(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の配線と、前記配線切替手段と、前記ソースフォロワ回路と、前記カレントミラー電流参照元の第2のトランジスタとは、同一行の複数の前記画素に共通に設けられており、
前記第1の定電流負荷トランジスタのゲート長とゲート幅は、前記第2の定電流負荷トランジスタのゲート長とゲート幅と同じであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本の行走査線とがそれぞれ交差する交差部に設けられ、対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子を含む複数の画素に対して、
一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される正極性映像信号をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持すると同時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される、前記正極性映像信号とは逆極性の負極性映像信号をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持するサンプリング及び保持ステップと、
第1のソースフォロワトランジスタと、その第1のソースフォロワトランジスタのソースにドレインが接続された第1の定電流負荷トランジスタとからなる第1のソースフォロワ・バッファが、前記第1の定電流負荷トランジスタのゲートに第1の配線を介して第1の負荷特性制御信号が供給されるときに転送する前記第1の保持容量に保持された前記正極性映像信号に対応する正極性信号電圧と、第2のソースフォロワトランジスタと、その第2のソースフォロワトランジスタのソースにドレインが接続された第2の定電流負荷トランジスタとからなる第2のソースフォロワ・バッファが、前記第2の定電流負荷トランジスタのゲートに第2の配線を介して第2の負荷特性制御信号が供給されるときに転送する前記第2の保持容量に保持された前記負極性映像信号に対応する負極性信号電圧とを、垂直走査周期より短い所定の周期で切り替えて前記画素電極に交互に印加するスイッチングステップと、
前記スイッチングステップにより前記正極性信号電圧が前記画素電極に印加されるときは、所定のノードにソースが接続された第1のトランジスタと、前記所定のノードに一端が接続された抵抗とからなるソースフォロワ回路を通して前記第1の配線と前記所定のノードとを導通状態とし、前記所定のノードにゲートが接続され、前記第1のトランジスタのゲートにドレインが接続されたカレントミラー電流参照元の第2のトランジスタから前記第1の定電流負荷トランジスタを電流コピー側トランジスタとして前記第1の負荷特性制御信号を供給する第1の負荷特性制御信号供給ステップと、
前記スイッチングステップにより前記負極性信号電圧が前記画素電極に印加されるときは、前記ソースフォロワ回路を通して前記第2の配線と前記所定のノードとを導通状態とし、カレントミラー電流参照元の前記第2のトランジスタから前記第2の定電流負荷トランジスタを電流コピー側トランジスタとして前記第2の負荷特性制御信号を供給する第2の負荷特性制御信号供給ステップと、
を含むことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ装置やプロジェクションテレビには画像を投影するための中心部品としてLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型の液晶表示装置が多く用いられている。このLCOS型の液晶表示装置として、本出願人は先に、2本のデータ線(列信号線)を一組とする複数組のデータ線と、複数本のゲート線(行走査線)との各交差部にそれぞれ画素をマトリクス状に配置し、それらの各画素において正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に画素電極に印加して液晶表示素子を交流駆動する液晶表示装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、この液晶表示装置の一画素の一例の等価回路図を示す。同図において、一つの画素は、正極性の映像信号及び負極性の映像信号を書き込むための画素選択トランジスタTr1及びTr2と、各々の極性の映像信号電圧を並列的に保持する独立した2つの保持容量Cs1及びCs2と、トランジスタTr3〜Tr8と、液晶表示素子LCとからなる。液晶表示素子LCは、互いに対向して配置された画素電極PEと共通電極CEとの間に液晶層(表示体)LCMが挟持された周知の構造である。
【0004】
また、画素選択トランジスタTr1及びTr2とスイッチングトランジスタTr5及びTr6とは、NチャンネルMOS型電界効果トランジスタ(以下、NMOSトランジスタという)であり、トランジスタTr3、Tr4、Tr7及びTr8は、PチャンネルMOS型電界効果トランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)であるものとする。トランジスタTr3とTr7、及びトランジスタTr4とTr8は、それぞれ所謂ソースフォロワ・バッファであり、トランジスタTr3、Tr4がソースフォロワトランジスタ、トランジスタTr7、Tr8が定電流源負荷として機能するトランジスタである。MOSトランジスタのソースフォロワ・バッファの入力抵抗はほぼ無限大で、保持容量Cs1及びCs2の蓄積電荷はリークすることなく、1垂直走査期間後に信号が新たに書き込まれるまで保持される。
【0005】
また、画素部データ線は、各画素について正極性用データ線Di+、負極性用データ線Di-の2本一組で構成され、図示しないデータ線駆動回路でサンプリングされた互いに極性の異なる映像信号が供給される。画素選択トランジスタTr1、Tr2の各ドレイン端子は各々正極性用データ線Di+、負極性用データ線Di-に接続され、各ゲート端子は同一行について行走査線(ゲート線)Gjに接続されている。また、配線BがトランジスタTr7及びTr8の各ゲートに接続されている。また、配線S+、S-はゲート制御信号用の配線で、それぞれトランジスタTr5、Tr6のゲートに別々に接続されている。更に、行走査線Gjが同じ行の複数の画素のトランジスタTr1及びTr2にそれぞれ共通接続されている。
【0006】
次に、この画素の交流駆動制御の概要について
図6のタイミングチャートと共に説明する。
図6(A)は、垂直同期信号VDを示し、
図6(B)は、
図5の画素におけるトランジスタTr7及びTr8のゲートに印加される配線Bの負荷特性制御信号を示す。また、
図6(C)は、上記画素における正極性側駆動電圧を転送するスイッチングトランジスタTr5のゲートに印加される配線S+のゲート制御信号、同図(D)は、上記画素における負極性側駆動電圧を転送するスイッチングトランジスタTr6のゲートに印加される配線S-のゲート制御信号の各信号波形を示す。
【0007】
図5において、
図6(C)に示す配線S+のゲート制御信号がハイレベルの期間、正極性側スイッチングトランジスタTr5がオンとなり、この期間に配線Bに供給される負荷特性制御信号を
図6(B)に示すようにローレベルとすると、ソースフォロワ・バッファがアクティブとなり、画素電極PEノードが正極性の映像信号レベルに充電される。画素電極PEの電位が完全に充電された状態となった時点で、配線Bの負荷特性制御信号をハイレベルとし、かつ、そのとき配線S+のゲート制御信号をローレベルに切り替えると、画素電極PEはフローティングとなり、液晶容量に正極性駆動電圧が保持される。
【0008】
一方、
図6(D)に示す配線S-のゲート制御信号がハイレベルの期間、負極性側スイッチングトランジスタTr6がオンとなり、この期間に配線Bに供給される負荷特性制御信号を同図(B)に示すようにローレベルとすると、ソースフォロワ・バッファがアクティブとなり、画素電極PEノードが負極性の映像信号レベルに充電される。画素電極PEの電位が完全に充電された状態となった時点で、配線Bの負荷特性制御信号をハイレベルとし、かつ、そのとき配線S-のゲート制御信号をローレベルに切り替えると、画素電極PEはフローティングとなり、液晶容量に負極性駆動電圧が保持される。
【0009】
以下、上記のスイッチングトランジスタTr5及びTr6を交互にオンとするスイッチングに同期して、配線Bの負荷特性制御信号によりトランジスタTr7及びTr8を間欠的にアクティブとする動作を繰り返すことで、液晶表示素子LCの画素電極PEには正極性と負極性の各映像信号で交流化された駆動電圧VPEが
図6(E)に示すように印加される。
図5に示す画素は保持電荷を直接画素電極PEに転送するのではなく、ソースフォロワ・バッファを介して電圧を供給する構成のため、正負極性での繰り返し充放電を行っても電荷の中和の問題はなく、電圧レベルの減衰がない駆動が実現できる。
【0010】
また、
図6(F)に示すVcomは、液晶表示装置の対向基板に形成した共通電極CEに印加する電圧を表している。液晶層LCMの実質的な交流駆動電圧は、この共通電極CEの印加電圧Vcomと画素電極PEの印加電圧との差電圧である。
図6(F)に示すように、共通電極CEの印加電圧Vcomは、画素電極電位の反転基準レベルVcとほぼ等しい基準レベルに対して、画素極性切り替えと同期して反転されている。
【0011】
また、保持容量Cs1、Cs2にそれぞれサンプリング保持された正極性、負極性の各映像信号電圧は、高入力抵抗のソースフォロワトランジスタTr3、Tr4を介して読み出され、
図6(C)、(D)に示したように配線S+、S-に交互に供給されるゲート制御信号によりオンとされるスイッチングトランジスタTr5、Tr6により交互に選択されて画素電極PEに正極性、負極性に反転する
図6(E)に示した駆動電圧VPEとして印加される。この
図5に示す画素は、1垂直走査期間(1フレーム)に1度、保持容量Cs1、Cs2に正極性、負極性の各映像信号電圧を書き込んでしまえば、次のフレームの映像信号電圧が保持されるまでの1フレーム期間、何回でも保持容量Cs1、Cs2から映像信号電圧を読み出し、トランジスタTr5、Tr6を交互に切り替えて液晶表示素子LCを交流駆動できる。従って、
図5に示した画素は、映像信号の書き込み周期とは独立に垂直走査周波数の制約のない、高い駆動周波数で液晶表示素子LCを交流駆動することができる。
【0012】
この交流駆動周波数は、垂直走査周波数によらず、画素回路での反転制御周期で自由に設定することができる。例えば垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzで、フルハイビジョンの垂直周期走査線数1125ラインで構成されているとする。画素回路の極性切り替えを15ライン期間程度の周期で行うとすれば、液晶表示素子の交流駆動周波数は2.25kHz(=60(Hz)×1125÷(15×2))となり、従来の液晶表示装置と比較して液晶駆動周波数を飛躍的に高めることができる。それにより、液晶表示素子の交流駆動周波数が低周波数の場合に比べて、焼き付きを防止でき、また信頼性・安定性やシミなどの表示品位低下などを大幅に改善することが可能となる。
【0013】
なお、ソースフォロワ・バッファの定電流負荷トランジスタTr7及びTr8は液晶表示装置での消費電流を考慮して、常時アクティブにせず、スイッチングトランジスタTr5及びTr6の導通期間の内の限られた期間でのみアクティブになるように制御を行う。例えば、1画素回路あたりの定常的なソースフォロワ回路電流が1μAの微少電流であったとしても、液晶表示装置の全画素が定常的に電流を消費する条件では多大な消費電流となってしまう、という問題があり、例えばフルハイビジョン200万画素の液晶表示装置では、消費電流が2Aにも達する見積もりとなる。
【0014】
そのため、
図5に示す画素では定電流負荷トランジスタTr7及びTr8のゲートバイアスとなる負荷特性制御信号Bのローレベル期間を画素電圧極性切り替えの遷移期間のみに制限し、画素電極電圧VPEが目標レベルまで充放電された直後には即座にハイレベルとしてソースフォロワ・バッファの電流を停止させる。従って、全画素にバッファを備えた構成でありながら、実質的な消費電流を小さく抑えることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面と共に詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態の要部の回路図を示す。同図中、
図5と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
本実施の形態の液晶表示装置10は、2本のデータ線(列信号線)を一組とする複数組のデータ線と、複数本のゲート線(行走査線)との各交差部にそれぞれ画素をマトリクス状に配置し、それらの各画素において正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に画素電極に印加して液晶表示素子を交流駆動する基本的な構成は特許文献1と同様であるが、各画素を
図1に示す1画素回路11で表わされる構成とすると共に、バイアス電流回路12及び負荷特性制御信号生成回路13を含む構成である。
【0034】
なお、液晶表示装置10には、デジタル映像信号を正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号を用いてデジタル−アナログ変換し、その変換電圧を前記各組のデータ線に1ラインの画素単位で供給する手段や、ゲート信号、制御信号、スイッチング信号、行選択信号などの各種信号を生成する信号生成手段も存在するが、それらの手段は本発明とは直接の関係がなく、また特許文献1記載の液晶表示装置と同様であるので図示及び詳細な説明を省略する。
【0035】
図1に示す1画素回路11は、画素部のi列目の正極性用データ線Di+及び負極性用データ線Di-からなる一組のデータ線と、j行目のゲート線(行走査線)Gjとの交差部に配置された一つの画素の等価回路であり、この1画素回路11の基本的な構成は
図5に示した液晶表示装置の画素回路と同じである。すなわち、
図1において、画素選択用NMOSトランジスタTr1及び正極性用保持容量Cs1からなる第1のサンプリング及び保持手段と、画素選択用NMOSトランジスタTr2及び負極性用保持容量Cs2からなる第2のサンプリング及び保持手段と、液晶表示素子LCと、ソースフォロワトランジスタTr3及び定電流負荷トランジスタTr7からなる正極性用ソースフォロワ・バッファと、ソースフォロワトランジスタTr4及び定電流負荷トランジスタTr8からなる負極性用ソースフォロワ・バッファと、動作時の正極性用ソースフォロワ・バッファを通して入力される正極性用保持容量Cs1に保持された正極性映像信号に対応する正極性信号電圧、及び動作時の負極性用ソースフォロワ・バッファを通して入力される負極性用保持容量Cs2に保持された負極性映像信号に対応する負極性信号電圧を、垂直走査周期より短い所定の周期で切り替えて画素電極PEに交互に印加するスイッチング手段を構成するスイッチング用NMOSトランジスタTr5及びTr6とを有する。
【0036】
ただし、本実施の形態の
図1に示す1画素回路11は、
図5に示した特許文献1に記載の画素回路と比較し、ソースフォロワトランジスタであるPMOSトランジスタTr3と共に正極性用ソースフォロワ・バッファを構成する定電流負荷PMOSトランジスタTr7のゲートに正極性用負荷特性制御信号用配線B+を接続し、かつ、ソースフォロワトランジスタであるPMOSトランジスタTr4と共に負極性用ソースフォロワ・バッファを構成する定電流負荷PMOSトランジスタTr8のゲートに負極性用負荷特性制御信号用配線B-を接続した点に特徴がある。一組の配線B+及び配線B-は同じ行の複数の画素(フルハイビジョンの場合は1980画素である)に共通に接続されている。
【0037】
バイアス電流回路12は、画素部のi列目の複数の画素(フルハイビジョンの場合は1080画素である)に共通に設けられており、互いにゲート同士が接続されたNMOSトランジスタTr10及びPMOSトランジスタTr11と、抵抗R1とから構成されている。PMOSトランジスタTr11はドレインが抵抗R1に接続され、ソースがNMOSトランジスタTr10のゲート及びドレインに接続されている。バイアス電流回路12は、抵抗R1の抵抗値を調節して所望の大きさのバイアス電流を発生させることができる。
【0038】
負荷特性制御信号生成回路13は、各行単位で同じ行の複数の画素(フルハイビジョンの場合は1980画素である)に共通に接続された一組の配線B+及びB-に、それぞれ正極性用負荷特性制御信号と負極性用負荷特性制御信号とを生成して供給する回路で、全部で画素部の行数(縦方向の画素数で、フルハイビジョンの場合は1080画素(ライン)である)分設けられている。
【0039】
負荷特性制御信号生成回路13は、NMOSトランジスタTr12及びTr13、PMOSトランジスタTr14及びTr15、第1のCMOSスイッチを構成するPMOSトランジスタTr16、NMOSトランジスタTr17及びインバータI1と、第2のCMOSスイッチを構成するPMOSトランジスタTr18、NMOSトランジスタTr19及びインバータI2と、PMOSトランジスタTr20及びTr21とから構成されている。NMOSトランジスタTr12はゲートがNMOSトランジスタTr10のゲート及びドレインに接続されて、トランジスタTr10とカレントミラー回路を構成しており、バイアス電流回路12で作成されたバイアス電流がコピーされる。上記カレントミラー回路は、トランジスタTr10が電流参照元のトランジスタ、トランジスタTr12が電流コピー側のトランジスタとなる。
【0040】
NMOSトランジスタTr13は、ソースがトランジスタTr12のドレインに接続され、ゲートがPMOSトランジスタTr14のゲートと共にバッファ負荷制御信号CCが印加される構成とされている。また、NMOSトランジスタTr13のドレインは、PMOSトランジスタTr15のゲート及びドレインと、Tr14のドレインとのノードAに接続されている。更に上記のノードAは、第1のCMOSスイッチを介してPMOSトランジスタTr20のソース及び配線B+に接続される一方、第2のCMOSスイッチを介してPMOSトランジスタTr21のソース及び配線B-に接続されている。第1のCMOSスイッチ及びトランジスタTr20は信号CB+により制御され、第2のCMOSスイッチ及びトランジスタTr21は信号CB-により制御される。
【0041】
トランジスタTr14は、バッファ負荷制御信号CCがローレベルであるときに、トランジスタTr15のゲート線の電位をVDDにする役目を果たす。すなわち、バッファ負荷制御信号CCをローレベルにしたときに、トランジスタTr14が無いと、トランジスタTr15のゲート及びソースの各電位は不定電位となってしまうため、トランジスタTr15に不用意な電流が流れる可能性がある。従って、トランジスタTr15を確実にオフにするため、トランジスタTr14が設けられている。
【0042】
本実施の形態の液晶表示装置10の特徴は、正極性側及び負極性側の計2種類のソースフォロワ・バッファ内の各定電流負荷トランジスタTr7及びTr8の各ゲートに別々に接続された2種類の配線B+及び配線B-を、第1及び第2のCMOSスイッチを介して1つの電流参照元トランジスタTr15でカレントミラー駆動する点にある。第1及び第2のCMOSスイッチは、信号CB+及び信号CB-によりいずれか一方がオンとなるようにタイミング制御される。
【0043】
定電流負荷トランジスタTr7及びTr8の各ゲート長と各ゲート幅は、電流参照元トランジスタTr15のゲート長とゲート幅とそれぞれ同じサイズを用いている。こうすることによって、電流参照元トランジスタTr15で作成した電流値は、信号CB+及び信号CB-の制御によってタイミングをずらして同じ値の電流が、2種類のソースフォロワ・バッファに用いる定電流負荷トランジスタTr7及びTr8にコピーされることになる。
【0044】
更には、定電流負荷トランジスタTr7及びTr8は等価な寄生容量を持つように、同じように配線などのレイアウトをしている。これにより、定電流負荷トランジスタTr7及びTr8において、それぞれノイズによる電圧の振られが同一になることから、コピー電流の偏りが無くなり、正極性映像信号と負極性映像信号にバイアスするための定電流を同一に供給することができるようになる。
【0045】
配線B+を駆動する場合、信号CB+をハイレベル、信号CB-をローレベルにタイミング制御する。これにより、第1のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr20はオフ状態となり、ノードAと配線B+は導通状態となる。一方、第2のCMOSスイッチはオフとなり、トランジスタTr21はオン状態となる。これにより、ノードAと配線B-は切断され、配線B-は電源電圧VDDに持ち上げられて、定電流負荷トランジスタTr8はオフとなる。
【0046】
この状態でバッファ負荷制御信号CCがタイミング制御にてハイレベルとされると、トランジスタTr10、Tr12、Tr15、Tr7のカレントミラー回路がすべてオン状態となり、バイアス電流回路12で作成されてトランジスタTr12にコピーされた電流が、更にトランジスタTr13及びTr15に流れ、トランジスタTr15に流れる電流が、トランジスタTr15を電流参照元トランジスタとし定電流負荷トランジスタTr7にコピーされる。これによりトランジスタTr3がソースフォロワ動作し、トランジスタTr4は動作しない。このとき、配線S+がハイレベルになりトランジスタTr5がオンして、トランジスタTr3のソース電位が画素電極PEに印加される。配線S-はこの時ローレベルであり、トランジスタTr6はオフとなるため、トランジスタTr4のソースノードと画素電極PEは非導通となる。
【0047】
一方、配線B-を駆動する場合、信号CB-をハイレベル、信号CB+をローレベルにタイミング制御する。これにより、第2のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr21はオフ状態となり、ノードAと配線B-は導通状態となる。一方、第1のCMOSスイッチはオフとなり、トランジスタTr20はオン状態となる。これにより、ノードAと配線B+は切断され、配線B+は電源電圧VDDに持ち上げられて、定電流負荷トランジスタTr7はオフとなる。
【0048】
この状態でバッファ負荷制御信号CCがタイミング制御にてハイレベルとされると、トランジスタTr10、Tr12、Tr15、Tr8のカレントミラー回路がすべてオン状態となり、バイアス電流回路12で作成されてトランジスタTr12にコピーされた電流が、更にトランジスタTr13及びTr15に流れ、トランジスタTr15に流れる電流が、トランジスタTr15を電流参照元トランジスタとして定電流負荷トランジスタTr8にコピーされる。これによりTr4がソースフォロワ動作し、トランジスタTr3は動作しない。このとき、配線S-がハイレベルになりトランジスタTr6がオンして、トランジスタTr4のソース電位が画素電極PEに印加される。配線S+はこの時ローレベルであり、トランジスタTr5はオフとなるため、トランジスタTr3のソースノードと画素電極PEは非導通となる。以下、上記の配線B+と配線B-の各駆動動作を1垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に繰り返す。
【0049】
次に、本実施の形態の動作について、
図2のタイミングチャート等を併せ参照して更に説明する。
図2(A)は垂直同期信号VDを示し、同図(B)はバッファ負荷制御信号CCを示し、同図(C)、(D)は信号CB+、CB-を示し、同図(E)、(F)は配線B+、B-に供給される正極性負荷特性制御信号、負極性負荷特性制御信号、同図(G)、(H)は配線S+、S-に供給される正極性ゲート制御信号、負極性ゲート制御信号を示す。
【0050】
まず、画素の書き込み時について説明する。行走査線Gjを介して供給される1垂直走査期間周期のj行目の行選択信号が所定期間ハイレベルになると、その所定期間NMOSトランジスタTr1及びTr2はそれぞれ同時にオンとされる。一方、このときは配線B+とB-の負荷特性制御信号はいずれもハイレベルであり、トランジスタTr7及びTr8はいずれもオフ状態にある。
【0051】
この状態で、正極性用データ線Di+を介して供給される正極性映像信号がNMOSトランジスタTr1によりサンプリングされて正極性用保持容量Cs1に保持される。これと並行して、上記正極性映像信号とは同じ映像情報を有するが逆極性である負極性映像信号が負極性用データ線Di-を介して入力され、NMOSトランジスタTr2によりサンプリングされて負極性用保持容量Cs2に保持される。
【0052】
図3は、上記の正極性映像信号と負極性映像信号の黒ベルから白レベルまでの関係を示す。同図において、正極性映像信号aは、レベルが最小のとき最小階調の黒レベル、レベルが最大のとき最大階調の白レベルであるのに対し、負極性映像信号bは、レベルが最小のとき最大階調の白レベル、レベルが最大のとき最小階調の黒レベルである。正極性映像信号aと負極性映像信号bとは、逆極性で、その反転中心はcで示される。
【0053】
また、データ線Di+、Di-に供給される上記の正極性映像信号aと負極性映像信号bとは、デジタル映像信号を画素単位でデジタル-アナログ変換して得られた電圧であり、その変換方法及び保持容量への保持方法自体は特許文献1と同様にして以下のように行われる。
【0054】
デジタル映像信号が10ビットの場合、デジタルデータ値“000”(黒レベル)からデジタルデータ値“3FF”(白レベル)まで1水平走査期間(1H)内で単調的に増加する1H周期の正極性ランプ信号RAMP1+と、デジタルデータ値“000”(黒レベル)からデジタルデータ値“3FF”(白レベル)まで1H内で単調的に減少する1H周期の負極性ランプ信号RAMP1-とを1ラインの画素数に対応した組数の各ビデオスイッチに共通に同時に供給する。ここで、各組のビデオスイッチは、正極性ランプ信号RAMP1+が供給される正極性用ビデオスイッチと、負極性ランプ信号RAMP1-が供給される負極性用ビデオスイッチとからなる。
【0055】
そして、すべての組のビデオスイッチを水平走査期間開始毎に同時にオンにした後、ランプ信号RAMP1+及びRAMP1-に同期したクロックをカウンタによりカウントして得た階調を示すカウンタ値(基準階調データ)とデジタル映像信号の画素値とを1ラインの画素単位で比較するコンパレータから、両者が一致した時に一致パルスを出力する。そして、一致パルスが出力されるコンパレータに対応して設けられた一組のビデオスイッチを同時にオフとし、オフとされた一組のビデオスイッチに接続されている一組のデータ線Di+、Di-を介してそのデータ線Di+、Di-に接続されている一画素に、このときのランプ信号RAMP1+、RAMP1-の各電圧をサンプリングさせて正極性用保持容量Cs1と負極性用保持容量Cs2とに供給し、デジタル映像信号をアナログ映像信号へ変換した信号電圧のサンプリング保持が行われる。
【0056】
続いて、ゲート線Gjの行選択信号がローレベルとなり、その間、以下の画素読み出し動作が行われる。
【0057】
まず、
図2(C)に示す信号CB+がハイレベルの期間T1の動作について説明する。この期間T1は信号CB-は
図2(D)に示すようにローレベルとなっている。これにより、トランジスタTr16及びTr17等からなる第1のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr20はオフ状態となり、ノードAと配線B+は導通状態となっている。
【0058】
この状態において、配線S+の正極性ゲート制御信号が
図2(G)に示すようにハイレベルとなる所定の期間T2(<T1)では、正極性側スイッチングトランジスタTr5がオンとなり、また、この期間T2内にてバッファ負荷制御信号CCが
図2(B)に示すようにハイレベルとされる。これにより、前述したように、トランジスタTr13がオンとなり、トランジスタTr15を電流参照元トランジスタとし、定電流負荷トランジスタTr7を電流コピー側トランジスタとするカレントミラー回路が構成され、トランジスタTr15のドレイン・ソース間に流れる電流が配線B+を介して、
図2(E)に示すようにローレルの正極性負荷特性制御信号として定電流負荷トランジスタTr7にコピーされる。
【0059】
この結果、トランジスタTr3及びTr7からなる正極性側ソースフォロワ・バッファがアクティブとなり、正極性用保持容量Cs1に保持されている正極性映像信号(デジタル-アナログ変換電圧)が正極性側ソースフォロワ・バッファを通して画素電極PEに印加されて充電する。このとき、バッファ負荷制御信号CCをハイレベルとしても、配線B+の正極性負荷特性制御信号しかローレベルにならない。
【0060】
上記のようにして正極性映像信号により画素電極PEの電位VPEが
図2(I)に示すように完全に充電された状態となった時点で、バッファ負荷制御信号CCが
図2(B)に示すようにローレベルとされるため、トランジスタTr14がオンとなり、ノードAの電位、すなわち、配線B+の正極性負荷特性制御信号が同図(E)に示すようにハイレベルとされる。更に期間T2後に配線S+の正極性ゲート制御信号が同図(G)に示すようにローレベルに切り替わる。この結果、正極性側ソースフォロワ・バッファがオフとなると共に画素電極PEがフローティングとなり、液晶容量に正極性駆動電圧が保持される。
【0061】
期間T2及びその後の期間も、配線B-の負極性負荷特性制御信号は
図2(F)に示すようにハイレベルのままであり、トランジスタTr4及びTr8からなる負極性側ソースフォロワ・バッファには電流を流さず、また、配線S-の負極性ゲート制御信号は同図(H)に示すようにローレベルのままでスイッチングトランジスタTr6がオフ状態にあるため、画素電極PEにはトランジスタTr4を通して負極性用保持容量Cs2の保持電圧は印加されない。
【0062】
続いて、信号CB-が
図2(D)に示すように期間T3(=T1)の間ハイレベルとなり、かつ、信号CB+が同図(C)に示すようにローレベルとなる。これにより、トランジスタTr18及びTr19等からなる第2のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr21はオフ状態となり、ノードAと配線B-は導通状態となる。
【0063】
この状態において、配線S-の負極性ゲート制御信号が
図2(H)に示すようにハイレベルとなる所定の期間T4(<T3)では、負極性側スイッチングトランジスタTr6がオンとなり、また、この期間T4内にてバッファ負荷制御信号CCが
図2(B)に示すようにハイレベルとされる。これにより、前述したように、トランジスタTr13がオンとなり、トランジスタTr15を電流参照元トランジスタとし、定電流負荷トランジスタTr8を電流コピー側トランジスタとするカレントミラー回路が構成され、トランジスタTr15のドレイン・ソース間に流れる電流が配線B-を介して、
図2(F)に示すようにローレベルの負極性負荷特性制御信号として定電流負荷トランジスタTr8にコピーされる。
【0064】
この結果、トランジスタTr4及びTr8からなる負極性側ソースフォロワ・バッファがアクティブとなり、負極性用保持容量Cs2に保持されている負極性映像信号(デジタル-アナログ変換電圧)が負極性側ソースフォロワ・バッファを通して画素電極PEに印加されて充電する。このとき、バッファ負荷制御信号CCをハイレベルとしても、配線B-の負極性負荷特性制御信号しかローレベルにならない。
【0065】
上記のようにして負極性映像信号により画素電極PEの電位VPEが
図2(I)に示すように完全に充電された状態となった時点で、バッファ負荷制御信号CCが
図2(B)に示すようにローレベルとされるため、トランジスタTr14がオンとなり、ノードAの電位、すなわち、配線B-の負極性負荷特性制御信号が同図(F)に示すようにハイレベルとされる。更に、期間T4後に配線S-の負極性ゲート制御信号が同図(H)に示すようにローレベルに切り替わる。この結果、負極性側ソースフォロワ・バッファがオフとなると共に画素電極PEがフローティングとなり、液晶容量に負極性駆動電圧が保持される。
【0066】
期間T4及びその後の期間も、配線B+の正極性負荷特性制御信号は
図2(E)に示すようにハイレベルのままであり、トランジスタTr3及びTr7からなる正極性側ソースフォロワ・バッファには電流が流れず、また、配線S+の正極性ゲート制御信号は同図(G)に示すようにローレベルのままでスイッチングトランジスタTr5がオフ状態にあるため、画素電極PEにはトランジスタTr5を通して正極性用保持容量Cs1の保持電圧は印加されない。
【0067】
以下、上記の動作が
図2に示すように、1垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に繰り返される。この結果、画素電極PEには正負両極性の映像信号で交流化された
図2(I)に示す駆動電圧VPEが印加される。
【0068】
一方、液晶表示素子LCの共通電極CEには、
図2(J)に示すように、画素電極電位の反転基準レベルVcとほぼ等しい基準レベルに対して、画素電極電圧極性切り替えと同期して反転する共通電圧Vcomが印加されている。これにより、共通電圧Vcomと画素電極PEの駆動電圧VPEとの電位差の絶対値が常に同一となる。液晶表示素子LCの液晶層LCMに印加される電圧は、共通電圧Vcomと画素電極PEの駆動電圧VPEとの電位差であるから、上記の切り替えにより
図2(K)に示すように、直流成分の無い交流電圧VLCとなる。このように、
図1に示す画素において、共通電極CEに印加する共通電圧Vcomを画素電極PEの駆動電圧VPEと逆相で切り替えることによって、駆動電圧VPEの振幅を小さくすることができるため、駆動回路側のトランジスタ耐圧や消費電力を低減できる。
【0069】
本実施の形態の液晶表示装置10も特許文献1記載の液晶表示装置と同様に、保持電荷を直接画素電極に転送するのではなく、ソースフォロワ・バッファを介して電圧を転送する構成のため、正負極性での繰り返し充放電を行っても電荷の中和の問題はなく、電圧レベルの減衰がない駆動が実現できる。
【0070】
また、本実施の形態の液晶表示装置10によれば、正極性側ソースフォロワ・バッファ及び負極性側ソースフォロワ・バッファのうち、読み出しを行っている側のソースフォロワ・バッファのみ電流を流し、他方のソースフォロワ・バッファには電流を流さないように制御するようにしたため、消費電流を特許文献1記載の液晶表示装置と比較して1/2に削減することができる。
【0071】
更に、本実施の形態の液晶表示装置10は、配線B+及び配線B-の両方をタイミングを変えてカレントミラー回路を構成する同一の電流参照元トランジスタTr15で駆動するようにしたため、
図7に示したようなランダムな横線が見えない良好な表示画像を得ることができる。
【0072】
例えば、トランジスタTr15がVthばらつきによって電流値が少し多くなり、1μA狙いに対して1.05μAの電流が流れた場合、定電流負荷トランジスタTr7及びTr8のうち、オン状態にある定電流負荷トランジスタには1.05μAの電流が流れる(トランジスタTr15と定電流負荷トランジスタTr7、Tr8の各ゲート長、各ゲート幅がそれぞれ同じ場合)。このとき、ソースフォロワトランジスタTr3及びTr4のうち、オン状態にあるときのソースフォロワトランジスタにも1.05μAの電流が流れる。
【0073】
ソースフォロワトランジスタは電流を多く流すとソース電圧がVDD方向に、電流を少なく流すとソース電圧がGND方向にシフトするため、ソースフォロワトランジスタTr3及びTr4のソース電圧は、上記の場合はどちらもVDD方向にシフトすることになる。このとき
図3に示したように、画素電極電圧VPEは、正極性映像信号は白レベル方向に、負極性映像信号は黒レベル方向にシフトすることになる。
【0074】
しかし、本実施の形態の液晶表示装置10では、前述したように、ソースフォロワトランジスタTr3及び定電流負荷トランジスタTr7からなる正極性側ソースフォロワ・バッファと、ソースフォロワトランジスタTr4及び定電流負荷トランジスタTr8からなる負極性側ソースフォロワ・バッファとを、極性切り替えスイッチングトランジスタTr5及びTr6のスイッチングに同期してそれぞれ交互にオン状態とすることで、画素電極PEには上記のレベル方向にシフトした正極性映像信号及び負極性映像信号が交互に印加されるようにしているため、人間の目には相殺された平均の映像信号が認識され、表示画像はトランジスタTr7とTr8に交互に正常なコピー電流1μAが流れたラインと同じ輝度の映像となり、ランダムな横線は見えなくなる。
【0075】
また、上記とは逆にトランジスタTr15がVthばらつきによって電流値が少し少なくなり、1μA狙いに対して0.95μAの電流が流れた場合、定電流負荷トランジスタTr7及びTr8のうち、オン状態にある定電流負荷トランジスタには0.95μAの電流が流れる(トランジスタTr15と定電流負荷トランジスタTr7、Tr8の各ゲート長、各ゲート幅がそれぞれ同じ場合)。このとき、ソースフォロワトランジスタTr3及びTr4のうち、オン状態にあるときのソースフォロワトランジスタにも0.95μAの電流が流れる。
【0076】
ソースフォロワトランジスタは電流を多く流すとソース電圧がVDD方向に、電流を少なく流すとソース電圧がGND方向にシフトするため、ソースフォロワトランジスタTr3及びTr4のソース電圧は、上記の場合はどちらもGND方向にシフトすることになる。このとき
図3に示したように、画素電極電圧VPEは、正極性映像信号は黒レベル方向に、負極性映像信号は白レベル方向にシフトすることになる。
【0077】
しかし、本実施の形態の液晶表示装置10では、それぞれ上記のレベル方向にシフトした正極性映像信号と負極性映像信号とが交互に画素電極PEに印加されるため、人間の目には相殺された平均の映像信号が認識され、表示画像はトランジスタTr7とTr8に正常なコピー電流1μAが交互に流れたラインと同じ輝度の映像となり、ランダムな横線は見えなくなる。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図4は、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態の要部の回路図を示す。同図中、
図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本実施の形態の液晶表示装置20は、2本のデータ線(列信号線)を一組とする複数組のデータ線と、複数本のゲート線(行走査線)との各交差部にそれぞれ画素をマトリクス状に配置し、それらの各画素において正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に画素電極に印加して液晶表示素子を交流駆動する基本的な構成は特許文献1と同様であるが、各画素を
図4に示す1画素回路11で表わされる構成とすると共に、バイアス電流回路12及び負荷特性制御信号生成回路21を含む構成である。本実施の形態の液晶表示装置20は、
図1に示した液晶表示装置10と比較し、負荷特性制御信号生成回路21の構成が、
図1の負荷特性制御信号生成回路13と異なる。
【0080】
なお、液晶表示装置20には、液晶表示装置10と同様に、デジタル映像信号を正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号を用いてデジタル−アナログ変換し、その変換電圧を前記各組のデータ線に1ラインの画素単位で供給する手段や、ゲート信号、制御信号、スイッチング信号、行選択信号などの各種信号を生成する信号生成手段も存在するが、それらの手段は本発明とは直接の関係がなく、また特許文献1記載の液晶表示装置と同様であるので図示及び詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施の形態の液晶表示装置20の特徴は、正極性側及び負極性側の計2種類のソースフォロワ・バッファに用いる定電流負荷トランジスタTr7及びTr8の各ゲートに接続された2種類の配線B+、B-に対し、第1、第2のCMOSスイッチを介して正極性負荷特性制御信号、負極性負荷特性制御信号を供給するカレントミラー回路がソースフォロワ回路を用いて高速化した構成である点にある。
【0082】
図4において、負荷特性制御信号生成回路21は、各行単位で同じ行の複数の画素(フルハイビジョンの場合は1980画素である)に共通に接続された一組の配線B+及びB-に、それぞれ正極性用負荷特性制御信号と負極性用負荷特性制御信号とを生成して供給する回路で、全部で画素部の行数(縦方向の画素数で、フルハイビジョンの場合は1080画素(ライン)である)分設けられている。
【0083】
負荷特性制御信号生成回路21は、NMOSトランジスタTr12及びTr13、PMOSトランジスタTr22、Tr23及びTr24、第1のCMOSスイッチを構成するPMOSトランジスタTr16、NMOSトランジスタTr17及びインバータI1と、第2のCMOSスイッチを構成するPMOSトランジスタTr18、NMOSトランジスタTr19及びインバータI2と、PMOSトランジスタTr20及びTr21とから構成されている。
【0084】
NMOSトランジスタTr12はゲートがNMOSトランジスタTr10のゲート及びドレインに接続されて、トランジスタTr10とカレントミラー回路を構成しており、バイアス電流回路12で作成されたバイアス電流がコピーされる。上記カレントミラー回路は、トランジスタTr10が電流参照元のトランジスタ、トランジスタTr12が電流コピー側のトランジスタとなる。
【0085】
NMOSトランジスタTr13は、ソースがトランジスタTr12のドレインに接続され、ゲートがPMOSトランジスタTr22のゲートと共にバッファ負荷制御信号CCが印加される構成とされている。また、PMOSトランジスタTr23は、
図1のPMOSトランジスタTr15と同様にカレントミラー回路の電流参照元トランジスタであるが、Tr15とは異なり、そのゲートとドレイン間は接続されておらず、Tr23のゲートはPMOSトランジスタTr24のソースと抵抗R2との接続点(ノードA)に接続され、Tr23のドレインはNMOSトランジスタTr13のドレインとPMOSトランジスタTr24のゲートにそれぞれ接続されている。ノードAは、トランジスタTr24と抵抗R2とから構成されるソースフォロワ回路が組み込まれている。
【0086】
更に上記のノードAは、第1のCMOSスイッチを介してPMOSトランジスタTr20のソース及び配線B+に接続される一方、第2のCMOSスイッチを介してPMOSトランジスタTr21のソース及び配線B-に接続されている。第1のCMOSスイッチ及びトランジスタTr20は信号CB+により制御され、第2のCMOSスイッチ及びトランジスタTr21は信号CB-により制御される。バッファ負荷制御信号CCで制御されるトランジスタTr22のドレインは、
図1のトランジスタTr14と異なり、トランジスタTr24のゲートに接続されている。
【0087】
配線B+を駆動する場合、信号CB+をハイレベル、信号CB-をローレベルにタイミング制御する。これにより、第1のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr20はオフ状態となるため、ノードAと配線B+は導通状態となる。一方、第2のCMOSスイッチはオフとなり、トランジスタTr21はオン状態となるため、ノードAと配線B-は切断され、配線B-は電源電圧VDDに持ち上げられて、定電流負荷トランジスタTr8はオフとなる。
【0088】
この状態でバッファ負荷制御信号CCがタイミング制御にてハイレベルとされると、トランジスタTr13がオン、トランジスタTr22がオフとなり、ソースフォロワ回路構成のカレントミラー回路が作動する。これにより配線B+の正極性負荷特性制御信号がローレベルとなり、定電流負荷トランジスタTr7がオンとなるため、トランジスタTr3がソースフォロワ動作し、トランジスタTr4は動作しない。
【0089】
一方、配線B-を駆動する場合、信号CB-をハイレベル、信号CB+をローレベルにタイミング制御する。これにより、第2のCMOSスイッチはオンし、トランジスタTr21はオフ状態となるため、ノードAと配線B-は導通状態となる。一方、第1のCMOSスイッチはオフとなり、トランジスタTr20はオン状態となるため、ノードAと配線B+は切断され、配線B+は電源電圧VDDに持ち上げられて、定電流負荷トランジスタTr7はオフとなる。
【0090】
この状態でバッファ負荷制御信号CCがタイミング制御にてハイレベルとされると、前記したようにトランジスタTr13がオン、トランジスタTr22がオフとなり、ソースフォロワ回路構成のカレントミラー回路が作動する。これにより配線B-の負極性負荷特性制御信号がローレベルとなり、定電流負荷トランジスタTr8がオンとなるため、トランジスタTr4がソースフォロワ動作し、トランジスタTr3は動作しない。
【0091】
なお、バッファ負荷制御信号CCがローレベルとされると、トランジスタTr13がオフ、トランジスタTr22がオンになるため、トランジスタTr24がオフになり、その結果、ノードAは抵抗R2によって電源電圧VDDに充電される。このとき、信号CB+がハイレベル、信号CB-がローレベルであれば、配線B+はノードAと導通するためハイレベルとなり、トランジスタTr7はオフ制御される。また、このとき、信号CB+がローレベル、信号CB-がハイレベルであれば、配線B-はノードAと導通するためハイレベルとなり、トランジスタTr8はオフ制御される。
【0092】
なお、配線S+及び配線S-への各ゲート制御信号、配線B+及び配線B-への各負荷特性制御信号、バッファ負荷制御信号CC、信号CB+及び信号CB-の各タイミングは、第1の実施の形態と同じであるため、
図4に示す液晶表示装置20の動作は
図2のタイミングチャートを参照して説明した動作と同じとなる。
【0093】
本実施の形態の液晶表示装置20では、カレントミラー回路をソースフォロワ構成にしたため、第1の実施の形態の液晶表示装置10のようにカレントミラー回路を通常のカレントミラー構成とした場合に比較して、動作を高速化できるメリットがある。
【0094】
すなわち、
図1に示したカレントミラー回路では電流をコピーする機能を有し、例えば1μAの電流をコピーしようとするときは、電流参照元トランジスタ及び電流コピー側トランジスタの両方のトランジスタのゲート長、ゲート幅が同じである場合、電流参照元トランジスタのソース・ドレイン間にはコピーしようとする電流値の1μAしか流れない。
【0095】
図1の電流参照元トランジスタであるトランジスタTr15はゲートとドレインが接続されており、選択された配線B+または配線B-が所定の電圧(1μAをコピーするゲート電圧)になるまで、1μAの電流で配線B+または配線B-の容量(ノードAの容量)を充電しなければならないため、所定の電圧に到達するまでに時間がかかり、コピー電流が1μAに到達するまでに時間がかかる。
【0096】
例えば、フルハイビジョンのときの配線B+または配線B-の容量は、配線間の寄生容量と横方向1980画素分のゲートMOS容量があり、合計3pF程度になる。PMOSトランジスタであるトランジスタTr15のドレイン・ソース間に1μA流すゲートバイアスは4.3V程度である。また、トランジスタTr15はPMOSトランジスタであるため、充電するためのゲート電圧は1.2Vであり、3pFの容量を1μAで充電すると、C×V=I×Tの関係から、3.6μsec必要になる。この場合、電流参照元トランジスタと電流コピー側トランジスタのゲート幅の比を変更すれば高速化は可能であるが、100倍高速にしたい場合などは電流参照元トランジスタのゲート幅を電流コピー側トランジスタのゲート幅と比較して100倍にしなければならず、レイアウト面積の問題から現実的ではない。
【0097】
これに対し、
図4に示す本実施の形態の液晶表示装置20におけるトランジスタTr24と抵抗R2とからなるソースフォロワ回路を用いたカレントミラー回路では、電流参照元トランジスタであるトランジスタTr23はノードAとドレインとが接続されていないため、電流参照元トランジスタTr23のソース・ドレイン間に流れる1μAでノードAを充電することはできない。このため、バッファ負荷制御信号CCをオン(ハイレベル)にしてからノードAが所定の電圧(1μAをコピーするゲート電圧)に到達するまで、ソースフォロワ回路に接続された電源VDDから電流が供給されて充電するので、充電時間が短時間となる。
【0098】
例えば、バッファ負荷制御信号CCをオン(ハイレベル)とし、かつ、信号CB+をハイレベルとしたときの選択されたゲート配線B+の容量(ノードAの容量)は、配線間の寄生容量とフルハイビジョンで横方向1980画素分のゲートMOS容量があり、合計3pF程度になる。このとき、例えばソースフォロワ回路の抵抗R2の抵抗値を4kΩとすると、ノードAが所定の電圧(1μAをコピーするゲート電圧)に到達するまでにかかる時間は0.012μsec(=3×10
-12×4×10
3)となり、
図1の構成に比べて300倍高速化される。
【0099】
ただし、このソースフォロワ回路を有するカレントミラー回路においては、電流参照元トランジスタTr23のVthばらつきとソースフォロワトランジスタTr24のVthばらつき、及び抵抗R2の抵抗値ばらつきなどの要素が合計され、通常構成のカレントミラー回路と比較してばらつきが増加する。しかし、第1の実施の形態における通常構成のカレントミラー回路のときの動作と同様に、本実施の形態の液晶表示装置20においても正極性映像信号と負極性映像信号とを交互に表示するため、配線B+または配線B-による輝度ばらつきを相殺する効果があり、その結果、
図7に示したような画面上のランダムに輝度の異なる横線は人間の目では認識できないという所期の効果は得られる。
【0100】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば1画素回路11、バイアス電流回路12、並びに負荷特性制御信号生成回路13及び21内の各トランジスタのチャネルを実施の形態と逆チャネル(つまり、Pチャネルの場合はNチャネル、Nチャネルの場合はPチャネル)としてもよい。ただし、この場合、例えば電源配線であるVDD配線はGND配線とし、GND配線はVDD配線とする。