(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の気液混合装置を示す縦断面図である。
図2は、
図1に示す気液混合装置の一部を拡大した図である。
図3は、
図1に示す気液混合装置が備える固定翼の斜視図である。これらの図に示す本実施形態の気液混合装置1Aは、液体の流路に設けられ、液体中に気体を導入して混合させるものである。
【0011】
図1に示すように、気液混合装置1Aは、液体の流れを旋回させる旋回液流生成部3と、旋回液流生成部3で生成した旋回液流を縮径させる旋回液流加速部4と、旋回液流加速部4の下流側に設けられた気液混合部5Aと、外部から気体を取り込む気体導入部6Aと、導入気体分散手段7Aと、拡径部9とを備えている。
図1において、液体は、気液混合装置1A内を左から右へ進行する。この液体の進行方向を、以下、「進行方向TD」と称する。
【0012】
旋回液流生成部3は、進行方向TDと平行な直線を中心とする略円柱状の内部空間を有している。旋回液流生成部3の内径は、進行方向TDに沿ってほぼ一定になっている。
図3に示すように、旋回液流生成部3内には、固定翼8が設置されている。本実施形態では、複数(図示の構成では2枚)の固定翼8が設けられている。各固定翼8は、旋回液流生成部3の流路の内壁に固定されている。気液混合装置1Aに流入した液流は、固定翼8を通過することにより、旋回液流生成部3の軸線を中心に旋回させられ、旋回液流が生成される。固定翼8は、上流部は進行方向TDにほぼ平行方向に形成され、下流部では進行方向TDに略垂直な方向に立ち上がる円弧形状をなすように形成されている。この円弧形状の弦角が小さいほど、急速な立ち上がり形状になるため、高速の旋回液流速を形成することができる点で好ましい。その一方で、弦角が小さい翼形状では、圧力損失が高くなってしまい、また、流路の開口面積が小さくなるために毛髪などの異物が翼間に詰まりやすくなる。図示の構成では、2枚の固定翼8間に、異物が通過可能な隙間10を設けていることにより、異物の詰まりを抑制することができる。
【0013】
旋回液流加速部4は、旋回液流生成部3の下流側に、旋回液流生成部3に対し同心的に設けられている。旋回液流加速部4の内径は、進行方向TDに向かって内径が連続的あるいは多段的に縮小している。本実施形態の旋回液流加速部4は、略円錐状(略円錐台状)の内部空間を有している。旋回液流加速部4の上流端の内径は、旋回液流生成部3の内径に等しくなっている。旋回液流加速部4の内径が最も小さくなった最小内径部分は、旋回液流加速部4の下流端に位置する。
【0014】
旋回液流生成部3で生成された旋回液流は、旋回液流加速部4を通過して旋回径が縮径されることにより加速される。旋回液流加速部4では、旋回液流を、圧力損失をなるべく少なくして縮径させることにより高速化することが望ましい。そのためには、旋回液流加速部4の内壁面は、高密度で粗度の小さい材料で形成されていることが望ましい。
【0015】
気液混合部5Aは、旋回液流加速部4の下流側に、旋回液流加速部4に対し同心的に設けられている。気液混合部5Aの内径は、旋回液流加速部4の最小内径とほぼ同じ径(
図1中のαで示す長さ)になっている。本実施形態では、気液混合部5Aの下流側には、進行方向TDに向かって内径が連続的に拡大する拡径部9が設けられている。
【0016】
気体導入部6Aは、気液混合部5Aの外周部から外方へ突出するように形成されている。この気体導入部6Aには、気液混合部5A内に導入される気体が通る流路となる気体通路6aが形成されている。気体通路6aは、気液混合部5Aの外周側から気液混合部5A内に貫通するように形成されている。図示の構成では、気体通路6aは、進行方向TDに対しほぼ直交する方向になっているが、気体通路6aが進行方向TDに対して傾斜していてもよい。また、図示を省略するが、気体導入部6Aには、運転停止時などに液体が気体導入部6Aへ逆流することを防ぐための逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0017】
旋回液流加速部4で加速された旋回液流が気液混合部5A内に流入することにより、気液混合部5A内に負圧が発生し、この負圧により気体導入部6Aから気体が気液混合部5A内に自然吸気される。気液混合部5A内では、加速された旋回液流と、気体導入部6Aから導入された気体とが合流(合一)することにより、微細気泡が生成される。本実施形態では、気体が旋回液流によりせん断破砕され、微細化されて液体中に効率良く混合するので、大量の微細気泡を効率良く生成することができる。
【0018】
図2に示すように、本実施形態における導入気体分散手段7Aは、気体が通過可能な複数の孔7aを有するメッシュ状または多孔質状の板状部材で構成されている。導入気体分散手段7Aは、気体導入部6Aと気液混合部5Aとの境界部付近、すなわち、気体導入部6Aの出口付近に設けられている。また、本実施形態では、導入気体分散手段7Aは、気体通路6aの出口を覆うように配置されている。気体導入部6Aから導入された気体は、導入気体分散手段7Aの孔7aを通って気液混合部5A内に流入し、旋回液流に合流する。
【0019】
気液混合装置1Aに流入する液流の流量が大きい場合や、気液混合装置1Aの下流の圧力が低い場合には、気体導入部6Aから流入する気体量は増大する。そのように気体導入量が増大したときでも、導入された気体が、旋回液流に合流する際に、導入気体分散手段7Aの複数の孔7aを通って分散されることにより、気体(気泡)の表面積がほぼ一定になり、その気泡が旋回液流により更にせん断される。このため、旋回液流によりせん断されて生成する微細気泡の径もほぼ一定に維持することができ、径の大きい微細気泡(例えば気泡径が100μm以上)が混じって生成することを確実に抑制することができる。特に、本実施形態では、導入気体分散手段7Aをメッシュ状または多孔質状の部材で構成したことにより、導入された気体を、多数の孔7aに通して細かく分散させることができる。これにより、径の大きい微細気泡の生成をより確実に抑制することができる。
【0020】
実施の形態2.
次に、
図4乃至
図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図4および
図5は、それぞれ、本発明の実施の形態2の気液混合装置を示す縦断面図である。
図4の切断面と、
図5の切断面とは、直交している。
図6は、
図4中のX−X線断面図(横断面図)である。
【0021】
図4および
図5に示すように、本実施の形態2の気液混合装置1Bは、旋回液流生成部3と、旋回液流加速部4と、気液混合部5Bと、気体導入部6Bと、導入気体分散手段7Bと、拡径部9とを備えている。
【0022】
気液混合部5Bは、旋回液流加速部4の下流側に、旋回液流加速部4に対し同心的に設けられている。気液混合部5Bの内径は、旋回液流加速部4の最小内径に比べて大きくなっている。本実施形態では、気液混合部5Bの内径は、進行方向TDに沿ってほぼ一定になっている。すなわち、気液混合部5Bは、略円柱状の内部空間を有している。
【0023】
また、気液混合装置1Bには、旋回液流加速部4の内周面の下流端4a(すなわち旋回液流加速部4の最小内径部分の内周)から外周側に広がって気液混合部5Bの内周面の上流端5aに繋がる内壁面として、リング状の壁面2が形成されている。図示の構成では、リング状の壁面2は、進行方向TDに対し垂直な円環状の平面をなしている。リング状の壁面2は、図示の構成に限らず、その一部または全部が曲面で構成されていてもよい。また、気液混合部5Bの内周面とリング状の壁面2との角部や、旋回液流加速部4の内周面とリング状の壁面2との角部に、R(アール)形状のような丸みを設けてもよい。
【0024】
図6に示すように、気体導入部6Bは、気液混合部5Bの内周面の接線方向に沿って気体を気液混合部5B内に流入させるように構成されている。すなわち、気体導入部6Bは、以下のように構成されている。気体導入部6Bの中心線を気液混合部5B内に延長した直線は、気液混合部5Bの中心を通らず、中心からずれた位置を通る。また、進行方向TDと直交する平面で気液混合部5Bおよび気体導入部6Bを切断した
図6のような断面において、気体導入部6Bの内壁のうち気液混合部5Bの中心からの距離が遠い方の内壁6bは、気液混合部5Bの内周面の接線になっている。あるいは、上記断面において、内壁6bが気液混合部5Bの内周面の接線に必ずしも完全に一致していなくても良く、内壁6bの近傍で内壁6bに並行する流線を気液混合部5B内に延長した直線が、気液混合部5Bの内径以下であって旋回液流加速部4の最小内径より大きい直径の円の接線になっていればよい。
【0025】
このようにして、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内周面の接線方向に沿って気体を気液混合部5B内に流入させるように構成されていることにより、
図6に示すように、気体導入部6Bを通って気液混合部5Bに流入した気体を、気液混合部5Bの内周面に沿って所定の方向(本実施形態では、
図6中で反時計回り)に効率良く旋回させることができる。
【0026】
導入気体分散手段7Bは、気液混合部5B内に同心的に設けられている。導入気体分散手段7Bは、気体が通過可能な複数の孔を側面に有する、筒状部材(円筒状部材)で構成されている。特に、導入気体分散手段7Bは、気体が通過可能な多数の孔を有するメッシュ状または多孔質状の部材で構成されていることが好ましい。導入気体分散手段7Bの内径は、旋回液流加速部4の最小内径とほぼ同じであることが好ましい。気体導入部6Bから気液混合部5B内に流入した気体は、気液混合部5Bの内周面と、導入気体分散手段7Bの外周面との間を通って旋回可能である。
【0027】
次に、本実施の形態2の気液混合装置1Bの動作について説明する。旋回液流加速部4で加速された旋回液流が気液混合部5B内に流入することにより、気液混合部5B内に負圧が発生し、この負圧により気体導入部6Bから気体が気液混合部5B内に自然吸気される。気液混合部5B内では、加速された旋回液流と、気体導入部6Bから導入された気体とが合流(合一)して、微細気泡が生成される。
図6に示すように、気液混合部5Bに流入した気体は、気液混合部5Bの内周面に沿って、旋回液流と同方向に旋回する。このようにして、気液混合部5Bの内周面に沿って旋回する気体と、気液混合部5B内に流入した旋回液流とが接触することにより、気体がせん断破砕されて微細化される。
【0028】
旋回液流加速部4から気液混合部5Bに流入した直後の旋回液流の直径は、旋回液流加速部4の最小内径にほぼ等しい。一方、気液混合部5Bの内径は、旋回液流加速部4の最小内径より大きい。これにより、気液混合部5B内では、旋回液流の外側に、気体導入部6Bから導入された気体の流路として機能するリング状(円環状)の空間を確保できる。このような構成により、旋回液流の流れを妨げることなく吸気することができるので、吸気量を増大することができる。また、気体導入部6Bから導入された気体が、旋回液流の外周側を旋回するように吸気されるため、旋回液流と導入気体との接触面積を増大することができる。その結果、旋回液流によりせん断される気体量が増加するため、微細気泡の生成量も増加する。
【0029】
また、旋回液流加速部4の下流端4aと、気液混合部5Bの上流端5aとの境界の段差部は、リング状の壁面2によって閉じられており、気体導入部6Bからの気体の流入部のみ開口する構造とすることで、気液混合部5B内および気体導入部6B内での乱流形成を抑制することができる。その結果、旋回液流加速部4の最小内径部分の付近で形成される負圧を損失なく気体導入部6Bでも形成できる。
【0030】
気液混合部5B内に形成される負圧は、気液混合部5Bの上流端で最も大きく、下流に進むにつれて負圧は弱まる。本実施形態では、気体導入部6Bの気体導入部6Bが、気液混合部5Bの上流端付近に連通するように構成している。これにより、負圧の大きい位置で吸気することができるので、吸気量を増大させることができ、気体溶解量および微細気泡生成量も増大させることができる。また、本実施形態では、
図5に示すように、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口がリング状の壁面2に接して形成されており、リング状の壁面2と気体導入部6Bの内壁とが段差無く連続している。これにより、吸気量を更に増大させることができ、気体溶解量および微細気泡生成量も更に増大させることができる。
【0031】
気体導入部6Bから気液混合部5B内に導入された気体は、導入気体分散手段7Bの側面の複数の孔を通って、旋回液流に合流(合一)する。気液混合装置1Bに流入する液流の流量が大きい場合や、気液混合装置1Bの下流の圧力が低い場合には、気体導入部6Bから流入する気体量は増大する。そのように気体導入量が増大したときでも、導入された気体が、旋回液流に合流する際に、導入気体分散手段7Bの側面の複数の孔を通って分散されることにより、気体(気泡)の表面積がほぼ一定になり、その気泡が旋回液流により更にせん断される。このため、旋回液流によりせん断されて生成する微細気泡の径もほぼ一定に維持することができ、径の大きい微細気泡(例えば気泡径が100μm以上)が混じって生成することを確実に抑制することができる。また、本実施の形態2では、導入気体分散手段7Bをメッシュ状または多孔質状の部材で構成したことにより、導入された気体を、導入気体分散手段7Bの側面の多数の孔に通して細かく分散させることができる。これにより、径の大きい微細気泡の生成をより確実に抑制することができる。
【0032】
一般的には、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口が広いほど、吸気量を増大することができる。しかしながら、気液混合部5B内の下流側ほど負圧が小さくなるため、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口の大きさを進行方向TDに沿って測った長さ(
図5中のβで示す長さ)を長くして、この開口を下流側に広げるように構成すると、気体導入部6Bに作用する負圧が小さくなり、好ましくない。特に、気液混合装置1Bより下流側の流路の圧力損失が大きい場合には、気液混合部5B内で下流側に向かって負圧が低下する率が大きくなるため、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口を下流側に広げることは好ましくない。このような事項に鑑みて、本実施の形態2では、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口の大きさを進行方向TDに沿って測った長さβが、この開口の大きさを気液混合部5Bの内径に等しい直径の円に沿って測った円弧の長さより短くすることが好ましい。このような構成により、気体導入部6Bが気液混合部5Bの内壁に形成する開口を下流側に広げることなく開口面積を大きくすることができるので、吸気量を増大させることができ、気体溶解量および微細気泡生成量も増大させることができる。
【0033】
実施の形態3.
次に、
図7および
図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図7は、本発明の実施の形態3の気液混合装置を示す縦断面図である。
図8は、
図7中のY−Y線断面図(横断面図)である。
【0034】
図7に示すように、本実施の形態3の気液混合装置1Cは、旋回液流生成部3と、旋回液流加速部4と、気液混合部5Cと、気体導入部6Cと、導入気体分散手段7Cと、拡径部9とを備えている。
【0035】
気液混合部5Cは、旋回液流加速部4の下流側に、旋回液流加速部4に対し同心的に設けられている。気液混合部5Cの内径は、旋回液流加速部4の最小内径に比べて大きくなっている。本実施形態では、気液混合部5Cの内径は、進行方向TDに沿ってほぼ一定になっている。すなわち、気液混合部5Cは、略円柱状の内部空間を有している。
【0036】
また、気液混合装置1Cには、旋回液流加速部4の内周面の下流端4a(すなわち旋回液流加速部4の最小内径部分の内周)から外周側に広がって気液混合部5Cの内周面の上流端5aに繋がる内壁面として、リング状の壁面2が形成されている。図示の構成では、リング状の壁面2は、進行方向TDに対し垂直な円環状の平面をなしている。
【0037】
図8に示すように、気体導入部6Cは、実施の形態2と同様に、気液混合部5Cの内周面の接線方向に沿って気体を気液混合部5C内に流入させるように構成されている。気体導入部6Cが気液混合部5Cの内周面の接線方向に沿って気体を気液混合部5C内に流入させるように構成されていることにより、気体導入部6Cを通って気液混合部5Cに流入した気体を、気液混合部5Cの内周面に沿って所定の方向(本実施形態では、
図6中で反時計回り)に効率良く旋回させることができる。
【0038】
図7に示すように、導入気体分散手段7Cは、気体通路7dおよび複数の孔7bを有している。気体通路7dは、気液混合部5C内に流入した気体を、リング状の壁面2に沿って旋回させる円筒状あるいは円環状の通路である。複数の孔7bは、気体通路7dの、リング状の壁面2に対向する壁面を貫通する孔である。
図8に示すように、本実施形態では、4個の孔7bが、気液混合部5Cの中心に対する角度が等間隔(90°間隔)になるように配置されている。
【0039】
次に、本実施の形態3の気液混合装置1Cの動作について説明する。旋回液流加速部4で加速された旋回液流が気液混合部5C内に流入することにより、気液混合部5C内に負圧が発生し、この負圧により気体導入部6Cから気体が気液混合部5C内に自然吸気される。気液混合部5C内では、加速された旋回液流と、気体導入部6Cから導入された気体とが合流(合一)して、微細気泡が生成される。
図8に示すように、気液混合部5Cに流入した気体は、導入気体分散手段7Cの気体通路7d内を旋回液流と同方向に旋回し、孔7bから出て旋回を続けながら旋回液流に合流し、せん断破砕されて微細気泡になる。
【0040】
気液混合装置1Cに流入する液流の流量が大きい場合や、気液混合装置1Cの下流の圧力が低い場合には、気体導入部6Cから流入する気体量は増大する。そのように気体導入量が増大したときでも、導入された気体が、旋回液流に合流する際に、導入気体分散手段7Cの複数の孔7bを通って分散されることにより、気体(気泡)の表面積がほぼ一定になり、その気泡が旋回液流により更にせん断される。このため、旋回液流によりせん断されて生成する微細気泡の径もほぼ一定に維持することができ、径の大きい微細気泡(例えば気泡径が100μm以上)が混じって生成することを確実に抑制することができる。また、本実施の形態3によれば、孔7bから、気体が、液流の進行方向TDと同一方向に流入できるため、吸引される気体量が増大でき、生成する微細気泡の数も増大できる。
【0041】
以上説明した実施の形態1乃至3の気液混合装置は、何れも、気体を空気、液体を水とすることで、微細気泡発生装置として好適に用いることが可能である。また、本発明の気液混合装置は、例えば、工場の製造工程における部品洗浄装置や、生体活性化を目的とした溶存酸素富化装置などとしても好ましく用いることができる。
【0042】
実施の形態4.
次に、
図9を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図9は、本発明の風呂給湯装置の実施の形態を示す構成図である。
【0043】
図9に示すように、本実施形態の風呂給湯装置150は、熱源機としてのヒートポンプユニット110と、タンクユニット120とを備えている。ヒートポンプユニット110は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、放熱器に相当する沸き上げ用熱交換器12と、膨張弁13と、蒸発器14と、これらを環状に接続する循環配管15とによって構成された冷凍サイクル部17を有している。冷凍サイクル部17では、二酸化炭素等の冷媒が圧縮機11で圧縮されて高温、高圧となった後に沸き上げ用熱交換器12で放熱し、膨張弁13で減圧され、蒸発器14で吸熱してガス状態となって圧縮機11に吸入される。冷媒として二酸化炭素を用いる場合、高圧側では二酸化炭素の臨界圧を超える条件下で運転することが好ましい。
【0044】
一方、タンクユニット120は、貯湯タンク20、給水管路30、貯湯用循環管路40、タンク側循環管路50、風呂側循環管路60、追焚き用熱交換器70、第1給湯管路75、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80b、第2給湯管路90、第3給湯管路95等を有している。
【0045】
貯湯タンク20は、給水管路30から供給される水を貯留すると共にヒートポンプユニット110で沸き上げられた湯を貯留する積層式のタンクである。この貯湯タンク20の下部には、給水管路30が接続される水導入口20aと、貯湯用循環管路40の往き管40aが接続される水導出口20bとが設けられている。貯湯タンク20の上部には、貯湯用循環管路40の戻り管40bが接続される温水導入口20cと、第1給湯管路75が接続される温水導出口20dとが設けられている。貯湯タンク20は、給水管路30からの給水により常に満水状態に保たれる。
【0046】
図示を省略しているが、貯湯タンク20の上部には、貯湯タンク20からタンク側循環管路50、第1給湯管路75に流入する湯の温度を検出するための温度センサが取り付けられている。また、貯湯タンク20の周面部には、貯湯タンク20内の湯水の温度を検出するための複数の温度センサが互いに異なる取付け高さをもって取り付けられている。
【0047】
給水管路30は、市水等の水を貯湯タンク20、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80b、および一般給湯先180に供給する管路であり、減圧弁25と第1〜第3給水管部30a〜30cとを有している。減圧弁25は、第1給水管部30aの途中に設けられて、水道等の水源からの水圧を所定値に減じる。第1給水管部30aは、水源と貯湯タンク20の水導入口20aとを繋ぎ、第2給水管部30bは、減圧弁25で第1給水管部30aから分岐して該第1給水管部30aと風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80bとを繋ぎ、第3給水管部30cは、減圧弁25の上流側で第1給水管部30aから分岐して該第1給水管部30aと一般給湯先180とを繋ぐ。図示を省略しているが、第2給水管部30bには、該第2給水管部30b内の水の温度を検出するための温度センサが設けられている。
【0048】
一般給湯先180とは、使用者が手で直接操作して開栓する(センサを感応させて開栓する場合を含む)給湯先であり、例えば、洗面台や流し台の蛇口、浴室のシャワー等である。
【0049】
貯湯用循環管路40は、貯湯タンク20下部の水導出口20bからヒートポンプユニット110の沸き上げ用熱交換器12を経由して貯湯タンク20上部の温水導入口20cに達する管路であり、貯湯用送水ポンプ33および電動式の三方弁35が設けられた往き管40aと、戻り管40bと、三方弁35で往き管40aから分岐したバイパス管40cとを有している。上記の往き管40aは水導出口20bと沸き上げ用熱交換器12とを繋ぎ、戻り管40bは沸き上げ用熱交換器12と温水導入口20cとを繋ぎ、バイパス管40cは三方弁35と戻り管40bとを繋ぐ。
【0050】
タンク側循環管路50は、貯湯タンク20上部の温水導出口20dから追焚き用熱交換器70を経由して貯湯タンク20下部に達する管路であり、往き管50aと、タンク側送水ポンプ45が設けられた戻り管50bとを有している。往き管50aは温水導出口20dと追焚き用熱交換器70上部の温水導入口70aとを繋ぎ、戻り管50bは追焚き用熱交換器70下部の温水導出口70bと貯湯タンク20の下部とを繋ぐ。
【0051】
風呂側循環管路60(風呂循環路)は、浴槽170から追焚き用熱交換器70を経由して浴槽170に戻る管路であり、往き管60aおよび戻り管60bを有している。往き管60aは浴槽170と追焚き用熱交換器70下部の浴水導入口70cとを繋ぎ、戻り管60bは追焚き用熱交換器70上部の浴水導出口70dと浴槽170とを繋ぐ。往き管60aには、追焚き用熱交換器70側から上流側(浴槽170側)に向かって、フロースイッチ53、水位センサ55、および風呂側送水ポンプ57(循環ポンプ)がこの順番で設けられている。また、図示を省略しているが、当該往き管60aには、該往き管60a内の湯水の温度を検出するための温度センサも設けられている。
【0052】
フロースイッチ53は、往き管60aでの水流の有無を検出する。水位センサ55は、該水位センサ55の取付け位置を基準にした往き管60a内の水圧から浴槽170での浴水の水位を検出する。風呂側送水ポンプ57は、浴槽170内から浴水を導出して風呂側循環管路60に循環させ、浴槽170内に戻す。そして、図示を省略した上記の温度センサは、往き管60a内の浴水の温度を検出する。往き管60aおよび戻り管60bと、浴槽170との連結部には、浴槽アダプタ165が設けられている。
【0053】
浴槽アダプタ165内には、往き管60aと戻り管60bとが接続できるように2つの配管接続部が備えられている。浴槽アダプタ165と戻り管60bとの接続部の付近の戻り管60bの途中には、本発明の気液混合装置を適用した第一の微細気泡発生装置1Dが配置されている。第一の微細気泡発生装置1Dの構成としては、例えば、前述した実施の形態1乃至3の何れかの気液混合装置を適用することができる。第一の微細気泡発生装置1Dが備える気体導入部に連通する吸気部には、開閉可能な電磁弁61が設けられている。
【0054】
往き管60aの下流端付近(追焚き用熱交換器70の浴水導入口70cと、フロースイッチ53との間)には、第二の微細気泡発生装置54が配置されている。第二の微細気泡発生装置54の吸気部には、開閉可能な電磁弁56が設けられている。風呂側湯水混合弁80aと往き管60aとを接続する第2給湯管路90の途中には、第三の微細気泡発生装置58が配置されている。第三の微細気泡発生装置58の吸気部には、開閉可能な電磁弁59が設けられている。第二の微細気泡発生装置54および第三の微細気泡発生装置58は、本発明の気液混合装置で構成されていなくても良いが、自然吸気方式の微細気泡発生装置で構成されている。
【0055】
風呂給湯装置150は、制御部100と、浴室や台所の壁等に設置されるリモコン装置101とを更に備えている。使用者は、リモコン装置101にて、給湯温度の設定や各種運転モードの設定等を行うことができる。制御部100は、上述した各センサで検出された情報、および、リモコン装置101から送信された情報に基づいて、ヒートポンプユニット110、貯湯用送水ポンプ33、三方弁35、タンク側送水ポンプ45、風呂側送水ポンプ57、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80b、電磁弁61,56,59を制御することにより、風呂給湯装置150の各種の動作制御を行う。
【0056】
浴槽170に給湯する場合には、貯湯タンク20から供給される高温の湯と給水管路30から供給される水とが風呂側湯水混合弁80aにて設定温度となるように混合され、その混合された湯が第2給湯管路90、風呂側循環管路60を通って送られ、浴槽アダプタ165を介して浴槽170内に供給される。
【0057】
一般給湯先180に給湯する場合には、貯湯タンク20から供給される高温の湯と給水管路30から供給される水とが一般側湯水混合弁80bにて設定温度となるように混合され、その混合された湯が第3給湯管路95を通って送られて一般給湯先180に供給される。
【0058】
浴槽170内の浴水を保温または昇温する追焚き運転時には、タンク側送水ポンプ45および風呂側送水ポンプ57が駆動される。これにより、浴槽170から浴槽アダプタ165を通って往き管60aに吸入された浴水が追焚き用熱交換器70に送られ、貯湯タンク20からはタンク側循環管路50により高温の湯が追焚き用熱交換器70に供給され、追焚き用熱交換器70にて浴水が加熱される。この加熱された浴水は、戻り管60bを通って浴槽170へ戻り、浴槽アダプタ165から浴槽170内に流入する。この際、第一の微細気泡発生装置1Dの電磁弁61を開くことにより、第一の微細気泡発生装置1Dにて空気を浴水中に混合し、大量の微細気泡を発生させて浴槽170内に供給することができる。風呂側送水ポンプ57を継続して駆動することにより、第一の微細気泡発生装置1Dにて連続して微細気泡を発生することができるため、浴槽170内の微細気泡濃度を増大化することができる。この際、タンク側送水ポンプ45を駆動せずに風呂側送水ポンプ57のみを駆動し、追焚き運転を伴わずに第一の微細気泡発生装置1Dから浴槽170内に微細気泡を供給する運転のみを行っても良い。
【0059】
また、風呂給湯装置150は、入浴後に浴槽170内の浴水を排水するときには、第二の微細気泡発生装置54の電磁弁56を開き、風呂側送水ポンプ57を駆動することにより、第二の微細気泡発生装置54にて発生した微細気泡を追焚き用熱交換器70および戻り管60b内に供給し、これらの内部の皮脂汚れを洗浄除去する機能を有している。
【0060】
また、風呂給湯装置150は、入浴後に浴槽170内の浴水を排水するときには、第2給湯管路90から注水しながら第三の微細気泡発生装置58の電磁弁59を開くことにより、第三の微細気泡発生装置58にて発生した微細気泡を往き管60a内に供給し、その内部の皮脂汚れを洗浄除去する機能を有している。