特許第5691708号(P5691708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691708
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】防水扉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-62848(P2011-62848)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-197611(P2012-197611A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】市野 重輝
(72)【発明者】
【氏名】大島 直樹
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−063799(JP,A)
【文献】 特開2007−132130(JP,A)
【文献】 特開2007−308915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E04H 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の床面に収納凹状体が埋設されており、その収納凹状体に、矩形の可動扉が、基端部を枢着させた状態で収納凹状体の開口を閉塞する倒伏位置から前記出入口を閉塞する起立位置まで回動可能に設置された防水扉装置であって、
前記可動扉の表面の基端縁際および左右両端縁際に止水ゴムが設けられており、
可動扉を起立させて、出入口に設けられた建具枠に前記止水ゴムを押圧させることによって、出入口を水密状態で閉塞するものであり、
前記可動扉の倒伏位置において、前記各止水ゴムが可動扉の表面よりも下方に位置するように設けられているとともに、
それらの各止水ゴムの上方に、蓋部材が着脱自在に設置されていることを特徴とする防水扉装置。
【請求項2】
前記可動扉の基端縁際に設置された止水ゴムの上方の蓋部材がグレーチングであることを特徴とする請求項1に記載の防水扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大雨時に建物内に浸水しないように出入口を閉塞するための防水扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防水扉装置としては、出入口の床面に収納凹状体が埋設されており、矩形の可動扉を、収納凹状体に収納された倒伏状態から出入口を閉塞する起立位置まで回動可能に設けたものが知られている。かかる防水扉装置の中には、特許文献1の如く、出入口の左右に配置される建具枠(戸当たり)の前面にゴムパッキンが付設されており、可動扉を回動させると、可動扉の表面が建具枠のゴムパッキンに当接し、出入口が水密状態で閉塞されるように構成したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−63799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の防水扉装置は、可動扉のゴムパッキンが常時露出した状態になっており、劣化し易いため、長期間に亘って使用されると、出入口を十分な水密状態で閉塞することができなくなる、という不具合がある。加えて、可動扉のゴムパッキンが常時露出した状態となっているため、周囲の景観とマッチしにくく、出入口に設置すると景観を損ねてしまうこともあった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の防水扉装置が有する問題点を解消し、長期間に亘って高い水密状態で出入口を閉塞することが可能である上、周囲の景観と良くマッチし、景観を損ねてしまう事態を生じさせない実用的な防水扉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、出入口の床面に収納凹状体が埋設されており、その収納凹状体に、矩形の可動扉が、基端部を枢着させた状態で収納凹状体の開口を閉塞する倒伏位置から前記出入口を閉塞する起立位置まで回動可能に設置された防水扉装置であって、前記可動扉の表面の基端縁際および左右両端縁際に止水ゴムが設けられており、可動扉を起立させて、出入口に設けられた建具枠に前記止水ゴムを押圧させることによって、出入口を水密状態で閉塞するものであり、前記可動扉の倒伏位置において、前記各止水ゴムが可動扉の表面よりも下方に位置するように設けられているとともに、それらの各止水ゴムの上方に、蓋部材が着脱自在に設置されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記可動扉の基端縁際に設置された止水ゴムの上方の蓋部材がグレーチングであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の防水扉装置は、建物の建具枠ではなく可動扉に止水ゴムが設けられているため、通常状態(可動扉の倒伏状態)においては止水ゴムが目立たないので、意匠性に優れており、設置に伴って周囲の景観を損ねる事態が生じにくい。
【0010】
また、請求項1に記載の防水扉装置は、通常状態においては、止水ゴムが風雨や紫外線の影響を受けにくいため、劣化しにいので、長期間に亘って出入口を水密状態で閉塞することができる。加えて、通常状態においては蓋部材によって止水ゴムが露出しないので、非常に意匠性が高く、周囲の景観にマッチし易い。
【0011】
請求項2に記載の防水扉装置は、床面にグレーチングが敷設されている出入口に設置した場合に、それらのグレーチングと蓋部材とが良くマッチするため、景観に違和感を与える事態が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】出入口に防水扉装置が設置された状態(可動扉が倒伏した状態)を示す説明図(平面図)である。
図2図1におけるX−X線断面を示す説明図である(aは可動扉が倒伏した状態であり、bは可動扉が起立した状態である)。
図3図1におけるZ−Z線断面を示す説明図である。
図4】出入口に防水扉装置が設置された状態(可動扉が起立した状態)を示す説明図(平面図)である。
図5図4におけるA部分を拡大して示す説明図である。
図6】可動扉を起立させた防水扉装置の右側面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<防水扉装置の構造>
以下、本発明に係る防水扉装置の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1図6は、出入口に防水扉装置を設置した状態を示したものである。図1等に示すように、出入口Gには、断面C字状の鋼材(リップ溝形鋼)によって形成された2つの建具枠(当接枠、戸当たり)41,41が、所定の長さを隔てて、対峙するように設けられている。また、各建具枠41,41の外側には、それらの建具枠41,41の前面と連なるように壁体42,42が立設されている。さらに、各建具枠41,41の前方の外側には、側溝(図示せず)が設けられており、それらの側溝には、それぞれ、蓋材であるグレーチング23,23が嵌め込まれている。そして、当該出入口Gの前方(左右の側溝の間)には、防水扉装置1が設置されている。
【0014】
防水扉装置1は、ハウジングとして機能する収納凹状体2と、防水扉として機能する可動扉3、基端部蓋部材4、側部蓋部材5,5等によって構成されている。収納凹状体2は、金属板によって横長で扁平な箱状に形成されており、出入口Gの前方の床面を扁平な直方体状に掘削して内周をコンクリートで固めてなる凹状部分の内部に設置されている。
【0015】
図2に示すように、収納凹状体2の前方の鉛直な内壁面には、倒伏状態の可動扉3の先端縁際を載置するための前方載置突片6が左右に幅広に設けられている。また、収納凹状体2の左右の鉛直な内壁面には、倒伏状態の可動扉3の両端部(図3等における支持片18,18)を載置するための側方載置突片7,7が前後に幅広に設けられている。さらに、後方の鉛直な内壁面には、可動扉3が倒伏している場合に基端部蓋部材4の後端縁を載置するための後方載置突片8が幅広に設けられている。加えて、収納凹状体2の底面には、幅広な隔壁25が立設されており、当該隔壁25によって、内部が前後二つの領域に区分されている。また、収納凹状体2には、配水管(図示せず)が連結されており、当該配水管によって内部に侵入した水を排出することができるようになっている。
【0016】
また、収納凹状体2の左右の鉛直な壁面の基端際には、それぞれ、支軸ピン31,31が内向きに突出するように設けられており、それらの支軸ピン31,31によって、可動扉3が下端縁を中心として片開き自在に枢着されている。可動扉3は、金属板を裁断、屈曲加工してなるベース部材9の表面に、扁平な板状の表層体10を積層したものである。図1に示すように、ベース部材9の表面の左右の端縁際、および、後端縁から所定の距離を隔てた内側(前側)には、合成ゴムによって形成された細長い直方体状の止水部材(止水ゴム)30が、平面視コ字状に屈曲した状態で固着されている。なお、以下の説明においては、止水部材30のうち、ベース部材9の後端縁から所定の距離を隔てた内側の部分を第一止水部14といい、ベース部材9の左右の端縁際の部分を第二止水部19,19という。
【0017】
また、図2の如く、ベース部材9の基端側(前端側)は、先端側(後端側)より下方に位置するように折り曲げ形成されている(以下、この先端側より下方に位置に位置した部分を下段部11という)。そして、その下段部11の基端には、基端部蓋部材4を載置するための載置台12が固着されている。さらに、ベース部材9の基端(後端)には、支軸ピン31と係合させるための断面L字状の係合片13が、ベース部材9の基端縁の略全幅に亘って幅広に設けられている。そして、当該係合片13の基端(前端)には、止水部材30の一部である第一止水部14が、ベース部材9の基端縁の略全幅に亘って一直線状に固着されている。当該第一止水部14は、係合片13の基端およびベース部材9の基端際の裏面に固着(溶接)された断面L字状の支持部材15と、ベース部材9の基端際の表面に固着(溶接)された断面L字状の支持部材16とによって狭持された状態で固着されている。加えて、図1に示すように、可動扉3の表面の中央前方には、可動扉3を収納凹状体2の内部に収納した状態(収納凹状体2の開口部に蓋をした状態)で保持するためのロック部材17が設置されている。
【0018】
また、図3等に示すように、可動扉3のベース部材9の左右両端縁には、断面L字状で縦長な支持片18,18が、ベース部材9から垂れ下がるように固着(溶接)されている。そして、各支持片18,18の下端の折返し面には、止水部材30の一部である第二止水部19が、ベース部材9の基端縁に沿って一直線状に固着されている。当該第二止水部19は、支持片18の先端に固着(溶接)された断面L字状の支持部材20と、支持片18の屈曲部分に固着(溶接)された断面L字状の支持部材21とによって狭持された状態で固着されている。
【0019】
一方、図1の如く、基端部蓋部材4は、金属によって形成された扁平で横長な直方体状のグレーチング(帯状の鋼材を格子状に組んだもの)からなるものである。なお、当該基端部蓋部材4は、出入口Gの左右の前方の側溝に嵌め込まれたグレーチングと同じ構造・外観を有している。また、基端部蓋部材4は、可動扉3の横幅に左右の側部蓋部材5,5の横幅を加えた横幅を有しており、ベース部材9の下段部11の前後幅と略同一の前後幅を有している。
【0020】
また、側部蓋部材5,5は、金属製で中空な四角柱状のフレーム部材23の表面に、細長な直方体状の表層体24を積層した構造を有している(図3参照)。そして、表面の前方には、側部蓋部材5,5を収納凹状体2の内部に収納した状態(収納凹状体2の開口部に蓋をした状態)で保持するためのロック部材24が設置されている(図1参照)。
【0021】
<防水扉装置の作用>
上記の如く構成された防水扉装置1は、平常時には、可動扉3を倒伏させて、可動扉3の先端縁際を、収納凹状体2の前方載置突片6に載置させるとともに、可動扉3の基端の下段部11の上方に、基端部蓋部材4を嵌め込み、当該基端部蓋部材4の前端縁および基端縁を、それぞれ、可動扉3の載置台12、収納凹状体2の後方載置突片8に載置させる。また、可動扉3の左右の支持片18,18を、それぞれ、収納凹状体2の左右の側方載置突片7,7に載置させる。さらに、可動扉3の左右の支持片18,18の上方に、側部蓋部材5,5を嵌め込み、当該側部蓋部材5,5の前端際および後端際を、それぞれ、収納凹状体2の前方載置突片6、後方載置突片8に載置させる。かかる可動扉3の倒伏状態においては、可動扉3の基端に嵌め込まれた基端部蓋部材4と出入口Gの左右前方の側溝に嵌め込まれたグレーチングとが一直線状に配置される。
【0022】
そして、大雨により出入口Gからの浸水が懸念される場合には、左右の側部蓋部材5,5のロック部材24,24を操作して、側部蓋部材5,5と収納凹状体2との係合状態を解除し、側部蓋部材5,5を取り外す。さらに、基端部蓋部材4を可動扉3から取り外した状態で、可動扉3のロック部材17を操作して、可動扉3と収納凹状体2との係合状態を解除し、可動扉3の先端側を上方に持ち上げるようにして、可動扉3を基端を中心に回動させて起立状態にする。
【0023】
可動扉3が起立状態となると、可動扉3の基端に設けられた止水ゴムである第一止水部14が、収納凹状体2の後側の鉛直な内壁面に当接するとともに、可動扉3の左右両端際に設けられた止水ゴムである各第二止水部19,19が、それぞれ、出入口Gの左右に立設された建具枠41,41の前面に当接する。そのように、第一止水部14が収納凹状体2の後側の内壁面に当接する(押圧する)とともに、各第二止水部19,19が左右の建具枠41,41の前面に当接する(押圧する)と、可動扉3によって出入口Gが水密状態で閉塞された状態となり、出入口Gからの浸水が阻止される。
【0024】
<防水扉装置による効果>
防水扉装置1は、上記の如く、可動扉3の表面の基端縁際および左右両端縁際に、止水ゴムである止水部材30の第一止水部14、第二止水部19,19が設けられており、可動扉3を起立させて、第二止水部19,19を出入口Gに設けられた建具枠41,41に押圧させることによって出入口Gを水密状態で閉塞する構造を有している。したがって、通常状態(可動扉3の倒伏状態)においては、第一止水部14、第二止水部19,19が目立たないので、意匠性に優れており、設置に伴って周囲の景観を損ねる事態が生じない。
【0025】
また、防水扉装置1は、上記の如く、可動扉3の倒伏位置において、第一止水部14、第二止水部19,19が可動扉3の表面よりも下方に位置するように設けられているとともに、それらの第一止水部14、第二止水部19,19の上方に、蓋部材である基端部蓋部材4および側部蓋部材5,5が着脱自在に設置されている。したがって、通常状態においては、第一止水部14、第二止水部19,19が風雨や紫外線の影響を受けにくく劣化しにいので、長期間に亘って、出入口Gを水密状態で閉塞することができる。加えて、通常状態においては、基端部蓋部材4および側部蓋部材5,5によって第一止水部14、第二止水部19,19が露出しないので、非常に意匠性が高く、周囲の景観にマッチし易い。
【0026】
さらに、防水扉装置は、上記の如く、可動扉3の基端縁際に設置された第一止水部14の上方の基端部蓋部材4がグレーチングであり、出入口Gに設置した場合に、当該基端部蓋部材4と出入口Gの床面に付設されているグレーチングとがよくマッチするため、景観に違和感を与える事態が生じない。
【0027】
<防水扉装置の変更例>
本発明に係る防水扉装置の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、可動扉、止水ゴム、蓋部材、収納凹状体等の形状、構造、材質等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。たとえば、防水扉装置は、可動扉の基端際および左右の端縁際に、それぞれ、止水ゴムを1本ずつ固着させたものに限定されず、可動扉の基端際および/または左右の端縁際に、複数の止水ゴムを固着させたものに変更することも可能である。かかる構成を採用した場合には、出入口の閉塞効果がより一層高いものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る防水扉装置は、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、大雨時に出入口からの浸水を防ぐための装置として、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・防水扉装置
2・・収納凹状体
3・・可動扉(防水扉)
4・・基端部蓋部材
5・・側部蓋部材
14・・第一止水部
19・・第二止水部
30・・止水部材(止水ゴム)
41・・建具枠
G・・出入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6