特許第5692322号(P5692322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692322
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】プレスフィット用コネクタ端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20150312BHJP
【FI】
   H01R12/58
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-200357(P2013-200357)
(22)【出願日】2013年9月26日
(62)【分割の表示】特願2012-58817(P2012-58817)の分割
【原出願日】2012年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-17263(P2014-17263A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-187670(P2011-187670)
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓也
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−129276(JP,U)
【文献】 特開昭63−091972(JP,A)
【文献】 実開昭63−026985(JP,U)
【文献】 特開2001−210442(JP,A)
【文献】 特開昭61−039467(JP,A)
【文献】 特開2003−338333(JP,A)
【文献】 実開昭63−058466(JP,U)
【文献】 特開2007−157469(JP,A)
【文献】 特開2009−021016(JP,A)
【文献】 特開2006−210230(JP,A)
【文献】 実開昭50−063188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/58
H01R 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性を有する1枚の金属板に曲げ加工を施すことによって形成されたプレスフィット用コネクタ端子であって、横断面がU字状または四角形状をなすピン部と、前記ピン部の先端側に設けられた接触部と、を備え、前記金属板が、帯形状のピン部形成領域と、前記ピン部形成領域の先端側に連なる前記ピン部形成領域より幅の広い略長方形状をなすとともに前記ピン部形成領域の長手方向と平行な複数のスリット及び片部を有する接触部形成領域と、を備えたものであり、前記接触部が、前記片部に曲げ加工を施して形成されたく字状若しくは円弧状をなす複数の接触片をその長手方向を前記ピン部の長手方向と平行な仮想中心線に沿わせ且つ外に凸をなす状態で前記仮想中心線を囲繞するように配置して形成され、3枚以上の前記接触片を互いに等間隔に配置し、前記複数の接触片の先端側及び基端側に、前記仮想中心線を包囲する断面C字状の連設部を設け、前記連設部のC字状の先端同士を互いに近接させたことを特徴とするプレスフィット用コネクタ端子。
【請求項2】
前記接触片の先端側に位置する前記連設部の先端に、先細り形状の傾斜部を設けた請求項1記載のプレスフィット用コネクタ端子。
【請求項3】
前記ピン部の外周より突設した部分を有するショルダ部若しくは前記ピン部の外周より拡径した部分を有する鍔状部を設けた請求項1または2記載のプレスフィット用コネクタ端子。
【請求項4】
前記ピン部形成領域の少なくとも一部の板厚を、前記接触部形成領域の板厚より大とした請求項1〜3のいずれかに記載のプレスフィット用コネクタ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板の導電性のスルーホールに挿着して使用されるプレスフィット用コネクタ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
プレスフィット用コネクタ端子については、従来、端子接触部断面の形状がニードルアイやC型,N型,Σ型など様々な種類があるが、本発明に関連するものして、特許文献1記載の「接続端子」、特許文献2,3記載の「プレスフィット端子」などがある。
【0003】
特許文献1記載の「接続端子」は、ケーブルを接続する頭部と、基板のスルーホールに挿入する胴体部を有する接続端子であり、この胴体部内には、胴体部の中心の長手方向に形成された穴を有し、且つ、この穴の内壁から胴体部の外壁に通ずる複数のスリットを設け、この穴内に導電性接着剤を埋め込む。
【0004】
特許文献2記載の「プレスフィット端子」は、プレスフィット部、端子基部、及びオス端子部から構成され、プレスフィット部は、スルーホールと接触容易な形状に形成された接触部と、弾性体で形成された押圧部とから構成されている。接触部の開口部に押圧部が嵌合され、押圧部が、接触部をスルーホールに押圧するように弾性力を接触部に加えている。
【0005】
特許文献3記載の「プレスフィット端子」は、プリント回路基板の導電性スルーホールと電気的接触をするプレスフィット接続部の母材表面に下地めっき層が1層または複数層形成され、その最上層の下地めっき層の上にSnとその最上層の下地めっき金属との合金層が形成され、その合金層の最表層に合金化されていないSnを混在させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−134275号公報
【特許文献2】特開2007−157469号公報
【特許文献3】再表WO2006/077827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3などに記載されている従来のプレスフィット用コネクタ端子は、プリント回路基板のスルーホールの内径よりも外径が大きく、弾力性の低いプレスフィット部をスルーホールに挿入して接触させる方式であるため、プレスフィット部からスルーホールに加わる接触圧力によりプリント回路基板が白化したり、スルーホールのめっきが削れたりすることがある。プリント回路基板の白化は、基板素材成分の分子破壊であるため、この分子破壊により、プリント回路基板の絶縁性が劣化したり、耐電圧が低化したりするだけでなく、回路パターン部分において抵抗値の増加を引き起こすことがある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、プリント回路基板のスルーホールに挿着するときの挿入力を低減し、装着時の接触部の塑性変形を防止することができ、且つ、プリント回路基板の白化を防止することができ、また、スルーホールのめっき面を劣化させることがなく、接触信頼性に優れたプレスフィット用コネクタ端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1のプレスフィット用コネクタ端子は、弾力性を有する1枚の金属板に曲げ加工を施すことによって形成されたプレスフィット用コネクタ端子であって、横断面がU字状または四角形状をなすピン部と、前記ピン部の先端側に設けられた接触部と、を備え、前記接触部が、前記ピン部の長手方向と平行な仮想中心線を囲繞する樽形状若しくは紡錘形状をなすように形成された接触片と、前記接触片の一部に前記仮想中心線と略平行に開裂するように形成されたスリットと、を有することを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、樽形状若しくは紡錘形状をした接触片は、スリットの存在により、弾性的に縮径・拡径可能となり、プリント回路基板のスルーホールに接触部を挿着するとき、接触部を構成する接触片が弾性変形してスルーホール内に収まるので、接触部からスルーホールの内周面に向かって過大な押圧力(接触圧力)が加わることがない。このため、プリント回路基板のスルーホールに挿着するときの挿入力を低減し、装着時の接触部の塑性変形を防止することができ、且つ、プリント回路基板の白化を防止することができ、また、スルーホールのめっき面を劣化させることもない。また、スルーホール内に挿着された接触片は、金属板の弾性力により、拡径方向の付勢力を保持した状態でスルーホールの内周面に当接するので、接触信頼性にも優れている。
【0011】
次に、本発明に係る第2のプレスフィット用コネクタ端子は、弾力性を有する1枚の金属板に曲げ加工を施すことによって形成されたプレスフィット用コネクタ端子であって、横断面がU字状または四角形状をなすピン部と、前記ピン部の先端側に設けられた接触部と、を備え、前記接触部が、く字状若しくは円弧状をなす複数の接触片をその長手方向を前記ピン部の長手方向と平行な仮想中心線に沿わせ且つ外に凸をなす状態で前記仮想中心線を囲繞するように配置して形成されたことを特徴とする。
【0012】
このような構成とすれば、接触部の全体形状は弾性的に縮径・拡径可能な樽形状となり、プリント回路基板のスルーホールに接触部を挿着するとき、接触部を構成する複数の接触片がそれぞれ弾性変形してスルーホール内に収まるので、接触部からスルーホールの内周面に向かって過大な押圧力(接触圧力)が加わることがなくなり、プリント回路基板のスルーホールに挿着するときの挿入力を低減し、装着時の接触部の塑性変形を防止することができ、且つ、プリント回路基板の白化を防止することができ、また、スルーホールのめっき面を劣化させることもない。また、スルーホール内に挿着された複数の接触片はそれぞれ拡径方向の付勢力を保持した状態でスルーホールの内周面の複数個所に当接するので、接触信頼性にも優れている。
【0013】
また、本発明のプレスフィット用コネクタ端子は、弾力性を有する1枚の金属板に曲げ加工を施すことによって形成されるので、部品点数が削減され、製造コストを低減することが可能となる。なお、く字状の接触片と円弧状の接触片とを対比すると、円弧状の接触片の方が降伏応力点が高くなる傾向があり、比較的大きな変位量に至るまで接触片の「ヘタリ」を防止することができるので、プレスフィット用コネクタ端子の繰り返し挿抜性を高める上では円弧状の接触片の方が有効である。
【0014】
ここで、3枚以上の前記接触片を互いに等間隔に配置することが望ましい。このような構成とすれば、複数の接触片はそれぞれ拡径方向の付勢力を保持した状態でスルーホールの内周面の複数個所に互いに等間隔をなして当接するので、接触信頼性の向上に有効である。
【0015】
また、前記複数の接触片の先端側及び基端側に、前記仮想中心線を包囲する断面C字形状の連設部を設けることが望ましい。このような構成とすれば、複数の接触片の配置状態を安定化することができるため、接触信頼性の向上に有効である。
【0016】
この場合、前記接触片の先端側に位置する連設部の先端に、先細り形状の傾斜部を設けることが望ましい。このような構成とすれば、当該プレスフィット用コネクタ端子の接触部をプリント回路基板のスルーホールに挿着するとき、連接部の先端の傾斜部がスルーホールの開口端内周と接触することによりスルーホール内へ誘導されるので、挿入性が向上する。
【0017】
さらに、前記ピン部に、その外周より突設した部分を有するショルダ部若しくはその外周より拡径した部分を有する鍔状部を設けることができる。このような構成とすれば、プリント回路基板のスルーホールに接触部を挿着するとき、ピン部より突設した部分を有するショルダ部若しくはピン部より拡径した部分を有する鍔状部に押圧力を加えて差し込むことが可能となるので、挿着作業性が向上する。
【0018】
一方、本発明に係る第1のプレスフィット用コネクタ端子においては、前記金属板が、帯形状のピン部形成領域と、前記ピン部形成領域の先端側に連なる前記ピン部形成領域より幅の広い略長方形状をなすとともに前記ピン部形成領域の長手方向と平行な複数のスリットを有する接触部形成領域と、を備えたものであってもよい。このような構成とすれば、中軸部がなく、ピン部及び接触部を備えたプレスフィット用コネクタ端子を容易に形成することができる。また、中軸部形成領域をなくすことができるので、材料である金属板の使用量の削減及びプレスフィット用コネクタ端子の軽量化を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る第2のプレスフィット用コネクタ端子においては、前記金属板が、帯形状のピン部形成領域と、前記ピン部形成領域の先端側に連なる前記ピン部形成領域より幅の広い略長方形状をなす接触部形成領域と、を備えたものとすることもできる。このような構成とすれば、中軸部がなく、樽形状若しくは紡錘形状をなす接触片と、その一部に形成されたスリットと、を有する接触部を備えたプレスフィット用コネクタ端子を容易に形成することができる。
【0020】
さらに、前記ピン部形成領域の少なくとも一部の板厚を、前記接触部形成領域の板厚より大とすることもできる。このような構成すれば、板厚に関係なく適切な接触荷重を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、プリント回路基板のスルーホールに挿着するときの挿入力を低減し、装着時の接触部の塑性変形を防止することができ、且つ、プリント回路基板の白化を防止することができ、また、スルーホールのめっき面を劣化させることがなく、接触信頼性に優れたプレスフィット用コネクタ端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図2図1に示すプレスフィット用コネクタ端子を図1と異なる方向から見た斜視図である。
図3図1に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図4図3におけるA−A線断面図である。
図5図3における矢印B方向から見た図である。
図6図1に示すプレスフィット用コネクタ端子をプリント回路基板の導電性スルーホールに挿着する直前の状態を示す一部省略断面図である。
図7図1に示すプレスフィット用コネクタ端子をプリント回路基板の導電性スルーホールに挿着した状態を示す一部省略断面図である。
図8図1に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図である。
図9】本発明の第2実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図10図9に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図11図9に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図12図10における矢線C方向から見た図である。
図13図10における矢線D方向から見た図である。
図14図9に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図である。
図15】本発明の第3実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図16図15に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図17図15に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図18図16における矢線E方向から見た図である。
図19図16における矢線F方向から見た図である。
図20図15に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図である。
図21】本発明の第4実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図22図21に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図23図21に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図24図22における矢線G方向から見た図である。
図25図22における矢線H方向から見た図である。
図26図21に示すプレスフィット用コネクタ端子の展開図である。
図27】本発明の第5実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図28図27示すプレスフィット用コネクタ端子を図27と異なる方向から見た斜視図である。
図29図27に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図30図29に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図31図29における矢線J方向から見た図である。
図32図29における矢線K方向から見た図である。
図33図29におけるM−M線断面図である。
図34図32における一部省略N−N線断面図である。
図35】(a)は図27に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図であり、(b)は前記(a)における矢線O方向から見た図である。
図36】本発明の第6実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図37図36に示すプレスフィット用コネクタ端子を図36と異なる方向から見た斜視図である。
図38図36に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図39図38に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図40図38における矢線P方向から見た図である。
図41図38における矢線Q方向から見た図である。
図42図38におけるR−R線断面図である。
図43図38における一部省略S−S線断面図である。
図44】(a)は図36に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図であり、(b)は前記(a)における矢線T方向から見た図である。
図45参考形態であるプレスフィット用コネクタ端子を示す斜視図である。
図46図45に示すプレスフィット用コネクタ端子を図45と異なる方向から見た斜視図である。
図47図45に示すプレスフィット用コネクタ端子の正面図である。
図48図47に示すプレスフィット用コネクタ端子の右側面図である。
図49図47における矢線U方向から見た図である。
図50図47における矢線V方向から見た図である。
図51図47におけるW−W線断面図である。
図52】(a)は図45に示すプレスフィット用コネクタ端子の材料である金属板の展開図であり、(b)は前記(a)における矢線X方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図8に示すように、本発明の第1実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子100は、図8に示すような弾力性を有する1枚の金属板10に曲げ加工を施すことによって形成されたものであり、横断面がU字形状をなすピン部11及びその先端側に設けられた中軸部12と、く字形状をなす複数の接触片13をその長手方向を中軸部12の長手方向に沿わせ且つ外に凸をなす状態で中軸部12を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部14と、を備えている。また、接触部14を構成する複数の接触片13の先端側及び基端側にはそれぞれ、中軸部12を包囲する断面C字形状の連設部15,16が設けられている。
【0024】
図1図3に示すように、プレスフィット用コネクタ端子100は、細長い棒状のピン部11と、その先端側にピン部11より細い形状で延設された中軸部12と、中軸部12の周囲にて樽形状をなす接触部14と、を備え、接触部14は弾性的に縮径・拡径可能な構造をなしている。
【0025】
従って、図6図7に示すように、プリント回路基板20においてスルーホールめっき22が施されたスルーホール21に接触部14を挿着するとき、接触部14を構成する複数の接触片13がそれぞれ中軸部12に接近するように弾性変形してスルーホール21内に収まるので、挿着するときの挿入力を低減することができる。また、接触部14からスルーホール21の内周面に向かって過大な押圧力(接触圧力)が加わることがなくなるので、スルーホール21のめっき面を劣化させることがなく、プリント回路基板20の白化も防止することができる。さらに、仮にピン部11が傾いても、接触片13は中軸部12に当たるので、接触片13は塑性変形し難い。
【0026】
また、スルーホール21内に挿着された接触部14を構成する複数の接触片13はそれぞれ拡径方向の付勢力を保持した状態でスルーホール21の内周面の複数個所に均等に当接するので、接触不良が発生し難く、接触信頼性も優れている。
【0027】
さらに、図1図2に示すように、複数の接触片13の先端側及び基端側にそれぞれ、中軸部12を包囲する断面C字形状の連設部15,16を設けているため、図6図7に示すように、接触部14をスルーホール21内に挿着するとき及び挿着した後のいずれのときにおいても、複数の接触片13の配置状態が安定しており、接触信頼性の向上に有効である。
【0028】
一方、プレスフィット用コネクタ端子100は、図8に示すような、弾力性を有する1枚の金属板10に曲げ加工を施すことによって形成されている。金属板10は、帯形状のピン部形成領域1と、ピン部形成領域1の先端側に連なる帯形状の中軸部形成領域2と、中軸部形成領域2の先端側に折り返し部3を介して連なる接触部形成領域5と、を備えている。
【0029】
中軸部形成領域2の幅2wはピン部形成領域1の幅1wより狭く、折り返し部3の幅3wは中軸部形成領域2の幅2wより狭く(幅3wは幅2wの半分)、接触部形成領域5の幅5wは中軸部形成領域2の幅2wより広く、接触部形成領域5には、中軸部形成領域2の長手方向L(図3参照)と平行な複数のスリット4が形成されている。また、折り返し部3は、中軸部形成領域2の片方の側縁2aに寄せた位置に設けられている。
【0030】
図8に示す金属板10において、ピン部形成領域1及び中軸部形成領域2をその長手方向Lに連続する折り曲げ部6を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げた後、折り返し部3を横切る折り返し位置3aを中心に接触部形成領域5を中軸部形成領域2に向かって180度折り曲げる。この後、長手方向Lと交差する方向に位置する接触部形成領域5の辺縁部5a,5bがC字形状となるように曲げ加工を施し、長手方向Lと平行をなす接触部形成領域5の片部5cがく字形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域5が中軸部2を囲繞する樽形状をなすようにすれば、図1に示すプレスフィット用コネクタ端子100が完成する。
【0031】
このように、プレスフィット用コネクタ端子100は、弾力性を有する1枚の金属板10に曲げ加工を施すことによって形成されるので、部品点数が削減され、製造コストを低減することができる。
【0032】
次に、図9図14に基づいて、本発明の第2実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子200について説明する。プレスフィット用コネクタ端子200は、図14に示すような弾力性を有する1枚の金属板210に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。プレスフィット用コネクタ端子200は、横断面がU字形状をなすピン部211及びその先端側に設けられた中軸部212と、く字形状をなす複数の接触片213をその長手方向を中軸部212の長手方向に沿わせ且つ外に凸をなす状態で中軸部212を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部214と、を備えている。
【0033】
接触部214を構成する複数の接触片213の先端側及び基端側にはそれぞれ中軸部212を包囲する断面変形C字形状の連設部215,216が設けられている。また、ピン部211において接触部214寄りの部分に、ピン部211の外周より突設した部分を有するショルダ部201が設けられている。
【0034】
接触部214の形状、機能などは、図1に示すプレスフィット用コネクタ端子100の接触部14と同様であるが、ショルダ部201が設けられているため、プレスフィット用コネクタ端子200の接触部214をプリント回路基板のスルーホールに挿着するとき、ショルダ部201を押圧することができ、作業性が良好である。
【0035】
また、中軸部212を設けたことにより、プレスフィット用コネクタ端子200をスルーホールに挿入する場合に垂直に作業を行うことができる。また、挿入時に傾きが発生した場合でも接触片213が中軸部212に接触することにより、過大変位を防止することができるため、接触片213の塑性変形が生じることがなく、スルーホールとの接触状態も良好である。
【0036】
一方、図14に示すように、金属板210が、帯形状のピン部形成領域221と、ピン部形成領域221の先端側に連なるピン部形成領域221の幅221wより狭い幅222wを有する帯形状の中軸部形成領域222と、中軸部形成領域222の両側に連なる中軸部形成領域222の幅222wより広い幅223wを有する略長方形状をなすとともに中軸部形成領域222の長手方向と平行な複数のスリット224を有する接触部形成領域223と、を備えている。また、ピン部形成領域221の接触部形成領域223寄りの部分にショルダ部形成領域227,228が突設されている。
【0037】
プレス加工により図14に示す形状に抜かれた金属板210において、ピン部形成領域221をその長手方向に連続する折り曲げ部225を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げた後、ピン部形成領域221と中軸部形成領域222との境界領域に位置する折り曲げ部226に段差を施す。この後、接触部形成領域223の片部223cがく字形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域223が中軸部222を囲繞する樽形状をなすようにすれば、図9に示すプレスフィット用コネクタ端子200が完成する。
【0038】
図14に示すような形状を有する金属板210を用いてプレスフィット用コネクタ端子200を形成したことにより、プレスフィット用コネクタ端子200を垂直に挿入する作業が可能となり、基板のスルーホールの白化やめっき面の劣化を防止し、接触部214の信頼性を高めることができる。
【0039】
次に、図15図20に基づいて、本発明の第3実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子300について説明する。プレスフィット用コネクタ端子300は、図20に示すような弾力性を有する1枚の金属板310に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。プレスフィット用コネクタ端子300は、横断面がU字形状をなすピン部311及びその先端側に設けられた中軸部312と、く字形状をなす複数の接触片313をその長手方向を中軸部312の長手方向に沿わせ且つ外に凸をなす状態で中軸部312を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部314と、を備えている。
【0040】
接触部314を構成する複数の接触片313の先端側及び基端側にはそれぞれ、中軸部312を包囲する断面C字形状の連設部315,316が設けられている。また、ピン部311において接触部314寄りの部分に、ピン部311の外周より拡径した部分を有する鍔部301が設けられている。
【0041】
接触部314の形状、機能などは、図1に示すプレスフィット用コネクタ端子100の接触部14と同様であるが、鍔部301が設けられているため、プレスフィット用コネクタ端子300の接触部314をプリント回路基板のスルーホールに挿着するとき、鍔部301を押圧することができ、作業性が良好である。
【0042】
また、図19に示すような形状の中軸部312を設けたことにより、プレスフィット用コネクタ端子300をスルーホールに挿入する場合に垂直に作業ができる。また、挿入時に傾きが発生した場合でも接触片313は中軸部312により、過大変位しないため、接触片313が塑性変形せず、スルーホールとの接触状態も良好である。
【0043】
一方、図20に示すように、金属板310が、帯形状のピン部形成領域321と、ピン部形成領域321の先端側に連なるピン部形成領域321の幅321wより広い幅323wを有する略長方形状をなすとともにピン部形成領域321の長手方向と平行な複数のスリット324を有する接触部形成領域323と、接触部形成領域323の先端側に連なる接触部形成領域323の幅323wより狭い幅325wを有する帯形状の中軸部形成領域325と、を備えている。また、中軸部形成領域325の先端側には、中軸部形成領域325とT字形状に交差する鍔部形成領域326が設けられている。
【0044】
プレス加工により図20に示す形状に抜かれた金属板310において、ピン部形成領域321及び中軸部形成領域325を、それぞれ長手方向に連続する折り曲げ部327,328を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げた後、折り返し部329にて180度折り返し、ピン部311を包囲するように、鍔部形成領域326を鉢巻状に折り曲げる。この後、接触部形成領域323の片部323cがく字形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域323が中軸部312を囲繞する樽形状をなすようにすれば、図15に示すプレスフィット用コネクタ端子300が完成する。
【0045】
図20に示すような形状を有する金属板310を用いてプレスフィット用コネクタ端子300を形成したことにより、プレスフィット用コネクタ端子300を挿入するとき、垂直に作業ができ、基板のスルーホールの白化やめっき面の劣化を防止し、接触部314の信頼性が高まる。
【0046】
次に、図21図26に基づいて本発明の第4実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子400について説明する。プレスフィット用コネクタ端子400は、図26に示すような弾力性を有する1枚の金属板410に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。
【0047】
プレスフィット用コネクタ端子400は、横断面が四角形状をなすピン部411及びその先端側に設けられた中軸部412と、く字形状をなす複数の接触片413をその長手方向を中軸部412の長手方向に沿わせ且つ外に凸をなす状態で中軸部412を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部414と、を備えている。
【0048】
接触部414を構成する複数の接触片413の先端側及び基端側にはそれぞれ四角柱形状の中軸部412を包囲する断面C字形状の連設部415,416が設けられている。また、ピン部411の長手方向の中央部分に、ピン部411の外周より突設した部分を有するショルダ部401が設けられている。
【0049】
接触部414の形状、機能などは、図1に示すプレスフィット用コネクタ端子100の接触部14と同様であるが、プレスフィット用コネクタ端子400はショルダ部401を有するため、接触部414をプリント回路基板のスルーホールに挿着するとき、ショルダ部401を介して押圧することができ、作業性が良好である。
【0050】
横断面が四角形状で全体形状が四角柱形状の中軸部412を設けたことにより、プレスフィット用コネクタ端子400をスルーホールに挿入する場合に垂直に作業を行うことができる。また、挿入時に傾きが発生した場合でも接触片413が中軸部412に接触することにより、過大変位を防止することができるため、接触片413の塑性変形が生じることがなく、スルーホールとの接触状態も良好である。
【0051】
図26に示す金属板410は、図21に示すプレスフィット用コネクタ端子400の材料である。金属板410は、四角柱形状のピン部形成領域421と、ピン部形成領域421の先端側に連なる、四角柱形状の中軸部形成領域422と、中軸部形成領域422の先端側に形成された接触部形成領域423と、を備えている。中軸部形成領域422の幅422wはピン部形成領域421の幅421wより狭く、接触部形成領域423は略長方形状をなし、その幅423wは中軸部形成領域422の幅422wより広い。接触部形成領域423には、中軸部形成領域422の長手方向と平行な複数のスリット424が形成されている。
【0052】
また、ピン部形成領域421の長手方向の中央部分にショルダ部形成領域427が突設されている。ピン部形成領域421の板厚は接触部形成領域423の板厚より大であり、中軸部形成領域422の板厚はピン部形成領域421の板厚より小さく、接触部形成領域423の板厚より大である。これらの板厚の大小関係は、異形材を使用したり、プレスで潰し加工したり、あるいは切削加工したりすることによって形成することができる。
【0053】
プレス加工により、図26に示す形状に抜かれた金属板410において、中軸部形成領域422と接触部形成領域423との境界領域に位置する折り返し部426を中心に接触部形成領域423を中軸部形成領域422に向かって180度折り曲げる。この後、接触部形成領域423の辺縁部423a,423bがC字形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域423の片部423cがく字形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域423が中軸部422を囲繞する樽形状をなすようにすれば、図21に示すプレスフィット用コネクタ端子400が完成する。
【0054】
図26に示すような形状の金属板410を用いてプレスフィット用コネクタ端子400を形成したことにより、プレスフィット用コネクタ端子400を垂直に挿入する作業が容易となり、基板のスルーホールの白化やめっき面の劣化を防止し、接触部414の信頼性を高めることができる。
【0055】
次に、図27図35に基づいて本発明の第5実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子500について説明する。プレスフィット用コネクタ端子500は、図35に示すような弾力性を有する1枚の金属板510に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。
【0056】
プレスフィット用コネクタ端子500は、横断面がU字形状をなすピン部511及びその先端側に設けられた中軸部512と、円弧状をなす複数の接触片513をその長手方向を中軸部512の長手方向に沿わせ且つ外に凸をなす状態で中軸部512を囲繞するように等間隔に配置して形成された接触部514と、を備えている。
【0057】
中軸部512の外周には、接触片513に向かって突出した複数の突起部501が設けられている。複数の接触片513の先端側及び基端側には、中軸部512を包囲する断面C字状の連設部515,516が設けられ、接触片513の先端側に位置する連設部515の先端には、先細り形状の傾斜部502が設けられている。ピン部511の長手方向の接触部514寄りの部分には、ピン部511の外周より突出した部分を有するショルダ部503が設けられている。
【0058】
プレスフィット用コネクタ端子500の使い方、機能などは、図9に示すプレスフィット用コネクタ端子200と同様であるが、プレスフィット用コネクタ端子500は、中軸部512の外周に、接触片513に向かって突出した突起部501が設けられている。従って、プレスフィット用コネクタ端子500の接触部514を、図6に示すように、プリント回路基板20のスルーホール21に挿着するときの接触部514の縮径に伴う接触片513の過大変位を突起部501によって防止することが可能であり、プレスフィット用コネクタ端子500の繰り返し挿抜性が向上する。
【0059】
また、接触片513の先端側に位置する連設部515の先端に、先細り形状の傾斜部502が設けられているため、プレスフィット用コネクタ端子500の接触部514をプリント回路基板20のスルーホール21(図6参照)に挿着するとき、連接部515の先端の傾斜部502がスルーホール21の開口端内周と接触することによりスルーホール21内へ誘導されるので、挿入性が向上する。
【0060】
プレスフィット用コネクタ端子500の接触部514を構成する複数の接触片513はいずれも円弧状であり、く字状の接触片に比べると降伏応力点が高いので、比較的大きな変位量に至るまで接触片513の「ヘタリ」を防止することができる。このため、プレスフィット用コネクタ端子500の繰り返し挿抜性を高める上で有効である。
【0061】
図35に示す金属板510は、図27に示すプレスフィット用コネクタ端子500の材料である。金属板510は、帯形状のピン部形成領域521と、ピン部形成領域521の先端側に連なるピン部形成領域521の幅521wより広い幅523wを有する略長方形状をなすとともにピン部形成領域521の長手方向と平行な複数のスリット524及び片部523cを有する接触部形成領域523と、接触部形成領域523の先端側に連なる接触部形成領域523の幅523wより狭い幅525wを有する帯形状の中軸部形成領域525と、を備えている。ピン部形成領域521の先端側には、ピン部形成領域521とT字形状に交差するショルダ部形成領域526が設けられている。中軸部形成領域525の中央部分には、突起部501を形成するため、当該中軸部形成領域525の幅方向525w及び厚さ方向525tに突出した突起部形成領域517が設けられている。
【0062】
プレス加工により、図35に示す形状に抜かれた金属板510において、ピン部形成領域521及び中軸部形成領域525を、それぞれ長手方向に連続する折り曲げ部527,528を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げた後、ピン部511から突出するように、ショルダ部形成領域526を折り曲げる。この後、折り返し部529にて中軸部形成領域525を接触部形成領域523に向かって180度折り返し、接触部形成領域523の複数の片部523cが円弧形状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域523が中軸部512を囲繞する樽形状をなすように形成すれば、図27に示すプレスフィット用コネクタ端子500が完成する。
【0063】
図35に示すような形状の金属板510を用いてプレスフィット用コネクタ端子500を形成したことにより、プレスフィット用コネクタ端子500をプリント回路基板20のスルーホール21(図6参照)に挿入するとき、垂直に作業を行うことができ、スルーホール21の白化やめっき面の劣化を防止することができるため、接触部514の信頼性が高まる。
【0064】
次に、図36図44に基づいて、本発明の第6実施形態であるプレスフィット用コネクタ端子600について説明する。プレスフィット用コネクタ端子600は、図44に示すような弾力性を有する1枚の金属板610に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。
【0065】
プレスフィット用コネクタ端子600は、横断面がU字形状をなすピン部611と、ピン部611の先端側に設けられた接触部614と、を備え、接触部614が、く字状をなす複数の接触片613をその長手方向をピン部611の長手方向Lと平行な仮想中心線614cに沿わせ且つ外に凸をなす状態で仮想中心線614cを囲繞するように配置して形成されている。
【0066】
複数の接触片613の先端側及び基端側には、仮想中心線614cを包囲する断面C字状の連設部615,616が設けられ、接触片613の先端側に位置する連設部615の先端には、先細り形状の傾斜部602が設けられている。ピン部611の長手方向Lの接触部614寄りの部分には、ピン部611の外周より突出した部分を有するショルダ部603が設けられている。
【0067】
図44に示す金属板610は、図36に示すプレスフィット用コネクタ端子600の材料である。金属板610は、帯形状のピン部形成領域621と、ピン部形成領域621の先端側に連なるピン部形成領域621の幅621wより広い幅623wを有する略長方形状をなすとともにピン部形成領域621の長手方向Lと平行な複数のスリット624及び片部623cを有する接触部形成領域623と、を備えている。また、ピン部形成領域621の先端側には、ピン部形成領域621とT字形状に交差するショルダ部形成領域626が設けられている。
【0068】
プレス加工により、図44に示す形状に抜かれた金属板610において、ピン部形成領域621を、その長手方向に連続する折り曲げ部627を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げた後、ショルダ部形成領域626をピン部611から突出するように折り曲げる。この後、接触部形成領域623の複数の片部623cがく字状となるように曲げ加工を施し、接触部形成領域623が仮想中心線614cを囲繞する樽形状をなすように形成すれば、図36に示すプレスフィット用コネクタ端子600が完成する。
【0069】
プレスフィット用コネクタ端子600の使い方や機能などは、図9に示すプレスフィット用コネクタ端子200や図22に示すプレスフィット用コネクタ端子400などと同様であるが、プレスフィット用コネクタ端子600は中軸部を有していない点において、プレスフィット用コネクタ端子200,400と異なっている。このような構成とすれば、図44に示す金属板610において、中軸部形成領域をなくすことができるので、材料である金属板の使用量を削減することができるだけでなく、プレスフィット用コネクタ端子600の軽量化を図ることができる。
【0070】
次に、図45図52に基づいて、参考形態であるプレスフィット用コネクタ端子700について説明する。プレスフィット用コネクタ端子700は、図52に示すような、弾力性を有する1枚の金属板710に曲げ加工などを施すことによって形成されたものである。
【0071】
図45図51に示すように、プレスフィット用コネクタ端子700は、横断面がU字状をなすピン部711と、ピン部711の先端側に設けられた接触部714と、を備え、接触部714が、ピン部711の長手方向Lと平行な仮想中心線714cを囲繞する樽形状をなすように形成された接触片713と、接触片713の一部に仮想中心線714cと略平行に開裂するように形成されたスリット701と、を有している。接触部714内には、断面がU字状をなす中軸部712が接触片713と連続した状態で配置されている。
【0072】
接触片713の先端側及び基端側には、仮想中心線714cと略同軸上にある中軸部714を包囲する断面C字状の連設部715,716が設けられ、接触片713の先端側に位置する連設部715の先端には、先細り形状の傾斜部702が設けられている。ピン部711の長手方向Lの接触部714寄りの部分には、ピン部711及び接触部714の外周より突出した部分を有するショルダ部703が設けられている。図51に示すように、中軸部712の外周には、接触片713に向かって突出した複数の突起部704が設けられている。
【0073】
図52に示す金属板710は、図45に示すプレスフィット用コネクタ端子700の材料である。金属板710は、帯形状のピン部形成領域721と、ピン部形成領域721の先端側に連なるように設けられたピン部形成領域721より幅の広い略長方形状をなす接触部形成領域723と、接触部形成領域723の先端側に接触部形成領域723より幅の狭い帯形状の中軸部形成領域725と、を備えている。ピン部形成領域721の先端側には、ピン部形成領域721とT字形状に交差するショルダ部形成領域726が設けられている。中軸部形成領域725の中央部分には、突起部704を形成するため、当該中軸部形成領域725の幅方向725w及び厚さ方向725tに突出した突起部形成領域717が設けられている。
【0074】
プレス加工により、図52に示すように形成された金属板710において、ピン部形成領域721及び中軸部形成領域725を、それぞれ長手方向に連続する折り曲げ部727,728を中心に横断面がU字形状をなすように折り曲げ、ピン部711及び中軸部712の形状とした後、ショルダ部形成領域726を、ピン部711から突出するように折り曲げる。この後、中軸部形成領域725から形成された中軸部712を、折り返し部729にて、接触部形成領域723に向かって180度折り返し、接触部形成領域723が中軸部712を囲繞するとともに、接触部形成領域723の側縁部723a,723bの対向部分にスリット701(図45参照)が存在した樽形状となるように曲げ加工を施せば、図45に示すプレスフィット用コネクタ端子700が完成する。
【0075】
プレスフィット用コネクタ端子700の使い方や機能などは、図21図27に示すプレスフィット用コネクタ端子400,500などと同様であるが、プレスフィット用コネクタ端子700の接触部714は、スリット701以外の部分が切れ目なく連続した形状の接触片713を有する点において、プレスフィット用コネクタ端子200,400などと異なっている。このような構成としたことにより、プリント回路基板のスルーホールとの接触面積をより多く設けることが可能となり、接触信頼性の向上を図ることができる。
【0076】
なお、接触部714は樽形状に限定しないので、仮想中心線714方向の中央付近が曲面状に膨出した紡錘形状の接触部を採用することもできる。また、プレスフィット用コネクタ端子700を構成する中軸部712を省略した構造とすることもできる。
【0077】
前述したプレスフィット用コネクタ端子100,200,300,400,500,600は本発明例示するものであり、本発明に係るプレスフィット用コネクタ端子は前述した実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るプレスフィット用コネクタ端子は、プリント回路基板のスルーホールに挿着する部材として、電気・電子機器産業や自動車産業などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1,221,321,421,521,621,721 ピン部形成領域
1w,2w,3w,5w,221w,222w,223w,321w,323w,325w,421w,422w,423w,521w,523w,621w,623w 幅
2,222,325,422,525,725 中軸部形成領域
3,329,426,529,729 折り返し部
4,224,324,424,524,624,701 スリット
5,223,323,423,523,623,723 接触部形成領域
5c,223c,323c,423c,523c,623c 片部
6,225,226,327,328,527,627,727,728 折り曲げ部
10,210,310,410,510,610,710 金属板
11,211,311,411,511,611,711 ピン部
12,212,312,412,512,712 中軸部
13,213,313,413,513,613,713 接触片
14,214,314,414,514,614,714 接触部
15,16,215,216,315,316,415,416,515,516,615,616,715,716 連設部
20 プリント回路基板
21 スルーホール
22 スルーホールめっき
100,200,300,400,500,600,700 プレスフィット用コネクタ端子
201,401,503,603,703 ショルダ部
227,228,427,526,626,726 ショルダ部形成領域
501,704 突起部
502,602,702 傾斜部
517,717 突起部形成領域
525t,725t 厚さ方向
525w,725w 幅方向
614c,714c 仮想中心線
L 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
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図33
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