(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にメンテナンス性を向上させる方法として、メンテナンス孔の面積を拡大するという方法がある。拡大する方法としては、メンテナンス孔の追加やその拡張が考えられる。しかしながら、特許文献1に開示された冷却装置取付台においてメンテナンス孔を追加したり拡張したりすると、機器が載置支持される部分である底面板の剛性が低下してしまい、機器を水平に支持することができなくなるという問題が生じる。特に重量の大きい冷却装置が載置された場合、剛性不足の問題が更に顕著になる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業機械の上部旋回体に機器を支持するようにした上部旋回体の機器支持構造において、機器が載置支持される部分の剛性維持と開口部の追加及び拡張とを両立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、機器が載置支持される部分を閉断面にすることによって当該部分の剛性を向上させ、それによって開口部の追加や拡張を可能としたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、本発明は、作業機械の上部旋回体に機器を支持するようにした上部旋回体の機器支持構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、上面に上記機器が載置支持される水平な上側水平板部と、当該上側水平板部から下方に延びる第1縦板部とを有する上側支持部材と、上記上側水平板部の下方に設けられ、上記機器に対応する部分に上下方向に貫通する下側開口部が形成された水平な下側水平板部と、当該下側水平板部から上方に延びる第2縦板部とを有する下側支持部材とを備え、上記上側水平板部、上記第1縦板部、上記下側水平板部及び上記第2縦板部とで閉断面が形成されると共に、上記上側支持部材の上記下側開口部に対応する部分に上側開口部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、機器が載置支持される上側水平板部の下部に、上側水平板部、下側水平板部、第1縦板部及び第2縦板部によって囲まれた閉断面が形成されているため、機器が載置支持される部分の剛性を維持しつつ開口部の追加や拡張が可能となる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1縦板部は、上記上側水平板部の幅方向一方側の側縁から下方に延びていて、その下端部が上記下側水平板部の上面に接合されており、上記第2縦板部は、上記下側水平板部の幅方向他方側の側縁から上方に延びていて、その上端部が上記上側水平板部の下面に接合されていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、第1縦板部及び第2縦板部が、それぞれ上側水平板部及び下側水平板部の側縁から延びているため、上側支持部材及び下側支持部材をそれぞれ一部材で構成することが可能となり、部品点数を抑制することが可能となる。更に、上側支持部材の第1縦板部の下端部が下側水平板部の上面に接合され、且つ、下側支持部材の第2縦板部の上端部が上側水平板部の下面に接合されているため、開口部の剛性を更に高めることが可能となり、開口部の追加や拡張が可能となる。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記上側支持部材は、上記上側水平板部の幅方向他方側の側縁から下方に延びる第3縦板部を更に有することを特徴とする。
【0014】
これによれば、上側支持部材が山型状の凸部を有するため、上側水平板部の剛性が向上する。従って、機器が載置支持される部分の剛性を一層向上させることが可能となり、それに伴って、機器が載置支持される部分の剛性を維持しつつ開口部の更なる追加や一層の拡張が可能となる。
【0015】
第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、上記上側水平板部は、その幅方向両側縁部に上記機器が固定支持される固定部を有することを特徴とする。
【0016】
これによれば、第2の発明に基づく第4の発明においては、上側水平板部の幅方向一方側縁部が第1縦板部によって折れ曲がった角部を形成しており、この角部に固定部が設けられている。従って、機器が載置支持される部分の剛性を維持しつつ開口部の一層の拡張や更なる追加が可能となる。
【0017】
更に、第3の発明に基づく第4の発明においては、上側水平板部の幅方向両縁部がそれぞれ第1縦板部及び第3縦板部によって折れ曲がった角部を形成しており、この両方の角部に固定部が設けられている。従って、機器が載置される部分の剛性を維持しつつ、開口部の更なる追加や一層の拡張が可能となる。
【0018】
第5の発明は、上記第2乃至第4のいずれかの発明において、上記下側開口部は、上記第1縦板部を跨ぐように形成されており、上記上側開口部は、上記上側水平板部から上記第1縦板部の下端に亘って形成された切り欠き部であることを特徴とする。
【0019】
これによれば、下側開口部が第1縦板部を跨ぎ、上側開口部が当該下側開口部に対応するような上側水平板部から第1縦板部下端に至る切り欠き部であるため、載置支持された機器の下面から側面に至る部分のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、機器が載置支持される上側水平板部の下方が閉断面であるため、機器が載置支持される部分の剛性を維持しつつ開口部の追加や拡張が可能となり、メンテナンス性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。実施形態1は、本発明の上部旋回体の機器支持構造を、油圧ショベルに内蔵された冷却装置が載置支持される冷却装置取付台に適用したものである。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0023】
−油圧ショベルの構成−
図1は、油圧ショベルの斜視図である。この油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1の上に旋回装置2を介して旋回可能に搭載され、当該下部走行体1と共に車体を構成する上部旋回体3と、この上部旋回体3の前側に傾動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行なうアタッチメント4とを備えている。なお、以下の説明において上下等の方向は、特に言及しない限り
図1に示す方向とする。上部旋回体3は、旋回装置2に取り付けられて水平方向に旋回するアッパーフレーム5を備えている。このアッパーフレーム5の上には、車両左前側にキャブ6が搭載され、キャブ6の車両後側に機械室7が搭載され、機械室7の車両後側にカウンターウェイト8が搭載されている。
【0024】
アタッチメント4は、ブーム41やアーム42、アーム42の先端に回動可能に取り付けられたバケット43等で構成されている。ブーム41は、上部旋回体3に対して車両前後方向に傾動可能に支持されていて、例えば、ブーム41を大きく前方に傾動操作してアーム42を伸ばしたり、ブーム41を立てるように傾動操作してアーム42を折り畳む等、キャブ6内から自在に制御できるように構成されている。
【0025】
キャブ6は、オペレータが搭乗するものであって、このキャブ6の内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0026】
機械室7は、上部旋回体3の後部に左右両側間にわたって配設されている。機械室7内の後方には冷却装置(機器)71(
図2参照)、エンジン及びポンプ(いずれも図示省略)がこの順に左側から左右横並びに配設されている。
【0027】
カウンターウェイト8は、アタッチメント4の傾動操作に対してバランスを確保するためのものであり、アタッチメント4の重量や形態等に応じてその重量が設定され、機械室7の後側の左右両側間に亘る部分に配設されている。
【0028】
−アッパーフレームの構成−
次に、アッパーフレーム5の構造について、
図2乃至
図4を参照して説明する。
図2は、冷却装置71が取り付けられたアッパーフレーム5を示す斜視図である。
図3は、冷却装置71が取り付けられたアッパーフレーム5を示す背面図である。
図4は、アッパーフレーム5の平面図である。
【0029】
アッパーフレーム5は、その車幅方向中央部において車両前後方向に延びるセンターセクション9と、このセンターセクション9の右側に配置される右サイドデッキ10と、左側に配置される左サイドデッキ11とで構成されている。センターセクション9には、前側から順に、アタッチメント4、エンジン及びカウンターウェイト8が取り付けられる。右サイドデッキ10には、バッテリ等の電装品や燃料タンク等が取り付けられ、左サイドデッキ11には、その前側にキャブ6、後側に冷却装置71が取り付けられる。
【0030】
センターセクション9は、アッパーフレーム5の中核をなしており、底板部90と、この底板部90上を前後に平行に延びるように立設された一対の支持部91,92と、この一対の支持部91,92の前端部分を連結する補強部材93と、一対の支持部91,92の後側にエンジンを取り付ける取付座部94とを備えている。一対の支持部91,92には、その前端側にブーム41の基端部を軸支するための軸孔91a,92aが設けられている。
【0031】
右サイドデッキ10は、上下方向から見て車両前後方向に長い矩形状をなしていて、センターセクション9の底板部90と同じ車両前後方向長さを有している。そして、右サイドデッキ10は、車両前後方向に3つのエリアに区画されており、そのうち中央部の区画10aには、燃料タンク(図示省略)や作動油タンク(図示省略)が載置支持される。
【0032】
左サイドデッキ11は、上下方向から見て車両前後方向に長い矩形状をなしていて、車両前後方向長さはセンターセクション9の底板部90に比較して長くなっている。支持部92と左サイドフレーム11aとの間に、車両前側に2本のキャブ支持部材11b,11b、キャブ支持部材11bの後側に連結部材11c、後端連結部材11dが間隔を開けて設けられている。左サイドフレーム11aの車両前側部分は、右サイドデッキ10よりも前方に突出していて、当該左サイドフレーム11aの車両前側部分及びキャブ支持部材11b,11bによってキャブ支持スペース11e(
図2及び
図4参照)が形成されている。キャブ6は、このキャブ支持スペース11eの四隅部に設けられた図示しないマウント部材を介して支持されている。連結部材11c、後端連結部材11d、支持部92及び左サイドフレーム11aとで囲まれた矩形部分に、略矩形状の冷却装置取付台12(詳細は後述する)が設けられている。この冷却装置取付台12が上記矩形部分の底板部を構成しており、冷却装置取付台12の周縁は、連結部材11c、後端連結部材11d、支持部92及び左サイドフレーム11aにそれぞれ溶接固定されている。
【0033】
冷却装置71として一体に設けられたラジエータ、インタークーラ及びオイルクーラのそれぞれの下部には、ラジエータホース、インタークーラホース及びオイルクーラホースの各ホースが取り付けられるホース取付部72が、
図3に示すように、右側、即ち、センターセクション9側に突出するように設けられている。具体的には、オイルクーラホース、ラジエータホース及びインタークーラホースが取り付けられるホース取付部72は、冷却装置71の右側面下端部における車両前後方向中央寄りに並設されている。なお、
図3では、3つのホース取付部72のうち1つだけが図示されており、他の2つは隠れている。
【0034】
−冷却装置取付台−
次に、冷却装置取付台12の詳細な構造について、
図5乃至
図8を参照して説明する。
図5は、冷却装置取付台12の平面図である。
図6は、
図5におけるVI−VI線矢視断面図である。
図7は、
図5におけるVII−VII線矢視断面図である。
図8は、冷却装置71が取り付けられた冷却装置取付台12を示す斜視図である。
【0035】
冷却装置取付台12は、冷却装置71が載置支持される上側支持部材13と、冷却装置71をメンテナンスするためのメンテナンス孔(下側開口部)15が形成された下側支持部材14とを備えている。上側支持部材13及び下側支持部材14は、それぞれ冷却装置取付台12の左側部分及び右側部分に配置されていて、上下方向から見て上側支持部材13の右側端部と下側支持部材14の左側端部とが重なり合っている。メンテナンス孔15は、上下方向から見て上記3つのホース取付部72の全てを含むように、下側支持部材14の車幅方向中央部に、車両前後方向に長く開口した長孔状に形成されている(
図5参照)。
【0036】
上側支持部材13は、鋼板を曲げ加工したものであって、冷却装置71の載置面を構成する矩形状の水平な上側水平板部13aと、この上側水平板部13aの右側(幅方向一方側)の側縁から折れ曲がって鉛直下方に延びる矩形状の上側右縦板部(第1縦板部)13bと、左側(幅方向他方側)の側縁から折れ曲がって鉛直下方に上側右縦板部13bの下端面よりも低い位置まで延びる矩形状の上側左縦板部13c(第3縦板部)と、この上側左縦板部13cの下端から左方に延びる水平な上側底板部13dとを有している。更に、上側底板部13dの左側の側縁部は、
図6に示すように、左サイドフレーム11aに取り付けられている。なお、
図7に示すように、上側底板部13dの左側の側縁部の後側一部には、上方に折り曲げられた折れ曲がり部13eが形成されている。
【0037】
上側水平板部13aの右側端部の車両前後方向略中央部から上側右縦板部13bの下端に亘って、切り欠き部16(上側開口部)が形成されている。即ち、切り欠き部16は、上側水平板部13aの右側端部に、上下方向から見てメンテナンス孔15とほぼ重なる部分に形成された水平開口部16aと、この水平開口部16aに連続して上側右縦板部13bに形成された垂直開口部16bとからなる。それによって、上側右縦板部13bに形成された垂直開口部16bの車両前後方向外側部分になる前端部及び後端部には、それぞれ鉛直下方に延びる一対の脚部131b,132bが形成される。
【0038】
なお、このような構成を備える上側支持部材13は、一枚の矩形状鋼板を準備し、この鋼板の一辺側に予め切り欠き部16を形成し、その後、例えばプレス加工によって凸形状に折り曲げて形成する。
【0039】
また、上側水平板部13aの車両前後方向の前端部及び後端部のうち切り欠き部16よりも車両前後方向外側部分には、上側水平板部13aの四隅部に、冷却装置71を固定する固定部13fが設けられている。具体的には、固定部13fは、それぞれ上側水平板部13aの左右端部で且つ前後端部の位置になる角部に設けられており、固定部13fは剛性の高い部分に設けられている。固定部13fは、上側水平板部13aを上下方向に貫通するように形成された取付孔及びこの上側水平板部13aとの下面に固着されたナットNで構成されている。冷却装置71の下端部に取り付けられたブラケット(図示省略)に、固定部13fの取付孔に一致する貫通孔が設けられており、貫通孔の上方からボルトを挿通してナットNに螺合することによって冷却装置71が冷却装置取付台12に固定される。
【0040】
下側支持部材14は、鋼板を曲げ加工したものであって、長手方向が車両前後方向に一致する矩形状の水平な下側水平板部14aと、この下側水平板部14aの左側の側縁から折れ曲がって鉛直上方に延びる矩形状の下側左縦板部(第2縦板部)14bと、下側水平板部14aの右側の側縁から鉛直下方に延びる矩形状の下側右縦板部14cと、この下側右縦板部14cの下端から右方に延びる矩形状の水平な下側底板部14dと、下側底板部14dの右側の側縁には、
図6に示すように、上方に折り曲げられた折れ曲がり部14eとを有している。下側水平板部14aは、車幅方向には、底板90の後端部の左側の側縁上方の位置から上側水平板部13aの車幅方向中央部の下方位置までの幅で設けられている。この下側水平板部14aの略中央部分にメンテナンス孔15が形成されている。このメンテナンス孔15は、冷却装置71が上側水平板部13aに載置支持された状態でホース取付部72(
図3参照)の下方位置に設けられており、車幅方向には、その左側半分が上下方向から見て切り欠き部16の水平開口部16aに重なっており、その右側半分が垂直開口部16bよりも右側に出る大きさで設けられている。メンテナンス孔15の車両前後方向の長さは、切り欠き部16とほぼ同じ長さで設けられている。そして、切り欠き部16の垂直開口部16bの前後両端部に形成された脚部131b、132bが、メンテナンス孔15の前後方向外側に位置する下側水平板部14aに取り付けられている。
【0041】
冷却装置取付台12をアッパーフレーム5に取り付ける方法は、特に限定されないが、例えば2つの方法が考えられる。一つは、上側支持部材13と下側支持部材14とを予め一体にし、その後、一体にしたものをアッパーフレーム5に溶接する方法である。アッパーフレーム5に溶接する際は、上記一体にしたものの前端部12a及びその後端部12b(
図5参照)をそれぞれ連結部材11c及び後端連結部材11dに溶接し、また、当該一体にしたものの左側端部(上側支持部材13の左側端部)及びその右側端部(下側支持部材14の右側端部)をそれぞれ左サイドフレーム11a及びセンターセクション9の支持部92に溶接する。この場合、溶接による歪み(以下、溶接歪と称する。)の上側支持部材13への影響を抑えるために、上側右縦板部13bの下端部と下側水平板部14aの上面との接合、及び、下側左縦板部14bの上端部と上側水平板部13aの下面との接合は、連続的に溶接するのではなく、部分的に溶接することによって行うのが好ましい。また、別の取り付け方法は、下側支持部材14を連結部材11c、後端連結部材11d及びセンターセクション9の支持部92に予め溶接固定し、その後、上側支持部材13を、連結部材11c、後端連結部材11d及び左サイドフレーム11a及び下側支持部材14に溶接固定する方法である。この場合、溶接固定された下側支持部材14に上側支持部材13を溶接固定するため、下側支持部材14とセンターセクション9との溶接による溶接歪の上側支持部材13への影響を最小限に抑えることができる。
【0042】
なお、いずれの方法にしても、上側水平板部13a、上側右縦板部13b、下側水平板部14a及び下側左縦板部14bで囲まれた閉断面形状になった上側水平板部13a上に機器支持面が設けられており、上側水平板部13aの側縁には上側左縦板部13cが設けられているので、上側水平板部13aの剛性は、1枚板の底板部材で冷却装置取付台が構成される場合と比較して格段に良くなっており、溶接時の溶接歪も出難い構造になっている。
【0043】
上記の構成において、作業者は、メンテナンス作業の際に1つのメンテナンス孔15から3つのホース取付部72にアクセスすることができ、メンテナンス孔15の下側から工具等を差し入れて、各ホース取付部72においてメンテナンス作業を実施することができる。
【0044】
また、上側支持部材13は、上側水平板部13aの両側縁に設けた上側右縦板部13b及び上側左縦板部13cによって、凸形状になっているだけでなく、上側水平板部13aの中間部分が、下側支持部材14の下側左縦板部14bで支えられる構成となっているので、上側水平板部13aの剛性及び平面度が大幅に向上することが可能となっている。
【0045】
また、切り欠き部16の垂直開口部16bの前後端部に形成された脚部131b、132bが、メンテナンス孔15の前後方向外側に位置する下側水平板部14aに溶接固定されているので、下側支持部材14及びメンテナンス孔15の剛性も高くなっている。
【0046】
≪効果≫
実施形態1によれば、冷却装置71が載置支持される上側水平板部13aの下部に、この上側水平板部13aと共に、下側水平板部14a、上側右縦板部13b及び下側左縦板部14bによって閉断面が形成されているため、冷却装置71が載置支持される部分の剛性を維持しつつ従来よりもメンテナンス孔15や切り欠き部16を拡張することが可能となる。
【0047】
従来の冷却装置取付台では、1枚の底面板上に機器支持面を構成し、この底面板をセンターセクションや周囲の部材に溶接するものと考えられ、この溶接による溶接歪の影響が直接機器支持面の平面度に影響するが、上記実施形態1によれば、上側水平板部13a、上側右縦板部13b、下側水平板部14a及び下側左縦板部14bで囲まれた閉断面形状になった上側水平板部13a上に機器支持面が設けられているので、周囲の溶接歪の上側支持部材13への影響を小さくすることができる。従って、従来と比較して、溶接歪の機器支持面への影響を抑制することが可能となる。
【0048】
また、実施形態1によれば、上側支持部材13の上側右縦板部13bの下端部が下側水平板部14aの上面に接合され、且つ、下側支持部材14の下側左縦板部14bの上端部が上側水平板部13aの下面に接合されているため、メンテナンス孔15や切り欠き部16の剛性を更に向上させることが可能となる。
【0049】
また、実施形態1によれば、上側支持部材13の冷却装置71が載置支持される部分の断面形状が凸形状(即ち、上側水平板部13aの両側縁に上側右縦板部13b,13cをそれぞれ設けた形状)であり、上側水平板部13aと上側右縦板部13b,13cとの折り曲げ部分(角部)の剛性が高く、この折り曲げ部分に近接して固定部13fが設けられているので、冷却装置71が載置支持される部分の剛性を維持しつつメンテナンス孔15や切り欠き部16を従来よりも更に拡張することが可能となる。
【0050】
また、実施形態1によれば、メンテナンス孔15が上側右縦板部13bを跨いで設けられ、切り欠き部16が、このメンテナンス孔15の上方において上側水平板部13aから上側右縦板部13bの下端に至るまでの大きさで形成されているため、載置支持された冷却装置71の下面から側面に至る部分のメンテナンス作業を容易に実行することが可能となる。
【0051】
(実施形態2)
実施形態2を
図9に基づいて説明する。実施形態2は、本発明の上部旋回体の機器支持構造を、燃料タンクが取り付けられる燃料タンク取付台に適用したものである。
図9は、実施形態2に係る燃料タンク(機器)73が取り付けられた燃料タンク取付台17を示す斜視図である。以下、実施形態1と異なる点について
図9を参照して説明する。
【0052】
燃料タンク取付台17に載置支持される燃料タンク73は、略直方体状の中空容器であって、内部にガソリン等の燃料を貯留するものである。この燃料タンク73は、上面に燃料を注入する給油部73aと、下面中央部にメンテナンス部73bとを有している。また、下面の四隅に燃料タンク取付部73cが設けられている。なお、燃料タンク取付台17は、実施形態1の冷却装置取付台12とほぼ同一の構成である。
【0053】
燃料タンク73は、燃料タンク取付台17に載置され、燃料タンク取付部73cで取り付け固定される。燃料タンク73が燃料タンク取付台17に取り付けられた状態で、メンテナンス部73bは、切り欠き部16の内側に配置される。この実施形態2では、メンテナンス部73bが実施形態1に比較して小さいので、メンテナンス孔15は実施形態1ほどの大きさを必要とせず、比較的小さい形状になっている。実施形態2でも、機器支持面の剛性は高く維持され、メンテナンス孔15も十分に確保されているので、作業者は、メンテナンス孔15から工具等を差し入れて、メンテナンス部73bにおいて容易にメンテナンス作業を実施することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0055】
実施形態1では、冷却装置は、ラジエータ、インタークーラ及びオイルクーラが一体になったものであったが、これに限られるものではなく、それらの1つ或いは2つからなる冷却装置でもよい。さらに、上記実施形態1及び2では、載置支持される機器が冷却装置71及び燃料タンク73であったが、これに限定されず、下面からのメンテナンスが要求される機器であれば適用可能であり、例えば作動油タンク等であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、上側水平板部13aと上側右縦板部13bとがそれぞれ一枚の板部材で構成されていたが、これに限定されず、上側水平板部13aと上側右縦板部13bとが別部材で構成されてもよい。同様に、下側水平板部14aと下側左縦板部14bとが別部材で構成されてもよい。なお、例えば、上側水平板部13a及び上側右縦板部13bに、下側水平板部14aのうちで上側右縦板部13bより右側部分を1枚板として一体にして、上側右縦板部13bより左側部分と下側左縦板部14bとを1枚の板材とする構造とする、或いは、上側水平板部13a及び上側右縦板部13bに、下側水平板部14aのうちで上側右縦板部13bより左側部分及び下側左縦板部14bを1枚板として一体にして、上側右縦板部13bの左側部分を下側右縦板部14c及び下側底板部14dと一体にした構造とする等、いろいろの一体構造を適用できる。
【0057】
また、上記実施形態では、上側支持部材13が山型状の凸形状を有していたが、これに限定されず、例えば、上側水平板部13a及び上側右縦板部13bによって構成された断面L字状であってもよい。また、上記実施形態では、下側支持部材14が階段状であったが、これに限定されず、例えば、下側水平板部14a及び下側左縦板部14bによって構成された断面L字状であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、下側支持部材14は上下方向から見て上側支持部材13と重なる部分に縦板部を1つ(下側左縦板部14b)備えていたが、これに限定されず、縦板部を複数備えてもよい。この場合、閉断面が複数形成され、機器が載置支持される部分の剛性が更に向上する。同様に、上側支持部材13が、上下方向から見て下側支持部材14と重なる部分に縦板部を複数備えてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、下側支持部材14の下側左縦板部14bが上側支持部材13の上側水平板部13aの車幅方向の中間位置に設けられているが、上側支持部材13の上側左縦板部13cに重なるように設け、上側左縦板部13cと下側左縦板部14bとで2重の縦板部を形成して、上側水平板部13aの左側の側縁部の剛性を高めるようにしてもよい。また、上側右縦板部13bを折り返すようにして2重にして、上側水平板部13aの右側の側縁部の剛性を高めるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、上側支持部材13には切り欠き部16が形成されていたが、これに限定されず、上側水平板部13aを上下方向に貫通する孔部であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、下側左縦板部14bの上端面が上側水平板部13aの下面に接合されていたが、これに限定されず、例えば、下側左縦板部14bの上端部が車幅方向一方側に折れ曲がって水平に延びていて、この水平に延びる部分が上側水平板部13aの下面と接触するように接合されてもよい。このとき、例えば、下側左縦板部14b上端部の水平部分と上側水平板部13aとは固定することが好ましく、例えば溶接してもよく、ボルト締結してもよい。上記した構成については、上側右縦板部13bと下側水平板部14aとの接合についても、同様に適用するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、冷却装置71及び燃料タンク73が上側水平板部13aの四隅部において固定支持されていたが、これに限定されず、例えば、上側水平板部13aの車両前後方向両端部における車幅方向両端部を除く部分、又は、上側水平板部13aの切り欠き部16の左側部分に固定支持されてもよい。但し、上側水平板部13aの四隅部は、上側水平板部13aと上側右縦板部13b及び上側左縦板部13cとで形成された角部であり、強度が勝るため、機器を上記に例示した部分に固定支持する場合よりも、四隅部に固定支持する場合の方が支持剛性があがり、その結果メンテナンス孔15を拡張することが可能となる。
【0063】
更に、上記実施形態では、メンテナンス孔15が1つだけ形成されていたが、これに限定されず、メンテナンス孔15が複数形成されてもよい。但し、メンテナンス孔15の追加よりも拡張の方が製造工数が少ないため、メンテナンス孔15の拡張の方が製造コストを抑制することが可能である。
【0064】
上記実施形態では、油圧ショベルであったが、これに限られるものではなく、他の作業機械にも適用可能である。
【0065】
上記実施形態1では、下側支持部材14が支持部92に固定され、上側支持部材13が左サイドフレーム11aに固定されるものであったが、逆でもよい。また、作動油タンクや燃料タンクのように、車幅方向に長い立体構造である場合には、下側支持部材14及び上側水平板部13が車両前後方向にある部材に固定されるようになったものにも適用可能である。
【0066】
上記実施形態では、メンテナンス孔を大きく開口するので、小石、泥水等の侵入や防塵等のために必要であれば、開閉可能な蓋部材を設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、切り欠き部(上側開口部)16の水平開口部16aと垂直開口部16bの車両前後方向の長さは同じであるが、必ずしも同じである必要性はなく、メンテナンス作業に影響が無ければ出来るだけ短くした方がよく、異なる長さでもよい。例えば、機器の下面にメンテナンス作業の必要な部分がなく、機器の右側面下部のみにメンテナンス作業の必要な部分が有る場合には、水平開口部16aは、機器の下面の右端部が露出する程度までの左右幅で開口するだけでもよい。