【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術はトランスを用いない非絶縁型コンバータ方式であり、LEDに流れる出力電流を直接検出して制御信号として捉えることができるが、トランスを介して1次−2次を絶縁する絶縁型コンバータ方式に従来技術を適用した場合には、フォトカプラや使用する制御回路によって、フィードバック制御系の遅れが生じてしまい、負荷を定電流で駆動することができなくなってしまうという問題点があった。
【0008】
図6は、従来の定電流電源装置の回路構成を示す回路構成図であり、
図7は、
図6の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
従来の定電流電源装置にトランスTを介して1次−2次を絶縁する絶縁型コンバータ方式を採用した回路構成を
図6に示す。ダイオードがブリッジ構成された整流回路DBの交流入力端子ACin1、ACin2には商用交流電源ACが接続され、商用交流電源ACから入力された交流電圧が全波整流されて整流回路DBから出力される。整流回路DBの整流出力正極端子と整流出力負極端子との間には、平滑コンデンサC1が接続されている。これにより、商用交流電源ACを整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑した直流電源が得られる。
【0009】
整流回路DBの整流出力負極端子は接地端子に接続されていると共に、抵抗R1を介してスイッチング素子であるN型のMOSFET(以下、NMOSと称す)Q1のソース端子が接続され、NMOSQ1のドレイン端子はトランスTの1次側巻き線を介して整流回路DBの整流出力正極端子に接続されている。また、NMOSQ1のゲート端子はコントローラ1のゲート制御端子Gに接続され、コントローラ1によってNMOSQ1をオン/オフ制御することで、整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑された直流電源をNMOSQ1でスイッチングして、トランスTの1次側巻き線に印加する。
【0010】
トランスTには、NMOSQ1がオンしている時に磁気エネルギーが蓄えられ、NMOSQ1がオフしているときに蓄えられた磁気エネルギーがトランスTの2次側巻き線から電力として放出される。トランスTの2次側巻き線の両端子間には、整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサC2が接続され、トランスTの2次側巻き線から放出された電力は、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC2により整流平滑される。なお、平滑コンデンサC2の正極端子に接続されているラインが電源ラインとなり、平滑コンデンサC2の負極端子が接続されたラインは接地端子に接続されたGNDラインとなる。
【0011】
駆動対象となっているn個(nは任意の自然数を示す)のLED21〜2nが直列接続されてなるLEDアレイ2と、NMOSQ2と、抵抗R2とが電源ラインとGNDラインとの間に直列に接続されている。LEDアレイ2のアノード側端子が電源ラインに接続され、LEDアレイ2のカソード側端子にNMOSQ2のドレイン端子が接続され、NMOSQ2のソース端子が抵抗R2を介してGNDラインに接続されている。また、NMOSQ2のゲート端子にはSW信号が入力される入力端子SWに接続されており、PWM制御によるパルス信号であるSW信号によってNMOSQ2をオン/オフさせることで、LEDアレイ2がオン/オフ駆動される。
【0012】
NMOSQ2のソース端子と抵抗R2との接続点と入力端子SWとにフィードバック回路3が接続され、フィードバック回路3には、抵抗R2に発生する電圧がLEDアレイ2を流れる出力電流ID1の検出信号として入力されると共に、SW信号が入力される。フィードバック回路3では、内部基準信号と入力された検出信号とを比較した誤差信号がフィードバック信号(以下、FB信号と称す)として生成される。生成されたFB信号は、SW信号のON期間において、フォトカプラ等の絶縁I/F回路4を介してコントローラ1のFB入力端子にフィードバックされる。これにより、コントローラ1は、FB信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオン/オフ制御し、出力電流ID1を予め設定された定電流Isに保つように構成されている。
【0013】
このように、1次側と2次側とを絶縁した回路構成を採用した場合には、2次側から1次側にFB信号を帰還させるフィードバック制御に時間遅れが発生する。すなわち、2次側から1次側へのFB信号の伝達方法として絶縁I/F回路4が用いられることになる。絶縁I/F回路4としては、一般的にフォトカプラが用いられることが多く、フォトカプラの信号伝達特性は、数10μs〜数100μsの時間遅れが発生する。また、NMOSQ1を制御するコントローラ1についても、内蔵されている誤差増幅器の応答性が変わるので、コントローラ1の特性によってもフィードバック制御の時間遅れが異なってくる。
【0014】
図7は、
図6の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、(a)はNMOSQ2を駆動するSW信号、(b)はLEDアレイ2を流れる出力電流ID1、(c)は2次側から1次側にフィードバックされるFB信号、(d)は平滑コンデンサC2の両端子間の出力電圧Vdd、(e)はNMOSQ1を流れる出力電流ID2をそれぞれ示している。また、期間Aは調光が明るめに設定されてSW信号のON期間が比較的長い期間、期間Bは調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が比較的短い期間をそれぞれ示している。
【0015】
図7(a)に示すように、時刻T1においてSW信号が立ち上がると、時刻T1からフィードバック制御の時間遅れ分経過した時刻T2までがフィードバック制御が開始されない期間となり、
図7(c)に示すように、時刻T2まではFB信号が2次側から1次側にフィードバックされない。従って、時刻T1から時刻T2までの期間では、平滑コンデンサC2に1次側から電力が供給されず、平滑コンデンサC2に蓄積されている電力のみでLEDアレイ2が駆動されることになるため、
図7(d)、(b)に示すように、出力電圧Vddが定格電圧よりも低下してしまうと共に、LEDアレイ2を駆動する出力電流ID1が定電流Isよりも低下してしまう。
【0016】
次に、時刻T2でフィードバック制御が開始されると、定電流Isよりも出力電流ID1が低下しているため、
図7(c)、(e)に示すように、1次側にフィードバックされるFB信号が急速に立ち上がり、低下している出力電流ID1を上昇させる急激なフィードバック制御が行われ、1次側から2次側に通常よりも多い電力が供給される。期間AのようにSW信号のON期間が比較的長い場合には、時刻T3において、平滑コンデンサC2に1次側から十分な電力が供給され、出力電圧Vddが定格電圧になると、出力電流ID1を維持するようにフィードバック制御が行われ、時刻T4でSW信号が立ち下がるまで出力電圧Vddが定格電圧に、出力電流ID1が定電流Isにそれぞれ維持されることになる。
【0017】
これに対し、期間BのようにSW信号のON期間が比較的短い場合、すなわち時刻T3よりも前の時刻T5でSW信号が立ち下がる場合には、平滑コンデンサC2に1次側から十分な電力が供給されず、出力電圧Vddが定格電圧になる前に、1次側から2次側への電力の供給が終わってしまう。これにより、低下した出力電流ID1も定電流Isに戻ることなく、負荷であるLEDアレイ2を定電流Isで駆動することができなくなってしまう。
【0018】
また、時刻T2からT3の期間は、1次側から2次側に通常よりも多い電力が供給されるため、スイッチング電流の変化が大きくなって、トランスTの磁束の変化量が大きくなり、トランスTからの音鳴りが大きく発生するという問題点もあった。
【0019】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、コンバータ等のフィードバック制御に時間遅れが発生するような回路構成であっても、負荷を定電流で駆動することができる定電流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の定電流電源装置は、1次側から2次側に
設けられた平滑コンデンサに電力を供給し、2次側に供給された電力を用いてPWM制御によるパルス信号で負荷をオン/オフ駆動する定電流電源装置であって、前記負荷を流れる出力電流に対応するフィードバック信号を生成するフィードバック信号生成回路と、該フィードバック信号生成回路で生成された前記フィードバック信号を2次側から1次側にフィードバックするフィードバック回路と、該フィードバック回路によってフィードバックされた前記フィードバック信号に基づいて1次側から2次側への電力の供給を制御する制御回路と、前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を制限するフィードバック期間制限回路と、を具備し、前記フィードバック期間制限回路は、前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を、前記負荷をオン駆動する前記パルス信号のON期間と、前記パルス信号に基づいて生成された補充期間との論理和に制限させ
、前記フィードバック信号によるフィードバック制御は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングに対して時間遅れを有し、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングでの前記平滑コンデンサの出力電圧は、前記補充期間に供給される電力によって定格電圧より高く、時間遅れによって前記フィードバック制御が開始されない期間は、前記平滑コンデンサに蓄積されている電力のみで前記負荷がオン駆動されることを特徴とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記フィードバック信号生成回路は、前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、直前
の前記パルス信号のON期間に前記負荷を流れた出力電流に対応する前記フィードバック信号を生成させることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の終了のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間をディレイさせて生成された期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、前記フィードバック回路および前記制御回路に起因するフィードバック制御の時間遅れの期間に前記負荷の駆動で使用される電力が1次側から2次側に供給されることを特微とする。