【実施例】
【0022】
検討1 組織状大豆蛋白質素材の調製
試験例1〜4
表1の配合により、組織状大豆蛋白質素材の調製法に従い、組織状大豆蛋白質素材を調製した。
組織状大豆蛋白質素材の蛋白質含有量も、表1に合わせて記入した。
【0023】
表1 配合表
・脱脂大豆は不二製油株式会社製「脱脂大豆」を使用した。
・分離大豆たん白は、不二製油株式会社製「フジプロE」を使用した。
・澱粉は、株式会社J−オイルミルズ製「コーンスターチ」を使用した。
【0024】
○組織状大豆蛋白質素材の調製法
1 配合に従い、脱脂大豆粉と乳化剤を粉体混合した。
2 幸和工業(株)製二軸エクストルーダーを用いて組織化した。
水の添加量はダイから押し出される組織化物が膨化するようにバルブを調整し、原料中の水分を約7〜30重量%の間で調整した。
スクリュー回転数は200rpmとした。
先端バレル温度は160〜180℃であった。先端バレルの圧力は3〜20kg/cm2の間で変化させた。
3 得られた膨化物は、長さ20mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断した。
4 粉砕機にて粒子径0.1〜3mm程度に粉砕後、タバイ(株)製ESPEC PV-221乾燥機にて水分8重量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。
【0025】
検討2 卵白含浸組織状大豆蛋白質素材の調製
試験例5〜9
検討1で調製した組織状大豆蛋白質素材を用い、表2の配合に従い、卵白含浸組織状大豆蛋白質素材ないし、比較対象品を調製した。
調製方法は「卵白含浸組織状大豆蛋白質素材の調製法」に従った。
【0026】
表2 配合
・原材料における「試験例1」は試験例1で調製した組織状大豆蛋白質素材を示す。以下、同様である。
・液卵白は、市販の卵を割卵して黄身を分離して使用した。
【0027】
○卵白含浸組織状大豆蛋白質素材の調製法
1 配合表に従い、原料をポリ袋に入れ、混合した。
2 袋ごと真空シーラーにより脱気した。
3 5分後、袋を開封し、卵白含浸組織状大豆蛋白質素材ないし、比較対象品を得た。
【0028】
検討3 海老様食感を有する食品の調製1(卵白含浸の有無による比較)
実施例1、比較例1
表3の配合により、海老様食感を有する食品の調製法に従い、海老様食感を有する食品の調製を行った。
得られたサンプルを、「海老様食感を有する食品の評価法」に従い、評価を行った。評価結果を表4に記載した。
【0029】
表3 海老様食感を有する食品の配合
・魚すり身は、スケソウすり身を使用した。
・分離大豆蛋白質は、不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・油脂は、不二製油株式会社製「菜種白絞油」を使用した。
・トランスグルタミナーゼ製剤は味の素株式会社製「アクティバTGK」を使用した。
・卵白含浸組織状大豆蛋白質素材は、検討1で調製したものを使用した。
【0030】
○海老様食感を有する食品の調製法
1 卵白を含浸させた組織状大豆蛋白質素材を、カッターで最長辺5mmとなるようにカットした。
2 魚肉すり身、分離大豆蛋白質、油脂、水(配合表で「水」と表記)をカッターへ入れ,0℃まで擂潰した。
3 食塩を入れ、カッターで,5分間擂潰した。
4 砂糖、グルタミン酸ソーダを添加し、カッターで,4分間擂潰した。
5 トランスグルタミナーゼ製剤、澱粉、延ばし水を入れ、カッターで,3分間擂潰した。
6 1で調製した、卵白を含浸させた組織状大豆蛋白質素材のカット品を添加し、ミキサーで撹拌した。
7 スタッファーで押し出し成形した。径はφ5mmで行った。
8 40℃ 20分間 調味液に入れ加熱した。
9 蒸し器で90℃、15分間加熱した。
【0031】
○海老様食感を有する食品の評価法
海老の食経験があるパネラー5名により、以下のポイントについて、合議により評価を行った。
すべてのポイントにおいて、3点以上のものを合格と判断した。
A噛みだし時の食感
5点 本物の海老と同等と思えるもの。
4点 本物の海老には若干劣るが、ほぼ同等と思えるもの。
3点 本物の海老には劣るが、許容範囲と思えるもの。
2点 本物の海老に明らかに劣るもの。
1点 本物の海老とは思えないもの。
B 咀嚼時の食感
5点 本物の海老と同等と思えるもの。
4点 本物の海老には若干劣るが、ほぼ同等と思えるもの。
3点 本物の海老には劣るが、許容範囲と思えるもの。
2点 本物の海老に明らかに劣るもの。
1点 本物の海老とは思えないもの。
C 嚥下時の喉越し
5点 本物の海老と同等と思えるもの。
4点 本物の海老には若干劣るが、ほぼ同等と思えるもの。
3点 本物の海老には劣るが、許容範囲と思えるもの。
2点 本物の海老に明らかに劣るもの。
1点 本物の海老とは思えないもの。
【0032】
表4 評価結果
【0033】
考察
評価結果の通り、組織状大豆蛋白質素材を卵白にて含浸し、調製された食品は、海老のような食感が得られることが明らかとなった。
本発明にかかる、海老様食感を有する食品を得るためには、組織状大豆蛋白質素材を卵白にて含浸することが、発明特定事項であることが明示された。
【0034】
検討4 海老様食感を有する食品の調製2(組織状大豆蛋白質素材の種類による比較)
実施例2〜3
表5の配合により、海老様食感を有する食品の調製法に従い、海老様食感を有する食品の調製を行った。
得られたサンプルを、「海老様食感を有する食品の評価法」に従い、評価を行った。評価結果を表6に記載した。
【0035】
表5 配合
・魚すり身は、スケソウすり身を使用した。
・分離大豆蛋白質は、不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・油脂は、不二製油株式会社製「菜種白絞油」を使用した。
・トランスグルタミナーゼ製剤は味の素株式会社製「アクティバTGK」を使用した。
・卵白含浸組織状大豆蛋白質素材は、検討1で調製したものを使用した。
【0036】
表6 評価結果
【0037】
考察
評価結果の通り、原料に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを添加し、調製された組織状大豆蛋白質素材を使用した場合に、より好ましい海老様食感を有する食品が得られることが明らかとなった。
【0038】
検討4 海老様食感を有する食品の調製3(食塩量の検討)
実施例4〜7
表7の配合により、海老様食感を有する食品の調製法に従い、海老様食感を有する食品の調製を行った。
得られたサンプルを、「海老様食感を有する食品の評価法」に従い、評価を行った。評価結果を表8に記載した。
【0039】
表7 海老様食感を有する食品の配合
・魚すり身は、スケソウすり身を使用した。
・分離大豆蛋白質は、不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・油脂は、不二製油株式会社製「菜種白絞油」を使用した。
・トランスグルタミナーゼ製剤は味の素株式会社製「アクティバTGK」を使用した。
・卵白含浸組織状大豆蛋白質素材は、検討1で調製したものを使用した。
【0040】
表8 評価結果
【0041】
考察
評価結果の通り、魚肉すり身が原料の50〜60重量%であり、魚肉すり身に対し、食塩が1.4〜2.5重量%とした場合に、より好ましい海老様食感を有する食品が得られることが明らかとなった。
【0042】
検討5 海老様食感を有する食品の調製4(トランスグルタミナーゼの検討)
比較例2
表9の配合により、海老様食感を有する食品の調製法に従い、海老様食感を有する食品の調製を行った。
得られたサンプルを、「海老様食感を有する食品の評価法」に従い、評価を行った。評価結果を表10に記載した。
【0043】
表9 海老様食感を有する食品の配合
・魚すり身は、スケソウすり身を使用した。
・分離大豆蛋白質は、不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・油脂は、不二製油株式会社製「菜種白絞油」を使用した。
・卵白含浸組織状大豆蛋白質素材は、検討1で調製したものを使用した。
【0044】
表10 評価結果
【0045】
考察
評価結果の通り、トランスグルタミナーゼを使用することが、海老様食感を有する食品を得るために不可欠であることが明らかとなった。
【0046】
検討6 澱粉有無の検討
実施例8
表11の配合により、海老様食感を有する食品の調製法に従い、海老様食感を有する食品の調製を行った。
得られたサンプルを、「海老様食感を有する食品の評価法」に従い、評価を行った。評価結果を表12に記載した。
【0047】
表11 海老様食感を有する食品の配合
・魚すり身は、スケソウすり身を使用した。
・分離大豆蛋白質は、不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・油脂は、不二製油株式会社製「菜種白絞油」を使用した。
・卵白含浸組織状大豆蛋白質素材は、検討1で調製したものを使用した。
【0048】
表12 評価結果
【0049】
考察
評価結果の通り、澱粉を使用しない場合でも、海老様食感を有する食品の調製をすることができた。