特許第5691712号(P5691712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691712
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】定電流電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20150312BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20150312BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20150312BHJP
【FI】
   H02M3/28 J
   H05B37/02 J
   H01L33/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-63849(P2011-63849)
(22)【出願日】2011年3月23日
(65)【公開番号】特開2012-200118(P2012-200118A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2013年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】忠政 由道
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−142137(JP,A)
【文献】 特開2010−062184(JP,A)
【文献】 特開2011−009701(JP,A)
【文献】 特開2004−147435(JP,A)
【文献】 特開2005−045850(JP,A)
【文献】 米国特許第06353544(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側から2次側に設けられた平滑コンデンサに電力を供給し、2次側に供給された電力を用いてPWM制御によるパルス信号で負荷をオン/オフ駆動する定電流電源装置であって、
前記負荷を流れる出力電流に対応するフィードバック信号を生成するフィードバック信号生成回路と、
該フィードバック信号生成回路で生成された前記フィードバック信号を2次側から1次側にフィードバックするフィードバック回路と、
該フィードバック回路によってフィードバックされた前記フィードバック信号に基づいて1次側から2次側への電力の供給を制御する制御回路と、
前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を制限するフィードバック期間制限回路と、を具備し、
前記フィードバック期間制限回路は、前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を、前記負荷をオン駆動する前記パルス信号のON期間と、前記パルス信号に基づいて生成された補充期間との論理和に制限させ
前記フィードバック信号によるフィードバック制御は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングに対して時間遅れを有し、
前記パルス信号のON期間の開始のタイミングでの前記平滑コンデンサの出力電圧は、前記補充期間に供給される電力によって定格電圧より高く、時間遅れによって前記フィードバック制御が開始されない期間は、前記平滑コンデンサに蓄積されている電力のみで前記負荷がオン駆動されることを特徴とする定電流電源装置。
【請求項2】
前記フィードバック信号生成回路は、前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、直前前記パルス信号のON期間に前記負荷を流れた出力電流に対応する前記フィードバック信号を生成させることを特微とする請求項1記載の定電流電源装置。
【請求項3】
前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の終了のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする請求項1又は2記載の定電流電源装置。
【請求項4】
前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする請求項1又は2記載の定電流電源装置。
【請求項5】
前記補充期間は、前記パルス信号のON期間をディレイさせて生成された期間であることを特微とする請求項1又は2記載の定電流電源装置。
【請求項6】
前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、前記フィードバック回路および前記制御回路に起因するフィードバック制御の時間遅れの期間に前記負荷の駆動で使用される電力が1次側から2次側に供給されることを特微とする請求項1乃至4のいずれかに記載の定電流電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を定電流で駆動する定電流電源装置に係り、特にPWM制御(Pulse Width Modulation)による周期的なパルス信号で負荷を駆動する定電流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light emitting diode)は、電流の大きさに応じて色調が変化する特性を有している。従って、負荷としてLEDを駆動して調光制御を行う場合には、PWM制御によるパルス信号でLEDをオン/オフ駆動させ、パルス信号のデューティ比によって光量を調整するのが一般的である。
【0003】
一方、負荷を定電流で駆動する定電流電源装置としてスイッチング電源を用いる場合には、出力電流を検出してフィードバック制御を行う必要がある。上述のようにPWM制御によって負荷としてのLEDを駆動する場合、LEDが点灯期間と消灯期間とを繰り返すことになり、当然ながら消灯期間ではLEDに電流が流れず、出力電流がゼロとしてフィードバックされてしまう。このように、出力電流がゼロとしてフィードバックされると、過剰な電力が供給されすぎてしまうため、フィードバック制御をLEDの点灯期間中に制限させることで、過剰な電力の供給を防止させることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1では、LEDをオン/オフするN型MOSトランジスクがオンのとき、スイッチング電源からLEDへ電力が供給され、LEDを流れる出力電流を検出することで定電流制御されている。また、N型MOSトランジスクがオフのとき、スイッチング電源からLEDへの電力の供給が停止される。
【0005】
特許文献2では、LEDに電流が流れている期間と、LEDに電流が流れない期間とで、スイッチング電源におけるスイッチング素子の最小オフ期間を変更させ、LEDに電流が流れない期間には、スイッチング素子がフルオフ状態になるような長さに最小オフ期間を設定し、LEDへの電力の供給を停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−147435号
【特許文献2】特開2005−45850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術はトランスを用いない非絶縁型コンバータ方式であり、LEDに流れる出力電流を直接検出して制御信号として捉えることができるが、トランスを介して1次−2次を絶縁する絶縁型コンバータ方式に従来技術を適用した場合には、フォトカプラや使用する制御回路によって、フィードバック制御系の遅れが生じてしまい、負荷を定電流で駆動することができなくなってしまうという問題点があった。
【0008】
図6は、従来の定電流電源装置の回路構成を示す回路構成図であり、図7は、図6の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
従来の定電流電源装置にトランスTを介して1次−2次を絶縁する絶縁型コンバータ方式を採用した回路構成を図6に示す。ダイオードがブリッジ構成された整流回路DBの交流入力端子ACin1、ACin2には商用交流電源ACが接続され、商用交流電源ACから入力された交流電圧が全波整流されて整流回路DBから出力される。整流回路DBの整流出力正極端子と整流出力負極端子との間には、平滑コンデンサC1が接続されている。これにより、商用交流電源ACを整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑した直流電源が得られる。
【0009】
整流回路DBの整流出力負極端子は接地端子に接続されていると共に、抵抗R1を介してスイッチング素子であるN型のMOSFET(以下、NMOSと称す)Q1のソース端子が接続され、NMOSQ1のドレイン端子はトランスTの1次側巻き線を介して整流回路DBの整流出力正極端子に接続されている。また、NMOSQ1のゲート端子はコントローラ1のゲート制御端子Gに接続され、コントローラ1によってNMOSQ1をオン/オフ制御することで、整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑された直流電源をNMOSQ1でスイッチングして、トランスTの1次側巻き線に印加する。
【0010】
トランスTには、NMOSQ1がオンしている時に磁気エネルギーが蓄えられ、NMOSQ1がオフしているときに蓄えられた磁気エネルギーがトランスTの2次側巻き線から電力として放出される。トランスTの2次側巻き線の両端子間には、整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサC2が接続され、トランスTの2次側巻き線から放出された電力は、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC2により整流平滑される。なお、平滑コンデンサC2の正極端子に接続されているラインが電源ラインとなり、平滑コンデンサC2の負極端子が接続されたラインは接地端子に接続されたGNDラインとなる。
【0011】
駆動対象となっているn個(nは任意の自然数を示す)のLED21〜2nが直列接続されてなるLEDアレイ2と、NMOSQ2と、抵抗R2とが電源ラインとGNDラインとの間に直列に接続されている。LEDアレイ2のアノード側端子が電源ラインに接続され、LEDアレイ2のカソード側端子にNMOSQ2のドレイン端子が接続され、NMOSQ2のソース端子が抵抗R2を介してGNDラインに接続されている。また、NMOSQ2のゲート端子にはSW信号が入力される入力端子SWに接続されており、PWM制御によるパルス信号であるSW信号によってNMOSQ2をオン/オフさせることで、LEDアレイ2がオン/オフ駆動される。
【0012】
NMOSQ2のソース端子と抵抗R2との接続点と入力端子SWとにフィードバック回路3が接続され、フィードバック回路3には、抵抗R2に発生する電圧がLEDアレイ2を流れる出力電流ID1の検出信号として入力されると共に、SW信号が入力される。フィードバック回路3では、内部基準信号と入力された検出信号とを比較した誤差信号がフィードバック信号(以下、FB信号と称す)として生成される。生成されたFB信号は、SW信号のON期間において、フォトカプラ等の絶縁I/F回路4を介してコントローラ1のFB入力端子にフィードバックされる。これにより、コントローラ1は、FB信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオン/オフ制御し、出力電流ID1を予め設定された定電流Isに保つように構成されている。
【0013】
このように、1次側と2次側とを絶縁した回路構成を採用した場合には、2次側から1次側にFB信号を帰還させるフィードバック制御に時間遅れが発生する。すなわち、2次側から1次側へのFB信号の伝達方法として絶縁I/F回路4が用いられることになる。絶縁I/F回路4としては、一般的にフォトカプラが用いられることが多く、フォトカプラの信号伝達特性は、数10μs〜数100μsの時間遅れが発生する。また、NMOSQ1を制御するコントローラ1についても、内蔵されている誤差増幅器の応答性が変わるので、コントローラ1の特性によってもフィードバック制御の時間遅れが異なってくる。
【0014】
図7は、図6の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、(a)はNMOSQ2を駆動するSW信号、(b)はLEDアレイ2を流れる出力電流ID1、(c)は2次側から1次側にフィードバックされるFB信号、(d)は平滑コンデンサC2の両端子間の出力電圧Vdd、(e)はNMOSQ1を流れる出力電流ID2をそれぞれ示している。また、期間Aは調光が明るめに設定されてSW信号のON期間が比較的長い期間、期間Bは調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が比較的短い期間をそれぞれ示している。
【0015】
図7(a)に示すように、時刻T1においてSW信号が立ち上がると、時刻T1からフィードバック制御の時間遅れ分経過した時刻T2までがフィードバック制御が開始されない期間となり、図7(c)に示すように、時刻T2まではFB信号が2次側から1次側にフィードバックされない。従って、時刻T1から時刻T2までの期間では、平滑コンデンサC2に1次側から電力が供給されず、平滑コンデンサC2に蓄積されている電力のみでLEDアレイ2が駆動されることになるため、図7(d)、(b)に示すように、出力電圧Vddが定格電圧よりも低下してしまうと共に、LEDアレイ2を駆動する出力電流ID1が定電流Isよりも低下してしまう。
【0016】
次に、時刻T2でフィードバック制御が開始されると、定電流Isよりも出力電流ID1が低下しているため、図7(c)、(e)に示すように、1次側にフィードバックされるFB信号が急速に立ち上がり、低下している出力電流ID1を上昇させる急激なフィードバック制御が行われ、1次側から2次側に通常よりも多い電力が供給される。期間AのようにSW信号のON期間が比較的長い場合には、時刻T3において、平滑コンデンサC2に1次側から十分な電力が供給され、出力電圧Vddが定格電圧になると、出力電流ID1を維持するようにフィードバック制御が行われ、時刻T4でSW信号が立ち下がるまで出力電圧Vddが定格電圧に、出力電流ID1が定電流Isにそれぞれ維持されることになる。
【0017】
これに対し、期間BのようにSW信号のON期間が比較的短い場合、すなわち時刻T3よりも前の時刻T5でSW信号が立ち下がる場合には、平滑コンデンサC2に1次側から十分な電力が供給されず、出力電圧Vddが定格電圧になる前に、1次側から2次側への電力の供給が終わってしまう。これにより、低下した出力電流ID1も定電流Isに戻ることなく、負荷であるLEDアレイ2を定電流Isで駆動することができなくなってしまう。
【0018】
また、時刻T2からT3の期間は、1次側から2次側に通常よりも多い電力が供給されるため、スイッチング電流の変化が大きくなって、トランスTの磁束の変化量が大きくなり、トランスTからの音鳴りが大きく発生するという問題点もあった。
【0019】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、コンバータ等のフィードバック制御に時間遅れが発生するような回路構成であっても、負荷を定電流で駆動することができる定電流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の定電流電源装置は、1次側から2次側に設けられた平滑コンデンサに電力を供給し、2次側に供給された電力を用いてPWM制御によるパルス信号で負荷をオン/オフ駆動する定電流電源装置であって、前記負荷を流れる出力電流に対応するフィードバック信号を生成するフィードバック信号生成回路と、該フィードバック信号生成回路で生成された前記フィードバック信号を2次側から1次側にフィードバックするフィードバック回路と、該フィードバック回路によってフィードバックされた前記フィードバック信号に基づいて1次側から2次側への電力の供給を制御する制御回路と、前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を制限するフィードバック期間制限回路と、を具備し、前記フィードバック期間制限回路は、前記フィードバック信号がフィードバックされる期間を、前記負荷をオン駆動する前記パルス信号のON期間と、前記パルス信号に基づいて生成された補充期間との論理和に制限させ、前記フィードバック信号によるフィードバック制御は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングに対して時間遅れを有し、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングでの前記平滑コンデンサの出力電圧は、前記補充期間に供給される電力によって定格電圧より高く、時間遅れによって前記フィードバック制御が開始されない期間は、前記平滑コンデンサに蓄積されている電力のみで前記負荷がオン駆動されることを特徴とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記フィードバック信号生成回路は、前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、直前前記パルス信号のON期間に前記負荷を流れた出力電流に対応する前記フィードバック信号を生成させることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の終了のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間の開始のタイミングをトリガとして生成された所定の期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記補充期間は、前記パルス信号のON期間をディレイさせて生成された期間であることを特微とする。
また、本発明の定電流電源装置においては、前記パルス信号のON期間以外の前記補充期間には、前記フィードバック回路および前記制御回路に起因するフィードバック制御の時間遅れの期間に前記負荷の駆動で使用される電力が1次側から2次側に供給されることを特微とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る定電流電源装置の第1の実施の形態の回路構成を示す回路構成図である。
図2図1の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
図3】本発明に係る定電流電源装置の第2の実施の形態の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
図4】本発明に係る定電流電源装置の第3の実施の形態の回路構成を示す回路構成図である。
図5】図の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
図6】従来技術の定電流電源装置の回路構成を示す回路構成図である。
図7図6の各部の信号波形、及び動作波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の定電流電源装置は、図1に示すように、整流回路DBと、平滑コンデンサC1と、コントローラ1と、N型のMOSFET(以下、NMOSと称す)Q1と、抵抗R1と、トランスTと、整流ダイオードD1と、平滑コンデンサC2と、抵抗R2と、NMOSQ2と、差動増幅器OTAと、NMOSQ3と、基準電圧Vref1と、コンデンサC3と、シャントレギュレータZ1と、オン発生回路5と、オア回路ORと、インバータINVと、P型のMOSFET(以下、PMOSと称す)Q4と、発光ダイオードPCD及び受光トランジスタPCTRで構成されるフォトカプラとを備え、LEDアレイ2を定電流Isで駆動するように構成されている。なお、第1の実施の形態の定電流電源装置において、図6に示す従来の定電流電源装置と同一の構成については同一符号を付与して説明を省略する。
【0024】
差動増幅器OTA、NMOSQ3、基準電圧Vref1、コンデンサC3、及びシャントレギュレータZ1は、LEDアレイ2を流れる出力電流ID1に対応するFB信号を生成するFB信号生成回路として機能する。また、発光ダイオードPCD及び受光トランジスタPCTRで構成されるフォトカプラは、FB信号生成回路で生成されたFB信号を2次側から1次側にフィードバックするフィードバック回路として機能する。さらに、コントローラ1は、フィードバック回路によってフィードバックされたFB信号に基づいて1次側から2次側への電力の供給を制御する制御回路として機能し、FB信号がコントローラ1に入力されることで、コントローラ1は1次側から2次側への電力の供給を開始し、受光トランジスタPCTRで受光したFB信号がなくなることで、コントローラは1次側から2次側への電力の供給を停止する。さらにまた、オン発生回路5、オア回路OR、インバータINV、及びPMOSQ4は、FB信号がフィードバックされる期間を制限するフィードバック期間制限回路として機能する。
【0025】
図1に示すように、NMOSQ2のソース端子と抵抗R2との接続点が差動増幅器OTAの反転入力端子に接続されており、差動増幅器OTAの非反転入力端子は基準電圧Vref1の正極端子に接続されている。差動増幅器OTAは非反転入力端子に入力された基準電圧Vref1と反転入力端子に入力された抵抗R2に発生する電圧との差電圧を電流に変換して出力する。これにより、差動増幅器OTAからはLEDアレイ2を流れる出力電流ID1に比例した電流が出力されることになる。差動増幅器OTAの出力端子はNMOSQ3のドレイン端子に接続され、NMOSQ3のソース端子はコンデンサC3を介してGNDラインに接続されていると共に、シャントレギュレータZ1の制御端子aに接続されている。NMOSQ3のゲート端子はSW信号の入力端子SWに接続されている。
【0026】
また、入力端子SWはオア回路ORの一方の入力端子に接続されていると共に、入力端子SWはオン発生回路5を介してオア回路ORの他方の入力端子に接続されている。そして、オア回路ORの出力端子はインバータINVを介してPMOSQ4のゲート端子に接続されている。オン発生回路5は、SW信号に基づいて補充期間を生成するための回路であり、SW信号のON期間と、オン発生回路5で生成された補充期間との論理和によってPMOSQ4がオン/オフ制御される。
【0027】
シャントレギュレータZ1のアノードはGNDラインに接続され、シャントレギュレータZ1のカソードはPMOSQ4のドレイン端子に接続されている。そして、PMOSQ4のソース端子はフォトカプラを構成する発光ダイオードPCDのカソードに接続され、発光ダイオードPCDのアノードは内部定電源Vccに接続されている。
【0028】
以上の構成によって、NMOSQ3がオン状態である場合に、基準電圧Vref1と抵抗R2に発生する電圧との差電圧に応じた電流が差動増幅器OTAから出力され、コンデンサC3に発生する電圧、すなわち出力電流ID1に応じた電圧がシャントレギュレータZ1の制御端子aに入力される。PMOSQ4がオン状態である場合に、シャントレギュレータZ1の制御端子aの電圧に応じた電流、すなわち出力電流ID1に対応した電流が発光ダイオードPCDを流れ、当該電流がFB信号として発光ダイオードPCDから受光トランジスタPCTRに出力される。PMOSQ4がオン状態となるのは、インバータINVがLowレベル、すなわちオア回路ORがHiレベルになる場合であり、FB信号がフィードバックされる期間は、SW信号のON期間と、オン発生回路5で生成された補充期間との論理和に制限させることになる。
【0029】
受光トランジスタPCTRのコレクタ端子はコントローラ1のフィードバック入力端子FBに接続され、受光トランジスタPCTRのエミッタ端子は接地端子に接続されている。受光トランジスタPCTRでは、発光ダイオードPCDからの誤差信号が受光されると、受光されたFB信号に応じた電流が流れ、FB信号がコントローラ1に伝達される。これにより、コントローラ1は、FB信号に応じたパルス幅のPWM信号を生成することで、NMOSQ1をオン/オフ制御して、1次側から2次側に必要な電力を供給し、負荷であるLEDアレイ2が定電流Isで駆動されるように構成される。
【0030】
図2は、図1の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、(a)はNMOSQ2を駆動するSW信号、(a’)はオン発生回路5から出力されるON信号、(b)はLEDアレイ2を流れる出力電流ID1、(c)は2次側から1次側にフィードバックされるFB信号、(d)は平滑コンデンサC2の両端子間の出力電圧Vdd、(e)はNMOSQ1を流れる出力電流ID2をそれぞれ示している。また、期間Aは調光が明るめに設定されてSW信号のON期間が比較的長い期間、期間Bは調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が比較的短い期間をそれぞれ示している。
【0031】
図2(a)に示すように、時刻T1においてSW信号が立ち上がると、PMOSQ4がオン状態となると共に、NMOSQ3がオン状態となる。これにより、出力電流ID1に応じた電流がFB信号として2次側から1次側にフィードバックされる状態となるが、フィードバック制御の時間遅れにより、図2(c)に示すように、時刻T2まではFB信号が2次側から1次側にフィードバックされない。従って、時刻T1から時刻T2まで期間では、平滑コンデンサC2に1次側から電力が供給されないため、平滑コンデンサC2に蓄積されている電力のみでLEDアレイ2が駆動されることになる。しかしながら、第1の実施の形態では、図2(d)に示すように、SW信号が立ち上がる時点での出力電圧Vdd(実線)が定格電圧(点線)よりΔV分高くなるように構成されている。これにより、図2(b)に示すように、時刻T1からT2までの期間においても、出力電圧Vdd(実線)が定格電圧(点線)よりも低下することなく、LEDアレイ2を駆動する出力電流ID1がほぼ定電流Isとなる。従って、図2(c)に示すように、1次側にフィードバックされるFB信号が急速に立ち上がることなく、出力電流ID1を維持するようにフィードバック制御が行われ、時刻T4(期間A参照)や時刻T5(期間B参照)でSW信号が立ち下がるまで出力電圧Vddが定格電圧に、出力電流ID1が定電流Isにそれぞれ維持されることになる。
【0032】
オン発生回路5は、入力されたトリガに対して予め設定されたパルス幅のワンショットパルスを発生させる回路であり、図2(a’)に示すように、SW信号の立ち下がり、すなわちSW信号のON期間の終了のタイミングをトリガとして、補充期間となる予め設定されたパルス幅Twのパルスが生成されるON信号を出力する。これにより、SW信号のON期間と、当該SW信号のON期間に引き続くパルス幅Twの期間に、PMOSQ4がオン状態となる。従って、図2(a)に示すように、時刻T4(期間A参照)や時刻T5(期間B参照)でSW信号の立ち下がると、NMOSQ3は、オフ状態となるが、PMOSQ4は、パルス幅Twの期間、すなわち時刻T4〜T4’(期間A参照)や時刻T5〜T5’(期間B参照)の期間は、ON状態に維持される。当該期間は、NMOSQ3がオフ状態となるため、差動増幅器OTAから出力される電流がNMOSQ3によって遮断されるが、コンデンサC3に蓄積された電力によってSW信号の立ち下がり時の電圧が維持され、図2(c)に示すように、2次側から1次側にFB信号がフィードバックされる。これにより、平滑コンデンサC2に1次側から電力が供給されることになるが、SW信号が立ち下がって、LEDアレイ2が駆動されていないため、供給された電力が平滑コンデンサC2に蓄積される。時刻T4〜T4’(期間A参照)や時刻T5〜T5’(期間B参照)の期間に平滑コンデンサC2に蓄積される電力によって、時刻T4’(期間A参照)や時刻T5’(期間B参照)の時点で、図2(d)に示すように、出力電圧Vdd(実線)が定格電圧(点線)よりΔV分高くなるように構成されている。換言するならば、SW信号のオン時間に引き続くパルス幅Twの期間で、次回のSW信号の立ち上がりにおけるフィードバック制御の時間遅れの期間にLEDアレイ2の駆動に消費される電力が平滑コンデンサC2に1次側から供給される。従って、SW信号のオン時間において、出力電圧Vddがほぼ定格電圧に、出力電流ID1がほぼ定電流Isにそれぞれ維持されることになり、フィードバック制御に時間遅れが発生する第1の実施の形態の回路構成であっても、負荷であるLEDアレイ2を定電流Isで駆動することができるという効果を奏する。
【0033】
なお、SW信号のオン時間に引き続くパルス幅Twの期間に平滑コンデンサC2に供給される電力と、SW信号の立ち上がりにおけるフィードバック制御の時間遅れの期間に、LEDアレイ2の駆動に消費される電力とがほぼ同一であることが好ましいが、両者が多少異なっていてもSW信号の立ち上がりにおける出力電流ID1の低下を防止する効果を得ることができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、(a)はNMOSQ2を駆動するSW信号、(a’)はオン発生回路5から出力されるON信号、(b)はLEDアレイ2を流れる出力電流ID1、(c)は2次側から1次側にフィードバックされるFB信号、(d)は平滑コンデンサC2の両端子間の出力電圧Vdd、(e)はNMOSQ1を流れる出力電流ID2をそれぞれ示している。また、期間Aは調光が明るめに設定されてSW信号のON期間が比較的長い期間、期間Bは調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が比較的短い期間をそれぞれ示している。
第2の実施の形態の定電流電源装置は、図1に示す第1の実施の形態の定電流電源装置と同一の構成であるが、図3に示すように、オン発生回路ONから出力されるON信号の出力波形が異なっている。すなわち、第2の実施の形態におけるオン発生回路ONは、図3(a’)に示すように、SW信号の立ち上がり、すなわちSW信号のON期間の開始のタイミングをトリガとして、補充期間となる時刻T1からT3の期間よりも長いパルス幅Txのパルスが生成されるON信号を出力する。これにより、図3において期間Bに示すように、SW信号のON期間が時刻T1からT3の期間よりも短い場合に、パルス幅Txの期間、すなわちSW信号のON期間と、当該SW信号のON期間に引き続くパルス幅Tx’期間(パルス幅Txの期間−SW信号のON期間)に、PMOSQ4がオン状態となる。従って、図3(a)に示すように、時刻T5(期間B参照)でSW信号の立ち下がると、NMOSQ3は、オフ状態となるが、PMOSQ4は、パルス幅Tx’の期間、すなわち時刻T5〜T5’(期間B参照)の期間は、ON状態に維持される。当該期間は、NMOSQ3がオフ状態となるため、差動増幅器OTAから出力される電流がNMOSQ3によって遮断されるが、コンデンサC3に蓄積された電力によってSW信号の立ち下がり時の電圧が維持され、図3(c)に示すように、2次側から1次側にFB信号がフィードバックされる。これにより、平滑コンデンサC2に1次側から電力が供給されることになるが、SW信号が立ち下がって、LEDアレイ2が駆動されていないため、供給された電力が平滑コンデンサC2に蓄積される。時刻T5〜T5’(期間B参照)の期間に平滑コンデンサC2に蓄積される電力によって、時刻T5’(期間B参照)の時点で、図3(d)に示すように、出力電圧Vdd(実線)が定格電圧(点線)よりΔV分高くなるように構成されている。換言するならば、SW信号のオン時間に引き続くパルス幅Tx’の期間で、次回のSW信号の立ち上がりにおけるフィードバック制御の時間遅れの期間にLEDアレイ2の駆動に消費される電力が平滑コンデンサC2に1次側から供給される。従って、調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が短い場合に、SW信号のオン期間において、出力電圧Vddがほぼ定格電圧に、出力電流ID1がほぼ定電流Isにそれぞれ維持されることになり、フィードバック制御に時間遅れが発生する第1の実施の形態の回路構成であっても、負荷であるLEDアレイ2を定電流Isで駆動することができるという効果を奏する。
【0035】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の定電流電源装置は、図4を参照すると、第1の実施の形態の定電流電源装置の構成において、オン発生回路5の変わりにディレイ回路6が設けられている点で異なっている。
【0036】
図5は、図4の各部の信号波形、及び動作波形を示したもので、(a)はNMOSQ2を駆動するSW信号、(a’)はディレイ回路6から出力されるディレイ信号、(b)はLEDアレイ2を流れる出力電流ID1、(c)は2次側から1次側にフィードバックされるFB信号、(d)は平滑コンデンサC2の両端子間の出力電圧Vdd、(e)はNMOSQ1を流れる出力電流ID2をそれぞれ示している。また、期間Aは調光が明るめに設定されてSW信号のON期間が比較的長い期間、期間Bは調光が暗めに設定されてSW信号のON期間が比較的短い期間をそれぞれ示している。
【0037】
ディレイ回路6は、図5(a’)に示すように、SW信号のON期間を時間Tw分遅れさせたディレイ信号を出力する。これにより、これにより、第1の実施の形態と同様に、SW信号のON期間と、当該SW信号のON期間に引き続く時間Twの期間に、PMOSQ4がオン状態となり、第1の実施の形態と同様の動作で同様の効果を奏する。
【0038】
なお、上述の実施の形態では、n個(nは任意の自然数を示す)のLED21〜2nが直列接続されてなるLEDアレイ2を負荷として駆動する例を説明したが、1個のLEDでも良い。また、直流で駆動することができる負荷であれば、LEDに限定されることはない。
【0039】
また、本実施の形態では、1次−2次絶縁型コンバータについて説明したが、非絶縁型コンバータにも本発明を問題なく適用することができる。さらに、本実施の形態では、トランスTを用いたコンバータについて説明したが、昇降圧型チョッパー等の非絶縁型コンバータ等にも応用可能である。
【0040】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0041】
1 コントローラ
2 LEDアレイ
21、22、〜2n LED
3 フィードバック回路
4 絶縁I/F回路
5 オン発生回路
6 ディレイ回路
DB 整流回路
C1 平滑コンデンサ
Q1 N型のMOSFET
R1 抵抗
T トランス
D1 整流ダイオード
C2 平滑コンデンサ
R2 抵抗
Q2 NMOS
OTA 差動増幅器
Q3 NMOS
Vref1 基準電圧
C3 コンデンサ
Z1 シャントレギュレータ
OR オア回路
INV インバータ
Q4 P型のMOSFET
PCD 発光ダイオード
PCTR 受光トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7