(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記各特許文献の技術では、製造装置の管理(製造装置の稼動計画の策定、稼動実績管理など)を行うために必要な稼動実績情報を十分に取得できないという問題がある。
【0008】
具体的には、特許文献1,2の技術では、製造装置の稼動状況として取得可能な情報は信号灯あるいは表示器の点灯状態の検出結果に限られており、製造装置の詳細な状態を把握することができない。例えば、製造装置に対して作業者が操作を行っていた期間と製造装置が待機中であった期間とを区別したり、加工処理中であった期間と作業者が段取り等の作業を行っていた期間とを区別したりすることができない。
【0009】
また、特許文献3の技術では、異常発生を示すブザーのオン/オフのタイミングに応じて作業者移動時間および復旧作業時間を算出することが記載されているものの、異常発生時以外の通常時の装置状態については特許文献1,2と同様の情報しか取得できない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の稼動実績情報を適切に生成することができるデータ処理装置、データ処理システム、およびデータ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のデータ処理装置は、上記の課題を解決するために、装置の稼動状態を示す稼動実績情報を生成するデータ処理装置であって、上記装置の状態を検出した結果を示す装置状態情報と、上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行うための所定位置に上記操作を行う操作主体が存在するか否かを検出した結果を示す操作主体情報とを取得して検出結果記憶部に記憶させるデータ保存処理部と、上記検出結果記憶部に記憶されている上記装置状態情報および上記操作主体情報に基づいて、上記装置の状態を、上記装置が所定の処理を行っていた状態である処理状態と、上記操作主体が上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行っていた状態である作業状態と、上記装置が待機中であった状態である待機状態とを少なくとも含む複数の状態に分類する分類処理を行い、当該分類処理の結果を含む上記稼動実績情報を生成する解析部とを備えていることを特徴としている。なお、上記作業状態には、例えば、操作主体が装置に対して処理対象物の取り付けや取り外し等の作業を行っていた状態、操作主体が装置に対して処理プログラムの設定作業等を行っていた状態、操作主体が装置を手動操作していた状態などが含まれる。
【0012】
上記の構成によれば、データ保存処理部が、上記装置の状態を検出した結果を示す装置状態情報と、上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行うための所定位置に上記操作を行う操作主体が存在するか否かを検出した結果を示す操作主体情報とを取得して検出結果記憶部に記憶させる。そして、解析部が、検出結果記憶部に記憶されている装置状態情報および操作主体情報に基づいて、上記装置の状態を、装置が所定の処理を行っていた状態である処理状態と、操作主体が装置に対する操作または装置を用いた操作を行っていた状態である作業状態と、装置が待機中であった状態である待機状態とを少なくとも含む複数の状態に分類する分類処理を行い、当該分類処理の結果を含む稼動実績情報を生成する。これにより、上記装置の状態を、処理状態と、作業状態と、待機状態とを含む複数の状態に分類することができる。したがって、装置の管理を行うのに適した情報を含む稼動実績情報を生成できる。
【0013】
また、上記解析部は、上記装置の状態を、上記装置状態情報に基づいて上記処理状態とその他の状態とに分類し、さらに、上記その他の状態を上記操作主体情報に基づいて上記作業状態と上記待機状態とに分類する構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、上記装置の状態を、処理状態と作業状態と待機状態とに分類することができる。
【0015】
また、上記解析部は、上記装置の状態を、上記装置状態情報に基づいて、上記処理状態と、上記装置に異常が発生した状態である異常発生状態と、その他の状態とに分類し、さらに、上記その他の状態を上記操作主体情報に基づいて上記作業状態と上記待機状態とに分類する構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、上記装置の状態を、処理状態、異常発生状態、作業状態、および待機状態に分類することができる。
【0017】
また、上記解析部は、上記装置の状態を、上記装置状態情報に基づいて、上記処理状態と、上記装置が停止していた状態である停止状態と、その他の状態とに分類し、さらに、上記その他の状態を上記操作主体情報に基づいて上記作業状態と上記待機状態とに分類する構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、上記装置の状態を、処理状態、停止状態、作業状態、および待機状態に分類することができる。
【0019】
また、上記解析部は、上記装置の状態を、上記装置状態情報に基づいて、上記処理状態と、上記装置に異常が発生した状態である異常発生状態と、上記装置が停止していた状態である停止状態と、その他の状態とに分類し、さらに、上記その他の状態を上記操作主体情報に基づいて上記作業状態と上記待機状態とに分類する構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、上記装置の状態を、処理状態、異常発生状態、停止状態、作業状態、および待機状態に分類することができる。
【0021】
また、上記装置状態情報は、上記装置に備えられる処理対象物を保持するための保持手段の保持状態を検出した結果を示す保持状態情報を含んでおり、上記解析部は、上記保持状態情報に基づいて、上記待機状態を、上記保持手段が処理対象物を保持している状態または上記保持手段に対する処理対象物の取付作業または取外作業を行っている状態で上記装置が待機中であった状態である準備状態と、上記保持手段が処理対象物を保持しておらず、上記保持手段に対する処理対象物の取付作業も取外作業も行っていない状態で上記装置が待機中であった状態である前工程待ち状態とに分類する構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、上記待機状態をさらに準備状態と前工程待ち状態とに分類することができる。
【0023】
また、上記解析部は、上記その他の状態に含まれる期間のうち、上記所定位置に操作主体が存在することが所定期間以上継続して検出された期間を上記作業状態に分類し、所定期間以上継続して検出していない期間を上記待機状態に分類する構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、例えば上記所定位置を通過した物体(人あるいは物)や上記所定位置に一時的に滞在した物体など、実際には操作主体ではない人が操作主体として誤認されることを防止することができる。したがって、より適切な稼動実績情報を生成することができる。
【0025】
また、上記装置状態情報は、上記装置に備えられる当該装置の状態を示す信号灯の点灯状態を検出した結果を示す点灯状態情報を含んでおり、上記解析部は、上記点灯状態の検出結果を用いて上記分類処理を行う構成としてもよい。
【0026】
例えば、上記信号灯は、少なくとも、上記装置が所定の処理を行っている状態であるか否かを識別可能に表示するものであり、上記解析部は、上記点灯状態が所定時間以上継続していた期間を上記処理状態に分類し、上記点灯状態が所定時間以上継続していなかった期間のうち、上記所定位置に操作主体が存在した期間または上記所定位置に操作主体が存在することを所定期間以上継続して検出した期間を上記作業状態に分類し、上記点灯状態が所定時間以上継続していなかった期間のうち、上記作業状態以外の期間を上記待機状態に分類する構成としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、上記装置に備えられる信号灯の点灯状態に応じて上記分類処理を行うことができる。
【0028】
また、上記装置状態情報は、上記装置に備えられる可動部の動作状態を検出した結果を示す可動部情報を含んでおり、上記解析部は、上記可動部情報を用いて上記分類処理を行う構成としてもよい。
【0029】
例えば、上記解析部は、上記可動部情報に基づいて、上記可動部の動作速度、加速度、または変位量が所定値未満である状態が所定時間継続した期間を、上記装置が停止していた状態である停止状態に分類する構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、装置の可動部の動作状態に基づいて上記所定期間に含まれる各期間の分類処理を行うことができる。
【0031】
また、上記装置状態情報には、上記装置の消費電力を検出した結果を示す消費電力情報が含まれており、上記解析部は、上記消費電力情報に基づいて上記分類処理を行う構成としてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、上記装置の消費電力に基づいて上記分類処理を行うことができる。
【0033】
また、上記データ保存処理部は、複数台の上記装置についての上記装置状態情報と上記操作主体情報とを取得して上記検出結果記憶部に記憶させ、上記解析部は、それぞれの装置毎に上記稼動実績情報を生成する構成としてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、複数台の装置についての稼動実績情報を生成することができる。
【0035】
また、上記複数台の装置の中には、種類が互いに異なる装置が含まれており、上記解析部は、種類が互いに異なる各装置についての上記分類処理の方法を装置毎に設定する構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、複数種類の装置について、それぞれの装置に応じた方法で上記分類処理を行うことができる。
【0037】
また、表示装置を備えており、上記解析部は、上記検出結果記憶部に記憶されている過去の上記装置状態情報および上記操作主体情報と、上記データ保存処理部が取得した現在の上記装置状態情報および上記操作主体情報とに基づいて上記装置の現在の状態を上記複数の状態のうちのいずれかに分類し、上記表示装置は、上記解析部による上記装置の現在の状態の分類結果を上記表示装置に表示させる構成としてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、上記装置の現在の状態を表示させることができるので、装置の観察者が、装置の現在の状態を容易に把握することができる。
【0039】
本発明のデータ処理システムは、上記したいずれかのデータ処理装置と、上記装置の状態を検出してその検出結果を示す装置状態情報を上記データ処理装置に出力する装置状態検出手段と、上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行うための所定位置に操作主体が存在するか否かを検出してその検出結果を示す操作主体情報を上記データ処理装置に出力する操作主体検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、装置の管理を行うのに適した情報を含む稼動実績情報を生成できる。
【0041】
本発明のデータ処理方法は、上記の課題を解決するために、装置の稼動状態を示す稼動実績情報を生成するデータ処理方法であって、装置状態検出手段に上記装置の状態を検出させる装置状態検出工程と、操作主体検出検出手段に上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行うための所定位置に操作主体が存在するか否かを検出させる操作主体検出工程と、上記装置状態検出工程および上記操作主体検出工程の検出結果を記憶手段に記憶させる記憶工程と、解析手段に、上記記憶手段に記憶させた上記装置状態検出工程および上記操作主体検出工程の検出結果に基づいて、上記装置の状態を、上記装置が所定の処理を行っていた状態である処理状態と、操作主体が上記装置に対する操作または上記装置を用いた操作を行っていた状態である作業状態と、上記装置が待機中であった状態である待機状態とを少なくとも含む複数の状態に分類する分類処理を行わせ、当該分類処理の結果を含む上記稼動実績情報を生成させる解析工程とを含むことを特徴としている。
【0042】
上記の方法によれば、装置状態検出工程で装置の状態を検出し、操作主体検出工程で装置に対する操作または装置を用いた操作を行うための所定位置に操作主体が存在するか否かを検出し、記憶工程で装置状態検出工程および作業者検出工程の検出結果を記憶手段に記憶させる。そして、解析工程で、記憶手段に記憶されている装置状態検出工程および作業者検出工程の検出結果に基づいて、上記装置の状態を、装置が所定の処理を行っていた状態である処理状態と、操作主体が装置に対する操作または装置を用いた操作を行っていた状態である作業状態と、装置が待機中であった状態である待機状態とを少なくとも含む複数の状態に分類する分類処理を行わせ、当該分類処理の結果を含む稼動実績情報を生成する。これにより、上記装置の状態を、処理状態と、作業状態と、待機状態とを含む複数の状態に分類することができる。したがって、装置の管理を行うのに適した情報を含む稼動実績情報を生成できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のデータ処理装置、データ処理システム、およびデータ処理方法によれば、装置の状態を、処理状態と、作業状態と、待機状態とを含む複数の状態に分類することができる。これにより、装置の管理を行うのに適した情報を含む稼動実績情報を生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の一実施形態について説明する。
【0046】
(1−1.データ処理システム1の構成)
図1は、本実施形態にかかるデータ処理システム1の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、データ処理システム1は、検出処理部10a〜10cとデータ処理装置20とを備えている。
【0047】
検出処理部10a〜10cは、それぞれ製造装置A〜Cの装置状態、および製造装置A〜Cに対する操作を行う所定位置に作業者(操作主体)がいるか否かを検出し、データ処理装置20に伝達する。データ処理装置20は、検出処理部10a〜10cの検出結果に基づいて過去所定期間の各製造装置A〜Cの稼動実績を解析する。なお、製造装置A〜Cは、プログラマブルコントローラ(PLC)を備えており、このプログラマブルコントローラが予め設定された製造処理プログラムに基づいて当該各製造装置A〜Cの動作を制御するようになっている。
【0048】
検出処理部10aは、照度センサ(装置状態検出手段)11a1,11a2と人感センサ(操作主体検出手段)12aとを備えている。
【0049】
照度センサ11a1は、製造装置Aに備えられる青色の信号灯(シグナル灯)が点灯状態であるか消灯状態であるかを検出する。また、照度センサ11a2は、製造装置Aに備えられる黄色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。これら各照度センサ11a1,11a2は、当該照度センサの検出対象の信号灯から出射される光の照度が予め設定された閾値以上であるか否かを検出することにより、当該信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。なお、照度センサ11a1,11a2の構成は特に限定されるものではなく、例えば従来から公知の種々の照度センサを用いることができる。また、本実施形態では照度センサによる照度の検出結果に基づいて信号灯の点灯状態を検出しているが、これに限らず、他の方法で信号灯の点灯状態を検出するようにしてもよい。
【0050】
人感センサ12aは、作業者(操作主体)が製造装置Aに対する各種操作、あるいは製造装置Aにセットされた製造対象物に対する操作を行うための所定位置に人(操作主体)が存在するか否かを検出する。なお、本実施形態では、人感センサ12aとして、測定対象領域から放射される赤外線量の変化に基づいて測定対象領域の温度変化を検出することにより人が存在するか否かを検出する構成のセンサを用いている。ただし、人感センサ12aの構成はこれに限るものではなく、所定位置に人がいるか否かを検出できるものであればよい。また、操作主体は人に限るものではなく、例えば、作業ロボット等の機械であってもよい。
【0051】
検出処理部10bは、照度センサ(装置状態検出部)11b1,11b2と、人感センサ(作業者検出部)12bと、加速度センサ(装置状態検出部)13bとを備えている。
【0052】
照度センサ11b1は、製造装置Bに備えられる青色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。また、照度センサ11b2は、製造装置Bに備えられる黄色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。また、照度センサ11b3は、製造装置Bに備えられる赤色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。照度センサ11b1〜11b3としては、上述した照度センサ11a1,11a2と同様のものを用いることができる。
【0053】
人感センサ12bは、作業者(操作主体)が製造装置Bに対する各種操作、あるいは製造装置Bにセットされた製造対象物に対する操作を行うための所定位置に人(操作主体)が存在するか否かを検出する。人感センサ12bとしては、人感センサ12aと同様のものを用いることができる。なお、操作主体は人に限るものではなく、例えば、作業ロボット等の機械であってもよい。
【0054】
加速度センサ13bは、製造装置Bに備えられるステージ(製造対象物を保持する保持手段)が移動する際の加速度を検出する。すなわち、製造装置Bは、製造対象物を保持して移動するステージ(可動部)を備えており、加速度センサ13bはこのステージの加速度を検出する。加速度センサ13bの構成は特に限定されるものではなく、例えば従来から公知の各種加速度センサを用いることができる。
【0055】
検出処理部10cは、照度センサ(装置状態検出部)11c1,11c2と、人感センサ(作業者検出部)12cと、開閉センサ(装置状態検出部)14cとを備えている。
【0056】
照度センサ11c1は、製造装置Cに備えられる青色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。また、照度センサ11c2は、製造装置Cに備えられる黄色の信号灯が点灯状態か消灯状態であるかを検出する。照度センサ11c1,11c2としては、上述した照度センサ11a1,11a2と同様のものを用いることができる。
【0057】
人感センサ12cは、作業者(操作主体)が製造装置Cに対する各種操作、あるいは製造装置Cにセットされた製造対象物に対する操作を行うための所定位置に人(操作主体)が存在するか否かを検出する。人感センサ12bとしては、人感センサ12aと同様のものを用いることができる。なお、操作主体は人に限るものではなく、例えば、作業ロボット等の機械であってもよい。
【0058】
開閉センサ(ON/OFFセンサ)14cは、製造装置Cに備えられる開閉扉(カバー)が開状態であるか閉状態であるかを検出する。開閉状態の検出方法は特に限定されるものではなく、例えば従来から公知の種々の開閉センサを用いることができる。
【0059】
データ処理装置20は、計測データ保存処理部21、計測データ記憶DB22、稼動情報解析部23、稼動情報記憶DB24、および稼動情報出力部25を備えている。
【0060】
計測データ保存処理部21は、各検出処理部10a〜10cから各センサの検出結果(各製造装置の状態を検出した結果を示す装置状態情報、および上記製造装置に対する所定位置に操作主体が存在するか否かを検出した結果を示す操作主体情報)を取得し、取得した検出結果を、その検出処理を行った時刻を示す時刻情報と対応付けて計測データ記憶DB22に記憶させる。なお、各検出処理部10a〜10cとデータ処理装置20とは伝送媒体を介してデータの送受信を行えるように接続されている。上記の伝送媒体は特に限定されるものではなく、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線であってもよく、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線であってもよい。
【0061】
計測データ記憶DB(検出結果記憶部)22は、検出処理部10a〜10cに備えられる各センサの検出結果を時刻情報と対応付けて記憶する。なお、計測データ記憶DB22の構成は特に限定されるものではなく、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などの記録媒体を用いることができる。
【0062】
図2は、計測データ記憶DB22に記憶される検出結果の一例を示す説明図であり、製造装置Cについての検出結果の例を示している。
図2に示す例では、計測時刻(時刻情報)と、検出処理部を識別するための検出処理部IDと、センサを識別するためのセンサIDと、検出値とが対応付けて記憶されている。
【0063】
図2において、検出処理部ID「23」は検出処理部10cに対応している。また、センサID「778」は照度センサ11c2、「781」は照度センサ11c1、「1030」は人感センサ12c、「11788」は開閉センサ14cにそれぞれ対応している。なお、後述する稼動情報解析部23において、照度センサ11c2の検出値が6200以下であれば黄色の信号灯は消灯状態であると判断され、6200よりも大きければ黄色の信号灯は点灯状態であると判断されるようになっている。また、照度センサ11c1の検出値が5700以下であれば青色の信号灯は消灯状態であると判断され、5700よりも大きければ青色の信号灯は点灯状態であると判断されるようになっている。また、人感センサ12cの検出値は、所定位置に人がいる場合に1、所定位置に人がいない場合に0が出力されるようになっている。また、開閉センサ14cの検出値が0.5以下の場合に開閉扉が閉じていると判断され、0.5より大きい場合に開閉扉が開いていると判断されるようになっている。
【0064】
稼動情報解析部(解析部)23は、計測データ記憶DB22に記憶されている各検出処理部10a〜10cの各センサの検出結果に基づいて、過去所定期間における各製造装置の稼動状態(稼動実績)を示す稼動実績情報を生成し、稼動情報記憶DB24に記憶させる。稼動実績情報の生成方法については後述する。
【0065】
稼動情報記憶DB(稼動情報記憶部)24は、稼動情報解析部23によって生成された各製造装置の稼動実績情報を記憶する。稼動情報記憶DB24の構成は特に限定されるものではなく、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などの記録媒体を用いることができる。
【0066】
図3は、稼動情報記憶DB24に記憶される稼動実績情報の一例を示す説明図である。この図に示す例では、時刻(時刻情報)と、製造装置を識別するための装置IDと、各時刻における対応する製造装置の稼動状況の分類結果とが対応付けられて記憶されている。なお、数値1は加工中(製造処理期間中)であったことを示し、数値2は作業中(作業期間中)であったことを示し、数値3は待機中(待機期間中)であったことを示している。
【0067】
稼動情報出力部25は、稼動情報記憶DB24に記憶されている稼動実績情報を読み出し、例えば、表示装置、印刷装置、分析装置などの他の装置に出力する。
【0068】
図4は、稼動情報出力部25から出力される製造装置Aについての稼動実績情報を表示装置に表示させた場合の表示画面の一例を示す説明図である。なお、この
図4に示す例では、稼動情報解析部23が、過去1月間(2011年7月)における製造装置Aの稼動状態を加工中(製造処理期間、処理状態)、作業中(作業期間、作業状態)、および待機中(待機期間、待機状態)の3種類の期間に分類するとともに、各期間(各状態)における製造装置Aの電力使用量を表示させるようになっている。すなわち、検出処理部10aは、製造装置Aの電力使用量(消費電力量)を検出する電力検出部(図示せず)を備えており、電力使用量の検出結果をデータ処理装置20に送信し、データ処理装置20は稼動状態の分類結果に応じて各期間における電力使用量の合計値を算出するようになっている。電力使用量の検出方法は特に限定されるものではないが、例えば電源ケーブルから漏れる電磁波を計測することにより検出することができる。
【0069】
図4に示した表示画面に表示される4つのグラフのうち、最上段のグラフは、過去1月間(2011年7月)の各日における製造装置Aが加工中(製造処理期間、処理状態)であった時間である稼働時間、1日(24時間)に占める稼働時間の割合である稼働率、および加工中(製造処理期間、処理状態)の電力使用量の合計値を示している。
【0070】
また、2段目のグラフは、過去1月間(2011年7月)の各日における製造装置Aが作業中(作業期間、作業状態)であった時間である作業時間、および作業中(作業期間、作業状態)の電力使用量の合計値を示している。
【0071】
また、3段目のグラフは、過去1月間(2011年7月)の各日における製造装置Aが待機中(待機期間)であった時間である待機時間、および待機中(待機期間)の電力使用量の合計値を示している。
【0072】
また、最下段のグラフは、過去1月間(2011年7月)のうちのユーザが選択した日(2011年7月13日)における各時刻の稼動状況の分類結果を示している。
【0073】
なお、本実施形態では、製造装置A〜Cの稼動実績を解析する場合の例について説明するが、解析対象とする製造装置の数や種類は特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0074】
また、上記した各センサは、連続的に検出処理を行うものであってもよく、所定の周期毎(例えば30秒毎)に検出処理を行うものであってもよい。また、各センサが検出処理を行う周期は同一であってもよく、センサ毎に異なっていてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、各検出処理部10a〜10cの検出結果をリアルタイムでデータ処理装置20に伝送し、データ処理装置20がそれら各検出結果を計測データ記憶DB22に記憶させているが、これに限るものではない。例えば、各検出処理部10a〜10cが検出結果を自装置で一旦記憶し、所定のタイミング(例えば、所定の送信周期毎、あるいはデータ処理装置20から送信要求があったときなど)でデータ処理装置20に送信するようにしてもよい。
図5はその場合のデータ処理システム1の構成例を示す模式図である。
【0076】
図5に示すデータ処理システム1は、
図1に示した構成に加えて、検出処理部10a〜10cが計測データ処理部15a〜15c、計測データ記憶部(検出結果記憶部)16a〜16c、および送信処理部17a〜17cを備えており、データ処理装置20が受信処理部26を備えている。
【0077】
計測データ処理部15a〜15cは、当該計測データ処理部が備えられる検出処理部のセンサの検出結果を時刻情報と対応付けて計測データ記憶部16a〜16cに記憶させる。送信処理部17a〜17cは、所定のタイミングで計測データ記憶部16a〜16cに記憶している検出結果を読み出してデータ処理装置20に送信する。受信処理部26は、各検出処理部10a〜10cから受信した検出結果を計測データ保存処理部21に伝達する。これにより、データ処理装置20では
図1の構成と同様の処理が行われる。
【0078】
また、データ処理装置20の各部は、必ずしも単一の筐体に備えられるものでなくてもよい。例えば、データ処理装置20の一部と残りの部分とを別々の筐体に設け、それら各筐体を通信可能に接続してもよい。
図6は、その場合の構成例を示す模式図である。
【0079】
図6に示す例では、
図1に示したデータ処理装置20の各部のうち、計測データ保存処理部21、計測データ記憶部22、および稼動情報解析部23が解析用PC27に設けられており、稼動情報記憶部24および稼動情報出力部25がデータ保存用PC28に備えられている。そして、解析用PC27とデータ保存用PC28とは、各製造装置A〜Cが備えられる製造現場(製造工場)におけるローカルネットワークを介して通信可能に接続されている。これにより、解析用PC27、データ保存用PC28、およびローカルネットワークによってデータ処理装置20が構成されている。
【0080】
(1−2.稼動実績情報の生成処理)
次に、データ処理装置20の稼動情報解析部23における各製造装置の稼動実績情報の生成処理について説明する。
【0081】
(1−2−1.製造装置Aの稼動実績情報の生成処理)
図7は、稼動情報解析部23における製造装置Aの稼動実績情報を生成する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
なお、製造装置Aでは、当該製造装置Aが予め設定された製造処理プログラムに基づくコンピュータ制御(プログラマブルコントローラの制御)により加工処理(製造処理)を実行している期間中および製造処理プログラム確認作業時に青色の信号灯が点灯し、その他の場合には青色の信号灯は消灯するようになっている。また、製造装置Aでは、加工以外の動作(例えば、製造処理プログラムに基づく加工位置移動や加工条件の自動切換えなど)を行っている期間である製造処理中、作業者が当該製造装置Aに対する操作(例えば、製造対象物の取り付けまたは取り外し、製造装置Aに対する各種設定操作など)を行っている期間である操作期間中、および製造装置Aが待機中である待機期間中に黄色の信号灯が点灯し、その他の場合に消灯するようになっている。
【0083】
まず、稼動情報解析部23は、所定期間の稼動実績情報を生成する際、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11a1の検出結果に基づいて、この所定期間のうちの稼動状態を判定する対象とする判定対象時刻に青色の信号灯が点灯中であったか否かを判断する(S1)。
【0084】
S1において青色の信号灯が点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11a1の検出結果に基づいて、当該判定対象時刻を含む青色の信号灯が連続して点灯中であった期間が所定時間(本実施形態では5分)以上であったか否かを判断する(S2)。すなわち、当該判定対象時刻の前後を含めて青色の信号灯が連続して所定時間以上点灯していたか否かを判断する。
【0085】
S2において青色の信号灯が連続して所定時間以上点灯していたと判断した場合、稼動情報解析部23は、その青色の信号灯が連続して点灯していた期間に含まれる各時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S3)。
【0086】
一方、S1において青色の信号灯が点灯中ではなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11a2の検出結果に基づいて、当該判定処理時刻に黄色の信号灯が点灯中であったか否かを判断する(S4)。
【0087】
S4において黄色の信号灯が点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11a2の検出結果に基づいて、当該判定対象時刻を含む黄色の信号灯が連続して点灯中であった期間が所定時間(本実施形態では5分)以上であったか否かを判断する(S5)。すなわち、当該判定対象時刻の前後を含めて黄色の信号灯が連続して所定時間以上点灯していたか否かを判断する。
【0088】
S5において黄色の信号灯が連続して点灯していた期間が所定時間以下であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、その黄色の信号灯が連続して点灯していた期間に含まれる各時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S3)。
【0089】
一方、S2において青の信号灯が連続して5分以上点灯していなかったと判断した場合、S4において判定対象時刻に黄色の信号灯が点灯していなかったと判断した場合、およびS5において黄色の信号灯が点灯中であった期間が所定時間を越える期間であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている人感センサ12aの検出結果に基づいて、当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいたか否かを判断する(S6)。なお、本実施形態では、当該判定対象時刻における人感センサ12aの検出結果の値が所定位置に人がいなかったことを示す値であり、かつ当該値が所定期間(本実施形態では5分)以上継続していた場合に当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいなかったと判断し、その他の場合に所定位置に作業者がいたと判断する。
【0090】
S6において作業者がいたと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「作業中(作業期間中、作業状態)」に分類する(S7)。また、S6において作業者がいなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「待機中(待機期間中、待機状態)」に分類する(S8)。
【0091】
その後、稼動情報解析部23は、上記所定期間に含まれる全時刻について分類処理が完了したかを判断する(S9)。そして、分類処理を行っていない時刻が残っている場合にはS1の処理に戻って次の判定対象時刻について分類処理を行い、残っていない場合には処理を終了する。
【0092】
(1−2−2.製造装置Bの稼動実績情報の生成処理)
図8は、稼動情報解析部23における製造装置Bの稼動実績情報を生成する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
なお、製造装置Bでは、当該製造装置Bが予め設定された製造処理プログラムに基づくコンピュータ制御(プログラマブルコントローラの制御)により加工処理(製造処理)を実行している期間中に青色の信号灯が点灯し、その他の場合には青色の信号灯は消灯するようになっている。また、製造装置Bでは、作業者が当該製造装置Bに対する操作(例えば、製造装置Bを用いた手動による加工処理(製造処理)、製造装置Bに対する各種設定操作など)を行っている期間である操作期間中、および製造装置Bが待機中である待機期間中に黄色の信号灯が点灯し、その他の場合に消灯するようになっている。また、製造装置Bでは、当該製造装置Bに異常が発生している期間中に赤色の信号灯が点灯し、異常が発生していない期間中には赤色の信号灯は消灯するようになっている。
【0094】
まず、稼動情報解析部23は、所定期間の稼動実績情報を生成する際、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11b1の検出結果に基づいて、この所定期間のうちの稼動状態を判定する対象時刻である判定対象時刻に青色の信号灯が点灯中であったか否かを判断する(S11)。なお、
図7の例と同様、青色の信号灯が所定時間(例えば5分)以上連続して点灯していた場合とその他の場合に分類し、その分類結果に応じた稼動実績情報を生成するようにしてもよい。
【0095】
S11において青色の信号灯が点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S12)。
【0096】
一方、S11において青色の信号灯が点灯中ではなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11b2の検出結果に基づいて、当該判定処理時刻に黄色の信号灯が点灯中であったか否かを判断する(S13)。なお、
図7の例と同様、黄色の信号灯が所定時間(例えば5分)以上連続して点灯していた場合とその他の場合に分類し、その分類結果に応じた稼動実績情報を生成するようにしてもよい。
【0097】
S13において黄色の信号灯が点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている加速度センサ13bの検出結果に基づいて、当該判定対象時刻にステージ(可動部)が移動中であったか否かを判断する(S14)。なお、本実施形態では、ステージの加速度の検出値の絶対値が50mG未満であり、かつ50mG未満である状態が所定時間(本実施形態では30秒)以上継続していた場合にステージが停止中であったと判断し、その他の場合にステージが移動中であったと判断する。
【0098】
S14において判定対象時刻にステージが移動中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S12)。
【0099】
一方、S13において判定対象時刻に黄色の信号灯が点灯していなかったと判断した場合、およびS14において判定対象時刻にステージが移動中ではなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている人感センサ12bの検出結果に基づいて、当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいたか否かを判断する(S15)。なお、本実施形態では、当該判定対象時刻における人感センサ12bの検出結果の値が所定位置に人がいなかったことを示す値であり、かつ当該値が所定期間(本実施形態では5分)以上継続していた場合に当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいなかったと判断し、その他の場合に所定位置に作業者がいたと判断する。
【0100】
S15において作業者がいたと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「作業中(作業期間中、作業状態)」に分類する(S16)。また、S15において作業者がいなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「待機中(待機期間中、待機状態)」に分類する(S17)。
【0101】
その後、稼動情報解析部23は、上記所定期間に含まれる全時刻について分類処理が完了したかを判断する(S18)。そして、分類処理を行っていない時刻が残っている場合にはS11の処理に戻って次の判定対象時刻について分類処理を行い、残っていない場合には処理を終了する。
【0102】
なお、
図8に示した処理に加えて、赤色の信号灯の点灯状態の検出結果を考慮した分類処理を行うようにしてもよい。
図9はその場合の分類処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、
図8の処理と同じ処理については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
図9に示す例では、稼動情報解析部23は、まず、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11b3の検出結果に基づいて、判定対象時刻に赤色の信号灯が点灯していたか否かを判断する(S10a)。なお、当該判定対象時刻を含む所定期間(例えば5分)の間、赤色の信号灯が点灯中であることを示す値が連続して検出された場合に赤色の信号灯が点灯していたと判断し、その他の場合には点灯していなかったと判断するようにしてもよい。
【0104】
そして、S10aにおいて判定対象時刻に赤色の信号灯が点灯していたと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「異常発生中(異常発生期間、異常発生状態)」に分類し(S10b)、S18の処理に進む。また、S10aにおいて判定対象時刻に赤色の信号灯が点灯していなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、S11の処理に進む。S11以降の処理は
図8と同様である。
【0105】
(1−2−3.製造装置Cの稼動実績情報の生成処理)
図10は、稼動情報解析部23における製造装置Cの稼動実績情報を生成する際の処理の流れを示すフローチャートである。また、
図11は、計測データ記憶DB22に記憶されている、検出処理部10cに備えられる照度センサ(青色用照度センサ)11c1、照度センサ(黄色用照度センサ)11c2、人感センサ12c、および開閉センサ14cの検知結果の一例を示す説明図である。
【0106】
なお、製造装置Cでは、当該製造装置Cが予め設定された製造処理プログラムに基づくコンピュータ制御(プログラマブルコントローラの制御)により加工処理(製造処理)を実行している期間中に青色の信号灯が点灯し、その他の場合には青色の信号灯は消灯するようになっている。また、製造装置Cでは、作業者が当該製造装置Cに対する操作(例えば、製造対象物の取り付けおよび取り外し、製造装置Cに対する各種設定操作など)を行っている期間である操作期間中、および製造装置Cが待機中である待機期間中に黄色の信号灯が点灯し、その他の場合に消灯するようになっている。また、製造装置Cは、製造処理プログラムの確認作業を行っている期間中には青色の信号灯と黄色の信号灯の両方が点灯するようになっている。
【0107】
まず、稼動情報解析部23は、所定期間の稼動実績情報を生成する際、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11c1,11c2の検出結果に基づいて、この所定期間のうちの稼動状態を判定する対象時刻である判定対象時刻に各色の信号灯のうち青色の信号灯のみが点灯中であったか否かを判断する(S21)。
図11は、計測データ記憶DB22に記憶されている各センサの検出値の一例を示す説明図である。この図の最上段のグラフに示したように、稼動情報解析部23は、照度センサ11c1の検出値が閾値よりも大きい場合に青色の信号灯が点灯中であると判断し、閾値以下の場合に青色の信号灯が消灯中であると判断する。また、2段目のグラフに示したように、稼動情報解析部23は、照度センサ11c2の検出値が閾値よりも大きい場合に黄色の信号灯が点灯中であると判断し、閾値以下の場合に黄色の信号灯が消灯中であると判断する。なお、青色の信号灯についての閾値と黄色の信号灯についての閾値とは同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
S21において青色の信号灯のみが点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S22)。
【0109】
一方、S21において青色の信号灯のみが点灯中ではなかったと判断した場合(他の色の信号灯も点灯中であった場合、あるいは青色の信号灯が点灯していなかった場合)、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている照度センサ11c1,11c2の検出結果に基づいて、当該判定処理時刻に青色の信号灯と黄色の信号灯とが点灯中であったか否かを判断する(S23)。
【0110】
S23において青色の信号灯と黄色の信号灯とが点灯中であったと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている開閉センサ14cの検出結果に基づいて、当該判定対象時刻に製造装置Cの開閉扉(カバー)が開かれていたか否かを判断する(S24)。具体的には、本実施形態では、開閉センサ14cは開閉扉の開閉状態に応じた電圧値を検出するようになっており、稼動情報解析部23は、
図11の最下段のグラフに示したように、開閉センサ14cの検出値が予め設定される閾値(本実施形態では0.1V)未満の場合に開閉扉が開いていたと判断し、閾値以上の場合に開閉扉が綴じていたと判断する。
【0111】
S24において判定対象時刻に開閉扉が閉じていたと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「製造処理中(製造処理期間、処理状態)」に分類する(S22)。
【0112】
一方、S23において判定対象時刻に青色の信号灯および黄色の信号灯の両方が点灯していなかったと判断した場合(青色の信号灯が点灯しており、かつ黄色の信号灯が点灯している状態ではなかったと判断した場合)、およびS24において判定対象時刻に開閉扉が開いていたと判断した場合、稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている人感センサ12bの検出結果に基づいて、当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいたか否かを判断する(S25)。具体的には、稼動情報解析部23は、
図11の3段目のグラフに示したように、人感センサ12cの検出値が1である場合に所定位置に人がいたと判断し、0である場合に人がいなかったと判断する。そして、判定対象時刻における人感センサ12bの検出結果の値が所定位置に人がいなかったことを示す値0であり、かつ当該値0が所定期間(本実施形態では5分)以上継続していた場合に当該判定対象時刻に作業者が所定位置にいなかったと判断し、その他の場合に所定位置に作業者がいたと判断する。
【0113】
S25において作業者がいたと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「作業中(作業期間中、作業状態)」に分類する(S26)。また、S25において作業者がいなかったと判断した場合、稼動情報解析部23は、当該判定対象時刻を「待機中(待機期間中、待機状態)」に分類する(S27)。
【0114】
その後、稼動情報解析部23は、上記所定期間に含まれる全時刻について分類処理が完了したかを判断する(S28)。そして、分類処理を行っていない時刻が残っている場合にはS11の処理に戻って次の判定対象時刻について分類処理を行い、残っていない場合には処理を終了する。
【0115】
(1−3.まとめ)
以上のように、本実施形態にかかるデータ処理システム1は、稼動情報解析部23が、検出処理部10a〜10cによる製造装置A〜Cの装置状態(各信号灯の点灯状態、可動部の動作状態、開閉扉の開閉状態など)の検出結果と、人感センサ12a〜12cによる製造装置A〜Cに対する操作または製造装置を用いた操作を行うための所定位置に作業者がいるか否かの検出結果とに基づいて、稼動実績情報を生成する対象とする所定期間に含まれる各期間における製造装置A〜Cの状態を、製造処理を行っていた状態である製造処理状態と、作業者(操作主体)が製造装置に対する操作または製造装置を用いた操作を行っていた状態である作業状態と、製造装置が待機中であった状態である待機状態とを含む複数の状態に分類する分類処理を行い、当該分類処理の結果を含む稼動実績情報を生成する。
【0116】
これにより、製造装置に備えられる信号灯の点灯状態のみに基づいて稼動実績情報を生成する場合に比べて、実際の製造装置の稼動状況に応じた適切な稼動実績情報を生成することができる。すなわち、製造装置の稼動実績をより詳細かつ正確に示す稼動実績情報を生成することができる。
【0117】
具体的には、例えば、製造装置が製造処理中であることを示す青色の信号灯が点灯している状態を、青色の信号灯が継続的に点灯していた期間に応じて、実際に製造処理を行っていた期間(製造処理期間、処理状態)と、段取り等の作業をしていた期間(作業期間、作業状態)とに区別できる。また、各色の信号灯の点灯状態と作業者の有無とに応じて、製造装置が製造処理を行っていなかった期間を、段取り等の作業を行っていた期間(作業期間、作業状態)と、作業は行わずに待機していた期間(待機期間、待機状態)とに区別できる。また、各色の信号灯の点灯状態と作業者の有無とに応じて、製造装置が停止してから作業者が所定位置に来るまでの期間(待機期間、待機状態)と、作業者が実際に作業を行っていた期間(作業期間、作業状態)とに区別することができる。
【0118】
また、本実施形態にかかるデータ処理システム1によって生成された詳細かつ正確な稼動実績情報を用いることにより、例えば、加工(製造処理)を行うために必要な加工時間(製造処理期間)と、作業者による段取り時間(作業期間)とを考慮した効率的な装置稼動計画の策定や段取り時間のムダや待機時間のムダを低減するための稼働率向上策の立案が可能となる。
【0119】
また、本実施形態にかかるデータ処理システム1は、製造装置の装置状態を検出する検出手段(照度センサ、加速度センサ、開閉センサ等)と、作業者の有無を検出する検出手段(人感センサ等)とを有する検出処理部と、各検出手段の検出結果を解析するデータ処理装置とを設けるだけでよい。このため、例えば既存の製造設備の稼動実績情報を生成する場合であっても、その既存の製造設備の構成を変更する必要がないので、稼動実績情報を容易に生成できる。
【0120】
なお、本実施形態では、検出処理部10a〜10cが、対応する製造装置A〜Cに備えられる信号灯の点灯状態を検出する構成としたが、これに限るものではなく、信号灯の点灯状態以外に基づいて製造装置の装置状態を検出する構成としてもよい。例えば、製造装置の備えられる可動部の動作状態、製造装置の電力消費量(製造装置に対する供給電力量)、製造装置の所定部分の温度状態、製造装置の所定部分の圧力状態、あるいはそれらの組み合わせに基づいて製造装置の動作状態を検出する構成としてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、製造装置の可動部の動作状態として加速度を検出する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、加速度に代えて、あるいは加速度に加えて、動作速度、または変位量を検出し、その検出結果が所定値未満である状態が所定時間継続した期間を当該製造装置が停止していた期間(例えば電源をオフにして製造装置を立ち下げていた期間など)である停止期間に分類するようにしてもよい。
【0122】
また、製造装置が製造対象物(ワーク)を保持する保持手段を備えている場合、上記保持手段による保持状態を検出し、その検出結果に応じて製造装置の状態を判断するようにしてもよい。上記保持状態としては、例えば、保持手段がマグネットチャックである場合には磁力を検出することにより保持手段による製造対象物の把持力を検出してもよく、機械式チャックである場合には歪みセンサや変位センサにより保持手段による製造対象物の把持力を検出してもよい。保持手段の保持状態を検出することにより製造対象物の有無を検知し、ワークの有無に応じて待機期間を段取り待ち期間(上記保持手段が製造対象物を保持している状態または上記保持手段に対する製造対象物の取付作業または取外作業を行っている状態で上記製造装置が待機中であった期間である製造準備期間)と前工程待ち期間(上記保持手段が製造対象物を保持しておらず、上記保持手段に対する製造対象物の取付作業も取外作業も行っていない状態で上記製造装置が待機中であった期間)とに分類することができる。
【0123】
また、本実施形態において、データ処理装置20の計測データ保存処理部21が、各検出処理部から受信した計測結果を計測データ記憶DB22に記憶させるとともに稼動情報出力部25にも出力し、稼動情報出力部25がその計測結果に応じた画像を生成して表示装置に出力し、表示させるようにしてもよい。これにより、各製造装置の現在の状態をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0124】
また、データ処理装置20の計測データ保存処理部21が、各検出処理部から受信した計測結果を計測データ記憶DB22に記憶させるとともに稼動情報解析部23にも出力し、稼動情報解析部23が現在の各製造装置の状態を判断して判断結果を稼動情報出力部25に出力し、稼動情報出力部25が各製造装置の現在の状態を示す画像を生成して表示装置に出力し、表示させるようにしてもよい。稼動情報解析部23は、計測データ記憶DB22に記憶されている過去の各検出処理部の検出結果と、各検出処理部による現在の検出結果とに基づいて各製造装置の現在の状態を判断する。判断方法としては、上述した過去所定期間における各製造装置の稼動実績情報の生成方法と略同様の方法を用いることができる。
図12は、各製造装置の現在の状態を示す画像を表示させた表示画面の一例を示す説明図である。この図に示す例では、稼動情報解析部23が各製造装置に備えられる各センサの検出結果に基づいて当該各製造装置の現在の状態を加工中、作業中、待機中のいずれかに分類した結果と、各製造装置の電力使用量とが表示されている。
【0125】
また、本実施形態において、データ処理装置20に備えられる各部(各ブロック)、特に、計測データ保存処理部21、稼動情報解析部23、稼動情報出力部25、および受信処理部26のうちの一部または全部を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、データ処理装置20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデータ処理装置20の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、データ処理装置20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0126】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0127】
また、データ処理装置20を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークの構成は特に限定されるものではなく、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体についても特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0128】
また、データ処理装置20の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよい。また、データ処理装置20の各ブロックは、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0129】
また、本実施形態では、製造装置の稼動実績情報を生成する場合について説明したが、稼動実績情報を生成する対象は製造装置に限るものではなく、各種装置に適用できる。
【0130】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。