ガイド板17が設置されている。冷却ガイド板17は第1〜3のガイド板a〜cより構成されている。
第1のガイド板aは、2列の直列の電解コンデンサ2と並行するように電解コンデンサ2の外側にそれぞれ形成されている。
【0032】
第2のガイド板bは、それぞれの第1のガイド板aの背面側の端部から内側へ向けて斜め方向に形成されている。
第3のガイド板cは、両側の第2のガイド板b同士を結び、平面側からは台形状となるように形成されている。正面側からは両側の第2のガイド板bの背面側の端部同士を結んで形成されているが、背面側の半導体素子1を覆うように形成されている。
【0033】
つまり、冷却ガイド板17の第2のガイド板bおよび第3のガイド板cから構成されるチャンバは、通風方向の風上から風下に向かって先細りの開口部を備えることになる。
実施例1の筐体部分の構成の説明は以上である。
【0034】
次に、
図3により、実施例1の本体部分の構成を説明する。
図3は、本発明の実施例1の半導体電力変換装置の冷却構造を示す断面図である。13は冷却ファン(排気用)、14は本体部、15は本体部の風洞、16は本体部の吸気口である。
【0035】
図3のとおり、本体部14の内部で、筐体6は多数段並べて収納されている。本体部の吸気口16と各筐体6の吸気口12とは通じている。さらに各筐体6は、後方に形成された背面側風洞9を通して、本体部の風洞15通じており、本体部の風洞15には冷却ファン(排気用)13が設置されている。
【0036】
実施例1の本体部分の構成の説明は以上である。
続いて、
図1ないし3により、実施例1の動作を説明する。
図3のとおり、本体部の吸気口16から流入した冷却風は、各筐体6の吸気口12より筐体6内部へ流入する。このとき、冷却風は、冷却風4(半導体素子を冷却)および冷却風5(コンデンサを冷却)として内部へ流入する。
【0037】
先ず、冷却風4は、風上側の半導体素子1を冷却するが、半導体素子1は風上側と風下側とでそれぞれ別々の冷却体3に取り付けられているため、冷却風4の流入により、それぞれの冷却体3で冷却効果を発揮する。
【0038】
一方、両側の冷却風5は、それぞれ電解コンデンサ2を冷却する。このとき、電解コンデンサ2の外側は第1のガイド板aで覆われている。さらに電解コンデンサ2の前方も第2のガイド板bで覆われている。このため、冷却風5は、電解コンデンサ2を冷却した後、風上側の半導体素子1と風下側の半導体素子1との間に流入することになる。
【0039】
そのため、風上側の半導体素子1を通過した冷却風4と冷却風5とが、冷却風4と5の合流地点18で合流することになる。さらに、第3のガイド板cにより、合流地点18の平面側および背面側が覆われているため、効率よく合流される。
【0040】
なお、電解コンデンサ2は、半導体素子1に比べて発熱量が非常に少ないため、冷却風5(電解コンデンサを冷却)の温度は、冷却風4(風上側の半導体素子を冷却)よりも低い温度となっている。
【0041】
従って、合流地点18において、冷却風4に対して、温度の低い冷却風5を合流させることにより、風下側の半導体素子1へ流入する手前で、冷却風4の温度上昇を抑制することができる。
【0042】
さらに、第3のガイド板cが合流地点18の背面側(風下の半導体素子1の正面側)を覆っているため(
図2)、合流地点18で合流した冷却風4および5は、風下側の半導体素子1に直接当たるのではなく、冷却体3およびフィン11に直接当たることになる。これにより、風下側の半導体素子1の冷却効率の向上を図ることができる。
【0043】
このように、合流地点18で合流した冷却風4および5は、風下側の半導体素子1を冷却した後、背面側風洞9へ抜ける。
その後、
図3のとおり、各背面側風洞9からの通風は、本体部の風洞15を通って、冷却ファン(排気用)13により外部へ排出される。
【0044】
実施例1の動作は以上である。
かくして本発明の実施例1によれば、冷却ガイド板17が設けられていることにより、合流地点18で冷却風4と温度の低い冷却風5とを合流させることができる。これにより、風下側の半導体素子1へ流入する手前で、風上側の半導体素子の発熱による冷却風の温度上昇を抑制することができる。そのため、風下側の半導体素子1が、風上側の半導体素子1の発熱の影響を受けることなく、冷却効率を向上させることができる。従って、冷却体3を大型化する必要がなく、小型化することができる。
【0045】
また、電解コンデンサ2の冷却についても、従来のように複数個を直列に配置していた場合には、風下側の電解コンデンサ2に到達する冷却風の温度は上昇してしまっていた。しかし、電解コンデンサ2を分離して配置することにより、電解コンデンサ2を効率良く冷却することができるため、電解コンデンサを小型化することができる。
【0046】
さらに、合流地点18で冷却風を合流させているため、冷却に必要な風量を全体的に低減することができる。そのため、冷却ファン13(排気用)を小型化することができ、騒音を抑えることができる。
【0047】
そのほか、従来、半導体素子を通過した冷却風と電解コンデンサを通過した冷却風とを合わせて排気するために筐体側風洞を設置していたが、これを不要とすることができるため、筐体6の小型化を図ることができる。
【0048】
このように、全体的にユニットの寸法を小型化できるため、半導体電力変換装置全体の小型化が実現でき、設置スペースを縮小することができる。
続いて、
図4により、本発明の実施例2を説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施例2の半導体電力変換装置の冷却構造を示す平面図である。冷却ガイド板17は、第1〜4のガイド板a〜dより構成されている。ここで、第4のガイド板dが、風下側に位置付けられた半導体素子1を冷却するガイド部となる。
【0050】
なお、実施例2の説明では、実施例1と同じ部分についてはその詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明を行う。
実施例2の構成を
図4により説明する。
【0051】
図4のとおり、半導体素子1や電解コンデンサ2等の構成は実施例1と同じである。異なる点は、冷却ガイド板17の構成である。
ここでは、冷却ガイド板17には、第1〜3のガイド板a〜cに加えて、第4のガイド板dが形成されている。
【0052】
第4のガイド板dは、第3のガイド板cの背面側の端部より筐体の背面まで延びている。これにより、風下側の半導体素子1および冷却体3、フィン11の両側を遮蔽して、通風路を形成している。
【0053】
つまり、風下側に位置付けられた半導体素子1を冷却するガイド部である第4のガイド板dは、チャンバ(冷却ガイド板17の第2のガイド板bおよび第3のガイド板c)の幅狭の開口部から延長して配設されている。
【0054】
実施例2の構成の説明は以上である。
続いて、実施例2の動作を説明する。
実施例1と同様に、吸気口12から筐体6内部へ流入した冷却風4および5は、合流地点18で合流し、さらに風下側の半導体素子1に取り付けられた冷却体3およびフィン11へ向かう。
【0055】
ここで、実施例2では、さらに第4のガイド板dにより、風下側の半導体素子1および冷却体3、フィン11の両側を遮蔽して、通風路が形成されているため、合流地点18から流入した冷却風が拡散することなく、風下側の半導体素子1を効率よく冷却することができる。
【0056】
なお、ガイド部として実施例2では第4のガイド板dを使用したが、これに限定されるものではなく、筒状や矩形状のものでもよい。
実施例2の動作は以上である。
【0057】
かくして本発明の実施例2によれば、冷却ガイド板17に第4のガイド板dが設置されていることにより、風下側の半導体素子1の冷却効果をさらに向上させることができる。従って、冷却体3を大型化する必要がなく、小型化することができる。また、冷却ファン13(排気用)を小型化することができ、騒音を抑えることができる。このように、全体的にユニットの寸法を小型化できるため、半導体電力変換装置全体の小型化が実現でき、設置スペースを縮小することができる。
【0058】
なお、上記実施形態は好ましい実施例について述べたものであり、本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能なことは勿論である。即ち、冷却ガイド板や半導体素子、電解コンデンサ、冷却体等の寸法や各部分の形状等は、設置現場の要求および状況等に応じて種々変更されるべきものである。