特許第5691787号(P5691787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5691787-空気調和機 図000002
  • 特許5691787-空気調和機 図000003
  • 特許5691787-空気調和機 図000004
  • 特許5691787-空気調和機 図000005
  • 特許5691787-空気調和機 図000006
  • 特許5691787-空気調和機 図000007
  • 特許5691787-空気調和機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691787
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20150312BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   F24F1/00 361D
   F24F1/00 401C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-93729(P2011-93729)
(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2012-225572(P2012-225572A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】早川 弘規
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−007322(JP,U)
【文献】 実開昭56−126018(JP,U)
【文献】 特開2008−008619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/22
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吹出口(11)が形成されたケース(12)を備えた空気調和機であって、
上下方向に延び、前記空気吹出口(11)に水平方向に間隔をあけて並ぶ複数の縦格子(41)と、
前記複数の縦格子(41)の直下に位置し、前記ケース(12)の一部と一体成形されており、各縦格子(41)に沿って流下する水を受け入れて保水可能な水受け部(51)と、を備えている空気調和機。
【請求項2】
前記水受け部(51)は、下方に凹み互いに平行に延びる複数の溝部(53)を含む、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記溝部(53)は、前記空気吹出口(11)から吹き出される空気の吹き出し方向に交わる交差方向に延びている、請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記水受け部(51)において保水されている水を予め定められた水収容部(34)へ導くための導水路(55)をさらに備え、
前記溝部(53)は、前記導水路(55)に向かって延びており、前記水受け部(51)に保水されている水を前記導水路(55)に案内する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記ケース(12)は、前記空気吹出口(11)が形成されるとともに前記複数の縦格子(41)を備えた第1パネル(21)と、前記第1パネル(21)の下方に隣接して配置された第2パネル(22)とを含む正面パネル(20)を備え、
前記第2パネル(22)は、前記第1パネル(21)における前記複数の縦格子(41)の下端に対向する上縁部(221)を有し、
前記溝部(53)は、前記上縁部(221)に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹出グリルを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和機のケースは、ケース内に空気を吸い込む空気吸込口と、ケース内の空気をケース外に吹き出す空気吹出口とを有している。例えば特許文献1に記載の空気調和機は床置きタイプの室内機であり、空気吹出口はケースの正面パネルに配置されている。このタイプの室内機では、空気吹出口は前後方向に開口しており、この空気吹出口には気流の方向を調節するための複数のフラップや空気吹出口を覆うグリルなどが設けられている。これらのフラップやグリルは、水平方向、上下方向又はその両方向に延びる板状、棒状などの形状を有しており、隣同士が所定の間隔をあけて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−088278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フラップやグリルが上下方向に延びる縦長の部分(縦格子)を含む場合には、空気吹出口から吹き出される空気に含まれる水分が縦格子の表面において結露すると、その結露水は、縦格子の表面をつたって下方に流れやすい傾向にある。このように縦格子をつたって流下した結露水が例えばケース内の電気部品やケースの外面に流れることは好ましくないので何らかの対策が必要である一方で、その対策にかかるコストは低く抑える必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、空気吹出口に上下方向に延びる複数の縦格子を備えた空気調和機において、各縦格子をつたって下方に流れる結露水がケース内の電気部品やケースの外面に達するのを低コストで抑制できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気調和機は、空気吹出口(11)が形成されたケース(12)を備えている。前記空気調和機は、複数の縦格子(41)と、水受け部(51)とを備えている。前記複数の縦格子(41)は、上下方向に延び、前記空気吹出口(11)に水平方向に間隔をあけて並んでいる。前記水受け部(51)は、前記複数の縦格子(41)の直下に位置している。前記水受け部(51)は、前記ケース(12)の一部と一体成形されている。前記水受け部(51)は、各縦格子(41)に沿って流下する水を受け入れて保水可能である。
【0007】
この構成では、各縦格子(41)に沿って流下する水を受け入れて保水可能な水受け部(51)を備えているので、各縦格子(41)をつたって流下する水がケース内の電気部品やケースの外面に流下するのを抑制できる。また、水受け部(51)はケース(12)の一部と一体成形されているので、例えば水を保水するための保水部材(例えばスポンジ、不織布、フェルトなどの吸水性を有する部材)をケースとは別に作製することに起因するコストアップ、及び保水部材を複数の縦格子の直下に両面テープなどの接合手段を用いて貼り付けるという作業に起因するコストアップが生じるのを防ぐことができる。これにより、空気吹出口に上下方向に延びる複数の縦格子を備えた空気調和機において、各縦格子をつたって下方に流れる結露水がケース内の電気部品やケースの外面に達するのを低コストで抑制することができる。
【0008】
前記空気調和機において、前記水受け部(51)は下方に凹む溝部(53)を含む形態が例示できる。この構成では、溝部(53)は各縦格子(41)に沿って流下する水を受け入れて保水することができる。
【0009】
前記空気調和機において、前記水受け部(51)は、下方に凹み互いに平行に延びる複数の溝部(53)を含んでいるのが好ましい。この構成では、各溝部(53)は、各縦格子(41)に沿って流下する水を受け入れて保水する機能を有していることに加え、さらに、保水された水を各溝部(53)の延びる方向に案内する機能を有している。
【0010】
前記空気調和機において、前記溝部(53)は、前記空気吹出口(11)から吹き出される空気の吹き出し方向に交わる交差方向に延びているのが好ましい。この構成では、溝部(53)が前記吹き出し方向に延びている場合に比べて、溝部(53)に保水された水が前記吹き出し方向に移動するのを抑制できるので、水を保水する機能を高めることができる。
【0011】
前記空気調和機において、前記水受け部(51)において保水されている水を予め定められた水収容部(34)へ導くための導水路(55)をさらに備え、前記溝部(53)は、前記導水路(55)に向かって延びており、前記水受け部(51)に保水されている水を前記導水路(55)に案内するのが好ましい。この構成では、水受け部(51)に保水された水は、導水路(55)に案内され、しかも、導水路(55)を通じて水収容部(34)に導かれる。
【0012】
前記空気調和機において、前記ケース(12)は、前記空気吹出口(11)が形成されるとともに前記複数の縦格子(41)を備えた第1パネル(21)と、前記第1パネル(21)の下方に隣接して配置された第2パネル(22)とを含む正面パネル(20)を備え、前記第2パネル(22)は、前記第1パネル(21)における前記複数の縦格子(41)の下端に対向する上縁部(221)を有し、前記溝部(53)は、前記上縁部(221)に設けられているのが好ましい。この構成では、前記溝部(53)をこれ以外の前記第2パネル(22)の他の部位とともに一体成形することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気吹出口に上下方向に延びる複数の縦格子を備えた空気調和機において、各縦格子をつたって下方に流れる結露水がケース内の電気部品やケースの外面に達するのを低コストで抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係る空気調和機を示す正面図であり、(B)は、(A)のIB−IB線断面図である。
図2】(A)は、前記空気調和機の第1パネルを示す正面図であり、(B)は、(A)のIIB−IIB線断面図である。
図3】(A)は、前記第1パネルを背面側から見た斜視図であり、(B)は、前記第1パネルを示す背面図である。
図4】前記第1パネルの下端部及び第2パネルの上端部を示す断面図である。
図5】(A)は、前記第2パネルを示す斜視図であり、(B)は、(A)の一部を拡大した斜視図である。
図6】(A)は、前記空気調和機の第2パネル及び第3パネルを示す斜視図であり、(B)は、(A)の一部を拡大した斜視図である。
図7】前記第3パネルの背面を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る空気調和機10について図面を参照して説明する。
【0016】
<空気調和機の全体構造>
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機10は、床置き型の室内機であり、直方体形状のケース12を備えている。このケース12内には、送風機31、電装品収容部33、熱交換器35などが収容されている。ケース12は、天面パネル、底面パネル、背面パネル、右側面パネル及び左側面パネルを含むケース本体13と、正面パネル20とを含む。正面パネル20は、上部に位置する第1パネル21と、この第1パネル21の下部に位置する第2パネル22と、この第2パネル22の下部に位置する第3パネル23とを含む。
【0017】
第1パネル21は、前後方向に開口する空気吹出口11を有している。空気吹出口11は、正面視で矩形状を有している。第3パネル23は、前後方向に開口する空気吸込口15を有している。空気吸込口15は、正面視で矩形状を有している。空気吸込口15には、上下方向に延びる複数の縦棒が所定の間隔をあけて水平方向に配列されている。空気吸込口15の背面には、この背面に形成された図略のフィルター枠にフィルター16が着脱自在に装着されている。
【0018】
送風機31は、ケース12内の下部に配置されており、空気吸込口15の背面側に位置している。送風機31は、羽根車31aとこの羽根車31aを収容するケース31bと羽根車31aを回転させるモータ31cとを備えた遠心送風機である。電装品収容部33は、空気吸込口15の上縁付近に配置されている。熱交換器35は、その下端部がケース12の高さ方向の中央付近に位置し、上端部がケース12の天板付近に位置している。
【0019】
熱交換器35は、下端部が正面側に位置し、上端部が背面側に位置するようにケース12内において傾斜した状態で配置されている。熱交換器35の下方には、熱交換器35の下端部を覆うようにドレンパン37が配設されている。送風機31のモータ31cにより羽根車31aが回転すると、室内の空気は、空気吸込口15を通じてケース12内に吸い込まれ、ケース12内を上昇し、熱交換器35において冷媒との間で熱交換された後、空気吹出口11から室内に吹き出される。
【0020】
<第1パネル及び第2パネルの構造>
図2(A),(B)及び図3(A),(B)に示すように、第1パネル21は、空気吹出口11を形成する矩形状の外枠24を有している。外枠24は、上部に位置する上枠241、下部に位置する下枠242、右部に位置する右枠243及び左部に位置する左枠244を含む。第1パネル21の空気吹出口11には、上枠241から下枠242に向かって延びる複数の縦格子としての化粧バー41と、右枠243と左枠244との間に架け渡された複数の横フラップ42と、上枠241と下枠242との間に架け渡された複数の縦フラップ43とが設けられている。複数の化粧バー41、複数の横フラップ42及び複数の縦フラップ43のうち、複数の化粧バー41が最も正面側に位置しており、複数の縦フラップ43が最も背面側に位置している。
【0021】
本実施形態における複数の化粧バー41は、デザイン性を考慮して設けられたものである。複数の化粧バー41は、空気吹出口11に水平方向に所定の間隔をあけて並んでいる。各化粧バー41は、上下方向に細長い(上下方向の寸法が水平方向の寸法よりも大きい)棒状又は板状の形状を有している。各化粧バー41の上端部は上枠241につながっており、各化粧バー41の下端部は下枠242につながっている。具体的には、図4に示すように、各化粧バー41の下端部における背面側の部位が下枠242と一体化されている。隣り合う化粧バー41の下端部同士の間の領域は、背面側が下枠242により塞がれている一方で、上下方向には塞がれていない。したがって、後述するように、化粧バー41をつたって流下する結露水は、化粧バー41の下端から水受け部51に向かって落下する。
【0022】
複数の横フラップ42は、空気吹出口11に上下方向に所定の間隔をあけて並んでいる。各横フラップ42は、水平方向に細長い板形状を有し、ほぼ水平方向に平行な姿勢で設置されている。各横フラップ42の右端部は右枠243に回動可能に支持されており、各横フラップ42の左端部は左枠244に回動可能に支持されている。各横フラップ42の角度は、手動により調整可能である。
【0023】
複数の縦フラップ43は、空気吹出口11に水平方向に所定の間隔をあけて並んでいる。各フラップ43は、上下方向に細長い板形状を有している。各化粧バー41の上端部は上枠241に回動可能に支持されており、各化粧バー41の下端部は下枠242に回動可能に支持されている。複数の縦フラップ43は、各縦フラップ43の上端部近傍に配設された連結棒44によって連結されている。この連結棒44は、モータ45に接続されており、このモータ45により水平方向(左右方向)にスライド移動する。このスライド移動に伴って複数の縦フラップ43の角度が変化する。
【0024】
図5に示すように、第1パネル21の下枠242は、正面に向いた正面部27を有している。この正面部27の表面27sには、左右方向(水平方向)に延びる互いに平行な複数の溝部25が形成されている。各溝部25は、正面部27の表面27sから正面側に突出する複数の凸部26同士の隙間である。各溝部25は、化粧バー41をつたって流下する結露水を一時的に保水する機能を果たす。
【0025】
図2(B)及び図3(A)に示すように、第1パネル21の外枠24における背面側のスペースには、発泡樹脂製の断熱材46が配置されている。なお、図3(B)では、断熱材46の図示を省略している。断熱材46は、図3(B)に示す外枠24における背面側のスペースSに嵌め込まれている。
【0026】
図1(A)及び図2(A)に示すように、第2パネル22は、第1パネル21の下方に隣接して配置されており、正面視で矩形状を有している。第1パネル21の下枠242と第2パネル22の上縁部221とは上下方向に対向している。図5(A),(B)に示すように、第2パネル22は、空気調和機10の運転モードなどをランプの点灯、点滅、消灯などにより表示する表示部81を有している。
【0027】
第2パネル22の上縁部221は、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい上縁面221sを有している。この上縁面221sは、第1パネル21の下枠242と対向する位置にある。上縁面221sには、水受け部51、一対の導水路55、背面側壁部56、複数の仕切り壁57などが形成されている。
【0028】
水受け部51は、各化粧バー41に沿って流下する水を受け入れて保水可能な部位である。水受け部51は、第2パネル22を構成する主要部とともに例えば射出成形などの成形方法により一体成形されている。図4及び図5(A)に示すように、水受け部51は、第1パネル21の複数の化粧バー41の直下において、左右方向(水平方向)に沿って延びている。水受け部51は、全ての化粧バー41から流下する結露水を受け入れ可能な領域に設けられている。水受け部51は、上縁面221sの正面側に設けられている。
【0029】
本実施形態では、水受け部51は、後述する溝部53として示すように全ての化粧バー41を下からカバーするように水平方向に連続した形態であるが、これに限定されない。例えば化粧バー41ごとに独立した複数の水受け部51が設けられていてもよく、また、複数の化粧バー41がいくつかの群に分けられており、群ごとに独立した複数の水受け部51が設けられていてもよい。
【0030】
水受け部51は、下方に凹み互いに平行に延びる複数の溝部53を含む。各溝部53は、空気吹出口11から吹き出される空気の吹き出し方向に交わる交差方向に延びている。本実施形態では、この交差方向は、空気の吹き出し方向にほぼ直交する方向である。複数の溝部53は、上縁面221sから上方に突出する複数の凸部54(54a,54b)により形成されている。各溝部53は、後述する導水路55に向かって延びており、水受け部51に保水されている水を導水路55に案内する。複数の溝部53のうちの少なくとも1つは、端部が導水路55に対して水平方向に連通している。言い換えると、この溝部53の端部は、水平方向に開口している。
【0031】
最も正面側に位置する正面側凸部54aの上端は、これよりも背面側に位置する他の凸部54bの上端よりも高い位置にある。最も背面側の溝部53は、上縁面221sの壁面54cにより区画されている。この壁面54cの上端部は、壁面54cと正面側凸部54aとの間にある複数の凸部54bの上端部よりも高い位置にある。これにより、正面側凸部54aの内壁面と壁面54cとの間に、結露水を収容する空間が形成されており、この収容空間に収容された結露水が第2パネル22の外面(正面側の表面)に流下しにくいように構成されている。
【0032】
各溝部53の幅は、特に限定されるものではない。各溝部53の幅を適宜調節することにより、例えば毛細管現象によって結露水が溝部53の長手方向に拡散しやすくなる。これにより、水受け部51の保水機能を高めることができる。また、本実施形態では、水受け部51が複数の溝部53を含むので、水受け部51が単一の溝部のみを含む場合と比べて、各溝部53の幅を小さくして毛細管現象による保水機能を高めつつ、結露水を水受け部51の広い範囲に分散させることができる。これにより、結露水が水受け部51の外にこぼれにくくなる。
【0033】
壁面54cよりも背面側には、背面側壁部56及び複数の仕切り壁57により区画される平面が形成されている。この平面は、壁面54cとほぼ同じ高さである。背面側壁部56は、上縁面221sの最も背面側に位置しており、上縁面221sから上方に立設されている。背面側壁部56は、水受け部51と同程度の長さを有し、一対の導水路55の近傍まで左右方向に延びている。
【0034】
複数の仕切り壁57は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で上縁面221sに配列されている。各仕切り壁57は、背面側の端部が背面側壁部56につながっており、上縁面221sから上方にリブ状に立設されている。これにより、水受け部51の背面側の領域は、背面側壁部56と仕切り壁57とにより三方が囲まれた複数の空間が形成されている。各空間は、水受け部51に保水される水の一部を保水することも可能である。
【0035】
一方の導水路55は、上縁面221sの右サイドに設けられており、他方の導水路55は、上縁面221sの左サイドに設けられている。これらの導水路55は互いに左右対称であることを除いてほぼ同じ構造であるので、図5(A),(B)に示す右サイドの導水路55の構造についてのみ説明する。導水路55は、水受け部51において保水されている水を水収容部としてのドレンパン34(図1)へ導く役割を担っている。導水路55とドレンパン34との間の結露水の流路は、例えば第2パネル22の内面であってもよい。また、例えば水平方向の両サイドが図略の案内壁により区画された案内流路が、導水路55とドレンパン34との間に形成されていてもよい。
【0036】
図5(B)に示すように、導水路55は、上縁面221sの一部である底面551を有している。この底面551は、溝部53を形成している複数の凸部54の上端よりも低い位置にある。導水路55は、底面551の背面側の縁部から上方に立設された壁部58と、底面551の正面側の縁部及び右側の縁部から上方に立設された壁部59と、最も右側に位置する仕切り壁57とを有している。壁部59と仕切り壁57との間には、水受け部51の右側の端部が配置されており、上述したように複数の溝部53のうちの少なくとも1つの端部が導水路55に対して水平方向に連通している。また、壁部58と壁部59との間には、導水路出口55aが形成されている。この導水路出口55aの下縁部は、壁部58の上端及び壁部59の上端よりも低い位置にあり、底面551と同じ高さにある。
【0037】
溝部53から導水路55に流入した結露水は、例えば図5(B)に二点鎖線で示すような経路をたどって導水路出口55aに達し、その後、上述したように導水路55とドレンパン34との間の図略の流路を通ってドレンパン34に収容される。導水路55は、溝部53の端部よりも導水路出口55aの方が低い位置にあるような構造を有していてもよい。これにより、結露水が導水路出口55aにより案内されやすくなる。
【0038】
図5(A)に示す第2パネル22は、例えば上縁部221を形成する図略の上金型と、正面の形状を形成する図略の正面金型と、背面の形状を形成する図略の背面金型と、下縁部222を形成する図略の下金型とを用いて、水受け部51を含む主要部を一体成形することが可能である。一方、仮に、図4に示す第1パネル21の下端部に本実施形態のような複数の溝部53を形成する場合、複数の化粧バー41、複数の溝部25などの部位が存在するため、射出成形などの成形手段では一体成形することが困難である。
【0039】
<第3パネルの構造>
第3パネル23は、空気調和機10の運転中の状態である閉状態と、フィルター16を着脱するとき、電装品収容部33において各種設定をするときなどの状態である取り外し状態とを取り得る。ケース本体13の底板における正面側の縁部131(図1)は、ケース本体13の幅方向に延びる図略の溝を有している。第3パネル23の下縁部231は、ケース本体13の縁部131の前記溝に嵌合可能な平板状の図略の嵌合片を有している。第3パネル23が閉状態のときには、第3パネル23の下縁部231の前記嵌合片は、ケース本体13の縁部131の前記溝に嵌合している。
【0040】
一方、図6(A),(B)に示すように、第3パネル23の上部には、上縁部232が第2パネル22の下縁部222に対向する位置に配置された状態で、第3パネル23を第2パネル22に対して係止する一対の係止構造91が設けられている。また、各係止構造91の直下には、第3パネル23をケース本体13に取り付けるとき及び取り外すときに作業者が指を挿入可能な把持部93が設けられている。
【0041】
一対の係止構造91は同じ構造であるので、図6(B)及び図7に示す一方の係止構造(右側の係止構造)91についてのみ説明する。係止構造91は、第3パネル23の外面に突出する操作部95と、第3パネル23の内面側に位置する本体部96と、この本体部96から左右にそれぞれ延びる一対の付勢部97,97と、係止部99とを備えている。
【0042】
操作部95は、第3パネル23に形成された前後方向に貫通する挿通孔に挿通されており、背面側の端部が本体部96につながっている。本体部96は、中央付近に前後方向に貫通する長孔96aを有している。この長孔96aにはねじ98が挿通されている。ねじ98が第3パネル23に螺合されることにより、本体部96は、第3パネル23の内面に設けられた一対のガイドレール233,233に沿って上下方向にスライド移動可能な状態で第3パネル23に支持されている。
【0043】
各付勢部97,97は、弾性を有しており、内側の端部が本体部96につながっており、外側の端部971が第3パネル23の内面に固定されている。各付勢部97,97は、本体部96を上方に付勢しており、本体部96の上端が第3パネル23の上縁部231の上壁231aに当接することにより、それよりも上方への移動が規制されている。
【0044】
上縁部231の上壁231aには、上下方向に貫通する図略の貫通孔が形成されている。この貫通孔には、本体部96の上面から上方に突出する係止部99が挿通されている。この係止部99は、上縁部232が第2パネル22の下縁部222に対向する位置に配置された状態で、第2パネル22の図略の被係止部に係合する。これにより、第3パネル23の上部が第2パネル22に対して位置決めされる。この状態から操作部95を下方に下げることにより、本体部96が下方に移動し、それに伴って係止部99が下方に移動して係止部99と第2パネル22との係合が解除される。
【0045】
把持部93は、第3パネル23を前後方向に貫通する貫通孔を有している。この貫通孔は、正面側から背面側に向かうにつれて上方に傾斜しているので、指を挿入しやすい形状である。把持部93は、操作部95の直下に設けられた上壁部94と、貫通孔を介して上壁部94に対向する下方位置に形成された傾斜壁92とを備えている。第3パネル23をケース本体13から取り外す際、及び取り付ける際には、作業者は、例えば把持部93の貫通孔に人差し指を挿入し、親指で操作部95を上げ操作又は下げ操作を行えばよい。
【0046】
<実施形態の概要>
本実施形態をまとめると以下のようになる。
【0047】
本実施形態では、複数の化粧バー41は、上下方向に延びる形状を有し、空気吹出口11に水平方向に間隔をあけて並んでいる。水受け部51は、複数の化粧バー41の直下に位置し、ケース12の一部と一体成形されており、各化粧バー41に沿って流下する水を受け入れて保水可能である。したがって、各化粧バー41をつたって流下する水がケース内の電気部品やケースの外面に流下するのを抑制できる。また、水受け部51はケース12の一部と一体成形されているので、例えば水を保水するための保水部材をケースとは別に作製することに起因するコストアップ、及び保水部材を複数の化粧バーの直下に両面テープなどの接合手段を用いて貼り付けるという作業に起因するコストアップが生じるのを防ぐことができる。これにより、空気吹出口に上下方向に細長い複数の化粧バーを備えた空気調和機において、各化粧バーをつたって下方に流れる結露水がケース内の電気部品やケースの外面に達するのを低コストで抑制することができる。
【0048】
本実施形態では、水受け部51は、下方に凹み互いに平行に延びる複数の溝部53を含んでいるので、各溝部53は、各化粧バー41に沿って流下する水を受け入れて保水する機能を有していることに加え、さらに、保水された水を各溝部53の延びる方向に案内する機能を有している。
【0049】
本実施形態では、溝部53は、空気吹出口11から吹き出される空気の吹き出し方向に交わる交差方向に延びている。したがって、溝部53が前記吹き出し方向に延びている場合に比べて、溝部53に保水された水が前記吹き出し方向に移動するのを抑制できるので、水を保水する機能を高めることができる。
【0050】
本実施形態では、水受け部51において保水されている水を予め定められた水収容部(例えばドレンパン34)へ導くための導水路55をさらに備え、溝部53は、導水路55に向かって延びており、水受け部51に保水されている水を導水路55に案内する。
【0051】
本実施形態では、ケース12は、空気吹出口11が形成されるとともに複数の化粧バー41を備えた第1パネル21と、第1パネル21の下方に隣接して配置された第2パネル22とを含む正面パネル20を備え、第2パネル22は、第1パネル21における複数の化粧バー41の下端に対向する上縁部221を有し、溝部53は、上縁部221に設けられている。したがって、溝部53をこれ以外の第2パネル22の他の部位とともに一体成形することが可能になる。
【0052】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0053】
前記実施形態では、空気調和機が床置型である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、空気吹出口に上下方向に細長い複数の縦格子を備えた他のタイプの空気調和機にも適用可能である。
【0054】
また、前記実施形態では、水受け部が複数の溝部を含む場合を例示したが、これに限定されない。水受け部は、例えば単一の溝部を有している形態であってもよい。また、水受け部は、例えば複数の凹部が点在するような形態であってもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、水収容部がドレンパンである場合を例示したが、これに限定されない。水収容部としては、導水路を通じて案内される結露水を収容可能な部位をドレンパンとは別に設けることもできる。
【0056】
また、前記実施形態では、縦格子が化粧バーである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、縦格子は、上下方向に板状に延びる複数の縦フラップであってもよく、これらの縦フラップの直下に、水平方向に沿って延びる水受け部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 空気調和機
11 空気吹出口
12 ケース
13 ケース本体
21 第1パネル
22 第2パネル
221 第2パネルの上縁部
221s 上縁面
23 第3パネル
34 ドレンパン
41 化粧バー
42 横フラップ
43 縦フラップ
51 水受け部
53 溝部
55 導水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7