特許第5692306号(P5692306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692306
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】水量調整弁制御装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 15/04 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F03B15/04 L
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-174167(P2013-174167)
(22)【出願日】2013年8月26日
(62)【分割の表示】特願2010-23375(P2010-23375)の分割
【原出願日】2010年2月4日
(65)【公開番号】特開2013-256957(P2013-256957A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2013年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150441
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大和 昌一
(72)【発明者】
【氏名】相場 茂
(72)【発明者】
【氏名】井筒 研吾
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭42−003644(JP,B1)
【文献】 特開昭57−035166(JP,A)
【文献】 特公昭40−023083(JP,B1)
【文献】 特開昭53−122036(JP,A)
【文献】 特公昭45−005846(JP,B1)
【文献】 特開昭55−112877(JP,A)
【文献】 特開平09−203372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水車に流入する水量を調整するための水量調整弁の開閉を駆動制御する水量弁調節機構を備えた水量調整弁制御装置において、
前記水車は、ガイドベーンが固定されている水車であるとともに、
前記水量調整弁は、前記水車の上流側または下流側の配管に入口弁または出口弁として設けられるものであり、
前記水量調整弁制御装置は、開指令信号を受けたとき、前記水車への流水を行うために前記水量調整弁を開く開操作を行なうとともに、閉指令信号を受けたとき、前記水車への流水を遮断するために前記水量調整弁を閉める閉操作を行なうものであって、
前記水量調整弁の開閉時に前記水車に流入する水量の変化を略均一にするため、前記水量調整弁の開度と該水量調整弁を流れる流量との流量特性に基づいて、前記水量調整弁の開度と開閉時間との関係が曲線的になるように前記水量弁調節機構の駆動速度の切り換えを行う速度制御回路を備えたことを特徴とする水量調整弁制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水量調整弁制御装置において、
前記速度制御回路は、
前記水量弁調節機構の駆動用モータを連続的に増速または減速させる回転数制御機から構成されることを特徴とする水量調整弁制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水量調整弁制御装置において、
前記水車は、プロペラ水車であることを特徴とする水量調整弁制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電所等に設置される発電機等を回転駆動するための水車の水量調整弁(入口弁または出口弁)の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所等に設置される発電用水車には、配管より導入される流水により回転力が与えられる。そして、水車には発電機が接続されており、発電機を回転駆動して発電するように構成されている。
【0003】
水車の上流側には、水量調整弁が設けられており、主機の故障・異常時や内部点検の際には、水量調整弁を閉めることにより水車への流水を遮断する。また、主機が始動する場合には、水量調整弁を開くことにより水車への流水を行う。
【0004】
従来の水量調整弁制御装置としては、図12に示す構成が知られている。図12は、従来の水量調整弁制御装置のブロック図である。図において、12は開指令接点、13は閉指令接点、14は駆動用モータ制御装置、2は駆動用モータ、15は水量調整弁、16は水車である。
【0005】
開指令接点12がオン状態にされたときには、開指令信号を生成して駆動用モータ制御装置14に供給する。駆動用モータ制御装置14は、開指令信号に基づいて定格速度で駆動用モータ2を正転させ、この駆動用モータ2の駆動力で水量調整弁15を開いて水車16に水を供給させる。
【0006】
また、閉指令接点13が閉じられたときには、閉指令信号を生成して駆動用モータ制御装置14に供給する。そして、駆動用モータ制御装置14は、閉指令信号に基づいて定格速度で駆動用モータ2を逆転させて水量調整弁15を閉じさせる。
【0007】
ここで、水量調整弁を全開状態から全閉状態へ移行させる際には、全閉状態になる直前で、水量調整弁上流側の鉄管内の圧力が急激に増加するため、鉄管破損等の事故が発生するという問題が生じてしまうが、これは、以下の理由によるものである。
【0008】
図13は、プロペラ水車の流量特性を示す図である。プロペラ水車の流量特性は、図に示すとおり、回転速度が上昇すると流量が増加する。
図14は、従来の水量調整弁制御装置の水量調整弁の流量特性を示す図である。水量調整弁の流量特性は、図に示すとおり、全開度付近においても流量はあまり変化しない。
【0009】
従って、水量調整弁を直線的に閉鎖すると、弁を閉鎖しても、当初は水車の流量の影響が大きく、弁を通過する流量が増加して水車上流側では水圧降下、水車下流側では水圧上昇が生じる。弁開度が半分以下まで閉鎖されると、弁の閉鎖特性に影響されて、弁を通過する流量が急激に絞られる。この結果、弁全閉近傍で大きな水圧上昇が生じてしまう。
【0010】
特に、水車の上流側または下流側の配管が長い系統にガイドベーンが固定されているプロペラ水車を採用した場合などには、配管が長いため、このような水圧上昇を適切に防止することは難しい。
【0011】
そこで、特許文献1では、開度検出器を用いて入口弁の開度を測定し、入口弁の開度が予め設定された開度に到達するまでは高速で閉じ、設定開度以下となってからは低速で閉じる制御を行うことにより、鉄管内の水圧上昇を所定範囲内に収める構成が開示されている。
【0012】
特許文献2では、入口弁の開度を検出して動作するリミットスイッチを設け、予め設定した開度において入口弁の閉速度および開速度を切り換える制御を行っている。入口弁を開く過程では、始めは遅くし、ある開度から速くする。閉じる過程では、始めは速くし、ある開度から遅くする。これにより、入口弁の閉操作時および開操作時における鉄管内の水圧上昇を防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平6−43269号公報
【特許文献2】特開平11−82276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、これらの従来の水量調整弁制御装置には以下のような課題があった。
特許文献1では、入口弁の閉じる速度の切り換えを行うのは1回だけである。そのため、水車の上流側または下流側の配管が長い系統にガイドベーンが固定されているプロペラ水車を採用した場合などには、配管が長いため、1回の切り換えだけでは最適な圧力変動抑制が得られず、水圧上昇を適切に収めることが難しい。また、開度検出器を備える必要があるため、全体の構成も複雑になってしまう。
【0015】
特許文献2においても、入口弁の開閉速度の切り換えは1回だけであるため、同様に配管が長いと水圧上昇を適切に防止することは難しい。この場合、リミットスイッチで開度を検出しているため、複数回の開度検出は困難となる。そのため、切り換えは1回しか行うことができない。また、リミットスイッチを備えることで、全体の構成も複雑になる。
【0016】
本発明の目的は、上記の課題を解決するべく、配管が長い場合であっても、配管内の水圧上昇を適切に防止することのできる水量調整弁制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、水車に流入する水量を調整するための水量調整弁の開閉を駆動制御する水量弁調節機構を備えた水量調整弁制御装置において、前記水車は、ガイドベーンが固定されている水車であるとともに、前記水量調整弁は、前記水車の上流側または下流側の配管に入口弁または出口弁として設けられるものであり、前記水量調整弁制御装置は、開指令信号を受けたとき、前記水車への流水を行うために前記水量調整弁を開く開操作を行なうとともに、閉指令信号を受けたとき、前記水車への流水を遮断するために前記水量調整弁を閉める閉操作を行なうものであって、前記水量調整弁の開閉時に前記水車に流入する水量の変化を略均一にするため、前記水量調整弁の開度と該水量調整弁を流れる流量との流量特性に基づいて、前記水量調整弁の開度と開閉時間との関係が曲線的になるように前記水量弁調節機構の駆動速度の切り換えを行う速度制御回路を備えたことを特徴とする水量調整弁制御装置とする。
【0018】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記速度制御回路は、前記水量弁調節機構の駆動用モータを連続的に増速または減速させる回転数制御機から構成されることを特徴とする水量調整弁制御装置とする。
【0019】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記水車は、プロペラ水車であることを特徴とする水量調整弁制御装置とする
【発明の効果】
【0020】
本発明により、配管が長い場合であっても配管内の水圧上昇を適切に抑えることのできる水量調整弁制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の参考例の水量調整弁の多段開閉制御および実施例の水量調整弁の曲線開閉制御の各閉制御過程における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。
図2】本発明の参考例の多段開閉制御の回路を示す図である。
図3】本発明の参考例の多段開閉制御の開操作時における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。
図4】本発明の参考例の多段開閉制御の開操作時における駆動用モータの回転数(回転速度)と時間との関係を示す図である。
図5】本発明の参考例の多段開閉制御の閉操作時における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。
図6】本発明の参考例の多段開閉制御の閉操作時における駆動用モータの回転数(回転速度)と時間との関係を示す図である。
図7】従来技術に係る水量調整弁の閉鎖制御(2段階)と本発明の他の参考例の多段閉鎖制御(5段階)における配管系統の水圧変化の比較を示す図である。
図8】従来技術に係る水量調整弁の開制御(2段階)と本発明の他の参考例の多段開制御(5段階)における配管系統の水圧変化の比較を示す図である。
図9】本発明の実施例の曲線開閉制御の回路を示す図である。
図10】本発明の実施例の曲線開閉制御の開操作時における駆動用モータの回転速度と時間との関係を示す図である。
図11】本発明の実施例の曲線開閉制御の閉操作時における駆動用モータの回転速度と時間との関係を示す図である。
図12】従来技術による水量調整弁制御装置のブロック図である。
図13】プロペラ水車の流量特性を示す図である。
図14】従来の水量調整弁制御装置の入口弁の流量特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態を以下の実施例で説明する。以下の説明で従来の構造と同一部位には同一の符号を付した。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の参考例の水量調整弁の多段開閉制御および実施例の水量調整弁の曲線開閉制御の各閉制御過程における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。図では、破線が多段閉鎖制御であり、実線が曲線閉鎖制御を示している。
【0024】
図に示すとおり、多段閉鎖制御および曲線閉鎖制御の閉制御においては、水車負荷遮断時に水量調整弁を急激に閉鎖し、それから徐々にゆっくり閉鎖している。
これにより、長い配管系統を有する場合であっても、流量全体の変化を略均一に減少させることができ、配管系統の破損等を防ぐことができる。
【0025】
以下、多段開閉制御および曲線開閉制御の構成について、具体的に説明する。
図2は、本発明の参考例の多段開閉制御の回路を示す図である。1は始動用開閉器、2は駆動用モータ、3は正回転(開方向)開閉器、4は逆回転(閉方向)開閉器、5a〜cは正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス、6a〜cは逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス、7a〜cは正回転(開方向)制御用タイマー、8a〜cは逆回転(閉方向)制御用タイマーである。
【0026】
開操作では、始動用開閉器1が水量調整弁の開指令信号を受けると、開指令信号を生成して正回転(開方向)開閉器3を動作させる。最初は、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5a〜cが、駆動用モータ2と直列に接続されているため、予め決められた最低回転速度で駆動用モータ2が制御される。
【0027】
その後、正回転(開方向)制御用タイマー7a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5a〜cが、順次、短絡される。これにより、駆動用モータ2を予め決められた回転速度ごとに段階的に増速することができる。
【0028】
最終的に、正回転(開方向)制御用タイマー7cの設定時間が経過すると、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5cが短絡されて、予め決められた最高回転速度(定格回転速度)で水量調整弁は全開される。
【0029】
このように、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5a〜cおよび正回転(開方向)制御用タイマー7a〜cを用いることにより、予め決定された設定値に基づいて、経過時間ごとに階段状(多段的)に駆動用モータ2の回転数を増速する制御を行うことができる。
【0030】
閉操作では、始動用開閉器1が水量調整弁の閉指令信号を受けると、閉指令信号を生成して逆回転(閉方向)開閉器4を動作させる。最初は、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6a〜cが、駆動用モータ2と直列に接続されているため、予め決められた最高回転速度で駆動用モータ2が制御される。
【0031】
その後、逆回転(閉方向)制御用タイマー8a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6a〜cが、順次、短絡される。これにより、駆動用モータ2を予め決められた回転速度ごとに段階的に減速することができる。
【0032】
最終的に、逆回転(閉方向)制御用タイマー8cの設定時間が経過すると、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6cが短絡されて、予め決められた最低回転速度(定格回転速度)で水量調整弁は全閉される。
【0033】
このように、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6a〜cおよび逆回転(閉方向)制御用タイマー8a〜cを用いることにより、予め決定された設定値に基づいて、経過時間ごとに階段状(多段的)に駆動用モータ2の回転数を減速する制御を行うことができる。
【0034】
これにより、長い配管系統を有する場合であっても、水量調整弁を段階的に閉じて行く制御を行うことにより、水量調整弁の閉鎖特性を踏まえて流量全体の変化を均一に減少させることができ、配管系統の破損等を防ぐことができる。
【0035】
従って、プロペラ水車発電機が急停止または非常停止で系統と切り離された場合および水車発電機を始動する場合においても、発電機器および付帯設備に対して安全性を保って主機を停止または始動させることができる。
【0036】
また、開操作および閉操作のいずれにおいても、設定された時間の経過により、予め定められた回転速度に制御することで水量調整弁を段階的に閉じているため、開度検出器やリミットスイッチなど水量調整弁の開度を検出するための装置を備える必要はない。
【0037】
そのため、多段開閉制御のためにタイマーやインピーダンスを数設置した場合であっても、水量調整弁制御装置の全体の構成を簡易にすることができる。
図3は、本発明の参考例の多段開閉制御の開操作時における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。
【0038】
正回転(開方向)制御用タイマー7a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5a〜cが、順次、短絡され、駆動用モータ2の回転数を階段状(多段的)に増速制御できることにより、図に示すとおり、水量調整弁を階段状(多段的)に開くことができる。
【0039】
図4は、本発明の参考例の多段開閉制御の開操作時における駆動用モータの回転数(回転速度)と時間との関係を示す図である。
正回転(開方向)制御用タイマー7a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス5a〜cが、順次、短絡されることにより、駆動用モータ2の回転数は、図に示すとおり、設定時間の経過ごとに階段状(多段的)に増速制御される。
【0040】
図5は、本発明の参考例の多段開閉制御の閉操作時における水量調整弁の開度と時間との関係を示す図である。
逆回転(閉方向)制御用タイマー8a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6a〜cが、順次、短絡され、駆動用モータ2の回転数を階段状(多段的)に減速制御できることにより、図に示すとおり、水量調整弁を階段状(多段的)に閉じることができる。
【0041】
図6は、本発明の参考例の多段開閉制御の閉操作時における駆動用モータの回転数(回転速度)と時間との関係を示す図である。
逆回転(閉方向)制御用タイマー8a〜cのそれぞれに設定された時間が経過するごとに、逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス6a〜cが、順次、短絡されることにより、駆動用モータ2の回転数は、図に示すとおり、設定時間の経過ごとに階段状(多段的)に減速制御される。
【0042】
なお、本参考例は、4段での制御例であるが、回転数制限用インピーダンスおよび制御用タイマーを増減することにより、任意の多段特性を容易に実現することができる。
図7は、従来技術に係る水量調整弁の閉鎖制御(2段階)と本発明の他の参考例の多段閉鎖制御(5段階)における配管系統の水圧変化の比較を示す図である。
【0043】
従来技術の閉鎖制御(2段階)を行った場合には、直線的に水量調整弁を閉じることになるため、全閉までの間に、水圧が急激に上昇する時間帯が見られる。
それに対し、本発明の参考例の多段閉鎖制御(5段階)を行った場合には、そのような急激な水圧変動は発生せず、水圧の変化は緩やかであることが示されている。
【0044】
このように、本発明の参考例の多段閉鎖制御(5段階)により、配管系統の異常な水圧変動の発生を抑制することができる。
図8は、従来技術に係る水量調整弁の開制御(2段階)と本発明の他の参考例の多段開制御(5段階)における配管系統の水圧変化の比較を示す図である。
【0045】
従来方法の開制御(2段階)を行った場合には、直線的に水量調整弁を開くことになるため、開き始めてからすぐに水圧降下が生じている。
それに対し、本発明の参考例の多段開制御(5段階)を行った場合には、そのような急激な水圧変動は発生せず、水圧の変化は緩やかであることが示されている。
【0046】
このように、本発明の参考例の多段開制御(5段階)により、配管系統の異常な水圧変動の発生を抑制することができる。
図9は、本発明の実施例の曲線開閉制御の回路を示す図である。9は正回転(開方向)指令、10は逆回転(閉方向)指令、11は回転数制御機である。
【0047】
図10は、本発明の実施例の曲線開閉制御の開操作時における駆動用モータの回転速度と時間との関係を示す図である。
図11は、本発明の実施例の曲線開閉制御の閉操作時における駆動用モータの回転速度と時間との関係を示す図である。
【0048】
開操作では、始動用開閉器1が水量調整弁の開指令信号を受けると、回転数制御機11を通して、あらかじめ決められた内部の設定値に基づいて、駆動用モータ2が動作する。
そして、正回転(開方向)指令9が与えられると、その時点からの経過時間に応じて、図10に示されるような設定値曲線に従って、回転数制御機11により、駆動用モータ2が連続的に増速制御される。
【0049】
閉操作では、同様に駆動用モータ2が動作した後、逆回転(閉方向)指令10が与えられると、その時点からの経過時間に応じて、図11に示されるような設定値曲線に従って、回転数制御機11により、駆動用モータ2が連続的に減速制御される。
【0050】
回転数制御機11としては、駆動用モータ2の回転数を連続的に制御することが可能なインバータを使用する。インバータは、内部に設定値を記憶できるものが一般的である。
これにより、長い配管系統を有する場合であっても、水量調整弁を曲線的に連続して開閉制御を行うことにより、水量調整弁の閉鎖特性を踏まえて流量全体の変化を均一に減少させることができ、配管系統の破損等を防ぐことができる。
【0051】
また、開操作および閉操作のいずれにおいても、設定された時間の経過により、水量調整弁を曲線的に連続して開閉制御しているため、開度検出器やリミットスイッチなど水量調整弁の開度を検出する装置を備える必要がない。そのため、水量調整弁制御装置の全体の構成を簡易にすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 始動用開閉器
2 駆動用モータ
3 正回転(開方向)開閉器
4 逆回転(閉方向)開閉器
5a〜c 正回転(開方向)回転数制限用インピーダンス
6a〜c 逆回転(閉方向)回転数制限用インピーダンス
7a〜c 正回転(開方向)制御用タイマー
8a〜c 逆回転(閉方向)制御用タイマー
9 正回転(開方向)指令
10 逆回転(閉方向)指令
11 回転数制御機
12 開指令接点
13 閉指令接点
14 駆動用モータ制御装置
15 水量調整弁
16 水車
図9
図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図10
図11
図13
図14