(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691809
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】エレベータの乗場敷居据付装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
B66B13/30 L
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-102646(P2011-102646)
(22)【出願日】2011年5月2日
(65)【公開番号】特開2012-232827(P2012-232827A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】門村 勝
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−060122(JP,A)
【文献】
実開昭61−041176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された三方枠取付用縦アングルと、
前記三方枠取付用縦アングルの下端部に互いに対向するように設けられた左右一対の敷居芯出し具と、
前記左右一対の敷居芯出し具により支持された乗場敷居とを備え、
前記左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し前記三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、前記磁石保持部が一端に取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側に前記乗場敷居を支持する敷居受け金と、前記敷居受け金に支持される前記乗場敷居を押さえる敷居押さえ板と、前記敷居受け金と敷居押さえ板との間に前記乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたことを特徴とするエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項2】
乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された三方枠取付用縦アングルと、
前記三方枠取付用縦アングルの下端部に互いに対向するように設けられた左右一対の敷居芯出し具と、
前記左右一対の敷居芯出し具により支持された乗場敷居とを備え、
前記左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し前記三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、前記磁石保持部に一端が取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側に前記乗場敷居を載置して支持する敷居受け金と、前記敷居受け金上に載置された前記乗場敷居を上方から押さえる敷居押さえ板と、前記敷居受け金と敷居押さえ板との間に前記乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたことを特徴とするエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項3】
乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された三方枠取付用縦アングルと、
前記三方枠取付用縦アングルの下端部に互いに対向するように設けられた左右一対の敷居芯出し具と、
前記左右一対の敷居芯出し具により支持された乗場敷居とを備え、
前記左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し前記三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、前記磁石保持部が一端の上面に取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側下面に前記乗場敷居を配置して上方から受ける敷居受け金と、前記敷居受け金の下面に位置する前記乗場敷居を下方から押さえる敷居押さえ板と、前記敷居受け金と敷居押さえ板との間に前記乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたことを特徴とするエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項4】
敷居受け金は断面L字状であり、前記敷居受け金の磁石保持部への取り付け側端部の垂直部には、取付ねじが貫通する複数の貫通孔が設けられ、前記敷居受け金の乗場敷居載置側の水平部には、スタッドボルトが貫通する複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項2記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項5】
敷居押さえ板は平板状であり、スタッドボルトの上端部が貫通する複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項4記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項6】
締結具は、敷居受け金の水平部に上向きに起立して取り付けられたスタッドボルトと、前記スタッドボルトの上端部にねじ込まれる蝶ナットとからなることを特徴とする請求項5記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項7】
締結具は、敷居受け金の水平部下面に頭部が溶接固定され、上向きに起立して取り付けられたスタッドボルトと、前記スタッドボルトの上端部にねじ込まれる蝶ナットとからなることを特徴とする請求項5記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項8】
敷居受け金は平板状であり、前記敷居受け金の磁石保持部への取り付け側端部には、取付ねじが貫通する複数の貫通孔が設けられ、前記敷居受け金の乗場敷居配置側には、蝶ボルトが挿入される複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項3記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項9】
敷居押さえ板は平板状であり、蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれる複数のねじ孔が設けられていることを特徴とする請求項8記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項10】
締結具は、敷居受け金の貫通孔に上方から挿脱される蝶ボルトと、敷居押さえ板に設けられ、前記蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれるねじ孔とからなることを特徴とする請求項9記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【請求項11】
締結具は、敷居受け金の貫通孔に上方から挿脱される蝶ボルトと、前記蝶ボルトの頭部下面と敷居受け金の上面との間に介在される座金と、敷居押さえ板に設けられ、前記蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれるねじ孔とからなることを特徴とする請求項9記載のエレベータの乗場敷居据付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗場敷居据付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗場敷居据付においては、敷居の下側に木片、ライナ等を差し込み、高さ調整を行っていた。
【0003】
また、従来技術として、エレベータ昇降路の出入口側の鉛直壁面に螺着され該出入口よりも下方に位置する溝形の第1金具と、この第1金具の1フランジ壁に螺着される該鉛直壁面方向に変位可能な倒L字状の取付金具と、この取付金具の水平部に穿設された遊貫孔と、該水平部の上下面にそれぞれ重合されて該遊貫孔を閉塞する一対の座板と、この一対の座板及び該遊貫孔を垂直に貫通するスタッドボルトと、このスタッドボルトに螺嵌して該一対の座板にそれぞれ重合されスタッドボルトの位置を垂直方向、該鉛直壁面方向、及びこの鉛直壁面方向に直交する方向に調整する一対のナットと、該スタッドボルトの頂部に取着された受け金と、この受け金上に螺着され出入口の下縁部に位置決め固定される敷居と、この敷居の位置決め時に第1金具の他のフランジ壁に螺着され該敷居の下面に螺着される逆L字状の第2金具と、この第2金具の螺着固定時に第1金具の1フランジ壁に取付金具及び受け金の代わりに螺着され該敷居の下面に螺着される逆L字状の第2金具とを備えたエレベータ乗場の敷居装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、他の従来技術として、伸縮自在な突っ張り棒の両端を、対向する昇降路側壁に押接させて昇降路内に横架し、乗場出入口に乗場敷居を据え付けるエレベータの乗場敷居の据付装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−64511号公報
【特許文献2】特開2005−343588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエレベータの乗場敷居据付では、敷居の下側に木片、ライナ等を差し込み、高さ調整を行っていたため、芯出しに時間が掛かり過ぎるという課題があった。また、従来技術に記載されたものでは、構造が複雑であり、取り扱いが容易でなく、効率的とは言い難かった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、乗場の三方枠取付用縦アングルを活用して強力磁石付きの敷居芯出し具を取り付け、前後、左右、高さの調整が容易に行えるようにしたエレベータの乗場敷居据付装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベータの乗場敷居据付装置においては、乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された三方枠取付用縦アングルと、三方枠取付用縦アングルの下端部に互いに対向するように設けられた左右一対の敷居芯出し具と、左右一対の敷居芯出し具により支持された乗場敷居とを備え、左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、磁石保持部が一端に取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側に乗場敷居を支持する敷居受け金と、敷居受け金に支持される乗場敷居を押さえる敷居押さえ板と、敷居受け金と敷居押さえ板との間に乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたものである。
【0008】
また、左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、磁石保持部に一端が取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側に乗場敷居を載置して支持する敷居受け金と、敷居受け金上に載置された乗場敷居を上方から押さえる敷居押さえ板と、敷居受け金と敷居押さえ板との間に乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたものである。
【0009】
また、左右一対の芯出し具は、強力磁石を内蔵し三方枠取付用縦アングルの下端部に磁力により吸着されて取り付けられる磁石保持部と、磁石保持部が一端の上面に取り付け固定され、磁石取り付け側とは反対側下面に乗場敷居を配置して上方から受ける敷居受け金と、敷居受け金の下面に位置する乗場敷居を下方から押さえる敷居押さえ板と、敷居受け金と敷居押さえ板との間に乗場敷居を挟んで締結固定する締結具とを備えたものである。
【0010】
また、敷居受け金は断面L字状であり、敷居受け金の磁石保持部への取り付け側端部の垂直部には、取付ねじが貫通する複数の貫通孔が設けられ、敷居受け金の乗場敷居載置側の水平部には、スタッドボルトが貫通する複数の貫通孔が設けられているものである。
【0011】
また、敷居押さえ板は平板状であり、スタッドボルトの上端部が貫通する複数の貫通孔が設けられているものである。
【0012】
また、締結具は、敷居受け金の水平部に上向きに起立して取り付けられたスタッドボルトと、スタッドボルトの上端部にねじ込まれる蝶ナットとからなるものである。
【0013】
また、締結具は、敷居受け金の水平部下面に頭部が溶接固定され、上向きに起立して取り付けられたスタッドボルトと、スタッドボルトの上端部にねじ込まれる蝶ナットとからなるものである。
【0014】
また、敷居受け金は平板状であり、前記敷居受け金の磁石保持部への取り付け側端部には、取付ねじが貫通する複数の貫通孔が設けられ、前記敷居受け金の乗場敷居配置側には、蝶ボルトが挿入される複数の貫通孔が設けられているものである。
【0015】
また、敷居押さえ板は平板状であり、蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれる複数のねじ孔が設けられているものである。
【0016】
また、締結具は、敷居受け金の貫通孔に上方から挿脱される蝶ボルトと、敷居押さえ板に設けられ、前記蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれる
ねじ孔とからなるものである。
【0017】
また、締結具は、敷居受け金の貫通孔に上方から挿脱される蝶ボルトと、前記蝶ボルトの頭部下面と敷居受け金の上面との間に介在される座金と、敷居押さえ板に設けられ、前記蝶ボルトの下端ねじ部がねじ込まれる
ねじ孔とからなるものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、敷居下部との間に入れて高さを調整するライナが不要となり、且つ敷居がしっかり固定され、作業の定形化、簡易化を図ることができるので、敷居の芯出しを短時間で行うことができ、効率的な敷居芯出し作業を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置の構成を示すエレベータ乗場の平面図である。
【
図2】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置の構成を示すエレベータ乗場の正面図である。
【
図3】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の構成を示す側面図である。
【
図4】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の構成を示す正面図である。
【
図5】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の敷居押さえ板を示す斜視図である。
【
図6】この発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の敷居受け金を示す斜視図である。
【
図7】この発明の実施例2におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の主要部の構成を示す斜視図である。
【
図8】この発明の実施例2におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の敷居押さえ板を示す斜視図である。
【
図9】この発明の実施例2におけるエレベータの乗場敷居据付装置の構成を示すエレベータ乗場の側面図である。
【
図10】エレベータの乗場敷居の最終的な据付状況を示すエレベータ乗場の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例1.
図1はこの発明の実施例1におけるエレベータの乗場敷居据付装置の構成を示すエレベータ乗場の平面図、
図2は同じくエレベータ乗場の正面図、
図3はエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の構成を示す側面図、
図4は同じく敷居芯出し具の構成を示す正面図、
図5は敷居芯出し具の敷居押さえ板を示す斜視図、
図6は敷居芯出し具の敷居受け金を示す斜視図である。
【0021】
図1〜
図6において、1は乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された断面L字状の三方枠取付用縦アングル、2は三方枠取付用縦アングル1の下端部付近において、互いに内向きに対向するように取り付けられた左右一対の敷居芯出し具、3は左右一対の敷居芯出し具2により両側の二箇所を支持された乗場敷居である。上記左右一対の敷居芯出し具2は、三方枠取付用縦アングル1の下端部付近に強力な磁力により吸着されて取り付けるための強力磁石4を内蔵している断面コ字状の磁石保持部5と、この磁石保持部5の垂直面に複数のねじにより一端が取り付け固定され、この取り付け端側とは反対側(昇降路側)の上面に乗場敷居3を載置して支持する断面L字状の比較的長尺な敷居受け金6と、この敷居受け金6上に載置された乗場敷居3を上方から押さえる平板状の敷居押さえ板7と、敷居受け金6と敷居押さえ板7との間に乗場敷居3を挟んで締結固定するためのスタッドボルト8と蝶ナット9からなる締結具とを備えている。上記断面L字状の敷居受け金6の磁石保持部5への取り付け端部側の垂直部には、複数のねじが貫通する複数(図では4個)の貫通孔6aが設けられている。この貫通孔6aは、移動作業床(図示せず)が当たらないようにするため、複数個設けておく必要がある。また、上記断面L字状の敷居受け金6の乗場敷居3載置側の水平部には、スタッドボルト8が貫通する複数(図では2個)の貫通孔6bが設けられており、スタッドボルト8の頭部は予め溶接により水平部下面に固定され、スタッドボルト8は上向きに起立して取り付けられている。上記平板状の敷居押さえ板7には、スタッドボルト8の上端部が貫通する複数(図では2個)の貫通孔7aが設けられている。そして、上記乗場敷居3は、敷居受け金6と敷居押さえ板7との間に挟まれた状態で、スタッドボルト8の上端部にねじ込まれる蝶ナット9により締結固定されるものである。
【0022】
上記の構成において、先ず、乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された断面L字状の三方枠取付用縦アングル1の下端部付近において、左右一対の敷居芯出し具2を互いに内向きに対向するように取り付け、敷居芯出し具2の下端を乗場仕上げ基準墨(図示せず)に合わせてセットする。この左右一対の敷居芯出し具2の三方枠取付用縦アングル1の下端部付近への取り付けは、敷居芯出し具2の磁石保持部5の強力磁石4の磁力により吸着させることで、簡単に取り付けることができる。次に、敷居芯出し具2の敷居受け金6の取り付け側端とは反対側の上面に乗場敷居3を載置し、乗場敷居3の上方から敷居押さえ板7で押さえた状態で、スタッドボルト8の上端部にねじ込まれる蝶ナット9により締結し仮固定する。なお、スタッドボルト8を予め溶接固定しておくことと、蝶ナット9で乗場敷居3を締結することにより、工具を使用せずに簡単に乗場敷居3を仮固定することができる。そして、ピアノ線基準で出入りを設定後、水準器を併用し、敷居受け金6の前後、左右、高さの調整が行うことにより、前後方向基準墨、中心基準墨、高さ方向建築基準墨に合わせて敷居の芯出しを短時間で容易に実施することができる。これにより、基礎プレートと鉄筋の溶接を行う必要がなく、また受け金を固定するための万力や、受け金と敷居下部との間に入れて高さを調整するライナが不要となり、作業の定形化、簡易化を図ることができるので、効率的な敷居芯出し作業を行うことができる。
【0023】
実施例2.
図7はこの発明の実施例2におけるエレベータの乗場敷居据付装置に用いられる敷居芯出し具の主要部の構成を示す斜視図、
図8は同じく敷居芯出し具の敷居押さえ板を示す斜視図、
図9はエレベータの乗場敷居据付装置の構成を示すエレベータ乗場の側面図、
図10はエレベータの乗場敷居の最終的な据付状況を示すエレベータ乗場の側面図である。
【0024】
図7〜
図10において、11は乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された断面L字状の三方枠取付用縦アングル、12は三方枠取付用縦アングル11の下端部付近において、互いに内向きに対向するように取り付けられた左右一対の敷居芯出し具、13は左右一対の敷居芯出し具12により両側の二箇所を支持された乗場敷居である。上記左右一対の敷居芯出し具12は、三方枠取付用縦アングル1の下端部付近に強力な磁力により吸着されて取り付けるための強力磁石14を内蔵している断面コ字状の磁石保持部15と、この磁石保持部15を一端の上面に複数のねじ(図示せず)により取り付け固定され、この取り付け端側とは反対側(昇降路側)の下面側に乗場敷居13を配置して上方から受ける平板状の比較的長尺な敷居受け金16と、この敷居受け金16の下面に位置する乗場敷居13を下方から押さえる平板状の敷居押さえ板17と、敷居受け金16と敷居押さえ板17との間に乗場敷居13を挟んで締結固定するための蝶ボルト18と座金19からなる締結具とを備えている。上記平板状の敷居受け金16の磁石保持部15の取り付け端部側には、複数のねじが貫通する複数(図では6個)の貫通孔16aが設けられており、強力磁石14の取付位置を移動可能な構成にしている。この貫通孔16aは、移動作業床(図示せず)が当たらないようにするため、複数個設けておく必要がある。また、上記平板状の敷居受け金16の乗場敷居13の上面を受ける水平部には、蝶ボルト18が上方から挿脱される複数(図では2個)の貫通孔16bが設けられており、蝶ボルト18の頭部下面と敷居受け金16の上面との間には座金19を介在させている。上記平板状の敷居押さえ板17には、蝶ボルト18の下端部が上方からねじ込まれる複数(図では2個)のねじ孔17aが設けられている。そして、上記乗場敷居13は、上下面が敷居受け金16と敷居押さえ板17との間に挟まれた状態で、蝶ボルト18の頭部下面に座金19を介在させ、敷居受け金16の貫通孔16bに上方から蝶ボルト18を挿入し、蝶ボルト18の下端ねじ部を敷居押さえ板17のねじ孔17aにねじ込むことにより締結固定されるものである。
なお、
図9及び
図10において、20はエレベータ乗場の床部、21は床部20に埋設された溶接アンカー、22は乗場敷居13の下面と溶接アンカー21を接続する鉄筋、23は乗場敷居13と溶接アンカー21と鉄筋22を埋めるモルタルである。例えば、床仕上がり面寸法Aが狭くて、実施例1のような構成のものでは、強力磁石が床部20に当たってしまう場合は、実施例2のような強力磁石を上側に置く構成のものが必要となる。
【0025】
上記の構成において、先ず、乗場出入口の両側にそれぞれ垂直方向に立設された断面L字状の三方枠取付用縦アングル11の下端部付近において、左右一対の敷居芯出し具12を互いに内向きに対向するように取り付け、敷居芯出し具12の下端を乗場仕上げ基準墨(図示せず)に合わせてセットする。この左右一対の敷居芯出し具12の三方枠取付用縦アングル11の下端部付近への取り付けは、敷居芯出し具12の敷居受け金16の上面に取り付けられた磁石保持部15の強力磁石14の磁力により吸着させることで、簡単に取り付けることができる。なお、強力磁石14の取付位置を移動したい場合は、複数のねじが貫通する複数(図では6個)の貫通孔16aを適宜選択すれば可能である。次に、敷居押さえ板17の上面に乗場敷居3の両側端部を支持しながら、敷居芯出し具12の敷居受け金16の取り付け側端とは反対側の下面と敷居押さえ板17の上面との間に乗場敷居3を挟んだ状態で、蝶ボルト18の頭部下面に座金19を介在させて、敷居受け金16の貫通孔16bに上方から蝶ボルト18を挿入し、蝶ボルト18の下端ねじ部を敷居押さえ板17のねじ孔17aにねじ込むことにより締結し仮固定する。なお、蝶ボルト18の下端ねじ部を上方から敷居押さえ板17のねじ孔17aにねじ込むことにしているので、工具を使用せずに簡単に乗場敷居13を仮固定することができるばかりでなく、床部20に邪魔されることなく、上方から蝶ボルト18を容易に取り外すことができる。そして、ピアノ線基準で出入りを設定後、水準器を併用し、敷居受け金16の前後、左右、高さの調整が行うことにより、前後方向基準墨、中心基準墨、高さ方向建築基準墨に合わせて敷居の芯出しを短時間で容易に実施することができる。これにより、基礎プレートと鉄筋の溶接を行う必要がなく、また受け金を固定するための万力や、受け金と敷居下部との間に入れて高さを調整するライナが不要となり、作業の定形化、簡易化を図ることができるので、効率的な敷居芯出し作業を行うことができる。また、
図10に示すように、床仕上がり面寸法Aが狭くて、強力磁石が床部20に当たってしまう場合でも、強力磁石14を敷居受け金16の上側に設置しているので、強力磁石が邪魔になるようなことがない。また、蝶ボルト18が上方から容易に挿脱できるので、取り外しが簡単である。
【符号の説明】
【0026】
1、11 三方枠取付用縦アングル
2、12 敷居芯出し具
3、13 乗場敷居
4、14 強力磁石
5、15 磁石保持部
6、16 敷居受け金
6a、6b、16a、16b 貫通孔
7、17 敷居押さえ板
7a 貫通孔
8 スタッドボルト
9 蝶ナット
17a ねじ孔
18 蝶ボルト
19 座金
20 床部
21 溶接アンカー
22 鉄筋
23 モルタル