(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5692421
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/42 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-3681(P2014-3681)
(22)【出願日】2014年1月10日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】八木 境
(72)【発明者】
【氏名】花木 宏次
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−050953(JP,A)
【文献】
特開平09−092368(JP,A)
【文献】
特開平11−016625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の側壁により仕切られた複数のキャビティ内にそれぞれ端子金具が挿入されるハウジングと、
前記ハウジングの側壁および前記キャビティの1または複数の側壁を前記端子金具の挿入方向に対して直角方向に貫通して設けられたリテーナ挿入孔と、
前記リテーナ挿入孔に挿入されることにより前記端子金具が係止されるリテーナと
を有する電気コネクタであって、
前記リテーナが、前記端子金具の挿入方向の後方側に、前記リテーナ挿入孔の前記ハウジングの側壁および前記キャビティの1または複数の側壁と当接する当接面と、この当接面上に設けられ、かつ前記リテーナの挿入方向に対して直角方向となる幅の一部の幅を有する突起であり、当該リテーナの弾性変形により前記キャビティの1または複数の側壁を越えて当該キャビティの側壁に係止される突起とを備えたものであり、
前記リテーナ挿入孔が、前記突起が係止される前記キャビティの側壁より前記リテーナの挿入方向の後方側であって、前記ハウジングの側壁および前記キャビティの1または複数の側壁に前記突起に対向する逃がし部を備えたものである
電気コネクタ。
【請求項2】
前記リテーナが、前記リテーナの弾性変形を可能にする貫通孔を備えたものである請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記突起が、前記キャビティの1または複数の側壁のうち前記リテーナの挿入方向の中央または中央近傍の側壁に係止されるものである請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記リテーナの前記突起が前記キャビティの1または複数の側壁のうち1の側壁を越えて当該側壁に係止されるものである請求項1から3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記リテーナの前記突起が前記キャビティの1または複数の側壁のうち複数の側壁を越えて当該側壁に係止されるものである請求項1から3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や産業機械等に搭載される各種機器の電気接続に使用される電気コネクタに係り、より詳しくはハウジングに装着された端子金具の抜けを防止するリテーナを備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に搭載される各種機器の電気接続に使用される電気コネクタにおいて、ハウジングに装着された端子金具の抜けを防止する二重係止部材が設けられている。例えば、特許文献1には、ハウジングの側板および端子収容室の側壁に設けられた挿入孔に挿入することにより接続端子が二重係止されるコネクタの二重係止部材において、後端側に切欠部を設けることで形成される係止突起を有する可撓アームと、ハウジングの側板に当接する鉤部を端縁に有する端子支持片とを備えたコネクタの二重係止部材が開示されている。
【0003】
この二重係止部材によれば、後端側に切欠部を設けることで形成される係止突起を有する可撓アームと、ハウジングの側板に当接する鉤部を端縁に有する端子支持片とを備えているので、二重係止部材のハウジングへの係止および解除が容易であるとともに、係止と解除を繰り返しても関連部材が摩耗や破損することはなく、ハウジングへの二重係止部材の挿着作業を確実かつ容易に行うことができるとともに、信頼性の高い接続端子の二重係止構造を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−16625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の二重係止部材では、二重係止部材の形状が複雑になることで、コネクタの小型化に伴って二重係止部材の強度が低下し、二重係止部材を装着または脱着作業する際に、二重係止部材が破損する虞がある。また、二重係止部材の端子支持片は鉤部を有していることで、二重係止部材が複雑化し、コネクタの幅方向が大型化してしまう虞もある。
【0006】
そこで、本発明においては、ハウジングに装着された端子金具の抜けを防止するリテーナの形状を複雑化させることなく、信頼性の高い端子金具の抜け防止を実現することが可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気コネクタは、1または複数の側壁により仕切られた複数のキャビティ内にそれぞれ端子金具が挿入されるハウジングと、ハウジングの側壁およびキャビティの1または複数の側壁を端子金具の挿入方向に対して直角方向に貫通して設けられたリテーナ挿入孔と、リテーナ挿入孔に挿入されることにより端子金具が係止されるリテーナとを有する電気コネクタであって、リテーナが、端子金具の挿入方向の後方側に、リテーナ挿入孔と当接する当接面と、この当接面のリテーナの挿入方向に対して直角方向となる幅の一部の幅を有する突起であり、当該リテーナの弾性変形によりキャビティの1または複数の側壁を越えて当該側壁に係止される突起とを備えたものであり、リテーナ挿入孔が、突起が係止される側壁よりリテーナの挿入方向の後方側であって、ハウジングの側壁およびキャビティの1または複数の側壁に突起に対向する逃がし部を備えたものである。
【0008】
本発明の電気コネクタによれば、リテーナをリテーナ挿入孔に挿入する際、リテーナの突起が係止されるキャビティの側壁よりリテーナの挿入方向の後方側のハウジングの側壁およびキャビティの側壁の逃がし部が備えられた部位においては、リテーナの突起はこの逃がし部を通過するため、リテーナをスムーズに挿入することができる。そして、リテーナの突起が係止される側壁の部位においては、リテーナの弾性変形によりリテーナの突起はこの側壁を越えて当該側壁に係止される。また、このようにリテーナ挿入孔に挿入されたリテーナは、リテーナの突起が係止される側壁よりリテーナの挿入方向の後方側の逃がし部が備えられた部分を除く部分では、端子金具の挿入方向の後方側でリテーナ挿入孔と広い範囲で当接面により当接するため、端子金具が抜け方向に力を受けた際にこの広い範囲の当接面で力を受けることができる。
【0009】
ここで、リテーナは、リテーナの弾性変形を可能にする貫通孔を備えたものであることが望ましい。これにより、リテーナが貫通孔を備えるという単純な構成により、リテーナが弾性変形してリテーナの突起がキャビティの側壁を越えて当該側壁に係止されるようになる。
【0010】
また、突起は、キャビティの1または複数の側壁のうちリテーナの挿入方向の中央または中央近傍の側壁に係止されるものであることが望ましい。これにより、リテーナの中央または中央近傍が大きく変位して突起がキャビティの側壁を越えれば良いため、リテーナが弾性変形する部位をリテーナの中央または中央近傍に配置することができる。
【0011】
また、リテーナの突起がキャビティの1または複数の側壁のうち1の側壁を越えて当該側壁に係止されるものであることが望ましい。これにより、リテーナをリテーナ挿入孔に挿入する際、リテーナの突起が逃がし部を通過した後、1のキャビティの側壁を越えるだけで突起がキャビティの側壁に係止される。
【0012】
あるいは、リテーナの突起がキャビティの1または複数の側壁のうち複数の側壁を越えて当該側壁に係止されるものであることが望ましい。これにより、リテーナ挿入孔に挿入されて、複数のキャビティの側壁を越えて当該側壁に係止されたリテーナの突起は、仮に1のキャビティの側壁を越えて戻ったとしても次のキャビティの側壁に係止される。
【発明の効果】
【0013】
(1)リテーナが、端子金具の挿入方向の後方側に、リテーナ挿入孔と当接する当接面と、この当接面のリテーナの挿入方向に対して直角方向となる幅の一部の幅を有する突起であり、当該リテーナの弾性変形によりキャビティの1または複数の側壁を越えて当該側壁に係止される突起とを備えたものであり、リテーナ挿入孔が、突起が係止される側壁よりリテーナの挿入方向の後方側であって、ハウジングの側壁およびキャビティの1または複数の側壁に突起に対向する逃がし部を備えたことにより、リテーナの形状を複雑化させることなく、電気コネクタ組立後の端子金具の抜け方向の力をリテーナとハウジングのリテーナ挿入孔との広い当接面にて受けることができ、信頼性の高い端子金具の抜け防止を実現することができる。
【0014】
(2)リテーナが、リテーナの弾性変形を可能にする貫通孔を備えることにより、リテーナの形状を複雑化させることなく、単純な構成により、リテーナの突起がキャビティの側壁を越えて当該側壁に係止される構成を実現することができる。
【0015】
(3)突起が、キャビティの1または複数の側壁のうちリテーナの挿入方向の中央または中央近傍の側壁に係止されるものであることにより、リテーナが弾性変形する部位をリテーナの中央または中央近傍に配置して、リテーナの強度を上げることができる。
【0016】
(4)リテーナの突起がキャビティの1または複数の側壁のうち1の側壁を越えて当該側壁に係止されるものであることにより、リテーナをリテーナ挿入孔に挿入する際、リテーナの突起が逃がし部を通過した後、1のキャビティの側壁を越えるだけで突起がキャビティの側壁に係止されるため、リテーナの装着が容易となる。
【0017】
(5)リテーナの突起がキャビティの1または複数の側壁のうち複数の側壁を越えて当該側壁に係止されるものであることにより、リテーナ挿入孔に挿入されて、複数のキャビティの側壁を越えて当該側壁に係止されたリテーナの突起は、仮に1のキャビティの側壁を越えて戻ったとしても次のキャビティの側壁に係止されるため、リテーナが脱落しにくくなる。また、このとき、リテーナは、ハウジングのリテーナ挿入孔から飛び出した状態で係止されるため、リテーナがキャビティの側壁を越えて戻ったことを容易に視認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本発明の実施の形態における電気コネクタの斜視図であって、リテーナの装着状態を示す図である。
【
図1B】リテーナの挿入前の状態を示す斜視図である。
【
図6】
図2AのA−A断面で切断した電気コネクタの斜視図である。
【
図7】
図1Bのリテーナを背面側からみた斜視図である。
【
図8】端子金具およびリテーナを装着した状態の電気コネクタの
図2AのC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1A、
図1B、
図2Aおよび
図2Bに示すように、本発明の実施の形態における電気コネクタ1は、それぞれ端子金具T(
図8参照。)が挿入される上下2列にそれぞれ6つのキャビティ20を備えたハウジング2と、ハウジング2に挿入されて端子金具Tの第2係止部T
2(
図8参照。)を二次係止するリテーナ3とから構成される。ハウジング2およびリテーナ3は合成樹脂製である。端子金具Tは、導電性を有する金属板にプレス加工や曲げ加工等を施すことによって形成されている。端子金具Tは、
図1Aの奥側(
図3Aの上側)から、
図1Aに白抜き矢印で示す挿入方向に各キャビティ20内に挿入される。
【0021】
図3Aおよび
図3Bに示すように、キャビティ20は、ハウジング2の両側の側壁21の間で5つの側壁22a,22b,22c,22d,22eにより仕切られ、かつ水平方向に形成された中間壁23(
図5参照。)によって上下2列に仕切られることで形成されている。また、各キャビティ20内には、
図5および
図8に示すように、端子金具Tが各キャビティ20内に挿入された際に、端子金具Tの第1係止部T
1が一次係止される一次係止部20aが設けられている。
【0022】
また、ハウジング2の側壁21には、リテーナ3が挿入されるリテーナ挿入孔24が開口されている。リテーナ挿入孔24は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ハウジング2の側壁21およびキャビティ20の5つの側壁22a〜22eを、端子金具Tの挿入方向に対して直角方向に貫通して上下2列に設けられている(
図4Aおよび
図4B参照。)。
【0023】
リテーナ3は、
図1Bおよび
図7に示すように、上下対称に2つのアーム30を有する略コの字状の部材である。上下対称の2つのアーム30は、ハウジング2に上下2列に設けられたリテーナ挿入孔24にそれぞれ挿入される。また、リテーナ3は、端子金具Tの挿入方向の後方側に、リテーナ挿入孔24と当接する当接面31と、側壁22cに係止される突起32とを備える。当接面31は、
図7においてハッチングにて示した面である。
【0024】
突起32は、当接面31のリテーナ3の挿入方向に対して直角方向となる幅W
0の一部の幅W
1を有する。また、本実施形態においては、突起32は、
図3Aに示すように、リテーナ3の挿入方向となるハウジング2の中央の側壁22cに係止される位置、すなわちリテーナ3の中央より挿入方向となる奥側寄りの位置に形成されている。また、リテーナ3の各アーム30には、突起32の位置を中心としてリテーナ3の挿入方向に長い貫通孔33が形成されている。この貫通孔33によって、突起32が側壁22cに当接した際にリテーナ3の弾性変形が可能となり、突起32が側壁22cを越え、その後、復元することで突起32が側壁22cに係止される。
【0025】
また、
図3Bに示すように突起32は、リテーナ3の挿入方向の前方および後方がそれぞれ傾斜面32a,32bとなっている。これにより、突起32が側壁22cを越える際に、リテーナ3を挿入方向の前後に押す力を突起32を貫通孔33側へ押し込む方向の力へ変換して、リテーナ3を弾性変形させるようになっている。
【0026】
一方、リテーナ挿入孔24には、
図3Aおよび
図6に示すように、リテーナ3の突起32が係止される側壁22cよりリテーナ3の挿入方向の後方側であって、ハウジング2の側壁21およびキャビティ20の2つの側壁22a,22bに突起32に対する逃がし部25を備える。逃がし部25は、リテーナ3のリテーナ挿入孔24内への挿入の際に、突起32が側壁22a,22bに全く接触せず、リテーナ3が弾性変形することなく通過する大きさ、あるいは突起32が側壁22a,22bに接触しても大きな力を必要とすることなくスムーズにリテーナ3を挿入することが可能な大きさとする。
【0027】
上記構成の電気コネクタ1は、ハウジング2の各キャビティ20内にそれぞれ端子金具Tを挿入すると、各端子金具Tの第1係止部T
1が各キャビティ20の一次係止部20aに係止される。次に、ハウジング2のリテーナ挿入孔24へ二次係止部材としてのリテーナ3を挿入すると、このリテーナ3により端子金具Tの第2係止部T
2が二次係止される。このように、キャビティ20に挿入された端子金具Tは、第1係止部T
1および第2係止部T
2が、それぞれハウジング2の一次係止部20aおよびリテーナ3によって二重係止されるため、キャビティ20内に安定保持される。
【0028】
なお、リテーナ3をリテーナ挿入孔24に挿入する際、リテーナ3の突起32が係止されるキャビティ20の側壁22cよりリテーナ3の挿入方向となる後方側のハウジング2の側壁21およびキャビティ20の側壁22a,22bの逃がし部25が備えられた部位においては、リテーナ3の突起32はこの逃がし部25を通過する。そのため、突起32が側壁22cに到達するまでの間は、リテーナ3をスムーズに挿入することができる。
【0029】
そして、リテーナ3の突起32が係止される側壁22cの部位においては、リテーナ3の弾性変形によりリテーナ3の突起32はこの側壁22cを越えて当該側壁22cに係止される。一方、リテーナ3による二重係止を解除する際には、ハウジング2の側壁21を貫通したリテーナ挿入孔24の反対側からリテーナ3を押し込む。これにより、リテーナ3の弾性変形によりリテーナ3の突起が側壁22cを越えると、その後はリテーナ3の突起32は逃がし部25を通過するため、リテーナ3をスムーズに取り外すことができる。
【0030】
また、このようにリテーナ挿入孔24に挿入されたリテーナ3は、リテーナ3の突起32が係止される側壁22cよりリテーナ3の挿入方向となる後方側の逃がし部25が備えられた部分を除く部分では、端子金具Tの挿入方向の後方側でリテーナ挿入孔24と広い範囲で当接面31により当接する。そのため、端子金具Tが抜け方向(
図1Aに示した挿入方向と反対方向)に力を受けた際に、この広い範囲の当接面31で力を受けることができ、信頼性の高い端子金具Tの抜け防止を実現することができる。
【0031】
また、本実施形態におけるリテーナ3は、リテーナ3の弾性変形を可能にする貫通孔33を備えることにより、リテーナ3の形状を複雑化させることなく、単純な構成により、リテーナ3が弾性変形してリテーナ3の突起32がキャビティ20の側壁22cを越えて当該側壁22cに係止される構成を実現している。
【0032】
また、本実施形態におけるリテーナ3の突起32は、キャビティ20の複数の側壁22a〜22eのうちリテーナ3の挿入方向となる中央の側壁22cに係止される。そのため、リテーナ3の中央が大きく変位して突起32がキャビティ20の側壁22cを越えれば良いため、リテーナ3が弾性変形する部位をリテーナの中央に配置して、リテーナ3の強度を上げることができている。なお、この突起32の係止位置は、中央近傍の側壁22b,22dとしても同様にリテーナ3の強度を上げることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、リテーナ3の弾性変形により突起32がキャビティ20の1の側壁22cを越えて当該側壁22cに係止される構成としているため、リテーナ3をリテーナ挿入孔24に挿入する際、リテーナ3の突起32が逃がし部25を通過した後、1のキャビティ20の側壁22cを越えるだけで突起32がこの側壁22cに係止される。そのため、リテーナ3の装着が容易となっており、取り外しも容易である。
【0034】
なお、側壁22bに逃がし部25を設けずに、突起32が、2つすなわち複数の側壁22b,22cを越えて側壁22cに係止される構成とすることも可能である。この場合、リテーナ挿入孔24に挿入されて、複数のキャビティ20の側壁22b,22cを越えて当該側壁22cに係止されたリテーナ3の突起32は、仮に1のキャビティ20の側壁22cを越えて戻ったとしても次のキャビティ20の側壁22bに係止されるため、リテーナ3が脱落しにくくなる。また、このとき、リテーナ3は、ハウジング2のリテーナ挿入孔24から飛び出した状態で係止されるため、リテーナ3がキャビティ20の側壁22cを越えて戻ったことを容易に視認することが可能となる。
【0035】
なお、本実施形態においては、5つの側壁22a〜22eにより仕切られたキャビティ20について説明したが、この側壁22a〜22eは、1、あるいは2、3、4または6以上の複数とすることが可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、キャビティ20は上下2列に設けられているが、1列としたり、3列以上としたりすることも可能である。また、これに対応してリテーナ3のアーム30は1つとしたり、3つ以上としたりすることも可能である。あるいは、1列ごとに独立したリテーナ3としたり、複数列ごとに何列かをまとめたリテーナ3とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電気コネクタは、自動車や産業機械等に搭載される各種機器の電気接続に使用される電気コネクタとして有用である。
【符号の説明】
【0038】
T 端子金具
T
1 第1係止部
T
2 第2係止部
1 電気コネクタ
2 ハウジング
3 リテーナ
20 キャビティ
20a 一次係止部
21,22a,22b,22c,22d,22e 側壁
23 中間壁
24 リテーナ挿入孔
25 逃がし部
30 アーム
31 当接面
32 突起
32a,32b 傾斜面
33 貫通孔
【要約】
【課題】ハウジングに装着された端子金具の抜けを防止するリテーナの形状を複雑化させることなく、信頼性の高い端子金具の抜け防止を実現することが可能な電気コネクタの提供。
【解決手段】リテーナ3が、端子金具Tの挿入方向の後方側に、リテーナ挿入孔24と当接する当接面31と、この当接面31のリテーナ3の挿入方向に対して直角方向となる幅の一部の幅を有する突起32であり、当該リテーナ3の弾性変形によりキャビティ20の側壁22cを越えて当該側壁22cに係止される突起32とを備えたものであり、リテーナ挿入孔24が、突起32が係止される側壁22cよりリテーナ3の挿入方向の後方側であって、ハウジング2の側壁21およびキャビティ20の側壁22a,22bに突起32に対向する逃がし部25を備える。
【選択図】
図3A