特許第5691768号(P5691768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691768
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】水無害化処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/46 20060101AFI20150312BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20150312BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20150312BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   C02F1/46 Z
   C02F1/76 A
   C02F1/32
   C02F1/72 101
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-88801(P2011-88801)
(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公開番号】特開2012-217966(P2012-217966A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100152249
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 晃一
(72)【発明者】
【氏名】丹下 智陽
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−119970(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/011040(WO,A1)
【文献】 特表2010−536540(JP,A)
【文献】 特開2004−174431(JP,A)
【文献】 特開2000−084565(JP,A)
【文献】 特開2001−252652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00〜 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え
前記制御手段は、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低い場合、その濃度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項2】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、
前記制御手段は、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項3】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、
前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られないとき、さらに前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする請求項に記載の水無害化処理装置。
【請求項5】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え
前記制御手段は、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低い場合、その濃度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項6】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項7】
水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、
前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする水無害化処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られないとき、さらに前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする請求項に記載の水無害化処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラスト水、下水、工場排水を無害化する水無害化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト水、下水、工場排水等(以下、被処理水という。)を無害化する処理手段として、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電気分解処理法や、被処理水に紫外線を照射して処理する紫外線処理法が知られている。
【0003】
しかし、電気分解処理法では、被処理水に含まれる塩分濃度によって塩素含有物質である塩素、次亜塩素酸、残留塩素等の濃度(以下、塩素濃度という。)が変わるため、例えば、被処理水がバラスト水である場合には無害化処理効果が不安定となる。特に、河川の上流まで上る船舶や湖を行き交う船舶では、淡水をバラスト水として用いる場合があり、これを電気分解しても微生物や菌の殺滅に有効な塩素濃度(以下、有効塩素濃度という。)は得られない。また、河口に近い港でバラスト水を処理する場合、汲み上げる水に含まれる塩分濃度が低い場合、有効塩素濃度を得るための入力電力が増加してしまったり、増加させても必要な有効塩素濃度が得られない場合がある。
このような問題点を解消するものとして、塩化ナトリウムや塩分濃度が一定濃度以上の海水を電解促進剤としてタンクに貯留しておき、液体を処理する際に、液体電解装置の貯留タンク内或いは電解層内へ供給し、液体中の塩分濃度を上昇させることにより電解効率を高めて有効塩素濃度を得る水処理技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、紫外線処理法では、被処理水の濁度が高いとき、紫外線照射の強度が低下し、殺菌に十分な紫外線照度(以下、所定照射強度)が得られない場合がある。
このような問題点を解消するものとして、電解次亜塩素酸ソーダ製造装置に食塩水を供給して得られる次亜塩素酸ソーダ溶解含有水を被処理水に添加して紫外線照射処理して、被処理水を浄化する水処理技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−229577号公報
【特許文献2】特開2001−79544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1、2で開示されている水処理技術を、例えば、バラスト水処理に利用する場合、特許文献1で開示されている水処理技術では、バラスト水を処理する海域(港)の塩分濃度にあわせて、塩化ナトリウムや塩分濃度が一定濃度以上の海水などの電解促進剤をタンクに貯留しなければならず、航行時の燃費ロスを招くと共に、バラスト水製造コストが高いものとなるといった問題があり、また、特許文献2で開示されている水処理技術では、例えば、淡水路を航路とする船舶の場合には、多量の食塩が必要となりバラスト水製造コストが高いものとなるといった問題がある。
【0007】
本発明の目的は、電気分解処理法と紫外線処理法の短所を、それぞれの長所で補い合うようにして効率よく且つ低コストで被処理水の無害化処理を行えるようにした水無害化処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低い場合、その濃度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、被処理水を電解処理装置と紫外線処理装置で処理するので、効率が良く、高い無害化処理効果が得られ、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整することにより、被処理水の塩分濃度が低い場合や濁度が高い場合でも、高い無害化処理効果を確実に得ることができる。また、被処理水の塩分濃度が低い場合を想定して、塩化ナトリウムや塩分濃度が一定濃度以上の海水などの電解促進剤を貯留する必要がないので、低コストで被処理水を無害化処理することができる。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低くても前記紫外線照射装置の出力を上げることにより被処理水を無害化することができるので、前記電解処理装置の出力を上げることによる処理水中に残る塩素含有物質の増加が防止でき、その分排水時における中和処理の必要がなくなる。
【0012】
請求項に記載の発明は、中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げることにより塩素含有物質の生成を増加させ有効塩素濃度を得ることができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて前記電解処理装置および前記紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の濁度が高くても紫外線照度に所定照射強度を得ることができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の、前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られないとき、さらに前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の濁度が高く、前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られない場合、さらに前記電解処理装置の出力を上げることにより塩素含有物質の生成を増加させ塩素濃度を高めることにより、無害化処理効果を確実に得ることができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低い場合、その濃度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、被処理水を電解処理装置と紫外線処理装置で処理するので、効率が良く、高い無害化処理効果が得られ、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整することにより、被処理水の濁度が高い場合や処理水の塩素濃度が低い場合でも、高い無害化処理効果を確実に得ることができる。また、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が低い場合を想定して、塩化ナトリウムや塩分濃度が一定濃度以上の海水などの電解促進剤を貯留する必要がないので、低コストで被処理水を無害化処理することができる。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低くても前記紫外線照射装置の出力を上げることにより被処理水を無害化することができるので、前記電解処理装置の出力を上げることによる処理水中に残る塩素含有物質の増加が防止でき、その分排水時における中和処理の必要がなくなる。
【0022】
請求項に記載の発明は、水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項に記載の発明によれば、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度が通常の塩分濃度の海水を処理したときの塩素濃度より低い場合、その濃度に応じて前記電解処理装置の出力を上げることにより塩素含有物質の生成を増加させ有効塩素濃度を得ることができる。
【0024】
請求項に記載の発明は、水中の微生物を殺滅する水無害化処理装置であって、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置と、前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段と、被処理水または前記電解処理装置で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置を内蔵した紫外線処理装置と、被処理水の濁度および前記電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて電解処理装置および紫外線照射装置の出力を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げることにより、被処理水の濁度が高くても紫外線照度に所定照射強度を得ることができる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の、前記制御手段は、被処理水の濁度に応じて前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られないとき、さらに前記電解処理装置の出力を上げるように調整する制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0027】
請求項に記載の発明によれば、被処理水の濁度が高く、前記紫外線照射装置の出力を上げても所定の紫外線の照度が得られない場合、前記電解処理装置の出力を上げることにより塩素含有物質の生成を増加させて有効塩素濃度を高めることができ、無害化処理効果を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る水無害化処理装置によれば、被処理水の塩分濃度や電解処理装置で処理した処理水の塩素濃度および処理水の濁度に応じて前記電解処理装置および紫外線処理装置が内蔵する前記紫外線照射装置の出力を調整することにより、被処理水の塩分濃度や有効塩素濃度が低い場合や処理水の濁度が高い場合であっても、低コストで被処理水を確実に無害化処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る水無害化処理装置を実施するための形態の第1例を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る水無害化処理装置を実施するための形態の第2例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る水無害化処理装置を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る水無害化処理装置の実施の形態の第1例を示す概略構成図である。
【0031】
本例の水無害化処理装置はバラスト水処理装置として実施された例を示すものであり、水処理ライン1上に、上流側から、被処理水の塩分濃度を測定する塩分濃度測定手段2と、被処理水の濁度を測定する濁度測定手段3と、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置4と、被処理水または電解処理装置4で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置5aを内蔵した紫外線処理装置5とを備えている。
このように、電解処理装置4と紫外線処理装置5を水処理ライン1上に直列に配置し、電解処理装置4で処理した処理水に紫外線処理装置5に内蔵する紫外線照射装置5aで紫外線を照射して処理することにより、微生物の殺滅効果を一層高めることができ、高い無害化処理効果が得られる。
さらに、本例の水無害化処理装置は、前記の塩分濃度測定手段2および濁度測定手段3による被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御手段6を備えている。前記紫外線照射装置5aは、図示しないが、紫外線ランプと、そのランプの出力を制御する制御部を含んでいる。
【0032】
塩分濃度測定手段2の上流側の水処理ライン1には、被処理水を汲み上げて圧送するポンプ7とフィルタ8が、ポンプ7、フィルタ8の順で設けられている。また、水処理ライン1の上流端には、汲み上げ弁9を介して被処理水汲み上げライン10が接続している。
紫外線処理装置5の下流側は、処理水送りライン11と排出ライン12に分岐している。そして、処理水送りライン11は、処理水タンク13に処理水を注水し、また処理水タンク13内の処理水を汲み上げる注水・汲み上げライン14と、処理水タンク13から処理水を汲み上げるためのポンプ7と接続されて、処理水を送り出す処理水再処理ライン15に分岐している。この処理水再処理ライン15はポンプ7と汲み上げ弁9との間の水処理ライン1に接続されている。
【0033】
水処理ライン1には、処理水タンク13の水を排水する際に再処理するための処理水排水ライン18が接続される。処理水排水ライン18は、処理水タンク13からポンプ7によって汲み上げた処理水を紫外線処理装置5に通過させ、内蔵する紫外線照射装置5aで紫外線を照射して、系外に排出するラインである。処理水排水ライン18は、水処理ライン1のポンプ7の下流から分岐し、フィルタ8、電解処理装置4をバイパスさせて、紫外線処理装置5の上流側と接続する第1分岐ライン16と、さらに紫外線処理装置5をバイパスさせて排出ライン12に接続する第2分岐ライン17に分かれている。
この処理水排水ライン18には、再処理弁26、再処理切換弁31が設けられている。また、第1分岐ライン16には、紫外線再処理弁30が設けられている。
【0034】
また、前記処理水再処理ライン15および処理水送りライン11には、処理水再処理ライン15および処理水送りライン11を通る処理水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定手段19a,19bが設けられ、また、処理水排水ライン18には、一端が塩素中和剤を収容する中和装置20に接続された中和剤注入ライン21の他端が接続されている。そして、残留塩素濃度測定手段19a,19bの何れかで測定した処理水の残留塩素濃度の測定値に応じて中和装置20から塩素中和剤を処理水排水ライン18に注入する制御手段22を備えている。中和装置20は、残留塩素を中和するチオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムといった塩素中和剤を収納しており、前記制御手段22に制御されて塩素中和剤を処理水排水ライン18に注入するものである。
【0035】
なお、本例では、前記処理水再処理ライン15に、処理水再処理ライン15を通る処理水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定手段19aが設けられ、また、処理水送りライン11に、処理水送りライン11を通る処理水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度測定手段19bが設けられているが、前記処理水再処理ライン15或いは処理水送りライン11のいずれか一方に、残留塩素濃度測定手段19a或いは残留塩素濃度測定手段19bが設けられていればよい。
【0036】
前記の残留塩素濃度測定手段19a,19bは、本例では、総残留オキシダントセンサ(TROセンサ)が用いられ、処理水再処理ライン15を通る処理水の残留塩素濃度を検出している。
水処理ライン1には、ポンプ7とフィルタ8の間に処理水弁23が設けられ、電解処理装置4と紫外線処理装置5との間には、再処理時に第1分岐ライン16から流入する処理水が電解処理装置4へ逆流するのを防止する逆流防止弁24が設けられ、紫外線処理装置5の下流側に処理水供給弁25が設けてられている。
また、処理水送りライン11には、タンク注水弁27が設けられ、排出ライン12には、排出弁28が設けられ、処理水再処理ライン15には、タンク排水弁が29が設けられ、中和剤注入ライン21には、中和剤供給弁32が設けられている。
【0037】
前記の塩分濃度測定手段2は、本例では電気伝導度センサが用いられ、被処理水の電気伝導度を検出することにより被処理水の塩分濃度を検出している。また、濁度測定手段3には、被処理水の濁度を直接計測する濁度センサや透過率センサ、あるいは被処理水に紫外線を照射したときの照度を計測して、その照度により被処理水の濁度を間接的に計測する紫外線照度センサがある。
本例では濁度測定手段3として、水処理ライン1を通る被処理水の濁度を計測する濁度センサ3aと、紫外線処理装置5において紫外線を照射したときの照度を計測する紫外線照度センサ3bが併用され、濁度センサ3aと紫外線照度センサ3bのいずれかが制御手段6により選択され、被処理水の濁度が計測されるようになっている。
【0038】
また、前記の制御手段6は、前記の塩分濃度測定手段2および濁度測定手段3による被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を、船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約(以下、バラスト水管理条約という。)に基づくバラスト水の排水基準(以下、D2基準という。)を満足する微生物の殺滅効果が得られるよう出力調整する制御を行うようにしている。
本例では、電解処理装置4および紫外線照射装置5aの所定出力を設定している。電解処理装置4にあっては、通常の海水の塩分濃度(3.2%)のとき、D2基準を満足する有効塩素濃度が得られる出力を所定出力とし、この所定出力は電解処理装置4の定格出力の70%に設定している。また、紫外線照射装置5aにあっては、濁度が50NTU以下で、D2基準を満足する照度が得られる出力を所定出力とし、この所定出力は紫外線照射装置5aの定格出力の70%に設定している。
【0039】
また、D2基準を満足させるために、被処理水の塩分濃度が低いときの紫外線照射装置5aの出力アップ率、濁度が高いときの電解処理装置4の出力アップ率をそれぞれ設定しており、被処理水の塩分濃度および濁度の測定値に応じて電解処理装置4の圧力および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御を行うようになっている。
【0040】
制御手段6による電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御は、本例ではつぎのように行うようになっている。
[制御1]
被処理水の塩分濃度に応じて紫外線照射装置5aの出力を上げるように調整する制御を行う。塩分濃度測定手段2としての電気伝導度センサで測定される被処理水の電気伝導度に基づき、被処理水の塩分濃度が通常海水の濃度よりも低いと判定した場合は、電解処理装置4の出力を所定出力に維持し、紫外線照射装置5aの出力を所定出力である70%から塩分濃度に応じて増加させる。
[制御2]
被処理水の塩分濃度に応じて電解処理装置4の出力を調整する制御を行う。被処理水の塩分濃度が通常の濃度より低いと判定した場合は、紫外線照射装置5aの出力を所定出力に維持し、電解処理装置4の出力を微生物の殺滅に有効な塩素濃度が得られるよう増加させる。
[制御3]
被処理水の濁度に応じて紫外線照射装置5aの出力を上げるように調整する制御を行う。被処理水の濁度が高く、所定の紫外線照度が得られない場合は、電解処理装置4の出力を所定出力に維持し、紫外線照射装置5aの出力を微生物の殺滅に有効な紫外線照度が得られるよう増加させる。
[制御4]
被処理水の濁度が高く紫外線照射装置5aの出力を上げても所定の紫外線照度が得られないとき、さらに電解処理装置4の出力を上げるように調整する制御を行う。被処理水の濁度が高く、紫外線照射装置5aの出力を出力の上限まで上げても所定紫外線照度が得られない場合は、電解処理装置4の出力を、例えば、80%、90%といったように計測された照度に応じて上げる。
【0041】
このように構成された本例の水無害化処理装置による被処理水の無害化処理は、次のようにして行われる。本例においては、船舶用に用いられるバラスト水処理における無害化処理について説明する。
まず、汲み上げ弁9、処理水弁23、逆流防止弁24、処理水供給弁25、タンク注水弁27を開き、再処理弁26、排出弁28、タンク排水弁29、紫外線再処理弁30、再処理切換弁31、中和剤供給弁32を閉じ、ポンプ7を起動する。ポンプ7の起動により、被処理水が被処理水汲み上げライン10から汲み上げられて水処理ライン1に通水される。
水処理ライン1に通水された被処理水は、フィルタ8でフィルタサイズ以上の生物(微生物)が捕捉され、塩分濃度測定手段2と濁度測定手段3として用いられる紫外線照度センサ3bによって、被処理水の塩分濃度と濁度が検出され、これらの検出値に基づいて、制御手段6により電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力が調整され、被処理水中のみ微生物が殺滅処理され、処理水タンク13へ貯留される。
【0042】
具体的には、塩分濃度測定手段2により被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低いことを検出した場合、制御手段6は、電解処理装置4の出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、紫外線照射装置5aの出力を、塩分濃度が低いことによる塩素濃度の不足から生じる殺滅効果の低下を補完するために、塩分濃度に応じて予め定めた出力まで増加させる。
このようにすることにより、被処理水の塩分濃度が低く、電解処理装置4で生成される塩素濃度が不足し微生物の殺滅効果が低下しても、紫外線照射装置5aの出力を上げることによって、D2基準を満足する殺滅能力で処理することができる。
【0043】
また、塩分濃度測定手段2により被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度より低いことを検出した場合、制御手段6は、紫外線照射装置5aの出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、電解処理装置4の出力を、所定の有効塩素濃度が得られるように、塩分濃度に応じて増加させる。
このようにすることにより、被処理水の塩分濃度が低く、電解処理装置4で生成される塩素含有物質の塩素濃度が不足しても、出力を増加させることにより所定の有効塩素濃度が得られ、D2基準を満足する殺滅能力で処理することができる。
【0044】
被処理水の塩分濃度が通常海水の塩分濃度であるが、被処理水の濁度が基準の50NTUを超え、紫外線照射装置5a内の紫外線照度が所定照度を得られない場合は、つぎの制御を行う。
紫外線照度センサ3bによる紫外線照射装置5a内の検出照度が所定照度を得られていない場合、制御手段6は、電解処理装置4の出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、紫外線照射装置5aの出力を、紫外線照度センサ3bで検出される照度が所定照度になるまで増加させる。
【0045】
さらに、被処理水の濁度が高く、紫外線照射装置5aの出力を100%まで上げても紫外線照度センサ3bで検出される照度が所定照度を得られない場合、制御手段6は、電解処理装置4の出力を上げる。このときの電解処理装置4の出力の上昇率は、紫外線照射装置5aで得られる照度に応じて、D2基準を満足する殺滅能力が得られるように予めその上昇率を定めておく。
このようにすることにより、被処理水の濁度が高くなり、紫外線照射装置5a内の紫外線照度が所定照度を得られなくなっても、電解処理装置4の出力を上げることにより塩素濃度を増加させて、D2基準を満足する殺滅能力となり、処理水を無害化することができる。
【0046】
次に、処理水収容タンク13に注水された処理水を水無害化処理装置の外に排水する場合について説明する。
まず、汲み上げ弁9、処理水弁23、逆流防止弁24、排出弁28、再処理切換弁31を閉じ、再処理弁26、紫外線再処理弁30、処理水供給弁25、タンク注水弁27、タンク排水弁29を開き、ポンプ7を起動して、処理水タンク13内に貯留された処理水を注水・汲み上げライン14から汲み上げ、汲み上げた処理水を処理水タンク13内に戻すように循環させる。そして、循環の途中で通過する紫外線処理装置5で処理水に紫外線照射を行うとともに、残留塩素濃度測定手段19a、或いは残留塩素濃度測定手段19bで循環する処理水の残留塩素濃度を測定する。
そして、残留塩素濃度測定手段19a、或いは残留塩素濃度測定手段19bで測定した循環する処理水タンク13内の処理水の塩素濃度が0ppmであった場合は、処理水タンク13内で貯留中に微生物が増殖しているものと判断し、紫外線処理装置5の紫外線照射装置5aが所定出力になるまで前記のルートで処理水を循環させ、紫外線照射装置5aの出力が所定照度になったら、タンク注水弁27を閉じ、排出弁28を開いて船外へ排水する。
【0047】
また、残留塩素濃度測定手段19aおよび残留塩素濃度測定手段19bの両方あるいは何れか片方で測定した循環する処理水タンク13内の処理水の塩素濃度が0ppmより高い濃度であった場合、処理水は残留塩素の存在により微生物は殺滅され増殖していないものと判断する。そして、残留塩素濃度測定手段19a、或いは残留塩素濃度測定手段19bで測定される塩素濃度に基づき、中和剤供給弁32の開度や開閉時間を制御して、中和装置20から塩素中和剤を、中和剤注入ライン21を通して処理水排水ライン18に送り、紫外線再処理弁30、タンク注水弁27を閉じ、再処理切換弁31、排出弁28を開いて、処理水排水ライン18を通る処理水を中和しながら船外へ排水する。
【0048】
図2は本発明に係る水無害化処理装置の実施の形態の第2例を示す概略構成図である。
本例の水無害化処理装置も、第1例と同様、バラスト水処理装置として実施された例を示すものである。本例の水無害化処理装置について、前記第1例と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
【0049】
本例の水無害化処理装置は、水処理ライン1上に、上流側から、被処理水を電気分解することにより被処理水から塩素含有物質を生成し、この塩素含有物質により被処理水を処理する電解処理装置4と、電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度を測定する塩素濃度測定手段33と、被処理水または電解処理装置4で処理した処理水に紫外線を照射して処理する紫外線照射装置5aを内蔵した紫外線処理装置5と、紫外線照射装置5aの紫外線の照射量を測定する紫外線照度測定手段35とを備えている。
このように、電解処理装置4と紫外線処理装置5を水処理ライン1上に直列に配置し、電解処理装置4で処理した処理水に紫外線処理装置5に内蔵する紫外線照射装置5aで紫外線を照射して処理することにより、微生物の殺滅効果を一層高めることができ、高い無害化処理効果が得られる。
また、前記紫外線照度測定手段35にあっては非処理水の濁度を計測する濁度測定手段を兼ねており、被処理水に紫外線を照射したときの照度を計測して、その照度により被処理水の濁度を間接的に計測することができるようになっている。紫外線照度測定手段35として、本例では、紫外線照度センサが用いられ、紫外線照射装置5aに設置されている。
さらに、本例の水無害化処理装置は、塩素濃度測定手段33、紫外線照度測定手段35による検出値に応じて、電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御手段34を備えている。
【0050】
前記の塩素濃度測定手段33は、本例では、総残留オキシダントセンサ(TROセンサ)が用いられ、電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度を検出している。
また、前記の制御手段34は、前記の紫外線照射装置5aによる被処理水に対する紫外線照度、電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度の測定値に応じて、電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を、D2基準を満足する微生物の殺滅効果が得られるよう出力を調整する制御を行うようになっている。
【0051】
本例では、第1例と同様、電解処理装置4及び紫外線照射装置5aの所定出力を設定している。電解処理装置4にあっては、通常海水の塩分濃度のとき、D2基準を満足する塩素濃度が得られる出力を所定出力とし、この所定出力は電解処理装置4の定格出力の70%に設定している。また、紫外線照射装置5aにあっては、被処理水の濁度が50NTUにおいてD2基準を満足する紫外線照度が得られる出力を所定出力とし、この所定出力は紫外線照射装置5aの定格出力の70%に設定している。
【0052】
また、D2基準を満足させるため、紫外線照度測定手段35で測定される紫外線の照度が所定照度以下となる場合の電解処理装置4の出力増加率、電解処理装置4で処理された処理水の塩素濃度が低い場合の紫外線照射装置5aの出力増加率は、予め実験的に求めており、電解処理装置4で処理された処理水の塩素濃度の測定値および紫外線照度測定手段35で検出される紫外線の照度に応じて、電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御を行うようになっている。
【0053】
制御手段34による電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力を調整する制御は、本例ではつぎのように行うようになっている。
[制御1]
電解処理装置4で処理した処理水の処理水の塩素濃度に応じて紫外線照射装置5aの出力を上げるように調整する制御を行う。塩素濃度測定手段33で測定される塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できないと判断される値である場合は、電解処理装置4の出力を所定出力に維持し、紫外線照射装置5aの出力を所定出力である70%から塩素濃度に応じて増加させるようにする。
[制御2]
塩素濃度測定手段33で測定される塩素濃度に応じて電解処理装置4の出力を調整する制御を行う。塩素濃度測定手段33で測定される塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できないと判断される値である場合は、紫外線照射装置5aの出力を所定出力に維持し、電解処理装置4の出力を微生物の殺滅に有効な塩素濃度が得られるよう増加させる。
[制御3]
紫外線照度測定手段35で測定される被処理水への紫外線の照度に応じて紫外線照射装置5aの出力を上げるように調整する制御を行う。被処理水の濁度が高く、所定の紫外線照度が得られない場合は、電解処理装置4の出力を所定出力に維持し、紫外線照射装置5aの出力を微生物の殺滅に有効な紫外線照度が得られるよう増加させる。
[制御4]
被処理水への紫外線の照度が紫外線照射装置5aの出力を上げても所定の紫外線照度が得られないとき、さらに電解処理装置4の出力を上げるように調整する制御を行う。被処理水への紫外線の照度が紫外線照射装置5aの出力を出力の上限まで上げても所定の紫外線照度が得られない場合は、電解処理装置4の出力を、例えば、80%、90%といったように計測された照度に応じて上げる。
その他の構成は前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、その説明を省略する。
【0054】
このように構成された本例の水無害化処理装置による被処理水の無害化処理は、次のようにして行われる。本例においても第1例と同様、船舶用に用いられるバラスト水処理における無害化処理について説明する。
まず、汲み上げ弁9、処理水弁23、逆流防止弁24、処理水供給弁25、タンク注水弁27を開き、再処理弁26、排出弁28、タンク排水弁29、紫外線再処理弁30、再処理切換弁31、中和剤供給弁32を閉じ、ポンプ7を起動する。ポンプ7の起動により、被処理水が被処理水汲み上げライン10から汲み上げられて水処理ライン1に通水される。
水処理ライン1に通水された被処理水は、フィルタ8でフィルタサイズ以上の生物(微生物)が捕捉され、塩素濃度測定手段33と紫外線照度測定手段35によって、電解処理装置4で処理された処理水の塩素濃度と紫外線照射装置5aで照射された被処理水への紫外線照度が検出され、これらの検出値に基づいて、制御手段6により電解処理装置4および紫外線照射装置5aの出力が調整され、被処理水中のみ微生物が殺滅処理され、処理水タンク13へ貯留される。
【0055】
具体的には、有効塩素濃度測定手段33により電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できない値であることを検出した場合、制御手段34は、電解処理装置4の出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、紫外線照射装置5aの出力を、塩素濃度の処理能力を補完できるよう、塩分濃度に応じて予め定めた出力まで増加させる。
このようにすることにより、電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できない場合であっても、紫外線照射装置5aの出力を上げることによって、D2基準を満足する殺滅能力で処理することができる。
【0056】
また、有効塩素濃度測定手段33により電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できない値であることを検出した場合、制御手段34は、紫外線照射装置5aの出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、電解処理装置4の出力を微生物の殺滅に有効な塩素濃度が得られるよう増加させる。
このようにすることにより、電解処理装置4で処理した処理水の塩素濃度が、下流側の紫外線照射装置5aの所定出力での処理によってD2基準を満足する処理能力が補完できない場合であっても、電解処理装置4の出力を上げることによって、D2基準を満足する殺滅能力で処理することができる。
【0057】
また、被処理水の濁度が高く、紫外線照射装置5a内の紫外線照度が所定照度を得られない場合は、つぎの制御を行う。
紫外線照度測定手段35による紫外線照射装置5a内の検出照度が所定照度を得られていない場合、制御手段34は、電解処理装置4の出力は定格出力の70%である所定出力を維持させ、紫外線照射装置5aの出力を、紫外線照度センサ3bで検出される照度が所定照度になるまで増加させる。
【0058】
さらに、被処理水の濁度が高く、紫外線照射装置5aの出力を100%まで上げても紫外線照度測定手段35で検出される照度が所定照度を得られない場合、制御手段34は、電解処理装置4の出力を上げる。このときの電解処理装置4の出力の上昇率は、紫外線照射装置5aで得られる照度に応じて、D2基準を満足する殺滅能力が得られるように予めその上昇率を定めておく。
このようにすることにより、被処理水の濁度が高くなり、紫外線照射装置5a内の紫外線照度が所定照度を得られなくなっても、電解処理装置4の出力を上げることにより塩素濃度を増加させて、D2基準を満足する殺滅能力となり、処理水を無害化することができる。
【0059】
処理水収容タンク13に注水された処理水を水無害化処理装置の外に排水する場合については、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0060】
1 水処理ライン
2 塩分濃度測定手段
3 濁度測定手段
3a 濁度センサ
3b 紫外線照度センサ
4 電解処理装置
5 紫外線処理装置
5a 紫外線照射装置
6 制御手段
7 ポンプ
8 フィルタ
9 汲み上げ弁
10 被処理水汲み上げライン
11 処理水送りライン
12 排出ライン
13 処理水タンク
14 注水・汲み上げライン
15 処理水再処理ライン
16 第一分岐ライン
17 第二分岐ライン
18 処理水排水ライン
19a 残留塩素濃度測定手段
19b 残留塩素濃度測定手段
20 中和装置
21 中和剤注入ライン
22 制御手段
23 処理水弁
24 逆流防止弁
25 処理水供給弁
26 再処理弁
27 タンク注水弁
28 排出弁
29 タンク排水弁
30 紫外線再処理弁
31 再処理切換弁
32 中和剤供給弁
33 塩素濃度測定手段
34 制御手段
35 紫外線照度測定手段
図1
図2