(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692136
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20150312BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
F24F1/00 401D
F24F1/00 426
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-69731(P2012-69731)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-200093(P2013-200093A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 陽祐
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−103349(JP,A)
【文献】
特開2001−004200(JP,A)
【文献】
特許第3615366(JP,B2)
【文献】
特開2004−321745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開放された箱状の本体ケース(31)内に送風機(19)及び熱交換器(13)が収容されており、前記開放された面に化粧パネル(32)が装着されており、この化粧パネル(32)に形成された吸込口(45)の上方に前記送風機(19)が配設された空気調和機(11)であって、
前記吸込口(45)には、着脱自在の吸込グリル(47)が取り付けられており、
前記吸込グリル(47)を開いたときに下面に露出する位置に電装品箱(59)が配設されており、
前記送風機(19)を収容する送風機室(43)を下方から覆う保護網(71)に、前記電装品箱(59)の蓋(70)に設けられた係止部を引っ掛けることで当該電装品箱(59)から外された蓋(70)を保持することができる被係止部(75)が設けられており、
前記保護網(71)には、前記送風機(19)のケーシング(19a)の一部が露出可能な開口(74)が形成されており、この開口(74)の縁部に前記被係止部(75)が設けられていることを特徴とする空気調和機(11)。
【請求項2】
前記送風機(19)のケーシング(19a)は円弧状の下面を有しており、このケーシング(19a)の周方向における前記開口(74)の縁部に被係止部(75)が設けられている請求項1に記載の空気調和機(11)。
【請求項3】
前記被係止部(75)は、前記開口(74)の縁部を構成する線状体(71a)から立設された、側面視L字状部材からなる請求項1又は2に記載の空気調和機(11)。
【請求項4】
前記L字状部材の先端縁には、当該L字状部材に係止された前記蓋(70)の係止部の離脱を防止する凸部(76)が形成されている請求項3に記載の空気調和機(11)。
【請求項5】
前記被係止部(75)は、保護網(71)と一体成形されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和機(11)。
【請求項6】
前記係止部は、前記電装品箱(59)から蓋(70)を外すために当該蓋(70)に設けられた取手(80)からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関する。さらに詳しくは、天井に配設される空気調和機内の送風機の保護網の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルの客室や比較的小規模の会議室などにおいて、調和空気を一方向だけから吹き出すシングルフロータイプの空気調和機(室内機)が用いられている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
このタイプの空気調和機は、下面が開放された箱状の本体ケース内に送風機及び熱交換器(室内熱交換器)が収容されており、前記開放された面に化粧パネルが装着されている。そして、化粧パネルに形成された吸込口から吸引された空気は前記熱交換器により熱交換され、同じく化粧パネル又は前記本体ケースの側面に形成された吹出口から室内に吹き出される。
【0004】
前記シングルフロータイプの空気調和機のうち、熱交換器の上流側に送風機が配置されるものでは、化粧パネルの上方に送風機が配置される。前記吸込口には、送風機の吸込側に設けられたフィルタのメンテナンスなどを行うために、着脱自在の吸込グリルが装着されている。そして、メンテナンス時にユーザーやサービスマンが不意に送風機に触れるのを防ぐために、前記送風機が配設された送風機室には、当該送風機室を下方から覆う保護網が設けられている。
【0005】
ところで、前記本体ケース内には、送風機やドレンポンプなどの駆動を制御するための電装品を収容した電装品箱が設けられており、この電装品箱は、メンテナンス性を考慮して、化粧パネル全体を取り外さなくても、吸込口の吸込グリルを開けるだけで作業可能な位置に設けられている。具体的には、吸込口の上方に配設される送風機を収容する送風機室に隣接して配設されている。そして、作業に際しては、脚立を用いて吸込口の吸込グリルを開け、ついで電装品箱の蓋を取り外し、この蓋を作業台又は床面上に置いている。この場合、取り外した蓋を作業台又は床面上に置くために、ユーザーやサービスマンは一旦脚立を降りる必要があり、作業性が悪く、又、蓋を紛失してしまう恐れもある。
【0006】
そこで、蓋に形成された達磨状の係止孔を利用して当該蓋を電装品箱に固定する構成において、緩めた状態のねじに前記係止孔を引っ掛けることで、蓋を電装品箱の下面に吊り下げ可能にすることが提案されている(特許文献3参照)。この構成であると、脚立を降りることなく取り外した蓋を所定の場所に保持させておくことができ、又、蓋がなくなることもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−151402号公報(
図4)
【特許文献2】特開2010−230271号公報(
図12〜14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、蓋を電装品箱に引っ掛ける場合、電装品箱の極近傍に蓋が存在することから、当該電装品箱内の制御基板などの点検や交換を行う際に、ぶら下がった状態の蓋が邪魔になり、メンテナンスの作業性が悪くなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電装品のメンテナンスの作業性を向上させることができる空気調和機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の空気調和機は、下面が開放された箱状の本体ケース内に送風機及び熱交換器が収容されており、前記開放された面に化粧パネルが装着されており、この化粧パネルに形成された吸込口の上方に前記送風機が配設された空気調和機であって、
前記吸込口には、着脱自在の吸込グリルが取り付けられており、
前記吸込グリルを開いたときに下面に露出する位置に電装品箱が配設されており、
前記送風機を収容する送風機室を下方から覆う保護網に、前記電装品箱の蓋に設けられた係止部を引っ掛けることで当該電装品箱から外された蓋を保持することができる被係止部が設けられて
おり、
前記保護網には、前記送風機のケーシングの一部が露出可能な開口が形成されており、この開口の縁部に前記被係止部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明の空気調和機では、送風機室を下方から覆う保護網に設けられた被係止部に電装品箱の蓋の係止部を引っ掛けて保持させることができる。したがって、電装品箱内の電装品をメンテナンスするときに邪魔にならない箇所に蓋を保持させることが可能であり、当該メンテナンスの作業性を向上させることができる。
さらに、電装品箱から離れており、また、比較的目立ち易い開口に被係止部が設けられているので、電装品箱から外した蓋を、メンテナンス作業に邪魔のない箇所に簡単に保持させることができる。
【0013】
(
2)前記(
1)の空気調和機において、前記送風機のケーシングは円弧状の下面を有しており、このケーシングの周方向における前記開口の縁部に被係止部が設けられていることが好ましい。この場合、円弧状のケーシングの下面に沿うようにして、蓋の係止部を被係止部に係止させることができ、蓋の被係止部への保持を簡単に行うことができる。
【0014】
(
3)前記(
1)又は(
2)の空気調和機において、前記被係止部は、前記開口の縁部を構成する線状体から立設された、側面視L字状部材からなることが好ましい。この場合、L字状部材の水平な面に蓋の係止部を係止させることで、簡単に蓋を保持することができる。
【0015】
(
4)前記(
3)の空気調和機において、前記L字状部材の先端縁には、当該L字状部材に係止された前記蓋の係止部の離脱を防止する凸部が形成されていることが好ましい。この場合、メンテナンス作業中に不意にサービスマンが蓋に触れるなどして当該蓋がL字状部材から外れてしまうのを防止することができる。
【0016】
(
5)前記(1)〜(
4)の空気調和機において、前記係止部は、保護網と一体成形されていることが好ましい。この場合、部品点数を減らすことができ、低コストで被係止部を設けることができる。
【0017】
(
6)前記(1)〜(
5)の空気調和機において、前記係止部は、前記電装品箱から蓋を外すために当該蓋に設けられた取手からなることが好ましい。この場合、取手と係止部とを兼用させることで、部品点数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の空気調和機によれば、電装品のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の空気調和機を含む空気調和装置の構成図である。
【
図2】本発明の空気調和機の一実施の形態を示す側面断面図(
図3のA−A矢視断面図)である。
【
図6】空気調和機の側面断面図(
図3のB−B矢視断面図)である。
【
図7】本発明における電装品箱の蓋の一例の斜視説明図である。
【
図8】本発明における保護網の一例が装着された送風機室を下方から見た底面説明図である。
【
図9】
図8に示される保護網の部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の空気調和機の実施の形態を詳細に説明する。
〔空気調和装置の概要〕
まず、本発明の空気調和機を含む空気調和機の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る空気調和機を含む空気調和装置の構成図である。この空気調和装置10は、利用側ユニットである室内機(空気調和機)11と熱源側ユニットである室外機(空気調和機)12とを備えている。
【0021】
室外機12には、圧縮機14、四路切換弁18、室外熱交換器15、室外膨張弁16等が設けられ、これらは冷媒配管25によって接続されている。また、室外機12には、室外送風機20が設けられている。
室外機12の内部冷媒回路の端末部には、ガス側閉鎖弁22と液側閉鎖弁23とが設けられている。ガス側閉鎖弁22は四路切換弁18側に配置されており、液側閉鎖弁23は室外膨張弁16側に配置されている。
【0022】
室内機11には、室内膨張弁28及び室内熱交換器13等が設けられている。ガス側閉鎖弁22と室内熱交換器13とはガス側冷媒連絡配管24により接続され、液側閉鎖弁23と室内膨張弁28とは液側冷媒連絡配管26により接続されている。
【0023】
上記構成の空気調和装置10において、冷房運転を行う場合には、四路切換弁18が
図1において実線で示す状態に保持される。そして、実線矢印で示すように、圧縮機14から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁18を経て室外熱交換器15に流入し、室外送風機20の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、ほぼ全開状態の室外膨張弁16を通過し、液側冷媒連絡配管26を通って室内機11に流入する。室内機11において、冷媒は、室内膨張弁28で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器13で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は室内送風機19によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。また、室内熱交換器13で蒸発して気化した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管24を通って室外機12に戻り、四路切換弁18を経て圧縮機14に吸い込まれる。
【0024】
他方、暖房運転を行う場合には、四路切換弁18が
図1において破線で示す状態に保持される。そして、点線矢印で示すように、圧縮機14から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁18を経て室内機11の室内熱交換器13に流入し、室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内送風機19によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器13において液化した冷媒は、ほぼ全開状態の室内膨張弁28から液側冷媒連絡配管26を通って室外機12に戻る。室外機12に戻った冷媒は、室外膨張弁16で所定の低圧に減圧され、室外熱交換器15において室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器15で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁18を経て圧縮機14に吸い込まれる。
【0025】
〔空気調和機(室内機)の構成〕
図2は、空気調和装置10の室内機11を示す側面断面図(
図3のA−A矢視断面図)、
図3は、室内機11の平面断面図、
図4は、室内機11の正面図、
図5は、室内機11の底面図である。
本実施の形態に係る室内機11は、室内の天井裏等に設置される天井埋込型の室内機であり、本体ケース31、化粧パネル32、室内送風機19、室内熱交換器13、ドレンパン33等を備えている。
【0026】
本体ケース31は、平面視で四角形状の上壁部35と、この上壁部35の4辺から下方に垂下された4枚の周壁部(前壁部36、後壁部37、左壁部38、右壁部39)とから下方に開放された箱形状に形成されている。そして、本体ケース31における下端の開口部に化粧パネル32が取り付けられている。本体ケース31は、
図4に示されるように、天井30の上方にある天井スラブ又は床スラブSの下面等に吊りボルト40を介して吊り下げられ、化粧パネル32は、天井30の下面に沿って配置されている。
【0027】
図2及び
図3に示されるように、本体ケース31の内部は、仕切り板42によって送風機室43と熱交換室44とに区画されている。本明細書においては、機内の空気の流れを基準として、送風機室43側を後側、熱交換室側を前側とする。
【0028】
化粧パネル32は、送風機室43の下方に吸込口45を備え、熱交換室44の前部側の下方に吹出口46を備えている。吸込口45には格子状の吸込グリル47が取り付けられ、吹出口46には、空気の吹出方向を調整する導風板48が揺動可能に設けられている。
【0029】
送風機室43には、2台の室内送風機19が左右方向に間隔をあけて配置されている。2台の室内送風機19の間には電動モータ50が配置され、この電動モータ50によって両室内送風機19が駆動される。本実施の形態の室内送風機19は、略円筒形状のケーシング19aと、このケーシング19a内に設けられた羽根車19bとからなるシロッコファンである。ケーシング19aの側面には吸込口19a1が形成され、ケーシング19aの前部には吐出口19a2が前方に向けて突設されている。吐出口19a2は、仕切り板42に形成された開口にシールされた状態で挿入されている。
【0030】
室内送風機19が作動すると、室内の空気は吸込口45から送風機室43内に取り入れられ、ケーシング19aの吸込口19a1に吸い込まれた後、吐出口19a2から熱交換室44に吹き出される。したがって、送風機室43内の空間は、室内送風機19によって空気が吸い込まれる吸込空間とされ、熱交換室44の空間は、室内送風機19によって空気が吹き出される吹出空間とされる。
【0031】
熱交換室44には、室内熱交換器13が配置されている。室内熱交換器13は、例えば、左右方向に所定間隔で並べて配置された多数のフィンと、このフィンを貫通するように設けられた伝熱管とを含むクロスフィン型のフィンアンドチューブ式熱交換器である。この室内熱交換器13は、上部が前側(吹出口46側;空気流の下流側)に位置し、かつ下部が後側(室内送風機19側;空気流の上流側)に位置するように傾斜して配置されている。そして、室内送風機19から熱交換室44に吹き出された空気は、室内熱交換器13との間で熱交換され、その後に吹出口46から室内に吹き出される。なお、室内熱交換器13の下方には、ドレンパン33が設けられ、室内熱交換器13で発生した結露水がドレンパン33によって受け止められるようになっている。
【0032】
ドレンパン33は、発泡スチロール等の断熱性の高い材料によって形成されており、断熱材としても機能している。また、熱交換室44における本体ケース31の上壁部35、前壁部36、左右壁部38,39の内面には、それぞれ発泡スチロール等からなる断熱材54〜57が設けられている。
【0033】
図6は、室内機の側面断面図(
図3のB−B矢視断面図)である。
図3及び
図6に示されるように、送風機室43の右端部には電装品ユニット58が配置されている。この電装品ユニット58は、電装品箱59と、この電装品箱59に収容された制御基板60や端子台61等からなる。また、熱交換室44の右端部には、室内熱交換器13に接続される分流器やヘッダ等の配管群62や、ドレンポンプ63、室内膨張弁28、サーミスタ等の電気部品が配置されている。そして、これらの電気部品の電気配線64は、熱交換室44から仕切り板42を通して電装品ユニット58に接続されている。
【0034】
電装品箱59は、
図7に示される蓋70を有している。この蓋70は、通常は、
図8に示されるようにネジにより電装品箱59に装着されている。そして、メンテナンス時には、ネジを外して、蓋70の下面70aに取り付けられたリボン状の取手80を持って当該蓋70を下方に引き出すことで、蓋70を電装品箱59から取り外すことができる。
【0035】
図6に示されるように、ドレンポンプ63は、内蔵されたモータ(アクチュエータ)が作動することによって、ドレンパン33に貯留された結露水を外部へ排出するものである。ドレンポンプ63は、取付台(取付部材)66を介して本体ケース31の上壁部35に取付固定されている。また、取付台66には、フロートセンサ65も取り付けられている。ドレンポンプ63及びフロートセンサ65は、連結枠67によって1ユニットとして組み立てられている。連結枠67には、室内膨張弁28の電気配線64や、サーミスタの電気配線等をガイドするガイド爪68が一体に形成されている。このガイド爪68によって、電気配線64がドレンパン33側へ垂れ下がらないように支持されている。
【0036】
〔保護網の構成〕
図8は、本実施の形態における保護網71が装着された送風機室43を下方から見た底面説明図であり、
図9は、同部分断面説明図である。
図8では、分かり易くするために、室内送風機19のケーシング19a及び電動モータ50は、二点鎖線で描いている。
【0037】
保護網71は、メンテナンス時にユーザーやサービスマンが不意に室内送風機19や電動モータ50などに触れるのを防ぐための部材であり、平面視長方形状の送風機室43を下方から覆うことができるように略長方形状を呈している。保護網71のメッシュの形状や大きさは、ユーザーやサービスマンの指や手が誤って入り込まない形状や大きさに設定されている。保護網71は、例えばP.P.などの合成樹脂で作製することができる。
【0038】
略長方形状の保護網71の各長辺には、当該保護網71を仕切り板42又は後壁部37に取り付けるための矩形状の固定片72が3つずつ形成されている。固定片72は、
図2に示されるように、仕切り板42の下端縁に設けられた起立片42a又は後壁部37の下端縁に設けられた起立片37aにネジ73により着脱自在に取り付けられている。
【0039】
保護網71には、その長手方向に沿って前記室内送風機19のケーシング19aの一部が露出可能な矩形状の開口74が2箇所形成されている。そして、各開口74の縁部に側面視L字状部材からなる被係止部75が設けられている。より詳細には、
図9に示される用に、円弧状の下面を有するケーシング19aの周方向における前記開口74の縁部を構成する線状体71aから被係止部75が立設されている。本実施の形態における被係止部75は、各開口74について2つずつ、合計4つ形成されている。1つの開口74に対し形成された一対の被係止部75は、
図9に示されるように、L字状部材の水平部分75aの先端が互いに対向するように前記線状体71aに設けられている。本実施の形態では、L字状部材からなる被係止部75が保護網71と一体成形されている。これにより、部品点数を減らすことができ、低コストで被係止部75を保護網71に設けることができる。
【0040】
前記L字状部材の水平部分75aの機内側(上側)の面75a1の先端縁には、土手状の凸部76が形成されている。
本実施の形態では、電装品のメンテナンスを行う際に取手80を用いて取り外した電装品箱59の蓋70を保護網71の被係止部75に引っ掛けることで、当該蓋70を保持することができる。その際、前記取手80が、蓋70を保護網71に係止させる係止部として機能し、この取手80を前記被係止部75の面75a1の先端縁に形成された凸部76に引っ掛ける。この場合、L字状部材の水平な面75a1に蓋70の取手80を係止させることで、簡単に蓋75を保持することができる。また、前記凸部76を形成することで、メンテナンス作業中に不意にサービスマンが蓋70に触れるなどして当該蓋70が被係止部75から外れてしまうのを防止することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、L字状部材からなる被係止部75が、円弧状のケーシング19aの周方向における前記開口74の縁部に設けられているので、当該円弧状のケーシング19aの下面に沿うようにして、蓋70の取手80を被係止部75に係止させることができ、蓋70の保護網71への取付作業を簡単に行うことができる。さらに、被係止部75は、電装品箱59から離れており、また、比較的目立ち易い開口74に設けられているので、電装品箱59から外した蓋70を、メンテナンス作業に邪魔のない箇所に簡単に保持させることができる。
【0042】
〔その他の変形例〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
例えば、前述した実施の形態では、被係止部をケーシングの一部が露出可能な開口の縁部に形成しているが、電装品のメンテナンスを行うユーザーやサービスマンが手の届く範囲内であって、作業時に邪魔にならない箇所であれば、保護網の他の箇所に設けることもできる。
【0044】
また、前述した実施の形態では、被係止部の数が4つであるが、少なくとも1つであればよく、その数に特に限定はない。
また、前述した実施の形態では、被係止部を保護網と一体に成形しているが、被係止部を保護網とは別体とし、例えば接着剤などで保護網に固定するようにしてもよい。
【0045】
また、前述した実施の形態では、被係止部の側面形状をL字状としているが、蓋の係止部を係止して当該蓋を保持することができる限り、例えばJ字状など他の形状であってもよい。
また、前述した実施の形態では、蓋の取手が、本発明における係止部としても機能しているが、取手とは別に係止部を蓋に設けることもできる。
【符号の説明】
【0046】
11 室内機(空気調和機)
12 室外機(空気調和機)
19 室内送風機(送風機)
19a ケーシング
31 本体ケース
32 化粧パネル
33 ドレンパン
43 送風機室
45 吸込口
46 吹出口
47 吸込グリル
50 電動モータ
59 電装品箱
70 蓋
71 保護網
72 固定片
74 開口
75 被係止部
76 凸部
80 取手(係止部)