特許第5692090号(P5692090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5692090低分子量ポジ型感放射線性組成物及びレジストパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692090
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】低分子量ポジ型感放射線性組成物及びレジストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20150312BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20150312BHJP
   C07C 39/17 20060101ALN20150312BHJP
   C07C 39/15 20060101ALN20150312BHJP
   C07C 43/303 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   G03F7/039 601
   G03F7/004 501
   G03F7/004 531
   !C07C39/17
   !C07C39/15
   !C07C43/303
【請求項の数】2
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2011-545054(P2011-545054)
(86)(22)【出願日】2010年11月9日
(86)【国際出願番号】JP2010006573
(87)【国際公開番号】WO2011070718
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2009-277472(P2009-277472)
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】越後 雅敏
【審査官】 石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−028270(JP,A)
【文献】 特開2009−173623(JP,A)
【文献】 特開2005−346024(JP,A)
【文献】 特開2009−244804(JP,A)
【文献】 特開2009−221195(JP,A)
【文献】 特開2009−221194(JP,A)
【文献】 特開2008−133266(JP,A)
【文献】 特開2008−033102(JP,A)
【文献】 特開2006−323011(JP,A)
【文献】 特開2006−241146(JP,A)
【文献】 特開2006−169137(JP,A)
【文献】 特開2006−169136(JP,A)
【文献】 特開2010−159253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記a)〜e)のすべての条件を満たす化合物(A)、下記f)〜i)のすべての条件を満たす化合物(B)、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的または間接的に酸を発生する酸発生剤(C)、酸拡散制御剤(E)、ならびに溶媒を含むポジ型感放射線性組成物であって、該組成物が固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%からなり、該化合物(A)の重量と該化合物(B)の重量との和が固形成分全重量の50〜99重量%であり、該化合物(A)が、該化合物(B)の全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入した化合物(Aa)であって下記式(5A−1)で示される環状化合物であり、該化合物(B)が、全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基が導入されていない化合物(Bb)であって下記式(5B−1)で示される環状化合物であり、かつ該化合物(Aa)と該化合物(Bb)との割合(化合物(Aa):化合物(Bb))が、10〜90:10〜90(重量%)であるポジ型感放射線性組成物。
a)分子量:400〜3000
b)アルカリ現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38wt%)に不溶
c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となる
d)分子内に少なくとも1つの酸解離性官能基の導入されたフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
e)1.00≦Mw/Mn≦1.05 (Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
f)分子量:350〜2500
g)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶
h)分子内に少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
i)1.00≦Mw/Mn≦1.05
【化1】
(5A−1)
(式(5A−1)において、Rは炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基である。)
【化2】
(5B−1)
【請求項2】
請求項1に記載の感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜を露光する工程、および該レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の低分子量化合物を含む有用なポジ型感放射線性組成物およびそれを用いたレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの一般的なレジスト材料は、高分子量ポジ型レジストであった。しかしながら高分子系ポジ型レジスト材料(ポリマー)は分子量が1万〜10万程度と大きく、分子量分布も広いため、高分子系レジストを用いるリソグラフィでは、微細パターン表面にラフネスが生じ、パターン寸法を制御することが困難となり、歩留まりが低下する。従って、従来の高分子系レジスト材料を用いるリソグラフィでは微細化に限界がある。より微細なパターンを作製するために、種々の低分子量ポジ型レジスト材料が提案されている。
従来の低分子量ポジ型レジスト材料(化合物)は、一般的に低分子量ポリフェノールに対し酸解離性官能基導入試剤を反応させて得られた。しかしながらその場合、得られるレジスト材料は保護基の導入数の異なる化合物からなる混合物となり、その生成比の制御が困難であり、品質の安定したポジ型レジストを得ることが困難であり実用的で無かった(特許文献1参照)。また低分子量ポリフェノールの全てのフェノール性水酸基に保護基を導入すれば純物質が得られるが、その場合はそれを用いたポジ型レジストの感度が低下してしまい実用的で無かった(特許文献1参照)。さらには低分子量ポリフェノールにカルボキシル基を導入し、そのカルボキシル基にのみ選択的に保護基を導入して純物質を得る報告もある(特許文献2参照)。しかしながら、その場合はカルボキシル基の導入された低分子量ポリフェノールの製造が煩雑であり、それにより得られる低分子量ポジ型レジスト材料の純度が低いといった問題があり、それらの改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−173623号公報
【特許文献2】特開2009−173625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決するポジ型感放射線性組成物およびそれを用いたレジストパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の低分子量化合物を含む有用なポジ型感放射線性組成物が上記課題の解決に有効であり、かつ、良好なレジストパターン形状を与えることを見出し本発明に到った。
【0006】
すなわち、本発明はつぎの通りである。
1. 下記a)〜e)のすべての条件を満たす化合物(A)、下記f)〜i)のすべての条件を満たす化合物(B)、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的または間接的に酸を発生する酸発生剤(C)、酸拡散制御剤(E)、ならびに溶媒を含むポジ型感放射線性組成物であって、該組成物が固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%からなり、該化合物(A)の重量と該化合物(B)の重量との和が固形成分全重量の50〜99重量%であるポジ型感放射線性組成物。
a)分子量:400〜3000
b)アルカリ現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38wt%)に不溶
c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となる
d)分子内に少なくとも1つの酸解離性官能基の導入されたフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
e)1.00≦Mw/Mn≦1.05 (Mw:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
f)分子量:350〜2500
g)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶
h)分子内に少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
i)1.00≦Mw/Mn≦1.05
2. 前記化合物(A)が、前記化合物(B)の全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入した化合物(Aa)である第1項記載のポジ型感放射線性組成物。
3. 前記化合物(B)が、全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基が導入されていない化合物(Bb)である第1項記載のポジ型感放射線性組成物。
4. 前記化合物(A)が、前記化合物(Aa)であって、下記式(1A)で示される環状化合物(A1)であり、かつ前記化合物(B)が、前記化合物(Bb)であって、下記式(1B)で示される環状化合物(B1)である第1項記載のポジ型感放射線性組成物。
【化1】
(式(1A)中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の基であり、Rは、独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルキルシリル基からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は、独立して、炭素数2〜20のアルキル基、または下記式
【化2】
で表わされる基であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルキルシリル基からなる群から選択される官能基、または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、RまたはRの少なくとも1つは酸解離性官能基であり、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【化3】
(式(1B)中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R5A)−C(=O)−、−N(R5A)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の基であり、R1Aは、独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、および炭素数1〜20のアルキルシリル基からなる群から選択される官能基、または水素原子であり、R”は、独立して、炭素数2〜20のアルキル基、または下記式
【化4】
で表わされる基であり、R4Aは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基および炭素数1〜20のアルキルシリル基からなる群から選択される官能基、または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、R1AまたはR4Aの少なくとも1つはフェノール性水酸基またはカルボキシル基であり、R5Aは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
5. 第1項〜第4項のいずれかに記載の感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜を露光する工程、および該レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、上記課題を解決するポジ型感放射線性組成物、および該組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することができる。本発明はポジ型感放射線性組成物に有用なレジスト化合物の製造を容易にし、レジスト化合物の純度を高めることができるため、品質管理が容易になる。また、該レジスト化合物を含むポジ型感放射線性組成物は良好なレジストパターンを与える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポジ型感放射線性組成物]
本発明は、
下記a)〜e)のすべての条件を満たす化合物(A)、
下記f)〜i)のすべての条件を満たす化合物(B)、
可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的または間接的に酸を発生する酸発生剤(C)、酸拡散制御剤(E)、ならびに溶媒を含むポジ型感放射線性組成物であって、
該組成物が固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%からなり、
前記化合物(A)の重量と化合物(B)の重量との和が固形成分全重量の50〜99重量%であるポジ型感放射線性組成物に関する。
a)分子量:400〜5000
b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶
c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となる
d)分子内に少なくとも1つの酸解離性官能基の導入されたフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
e)1.00≦Mw/Mn≦1.05
f)分子量:350〜4000
g)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶
h)分子内に少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する
i)1.00≦Mw/Mn≦1.05
【0009】
ここでアルカリ現像液に可溶とは、該化合物を後述する溶媒に溶解した溶液を用いてスピンコートにより作製したアモルファス膜の溶解速度が10Å/sec以上であることを示す。またアルカリ現像液に不溶とは、該化合物を後述する溶媒に溶解した溶液を用いて、スピンコートにより作製したアモルファス膜の溶解速度が5Å/sec以下であることを示す。
【0010】
Mw/Mnとは多分散度を表わし、Mnが数平均分子量、Mwが重量平均分子量であり、GPC分析等により求めることができる。Mw/Mnは、1.00≦Mw/Mn≦1.05であり、1.00≦Mw/Mn≦1.03が好ましく、1.00≦Mw/Mn≦1.01がより好ましく、Mw/Mn=1.00が単一成分からなり、得られるレジストパターンのラフネスが低減することから特に好ましい。
【0011】
酸解離性官能基とは、フェノール性水酸基および/またはカルボキシル基に導入されうる、酸の作用により解離し、元のフェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を生じる基であり、KrFやArF用の化学増幅型感放射線性組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、およびアルコキシカルボニル基などが好ましく挙げられる。前記酸解離性官能基は、架橋性官能基を有さないことが好ましい。
【0012】
化合物(A)は、化合物(B)の全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入した化合物(Aa)を用いることが、製造上および品質管理の容易さから好ましい。化合物(B)の全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入することは、一部のフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入することよりも容易に、品質管理に有利な高純度の化合物を得ることができる。
【0013】
化合物(B)は、全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基が導入されていない化合物(Bb)を用いることが、製造上および品質管理の容易さから好ましい。アルカリ現像液に可溶である酸解離性官能基の導入された化合物(B)は、一部のフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基を導入することより得ることができるが、その反応の制御および品質管理は、全てのフェノール性水酸基およびカルボキシル基に、酸解離性官能基が導入されていない化合物(Bb)よりも困難である。
【0014】
上記化合物(Aa)と化合物(Bb)とを組み合わせて用いることが、製造上および品質管理の容易さからより好ましい。その割合は、固形成分の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度により適宜決定されるが、通常、化合物(Aa):化合物(Bb)=10〜90:10〜90(重量%)であり、より好ましくは化合物(Aa):化合物(Bb)=12.5〜50:50〜87.5(重量%)、さらに好ましくは化合物(Aa):化合物(Bb)=15〜30:70〜85(重量%)である。上記配合割合であると、高感度で、高解像度が得られ、ラインエッジラフネスが小さくなる。
【0015】
本発明において、化合物(A)は、上記化合物(Aa)であって、下記式(1A)で示される環状化合物(A1)であり、かつ化合物(B)は、上記化合物(Bb)であって、下記式(1B)で示される環状化合物(B1)であることが好ましい。
【0016】
【化5】
(式(1A)中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)−C(=O)−、−N(R)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の基であり、Rは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキルシリル基、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基、または水素原子であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、または下記式
【化6】
で表わされる基またはこれらの誘導体であり、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキルシリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、RまたはRの少なくとも1つは酸解離性官能基であり、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【0017】
【化7】
(式(1B)中、Lは、独立して、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜24のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R5A)−C(=O)−、−N(R5A)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の基であり、R1Aは独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、これらの誘導体からなる群から選択される官能基、または水素原子であり、R”は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、または下記式
【化8】
で表わされる基またはこれらの誘導体であり、R4Aは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基、または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、R1AまたはR4Aの少なくとも1つはフェノール性水酸基またはカルボキシル基であり、R5Aは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜5の整数である。)
【0018】
前記酸解離性官能基は、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、およびアルコキシカルボニル基などが好ましく挙げられる。前記酸解離性官能基は、架橋性官能基を有さないことが好ましい。
【0019】
置換メチル基としては、通常、炭素数2〜20の置換メチル基であり、炭素数4〜18の置換メチル基が好ましく、炭素数6〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルオキシメチル基、1−シクロペンチルオキシメチル基、1−シクロヘキシルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、および下記式(7)で示される置換基等を挙げることができる。
【0020】
【化9】
(式(7)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基等が挙げられる。)
【0021】
1−置換エチル基としては、通常、炭素数3〜20の1−置換エチル基であり、炭素数5〜18の1−置換エチル基が好ましく、炭素数7〜16の置換エチル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、および下記式(8)で示される置換基等を挙げることができる。
【0022】
【化10】
(式(8)中、Rは、前記と同様である。)
【0023】
1−置換−n−プロピル基としては、通常、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基であり、炭素数6〜18の1−置換−n−プロピル基が好ましく、炭素数8〜16の1−置換−n−プロピル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシ−n−プロピル基および1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
1−分岐アルキル基としては、通常、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基であり、炭素数5〜18の1−分岐アルキル基が好ましく、炭素数7〜16の分岐アルキル基がさらに好ましい。例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−メチルアダマンチル基、および2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0024】
シリル基としては、通常、炭素数1〜20のシリル基であり、炭素数3〜18のシリル基が好ましく、炭素数5〜16のシリル基がさらに好ましい。例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基およびトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
アシル基としては、通常、炭素数2〜20のアシル基であり、炭素数4〜18のアシル基が好ましく、炭素数6〜16のアシル基がさらに好ましい。例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチルカルボニル基、ベンゾイル基およびナフトイル基等を挙げることができる。
【0025】
1−置換アルコキシメチル基としては、通常、炭素数2〜20の1−置換アルコキシメチル基であり、炭素数4〜18の1−置換アルコキシメチル基が好ましく、炭素数6〜16の1−置換アルコキシメチル基がさらに好ましい。例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基および1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
環状エーテル基としては、通常、炭素数2〜20の環状エーテル基であり、炭素数4〜18の環状エーテル基が好ましく、炭素数6〜16の環状エーテル基がさらに好ましい。例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0026】
アルコキシカルボニル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基または下記式(9)のn=0で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0027】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニルアルキル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基または下記式(9)のn=1〜4で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0028】
【化11】
(式(9)中、Rは水素または炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐アルキル基であり、nは0〜4の整数である。)
【0029】
これらの酸解離性官能基のうち、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基、およびアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、置換メチル基、1−置換エチル基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基が高感度であるためより好ましく、さらに炭素数3〜12のシクロアルカン、ラクトンおよび炭素数6〜16の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜12のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜12のシクロアルカン基が挙げられる。炭素数6〜16の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましい。
特に下記式(10)で示される各基からなる群から選ばれる酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0030】
【化12】
【0031】
(式(10)中、R6Aは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、カルボキシル基であり、nは0〜4の整数、nは1〜5の整数、nは0〜4の整数である。)
また酸解離性官能基Rは、本発明の効果が損なわれない限りで、下記式(11)で示される繰り返し単位と、下記式(12)またはR(Rは上記と同様)で示される末端基からなる置換基であっても良い。
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
式(11)および/または(12)において、Rは前記と同様ある。Lは前記と同様であり、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基またはカルボニル基である。複数個のQは、同一でも異なっていても良い。nは0〜4の整数、nは1〜3の整数、xは0〜3の整数であり、1≦n+n≦5を満たす。複数個のn、n、xは、同一でも異なっていても良い。Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキロイルオキシ基、アリーロイルオキシ基、シアノ基、およびニトロ基からなる群から選ばれる置換基である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ;アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ;シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられ;アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられ;アラルキル基としてはベンジル基、ヒドロキシベンジル基、ジヒドロキシベンジル基等が挙げられ;アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられ;アリールオキシ基としてはフェノキシ基等が挙げられ;アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜4のアルケニル基が挙げられ;アシル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等の炭素原子数1〜6の脂肪族アシル基、およびベンゾイル基、トルオイル基等の芳香族アシル基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基が挙げられ;アルキロイルオキシ基としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられ;アリーロイルオキシ基としてはベンゾイルオキシ基等が挙げられる。複数個のRは、同一でも異なっていても良い。
【0035】
本発明において、酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂して、アルカリ可溶性基を生じる特性基をいう。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基などが挙げられ、フェノール性水酸基およびカルボキシル基が好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。前記酸解離性官能基は、更に高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。
【0036】
上記式(1)で示される化合物(A)は、芳香族カルボニル化合物(A11)からなる群より選ばれる1種以上,およびフェノール類(A12)を縮合反応し、その後、酸解離性官能基導入試剤を反応させて得られる。
【0037】
芳香族カルボニル化合物(A11)は、ベンズアルデヒドおよびその誘導体であり、例えば、ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、エチルメチルベンズアルデヒド、イソプロピルメチルベンズアルデヒド、ジエチルベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド、シクロプロピルベンズアルデヒド、シクロブタンベンズアルデヒド、シクロペンタンベンズアルデヒド、シクロヘキサンベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフチルベンズアルデヒド、アダマンチルベンズアルデヒド、ノルボルニルベンズアルデヒド、ラクチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、ノルマルプロピルベンズアルデヒド、ブロモベンズアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、シクロプロピルベンズアルデヒド、シクロブタンベンズアルデヒド、シクロペンタンベンズアルデヒド、シクロヘキサンベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、ナフチルベンズアルデヒド、アダマンチルベンズアルデヒド、ノルボルニルベンズアルデヒド、ラクチルベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドおよびジヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられ、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒドが好ましく、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒドおよびフェニルベンズアルデヒドがより好ましく、プロピルベンズアルデヒドおよびシクロヘキシルベンズアルデヒドがさらに好ましい。芳香族カルボニル化合物(A11)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子等を有していても良い。芳香族カルボニル化合物(A11)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0038】
フェノール類(A12)は、後述する置換基を有していても良いフェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、4−置換フェノール、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノール、ピロガロールがより好ましく、レゾルシノールが更に好ましい。フェノール類(A12)は本発明の効果を損ねない範囲で炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基、炭素数1〜20の環状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子等を有していても良い。フェノール類(A12)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0039】
上記式(1B)で示される化合物は、公知の方法によって製造できる。例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、芳香族カルボニル化合物(A11)1モルに対し、フェノール類(A12)を0.1〜10モル量、酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸等)を使用し、60〜150℃で0.5〜20時間程度反応させ、濾過後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。酸触媒の代わりに、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化バリウムまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等)を使用し、同様に反応することによっても得られる。さらに上記式(1B)で示される化合物は、上記芳香族カルボニル化合物(A11)をハロゲン化水素若しくはハロゲンガスでジハロゲン化物とし、単離したジハロゲン化物とフェノール類(A12)を反応させて製造することも出来る。
【0040】
化合物(A)は、化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基に酸解離性官能基を導入することで得られる。化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基に酸解離性官能基を導入する方法は公知である。例えば以下のようにして、化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基またはカルボキシル基に酸解離性官能基を導入することができる。酸解離性官能基を導入するための化合物(酸解離性官能基導入試剤)は、公知の方法で合成もしくは容易に入手でき、例えば、酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物、アルキルハライド、ビニルアルキルエーテル、ジヒドロピラン、ハロカルボン酸アルキルエステルなどが挙げられるが特に限定はされない。
【0041】
例えば、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に化合物(B)を溶解または懸濁させる。続いて、エチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテルまたはジヒドロピランを加え、ピリジニウム p−トルエンスルホナート等の酸触媒の存在下、常圧で、20〜60℃、6〜72時間反応させる。反応液をアルカリ化合物で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより化合物(A)を得ることができる。
【0042】
また、アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に化合物(B)を溶解または懸濁させる。続いて、エチルクロロメチルエーテル等のアルキルハライドまたはブロモ酢酸メチルアダマンチル等のハロカルボン酸アルキルエステルを加え、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、20〜110℃、6〜72時間反応させる。反応液を塩酸等の酸で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより化合物(A)を得ることができる。
【0043】
2種以上の芳香族カルボニル化合物(A11)を用いることがより好ましい。2種以上の芳香族カルボニル化合物(A11)を用いることにより、得られる環状化合物の半導体安全溶媒に対する溶解性が向上する。
【0044】
上記式(1A)で示される化合物の分子量は990〜2900であり、好ましくは1040〜2650、より好ましくは1080〜2400、さらに好ましくは1150〜2200である。上記式(1B)で示される化合物の分子量は790〜2000であり、好ましくは840〜1750、より好ましくは880〜1500、さらに好ましくは950〜1300である。上記範囲であるとレジスト材料に必要な製膜性を保持しつつ、耐熱性を有することができる。
【0045】
上記式(1A)で表される化合物(A)としては、好ましくは下記式(2A)で示される化合物があげられる。
【化15】
(式(2A)において、Xは水素原子またはハロゲン原子であり、mは1〜4の整数であり、mは0〜3の整数であり、m+m=4であり、RまたはRの少なくとも1つは酸解離性官能基であり、R、R、pは前記と同様である。)
【0046】
上記式(1A)で表される化合物(A)としては、より好ましくは下記式(3A)で示される化合物があげられる。
【化16】
(式(3A)において、Rは、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、X、m、m、R、pは前記と同様である。)
【0047】
上記式(1A)で表される化合物(A)としては、さらに好ましくは下記式(4A)で示される化合物があげられる。
【化17】
(式(4A)において、R、R、pは前記と同様である。)
【0048】
上記式(1A)で表される化合物(A)としては、特に好ましくは下記式(5A)で示される化合物があげられる。
【化18】
(式(5A)において、Rは前記と同様である。)
【0049】
上記式(1B)で表される化合物(B)としては、好ましくは下記式(2B)で示される化合物があげられる。
【化19】
(式(2B)において、Xは水素原子またはハロゲン原子であり、mは1〜4の整数であり、mは0〜3の整数であり、m+m=4であり、R、pは前記と同様である。)
【0050】
上記式(1B)で表される化合物(B)としては、より好ましくは下記式(3B)で示される化合物があげられる。
【化20】
(式(3B)において、m、R、pは前記と同様である。)
【0051】
上記式(1B)で表される化合物(B)としては、さらに好ましくは下記式(4B)で示される化合物があげられる。
【化21】
(式(4B)において、R、pは前記と同様である。)
【0052】
上記式(1B)で表される化合物(B)としては、特に好ましくは下記式(5B)で示される化合物があげられる。
【化22】
【0053】
上記化合物(A)は耐熱性が高く、アモルファス性を有するため製膜性にも優れ、昇華性を持たず、アルカリ現像液溶解抑止性、エッチング耐性等に優れ、レジスト材料、特にレジスト材料の主成分(基材)として好適に用いられる。
また、製造面においても工業的に製造されている芳香族アルデヒドをはじめとする各種アルデヒド類とレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を原料として、塩酸等の非金属触媒により脱水縮合反応させ、その後、工業的に製造されている酸解離性官能基導入試剤を、塩酸やアミン類等の非金属触媒により反応させることにより、高収率で製造できることから、実用性にも極めて優れる。
【0054】
上記化合物(B)は耐熱性が高く、アモルファス性を有するため製膜性にも優れ、昇華性を持たず、アルカリ現像液溶解性、エッチング耐性等に優れ、レジスト材料、特にレジスト材料の主成分(基材)として好適に用いられる。
また、製造面においても工業的に製造されている芳香族アルデヒドをはじめとする各種アルデヒド類とレゾルシノール、ピロガロール等のフェノール類を原料として、塩酸等の非金属触媒により脱水縮合反応させることにより、高収率で製造できることから、実用性にも極めて優れる。
【0055】
化合物(A)または化合物(B)の残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。また酸触媒が残存すると、一般に、ポジ型感放射線性組成物の保存安定性が低下する、または塩基性触媒が残存すると、一般に、ポジ型感放射線性組成物の感度が低下するので、その低減を目的とした精製を行ってもよい。精製は、化合物(A)または化合物(B)が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物および/または塩基性化合物の量や種類、精製する溶解抑止剤の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。精製後に乾燥を行っても良い。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、化合物(A)または化合物(B)が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0056】
本発明における化合物(A)および化合物(B)は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒および反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
【0057】
本発明における化合物(A)および化合物(B)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が付与しうる。
本発明における化合物(A)および化合物(B)のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、または(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、感放射線性組成物をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつレジストに必要な成膜性が長期に渡り保持でき、解像性を向上することができる。
【0058】
本発明において、前記結晶化発熱量、結晶化温度およびガラス転移温度は、島津製作所製DSC/TA−50WSを用いて次のように測定および示差走査熱量分析により求めることができる。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。さらに急冷後、再び窒素ガス気流中(30ml/min)昇温速度20℃/minで400℃まで昇温する。ベースラインに不連続部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移温度(Tg)、その後に現れる発熱ピークの温度を結晶化温度とする。発熱ピークとベースラインに囲まれた領域の面積から発熱量を求め、結晶化発熱量とする。
【0059】
化合物(A)および化合物(B)は、常圧下、100℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは150℃以下において、昇華性が低いことが好ましい。昇華性が低いとは、熱重量分析において、所定温度で10分保持した際の重量減少が10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、さらに好ましくは1%、特に好ましくは0.1%以下であることが好ましい。昇華性が低いことにより、露光時のアウトガスによる露光装置の汚染を防止することができる。また低LERで良好なパターン形状を与えることができる。
【0060】
化合物(A)および化合物(B)は、好ましくはF<3.0(Fは、全原子数/(全炭素原子数−全酸素原子数)を表す)、より好ましくはF<2.5を満たす。上記条件を満たしていることにより、耐ドライエッチング性が優れる。
【0061】
化合物(A)および化合物(B)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン(CHN)、シクロペンタノン(CPN)、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、および乳酸エチルから選ばれ、かつ、化合物(A)および化合物(B)に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは、PGMEA、PGME、CHNから選ばれ、かつ、化合物(A)および化合物(B)に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、20重量%以上溶解する。上記条件を満たしていることにより、実生産における半導体製造工程での使用が可能となり、保存安定性も良好となる。
【0062】
本発明の効果を損ねない範囲で、化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基および/またはカルボキシル基に非酸解離性官能基を導入しても良い。非酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂せず、アルカリ可溶性基を生じない特性基をいう。例えば、酸の作用により分解することの無い、C1〜20のアルキル基、C3〜20のシクロアルキル基、C6〜20のアリール基、C1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、C1〜20のアルキルシリル基、これらの誘導体からなる群から選択される官能基等が挙げられる。
【0063】
上記化合物(A)および化合物(B)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
【0064】
本発明のポジ型感放射線性組成物は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。本発明のポジ型感放射線性組成物をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。溶解速度が5Å/sec以下であるとアルカリ現像液に不溶で、レジストとすることができる。またアモルファス膜が0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状化合物の露光前後の溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する未露光部と、アルカリ現像液に溶解しない露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0065】
本発明のポジ型感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜のKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線等の放射線により露光した部分の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。溶解速度が10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また露光した部分が10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、前記環状化合物のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。
【0066】
本発明のポジ型感放射線性組成物は、固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%からなる。好ましくは固形成分1〜50重量%および溶媒50〜99重量%、さらに好ましくは固形成分2〜40重量%および溶媒60〜98重量%であり、特に好ましくは固形成分2〜10重量%および溶媒90〜98重量%である。
前記化合物(A)の重量と化合物(B)の重量との和は、固形成分全重量の50〜99重量%であり、好ましくは65〜80重量%、より好ましくは60〜70重量%である。上記配合割合であると、高解像度が得られ、ラインエッジラフネスが小さくなる。
【0067】
前記酸発生剤(C)としては、下記式(7−1)〜(7−8)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【化23】
(式(7−1)中、R13は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり;X-は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンである。)
【0068】
前記式(7−1)で示される化合物は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニル−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートおよびシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミデートからなる群から選択される少なくとも1種類であることが好ましい。
【0069】
【化24】
(式(7−2)中、R14は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。X-は前記と同様である。)
【0070】
前記式(7−2)で示される化合物は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムへキサフルオロベンゼンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネートおよびジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0071】
【化25】
(式(7−3)中、Qはアルキレン基、アリーレン基またはアルコキシレン基であり、R15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アリール基である。)
【0072】
前記式(7−3)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0073】
【化26】
(式(7−4)中、R16は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0074】
前記式(7−4)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォンおよびジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも1種類であることが好ましい。
【0075】
【化27】
(式(7−5)中、R17は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0076】
前記式(7−5)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリルおよびα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0077】
【化28】
式(7−6)中、R18は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、1以上の塩素原子および1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0078】
【化29】
【0079】
【化30】
【0080】
式(7−7)および(7−8)中、R19およびR20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシル基、またはフェニル基、トルイル基、ナフチル基等アリール基、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。L19およびL20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。J19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(7−7−1)で表わされる基、カルボニル基、エステル基、アミド基またはエーテル基であり、Y19は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、X20は、それぞれ独立に下記式(7−8−1)で示される基である。
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
(式(7−8−1)中、Z22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R22はアルキル基、シクロアルキル基またはアルコキシル基であり、rは0〜3の整数である。)
【0083】
その他の酸発生剤として、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1、3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1、4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1、6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1、10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカンなどのビススルホニルジアゾメタン類、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0084】
上記酸発生剤のうち、芳香環を有する酸発生剤が好ましく、式(7−1)または(7−2)で示され酸発生剤がより好ましい。式(7−1)または(7−2)のXが、アリール基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤がさらに好ましく、アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤が特に好ましく、ジフェニルトリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロメタンスルホナートが特に好ましい。該酸発生剤を用いることで、LERを低減することができる。
上記酸発生剤(C)は、単独で、または2種以上を使用することができる。
【0085】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(E)を感放射線性組成物に配合しても良い。この様な酸拡散制御剤(E)を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。また解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。このような酸拡散制御剤(E)としては、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
上記酸拡散制御剤としては、例えば、含窒素有機化合物や、露光により分解する塩基性化合物等が挙げられる。上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(10):
【0086】
【化33】
で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、および含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。尚、上記酸拡散制御剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0087】
上記一般式(10)中、R61、R62およびR63は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。また、上記アルキル基、アリール基、またはアラルキル基は、非置換でもよく、ヒドロキシル基等の他の官能基で置換されていてもよい。ここで、上記直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。また、上記アリール基としては、炭素数6〜12のものが挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基としては、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のものが挙げられ、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0088】
上記含窒素化合物(I)として具体的には、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチル、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0089】
上記含窒素化合物(II)として具体的には、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0090】
上記含窒素化合物(III)として具体的には、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
上記アミド基含有化合物として具体的には、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0091】
上記ウレア化合物として具体的には、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0092】
上記含窒素複素環式化合物として具体的には、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;および、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0093】
また、上記露光により分解する塩基性化合物としては、例えば、下記一般式(11−1):
【化34】
で表されるスルホニウム化合物、および下記一般式(11−2):
【0094】
【化35】
で表されるヨードニウム化合物等を挙げることができる。
【0095】
上記一般式(11−1)および(11−2)中、R71、R72、R73、R74およびR75は相互に独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示す。ZはHO、R−COO(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアリール基若しくは炭素数1〜6のアルカリール基を示す。)または下記一般式(11−3):
【0096】
【化36】
で表されるアニオンを示す。
【0097】
上記露光により分解する塩基性化合物として具体的には、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムアセテート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート等が挙げられる。
【0098】
酸拡散制御剤(E)の配合量は、固形成分全重量の0.001〜50重量%が好ましく、0.001〜10重量%がより好ましく、0.001〜5重量%がさらに好ましく、0.001〜3重量%が特に好ましい。上記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止することができる。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状が劣化することがない。また、配合量が10重量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防ぐことができる。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0099】
本発明のポジ型感放射線性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、その他の成分(F)として、溶解促進剤、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、および有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体等の各種添加剤を1種または2種以上添加することができる。
【0100】
[1]溶解促進剤
低分子量溶解促進剤は、レジスト基材のアルカリ等の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の環状化合物の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分であり、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。前記溶解促進剤としては、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができ、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。溶解促進剤の配合量は、使用するレジスト基材の種類に応じて適宜調節されるが、レジスト基材(化合物(A)及び化合物(B)、以下、レジスト基材(R)という。)100重量部当たり、0〜100重量部が好ましく、好ましくは0〜30重量部であり、より好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは0〜2重量部である。
【0101】
[2]溶解制御剤
溶解制御剤は、レジスト基材がアルカリ等の現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、使用するレジスト基材(R)の種類に応じて適宜調節されるが、レジスト基材(R)100重量部当たり、0〜100重量部が好ましく、好ましくは0〜30重量部であり、より好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは0〜2重量部である。
【0102】
[3]増感剤
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(C)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、使用するレジスト基材(R)の種類に応じて適宜調節されるが、レジスト基材(R)100重量部当たり、0〜100重量部が好ましく、好ましくは0〜30重量部であり、より好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは0〜2重量部である。
【0103】
[4]界面活性剤
界面活性剤は、本発明のポジ型感放射線性組成物の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでもよい。好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、感放射線性組成物の製造に用いる溶媒との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等が挙げられるが、特に限定はされない。市販品としては、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等を挙げることができる。
界面活性剤の配合量は、使用するレジスト基材(R)の種類に応じて適宜調節されるが、レジスト基材(R)100重量部当たり、0〜100重量部が好ましく、好ましくは0〜30重量部であり、より好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは0〜2重量部である。
【0104】
[5]有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体
感度劣化防止またはレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体を含有させることができる。なお、酸拡散制御剤と併用することも出来るし、単独で用いても良い。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。リンのオキソ酸もしくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルなどの誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体は、単独でまたは2種以上を使用することができる。有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体の配合量は、使用するレジスト基材(R)の種類に応じて適宜調節されるが、レジスト基材(R)100重量部当たり、0〜100重量部が好ましく、好ましくは0〜30重量部であり、より好ましくは0〜10重量部、更に好ましくは0〜2重量部である。
【0105】
[6]上記溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、および有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体以外のその他の添加剤
更に、本発明の感放射線性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、上記溶解制御剤、増感剤、および界面活性剤以外の添加剤を1種または2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、染料、顔料、および接着助剤等が挙げられる。例えば、染料または顔料を配合すると、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できるので好ましい。また、接着助剤を配合すると、基板との接着性を改善することができるので好ましい。更に、他の添加剤としては、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等を挙げることができる。
【0106】
本発明のポジ型感放射線性組成物の配合(化合物(A)/化合物(B)/酸発生剤(C)/酸拡散制御剤(E)/その他の成分(F))は、固形物基準の重量%で、好ましくは
10〜49.989/50〜89.989/0.001〜39.99/0.01〜39.999/0〜39.989、
より好ましくは
10〜49.989/50〜89.989/0.001〜39.99/0.01〜39.999/0〜15、
さらに好ましくは
12〜35/60〜70/10〜25/0.01〜3/0〜1
特に好ましくは
12.5〜17.5/60〜70/10〜25/0.01〜3/0である。上記配合にすると、感度、解像度、アルカリ現像性等の性能に優れる。
【0107】
本発明のポジ型感放射線性組成物は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製される。
【0108】
本発明のポジ型感放射線性組成物の調製に使用される前記溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルプロピオン酸ブチル、3−メトキシ−3−メチル酪酸ブチル、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
【0109】
本発明のポジ型感放射線組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アルカリ水溶液に可溶である樹脂を含むことができる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびアクリル酸、ビニルアルコール、またはビニルフェノールを単量体単位として含む重合体、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂の配合量は、使用する環状化合物の種類に応じて適宜調節されるが、上記環状化合物100重量部当たり、0〜30重量部が好ましく、より好ましくは0〜10重量部、さらに好ましくは0〜5重量部、特に好ましくは0重量部である。
【0110】
[レジストパターンの形成方法]
本発明は、上記本発明のポジ型感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜を露光する工程、および該レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に関する。本発明により得られるレジストパターンは多層レジストプロセスにおける上層レジストとして形成することもできる。
レジストパターンを形成するには、従来公知の基板上に前記本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。従来公知の基板とは、特に限定されず、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェハー、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。また必要に応じて、前述基板上に無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。ヘキサメチレンジシラザン等による表面処理を行ってもよい。
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0111】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。上記アルカリ性水溶液の濃度が10質量%以下とすると、露光部が現像液に溶解することを抑制することが出来るので好ましい。
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30質量%添加することが特に好ましい。これにより、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることが出来るので好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0112】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングの方法はプラズマガスを使用するドライエッチングおよびアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングなど公知の方法で行うことが出来る。
レジストパターンを形成した後、めっきを行うことも出来る。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
エッチング後の残存レジストパターンは有機溶剤や現像に用いたアルカリ水溶液より強アルカリ性の水溶液で剥離することが出来る。上記有機溶剤として、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート),PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル),EL(乳酸エチル)等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば1〜20質量%の水酸化ナトリウム水溶液や1〜20質量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。上記剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でも良く、小径スルーホールを有していても良い。
本発明で得られる配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶かす方法、すなわちリフトオフ法により形成することもできる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定はされない。以下の合成例において、化合物の構造はH−NMR測定で確認した。
【0114】
<合成例> 化合物(B)の合成
・合成例1
CR−1Bの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、4−イソプロピルベンズアルデヒド(29.6g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR−1Bと示す)(45.6g、収率95%)を得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、f)目的物の分子量960を示した。また重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1〜1.2(m,24H)、2.6〜2.7(m,4H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(d,8H)であった。
また、g)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶であり、h)分子内にフェノール性水酸基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0115】
【化37】
【0116】
CR−2Bの合成
CR−1Bの合成例における4−イソプロピルベンズアルデヒドを4−シクロヘキシルアルデヒドに代えた以外はCR−1と同様に合成した。その結果、CR−2B(50g、収率91%)を得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、f)目的物の分子量1121を示した。また重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,44H)、5.5,5.6(d,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,8H)であった。
また、g)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶であり、h)分子内にフェノール性水酸基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0117】
【化38】
【0118】
CR−1A−EE100の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、CR−1B 9.6g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml アセトンからなる溶液に、エチルビニルエーテル 5.8g(80mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の水素原子の100mol%がエトキシエチル基で置換されたCR−1A−EE100 12.2gを得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、a)目的物の分子量1537を示した。得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.9〜1.0(m,24H)、1.1〜1.2(m,24H)、1.3〜1.4(m,24H)、2.6〜2.7(m,4H)、3.3〜3.4(m,16H)、5.1(m,8H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)であった。
また、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるエトキシエチル基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0119】
【化39】
【0120】
CR−1A−CE100の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、合成例1で合成したCR−1B 9.6g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml 1,3−ジオキソランからなる溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル 10.0g(80mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の水素原子の100mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCR−1A−CE100 12.2gを得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、a)目的物の分子量1969を示した。得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜3.5(m,148H)、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)であった。
また、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるシクロヘキシロキシエチル基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0121】
【化40】
【0122】
CR−2A−EE100の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、合成例2Aで合成したCR−1B 11.2g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml アセトンからなる溶液に、エチルビニルエーテル 5.8g(80mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の水素原子の100mol%がエトキシエチル基で置換されたCR−2A−EE100 12.5gを得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、a)目的物の分子量1697を示した。得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,92H)、3.5(m,16H)、5.5,5.6(d,12H)、6.0〜6.8(m,24H)であった。
また、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるエトキシエチル基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0123】
【化41】
【0124】
CR−2A−CE100の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、合成例2で合成したCR−2B 11.2g(10mmol)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム2.5g、400ml 1,3−ジオキソランからなる溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル 10.0g(80mmol)を滴下した。反応液を24時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基の水素原子の100mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCR−2A−CE100 13.2gを得た。
この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、a)目的物の分子量2129を示した。得られた生成物の重ジメチルスルホキシド溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,148H)、3.5(m,8H)、5.5,5.6(d,12H)、6.0〜6.8(m,24H)であった。
また、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるシクロヘキシロキシエチル基を有し、e)Mw/Mn=1.00であった。
【0125】
【化42】
【0126】
CR−1A−EE50の合成
CR−1A−EE100の合成例におけるエチルビニルエーテルの仕込み量を半分に代えた以外はCR−1A−EE100と同様に合成し、フェノール性水酸基の水素原子の50mol%がエトキシエチル基で置換されたCR−1A−EE50(混合物)を得た。
なお、得られた化合物は、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるエトキシエチル基を有している。
【0127】
CR−1A−CE50の合成
CR−1A−CE100の合成例におけるエチルビニルエーテルの仕込み量を半分に代えた以外はCR−1A−CE100と同様に合成し、フェノール性水酸基の水素原子の50mol%がエトキシエチル基で置換されたCR−1A−CE50(混合物)を得た。
なお、得られた化合物は、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるシクロヘキシロキシエチル基を有している。
【0128】
CR−2A−EE50の合成
CR−2A−EE100の合成例におけるエチルビニルエーテルの仕込み量を半分に代えた以外はCR−2A−EE100と同様に合成し、フェノール性水酸基の水素原子の50mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCR−2A−EE50(混合物)を得た。
なお、得られた化合物は、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるエトキシエチル基を有している。
【0129】
CR−2A−CE50の合成
CR−2A−CE100の合成例におけるエチルビニルエーテルの仕込み量を半分に代えた以外はCR−2A−CE100と同様に合成し、フェノール性水酸基の水素原子の50mol%がシクロヘキシロキシエチル基で置換されたCR−2A−CE50(混合物)を得た。
なお、得られた化合物は、b)アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に不溶であり、c)酸の作用により、アルカリ現像液(TMAH2.38wt%)に可溶となり、d)分子内に酸解離性反応基であるシクロヘキシロキシエチル基を有している。
【0130】
(実施例1〜4および比較例1〜8)
パターニング試験
第1表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.1μmのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過して、感放射線性組成物を調製し、各々について以下の評価を行った。結果を第3表に示す。
(1)感度の評価
レジストを清浄なシリコンウェハー上に回転塗布した後、オーブン中で露光前ベーク(PB)して、厚さ60nmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜を電子線描画装置(ELS−7500,(株)エリオニクス社製)を用いて、100nm間隔の1:1のラインアンドスペース設定の電子線を照射した。照射後に、それぞれ所定の温度で、90秒間加熱し、2.38重量%TMAH水溶液に60秒間現像を行った。その後、水で30秒間洗浄し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。得られたラインアンドスペースを走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察した。またその際のドーズ量(μC/cm)を感度とした。
A:ドーズ量≦50μC/cm (優秀な感度)
B:50μC/cm<ドーズ量≦120μC/cm (良好な感度)
C:120μC/cm<ドーズ量 (感度不良)
【0131】
(2)ラインエッジラフネス(LER)の評価
100nm間隔の1:1のラインアンドスペースの長さ方向(0.75μm)の任意の300点において、日立半導体用SEM ターミナルPC V5オフライン測長ソフトウェア((株)日立サイエンスシステムズ製)を用いて、エッジと基準線との距離を測定した。測定結果から標準偏差(3σ)を算出した。
A:LER(3σ)≦3.5nm (良好なLER)
C:3.5nm<LER(3σ) (良好でないLER)
【0132】
パターニング試験の結果から、本発明の特定の化合物(A)および化合物(B)を用いた感放射線性組成物は、比較例の混合物からなる化合物(A)を用いた感放射線性組成物よりも感度およびLERが良好であることが認められた。
【0133】
また本発明の特定の化合物(A)および化合物(B)はそれぞれ純度100%のものの製造が容易、かつそれぞれを混合するのみで調合でき、品質管理が容易である。一方、比較例の混合物からなる化合物(A)は混合物であり、製造毎にその組成にばらつきが生じ、品質管理が困難であった。
【0134】
【表1】
【0135】
(C)酸発生剤
P−1:トリフェニルベンゼンスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート(みどり化学(株))
(E)酸拡散制御剤
Q−1 トリオクチルアミン(東京化成工業(株))
溶媒
S−1 プロピレングリコールモノメチルエーテル(東京化成工業(株))
【0136】
【表2】
PEB:電子線照射後に加熱する際の温度
【0137】
(比較例9)
実施例4において化合物(A)のCR−2A−CE100の代わりに高分子であるポリヒドロキシスチレン(PHS)(Mw=8,000;アルドリッチ製)に常法によりシクロヘキシルオキシエチル基を100mol%導入したPHS−CE100を用いた以外は、同様にパターニング試験を行なった。その結果、LERはCと判定された。
【0138】
(比較例10)
実施例4において化合物(B)のCR−2Bの代わりに高分子であるポリヒドロキシスチレン(PHS)(Mw=8,000;アルドリッチ製)を用いた以外は、同様にパターニング試験を行なった。その結果、LERはCと判定された。
【0139】
(比較例11)
実施例4において化合物(A)のCR−2A−CE100の代わりにPHS−CE100を用い、化合物(B)のCR−2Bの代わりに高分子であるポリヒドロキシスチレン(PHS)(Mw=8,000;アルドリッチ製)を用いた以外は、同様にパターニング試験を行なった。その結果、120μC/cm以下のドーズ量ではパターンが得られなかった。
【0140】
また、比較例9〜11のいずれも、スピンコートにより得られた膜に、相溶解性不良によると考えられるむらが認められた。
さらには、高分子であるポリヒドロキシスチレンまたは酸解離性官能基を導入したポリヒドロキシスチレンは、それぞれ分子量分布を有しており、品質管理の観点からも好ましくないことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、酸増幅型低分子量ポジ型感放射線性組成物、および該組成物を用いるレジストパターン形成方法に好適に使用される。