特許第5692498号(P5692498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692498
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】地上設置型変圧器装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/12 20060101AFI20150312BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01F33/00 G
   H01F33/00 H
   H01F27/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-169227(P2010-169227)
(22)【出願日】2010年7月28日
(65)【公開番号】特開2012-33532(P2012-33532A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】松場 賢一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知一
(72)【発明者】
【氏名】栗山 忠士
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−282985(JP,A)
【文献】 特開2007−184477(JP,A)
【文献】 特開2004−039824(JP,A)
【文献】 実開平03−026205(JP,U)
【文献】 特開2009−044906(JP,A)
【文献】 特開昭59−034605(JP,A)
【文献】 特開2000−357613(JP,A)
【文献】 特開2007−311686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/12
H01F 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行き方向の一端及び他端にそれぞれ第1及び第2の側板を有し、該奥行き方向と直交する幅方向の一端及び他端にそれぞれ第3及び第4の側板を有する変圧器ケースと、前記変圧器ケース内に絶縁油とともに収容された三相変圧器本体と、前記変圧器ケースの前記第1の側板の前記絶縁油の油面よりも下方に位置する部分に取り付けられた三相の一次ブッシング端子と、前記変圧器ケースのいずれかの側板に取り付けられた二次ブッシング端子と、前記変圧器ケースの第1の側板の上端寄りの部分に一端が支持されて前記変圧器ケースの上端寄りの部分の内側の前記絶縁油の油面より上方の空間に前記変圧器ケースの幅方向に並べた状態で配置された三相のヒューズホルダと、前記三相のヒューズホルダ内にそれぞれ収容された三相の高圧限流ヒューズとを有して、前記変圧器本体の一次側が前記高圧限流ヒューズを通して前記一次ブッシング端子に接続されるとともに、前記変圧器本体の二次側が前記二次ブッシング端子に接続される変圧器と、前記変圧器ケースの外側に支持されて一端が前記一次ブッシング端子に接続され、他端が配電線から引き込まれる高圧ケーブルに接続される一次側開閉装置と、前記変圧器を前記一次側開閉器装置とともに収容した外箱とを備えた地上設置型変圧器装置において、
前記変圧器ケースの前記絶縁油を収容している部分を該変圧器ケースの第1の部分とし、該第1の部分よりも上方にあって内側に前記ヒューズホルダを収容している部分を該変圧器ケースの第2の部分としたときに、前記第1の部分が、前記変圧器本体の対地間絶縁距離の確保に支障を来さない範囲で、前記第2の部分よりも小さい幅寸法を有するように前記変圧器ケースが構成されていること、
を特徴とする地上設置型変圧器装置。
【請求項2】
前記変圧器ケースの前記第2及び第3の側板は平板状に形成されて、前記絶縁油と前記変圧器ケースの外側の空気との間で熱交換を行わせるための放熱器が前記第2の側板と第3の側板とに取り付けられ、
前記変圧器ケースの前記第4の側板の絶縁油に接する部分を前記ヒューズホルダの側方に位置する部分よりも前記第3の側板側に寄った位置に位置させるように前記第4の側板が変形されることにより、前記変圧器ケースの第1の部分の幅寸法が第2の部分の幅寸法よりも小さくされていること、
を特徴とする請求項1に記載の地上設置型変圧器装置。
【請求項3】
前記変圧器ケースの前記第1の側板の絶縁油に接する部分を前記ヒューズホルダが貫通している部分よりも前記第2の側板側に寄った位置に位置させるように前記第1の側板が変形されることにより、前記変圧器ケースの前記第1の部分の奥行き寸法が第2の部分の奥行き寸法よりも縮小されていること、
を特徴とする請求項2に記載の地上設置型変圧器装置。
【請求項4】
前記二次ブッシング端子は、前記変圧器ケースの第4の側板の上部の前記第2の側板寄りの部分を貫通した状態で取り付けられ、
前記二次ブッシング端子は前記外箱内で前記第4の側板に対して支持された配線用遮断器を通して低圧ケーブルに接続されること、
を特徴とする請求項1,2または3に記載の地上設置型変圧器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路沿いの歩道上などに設置される地上設置型変圧器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部においては、配電線の地中化に伴い、高圧配電線から受電した電圧を需要家に供給する電圧まで降圧する変圧器と、変圧器の一次側及び二次側にそれぞれ接続される開閉器装置及び配線用遮断器等の保護機器とを備えた地上設置型変圧器装置を、道路沿いの歩道上などに設置している。この種の変圧器装置は例えば、特許文献1に示されている。
【0003】
一般に、地上設置型変圧器装置は、変圧器本体を絶縁油とともに変圧器ケース内に収容して、変圧器本体の一次側及び二次側にそれぞれ接続される一次ブッシング端子及び二次ブッシング端子を変圧器ケースの側板を貫通させて取り付けた変圧器を、保護用機器とともに外箱内に収容した構成を有する。保護用機器としては、配電線から引込まれた高圧ケーブルと一次ブッシング端子との間に設けられる一次側開閉装置、一次ブッシング端子と変圧器本体の一次側端子との間に挿入される高圧限流ヒューズ、及び変圧器の二次ブッシング端子と外部に引出される複数本の配電用低圧ケーブルとの間にそれぞれ挿入される配線用遮断器等が設けられる。
【0004】
高圧限流ヒューズは、変圧器ケースの側板の上部を貫通した状態で変圧器ケース内の絶縁油の油面よりも上方の空間に挿入された筒状のヒューズホルダ内に収納される。ヒューズホルダは、変圧器ケースの外部に露呈された一端に取り外しが可能な蓋を備えていて、この蓋を取り外した状態で、ヒューズホルダ内への高圧限流ヒューズの挿脱を行うことができるようになっている。
【0005】
変圧器本体は容量に応じた大きさを有するが、ヒューズホルダとしては、変圧器の容量の如何に関わりなく共通の仕様を有するものが用いられている。そのため変圧器本体として小形のものを用いる場合であっても、ヒューズホルダとしては、大型の変圧器にも対応し得る寸法を有する大形のものが用いられている。
【0006】
上記変圧器と、変圧器ケースの側板に取り付けられた一次側開閉器装置等の保護用機器とにより地上設置変圧器装置の本体が構成され、この本体が外箱内に収容されて、地上設置型変圧器装置が構成される。
【0007】
三相のヒューズホルダは、絶縁油中に配置されるのではなく、変圧器ケース内の絶縁油の油面より上方の気中に並べた状態で配置されるため、三相のヒューズホルダの相間の絶縁距離及び対地間の(変圧器ケースとの間の)絶縁距離は、絶縁耐力が大きい絶縁油中で必要とされる相間絶縁距離及び対地間絶縁距離よりも長くしておく必要がある。一方、絶縁耐力が大きい絶縁油中に変圧器本体が配置される変圧器ケースの下部では、相間及び対地間の絶縁距離を気中よりも縮小することができるため、変圧器ケースの下部の幅寸法は、上部よりも小さくすることができるが、従来の変圧器装置では、変圧器ケースの幅寸法を該ケースの高さ方向の全体に亘って均一に設定していた。
【0008】
なお本明細書においては、変圧器ケースの各辺のうち、三相のヒューズホルダの並設方向に沿う辺が伸びる方向を変圧器ケースの幅方向とし、三相のヒューズホルダの長手方向に沿う辺が伸びる方向を変圧器ケースの奥行き方向とする。また変圧器ケースの幅方向及び奥行き方向の双方に直角な方向を高さ方向とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−168211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の地上設置型変圧器装置においては、変圧器ケースの幅寸法をその高さ方向の全体に亘って均一に設定していたため、絶縁媒体として絶縁油が用いられる変圧器ケースの下部においては、その幅寸法が、所定の絶縁性能を確保するために必要な大きさを超える過剰な大きさになり、変圧器ケースの側板の下部と変圧器本体との間に大きなデッドスペースが生じていた。そのため、変圧器ケース内に収容する絶縁油の量が過剰になり、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0011】
本発明の目的は、変圧器ケースの下部と変圧器本体との間に生じるデッドスペースを従来よりも縮小して、絶縁油の量を節約することができるようにした地上設置型変圧器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、奥行き方向の一端及び他端にそれぞれ第1及び第2の側板を有し、該奥行き方向と直交する幅方向の一端及び他端にそれぞれ第3及び第4の側板を有する変圧器ケースと、変圧器ケース内に絶縁油とともに収容された三相変圧器本体と、変圧器ケースの第1の側板の絶縁油の油面よりも下方に位置する部分に取り付けられた三相の一次ブッシング端子と、変圧器ケースのいずれかの側板に取り付けられた二次ブッシング端子と、変圧器ケースの第1の側板の上端寄りの部分に一端が支持されて変圧器ケースの上端寄りの部分の内側の絶縁油の油面より上方の空間に変圧器ケースの幅方向に並べた状態で配置された三相のヒューズホルダと、三相のヒューズホルダ内にそれぞれ収容された三相の高圧限流ヒューズとを有して、変圧器本体の一次側が高圧限流ヒューズを通して一次ブッシング端子に接続されるとともに、変圧器本体の二次側が二次ブッシング端子に接続される変圧器と、変圧器ケースの外側に支持されて一端が一次ブッシング端子に接続され、他端が配電線から引き込まれる高圧ケーブルに接続される一次側開閉装置と、変圧器を一次側開閉器装置とともに収容した外箱とを備えた地上設置型変圧器装置を対象とする。
【0013】
本発明においては、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分を該変圧器ケースの第1の部分とし、該第1の部分よりも上方にあって内側にヒューズホルダを収容している部分を該変圧器ケースの第2の部分としたときに、第1の部分が、変圧器本体の対地間絶縁距離の確保に支障を来さない範囲で、第2の部分よりも小さい幅寸法を有するように変圧器ケースが構成されている。
【0014】
上記のように構成すると、変圧器ケースと変圧器本体との間に形成されるデッドスペースを縮小して変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の容積を縮小することができるので、絶縁油の量を従来よりも少なくして絶縁油の節約を図ることができる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、変圧器ケースの第2及び第3の側板が平板状に形成されて、絶縁油と変圧器ケースの外側の空気との間で熱交換を行わせるための放熱器がこれら第2及び第3の側板に取り付けられる。また変圧器ケースの第4の側板の絶縁油に接する部分をヒューズホルダの側方に位置する部分よりも第3の側板側に寄った位置に位置させるように第4の側板が変形されることにより、変圧器ケースの第1の部分の幅寸法が第2の部分の幅寸法よりも小さくされている。
【0016】
上記のように変圧器ケースの幅方向の片側の側板を変形させることにより、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分(第1の部分)の幅寸法を、ヒューズホルダを収容している部分(第2の部分)の幅寸法よりも小さくするようにすると、他の側板は平板状に形成することができるため、放熱器の取り付けに支障を来すことなく、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分の幅寸法を縮小することができる。
【0017】
本発明の他の好ましい態様では、変圧器ケースの第1の側板の絶縁油に接する部分をヒューズホルダが貫通した部分よりも第2の側板側に寄った位置に位置させるように第1の側板が変形されることにより、変圧器ケースの第1の部分の奥行き寸法が第2の部分の奥行き寸法よりも縮小されている。
【0018】
上記のように構成すると、変圧器ケースの絶縁油を収容する部分の幅寸法と奥行き寸法との双方を縮小することができるため、変圧器ケースと変圧器本体との間に形成されるデッドスペースを更に縮小して絶縁油の節約を図ることができる。
【0019】
本発明の他の好ましい態様では、変圧器本体の二次側に接続された二次ブッシング端子が、変圧器ケースの第4の側板の上部の第2の側板寄りの部分を貫通した状態で取り付けられ、二次ブッシング端子は外箱内で第4の側板に支持された配線用遮断器を通して低圧ケーブルに接続される。
【0020】
上記のように構成すると、ヒューズホルダと二次ブッシング端子との間の絶縁距離を容易に確保することができ、また放熱器が取り付けられることがない側板の上部に二次ブッシング端子を取り付けることになるので、放熱器の取り付けに影響を及ぼすことなく、かつヒューズホルダと二次ブッシング端子との間の絶縁に支障を来すことなく、二次ブッシング端子を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分の幅寸法を、変圧器本体の対地間絶縁距離の確保に支障を来さない範囲で、変圧器ケースのヒューズホルダを収容している部分の幅寸法よりも小さく設定したので、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の容積を縮小して絶縁油の節約を図ることができる。
【0022】
請求項2に記載された発明によれば、変圧器ケースの幅方向の片側の側板を変形することにより、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分の幅寸法を、ヒューズホルダを収容している部分の幅寸法よりも小さくするので、他の側板を放熱器の取り付けが容易な平板状の形状とすることができる。従って、放熱器の取り付けに支障を来すことなく、変圧器ケースの絶縁油を収容している部分の幅寸法を縮小して絶縁油の節約を図ることができる。
【0023】
また請求項3に記載された発明によれば、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の幅寸法を縮小するだけでなく、奥行き寸法をも縮小したため、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の幅寸法のみを縮小する場合よりも、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の容積を更に縮小して、絶縁油の節約を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態の構成を、内部の配線を省略して示した断面図である。
図2図1に示された変圧器を同図のII−II線に沿って断面して示した断面図である。
図3】本発明の他の実施形態の要部の構成を、内部の配線を省略して示した断面図である。
図4図1及び図3に示された実施形態の電気的な構成を示す単線結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1及び図2は本発明の第1の実施形態を示したものである。これらの図において、1は変圧器、2は変圧器1の一次側と配電線から引込まれた三相の高圧ケーブル3uないし3wとの間を開閉する一次側開閉装置、4は変圧器1と一次側開閉装置2とを収容した外箱である。図示してないが、外箱4内には、変圧器1の二次側と外部に引出される配電用低圧ケーブルとの間に挿入される配線用遮断器等の他の必要機器が更に収容され、外箱4とその内部に収容された機器とにより地上設置型変圧器装置5が構成されている。
【0026】
変圧器1は、変圧器ケース6と、変圧器ケース6内に絶縁油7とともに収容された三相変圧器本体8と、変圧器ケース6の上部に取り付けられた三相のヒューズホルダ9uないし9wと、変圧器ケース6の一つの側板に取り付けられた三相の一次ブッシング端子10uないし10wと、変圧器ケース6の他の側板に取り付けられた三相の二次ブッシング端子11uないし11w及び二次中性点端子11nとを備えている。三相のヒューズホルダ9uないし9wの内部にはそれぞれ三相の高圧限流ヒューズ12uないし12wが収容されている。
【0027】
変圧器ケース6は、長方形状の底板6aと、底板6aの奥行き方向(長辺が沿う方向、図1の左右方向)に相対する一端及び他端からそれぞれ垂直に立ち上がった第1及び第2の側板6b1及び6b2(図1参照)と、底板6aの幅方向(短辺が沿う方向)の一端及び他端からそれぞれ垂直に立ち上がった第3及び第4の側板6b3及6b4(図2参照)とを備えており、底板6aと側板6b1ないし6b4の隣接する縁部同士が溶接されることにより液密構造のケース本体600が構成されている。このケース本体の上端の開口部に設けられたフランジ601に蓋板6cがパッキンを介して当接され、蓋板6cがフランジ601に締結されることにより、ケース本体600の上端開口部が閉鎖されている。
【0028】
図示の三相変圧器本体8は巻鉄心を組み合わせて構成した3脚鉄心Iに三相のコイルCuないしCwを巻装した公知のもので、変圧器ケース6の底板6aの上に固定されている。三相のコイルCuないしCwのそれぞれは、内側に巻回された二次コイルと、二次コイルの外側に巻回された一次コイルとからなっている。本実施形態では、三相の一次コイルがデルタ結線され、二次コイルがスター結線されている。変圧器ケース6内には、その上端寄りのレベルまで油面7aが達するように絶縁油7が注入され、絶縁油7中に変圧器本体8が浸漬されている。
【0029】
三相の一次ブッシング端子10uないし10wは、変圧器ケース6の第1の側板6b1の絶縁油7の油面7aよりも下方に位置する部分に取り付けられている。図示の例では、変圧器ケース6の第1の側板6b1の、絶縁油7の油面7aよりも下方に位置する部分に設けられた窓部を液密に塞ぐように取り付けられたブッシング取り付け板20に三相の一次ブッシング10uないし10wが取り付けられている。
【0030】
また三相の二次ブッシング端子11uないし11wと二次中性点端子11nとは、変圧器ケース6の奥行き方向(図1の左右方向)に並べた状態で、かつ変圧器ケース6の第4の側板6b4の上部(油面7aよりも上方に位置する部分)の第2の側板6b2寄りの部分を貫通した状態で取り付けられている。三相の二次ブッシング端子11uないし11wには、変圧器本体4の三相の二次端子からそれぞれ引出された口出し線(図示せず。)が接続され、二次中性点端子11nには、三相の二次巻線の中性点から引出された口出し線が接続されている。
【0031】
三相のヒューズホルダ9uないし9wは、変圧器ケース6の幅方向に並べられた状態で、変圧器ケース6の第1の側板6b1の上端寄りの部分を貫通して変圧器ケース6の上端寄りの部分の内側の、絶縁油の油面7aより上方の空間に挿入されている。三相のヒューズホルダ9uないし9wは、それぞれの一端が変圧器ケース6の第1の側板6b1に固定されることにより、第1の側板6b1に片持ちで支持されている。
【0032】
三相のヒューズホルダ9uないし9w内にはそれぞれ三相の高圧限流ヒューズ12uないし12wが挿入され、各限流ヒューズの一端及び他端にそれぞれ設けられた端子金具12a及び12bが、各ヒューズホルダ内に設けられた端子電極(図示せず。)に接触させられている。各ヒューズホルダは絶縁材料からなっていて、各ヒューズホルダの後端部寄りの部分の下部及び先端部にそれぞれ各ヒューズホルダ内の高圧限流ヒューズの端子金具12a及び12bが接触している端子電極に接続された外部端子9a及び9bが設けられている。各相のヒューズホルダの外部端子9a及び9bの一方は、図示しない接続導体を介して対応する相の一次ブッシング端子10uないし10wに接続され、各相のヒューズホルダの外部端子9a及び9bの他方は、変圧器本体8の対応する相の一次端子に図示しない接続導体を介して接続されている。
【0033】
各相のヒューズホルダは、変圧器ケース6の外部に露呈された一端に取り外しが可能な蓋9cを備えていて、この蓋を取り外した状態で、各相のヒューズホルダ内への高圧限流ヒューズの挿脱を行うことができるようになっている。
【0034】
一次側開閉装置2は、断路器としての機能を有する三相の開閉器をケース201内に収納したもので、一次側開閉装置2のケース201は、変圧器ケース6の第1の側板6b1の外面に支持されている。一次側開閉装置2を構成する三相の開閉器の一端はケース201内で三相の一次ブッシング端子10uないし10wに接続され、一次側開閉装置2を構成する三相の開閉器の他端は、ケース201の下部に取り付けられた三相のブッシング端子202uないし202wに接続されている。ブッシング端子202uないし202wには、配電線から引き込まれた三相の高圧ケーブル3uないし3wが接続され、高圧ケーブル3uないし3wが、一次側開閉装置2と、高圧限流ヒューズ12uないし12wとを通して変圧器本体8の一次端子に接続されている。
【0035】
図示の変圧器1において、三相のヒューズホルダ9uないし9wは、絶縁油7の油面7aよりも上方の気中に配置されるため、絶縁油中よりも大きな相間絶縁距離と対地間絶縁距離とを持たせて配置することが必要とされる。これに対して、変圧器本体8は、大気よりも絶縁耐力が大きい絶縁油7中に配置されるため、その対地間絶縁距離(ケース6との間の絶縁距離)は、ヒューズホルダ9uないし9wに必要とされる対地間絶縁距離よりも短くすることができる。
【0036】
そこで本実施形態においては、変圧器ケース6の絶縁油7を収容している部分を変圧器ケース6の第1の部分6Aとし、該第1の部分6Aよりも上方にあって内側にヒューズホルダ9uないし9wを収容している部分を変圧器ケースの第2の部分6Bとしたときに、第1の部分6Aが、変圧器本体8の対地間絶縁距離の確保に支障を来さない範囲で、第2の部分6Bよりも小さい幅寸法を有するように変圧器ケース6が構成されている。
【0037】
図示の例では、変圧器ケース6の第1ないし第3の側板6b1ないし6b3がすべて平板状に形成されているが、第4の側板6b4は、絶縁油7に接する部分6b41をヒューズホルダ9uないし9wが内側に配置された部分6b42よりも第3の側板6b3側に寄った位置に位置させるように変形され、これにより、変圧器ケース6の第1の部分6Aの幅寸法W1が第2の部分6Bの幅寸法W2よりも小さく設定されている。図示の例では、第4の側板6b4の絶縁油に接する部分6b41と、内側にヒューズホルダ9uないし9wが配置された部分6b42との間をつなぐように傾斜板部6b43が形成されている。
【0038】
変圧器ケース6の第2の側板6b2及び第3の側板6b3にはそれぞれ、絶縁油7と変圧器ケース6の外側の空気との間で熱交換を行わせるための放熱器21及び22が接続されている。
【0039】
変圧器ケース6の第4の側板6b4の外側には、複数の三相用の配線用遮断器(ブレーカ)25aないし25eが設けられ、三相の二次ブッシング端子11uないし11wと各配線用遮断器の一端との間が三相の電線を通して接続されている。配線用遮断器25aないし25eの他端には、需要家につながる三相低圧ケーブル26aないし26eが接続されている。低圧ケーブル26aないし26eは、地下のケーブルピット内を通して配電線に接続される。二次中性点端子11nは、図示しない接地線を通して接地電位部に接続されている。
【0040】
配線用遮断器25aないし25eは、変圧器ケース6の第4の側板6b4に対して固定された図示しない支持板に固定されている。本実施形態の電気的構成を示す単線結線図を図4に示した。
【0041】
本実施形態のように、変圧器ケース6の幅方向の片側の側板6b4を変形させることにより、変圧器ケース6の絶縁油7を収容している部分(第1の部分6A)の幅寸法を、ヒューズホルダ9uないし9wを収容している部分(第2の部分6B)の幅寸法よりも小さくするようにすると、他の側板は平板状に形成することができるため、放熱器21,22の取り付けに支障を来すことなく、変圧器ケース6の絶縁油7を収容している部分の幅寸法を縮小することができる。また変圧器ケース6の第1の部分6Aの幅寸法は、変圧器本体8の対地間絶縁に影響を及ぼさない範囲で縮小されるので、変圧器本体8の対地間の絶縁性能を何等損なうことなく、変圧器ケース6の絶縁油を収容している部分の幅寸法を縮小することができる。従って、本実施形態によれば、変圧器の放熱性能及び絶縁性能をなんら損なうことなく、変圧器ケース6の内面と変圧器本体8との間に形成されるデッドスペースを縮小して変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の容積を縮小することができ、絶縁油7の量を少なくして、コストの低減を図ることができる。
【0042】
上記の実施形態では、変圧器ケース6の絶縁油7が収容される部分の幅寸法のみを縮小しているが、上記実施形態と同様に変圧器ケース6の絶縁油が収容される部分(第1の部分)の幅寸法を縮小した上で更に、変圧器ケース6の絶縁油7が収容される部分の奥行き寸法を、変圧器ケース6の、内側にヒューズホルダが配置されている部分の奥行き寸法よりも小さくすることにより、変圧器ケース6の絶縁油が収容された部分の容積を更に縮小して、節油効果を高める(節約する絶縁油の量を増大させる)ことができる。
【0043】
図3は、変圧器ケース6の絶縁油が収容される部分の幅寸法を、ヒューズホルダ9uないし9wが収容される部分の幅寸法よりも縮小すると同時に、変圧器ケース6の絶縁油が収容される部分(第1の部分6A)の奥行き寸法D1を、内側にヒューズホルダが収容される部分(第2の部分6B)の奥行き寸法D2よりも小さくした実施形態を示したものである。
【0044】
図3に示された実施形態では、変圧器ケース6の第1の側板6b1の絶縁油7に接する部分6b11を、変圧器ケース6の、ヒューズホルダ9uないし9wが貫通している部分よりも第2の側板6b2側に寄った位置に位置させるように第1の側板6b1が変形されることにより、変圧器ケース6の第1の部分6Aの奥行き寸法D1が第2の部分6Bの奥行き寸法D2よりも小さく設定されている。図3に示された実施形態のその他の構成は、図1及び図2に示した実施形態のそれと同様であり、変圧器ケース6の第4の側板6b4の絶縁油に接する部分が,該第4の側板6b4の、ヒューズホルダの側方に位置する部分よりも第3の側板6b3側に寄った位置に位置させるように、第4の側板6b4が変形されることにより、変圧器ケース6の第1の部分6Aの幅寸法が第2の部分6Bの幅寸法よりも小さく設定されている。
【0045】
図3に示した実施形態では、変圧器ケース6の絶縁油7が収容される部分の幅寸法を縮小するだけでなく、奥行き寸法をも縮小したため、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の幅寸法のみを縮小する場合よりも、変圧器ケースの絶縁油が収容される部分の容積を更に縮小して、節油効果を高めることができる。
【0046】
上記の説明では、三相変圧器本体8の一次側がデルタ結線され、二次側がスター結線されているとしたが、本発明において、変圧器本体の一次側及び二次側の結線は任意である。また上記の実施形態では、変圧器の二次側から5回線の三相低圧ケーブル26aないし26eを引出しているが、変圧器の二次側から引出す回線の数は任意である。
【0047】
また上記の実施形態では、変圧器から三相出力のみを取り出すようしているが、単相三線式の出力を取り出す場合にも本発明を適用できるのはもちろんである。
【0048】
上記の実施形態では示さなかったが、変圧器本体8の一次巻線にタップが設けられる場合には、該タップを切替えるタップ切換器が、変圧器本体8とともに変圧器ケース6内に収容される。このように、変圧器ケース6内にタップ切換器が収容される場合にも本発明を適用することができる。この場合、タップ切換器の操作軸は、一次側開閉装置や放熱器が設けられない変圧器ケース6の第4の側板6b4を貫通させて外部に導出するのが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 変圧器
2 一次側開閉装置
3uないし3w 高圧ケーブル
4 外箱
5 地上設置型変圧器装置
6 変圧器ケース
6a 底板
6b1ないし6b4 変圧器ケースの第1ないし第4の側板
6c 蓋板
7 絶縁油
8 変圧器本体
9uないし9w ヒューズホルダ
12uないし12w 高圧限流ヒューズ
25aないし25e 配線用遮断器
26aないし26e 低圧ケーブル
図1
図2
図3
図4