(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源用制御ICは、個別の高耐圧スイッチングトランジスタを制御するための専用ICである。このICは、動作状態においては、高耐圧スイッチングトランジスタを動作させることにより自身の電源を形成するが、起動時においては、起動回路からの起動電流の供給を必要とする。通常、起動回路は、スイッチング電源用制御ICと同一の半導体基板に集積されており、それによって、部品点数の削減と電源システムの簡素化が実現されている。
【0003】
起動電流は、入力交流信号AC100〜240Vを整流したものであり、これを起動回路に供給するため、起動回路上流のノーマリオン型素子には、450V以上の耐圧が必要である。このノーマリオン型素子は、スイッチング電源用制御ICとモノリシック化されるため、横型高耐圧電界効果型接合トランジスタ(電界効果型接合トランジスタ:JFET)として実現される。この素子の電流駆動能力によって、スイッチング電源装置の設計仕様が決定される。
【0004】
図19または
図20は、従来のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
図19に示す構成は、AC入力を整流平滑してスイッチング電源用制御IC(以下、制御ICとする)231の高耐圧入力端子(以下、VH端子とする)232に供給するようにしたものである。
図20に示す構成は、AC入力を半波整流してVH端子232に供給するようにしたものである。
【0005】
図19または
図20に示すように、スイッチング電源装置は、商用電源などのAC入力を整流器202で全波整流し、その直流電圧により電源コンデンサ203を充電する。そして、トランス205の一次コイル206に接続されたスイッチング素子となるMOSFET219のオン/オフを、制御IC231により制御することによって、電源コンデンサ203の電圧に基づいた電圧をトランス205の二次コイル208に誘起させ、これを整流平滑化して、図示しない負荷にDC出力を供給する。
【0006】
スイッチング電源装置のプラグがコンセントから抜かれ、AC入力からの電圧供給がなくなると、一次側の入力電圧が低下する。この状態で、スイッチング電源装置が動作し続けると、MOSFET219のオン時間が長くなり、MOSFET219が発熱する。この問題を防ぐため、スイッチング電源装置には、入力電圧が低下したときに電源のスイッチング動作を停止するブラウンアウト機能が設けられている。
【0007】
ブラウンアウト機能を実現するため、従来のスイッチング電源装置では、
図19または
図20に示すように、制御IC231に、電源の一次側電圧を検出する端子としてブラウンアウト入力端子(以下、BO端子とする)262が設けられている。このBO端子262は、電源コンデンサ203に並列に接続された、2つの抵抗251,252からなる直列抵抗回路の中間ノードに接続されている。
【0008】
一次側の入力電圧は、抵抗251,252により抵抗分圧され、BO端子262を介してブラウンアウトコンパレータ(以下、BOコンパレータとする)244に入力され、そこで所定の電圧と比較される。そして、BO端子262からの入力電圧が所定の電圧よりも低くなると、ブラウンアウト機能が働き、ドライバ回路246によるMOSFET219のスイッチング動作が停止する。
【0009】
図21は、従来のスイッチング電源装置に用いられる起動回路の構成を示す回路図である。
図21に示すように、従来の起動回路241は、VH端子(高耐圧入力端子)261、オン/オフ信号入力端子(以下、on/off端子とする)263および電源電圧端子(以下、VCC端子とする)264を備えている。起動回路241の起動素子265は、電源の起動時にVCC端子264を介して制御IC231のVCC端子(電源電圧端子)235へ電流を流す第1のJFET281と、その電流経路に設けられたNMOSトランジスタ268をオン状態に保持する第2のJFET282からなる。
【0010】
また、ブラウンアウト機能を果たすための抵抗以外にも、上述したスイッチング電源装置などの、高電圧が印加される装置には、高電圧を抵抗分圧するための抵抗を接続することがある。例えば、
図19または
図20に示すスイッチング電源装置において、整流器202と電源コンデンサ203の間に、高調波電流を抑制するための力率改善回路が接続される場合、力率改善用制御ICに入力する電圧を抵抗を用いて分圧する。ここで、抵抗分圧をする抵抗のうち、配線に接続される抵抗は、配線が高電圧である場合には、高耐圧抵抗である必要があり、同時に常時消費される電力を抑えるためには高抵抗である必要がある。このため、通常は力率改善用制御ICに外付けされた抵抗器によって抵抗分圧を行う。
【0011】
図22は、従来の力率改善回路の構成を示す回路図である。
図22に示すように、従来の力率改善回路600は、例えば、100〜240Vの商用電源のAC入力を整流器202で全波整流し、その直列電圧により電源コンデンサ408を充電する。そして、力率改善用制御IC610によってスイッチングトランジスタ405を制御して、昇圧用インダクタ403に断続的な電流を流し、この断続的な電流を整流器407とコンデンサ203によって正弦波に変えて出力する。
【0012】
力率改善用制御IC610には、入力端子611とフィードバック端子612が設けられている。入力端子611は、電源コンデンサ408に並列に接続された、2つの抵抗621,622からなる抵抗分圧回路620の中間ノードに接続されている。これは、電源コンデンサ408の直流電圧を、抵抗分圧回路620によって抵抗分圧して、高い電圧を力率改善用制御IC610に入力可能な低い電圧に下げて入力端子611に入力するためである。
【0013】
また、同様に、フィードバック端子612は、電源コンデンサ408に並列に接続された、2つの抵抗641,642からなる抵抗分圧回路640の中間ノードに接続されている。これは、電源コンデンサ408の直流電圧を、抵抗分圧回路640によって抵抗分圧して、フィードバック端子612に入力するためである。そして、力率改善用制御IC610は、入力端子611とフィードバック端子612から入力された信号に基づいて、交流電流波形が交流電圧波形と相似になるようにスイッチングトランジスタ405のゲート端子にパルス幅の制御信号を出力する。力率改善回路IC610とスイッチングトランジスタ405の間には、抵抗404が接続されており、この抵抗404によってスイッチングトランジスタ405のゲート電流を調整する。また、電源コンデンサ408に並列に接続された抵抗630は、力率改善用制御IC610の電源を供給する。このように、抵抗621,622,630,404,641,642は、力率改善用制御IC610に外付けされている。
【0014】
ところで、過電流検出用比較器に入力させる参照信号を入力電圧検出回路の出力電圧の変化に応じて変化させる構成によって、入力電圧変動時または入力電圧レンジ切り換え時の過電流検出精度を向上させるようにしたスイッチング電源装置が公知である(例えば、特許文献1参照。)。また、半導体基板主面にフローティングの拡散層が環状に形成された半導体装置において、その拡散層上に、絶縁膜を介して、抵抗層が形成されたものが公知である(例えば、特許文献2参照。)。さらに、スイッチングレギュレータ用の高耐圧高抵抗の起動抵抗を内蔵した半導体装置が公知である(例えば、特許文献3参照。)。
【0015】
また、抵抗を内蔵した半導体装置において、抵抗の直下に形成された拡散領域の電位を抵抗の電位に近づけることで、フィールド酸化膜にかかる電界を縮小し、高耐圧化した半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献4参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置およびスイッチング電源装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路の要部の構成を示す回路図である。
図1に示すように、実施の形態1の半導体集積回路400は、力率改善用制御IC410内に、力率改善用制御IC410に入力する電圧を抵抗分圧するための抵抗、力率改善用制御IC410に電源を供給する抵抗、および、スイッチングトランジスタ405のゲート電流を調整する抵抗のすべて、またはいずれか一つを内蔵したものである。例えば、
図22に示す分圧抵抗回路620,640および抵抗630,404のすべて、またはいずれか一つを、力率改善用制御IC410内に内蔵したものである。
図1においては、
図22に示す分圧抵抗回路620,640および抵抗630を力率改善用制御IC410内に内蔵している。
【0030】
ここで、例えば、
図22に示す抵抗630を力率改善用制御IC410内に内蔵する場合、力率改善用制御IC410にコンデンサ406からの出力を受ける入力端子414と抵抗630の高電位側と接続される入力端子413を設ける必要がある。そして、抵抗630の低電位側を入力端子414に接続し、抵抗630の高電位側を入力端子413に接続する。
【0031】
力率改善用制御IC410は、例えば500V程度の入力端子411やフィードバック端子412などの複数の端子を有する。なお、
図1においては、力率改善用制御IC410の有する入力端子411、413、414およびフィードバック端子412以外の端子は、本発明の特徴ではないため、説明を省略する。
【0032】
AC入力は、AC入力端子1を介して整流器2に供給される。整流器2は、AC入力端子1に接続されており、AC入力を全波整流する。電源コンデンサ408は、整流器2に並列に接続されている。電源コンデンサ408には、整流器2から出力される直流電圧により充電される。充電された電源コンデンサ408は、コンデンサ3に直流電圧を供給する直流電源となる。また、電源コンデンサ408には、力率改善用制御IC410の入力端子411が接続されている。
【0033】
力率改善用制御IC410は、入力端子411とフィードバック端子412から入力された電圧を、力率改善用制御IC410に内蔵された抵抗によって抵抗分圧する。そして、入力端子411とフィードバック端子412から入力された信号に基づいて、交流電流波形が交流電圧波形と相似になるようにスイッチングトランジスタ405のゲート端子にパルス幅の制御信号を出力する。抵抗404は、力率改善用制御IC410とスイッチングトランジスタ405のゲート端子の間に接続されている。抵抗404は、スイッチングトランジスタ405のゲート電流を調整する。スイッチングトランジスタ405は、力率改善用制御IC410から送られた制御信号に基づいて、昇圧用インダクタ403に断続的な電流を流す。
【0034】
昇圧用インダクタ403は、整流器2と並列に接続されている。整流器407のアノード端子は、昇圧用インダクタ403とスイッチングトランジスタ405に接続され、カソード端子は、電源コンデンサ3と力率改善用制御IC410のフィードバック端子412に接続されている。整流器407と電源コンデンサ3は、昇圧用インダクタ403から供給される断続的な電流を正弦波に変えて出力する。
【0035】
図2は、この発明の実施の形態1にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。また、
図3および
図4は、それぞれ
図2に示す半導体装置を切断線Y−Y'、Z−Z'で切断した断面図である。なお、
図2では半導体装置の特徴を明瞭に示すため、金属配線、層間絶縁膜およびLOCOS酸化膜を省略して示す。この半導体装置500は、前記力率改善用制御IC410の一部を構成する。
【0036】
図2〜4に示すように、pウェル領域502(第2拡散領域)が、p基板101の表面層に選択的に形成されている。pウェル領域502は、チャネルが形成されるチャネル領域となる。また、p基板101の表面層には、空乏領域503(第1拡散層)となる低濃度のnウェル領域が、pウェル領域502の一部に所定の幅の円形状で入り込むように選択的に形成されている。
【0037】
nウェル領域505は、p基板101の表面層の、空乏領域503の中心部分に空乏領域503と接するように形成されている。空乏領域503上には、厚さ6000Å程度のLOCOS酸化膜108が形成されている。LOCOS酸化膜108、pウェル領域502およびnウェル領域505の上には、層間絶縁膜109が設けられている。
【0038】
nウェル領域505とpウェル領域502との間の領域において、層間絶縁膜109内には、高耐圧高抵抗素子121が埋め込まれている。高耐圧高抵抗素子121とLOCOS酸化膜108との間の層間絶縁膜109の厚さは2000Åとした。高耐圧高抵抗素子121は、ポリシリコンやCrSi等の薄膜抵抗でできており、平面形状が渦巻き状をなすように形成されている。層間絶縁膜109の上には、配線506(第2電極)となる金属配線、配線510(第1電極)となる金属配線、第1の抵抗接続配線122となる金属配線、および第2の抵抗接続配線123となる金属配線が形成されている。
【0039】
配線506は、nウェル領域505および空乏領域503を取り囲むように、pウェル領域502の上に形成されている。配線506は、層間絶縁膜109を貫通するゲートコンタクト部514を介してpウェル領域502に電気的に接続されている。配線506は、常に接地される。
【0040】
また、配線506は、高耐圧高抵抗素子121の上まで張り出すように形成されている。これにより、空乏領域503とpウェル領域502の境界部分で発生する電界強度が緩和され、半導体装置の耐圧をより高くすることができる。
【0041】
配線510は、層間絶縁膜109を貫通するドレインコンタクト部516を介してnウェル領域505に電気的に接続されている。配線510は、半導体集積回路の入力端子411に接続される。
【0042】
高耐圧高抵抗素子121の外側の終端は、層間絶縁膜109に設けられた第1の高耐圧高抵抗コンタクト部124を介して第1の抵抗接続配線122に電気的に接続されている。高耐圧高抵抗素子121において、その外側の終端よりも手前側の部分は、層間絶縁膜109に設けられた第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125を介して第2の抵抗接続配線123に電気的に接続されている。高耐圧高抵抗素子121の最も内側の輪の部分は、層間絶縁膜109に設けられた第3の高耐圧高抵抗コンタクト部126を介して配線510に電気的に接続されている。
【0043】
第1の抵抗接続配線122は、常に接地される。第2の抵抗接続配線123は、スイッチングトランジスタ405に接続され、制御信号を出力する。従って、高耐圧高抵抗素子121において、第3の高耐圧高抵抗コンタクト部126から第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125までが、入力端子411に接続される側の抵抗621、抵抗630または抵抗641に相当し、第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125から第1の高耐圧高抵抗コンタクト部124までが、接地される側の抵抗622または抵抗642に相当する。
【0044】
なお、本実施の形態では、入力端子411に接続される側の抵抗と、接地される側の抵抗を半導体装置500の上に配置したが、これに限るものではない。例えば、入力端子411に接続される側の抵抗を半導体装置500の上に配置し、接地される側の抵抗を半導体装置500の上以外の領域に形成することもできる。入力端子411に、500Vの電圧が印加される場合、抵抗621または抵抗641は、入力端子411に直接接続されるため500Vの耐圧を有する必要があるが、抵抗622または抵抗642は5V程度電圧が印加される程度である。よって、抵抗622または抵抗642は、半導体基板上に数百Å程度の厚さの層間絶縁膜を形成した上に形成することができ、一般的な薄膜抵抗を形成するプロセスにより形成することができる。
【0045】
500Vの耐圧の高耐圧高抵抗素子を、本実施の形態のように半導体装置500の上に形成せずに半導体基板上のLOCOS酸化膜上に形成しようとすると、LOCOS酸化膜にかけられる電界強度を3MV/cmとすると1.7μmの厚さが必要となる。このような厚いLOCOS酸化膜を形成するには時間を要する。また、高耐圧高抵抗素子を形成し、その上に層間絶縁膜を形成後、層間絶縁膜にコンタクト部を形成する際に、半導体基板に達する他のコンタクト部516,514と同時に形成することは困難であり、別々に形成すると工程が増えてしまう。
【0046】
上述した構成の半導体装置500では、pウェル領域502がグランド電位となり、nウェル領域505に高電圧が印加される。この場合、pウェル領域502と空乏領域503の接合から、主に空乏領域503内に空乏層が広がることにより耐圧を持つことができる。主に空乏領域503内に空乏層が広がる理由は、pウェル領域502が、空乏領域503に比べて不純物濃度が高くなるように形成されているためである。pウェル領域502の不純物濃度を高くして、空乏層がpウェル領域502に広がることを抑制することにより、半導体装置500の面積を小さくすることができる。本実施の形態では、pウェル領域502と空乏領域503の接合により、例えば500V以上の耐圧を持つように設計される。
【0047】
図5は、この発明の実施の形態1にかかる他の半導体装置の要部を示す平面図である。なお、
図5では、半導体装置の特徴を明瞭に示すため、pウェル領域502、空乏領域503、nウェル領域505および高耐圧高抵抗素子121のみを示す。上述した
図2〜
図4の説明では、高耐圧高抵抗素子の平面形状が略円形状の素子について示したが、
図5に示すように高耐圧高抵抗素子121の平面形状がトラック形状でもよい。また、
図5において、nウェル領域505を形成しない場合、空乏領域503とドレインコンタクト部516の接触部の平面形状が、nウェル領域505と同じになるように形成すればよい。
【0048】
図6は、この発明の実施の形態1にかかる他の半導体装置の要部を示す平面図である。また、
図7および
図8は、それぞれ、
図6に示す半導体装置を切断線Y−Y'、Z−Z'で切断した断面図である。なお、
図6では半導体装置の特徴を明瞭に示すため、金属配線、層間絶縁膜およびLOCOS酸化膜を省略して示す。
【0049】
図6〜
図8に示す半導体装置は、
図2〜
図4に示す半導体装置と異なり、フィールドプレート507が、空乏領域503とpウェル領域502の上にゲート酸化膜531を介して形成されている。また、フィールドプレート507は、空乏領域503の端部を被うように、酸化膜108の上にまで形成されている。フィールドプレート507は、コンタクト部515を介して配線506と接続されているため、接地されていることとなる。
【0050】
このように、フィールドプレート507が形成されることで、空乏領域503とpウェル領域502の境界部分で発生する電界強度がさらに緩和され、半導体装置の耐圧をさらに高くすることができる。また、同じ耐圧の場合、空乏領域503の不純物濃度を高くして、空乏領域503に広がる空乏層の広がりを抑制することにより、空乏領域503の幅
を小さくすることができる。これにより、半導体装置500の面積を小さくすることができる。
【0051】
なお、実施の形態1においては、力率改善回路用ICについて示したが、これは一例であり、高電圧に接続される外付け抵抗を半導体集積回路内に内蔵させる場合には、どのような集積回路であっても実施の形態1で示した半導体装置を適用することができる。
【0052】
(実施の形態2)
図9は、この発明の実施の形態2にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
図9に示すように、実施の形態2のスイッチング電源装置は、制御IC31の起動回路41内に、AC入力電圧の低下を検出するための図示しない抵抗(以下、ブラウンアウト抵抗とする)を内蔵したものである。
【0053】
制御IC31は、例えば500V程度のVH端子(高耐圧入力端子)32、フィードバック入力端子(以下、FB端子とする)33、電流センス入力端子(以下、IS端子とする)34、制御IC31の電源電圧端子(以下、VCC端子とする)35、MOSFET19のゲート駆動端子(以下、OUT端子とする)36、および接地端子(以下、GND端子とする)37を有する。VH端子32は、電源起動時にVCC端子35に電流を供給する端子である。実施の形態1では、AC入力電圧を整流平滑した電圧がVH端子32に印加される。GND端子37は、接地されている。
【0054】
AC入力は、AC入力端子1を介して整流器2に供給される。整流器2は、AC入力端子1に接続されており、AC入力を全波整流する。電源コンデンサ3は、整流器2の出力端子に並列に接続されており、整流器2から出力される直流電圧により充電される。充電された電源コンデンサ3は、トランス5の一次コイル6に直流電圧を供給する直流電源となる。また、電源コンデンサ3には、制御IC31のVH端子32が接続されている。
【0055】
一次コイル6は、電源コンデンサ3と、スイッチング素子として機能するMOSFET19のドレイン端子との間に接続されている。MOSFET19のソース端子は、制御IC31のIS端子34と、抵抗20の一端に接続されている。抵抗20の他端は、接地されている。この抵抗20により、MOSFET19を流れる電流が電圧に変換され、その電圧がIS端子34に印加される。MOSFET19のゲート端子は、制御IC31のOUT端子36に接続されている。
【0056】
トランス5の補助コイル7の一端は、整流ダイオード17のアノード端子に並列に接続されている。補助コイル7の他端は、接地されている。補助コイル7には、MOSFET19のスイッチング動作により誘起された電流が流れる。整流ダイオード17は、補助コイル7を流れる電流を整流し、そのカソード端子に接続された平滑コンデンサ18を充電する。平滑コンデンサ18は、制御IC31のVCC端子35に接続されており、MOSFET19のスイッチング動作を継続させるための直流電源となる。
【0057】
トランス5の二次コイル8には、MOSFET19のスイッチング動作により、電源コンデンサ3の電圧に基づいた電圧が誘起される。二次コイル8の一端は、整流ダイオード9のアノード端子に接続されている。整流ダイオード9のカソード端子および二次コイル8の他端は、DC出力端子12に接続されている。また、整流ダイオード9のカソード端子と二次コイル8の他端との間には、平滑コンデンサ10が接続されている。整流ダイオード9は、二次コイル8を流れる電流を整流し、平滑コンデンサ10を充電する。充電された平滑コンデンサ10は、DC出力端子12に接続される図示しない負荷に、所望の直流電圧値になるように制御された直流出力(DC出力)を供給する。
【0058】
また、整流ダイオード9のアノード端子とDC出力端子12の接続ノードには、2つの抵抗15,16からなる直列抵抗回路と、抵抗11の一端が接続されている。抵抗11の他端は、フォトカプラを構成するフォトダイオード13のアノード端子に接続されている。フォトダイオード13のカソード端子は、シャントレギュレータ14のカソード端子に接続されている。シャントレギュレータ14のアノード端子は、接地されている。これら抵抗11,15,16、フォトダイオード13およびシャントレギュレータ14は、平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を検出し、この直流出力電圧を調整する電圧検出・フィードバック回路を構成している。
【0059】
フォトダイオード13からは、シャントレギュレータ14での設定値に基づいて平滑コンデンサ10の両端の直流出力電圧を所定の直流電圧値に調整するように、光信号が出力される。その光信号は、フォトダイオード13とともにフォトカプラを構成するフォトトランジスタ22により受信され、制御IC31へのフィードバック信号となる。フォトトランジスタ22は、制御IC31のFB端子33に接続されており、フィードバック信号は、このFB端子33に入力される。また、フォトトランジスタ22には、コンデンサ21が接続されている。このコンデンサ21は、フィードバック信号に対するノイズフィルタとなる。
【0060】
制御IC31には、起動回路41、低電圧停止回路(UVLO:Under−Voltage−Lock−Out)42、レギュレータ43、BOコンパレータ44、発振器45、ドライバ回路46、出力アンプ47、パルス幅変調コンパレータ(以下、PWMコンパレータとする)48、ラッチ回路49および基準電源50を備えている。起動回路41は、VH端子32、VCC端子35、およびBOコンパレータ44の非反転入力端子に接続されている。起動回路41は、電源の起動時に、VCC端子35に電流を供給する。
【0061】
低電圧停止回路42は、VCC端子35および起動回路41に接続されている。低電圧停止回路42は、起動回路41から供給される電流によりVCC端子35の電圧が制御IC31の動作に必要な電圧まで上昇すると、起動回路41からVCC端子35への電流の供給を停止させる。その後のVCC端子35への電流供給は、補助コイル7から行われる。レギュレータ43は、VCC端子35に接続されており、VCC端子35の電圧に基づいて、制御IC31の各部の動作に必要な基準電圧を生成する。電源が起動した後、制御IC31は、レギュレータ43から出力される基準電圧により駆動される。
【0062】
PWMコンパレータ48の反転入力端子および非反転入力端子は、それぞれ、IS端子34およびFB端子33に接続されている。PWMコンパレータ48は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。PWMコンパレータ48の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0063】
ドライバ回路46には、発振器45が接続されており、発振器45から発振信号が入力される。発振器45からドライバ回路46にターンオン信号が入力され、かつPWMコンパレータ48の非反転入力端子の電圧(すなわち、FB端子33の電圧)が反転入力端子の電圧(すなわち、IS端子34の電圧)よりも大きいときに、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるHi状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートを駆動する。
【0064】
一方、PWMコンパレータ48の反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧よりも大きくなると、PWMコンパレータ48が反転し、ドライバ回路46の出力信号は、Low状態になる。出力アンプ47は、ドライバ回路46から出力されるLow状態の信号を増幅し、OUT端子36を介してMOSFET19のゲートに供給する。従って、MOSFET19はオフ状態となり、MOSFET19に電流が流れなくなる。このように、2次側の出力電圧に応じてPWMコンパレータ48のスレッシュレベルを変化させて、MOSFET19のオン期間を可変制御することにより、2次側の出力電圧が安定化する。
【0065】
また、BOコンパレータ44の反転入力端子は、基準電源50に接続されている。BOコンパレータ44は、非反転入力端子の電圧と反転入力端子の電圧の大小関係により、出力を反転させる。BOコンパレータ44には、後述するように、起動回路41内の抵抗で抵抗分圧された低い電圧の信号が入力されるので、BOコンパレータ44を低耐圧MOSにより構成することができる。BOコンパレータ44の出力は、ドライバ回路46に入力される。
【0066】
ドライバ回路46からHi状態の信号が出力されている状態で、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも大きいときには、ドライバ回路46の出力信号は、Hi状態のままである。AC入力からの電圧供給がなくなり、一次側の入力電圧が低下すると、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも小さくなる。そうすると、ドライバ回路46の出力信号が反転してLow状態となり、MOSFET19のスイッチング動作が停止し、ブラウンアウト機能が働くことになる。
【0067】
ラッチ回路49は、ドライバ回路46に接続されている。ラッチ回路49は、二次側出力電圧の上昇、制御IC31の発熱、または二次側出力電圧の低下などの異常状態が検出されたときに、過電圧保護、過熱保護または過電流保護のためドライバ回路46の出力を強制LOW状態とし、二次側出力への電力供給を停止する。この状態は、VCC電源電圧が低下し、制御IC31がリセットされるまで保持される。特に限定しないが、例えば、制御IC31の各回路等を構成する素子は、同一半導体基板上に形成される。
【0068】
図10は、起動回路の構成を示す回路図である。
図10に示すように、起動回路41は、VH端子(高耐圧入力端子)61、BO端子(ブラウンアウト入力端子)62、on/off端子(オン/オフ信号入力端子)63およびVCC端子(電源電圧端子)64を備えている。VH端子61およびVCC端子64は、それぞれ、制御IC31のVH端子32およびVCC端子35に接続されている。on/off端子63は、低電圧停止回路42に接続されている。
【0069】
また、起動回路41は、起動素子65を備えている。起動素子65は、2つの高耐圧JFET81,82と、2つの抵抗73,74からなる直列抵抗回路を備えている。BO端子62は、抵抗73,74からなる直列抵抗回路の中間ノードに接続されている。抵抗73,74からなる直列抵抗回路は、VH端子61に接続されている。
【0070】
また、BO端子62は、BOコンパレータ44の非反転入力端子に接続されている。つまり、VH端子61への入力電圧を抵抗73,74により抵抗分圧した電圧が、BOコンパレータ44の非反転入力端子に入力される。抵抗73,74の抵抗値は、特に限定しないが、1MΩ以上であり、その抵抗値の上限は特にないが、IC内に作成可能な抵抗値の上限以下である。例えば、10MΩ程度以下である。
【0071】
2つのJFET81,82は、ノーマリオン型の電界効果型接合トランジスタであり、それらのゲート端子は、接地されている。また、これら2つのJFET81,82のドレイン端子は、VH端子61に共通接続されている。第1のJFET81のソース端子は、第1のPMOSトランジスタ67のソース端子および第2のPMOSトランジスタ69のソース端子に接続されている。
【0072】
第1のPMOSトランジスタ67のゲート端子は、第2のPMOSトランジスタ69のゲート端子およびドレイン端子に共通接続されている。第2のPMOSトランジスタ69のドレイン端子は、負荷70に接続されている。第1のPMOSトランジスタ67のドレイン端子とVCC端子64の間には、第1のNMOSトランジスタ68が接続されている。
【0073】
第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、抵抗66を介して第2のJFET82のソース端子に接続されている。また、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子は、第2のNMOSトランジスタ71のドレイン端子に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、on/off端子63に接続されている。第2のNMOSトランジスタ71のソース端子は、接地されている。また、第2のNMOSトランジスタ71のゲート端子は、抵抗72を介して接地されている。
【0074】
このような構成の起動回路41では、第2のPMOSトランジスタ69の電圧電流特性と負荷70のインピーダンスによって、第2のPMOSトランジスタ69に流れる電流が決まる。第2のPMOSトランジスタ69と第1のPMOSトランジスタ67はカレントミラー接続になっている。そして、第2のPMOSトランジスタ69のW/Lの値が1であるのに対して、第1のPMOSトランジスタ67のW/Lの値は100である。なお、WおよびLは、それぞれ、チャネル幅およびチャネル長である。従って、第1のPMOSトランジスタ67には、第2のPMOSトランジスタ69の100倍の電流が流れる。なお、WおよびLは、それぞれ、チャネル幅およびチャネル長である。
【0075】
第1のNMOSトランジスタ68は、on/off端子63を介して低電圧停止回路42から供給されるオン/オフ信号に基づいて、オン状態とオフ状態が切り替わるスイッチとして機能する。オン/オフ信号がLow状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオフ状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート端子に高い電圧が入力されるので、スイッチがオン状態となる。このスイッチがオン状態になることによって、上述した電源の起動時に、起動回路41から制御IC31のVCC端子35に電流が供給される。
【0076】
一方、オン/オフ信号がHi状態の場合には、第2のNMOSトランジスタ71がオン状態となり、第1のNMOSトランジスタ68のゲート電圧がゼロになるので、スイッチがオフ状態となる。従って、VH端子61とVCC端子64の間の電流経路が遮断されるので、起動回路41からVCC端子35への電流の供給が停止する。
【0077】
なお、JFET81とJFET82が1つのJFETから構成される場合もある。例えば、JFET81のみで構成するものである場合は、JFET82が不要となり、JFET82のソースに接続されて、抵抗66と接続される配線は、JFET81のソースに接続すればよい。
【0078】
図11は、この発明の実施の形態2にかかる半導体装置の要部を示す平面図である。また、
図12、
図13および
図14は、それぞれ、
図11に示す半導体装置を切断線X−X'、Y−Y'およびZ−Z'で切断した断面図である。なお、
図11では、半導体装置の特徴を明瞭に示すため、金属配線、層間絶縁膜およびLOCOS酸化膜を省略して示す。この半導体装置は、前記起動素子65を構成する。
【0079】
図11〜
図14に示すように、ゲート領域102となるpウェル領域が、p基板101の表面層に選択的に形成されている。ゲート領域102は、チャネルが形成されるチャネル領域となる。また、p基板101の表面層には、ドリフト領域103となる低濃度のnウェル領域が、ゲート領域102の一部に所定の幅で入り込むように選択的に形成されている。さらに、p基板101の表面層の、ドリフト領域103の入り込んだ箇所には、ソース領域104となる高濃度のnウェル領域が選択的に例えば8個形成されている。なお、ソース領域104は、ドリフト領域103の入り込んだ箇所のすべて、例えばドリフト領域103の入り込んだ8箇所のすべてに形成されていてもよいし、ドリフト領域103の入り込んだ一部の箇所、例えばドリフト領域103の入り込んだ8箇所のうちの7箇所以下に形成されていてもよい。
【0080】
ドレイン領域105となる高濃度のnウェル領域は、ソース領域104と対向して、p基板101の表面層の、ソース領域104から離れた箇所に選択的に形成されている。ソース領域104は、ドレイン領域105から等間隔となる円周上に形成されている。ソース領域104とドレイン領域105は、拡散により同時に形成される。
【0081】
なお、ドレイン領域105は形成しなくてもよい。この場合、ドリフト領域103がドレイン電極配線110と接続される。
【0082】
ドリフト領域103がゲート領域102に接する箇所には、制御電極としてゲートポリシリコン電極107がゲート領域102とドリフト領域103に跨がるように形成されている。ソース領域104が形成されている箇所では、ゲートポリシリコン電極107は、ドリフト領域103上の厚さ6000Å程度のLOCOS酸化膜108上に形成されている。LOCOS酸化膜108、ゲートポリシリコン電極107、ゲート領域102、ソース領域104およびドレイン領域105の上には、層間絶縁膜109が設けられている。
【0083】
ドレイン領域105とゲート領域102またはソース領域104との間の領域において、層間絶縁膜109内には、高耐圧高抵抗素子121が埋め込まれている。高耐圧高抵抗素子121とLOCOS酸化膜108との間の層間絶縁膜109の厚さは2000Åとした。高耐圧高抵抗素子121は、ポリシリコンやCrSi等の薄膜抵抗でできており、平面形状が渦巻き状をなすように形成されている。層間絶縁膜109の上には、ゲート電極配線106となる金属配線、ドレイン電極配線110となる金属配線、第1のソース電極配線111となる金属配線、第2のソース電極配線112となる金属配線、第1の抵抗接続配線122となる金属配線、および第2の抵抗接続配線123となる金属配線が形成されている。
【0084】
ゲート電極配線106は、ドレイン領域105、ドリフト領域103およびソース領域104を取り囲むように、ゲート領域102の上に形成されている。ゲート電極配線106は、層間絶縁膜109を貫通するゲートコンタクト部114およびポリシリコンコンタクト部115を介してゲート領域102およびゲートポリシリコン電極107に電気的に接続されている。ゲート電極配線106は、常に接地される。
【0085】
ドレイン電極配線110は、層間絶縁膜109を貫通するドレインコンタクト部116を介してドレイン領域105に電気的に接続されている。ドレイン領域105は、第1のJFET81および第2のJFET82に共通のドレイン領域であり、ドレイン電極配線110は、起動回路41のVH端子61に接続される。
【0086】
第1のソース電極配線111は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部117を介して例えば7個のソース領域104に電気的に接続されている。第1のソース電極配線111が電気的に接続された7個のソース領域104は、前記第1のJFET81のソース領域となる。第2のソース電極配線112は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部118を介して例えば別の1個のソース領域104に電気的に接続されている。
【0087】
第2のソース電極配線112が電気的に接続された1個のソース領域104は、第2のJFET82のソース領域となる。なお、ここでは、8個のソース領域104を7個と1個に分けたが、これに限らず、どのような組み合わせであってもよい。起動電流を確保するためには、第1のJFET81のソース領域の数が、第2のJFET82のソース領域の数よりも多いことが望ましい。また、第1のJFET81と第2のJFET82を別の素子として形成してもよい。
【0088】
例えば、
図11の構成において、第1のソース電極配線111と第2のソース電極配線112を接続して第1のJFET81と高耐圧高抵抗素子121を集積させたものとし、別の領域に第2のJFET82のみを形成する。また、前述したように、第2のJFET82を形成しない場合は、第1のソース電極配線111と第2のソース電極配線112を接続して第1のJFET81と高耐圧高抵抗素子121を集積させたものとする。
【0089】
高耐圧高抵抗素子121の外側の終端は、層間絶縁膜109に設けられた第1の高耐圧高抵抗コンタクト部124を介して第1の抵抗接続配線122に電気的に接続されている。高耐圧高抵抗素子121において、その外側の終端よりも手前側の部分は、層間絶縁膜109に設けられた第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125を介して第2の抵抗接続配線123に電気的に接続されている。高耐圧高抵抗素子121の最も内側の輪の部分は、層間絶縁膜109に設けられた第3の高耐圧高抵抗コンタクト部126を介してドレイン電極配線110に電気的に接続されている。
【0090】
第1の抵抗接続配線122は、常に接地される。第2の抵抗接続配線123は、BO端子62に接続される。従って、高耐圧高抵抗素子121において、第3の高耐圧高抵抗コンタクト部126から第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125までが、VH端子61に接続される側の抵抗73に相当し、第2の高耐圧高抵抗コンタクト部125から第1の高耐圧高抵抗コンタクト部124までが、接地される側の抵抗74に相当する。
【0091】
本実施の形態では、高耐圧高抵抗素子121は、抵抗73と抵抗74を起動素子65の上に配置したが、抵抗73のみを起動素子65の上に形成し、抵抗74を起動素子65の上以外の領域に形成することもできる。VH端子61に500Vの電圧が印加される場合、抵抗73はVH端子61に直接接続されるため500Vの耐圧を有する必要があるが、抵抗74は5V程度電圧が印加される程度である。よって、抵抗74は、半導体基板上に数百Å程度の厚さの層間絶縁膜を形成した上に形成することができ、一般的な薄膜抵抗を形成するプロセスにより形成することができる。
【0092】
500Vの耐圧の高耐圧高抵抗素子を、本実施の形態のように起動素子65の上に形成せずに半導体基板上のLOCOS酸化膜上に形成しようとすると、LOCOS酸化膜にかけられる電界強度を3MV/cmとすると1.7μmの厚さが必要となる。このような厚いLOCOS酸化膜を形成するには時間を要する。また、高耐圧高抵抗素子を形成し、その上に層間絶縁膜を形成後、層間絶縁膜にコンタクト部を形成する際に、半導体基板に達する他のコンタクト部116,118と同時に形成することは困難であり、別々に形成すると工程が増えてしまう。また、起動素子の形成領域とは別の形成領域を確保する必要があり、チップ面積が増加する。
【0093】
上述した構成の起動素子65では、高耐圧化のための構造をゲート領域102とドリフト領域103の接合が担当し、大電流のための構造をソース領域104が担当するように役割分担しているので、高耐圧化と低オン抵抗化を両立することができる。ドレイン領域105に電圧が印加されるとドレイン電流が放射状に流れる。ソース領域104が正電位にバイアスされ、この電位が上昇してある電位になるとドリフト領域103が空乏層によりカットオフされ、ドレイン電流が遮断される。この実施の形態では、ドレイン−ソース間は、主にゲート領域102とドリフト領域103の接合により、例えば500V以上の耐圧を持つように設計される。
【0094】
(実施の形態3)
図15は、この発明の実施の形態3にかかるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
図15に示すように、実施の形態3のスイッチング電源装置では、AC入力電圧を半波整流した電圧が制御IC31のVH端子32に入力される。この場合には、AC入力電圧がゼロになった場合でもVH端子32の電圧がゼロにならないようにするために、例えば、次のような構成の平滑回路が必要となる。
【0095】
実施の形態3では、実施の形態2のスイッチング電源装置の構成に、逆流防止用のダイオード23、コンデンサ24および2個の抵抗25,26が追加されている。これらダイオード23、コンデンサ24および抵抗25,26は、制御IC31に外付けされている。また、実施の形態3では、VH端子32の接続先が、実施の形態2と異なる。その他の構成は、実施の形態2と同じであるので、重複する説明を省略する。また、起動回路41とその中の起動素子65の構成は、実施の形態2と同じであるので、説明を省略する。
【0096】
ダイオード23のアノード端子は、一方のAC入力端子1に接続されている。ダイオード23のカソード端子は、第1の抵抗25の一端に接続されている。第1の抵抗25の他端は、VH端子32と第2の抵抗26の一端に接続されている。第2の抵抗26の他端は接地されている。コンデンサ24は、第2の抵抗26に並列に接続されており、AC入力からの電圧供給がない場合の電圧低下を抑える機能を有する。
【0097】
第2の抵抗26は、コンデンサ24の放電用の抵抗であり、AC入力からの電圧供給がなくなった後にコンデンサ24に高い電圧が残るのを防ぐ。第1の抵抗25は、コンデンサ24とともにローパスフィルタを構成しており、AC入力により電圧が急上昇するのを抑える。また、第1の抵抗25は、第2の抵抗26との間で抵抗分圧し、VH端子32に入力される電圧を調整する分圧抵抗となっている。
【0098】
図16は、この発明の実施の形態3にかかるスイッチング電源装置の他の構成を示す回路図である。
図16に示す例は、
図15に示す構成において制御IC31に外付けされている平滑回路の代わりに、BOコンパレータ44の非反転入力端子に平滑用コンデンサ53を追加したものである。従って、外付け平滑回路を構成するコンデンサ24、第1の抵抗25および第2の抵抗26はなく、制御IC31のVH端子32は、一方のAC入力端子1に接続されたダイオード23のカソード端子に接続される。
【0099】
この構成では、AC入力から電圧供給がない場合、制御IC31のVH端子32の電圧が低下し、起動回路41のBO端子62の電圧、すなわちBOコンパレータ44の非反転入力端子への入力電圧が低下してしまう。
図16に示すように、BOコンパレータ44の非反転入力端子に平滑用コンデンサ53が接続されていることによって、BO端子62の電圧が低下しても、正確に1次側電圧を検出することができる。
【0100】
図17は、この発明の実施の形態3にかかるスイッチング電源装置のさらに他の構成を示す回路図である。
図17に示す例は、
図16に示す構成と同様、外付け平滑回路のない構成となっている。制御IC31のVH端子32は、ダイオード23のカソード端子に接続されている。そして、外付け平滑回路の代わりに、BOコンパレータ44の出力端子とドライバ回路46の間にタイマ54が追加されている。
【0101】
このタイマ54は、制御IC31のVH端子32の電圧が低下して、BOコンパレータ44の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも小さくなっている時間を計り、その時間が商用電源の周期である20msよりも充分に長い時間であるときに、ドライバ回路46に対して、MOSFET19のスイッチング動作を停止させる。つまり、ブラウンアウト機能を働かせる。
【0102】
(実施の形態4)
図18は、この発明の実施の形態4にかかる半導体装置を示す断面図である。
図18に示すように、実施の形態4の半導体装置は、起動素子65を構成する2個の高耐圧電界効果型トランジスタを、接合型のトランジスタ(実施の形態2のJFET81,82)に代えて、Nチャネルの絶縁ゲート型のトランジスタ(NMOSFET)により構成したものである。以下、
図18を参照しながら、実施の形態4の半導体装置が実施の形態2の半導体装置と異なる点についてのみ、説明する。
【0103】
JFETにおいてゲート領域となるpウェル領域は、実施の形態4のNMOSFETでは、pベース領域302となる。このpベース領域302は、チャネルが形成されるチャネル領域となる。ソース領域304は、pベース領域302内のp基板101の表面層において、ドレイン領域105から等間隔となる円周上に、平面形状が環状をなすように形成されている。つまり、ソース領域304は、連続する1つの領域として形成されている。
【0104】
従って、実施の形態2の半導体装置では、
図12に示す断面ではソース領域104が出現し、
図15に示す断面ではゲート領域102が出現するが、実施の形態4の半導体装置では、いずれの断面でもpベース領域302とその中のソース領域304が出現する。ソース領域304とドレイン領域105は、拡散により同時に形成され、両領域304,105の深さは、ドリフト領域103およびpベース領域302の深さよりも浅い。なお、ドレイン領域105は形成しなくてもよい。
【0105】
また、pベース領域302は、ドリフト領域103に接している。pベース領域302の、ドリフト領域103とソース領域304に挟まれる部分の表面上には、ゲート絶縁膜331を介して制御電極であるゲートポリシリコン電極107が形成されている。ゲートポリシリコン電極107は、
図18と異なる断面において層間絶縁膜109の表面上に引き出され、図には現われていないゲート電極配線に接続される。
【0106】
ソース電極配線311となる金属配線は、層間絶縁膜109を貫通するソースコンタクト部317を介してpベース領域302とソース領域304の両方に電気的に接続されている。ソース電極配線311は、複数に分割されている。その理由は、ソース電極配線311を分割することにより、連続する1つの領域からなるソース領域304を、第1のJFET81に相当するNMOSFETと第2のJFET82に相当するNMOSFETのそれぞれのソース領域とするためである。
【0107】
このようにすることによって、第1のJFET81に相当するNMOSFETと第2のJFET82に相当するNMOSFETが構成されている。また、スイッチング電源装置の起動素子として実施の形態3の半導体装置を用いる場合には、平滑コンデンサ18(
図9参照)の充電電圧がゼロから30Vになるまでの間では、ゲートポリシリコン電極107にしきい値電圧以上の電圧を印加し、平滑コンデンサ18(
図9参照)の充電電圧が30V以上になったら、ゲートポリシリコン電極107を接地するような構成の制御回路を用いる必要がある。
【0108】
以上説明したように、実施の形態2、3または4によれば、同一半導体基板内に抵抗73,74が集積されているので、抵抗73,74を内蔵する制御IC31が得られる。従って、制御IC31に外付けする部品の数が減るので、部品コストや組み立てコストの低減と、小型化を図ることができる。
【0109】
また、実施の形態2、3または4では、起動素子65の上に抵抗73,74を形成したが、抵抗73,74を実施の形態1で示した半導体装置500として制御ICに内蔵してもよい。また、実施の形態2、3または4においても、
図5に示すように、トラック形状の平面形状を有する起動素子としてもよい。
【0110】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した数値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、半導体装置の説明においては第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としたが、本発明は第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としても同様に成り立つ。